JP6401981B2 - 建物の設計システムおよび設計方法 - Google Patents
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このような問題を解決するべく、近年では、特許文献1に記載のように、コンピューターの表示画面上にて、建物各階の外周を表示した外周線上に沿って外装部材の配置を行うとともに、各外装部材の属性を選定することにより、自動的に割付図およびオーダーの作成を行う技術が開発されている。
このように凹凸のある建物の設計に、例えば特許文献1に記載の技術を採用した場合には、開口部に配される外装部材の割付作業を、凹凸のある外周線に沿って行い、その後、開口部に配される外装部材に応じて、外壁パネルである外装部材の配置が自動的に行われる。
ところが、開口部に配される外装部材と外壁パネルである外装部材とのバランスが良くないと、その都度調整が必要となるため、建物の設計時におけるより一層の手間の軽減が望まれていた。
前記凹部を含んだ場合の前記建物の仮想的な外周の範囲を表す建物領域21と、前記建物領域21と重なり合うように配置される前記凹部の範囲を表す凹部領域(玄関領域22、インナー領域23)に基づいて、前記建物の外周領域24を形成して線で表す外周領域形成手段(例えば、制御部2、入力部3、表示部4、記憶部5)と、
前記外周領域形成手段によって形成された前記外周領域24を表す線に沿って、前記外壁10を表す線の自動生成を行う外壁自動生成手段(例えば、制御部2、入力部3、表示部4、記憶部5)と、を備え、
前記外壁10は、前記建物の外側に配置される外壁材11と、前記建物の室内側に配置される外周間仕切材12と、を含んで構成されており、
前記外壁自動生成手段によって、少なくとも前記外壁材11と前記外周間仕切材12を表す線を自動生成することを特徴とする。
前記凹部は、前記建物の最も外側に位置する外壁面よりも室内側に後退した位置に外壁面が形成される箇所であり、
当該箇所は、玄関または/および当該玄関以外の凹部であるインナー部とされていることを特徴とする。
前記凹部領域22,23は複数の辺22a,23aを備え、
当該複数の辺22a,23aのうち少なくとも一辺22a,23aは、前記建物領域21に対して重なり合っており、
前記建物領域21に対して重なり合う前記凹部領域22,23の前記少なくとも一辺22a,23aは、屋外に向かって開口する開口部22b,23bが位置する辺22a,23aであることを特徴とする。
前記外壁10は、前記建物の外側に配置される外壁材11と、前記建物の室内側に配置される外周間仕切材12と、を含んで構成されたものであり、
前記設計システム1に対して、前記外壁10の自動生成を行うためのプログラム(例えば、外周間仕切材自動生成プログラムP3、外壁材自動生成プログラムP4等)を予め記憶させておき、
前記設計システム1によって、前記凹部を含んだ場合の前記建物の仮想的な外周の範囲を表す建物領域21と、前記建物領域21と重なり合うように配置される前記凹部の範囲を表す凹部領域22,23とを作成することによって前記建物の外周領域24を形成して線で表し、
その後、前記設計システム1によって、前記プログラムに基づいて前記外周領域24を表す線に沿って前記外壁10を表す線の自動生成を行う際に、少なくとも前記外壁材11と前記外周間仕切材12を表す線を自動生成することを特徴とする。
また、外壁自動生成手段によって、少なくとも外壁材11と外周間仕切材12を表す線を自動生成するので、外壁10の設計を、外壁材11と外周間仕切材12を含むようにして詳細に行うことができる。
本実施の形態における建物の設計システム1は、外周に沿って凹部が形成された凹凸のある建物における外壁の割付図の作成作業を支援するものであり、特に、建物各階の外壁10の割付(割付図)と、外壁10の割付に係る各種部材(外壁材11等)の必要な量を明記したオーダー(明細書)の作成に係るシステムである。
なお、外周に沿って形成される凹部(凹凸)とは、建物の各階を平面視した場合に、最も外側に位置する外壁面よりも室内側に後退した位置に外壁面が形成される箇所を指している。より具体的には、当該箇所は、玄関または/およびインナー部とされている。インナー部とは玄関以外の凹部であり、建物外壁のうち室内側に凹むように後退した箇所を指している(例えば建物における入隅コーナー部やインナーバルコニーのある箇所等を指す)。
そして、当該設計システム1における各種手段は、図1に示すように、制御部2と、入力部3と、表示部4と、記憶部5および当該記憶部5に記憶される各種データ、各種プログラムと、によって構成されている。
なお、本実施の形態における建物は、鉄骨軸組構造を採用した躯体を備えるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、直方体フレーム状に形成された建物ユニットを組み合わせてなるユニット式建物であってもよい。
また、外壁材11と共に外壁10を構成するものとして外周間仕切材12がある。当該外周間仕切材12は、建物の室内空間において最も外壁10側に位置する面、すなわち内壁面であり、具体的には石膏ボード等の内壁材が用いられる。
すなわち、外壁10は、建物の外側に配置される外壁材11と、建物の室内側に配置される外周間仕切材12と、を含んで構成されている。
図2に示すように、建物が、例えば集合住宅である場合には、外廊下13や外階段14等の付属構造物が設けられる。その他にも、例えばキャンチ式のバルコニーや庇、パーゴラ、サンルーム等のように外壁10に対して付属する形態で、屋外に設置されるものが付属構造物として挙げられる。
パラペットの外側面は、屋根よりも下方の建物本体に用いられる外壁材11と同様の外壁材11によって構成されており、互いに連続して設けられる。したがって、設計システム1によって外壁10の割付図を作成する際には、屋根のパラペットにおける外壁材11の割付も行われる。
図2に示す販売データは、具体的には、集合住宅である建物に係るものであり、建物領域21は、当該販売データに基づいて形成される。
なお、本実施の形態における建物の設計システム1は、このように集合住宅の設計に採用されるが、集合住宅に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
図1に示すように、割付図の作成に必要な各種データとしては、建物領域データD1、玄関領域データD2、インナー領域データD3、外周領域データD4、屋根領域データD5が挙げられる。
また、各種プログラムとしては、両袖外壁自動生成プログラムP1、モジュール自動生成プログラムP2、外周間仕切材自動生成プログラムP3、外壁材自動生成プログラムP4、パラペット自動生成プログラムP5が挙げられる。
各種データD1〜D5は、入力部3による入力中に表示部4に表示されるとともに、入力後(または入力中)に記憶部5に記憶される。
各種プログラムP1〜P5によって自動生成された両袖外壁15、モジュール線16、外周間仕切材12、外壁材11、パラペットは、外壁10の割付図として表示部4に表示される。
例えば図3(a)に示すように、平面視矩形状の閉じられた領域21として表示部4に表示される。なお、本実施の形態において建物領域21は、平面視矩形状とするが、これに限られるものではなく、他の多角形状の領域としてもよい。
なお、外廊下13や外階段14等の付属構造物は建物領域21には含まれないものとなっている。
図6,図7に示すように、建物領域21に対して重なり合う凹部領域22,23の少なくとも一辺22a,23aは、屋外に向かって開口する開口部22b,23bが位置する辺である。建物領域21のうち、開口部22b,23bが位置する辺22a,23aが重なり合う位置は、図3(d)に示すように屋外に向かって開口した状態となる。
このような凹部領域22,23としては、凹部である玄関の領域(位置・範囲)を表す玄関領域22と、凹部であるインナー部の領域(位置・範囲)を表すインナー領域23とが挙げられる。
図4(a)において玄関領域22およびインナー領域23は平面視矩形状に形成され、一辺だけが建物領域21と重なり合っている。すなわち、図4(a)における玄関領域22およびインナー領域23は「凹納まり」となっている。また、このような凹納まりの玄関領域22およびインナー領域23は、建物領域21の内側に配置される。
図4(b)において玄関領域22およびインナー領域23は平面視矩形状に形成され、二辺が建物領域21と重なり合っている。すなわち、図4(b)における玄関領域22およびインナー領域23は「L納まり」となっている。また、このようなL納まりの玄関領域22およびインナー領域23は、建物領域21の内側に配置される。
図5に示す玄関領域22は直線状に形成されて建物領域21と重なり合っている。すなわち、図5における玄関領域22は「面納まり」となっている。面納まり玄関の場合は、インナー領域23と組み合わせてもよい。すなわち、インナー部を構成する外壁10に対して面納まり玄関を設けることができる。
なお、玄関領域22およびインナー領域23は、設計作業時に、床がある場合と床がない場合とを選択することができる。
そして、このように形成される外周領域24を表す線に沿って、外壁材11と外周間仕切材12を表す線を自動生成することができる。
そして、このように形成される屋根領域を表す線に沿って、パラペットを表す線の自動生成を行うことができる。
なお、当該両袖外壁自動生成プログラムP1によれば、オペレーターが指示した位置に両袖外壁15を表す線を形成することができる。
なお、図10において一点鎖線で表されたモジュール線16は、表示部4上で縦横にマス目状に配置される。
また、当該モジュール線16は、表示部4の作成画面に表示されるグリッド線を利用して自動生成してもよい。
