JP6403325B2 - 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 - Google Patents
脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6403325B2 JP6403325B2 JP2014266637A JP2014266637A JP6403325B2 JP 6403325 B2 JP6403325 B2 JP 6403325B2 JP 2014266637 A JP2014266637 A JP 2014266637A JP 2014266637 A JP2014266637 A JP 2014266637A JP 6403325 B2 JP6403325 B2 JP 6403325B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fatty acid
- alkyl ester
- acid alkyl
- component
- alkoxylate
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
- Polyethers (AREA)
Description
この脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法としては、アルコキシル化触媒の存在下で、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加する方法が挙げられる。
しかしながら、不均一触媒を用いて脂肪酸アルキルエステルのアルコキシル化反応を行うと、高分子(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が10000以上の分子)ポリエチレングリコール等の副生成物を生じる。かかる副生成物が含まれた脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを液体洗浄剤に用いると、液体洗浄剤が濁りやすいという問題があった。
これに対し、かかる副生成物の生成量を低減する触媒として、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、硫酸とが、液体分散媒中で反応してなるアルコキシル化触媒が提案されている。また、該アルコキシル化触媒の存在下で、脂肪酸アルキルエステルとアルキレンオキシドとを付加反応させて、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の方法によれば、副生成物の生成量の低減化が図れる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、不純物(副生成物、触媒など)のさらなる低減化が図れる、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法を課題とする。
本発明者らは検討した結果、前記の反応液に凝集剤を添加すると凝集物が生成すること、加えて、濾過によって容易に不純物を除去できることを見出し、本発明を完成するに至った。
R11COOR12 ・・・(I)
[式(I)中、R11は、炭素数1〜40の炭化水素基であり、R12は、炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。]
前記凝集工程で凝集物を生成させた後に中和剤を添加することが好ましい。
前記アルコキシル化触媒は、カルシウムを含む触媒であることが好ましい。
前記アルコキシル化触媒における、前記(C)成分/前記(B)成分で表されるモル比は、0.5〜1であることが好ましい。
前記(A)成分は、下記一般式(1)で表されるアルコール、下記一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステル、及び下記一般式(3)で表される脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ROH ・・・(1)
[式(1)中、Rは、炭素数2〜18の炭化水素基である。]
R1COOR2 ・・・(2)
[式(2)中、R1は、炭素数3〜17の炭化水素基であり、R2は、炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。]
R3COOH ・・・(3)
[式(3)中、R3は、炭素数1〜17の炭化水素基である。]
尚、本発明において、「アルカリ土類金属」は、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムに加えて、ベリリウムとマグネシウムとを包含するもの(即ち、第2族元素)とする。
付加反応工程では、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種(B)と、硫酸(C)とが、液体分散媒(A)中で反応してなるアルコキシル化触媒の存在下で、一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加して、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを含む粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを得る。
本発明におけるアルコキシル化触媒は、脂肪酸アルキルエステルのアルコキシル化反応に用いられる触媒であり、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種(B)(以下「(B)成分」ということがある)と、硫酸(C)(以下「(C)成分」ということがある)とが、液体分散媒(A)(以下「(A)成分」ということがある)中で反応したものである。即ち、かかるアルコキシル化触媒は、(B)成分と(C)成分との反応物(主たる触媒活性成分であるアルカリ土類金属の硫酸塩)を含有するものである。
アルコキシル化触媒が分散液である場合、分散液中のアルカリ土類金属の硫酸塩の含有量は、特に限定されず、例えば10〜50質量%とされる。
かかるアルコキシル化触媒は、触媒活性及び反応時の着色抑制の観点から、カルシウムを含む触媒が好ましい。
(A)成分は、液体分散媒である。(A)成分は、アルコキシル化触媒を製造する際に、ゲル化することなく流動性を維持でき、(B)成分と(C)成分とが反応できるものであれば特に限定されない。(A)成分における「液体」とは、後述する分散操作及び混合操作において、液体であることを意味する。
(A)成分としては、後述するアルコキシル化触媒の製造方法における生産性を高める観点から、20℃で液体のものが好ましい。
ROH ・・・(1)
[式(1)中、Rは、炭素数2〜18の炭化水素基である。]
R1COOR2 ・・・(2)
[式(2)中、R1は、炭素数3〜17の炭化水素基であり、R2は、炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。]
