JP6402433B2 - 船舶 - Google Patents
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Description
このような船舶においては、損傷浸水後に最寄港まで安定的に自力航行可能にするという要望がある。
特許文献2には、船幅方向に離間した一対のバラストタンクと、これら一対のバラストタンクを連通させる連通管と、連通管を開閉する弁と、を備えた船舶が記載されている。この特許文献2に記載の船舶は、船体の傾きが閾値を超えた場合に弁を開けてバラスト水をその位置エネルギーによって移水させて、船体の傾きが閾値を下回れば弁を閉じるようになっている。
この発明は、舷側が損傷して船体内に浸水した場合に、船体の傾きおよび揺れを抑えて高い復原性を得て、安定した自力航行が可能な船舶を提供することを目的とする。
このような構成によれば、舷側の損傷発生時に、開閉バルブを開状態にすることができる。これにより、損傷した第一水密区画から損傷していない第二水密区画に水を導くことができる。これによって船体の傾きを緩和することができる。
さらに、第一水密区画から第二水密区画に水を導いた後、予め定めた条件を満たした時点で、自動的に開閉バルブを閉状態にすることができる。そのため、第一水密区画と第二水密区画との間に生じる水の行き来を止めて自由水影響を低減できる。したがって、船体に船幅方向の揺れが発生することを抑制でき、安定した自力航行が可能になる。
これにより、例えば、経過時間が予め定めた設定時間に達する前に、船体が予め定めた振れ幅になった場合に、開閉バルブを閉状態にすることができる。これにより、より早期に自力航行が可能となる。
このように構成することで、船体の揺れ幅が小さくなったときに開閉バルブを閉状態にすることができる。その結果、船体が平衡状態に近い状態で、安定した自力航行が可能となる。
水密区画が、バラストタンク等、内部に液体を収容するものの場合、平常時に開閉バルブが閉状態となっている。この場合、舷側に損傷が発生した旨の信号を受信したときに開閉バルブを開状態にして、予め定めた条件を満たした際に、開状態の開閉バルブを閉状態とすることができる。その結果、平常時に開閉バルブが閉状態となっている場合であっても、船体の傾きを緩和するとともに、自由水影響を低減できる。その結果、安定した自力航行が可能になる。
図1は、この発明の第一実施形態における船舶の船体内に設けられた水密区画、連通部、開閉バルブを示す平面図である。図2は、船舶の船体内に設けられた水密区画、連通部、開閉バルブを示す断面図であり、図1のII−II線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、この実施形態の船舶1は、船体2と、水密区画6と、連通管(連通部)7と、開閉バルブ8と、制御装置9と、を備えている。
開閉バルブ8は、連通管7を開閉可能となっている。この開閉バルブ8を開くと、第一水密区画6Aの内部空間Siと第二水密区画6Bの内部空間Siとが連通された状態となる。この実施形態における開閉バルブ8は、舷側3A,3Bに損傷が生じていない平常時に開状態とされている。
図3に示すように、制御装置9は、損傷信号検知部91と、経過時間計測部92と、船体状態検知部93と、判定部94と、を機能的に備えている。
図4は、制御装置で実行される、船舶の復原処理の流れを示す図である。
図4に示すように、制御装置9の損傷信号検知部91は、損傷発生信号が入力されたか否かを判定する。具体的には、船体2の舷側3Aまたは舷側3B(この実施形態では、舷側3Aとする)に損傷が生じると、舷側3Aから第一水密区画6A内に水が浸入する。すると、船体2が損傷して船体2内への浸水を感知した乗組員による所定のボタン操作により発せられる信号、水密区画6に設けられた浸水検知センサで浸水を検知したときに発せられる信号等により、損傷信号検知部91に損傷発生信号が入力される(ステップS1で「Yes」)。
損傷信号検知部91は、損傷発生信号の入力の有無を一定時間ごとに行う。
つまり、図5に示すように、水が連通管7を通して第一水密区画6Aと第二水密区画6Bとの間を行き来することで、船体2は、その幅方向に繰り返し揺動する。
具体的には、判定部94は、経過時間が、予め定めた設定時間値Tに到達したか否かを一定時間ごとに判定する(ステップS4)。ここで、設定時間値Tは、例えば5〜15分の間に設定することができる。さらに、設定時間値Tは、10分程度に設定してもよい。
ここで、上述した船体2の揺れは、船体2の正常位置(傾斜角度が「0」になる位置)を基準にして繰り返し左右に揺れる場合のみではない。例えば、上述した傾斜角度θ1(例えば、2°等)を基準にして船体2が繰り返し左右に揺れる場合もある。
制御装置9は、判定部94における判定結果で、予め定めた条件を満たしていれば、開閉バルブ8を閉状態に切り換える信号を出力する(ステップS7)。
さらに、第一水密区画6Aから第二水密区画6Bに水を導いた後、予め定めた条件を満たした時点で、開閉バルブ8を閉状態とすることで、第一水密区画6Aと第二水密区画6Bとの間で水が行き来しなくなる。そのため、自由水影響を低減できる。その結果、船体2の船幅方向への揺れが発生することを抑制できる。
つまり、舷側3A,3Bが損傷して船体2内に浸水した場合に、船体2の傾きが緩和された状態、すなわち復原された状態で、船体2の船幅方向への揺れが抑えられるので、安定した自力航行が可能となる。
次に、この発明にかかる船舶の第二実施形態について説明する。第一実施形態では、水密区画6が、倉庫、空所、貨物室、スタビライザー室、機器等を収める機器室、パイプを配置するパイプスペース等であったのに対して、第二実施形態では、水密区画6が、液体を収容している点でのみ異なる。そのため、第二実施形態の説明においては、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、第一実施形態で説明した構成と共通する船舶1の全体構成等については、その説明を省略する。
この実施形態において、開閉バルブ8は、平常時、閉状態とされている。
次に、この第二実施形態の制御装置9の制御によって実現される、船舶1の具体的な復原方法について説明する。
図6は、第二実施形態における船舶の制御装置で実行される、船舶の復原処理の流れを示す図である。
図6に示すように、制御装置9の損傷信号検知部91は、損傷発生信号が入力されたか否かを判定する。具体的には、第一実施形態と同様に、船体2の舷側3Aまたは舷側3B(この実施形態では、舷側3Aとする)に損傷が生じると、舷側3Aから第一水密区画6A内に水が浸入する。すると、船体2が損傷して船体2内への浸水を感知した乗組員による所定のボタン操作により発せられる信号、水密区画6に設けられた浸水検知センサで浸水を検知したときに発せられる信号等により、損傷信号検知部91に損傷発生信号が入力される。
このようにして、図5に示したように、水が連通管7を通して第一水密区画6Aと第二水密区画6Bとの間を行き来する自由水影響により、船体2は、その幅方向に繰り返し揺動しつつ、その振れ幅が徐々に減衰していく。
船体状態検知部93は、船体2の傾斜角度、船体2の振れ幅等を、微少一定時間ごとに傾斜センサ等で検出し、検出した信号を出力する(ステップS14)。
この発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、各実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
さらに、船舶1自体の構成は、いかなるものとしてもよい。
Claims (4)
- 船幅方向の両側に舷側を有した船体と、
前記船体内で船幅方向の第一側に設けられて一部が第一側の舷側によって区画形成された第一水密区画と、
前記船体内で船幅方向の第二側に設けられて一部が第二側の舷側によって区画形成された第二水密区画と、
前記第一水密区画と、前記第二水密区画との内部同士を連通させる連通部と、
前記連通部を開閉する開閉バルブと、
前記開閉バルブを開閉制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記舷側に損傷が発生した旨の信号を受信した場合、予め定めた条件を満たすと、開状態の前記開閉バルブを閉状態とし、
前記予め定めた条件として、前記舷側に損傷が発生した旨の信号を受信してからの経過時間が予め定めた設定時間に到達するという条件を満たしたときに、前記開閉バルブを閉状態とする船舶。 - 前記制御装置は、
前記予め定めた条件として、前記経過時間が前記予め定めた設定時間に達するという条件と、前記船体が予め定めた振れ幅になるという条件とのうち何れか早い方の条件を満たしたときに、前記開閉バルブを閉状態とする請求項1に記載の船舶。 - 船幅方向の両側に舷側を有した船体と、
前記船体内で船幅方向の第一側に設けられて一部が第一側の舷側によって区画形成された第一水密区画と、
前記船体内で船幅方向の第二側に設けられて一部が第二側の舷側によって区画形成された第二水密区画と、
前記第一水密区画と、前記第二水密区画との内部同士を連通させる連通部と、
前記連通部を開閉する開閉バルブと、
前記開閉バルブを開閉制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記舷側に損傷が発生した旨の信号を受信した場合、予め定めた条件を満たすと、開状態の前記開閉バルブを閉状態とし、
前記予め定めた条件として、前記船体が予め定めた振れ幅になるという条件を満たしたときに、前記開閉バルブを閉状態とする船舶。 - 前記制御装置は、
前記開閉バルブが平常時に閉状態である場合、前記舷側に損傷が発生した旨の信号を受信したときに前記開閉バルブを開状態とし、前記予め定めた条件を満たした際に、前記開状態の前記開閉バルブを閉状態とする請求項1から3の何れか一項に記載の船舶。
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