外周間仕切材12を表す線は、図10に示すように、外周領域24を表す線が芯となるように、当該外周領域24を表す線を挟むようにして二本生成される。二本の線のうち室内側に位置するものが上述した内壁材の線であり、屋外側に位置する線は、柱や梁等の構造材の厚みを考慮した線となっている。
外壁材11を表す線は、図10に示すように、モジュール線16が芯となるように、当該モジュール線16を挟むようにして二本生成される。当該二本の線は、外壁材11の厚みを考慮した線となっている。
パラペットにおける外壁材11を表す線は、基本的に屋根領域の外周縁に沿って配置される。また、パラペットにおける外壁材11と建物本体側の外壁材11とが上下方向に連続する場合は、パラペットにおける外壁材11を表す線と、建物本体側の外壁材11を表す線とが重なり合う位置に配置される。
なお、図2に示す建物と図3〜図10に示す建物は、そのディテールが異なるものとなっているが、図3〜図10の各図は、説明の便宜上、概略化・簡略化したものであり、発明を解釈する上での齟齬は生じないものとする。
オペレーターは、まず、入力部3を操作し、取得した販売データに基づいて建物領域21の作成を表示部4上で行う。すなわち、図2に示す例では、外廊下13および外階段14を除き、かつ凹部領域22,23を含んだ状態で建物の仮想的な外周の範囲を表す建物領域21の線を作成する。図2に例示する建物の場合は、平面視矩形状の建物領域21が作成される。そして、作成された建物領域21に係るデータは、建物領域データD1として記憶部5に記憶される。
凹部領域22,23の入力についてより詳細に説明すると、図4に示すように、まずは凹部領域22,23の位置に対応して始点であるP点を入力し、予定する凹部領域22,23の範囲に対して終点であるQ点を入力する。Q点は、P点に対して凹部領域22,23の対角に位置する。また、P点は、建物領域21の線上に配置され、Q点は、建物領域21内に配置される。
凹部領域22,23を凹納まりとする場合は、図4(a)に示すように、凹部領域22,23を構成する一辺22a,23aを、建物領域21を表す線に重ね合わせる。
凹部領域22,23をL納まりとする場合は、図4(b)に示すように、凹部領域22,23を構成する直交する二辺22a,23aを、建物領域21を表す直交する線に重ね合わせる。なお、L納まりの場合のP点は、建物領域21の線上であって、かつ二つの線が交差する角部に配置される。
凹納まりの場合は、建物領域21を表す線と重なり合う辺22a,23aは一つであるため、当該辺22a,23aが開口部22b,23bが位置する辺となる。
L納まりの場合は、建物領域21を表す線と重なり合う辺22a,23aは二つである。そのため、開口部22b,23bが位置する辺は、図6に示すように、二つの辺22a,23aの双方が開口部22b,23bが位置する辺とされる場合と、図7(a),(b)に示すように、いずれか一方の辺22a,23aが開口部22b,23bが位置する辺とされる場合とがある。
二つの辺22a,23aのうち、いずれか一方の辺22a,23aが開口部22b,23bが位置する辺とされる場合には、開口部22b,23bが位置しない方の辺は袖壁22c,23cとなり、外壁10が設けられる対象となる。
より具体的には、凹部領域22,23がL納まりであって、かつ二方向が開口部22b,23bとされ、さらに凹部領域22,23の上方に上部構造が設けられる場合には、図8に示すように、支持柱17が自動生成される。
なお、支持柱17を自動生成するために、図示はしないが、記憶部5には支持柱17用の自動生成プログラムが記憶されているものとする。凹部領域22,23がL納まりではない場合や、L納まりであっても、二方向が開口部22b,23bとされない場合、上部構造が設けられない場合には、当該自動生成プログラムは開始されないものとする。
サッシ枠を設ける位置を入力部3による入力で指定できるようにするために、凹部領域22,23を構成する辺22a,23aに対し、サッシグリッド25を自動生成することができる。当該サッシグリッド25は、図9に示すように、凹部領域22,23を構成する辺22a,23aの長さ方向に等間隔に複数形成される。
また、複数のサッシグリッド25の間隔は、規格化されたサッシ枠のサイズに対応しており、サッシ枠のサイズは任意に選択できる。
さらに、選択されるサッシ枠の種類に応じて、サッシ枠の上下に配置される外壁材11および外周間仕切材12のサイズも適宜選択される。
なお、サッシグリッド25を自動生成するために、図示はしないが、記憶部5にはサッシグリッド25用の自動生成プログラムが記憶されているものとする。凹部に開口部が設けられない場合には、当該自動生成プログラムは開始されないものとする。
より詳細に説明すると、オペレーターは、建物領域データD1に対して、玄関領域データD2およびインナー領域データD3を付加することによって外周領域データD4を作成することができる。このように作成された外周領域データD4は記憶部5に記憶される。
なお、屋根領域の作成は、屋根よりも下方の建物本体の外壁10の割付が完了した後に行ってもよいものとする。
なお、図2に例示されるように、付属構造物に対して両袖外壁15が設けられる場合には、両袖外壁自動生成プログラムP1を開始する。当該プログラムP1を開始すると、周囲が外壁材11によって被覆された状態の両袖外壁15を自動生成することができる。
また、図2に例示される支持柱18も、両袖外壁自動生成プログラムP1によって自動生成される。すなわち、両袖外壁15の場合は、両袖外壁自動生成プログラムP1によって「線」として認識され、支持柱18の場合は、両袖外壁15の一種として「点」として認識されることにより自動生成することができる。
付属構造物として外廊下13や外階段14以外のものが採用され、両袖外壁15を自動生成する必要がある場合には、両袖外壁自動生成プログラムP1によって両袖外壁15または支持柱18が適宜自動生成される。
外周間仕切材12を表す線は、外周領域24を表す線が芯となるように、当該外周領域24を表す線を挟むようにして二本生成される(図10参照)。
外壁材11を表す線は、モジュール線16が芯となるように、当該モジュール線16を挟むようにして二本生成される(図10参照)。
なお、外周間仕切材12を表す線のうち室内側に位置する線と、外壁材11を表す線のうち屋外側に位置する線との間隔が外壁10の厚み(壁厚)として認識される。
パラペットにおける外壁材11を表す線は、基本的に屋根領域の外周縁に沿って配置される。
また、設計された割付図の面積を算定するために必要な基準線となるモジュール線16が、割付図に対して付加された状態となっているので、工場発注用データファイル、積算データファイル等、外壁10の割付に係る各種部材(外壁材11等)の必要な量を明記したオーダーを簡易に作成することができる。
なお、本実施の形態の設計システム1によれば、凹凸のある建物だけでなく、凹凸のない建物における外壁10の割付も行うことができる。
2 制御部
3 入力部
4 表示部
5 記憶部
10 外壁
11 外壁材
12 外周間仕切材
21 建物領域
22 玄関領域
22a 辺
22b 開口部
23 インナー領域
23a 辺
23b 開口部
24 外周領域
D1 建物領域データ
D2 玄関領域データ
D3 インナー領域データ
D4 外周領域データ
P3 外周間仕切材自動生成プログラム
P4 外壁材自動生成プログラム
Claims (4)
- 外周に沿って凹部が形成された凹凸のある建物における外壁の割付図の作成作業を支援する設計システムにおいて、
前記凹部を含んだ場合の前記建物の仮想的な外周の範囲を表す建物領域と、前記建物領域と重なり合うように配置される前記凹部の範囲を表す凹部領域に基づいて、前記建物の外周領域を形成して線で表す外周領域形成手段と、
前記外周領域形成手段によって形成された前記外周領域を表す線に沿って、前記外壁を表す線の自動生成を行う外壁自動生成手段と、を備え、
前記外壁は、前記建物の外側に配置される外壁材と、前記建物の室内側に配置される外周間仕切材と、を含んで構成されており、
前記外壁自動生成手段によって、少なくとも前記外壁材と前記外周間仕切材を表す線を自動生成することを特徴とする建物の設計システム。 - 請求項1に記載の建物の設計システムにおいて、
前記凹部は、前記建物の最も外側に位置する外壁面よりも室内側に後退した位置に外壁面が形成される箇所であり、
当該箇所は、玄関または/および当該玄関以外の凹部であるインナー部とされていることを特徴とする建物の設計システム。 - 請求項1または2に記載の建物の設計システムにおいて、
前記凹部領域は複数の辺を備え、
当該複数の辺のうち少なくとも一辺は、前記建物領域に対して重なり合っており、
前記建物領域に対して重なり合う前記凹部領域の前記少なくとも一辺は、屋外に向かって開口する開口部が位置する辺であることを特徴とする建物の設計システム。 - 外周に沿って凹部が形成された凹凸のある建物における外壁の割付を、当該外壁の割付図の作成作業を支援する設計システムによって行う建物の設計方法において、
前記外壁は、前記建物の外側に配置される外壁材と、前記建物の室内側に配置される外周間仕切材と、を含んで構成されるものであり、
前記設計システムに対して、前記外壁の自動生成を行うためのプログラムを予め記憶させておき、
前記設計システムによって、前記凹部を含んだ場合の前記建物の仮想的な外周の範囲を表す建物領域と、前記建物領域と重なり合うように配置される前記凹部の範囲を表す凹部領域とを作成することによって前記建物の外周領域を形成して線で表し、
その後、前記設計システムによって、前記プログラムに基づいて前記外周領域を表す線に沿って前記外壁を表す線の自動生成を行う際に、少なくとも前記外壁材と前記外周間仕切材を表す線を自動生成することを特徴とする建物の設計方法。
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