以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の作業車両を適用した農業用トラクタの側面図であり、図2は、操縦部の前方側を示した斜視図であり、図3は、ブレーキ操作具を示した斜視図であり、図4は、操向検出手段を示した背面斜視図である。作業車両の一種であるトラクタは、左右一対の前輪1及び後輪2によって支持される車台フレーム3と、該車台フレーム3の前側に設置されたエンジンを上方側から開閉自在に覆うボンネット4と、該ボンネット4の後方に配置されてオペレータが操縦等を行う操縦部が設けられたキャビン6とを備えることにより走行機体が構成されている。該走行機体の後方に昇降リンク7を介してロータリ耕耘装置等の作業機(図示しない)を昇降可能に連結している。
前記操縦部は、オペレータが着座する座席(図示しない)と、座席の前方側に配置されたステアリングハンドル11が連結されたステアリング装置10と、ステアリングハンドル11の左右一方側(図示する例では左側)に配置された走行機体の前後進を操作する前後進切替レバー12と、ステアリングハンドル11の左右一方側に配置された二輪駆動状態と四輪駆動状態とを切替える操作具である駆動状態切替スイッチ15が配置された操作パネル13と、座席の前方下側の機体進行方向右(以下、単に「右」)側に配置されたブレーキ操作具16と、座席の前方下側の左側に配置されたクラッチペダル17とを備えている(図2参照)。また、走行機体の背面側には、上記ステアリングハンドルによる旋回操作によって操作される前輪の切れ角を検出する操向検出手段20が設けられている。
前記ブレーキ操作具16は、図3に示されるように、左右に並べて配置されて同じ回動支持軸21により揺動作動するブレーキペダル18A,18Bと、該ブレーキペダル18を非作用方向に付勢する弾性部材19と、ブレーキペダル18の作用状態を検出するブレーキスイッチ22と、左右のブレーキペダル18A,18Bを連結する連係機構23と、左右のブレーキペダル18A,18Bの連結状態を検出するブレーキ連結具スイッチ24とを備えている。
左右の前記ブレーキペダル18A,18Bは、オペレータの右足で踏込み操作可能なように、クラッチペダル17とは反対側である右側に配置されており、この左右のブレーキペダル18A,18Bは、図示しない連係機構を介して、左右の走行ブレーキに各別に機械的に連結されている。左右の走行ブレーキは、対応する後輪を個別に制動し、速度を減速又は走行停止させるように構成されている。要するに、左右のブレーキペダル18A,18Bは、左右の走行ブレーキを介して、左右の後輪2,2のブレーキ操作を個別に行うことができる。
前記弾性部材19は、ブレーキペダル18を常時走行ブレーキ切側に付勢しており、一方側の踏面に右足を載せ、弾性部材19の付勢力に抗して、ブレーキペダルを踏込み操作すると、該ブレーキペダル18に機械的に連結された走行ブレーキが制動作動し、該走行ブレーキ側の後輪2,2にブレーキがかかる。
前記ブレーキスイッチ22は、ブレーキペダル18の回動支持軸21の近傍に配置されおり、該ブレーキスイッチ22は、回動支持軸21に溶着されてブレーキペダル18の踏込み操作に応じて上下回動する板状のプレート部材26と当接可能に構成されている。該構成により、ブレーキの非作用状態においては、前記ブレーキスイッチ22が弾性部材19によって付勢されるプレート部材26によって押操作されてON状態となり、ブレーキペダル18が踏込み操作されると、プレート部材26が回動支持軸21と一体的に下方揺動されて、ブレーキスイッチ22がOFF状態となる。これによりブレーキ操作の有無を検出することができる。
前記連係機構23は、左右のブレーキペダル18A,18B同士を連結状態にするブレーキ連結具を備え、ブレーキペダル18の連結状態によって左右の走行ブレーキを両方制動作動させる両ブレーキ操作をし、連結解除状態によって左右の走行ブレーキの片方のみを制動作動させる片ブレーキ操作をすることができる。
前記操向検出手段20は、図4に示されるように、前輪を駆動させるシャフトを内装するフロントアクスルケース36の左右端側(図示する例では進行方向右側)から車体フレーム中央側に延設される検知ロッド37と、該検知ロッド37の端部側と連結するアーム部材39と、車体フレーム3側に設けられて支点35を軸にアーム部材39の一端側が連結されるブラケット38と、ポテンショメータである切れ角センサ41とから構成されており、切れ角センサ41からの電線42が制御部50側へ接続されている。該構成により、ステアリングハンドル11によって操向操作される前輪の切れ角を検出することができる。