R3COOH ・・・(3)
[式(3)中、R3は、炭素数1〜17の炭化水素基である。]
Rは、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。
Rは、飽和炭化水素基(アルキル基)であってもよいし、アルケニル基等の不飽和炭化水素基であってもよい。
式(1)で表されるアルコールとしては、エタノール、1−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、オレイルアルコール、ノナノール、ウンデカノール、トリデカノール等の第一級アルコール;2−エチルヘキサノール、2−プロパノール、2−オクタノール、2−デカノール、2−ドデカノール等の第二級アルコール等が挙げられる。
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、例えば、1〜7が好ましい。
R1は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。
R1は、飽和炭化水素基(アルキル基)であってもよいし、アルケニル基等の不飽和炭化水素基であってもよい。
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、例えば、1〜7が好ましい。
R3は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。
R3は、飽和炭化水素基(アルキル基)であってもよいし、アルケニル基等の不飽和炭化水素基であってもよい。
式(3)で表される脂肪酸としては、酢酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられ、中でも、オレイン酸が好ましい。
アルキレンオキシドの平均付加モル数は、例えば、1〜7が好ましい。
かかる(A)成分は、上記の中でも、生成物の安定性、副生成物の生成抑制の観点から、一般式(1)で表されるアルコール、一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステル、及び一般式(3)で表される脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、これらの中でも、一般式(1)で表されるアルコール、及び一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
(B)成分は、カルボン酸のアルカリ土類金属塩(以下「(b1)成分」ということがある)、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩(以下「(b2)成分」ということがある)、アルカリ土類金属の酸化物(以下「(b3)成分」ということがある)及びアルカリ土類金属の水酸化物(以下「(b4)成分」ということがある)からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
かかる(B)成分としては、カルシウムを含む化合物(塩、酸化物、水酸化物)が好ましい。その中でも、触媒活性を高め、かつ、副生成物の生成量をより低減する観点から、(b1)成分が好ましく、カルボン酸のカルシウム塩がより好ましく、酢酸カルシウムがさらに好ましい。
(C)成分は、硫酸である。(C)成分としては、濃硫酸でも希硫酸でもよい。触媒活性を安定して発現させる観点から、(C)成分としては、濃硫酸(96質量%以上)が好ましい。
アルコキシル化触媒の製造方法としては、例えば、(A)成分中に(B)成分を分散して分散物を得る分散操作と、分散物に(C)成分を添加して(B)成分と混合する混合操作と、を有するものが挙げられる。
分散操作では、例えば、ジャケットを備えた混合槽と、混合槽内に設けられたパドル撹拌翼とを備えた反応器を用い、混合槽内に(A)成分と(B)成分とを投入し、これらを撹拌する。
本工程における温度条件は、特に限定されないが、例えば、常温(5〜35℃)とされる。混合槽内の温度調整は、例えば、ジャケット内に任意の温度の熱媒体(例えば、水)を通流させて行われる。
本工程における撹拌時間は、特に限定されず、(A)成分中に(B)成分が略均一に分散される時間とされる。略均一とは、目視において(B)成分の塊等がなく、均一に分散していると判断できる状態である。
混合操作では、分散操作で得られた分散物に(C)成分を添加し、(B)成分と(C)成分とを混合して、(B)成分と(C)成分との反応物(即ち、主たる触媒活性成分であるアルカリ土類金属の硫酸塩)を生成させ、(A)成分中に触媒活性成分が分散したアルコキシル化触媒を得る。
本工程における混合方法は、特に限定されないが、例えば、混合槽内の分散物を撹拌しながら、分散物中に(C)成分を滴下する方法が好ましい。
C/B比が上記下限値以上であれば、得られるアルコキシル化触媒は、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造工程において副生成物の生成量を良好に低減できる。C/B比が0.9以上であれば、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法において、得られる脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートのアルキレンオキシドの付加モル数の分布を広くしやすい。アルキレンオキシドの付加モル数分布を広くするには、C/B比を0.93以上とすることがより好ましい。
C/B比が上記上限値以下であれば、得られるアルコキシル化触媒の触媒活性が高まり、効率的に脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを製造できる。C/B比が1未満であれば、得られるアルコキシル化触媒の触媒活性を顕著に高められる。
反応温度の調整は、例えば、ジャケット内に任意の温度の熱媒体(例えば、水)を通流させて行われる。
本工程の撹拌時間は、例えば、0.5〜3時間とされる。
本発明では、下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステル(以下「(α)成分」ということがある)が用いられる。
[式(I)中、R11は、炭素数1〜40の炭化水素基であり、R12は、炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。]
R11は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。
R11は、飽和炭化水素基(アルキル基)であってもよいし、アルケニル基等の不飽和炭化水素基であってもよい。
(α)成分としては、デカン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル等の脂肪酸メチルエステル又はこれらの混合物等が挙げられる。