前記走行機体は、エンジンからの動力が主クラッチ及び主変速装置等を介して走行軸に伝動され、前輪1及び後輪2が回転駆動する。該走行軸には油圧クラッチにより構成される四輪クラッチが設けられており、前記制御部50は、後述する四輪ソレノイドバルブ46を介して、エンジンからの動力を伝動させることにより、後輪を駆動輪、前輪を従動輪とする二輪駆動状態と、前輪及び後輪を駆動させる四輪駆動状態とに切替え可能に構成されている。
前記制御部50は、二輪駆動状態において、スリップ状態が検出された場合には、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切替えるオートスリップ制御が実行されるように構成されている。該オートスリップ制御の詳細については後述する。
また、前記制御部50は、前記切れ角センサ41により前輪が所定以上に操向操作されたことが検出された場合には、その操舵量に基づいてブレーキ装置を作動させて小回り旋回をサポートするオートブレーキ制御と、前輪1を後輪2よりも高速で駆動させることによって小回り旋回させる旋回制御とを実行することができる。
次に、図5に基づいて、制御部50について説明する。図5は、制御部のブロック図である。制御部の出力側には、二輪駆動から四輪駆動に切換える四輪ソレノイドバルブ46が接続される一方で、入力側には、前記切れ角センサ41と、前後進切替レバー12の前後進操作を検出する前後進検出センサ47と、前記ブレーキ連結板スイッチ24と、前輪1の回転数を検出する前輪回転センサ48と、後輪2の回転数を検出する後輪回転センサ49と、前記ブレーキスイッチ22とが接続されている。
前記制御部50は、二輪駆動状態時に駆動輪である後輪の回転数に対する従動輪の前輪の回転数の比率である回転比(R)によってスリップ状態を検出するとともに、該回転比Rの最大値を最大回転比(Rmax)として逐次更新し、該制御部は、最大回転比Rmaxの値が予め定めた所定の基準値以上であって且つ、検出された回転比Rが所定の第1回転比(R1)以下であることが検出された場合、或いは、最大回転比Rmaxの値が前記基準値以下であって且つ、検出された回転比Rが上記第1回転比R1よりも値の小さい所定の第2回転比(R2)以下であることが検出された場合には、走行機体を二輪駆動状態から四輪駆動状態へと切換えるオートスリップ制御(自動切換制御)を実行可能に構成されている。
図6は、制御部のメインルーチンの処理フロー図である。同図に示すように、制御部50のメインフローが開始されると、ステップS1から処理が開始する。ステップS1では、制御に用いる各値を初期値に設定し、ステップS2に進む。ステップS2では、四駆切替操作のサブルーチンを実行し、その処理が終了すると、ステップS3に進む。ステップS3では、ブレーキ四駆操作のサブルーチンを実行し、その処理が終了すると、ステップS4に進む。
ステップS4では、オートスリップ制御のサブルーチンを実行し、その処理が終了すると、ステップS5に進む。ステップS5では、四駆切替操作による四駆出力フラグ(A)と、ブレーキ四駆操作による四駆出力フラグ(B)と、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)の少なくとも何れか一つがON状態(1)となっているか否かが判断され、何れかの四駆出力フラグがON状態の場合にはステップS6に進み、前記四駆ソレノイドバルブを介して、走行機体を四輪駆動状態に切替え、その後、ステップ2の直前に処理を戻す。
また、ステップS5において、四駆出力フラグのすべて(A、B、C)がOFF状態(0)であることが検出された場合には、ステップS7に進み、二輪駆動状態に切替え、その後、ステップ2の直前に処理を戻す。以下、ステップ2からステップ6又はステップS7までの処理を繰返す。
前記初期値設定では、四輪駆動状態への切替後からの継続時間(T1)と、走行開始からの継続時間(T2)と、四輪駆動状態から二輪駆動に復帰してからの二輪駆動状態の継続時間(T3)と、のカウントをリセットし、前記前後輪側の回転センサ48,49によって検出された後輪2の回転数に対する、前輪1の回転数の比率を算出した回転比Rの最大値を逐次更新して記録した前記最高回転比Rmaxの値をリセットする。さらに、上記四駆切替操作による四駆出力フラグ(A)と、ブレーキ四駆操作による四駆出力フラグ(B)と、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)とをOFF状態(0)にセットするとともに、四輪駆動切替成立フラグ(CF)をON状態(1)にセットする。
図7は、四輪駆動切替操作制御のサブルーチンの処理フロー図である。四輪駆動切替操作のサブルーチンが実行されると、ステップS11に進む。ステップS11では、駆動状態切替スイッチのON・OFFの状態を確認し、ON状態が検出された場合には、ステップS12に進む。ステップS12では、四駆切替操作による四駆出力フラグ(A)をON状態(1)にセットして、その後、リターンする。
また、ステップS11において、駆動状態切替スイッチのOFF状態が検出された場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、四駆切替操作による四駆出力フラグ(A)をOFF状態(0)にセットして、その後、リターンする。
すなわち、作業者が駆動状態切替スイッチ15によって、二輪駆動状態から四輪駆動状態へ操作することにより、走行状況に応じて任意のタイミングで四輪駆動状態へと切換えることができる。
図8は、ブレーキ四駆操作のサブルーチンの処理フロー図である。ブレーキ四駆操作のサブルーチンが実行されると、ステップS21に進む。ステップS21では、前記ブレーキ連結板スイッチ24により、左右のブレーキペダルが連結されているか否かを確認し、ブレーキペダル18A,18Bが連結されている場合には、ステップS22に進む。
ステップS22では、前記ブレーキスイッチ22により、ブレーキペダル18の踏込み操作の有無が検出され、ブレーキペダル18の踏込み操作が検出された場合には、ステップS23に進み、ブレーキ四駆操作による四駆出力フラグ(B)をON状態(1)にセットして、その後、リターンする。
また、ステップS22において、ブレーキペダル18の踏込み操作が検出されなかった場合には、ステップS24に進み、ブレーキ四駆操作による四駆出力フラグ(B)をOFF状態(0)にセットして、その後、リターンする。
すなわち、左右のブレーキペダル18A,18Bが連結された状態で、ブレーキペダルが踏込み操作された場合には、二輪駆動状態から四輪駆動状態へと切替えられるように構成されている。該構成により、旋回走行を伴わず走行機体を停止させる際のブレーキ操作時に制動力をより効率的に作用させることができる。
図9は、オートスリップ制御のサブルーチンの処理フロー図である。オートスリップ制御のサブルーチンが実行されると、ステップS31に進む。ステップS31では、オートスリップ制御動作確認のサブルーチンが実行され、その処理が終了すると、ステップS32に進む。ステップS32では、オートスリップ制御フラグが確認され、オートスリップ制御フラグが1(オートスリップ制御が可)の場合には、ステップS33に進む。
ステップS33では、前記切れ角センサ41により旋回操作の有無が検出され、旋回操作が検出されなかった場合には、ステップS34に進む。ステップS34では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)をOFF状態(0)にセットし、その後、ステップS35に進む。
ステップS35では、切れ角センサ41がON状態からOFF状態に切替えられてから時間T4が所定時間(実施例では2秒)以上経過しているか否かが判断され、切れ角センサ41のOFF状態が2秒以上経過している場合には、ステップS36に進む。
ステップS36では、前記回転センサ48,49により、走行開始時からカウントされる走行継続時間T2の値が2秒以上経過しているか否かが確認され、走行開始からの走行継続時間T2が2秒以上の場合には、ステップS37に進む。
ステップS37では、前記回転センサ48,49によって算出される、前記最高回転比Rmaxが予め定めた基準値(実施例では85%)以上となっているか否かが確認され、最高回転比Rmaxが85%以上である場合には、ステップS38に進み、走行時四駆切替操作のサブルーチンを実行し、その後、ステップS39に進む。また、ステップ37において、最高回転比Rmaxが基準値である85%よりも小さい場合には、ステップS40に進み、走行開始時四駆切替操作のサブルーチンを実行し、その後、ステップS39に進む。
ステップS39では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がON状態であるか否かが確認され、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がON状態(1)の場合には、ステップS41に進む。ステップS39において、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がOFF状態(0)の場合には、その後、リターンする。
ステップS41では、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切替られてからの四輪駆動状態の継続時間T1が所定時間(実施例では5秒)以上か否かが確認され、四輪駆動状態の継続時間T1が5秒以上の場合には、ステップS42に進む。なお、ステップS41において、四輪駆動状態の継続時間T1が5秒以内の場合には、その後、リターンする。
ステップS42では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)をOFF状態(0)にセットし、その後、ステップS43に進み、ステップS43では、四輪駆動状態の終了設定をし、その後、リターンする。具体的に四輪駆動状態の終了設定では、四駆切替後からの継続時間T1と、走行開始からの継続時間T2と、前記規制時間T3と、前記最高回転比Rmaxの値を前記初期値設定と同様にリセットする。
すなわち、走行開始から所定時間(本実施例では2秒)が経過するまでは、オートスリップ制御による二輪駆動状態から四輪駆動状態への切替えをしないことにより、スリップの生じやすい停止状態時から発進する際に、不要に四輪駆動状態への切替えが行われることによる車輪の磨耗を効率的に防止することができる。
また、オートスリップ制御によって四輪駆動状態に切替えられた場合、所定時間(本実施例では5秒)は四輪駆動状態が維持され、所定時間経過後、二輪駆動状態に切替られる。
さらに、切れ角センサ41によってステアリング操作が検出された場合には、オートスリップ制御が実行されないように構成されるとともに、ステアリング操作の終了後、所定時間内はオートスリップ制御による四輪駆動状態への切替が実行されないように構成されている。これにより、旋回操作時は、前記旋回時切替制御によって切替えられた、ステアリング操作時の二輪駆動状態や、四輪駆動状態が維持されるため、安全に旋回できる。
図10は、オートスリップ制御作動確認のサブルーチンの処理フロー図である。オートスリップ制御作動確認のサブルーチンが実行されると、ステップS51に進む。ステップS51では、前後輪の回転センサ48,49や駆動状態切替スイッチ15により、二輪駆動状態であるか否かが確認され、二輪駆動状態であった場合には、ステップS52に進む。
ステップS52では、前記ブレーキ連結板スイッチ24により、左右のブレーキペダル18A,18Bが連結状態であるか否かが確認され、ブレーキペダル18が連結状態である場合には、ステップS53に進み、ステップS53では、前記後輪回転センサ49により、駆動輪である後輪2が回転しているか否かが確認され、後輪2が回転駆動している場合には、ステップS54に進む。
ステップS54では、前記前後進スイッチ47により、前後進切替レバー12が前進又は後進に操作されているか・否かが検出され、前後進切替レバー12が前進又は後進方向に操作されている場合には、ステップS55に進む。
ステップS55では、前記ブレーキスイッチ22により、ブレーキペダル18の踏込み操作がされているか否かが確認され、ブレーキペダル18の踏込み操作がされていない場合には、ステップS56に進み、オートスリップ制御のフラグを1にセット(オートスリップ制御可)して、その後、リターンする。
また、ステップS51において、二輪駆動状態でなかった(四輪駆動状態の)場合と、ステップS52において、ブレーキペダル18が連結状態でない場合と、ステップS53において、後輪2が回転駆動していない場合と、ステップS54において、前後進切替レバー12が中立位置に操作されている場合と、ステップS55において、ブレーキペダル18の踏込み操作が行われている場合には、ステップS57に進み、オートスリップ制御のフラグを0にセット(オートスリップ制御不可)して、その後、リターンする。
すなわち、二輪駆動状態であって、後輪がブレーキ操作されていない状態で前進又は後進駆動されている場合に、オートスリップ制御が実行可能な状態となるように構成されている。
図11は、走行時四駆切替操作のサブルーチンの処理フロー図である。走行時四駆切替操作のサブルーチンが実行されると、ステップS61に進む。ステップS61では、四輪駆動切替成立フラグ(CF)のON(1)・OFF(0)が確認され、四輪駆動切替成立フラグ(CF)がON状態(1)の場合には、ステップ62に進む。
ステップS62では、前記回転センサ48,49により前記回転比Rが前記第1回転比R1である80%未満となっているか否かが確認され、検出された回転比Rが80%未満の場合には、ステップS63に進む。また、ステップS62において、検出された回転比Rが80%以上の場合には、その後、リターンする。