(α)成分は、上述の(A)成分として用いられる脂肪酸アルキルエステルと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
アルキレンオキシドは、目的とする製造物に応じて決定され、例えば、非イオン界面活性剤を得るためには、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドがより好ましい。
アルキレンオキシドは、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
本実施形態の付加反応工程は、上述のアルコキシル化触媒の存在下で、(α)成分にアルキレンオキシドを付加して、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを含む粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを得るものであり、触媒分散操作と、付加反応操作と、熟成操作と、を備える。
触媒分散操作は、出発原料である(α)成分にアルコキシル化触媒を分散する操作である。本操作は、例えば、ジャケットを備えた混合槽と、混合槽内に設けられたパドル撹拌翼とを備えた反応器を用い、混合槽で(α)成分とアルコキシル化触媒とを撹拌するものが挙げられる。
(α)成分/アルコキシル化触媒で表される質量比(以下「原料/触媒比」ということがある)は、例えば、20〜1000が好ましく、30〜200がより好ましい。原料/触媒比は、目的とする反応時間に応じて任意に設定できるが、原料/触媒比が小さいと、反応後に触媒を分離するのが煩雑になる。
本操作における撹拌時間は、特に限定されず、(α)成分とアルコキシル化触媒とが略均一になる時間とされる。
付加反応操作は、(α)成分にアルキレンオキシドを付加させて、粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを得る操作である。
かかる付加反応操作で得られる粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートには、粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの総量(100質量%)に対して、好ましくは90質量%以上の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートが含まれる。
粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートには、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート以外に、アルコキシル化触媒、高分子ポリエチレングリコール(高分子PEG)、未反応分の(α)成分又はアルキレンオキシド等の不純物が含まれる。
本操作において、(α)成分に対するアルキレンオキシドの導入量は、目的物におけるアルキレンオキシドの付加モル数を勘案して適宜決定され、例えば、1〜100倍モルが好ましく、5〜80倍モルがより好ましく、5〜50倍モルがさらに好ましい。付加モル数が多いほど、即ち、アルキレンオキシドの導入量を多くするほど、高分子PEGの生成量が多くなる。このため、本発明は、付加モル数が多い脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを製造する際に、顕著な効果を発揮する。
本操作の圧力条件は、付加反応温度を勘案して適宜決定され、例えば、0.1〜1MPaが好ましく、0.1〜0.6MPaがより好ましい。
熟成操作は、付加反応操作の後、反応槽内を任意の温度で撹拌する工程である。本操作を設けることで、未反応の(α)成分の量を低減できる。
本操作の温度条件は、例えば、前記の付加反応温度と同様である。
上記付加反応工程後の反応液(粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート)は白濁している。
凝集工程では、該反応液に水と凝集剤とを加え、粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートと、水と、凝集剤とを混合して、凝集物を生成させる。
凝集工程で用いられる凝集剤は、前記反応液中に分散している不純物の粒子を凝集させるために用いられる。
凝集剤は、粉末をそのまま用いてもよいし、水溶液として用いてもよい。
この凝集剤としては、例えば、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属塩化物などが挙げられる。
金属硫酸塩としては、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム等が挙げられ、これらの中でも、不純物の低減効果が特に優れることから、硫酸アルミニウムが好ましい。
金属硝酸塩としては、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム等が挙げられ、不純物の低減効果が特に優れることから、硝酸アルミニウムが好ましい。
金属塩化物としては、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等が挙げられる。これらの中でも、不純物の低減効果が特に優れることから、塩化カリウムが好ましい。
凝集剤は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
凝集剤としては、凝集効果が高いことから、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム及び塩化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、これらの中でも、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウムがより好ましい。
本実施形態の凝集工程は、反応液(粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート)に、水と、凝集剤とを加えて混合し、凝集物を生成する。かかる混合の操作は、上記付加反応工程における反応後の反応槽内で行ってもよいし、反応液を抜き出して別の撹拌槽で行ってもよい。
粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートと水と凝集剤とを混合する時間は、10分間程度から1時間程度の範囲とすることが好ましい。
分離工程では、前記凝集工程で生成した凝集物と脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートとを分離し、凝集物を除去する。
前記凝集物は、公知の簡易な固液分離方法で除去可能である。凝集物を除去する方法としては、例えば濾過又は遠心分離などが挙げられる。
分離工程の温度条件は、例えば、液温を30〜80℃とすることが好ましく、50〜80℃とすることがより好ましい。
凝集物が除去された後の濾液又は残液には、目的物の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート、水が含まれる。
本発明の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法によれば、不純物の少ない高純度の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを製造できる。
上述した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法においては、前記凝集工程で凝集物を生成させた後に中和剤を添加することが好ましい。
凝集工程で粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートと水と凝集剤とを混合して得られる混合液は、凝集剤の添加によってそのpHは低くなり(例えばpH4.5程度)、酸性を示している。このため、次の分離工程で分離された脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートのpHを7程度に調整することが行われる。しかしながら、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートのpHを7程度に調整した際、白濁する場合があった。これに対し、凝集工程で凝集物を生成させた後、混合液から分離する前に、例えば60〜80℃の温度条件で、該混合液に中和剤を添加して、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートのpHを7程度(加水分解を防止する観点から好ましくはpH6〜8)に調整しておくことが好ましい。
中和剤としては、金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、有機アルカリ等が挙げられ、金属水酸化物、有機アルカリが好ましい。中和剤には、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミンが好適に使用できる。中和剤は、水溶液として添加されてもよい。
手順1)脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートをイオン交換水で希釈し、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの濃度5質量%水溶液を調製する。
手順2)pHメーター(例えば、横河電機株式会社製のPH82)を用い、25℃に調整した濃度5質量%水溶液のpHを測定する。
本実施例において使用した原料又は試薬は下記の通りである。
IPA:2−プロパノール、特級試薬、関東化学株式会社製。
酢酸Ca・1水和物:特級試薬、関東化学株式会社製。
硫酸:特級試薬、関東化学株式会社製。
ラウリン酸メチル:商品名「パステルM12」、ライオンケミカル株式会社製。
ミリスチン酸メチル:商品名「パステルM14」、ライオンケミカル株式会社製。
エチレンオキシド:エア・ウォーター株式会社製。
硫酸Al:硫酸アルミニウム14〜18水和物、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
硝酸Al:硝酸アルミニウム9水和物、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
硫酸Mg:硫酸マグネシウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
硫酸K:硫酸カリウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
硝酸Na:硝酸ナトリウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
硝酸Mg:硝酸マグネシウム6水和物、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
硝酸K:硝酸カリウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
塩化Na:塩化ナトリウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
塩化Mg:塩化マグネシウム6水和物、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
塩化Al:塩化アルミニウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
塩化K:塩化カリウム、一級試薬、和光純薬工業株式会社製。
分散操作:
容量1Lセパラブルフラスコに、酢酸Ca・1水和物150gとIPA(2−プロパノール)525gとを入れ、パドル撹拌翼により室温(25℃)で混合して分散物を得た。
混合操作:
次いで、前記分散物を撹拌しながら、滴下ロートによって、硫酸78gを10分間かけて添加し、1時間撹拌して、分散物と硫酸とを混合した。混合操作では、硫酸の添加で発熱するため、該セパラブルフラスコを水浴して冷却し、反応温度を30〜50℃に制御した。該セパラブルフラスコ中、硫酸/酢酸Caで表されるモル比(C/B比)は0.94であった。
触媒熟成工程:
次いで、硫酸を添加した後、30℃に保ちながら、さらに2時間撹拌してアルコキシル化触媒を得た。
(実施例1)
付加反応工程:
容量4Lオートクレーブに、上記アルコキシル化触媒12.5gと、ラウリン酸メチル462gと、ミリスチン酸メチル166gとを入れ、撹拌した(触媒分散操作)。
次いで、付加反応温度160℃まで昇温し、0.1〜0.5MPaの条件で、エチレンオキシド(EO)1876g(ラウリン酸メチルとミリスチン酸メチルとの合計の15倍モル)を導入し、7時間撹拌した(以上、付加反応操作)。
この後、80℃に冷却し、脂肪酸メチルエステルエトキシレート(MEE、エチレンオキシドの平均付加モル数15)を含む粗脂肪酸メチルエステルエトキシレート(MEE粗製物)2516gを得た。
容量1Lセパラブルフラスコに、MEE粗製物550gを入れ、ここに、凝集剤として硫酸Alを0.01質量部(対MEE粗製物100質量部)と、水10質量部(対MEE粗製物100質量部)とを添加し、温度80℃で1時間、パドル撹拌翼を用いて420rpmで混合することにより凝集物を生成させ、該凝集物を含む混合液を得た。
次いで、前記混合液に、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液を添加して中和した。この際、混合液のpHを7.0に調整した。
次いで、pH7.0に調整された混合液を、50℃に冷却した。この後、該混合液200gを、フィルター123B(スリーエムジャパン株式会社製、濾過精度1μm)を装着した加圧濾過器に入れ、0.1MPaに窒素加圧して濾過した。これにより、MEEと凝集物とを分離し、凝集物を除去してMEE精製物を得た。