ステップS63では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)のOFF状態であるか否かが確認され、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がOFF状態(0)の場合には、ステップS64に進む。ステップS64では、四輪駆動状態に切替られた後からの四輪駆動状態の継続時間の計測を開始し、ステップS65に進む。なお、ステップS63において、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がON状態(1)であった場合には、そのままステップS65に進む。
ステップS65では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)をON状態(1)にセットし、ステップS66に進む。ステップS66では、四輪駆動切替成立フラグ(CF)をON状態(1)にセットして、その後、リターンする。
また、ステップS61において、四輪駆動切替成立フラグ(CF)がOFF状態の場合には、ステップS67に進む。ステップS67では、二輪駆動状態に復帰された時からカウントされた二輪駆動状態の継続時間T3が、所定時間(本実施例では5秒)以上経過しているか否かが確認され、二輪状態の継続時間T3が5秒以上経過している場合には、ステップ68に進み、四輪駆動切替成立フラグ(CF)をON状態(1)にセットして、その後、前記ステップS62に進む。
また、ステップS67において、二輪駆動状態の継続時間T3が5秒未満だった場合には、その後、リターンする。
すなわち、一度四輪駆動状態に切替えられた後に二輪駆動状態に戻った場合には、予め設定した所定時間内は二輪駆動状態から四輪駆動状態への切替えを規制し、二輪駆動状態が維持されるように構成されている。そのため、二輪駆動状態から四輪駆動状態への切替えが必要以上に実行されることを防止できる。
図12は、走行開始時四駆切替操作のサブルーチンの処理フロー図である。走行開始時四駆切替操作のサブルーチンが実行されると、ステップS71に進む。ステップS71では、四輪駆動切替成立フラグ(CF)のON(1)・OFF(0)が確認され、四輪駆動切替成立フラグ(CF)がON状態(1)の場合には、ステップ72に進む。
ステップS72では、前記回転センサにより前記回転比Rが前記第2回転比R2である50%未満となっているか否かが確認され、検出された回転比Rが50%未満の場合には、ステップS73に進む。また、ステップS72において、検出された回転比Rが50%以上の場合には、その後、リターンする。
ステップS73では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)のOFF状態であるか否かが確認され、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がOFF状態(0)の場合には、ステップS74に進む。ステップS74では、四輪駆動状態に切替られた後からの四輪駆動状態の継続時間の計測を開始し、ステップS75に進む。なお、ステップS73において、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)がON状態(1)であった場合には、そのままステップS75に進む。
ステップS75では、オートスリップ制御による四駆出力フラグ(C)をON状態(1)にセットし、ステップS76に進む。ステップS76では、四輪駆動切替成立フラグ(CF)をON状態(1)にセットして、その後、リターンする。
また、ステップS71において、四輪駆動切替成立フラグ(CF)がOFF状態の場合には、ステップS77に進む。ステップS77では、二輪駆動状態に復帰された時からカウントされた二輪駆動状態の継続時間T3が、所定時間(本実施例では5秒)以上経過しているか否かが確認され、二輪状態の継続時間T3が5秒以上経過している場合には、ステップ78に進み、四輪駆動切替成立フラグ(CF)をON状態(1)にセットして、その後、前記ステップS72に進む。
また、ステップS77において、二輪駆動状態の継続時間T3が5秒未満だった場合には、その後、リターンする。
以上より、前記オートスリップ制御において、検出された最高回転比Rmaxが所定の基準値(85%)以下の場合は、走行機体が停止状態から発進する特にスリップし易い場合を想定しており、四輪駆動状態へと切替える回転比の条件を、走行時の第1回転比R1(80%)と比較して第2回転比R2(50%)を低速側に設定することにより、走行開始時四駆切替操作時では、検出されたスリップ量がより大きくないと、四輪駆動状態に切替えられないように構成されている。そのため、駆動輪である後輪2と従動輪である前輪との回転差が生じ易い停止状態からの発進時に、不必要に四輪駆動状態に切替えられることを防止できる。なお、上述の回転比による制御は、前後輪1,2の周速比によって行っても良い。