凝集工程において、表1に示すように、硫酸Alの添加量、水の添加量、撹拌の温度をそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にしてMEE精製物を得た。
凝集工程において、表1に示すように、凝集剤の種類を硝酸Alに変更し、硝酸Alの添加量、水の添加量、撹拌の温度をそれぞれ設定した以外は、実施例1と同様にしてMEE精製物を得た。
実施例1の凝集工程において、凝集剤及び水を添加せず、撹拌の温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にしてMEE精製物を得た。
凝集工程において、表2に示すように、凝集剤の種類を変更し、凝集剤の添加量、水の添加量、撹拌の温度をそれぞれ設定した以外は、実施例1と同様にしてMEE精製物を得た。
各例で得られたMEE精製物について、Ca量、高分子PEG量をそれぞれ測定した。
表中、ppmは質量基準である。
表中、「trace」は、検出下限値を下回っていたことを意味する。
MEE精製物中のCaの含有量を、下記の装置を用いて誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP分光分析)により測定し、その結果を表中に示す。
誘導結合プラズマ発光分光分析装置:Optima 5300DV、Perkin Elmer製。
MEE精製物中の高分子PEGの含有量を、下記のカラム及び検出器を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、その結果を表中に示す。
カラム:Shodex Asahipak GF−310HQ、昭和電工株式会社製。
検出器:示差屈折率検出器RID−10A、株式会社島津製作所製。
Claims (7)
- カルボン酸のアルカリ土類金属塩、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種(B)と、硫酸(C)とが、液体分散媒(A)中で反応してなるアルコキシル化触媒の存在下で、下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加して、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを含む粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートを得る付加反応工程と、
前記付加反応工程で得られた粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートと、水と、金属硫酸塩、金属硝酸塩及び金属塩化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の凝集剤とを混合して、凝集物を生成させる凝集工程と、
次いで、前記脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートと前記凝集物とを分離し、前記凝集物を除去する分離工程と、
を有する、脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
R11COOR12 ・・・(I)
[式(I)中、R11は、炭素数1〜40の炭化水素基であり、R12は、炭素数1〜3の直鎖アルキル基である。] - 前記凝集工程における水の添加量が、前記粗脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート100質量部に対して、2〜20質量部である、請求項1に記載の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
- 前記凝集剤は、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カリウム、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム及び塩化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
- 前記凝集工程で凝集物を生成させた後に中和剤を添加する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
- 前記アルコキシル化触媒は、カルシウムを含む触媒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
- 前記アルコキシル化触媒における、前記(C)成分/前記(B)成分で表されるモル比は、0.5〜1である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
- 前記(A)成分は、下記一般式(1)で表されるアルコール、下記一般式(2)で表される脂肪酸アルキルエステル、及び下記一般式(3)で表される脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法。
ROH ・・・(1)
[式(1)中、Rは、炭素数2〜18の炭化水素基である。]
R1COOR2 ・・・(2)
[式(2)中、R1は、炭素数3〜17の炭化水素基であり、R2は、炭素数1〜3の
直鎖アルキル基である。]
R3COOH ・・・(3)
[式(3)中、R3は、炭素数1〜17の炭化水素基である。]
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014266637A JP6403325B2 (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014266637A JP6403325B2 (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016124972A JP2016124972A (ja) | 2016-07-11 |
JP6403325B2 true JP6403325B2 (ja) | 2018-10-10 |
Family
ID=56357605
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014266637A Active JP6403325B2 (ja) | 2014-12-26 | 2014-12-26 | 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6403325B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112206831B (zh) * | 2019-07-12 | 2023-01-20 | 中国石油化工股份有限公司 | 一种用于脂肪酸甲酯乙氧基化的催化剂、制备方法和应用 |
Family Cites Families (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5478365A (en) * | 1977-12-06 | 1979-06-22 | Toyota Motor Corp | Regenerating method for waste water-soluble quenching liquid |
JPS5924649B2 (ja) * | 1979-07-28 | 1984-06-11 | 第一工業製薬株式会社 | 新規な凝集剤組成物 |
JPS60241987A (ja) * | 1984-05-15 | 1985-11-30 | Kurita Water Ind Ltd | ポリエチレングリコ−ル含有水の処理方法 |
JPS61197631A (ja) * | 1985-02-28 | 1986-09-01 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 分子量分布の狭いポリアルキレンオキシドの製造方法 |
DE19546946A1 (de) * | 1995-12-15 | 1997-06-19 | Hoechst Ag | Precursor für Alkoxylierungskatalysatoren |
CN101374599B (zh) * | 2004-08-26 | 2013-01-09 | 亨斯迈石油化学有限责任公司 | 碱土基烷氧基化催化剂 |
WO2008078768A1 (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-03 | Lion Corporation | アルキレンオキシド付加物の製造方法 |
JP2010006964A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Lion Corp | アルキレンオキシド付加物の製造方法 |
JP2012001522A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-01-05 | Lion Corp | アルキレンオキシド付加物の製造方法 |
JP5711648B2 (ja) * | 2011-11-16 | 2015-05-07 | ライオン株式会社 | アルキレンオキシド付加物の製造方法 |
SG11201406438WA (en) * | 2012-04-13 | 2014-12-30 | Lion Corp | Alkoxylation catalyst, method for producing catalyst, and method for producing fatty acid alkyl ester alkoxylate using catalyst |
-
2014
- 2014-12-26 JP JP2014266637A patent/JP6403325B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016124972A (ja) | 2016-07-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6028017B2 (ja) | アルコキシル化触媒、前記触媒の製造方法、及び前記触媒を用いた脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 | |
JP5806314B2 (ja) | 脂肪酸アルキルエステルのアルコキシ化法 | |
JP5531328B2 (ja) | アルキレンオキシド付加物の製造方法 | |
JP6403325B2 (ja) | 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 | |
JP6912655B2 (ja) | グリコリドの製造方法 | |
JP5834794B2 (ja) | ハイドロタルサイトとその製造方法 | |
KR101982367B1 (ko) | 알킬렌옥시드 부가물의 제조 방법 | |
JP4780835B2 (ja) | アルコキシル化非イオン界面活性剤の製造方法 | |
JP6469091B2 (ja) | 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 | |
JP6701209B2 (ja) | エトキシル化触媒及びその製造方法 | |
KR101794370B1 (ko) | 에테르 카르복실레이트의 제조 방법 | |
JP2012001522A (ja) | アルキレンオキシド付加物の製造方法 | |
JP2017521253A (ja) | 触媒組成物、それの製造方法およびそのような触媒を用いてアルコールをアルコキシル化する方法 | |
JP2022101758A (ja) | 脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートの製造方法 | |
JP4602042B2 (ja) | 非イオン界面活性剤組成物の製造方法 | |
KR101802915B1 (ko) | 에테르 카르복실레이트의 제조 방법 | |
JP4607704B2 (ja) | アルコキシル化用触媒及びアルコキシレートの製造方法 | |
KR20200047714A (ko) | 지방산 폴리옥시에틸렌메틸에테르의 제조 방법 | |
JP2007021435A (ja) | アルコキシル化用触媒及びアルコキシレートの製造方法 | |
JP2020143230A (ja) | 界面活性剤組成物及びその製造方法 | |
JPH1171328A (ja) | 脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの製造方法、及び該製造方法に用いる複合金属酸化物触媒 | |
CN117177801A (zh) | 提取方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170616 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180216 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180227 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180427 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180814 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180910 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6403325 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |