JP6401482B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
従来、光源から出射された光ビームを回転多面鏡によって偏向するとともに、偏向した光ビームによって感光体を走査することで、感光体上に静電潜像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、回転多面鏡によって偏向された光ビームを検出するための光学センサ(ビーム検出(BD)センサ)を備えており、当該光学センサは、光ビームを検出すると同期信号を生成する。画像形成装置は、光学センサによって生成される同期信号を基準として定めたタイミングに、光源から光ビームを出射させることで、光ビームが感光体上を走査する方向(主走査方向)における静電潜像(画像)の書き出し位置を一定とする。
また、画像形成速度の高速化及び画像の高解像度化を実現するために、感光体上でそれぞれ異なるラインを並列に走査する複数の光ビームを出射する複数の発光点(発光素子)を光源として備える画像形成装置が知られている。このようなマルチビーム方式の画像形成装置では、複数の光ビームで複数のラインを並列に走査することで画像形成速度の高速化を実現するとともに、副走査方向におけるライン間の間隔を調整することによって、画像の高解像度化を実現する。
特許文献1には、複数の発光点(発光素子)を光源として備え、当該複数の発光点が配置された平面内で光源を回転調整することで、副走査方向の解像度を調整可能な画像形成装置が開示されている。このような解像度の調整は、画像形成装置の組立工程において行われる。特許文献1には、組立工程における光源の取り付け誤差によって生じる、主走査方向の静電潜像の書き出し位置のずれを抑えるための技術が開示されている。具体的には、画像形成装置は、第1の発光点及び第2の発光点のそれぞれから出射される光ビームをBDセンサで検出して、複数のBD信号を生成する。更に、画像形成装置は、生成した複数のBD信号の生成タイミング差に基づいて、第1の発光点の光ビームの出射タイミングに対する、第2の発光点の光ビームの相対的な出射タイミングを設定する。これにより、組立工程における光源の取り付け誤差を補償して、発光点間の静電潜像の書き出し位置のずれを抑えている。
また、特許文献2には、複数の光ビームで複数のラインを同時に走査する画像形成装置において、複数の光ビーム間における走査位置のずれ量の補正を検出し、検出されたずれ量に基づいて、複数の光ビームによる画像記録を補正する技術が開示されている。特許文献2では、走査位置のずれ量の補正を、1ラインごとに実行するのではなく、1画像記録ごとに(即ち、紙間に)実行することによって、1ラインごとに異なる条件で画像記録が行われて画質が劣化することを避けている。
特開2008−89695号公報 特許第3468248号公報
マルチビーム方式の画像形成装置で、BDセンサによって生成される、第1及び第2の発光点に対応する2つのBD信号の生成タイミング差(時間間隔)の測定結果に基づいて、各発光点のレーザ出射タイミングを制御する場合、以下のような課題がある。具体的には、2つのBD信号の時間間隔(BD間隔)の測定結果に基づくレーザ出射タイミングが、感光体上の画像領域を光ビームが走査している期間内に設定(更新)されると、形成される画像の品質が1主走査ライン内で変化してしまう。これにより、1主走査ライン内で画像の品質の連続性が失われ、形成される画像に画素の欠落等の画質劣化が生じてしまう。
このような問題に対処するために、特許文献2のように、紙間においてレーザ出射タイミングの設定(更新)を行う場合、ページ単位でそのような更新を実行することになる。しかし、この場合、画像形成装置(光走査装置)内の温度の変化に起因してBD間隔が急激に変化すると、そのような変化に追随してレーザ出射タイミングを更新できなくなる可能性がある。したがって、BD間隔の測定に基づくレーザ出射タイミングの更新を、ページ単位に限定することなく、また、画像領域内で実行することもなく、適切なタイミングに実行する必要がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、複数の発光点を備える画像形成装置で、2つの発光点からそれぞれ出射される光ビームに対応する検出信号(BD信号)の時間間隔に基づくレーザ出射タイミングの設定を、画質劣化を招くことなく適切なタイミングに実行する技術を提供することを目的としている。
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。本発明の一態様の係る画像形成装置は、感光体を露光するための光ビームをそれぞれが出射する複数の発光点を備える光源と、前記複数の発光点から出射された複数の光ビームが前記感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射する位置に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射すると当該光ビームを検出したことを示す検出信号を生成するビーム検出手段と、前記複数の発光点のうちの第1及び第2の発光点が第1及び第2の光ビームを順に出射するよう前記光源を制御し、前記ビーム検出手段によって生成される、前記第1及び第2の光ビームに対応する2つの検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、前記測定手段による測定で得られた測定値に基づいて、前記複数の発光点のそれぞれの、画像データに基づく光ビームの相対的な出射タイミングを設定する設定手段であって、前記時間間隔が前記出射タイミングの前回の設定時における時間間隔から予め定められた量だけ変化すると、前記出射タイミングを新たに設定する、前記設定手段と、前記設定手段によって設定された前記出射タイミングに従って前記複数の発光点のそれぞれが画像データに基づく光ビームを出射するよう、前記光源を制御する制御手段と、前記測定手段による測定が行われると、前記測定で得られた最新の測定値と過去の測定値とに基づいて、前記時間間隔が前記出射タイミングの前回の設定時における時間間隔から予め定められた量だけ変化するタイミングを予測する予測手段と、を備え、前記設定手段は、前記予測手段によって予測されたタイミングになると、前記出射タイミングを新たに設定することを特徴とする。
本発明によれば、複数の発光点を備える画像形成装置で、2つの発光点からそれぞれ出射される光ビームに対応する検出信号(BD信号)の時間間隔に基づくレーザ出射タイミングの設定を、画質劣化を招くことなく適切なタイミングに実行できる。
画像形成装置の概略的な構成例を示す断面図。 光走査装置の概略的な構成例を示す図。 光源及びBDセンサの概略的な構成例と、光源から出射されたレーザ光による感光ドラム及びBDセンサ上の走査位置とを示す図。 画像形成装置の制御構成例を示すブロック図。 光源から出射されたレーザ光による感光ドラム上の走査位置の変化の一例を示す図。 BD間隔測定時及び画像形成時の、レーザ光の1走査周期における各発光素子の動作タイミングとBDセンサによるBD信号の生成タイミングとを示すタイミングチャート。 BD間隔測定とCLK信号との関係の一例を示す図。 第1及び第2の実施形態に係る、BD間隔測定の実行タイミングと各発光素子のレーザ出射タイミングを設定(更新)するタイミングとの関係の一例を示す図。 第1の実施形態に係る画像形成処理の手順を示すフローチャート。 第1の実施形態に係るBD間隔測定の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る画像形成処理の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に係るBD間隔測定の手順を示すフローチャート。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
以下では、本発明の第1及び第2の実施形態として、複数色のトナー(現像剤)を用いてマルチカラー(フルカラー)画像を形成する画像形成装置に本発明を適用した場合を例に説明する。ただし、本発明は、単色(例えばブラック色)のトナーのみを用いてモノカラー画像を形成する画像形成装置に対しても適用可能である。
[第1の実施形態]
<画像形成装置のハードウェア構成>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。画像形成装置100は、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(Bk)色のトナーをそれぞれ用いて画像(トナー像)を形成する4つの画像形成部101Y、101M、101C、101Bkを備えている。
画像形成部101Y、101M、101C、101Bkは、感光ドラム(感光体)102Y、102M、102C、102Bkをそれぞれ備えている。感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkの周りには、帯電部103Y、103M、103C、103Bk、光走査装置104Y、104M、104C、104Bk、及び現像部105Y、105M、105C、105Bkがそれぞれ配置されている。感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkの周りには、更に、ドラムクリーニング部106Y、106M、106C、106Bkがそれぞれ配置されている。
感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkの下方には、無端ベルト状の中間転写ベルト(中間転写体)107が配置されている。中間転写ベルト107は、駆動ローラ108と、従動ローラ109及び110とに掛け渡されている。画像形成中には、図1に示す矢印Aの方向への駆動ローラ108の回転に伴って、中間転写ベルト107の周面は、矢印Bの方向へ移動する。中間転写ベルト107を介して感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkに対向する位置には、一次転写部111Y、111M、111C、111Bkが配置されている。画像形成装置100は、中間転写ベルト107上に形成されたトナー像を記録媒体S上に転写するための二次転写部112と、記録媒体S上に転写されたトナー像を当該記録媒体Sに定着させるための定着部113と更に備えている。
次に、上述の構成を有する画像形成装置100における、帯電プロセスから現像プロセスまでの画像形成プロセスについて説明する。なお、画像形成部101Y、101M、101C、101Bkのそれぞれで実行される画像形成プロセスは同様である。このため、以下では、画像形成部101Yにおける画像形成プロセスを例にして説明し、画像形成部101M、101C、101Bkにおける画像形成プロセスについては説明を省略する。
まず、画像形成部101Yの帯電部103Yが、回転駆動される感光ドラム102Y(の表面)を帯電させる。光走査装置104Yは、複数のレーザ光(光ビーム)を出射して、帯電した感光ドラム102Y(の表面)を当該複数のレーザ光によって走査することで、当該複数のレーザ光によって感光ドラム102Y(の表面)を露光する。これにより、回転する感光ドラム102Y上に静電潜像が形成される。感光ドラム102Y上に形成された静電潜像は、現像部105Yによって、Y色のトナーで現像される。その結果、感光ドラム102Y上にY色のトナー像が形成される。また、画像形成部101M、101C、101Bkでは、画像形成部101Yと同様のプロセスで、感光ドラム102M、102C、102Bk上にM色、C色、Bk色のトナー像がそれぞれ形成される。
以下、転写プロセス以降の画像形成プロセスについて説明する。転写プロセスでは、まず、一次転写部111Y、111M、111C、111Bkが中間転写ベルト107に転写バイアスをそれぞれ印加する。これにより、感光ドラム102Y、102M、102C、102Bk上に形成された4色(Y色、M色、C色、Bk色)のトナー像が、それぞれ中間転写ベルト107に重ね合わせて転写される。
中間転写ベルト107上に重ね合わせて形成された、4色のトナーから成るトナー像は、中間転写ベルト107の周面の移動に伴って、二次転写部112と中間転写ベルト107との間の二次転写ニップ部へ搬送される。中間転写ベルト107上に形成されたトナー像が二次転写ニップ部に搬送されるタイミングに合わせて、手差し給送カセット114または給紙カセット115から記録媒体Sが二次転写ニップ部へ搬送される。二次転写ニップ部では、中間転写ベルト107上に形成されているトナー像が、二次転写部112によって印加される転写バイアスの作用によって、記録媒体S上に転写される(二次転写)。
その後、記録媒体S上に形成されたトナー像は、定着部113で加熱されることで記録媒体Sに定着する。このようにしてマルチカラー(フルカラー)画像が形成された記録媒体Sは、排紙部116へ排紙される。
なお、中間転写ベルト107へのトナー像の転写が終了した後、感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkに残留するトナーが、ドラムクリーニング部106Y、106M、106C、106Bkによってそれぞれ除去される。このようにして一連の画像形成プロセスが終了すると、次の記録媒体Sに対する画像形成プロセスが続けて開始される。
画像形成装置100は、形成する画像の濃度特性を一定に保つために、濃度調整動作を行う。中間転写ベルト107に対向する位置には、中間転写ベルト107に形成されたトナー像の濃度を検出するための濃度検出センサ120が設けられている。画像形成装置100は、濃度検出センサ120を用いた所定の濃度調整動作によって、中間転写ベルト107上に形成された各色のトナー像の濃度を検出する。光走査装置104Y、104M、104C、104Bkは、濃度検出センサ120によって検出される各色のトナー像の濃度が所定値となるように、光源から出射する光ビームの光量を調整することで、形成される画像の濃度特性を調整できる。なお、このような濃度特性の調整のための光ビームの光量の調整は、後述する自動光量制御(APC)で使用する光量目標値(目標光量)を調整することによって実現される。
<光走査装置のハードウェア構成>
次に、図2及び図3を参照して、光走査装置104Y、104M、104C、104Bkの構成を説明する。なお、画像形成部101Y、101M、101C、101Bkの構成は同一であるため、以下では、添え字Y、M、C、Bkを省略した表記を行う場合がある。例えば、感光ドラム102と表記した場合、感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkのそれぞれを表し、光走査装置104と表記した場合、光走査装置104Y、104M、104C、104Bkのそれぞれを表すものとする。
図2は、光走査装置104の構成を示す図である。光走査装置104は、レーザ光源201と、各種の光学部材202〜206(コリメータレンズ202、シリンドリカルレンズ203、ポリゴンミラー(回転多面鏡)204、fθレンズ205及び206)とを備える。レーザ光源(以下、単に「光源」と称する。)201は、駆動電流に応じた光量のレーザ光(光ビーム)を発生させて出力(出射)する。コリメータレンズ202は、光源201から出射されたレーザ光を、平行光に整形する。シリンドリカルレンズ203は、コリメータレンズ202を通過したレーザ光を、副走査方向(感光ドラム102の回転方向に対応する方向)へ集光する。
シリンドリカルレンズ203を通過したレーザ光は、ポリゴンミラー204が備える複数の反射面のうちのいずれかの反射面に入射する。ポリゴンミラー204は、入射したレーザ光が連続的な角度で偏向されるように、回転しながら各反射面でレーザ光を反射させる。ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光は、fθレンズ205、206に順に入射する。fθレンズ(走査レンズ)205、206を通過することで、レーザ光は、感光ドラム102を等速で走査する走査光となる。このように、ポリゴンミラー204は、複数の発光点から出射された複数の光ビーム(レーザ光)が感光体を走査するよう、当該複数の光ビーム(レーザ光)を偏向する偏向手段の一例である。
光走査装置104は、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光の走査路上に、レーザ光を検出するための光学センサとして、ビーム検出(BD)センサ207を更に備える。即ち、BDセンサ207は、複数のレーザ光(光ビーム)が感光ドラム102を走査する際の走査路上の、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光が入射する位置に設けられている。BDセンサ207は、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光が入射することによって、当該レーザ光を検出したことを示す検出信号(BD信号)を、(水平)同期信号として出力する。後述するように、BDセンサ207から出力される同期信号を基準として、画像データに基づく各発光素子(LD1〜LDN)の点灯タイミングが制御される。
次に、図3を参照して、光源201の構成と、光源201から出射されたレーザ光による感光ドラム102及びBDセンサ207上の走査位置とについて説明する。
まず、図3(a)は、光源201の拡大図であり、図3(b)は、光源201から出射されたレーザ光による感光ドラム102上の走査位置を示す図である。光源201は、それぞれがレーザ光を出射(出力)するN個の発光素子(LD1〜LDN)を備える。光源201のn番目(nは1〜Nの整数)の発光素子n(LDn)は、レーザ光Lnを出射する。図3(a)のX軸方向は、ポリゴンミラー204によって偏向された各レーザ光が感光ドラム102上を走査する方向(主走査方向)に対応する方向である。また、Y軸方向は、主走査方向に直交する方向であり、感光ドラム102の回転方向(副走査方向)に対応する方向である。なお、本実施形態で、N個の発光素子(LD1〜LDN)は、感光体を露光するための光ビームをそれぞれが出射する複数の発光点の一例であり、光源201は、複数の発光点を備える光源の一例である。
図3(b)に示すように、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されたレーザ光L1〜LNは、感光ドラム102上で、副走査方向においてそれぞれ異なる位置S1〜SNに、スポット状に結像する。これにより、レーザ光L1〜LNは、感光ドラム102上で、副走査方向において隣接する複数の主走査ラインを並列に走査する。また、発光素子1〜Nが、光源201内で図3(a)に示すようにアレイ状に配置されていることに起因して、レーザ光L1〜LNは、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、主走査方向においてもそれぞれ異なる位置に結像する。なお、図3(a)では、N個の発光素子(LD1〜LDN)は、光源201において直線状に(1次元に)一列に配置されているが、2次元に配置されていてもよい。
図3(a)に示すD1は、X軸方向における、発光素子1(LD1)と発光素子N(LDN)との間隔(距離)を表す。本実施形態では、発光素子1及びNは、光源201において直線状に一列に配置された複数の発光素子のうち、両端に配置された発光素子である。発光素子Nは、X軸方向において発光素子1から最も離れている。このため、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、複数のレーザ光のうち、レーザ光LNの結像位置SNは、レーザ光L1の結像位置S1から、主走査方向において最も離れた位置となる。
図3(a)に示すD2は、Y軸方向における、発光素子1(LD1)と発光素子N(LDN)との間隔(距離)を表す。複数の発光素子のうち、発光素子Nは、Y軸方向において発光素子1から最も離れている。このため、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、複数のレーザ光のうち、レーザ光LNの結像位置SNは、レーザ光L1の結像位置S1から、副走査方向において最も離れた位置となる。
Y軸方向(副走査方向)の発光素子間隔Ps=D2/N−1は、画像形成装置100が形成する画像の解像度に対応する間隔である。Psは、感光ドラム102上で副走査方向に隣接する結像位置Snの間隔が、所定の解像度に対応する間隔となるよう、画像形成装置100の組立工程において光源201を、図3(a)に示すXY平面上で回転調整することで設定される値である。また、X軸方向(主走査方向)の発光素子間隔Pm=D1/N−1は、Y軸方向の発光素子間隔Psに依存して一意に定まる値である。
BDセンサ207によって同期信号(BD信号)が生成及び出力されたタイミングを基準とした、各発光素子(LDn)からレーザ光を出射させるタイミングは、発光素子ごとに、組立工程において所定の治具を用いて設定される。設定された発光素子ごとのタイミングは、画像形成装置100の工場出荷時に、初期値としてメモリ406(図4)に格納される。このようにして設定される、各発光素子(LDn)からレーザ光を出射させるタイミングの初期値には、Pmに対応した値が設定される。
次に、図3(c)は、BDセンサ207の概略的な構成と、光源201から出射されたレーザ光によるBDセンサ207上の走査位置とを示す図である。BDセンサ207は、光電変換素子が平面状に配置された受光面207aを備える。受光面207aにレーザ光が入射することによって、BDセンサ207は、レーザ光を検出したことを示すBD信号(同期信号)を生成して出力する。本実施形態の光走査装置104は、発光素子1及びN(LD1及びLDN)から出射されたレーザ光L1及びLNをBDセンサ207に順に入射させることによって、それぞれのレーザ光に対応する(2つの)BD信号を、BDセンサ207から順に出力させる。
図3(c)では、受光面207aの主走査方向の幅、及び副走査方向に対応する方向の幅を、それぞれD3及びD4として表している。本実施形態では、発光素子1及びN(LD1及びLDN)からそれぞれ出射されたレーザ光L1及びLNは、図3(c)に示すようにBDセンサ207の受光面207aを走査する。このため、レーザ光L1及びLNがいずれも受光面207aに入射可能となるよう、幅D4は、D4>D2×αを満たす値に定められている。ただし、αは、各種レンズを通過したレーザ光L1及びLNの間隔についての副走査方向の変動率である。また、発光素子1及びN(LD1及びLDN)を同時に点灯させた場合であっても、レーザ光L1及びLNが同時に受光面207aに入射しないよう、幅D3は、D3<D1×βを満たす値に定められている。ただし、βは、各種レンズを通過したレーザ光L1及びLNの間隔についての主走査方向の変動率である。
<画像形成装置の制御構成>
図4は、本実施形態に係る画像形成装置100の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、制御構成として、CPU401、レーザドライバ403、クロック(CLK)信号生成部404、画像処理部405、メモリ406、及びモータ407を備える。なお、本実施形態では、図4に示すレーザドライバ403、光源201及びBDセンサ207は、光走査装置104に備わっているものとする。
CPU401は、内部にカウンタ402を備え、メモリ406に格納された制御プログラムを実行することで、画像形成装置100全体を制御する。CLK信号生成部404は、所定周波数のクロック信号(CLK信号)を生成し、生成したCLK信号をCPU401及びレーザドライバ403に出力する。CPU401は、カウンタ402によって、CLK信号生成部404から入力されるCLK信号をカウントするとともに、当該CLK信号に同期して、レーザドライバ403及びモータ407に制御信号を送信する。
モータ407は、ポリゴンミラー204を回転駆動させるポリゴンモータである。モータ407は、回転速度に比例した周波数信号を発生させる周波数発電機(FG:Frequency Generator)方式を採用した速度センサ(図示せず)を備える。モータ407は、ポリゴンミラー204の回転速度に応じた周波数のFG信号を速度センサによって発生させ、CPU401に出力する。CPU401は、モータ407から入力されるFG信号の発生周期を、カウンタ402のカウント値に基づいて測定する。測定したFG信号の発生周期が所定の周期に達すると、CPU401は、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の速度に達したと判定する。
BDセンサ207は、レーザ光の検出に応じてBD信号を生成し、生成したBD信号をCPU401及びレーザドライバ403に出力する。CPU401は、BDセンサ207から入力されるBD信号に基づいて、発光素子1〜N(LD1〜LDN)からのレーザ光の出射タイミングを制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号をレーザドライバ403に送信する。レーザドライバ403は、画像処理部405から入力される画像形成用の画像データに基づく(即ち、画像データに応じて変調した)駆動電流を、CPU401から送信される制御信号に基づくタイミングに、各発光素子に供給する。これにより、レーザドライバ403は、駆動電流に応じた光量のレーザ光を各発光素子から出射させる。
また、CPU401は、レーザドライバ403に対して、発光素子1〜N(LD1〜LDN)の光量目標値を指定するとともに、入力されるBD信号に基づくタイミングに、各発光素子についてのAPCの実行を指示する。ここでAPCとは、レーザドライバ403が、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されるレーザ光の光量を光量目標値に等しい光量に制御する動作である。レーザドライバ403は、発光素子1〜Nと同一のパッケージに内蔵されたPD(フォトダイオード)によって検出される各発光素子の光量が光量目標値と一致するように、各発光素子に供給する駆動電流の大きさを調整することで、APCを実行する。
なお、画像形成装置100は、タッチパネル機能を有する液晶表示部、キーボード等が設けられた操作部(図示せず)を備える。当該操作部は、CPU401による制御下で、画像形成装置100に対する指示をユーザが入力し、または、画像形成装置100に関する各種の情報を表示(ユーザに通知)するためのユーザインタフェース(UI)として機能する。
<光走査装置の温度変化の影響>
画像形成装置100では、図3(a)に示すような光源201の構成に起因して、図5(a)に示すように、各発光素子から出射されたレーザ光が、感光ドラム102上で、主走査方向において異なる位置S1〜SNに結像する。このような画像形成装置では、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像(画像)の主走査方向の書き出し位置を一定とするために、レーザ光を出射するタイミングを発光素子ごとに適切に制御する必要がある。
例えば、特定の発光素子から出射されたレーザ光に基づいて単一のBD信号を生成し、当該BD信号を基準として、発光素子ごとに予め設定された固定のタイミングにレーザ光を出射するよう、各発光素子を制御する。この制御によれば、画像形成中に、結像位置S1〜SNの相対的な位置関係が常に一定である限り、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像(画像)の主走査方向の書き出し位置を一致させることが可能である。
しかし、画像形成中には、各発光素子がレーザ光を出射すると、発光素子自体の温度の上昇に伴って、各発光素子から出射されるレーザ光の波長が変化する。また、ポリゴンミラー204を回転させる際にモータ407から発生する熱によって、光走査装置104全体の温度が上昇し、走査レンズ205、206等の光学特性(屈折率等)が変化する。これにより、各発光素子から出射されたレーザ光の光路が変化する。このようなレーザ光の波長または光路の変化が生じると、各レーザ光の結像位置S1〜SNが、図5(a)に示す位置から例えば図5(b)に示す位置に変化する。このように、結像位置S1〜SNの相対的な位置関係が変化した場合、上述の単一のBD信号に基づくレーザ出射タイミング制御では、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像の主走査方向の書き出し位置が一致させることができない。
このような問題に対処するために、本実施形態では、CPU401は、発光素子1〜Nのうちの2つの発光素子(第1及び第2の発光点に相当する第1及び第2の発光素子)が2つのレーザ光(第1及び第2の光ビーム)を順に出射するよう、レーザドライバ403を制御する。更に、CPU401は、2つのレーザ光がBDセンサ207に順に入射することによってBDセンサ207によって順に生成される、2つのレーザ光に対応する2つのBD信号(第1及び第2の検出信号)の時間間隔(BD間隔)を測定する(BD間隔測定)。CPU401は、このBD間隔測定を、記録媒体への画像形成を行わない非画像形成期間に行う。更に、CPU401は、画像形成を行う画像形成期間には、レーザ光の1走査周期ごとに生成される単一のBD信号を基準として、各発光素子の、画像データに基づくレーザ光の出射タイミングを、BD間隔測定によって得られた測定値に応じて制御する。これにより、画像形成の実行中に発光素子等の温度変化が発生したとしても、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像の主走査方向の書き出し位置が一致するよう、レーザ出射タイミングを制御できる。
<BD間隔測定とレーザ出射タイミング制御>
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る光走査装置104の、BD間隔測定時及び画像形成時の動作について説明する。
CPU401は、BD間隔測定時には、2つの発光素子のそれぞれが順にレーザ光を出射し、各レーザ光が順にBDセンサ207に入射するよう、レーザドライバ403を介して光源201を制御する。即ち、BD間隔測定は、BDセンサ207から順に出力される2つのBD信号に基づいて行われる(ダブルBDモード)。一方、CPU401は、画像形成時には、特定の発光素子が出射したレーザ光がBDセンサ207に入射するよう、レーザドライバ403を介して光源201を制御する。更に、CPU401は、レーザ光が入射することによってBDセンサ207から出力される単一のBD信号を基準として、画像データに基づくレーザ光の出射タイミングを発光素子ごとに制御する(シングルBDモード)。
図6(a)及び図6(b)はそれぞれ、BD間隔測定時及び画像形成時の、レーザ光の1走査周期における各発光素子の動作タイミングとBDセンサによるBD信号の生成タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、以下では、BD間隔測定における2つのBD信号の生成には発光素子1及びNを用いるものとし、画像形成時の単一のBD信号の生成には発光素子1を用いるものとする。なお、これらの発光素子1及びN(LD1及びLDN)は、図3(a)に示すように、光源201内で直線状に一列に配置された発光素子1〜N(LD1〜LDN)のうち、一端及び他端に配置されている発光素子(発光点)である。
図6(a)に示すように、非画像形成期間に実行されるBD間隔測定時には、発光素子1及びN(LD1及びLDN)から出射されたレーザ光が順にBDセンサ207に入射するように、レーザドライバ403から発光素子1及びNにそれぞれ駆動信号が供給される。その結果、発光素子1からのレーザ光を受光することによってBDセンサ207が生成するBD信号と、発光素子Nからのレーザ光を受光することによってBDセンサ207が生成するBD信号とが、BDセンサ207から出力される(ダブルBDモード)。CPU401は、BDセンサ207から順に出力されるこれら2つのBD信号の生成タイミングの時間間隔の測定(BD間隔測定)を行う。
一方、図6(b)に示すように、画像形成時には、まず、発光素子1(LD1)から出射されたレーザ光がBDセンサ207に入射するように、レーザドライバ403から発光素子1に駆動信号が供給される。その結果、発光素子1からのレーザ光を受光することによってBDセンサ207が生成する単一のBD信号が、BDセンサ207から出力される(シングルBDモード)。その後、記録紙に画像を形成する際には、CPU401は、BDセンサ207から出力される当該単一のBD信号と、各発光素子に対して設定される発光開始タイミング値A1〜ANとに基づいて、発光素子1〜Nのレーザ出射タイミングを制御する。
図6(b)に示す発光開始タイミング値A1〜ANは、BDセンサ207による単一のBD信号の生成タイミングを基準とした、発光素子1〜Nのそれぞれの発光開始タイミングに相当する。即ち、A1〜ANは、BDセンサ207から出力される単一のBD信号に対する、発光素子1〜Nのそれぞれの、画像データに基づくレーザ光の出射タイミングの相対遅延時間に相当する。A1〜ANは、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されるレーザ光によって形成される静電潜像(画像)の主走査方向の書き出し位置が一致するように設定される。
1〜ANは、各発光素子について、補正値Asnを用いて、基準タイミング値Adnを次式に示すように補正することによって得られる。
n=Adn+Asn (n=1, 2,..., N) (1)
CPU401は、A1〜ANをレーザドライバ403に設定することで、発光素子1〜Nのレーザ出射タイミングを制御する。図6(b)に示すように、レーザドライバ403は、単一のBD信号の生成タイミングを基準として、A1〜ANに従ったタイミングに、各発光素子に、画像処理部405から入力される画像形成用の画像データに基づく駆動電流を供給する。これにより、A1〜ANに従ったタイミングに、レーザドライバ403によって各発光素子が駆動され、感光ドラム102上で所望の主走査位置に、各ラインの静電潜像(画像)が形成される。
基準タイミング値Ad1〜AdNは、工場調整時に、特定の温度条件下で、発光素子1〜Nについて、所望の主走査位置に静電潜像が形成され、かつ、主走査方向の静電潜像の書き出し位置が複数のライン間で一致するように定められる値である。Ad1〜AdNは、メモリ406に予め格納されている。なお、工場調整時には、同じ温度条件下でBD間隔測定が行われ、その測定結果であるカウント値が基準カウント値Crとしてメモリ406に予め格納される。このように、基準タイミング値Ad1〜AdNは、基準カウント値Crに対応して予め定められている。
ここで、カウント値とは、CLK信号生成部404によって生成されるCLK信号のパルスをCPU401がカウントして得られる値に相当する。CPU401は、BD間隔測定を行う際、図7に示すように、発光素子1に対応するBD信号1が生成されたタイミングから、発光素子Nに対応するBD信号2が生成されたタイミングまでの間、CLK信号のパルスをカウントすることで、カウント値を生成する。このカウント値は、BD信号の時間間隔ΔTに対応し、BD間隔測定の測定結果として生成される。
一方、発光素子等の温度変化による結像位置S1〜SNのずれが発生すると、上述のように、主走査方向の静電潜像の書き出し位置を複数のライン間で一致させることができなくなる。このため、補正値As1〜AsNは、このような結像位置S1〜SNのずれを補償するために、次式を用いてCPU401によって生成される。
Asn=(Cs−Cr)/(N−1)×k×(n−1) (n=1, 2,..., N) (2)
ここで、nは、発光素子の番号を表す。Csは、後述するBD間隔測定における測定結果に相当する、(図10のS120または図12のS220で)メモリ406に保存されるカウント値である。Crは、工場調整時の測定によって得られる、BD間隔測定の基準値である。kは、2つのBD信号の時間間隔を示すカウント値を、感光ドラム102上の結像位置における走査時間間隔に変換するための変換係数である。
式(2)から明らかなように、発光素子1に対応する補正値As1は、常に0となる。このため、式(2)は、発光素子等の温度変化による結像位置S1〜SNのずれを、発光素子1に対応する結像位置S1を基準として補正するための補正値を生成する。式(1)及び図6(b)に示すように、CPU401は、算出したAs1〜AsNを、メモリ406に格納されているAd1〜AdNに加算することで、発光素子1〜Nのそれぞれに対して設定すべき発光開始タイミング値A1〜ANを算出できる。
<A1〜ANの設定タイミング>
本実施形態の画像形成装置100は、発光素子1〜Nの画像データに基づくレーザ光の出射タイミングの設定を、画像形成の実行中の発光素子等の温度変化に起因したBD間隔の変化に追随しつつ、画質劣化を招くことなく実行する。
具体的には、CPU401は、発光素子1及びN(LD1及びLDN)を用いるBD間隔測定を所定の間隔で実行する。更に、CPU401は、発光素子1〜N(LD1〜LDN)の、画像データに基づくレーザ光の出射タイミングを、BD間隔測定の測定値が前回の設定時におけるBD間隔から所定量だけ変化するごとに新たに設定(即ち、更新)する。レーザ出射タイミングを更新するためのBD間隔の変化量(所定量)は、例えば、BD間隔の変化に起因する画像形成品質の劣化量に基づいて予め定められうる。なお、LD1〜LDNのレーザ出射タイミングの設定(更新)は、上述の発光開始タイミング値A1〜ANを設定(更新)することによって実行される。
本実施形態では、一例として、CPU401は、レーザ光の1走査周期ごとに1回、非画像形成期間にBD間隔測定を実行する。なお、BD間隔測定は、より長い間隔で(例えば、複数の走査周期ごとに)実行されてもよい。また、BD間隔測定は、1回の実行期間内に複数回の測定が繰り返し実行されてもよく、この場合、当該複数回の測定で得られる測定値の平均値を、レーザ出射タイミングの設定(更新)のために算出してもよい。
ここで、図8(a)は、BD間隔測定の実行タイミングと各発光素子のレーザ出射タイミングを設定(更新)するタイミングとの関係の一例を示す図である。図8(a)に示すように、レーザ光の1走査周期ごとに実行されるBD間隔測定の実行頻度よりも、レーザ出射タイミングを設定(更新)する頻度は少なくなる。これは、BD間隔の測定値が所定量だけ変化するごとに、当該測定値に基づいてレーザ出射タイミングの設定(更新)が行われるためである。
また、本実施形態で、CPU401は、非画像形成期間にレーザ出射タイミングの設定(更新)を行う。即ち、感光ドラム102上の画像領域をレーザ光が走査している期間内に新たにレーザ出射タイミングが設定されることに起因して、形成される画像の品質が1主走査ライン内で変化することを回避する。これにより、1主走査ライン内で画像の品質の連続性が失われ、形成される画像に画素の欠落等の画質劣化が生じることを回避できる。
<画像形成処理の実行例>
図9は、本実施形態に係る、画像形成装置100で実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。図9に示す各ステップの処理は、CPU401が、メモリ406に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって、画像形成装置100上で実現される。画像形成装置100に画像データが入力されたことに応じて、S101の処理が開始される。なお、本実施形態では、図9に示す各ステップの処理をCPU401が実行する例について説明しているが、レーザドライバ403内にCPU401とは独立した制御部を設け、当該制御部が、それらの処理を実行してもよい。この場合、CLK信号生成部404から入力されるCLK信号、及びBDセンサ207から入力されるBD信号が、レーザドライバ403内の制御部にも入力され、当該制御部は、CPU401からの指示に従って、図9に示す各ステップの処理を実行する。
CPU401は、S101で、画像データの入力に応じて、モータ407の駆動を開始して、ポリゴンミラー204の回転制御を開始する。S101で、CPU401は、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の回転速度に達するように、ポリゴンミラー204の回転速度を制御する。ポリゴンミラー204の回転速度が所定の回転速度に達すると、CPU401は、次にS102で、図10に示す手順(S111〜S121)に従って、画像形成の開始前に初期BD間隔測定を実行する。更に、CPU401は、S103で、S102におけるBD間隔測定で得られたBD間隔の測定値に基づいて、レーザ出射タイミング(A1〜AN)の初期設定を行う。具体的には、BD間隔測定の測定値として、式(2)のカウント値Csが生成され、メモリ406に格納される。レーザ出射タイミングの設定(更新)は、カウント値Csと式(1)及び(2)とに基づいてA1〜ANを設定(更新)することによって行われる。
次に、S104で、CPU401は、入力された画像データに基づく(1走査周期ごとの)画像形成処理を実行する。具体的には、CPU401は、S103で設定された、または後述するようにS108で新たに設定(更新)されたレーザ出射タイミングに従って、画像データに基づくレーザ光L1〜LNを出射するよう、発光素子1〜N(LD1〜LDN)を制御する。これにより、感光ドラム102を露光する露光プロセスが実行される。更に、CPU401は、現像プロセス、転写プロセス等の他のプロセスを実行することによって、記録媒体Sに画像を形成する。
その後、1走査周期の画像形成を実行するごとに、S105で、CPU401は、画像形成を終了するか否かを判定する。CPU401は、画像形成対象の主走査ラインまたはページが残っている場合には、画像形成を終了しないと判定し、処理をS106に進める。一方、CPU401は、画像形成を終了すると判定した場合、処理を終了する。
S106で、CPU401は、図10に示す手順(S111〜S121)に従って、BD間隔測定を実行する。更に、S107で、CPU401は、今回のBD間隔測定で得られた測定値が、前回のレーザ出射タイミングの設定(更新)時におけるBD間隔の測定値から所定量変化しているか否かを判定する。CPU401は、BD間隔の測定値が所定量変化していると判定した場合にはS108へ処理を進め、所定量変化していないと判定した場合にはS104へ処理を戻す。
S108で、CPU401は、S106におけるBD間隔測定で得られたBD間隔の測定値に基づいて、レーザ出射タイミング(A1〜AN)を新たに設定(即ち、更新)し、その後、処理をS104に戻す。このようにして、画像形成の実行中に、BD間隔の測定値が所定量変化するごとに、レーザ出射タイミング(A1〜AN)が更新される。
(BD間隔測定の実行手順)
S102またはS106におけるBD間隔測定は、図10に示す手順でCPU401によって実行される。まずS111で、CPU401は、BD間隔測定に用いる発光素子1及びN(LD1及びLDN)の光量目標値をレーザドライバ403に設定する。次に、S112で、CPU401は、レーザドライバ403を制御して、LD1を点灯し、LD1についてAPC実行し、APCの終了後にLD1を消灯する。同様に、S113で、CPU401は、レーザドライバ403を制御して、LDNを点灯し、LDNについてAPC実行し、APCの終了後にLDNを消灯する。
次に、S114で、CPU401は、レーザドライバ403に、APCの実行後の光量でLD1を点灯させる。その後、S115で、CPU401は、BDセンサ207からの出力に基づいて、LD1から出射されたレーザ光によってBD信号が生成されたか否かを判定する。CPU401は、S115では、BD信号が生成されていないと判定する限り、S115の判定処理を繰り返し、BD信号が生成されたと判定すると、処理をS116に進める。CPU401は、S116で、BDセンサ207によるBD信号の生成に応じて、カウンタ402によるCLK信号のカウントを開始するとともに、S117で、レーザドライバ403に、LD1を消灯させる。
次に、S118で、CPU401は、レーザドライバ403に、APCの実行後の光量でLDNを点灯させる。その後、S119で、CPU401は、BDセンサ207からの出力に基づいて、LDNから出射されたレーザ光によってBD信号が生成されたか否かを判定する。CPU401は、S119では、BD信号が生成されていないと判定する限り、S119の判定処理を繰り返し、BD信号が生成されたと判定すると、処理をS120に進める。
CPU401は、S120で、カウンタ402によるCLK信号のカウント値をサンプルしてカウント値Csを生成し、生成したカウント値CsをBD間隔測定の測定値としてメモリ406に記憶させる。その後、S121で、CPU401は、レーザドライバ403に、LDNを消灯させ、BD間隔測定を終了する。
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、LD1〜LDNの、画像データに基づくレーザ光の出射タイミング(A1〜AN)を、BD間隔測定の測定値が前回の設定時におけるBD間隔から所定量だけ変化するごとに、新たに設定(更新)する。これにより、レーザ出射タイミングの設定を、画像形成の実行中の発光素子等の温度変化に起因したBD間隔の変化に追随しつつ、適切なタイミングに実行できる。また、非画像形成期間にレーザ出射タイミングを更新することで、レーザ出射タイミングの更新に伴って画質劣化を招くことがなくなる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態の画像形成装置100は、レーザ光の1走査周期ごとにBD間隔測定を実行している。しかし、BD間隔測定は、より長い間隔で(例えば、所定の枚数の記録媒体への画像形成を実行するごとに)実行される場合もありうる。第2の実施形態では、そのような場合に、BD間隔測定の測定値が所定量変化するタイミングを予測するとともに、予測したタイミングにレーザ出射タイミングを更新する例について説明する。なお、以下では、説明の簡略化のため、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
図8(b)は、BD間隔測定の実行タイミングと各発光素子のレーザ出射タイミングを設定(更新)するタイミングとの関係の一例を示す図である。図8(b)に示すように、本実施形態では、レーザ光の1走査周期ごとではなく、5枚の記録媒体への画像形成が実行されるごとに、非画像形成期間にBD間隔測定が実行される。このように、本実施形態は、BD間隔測定が(比較的長い)予め定められた間隔で実行される場合を対象としている。また、BD間隔測定の実行期間の間隔は、予め定められた枚数の記録媒体への画像形成に要する時間として定められうる。
CPU401は、BD間隔測定を実行するごとに、測定で得られた最新の測定値と過去の測定値とに基づいて、BD間隔が、レーザ出射タイミングの前回の設定時におけるBD間隔から所定量変化するタイミングを予測する。このような予測は、例えば最新の測定値と過去の測定値とに基づく線形補間演算等によって実現できる。
CPU401は、上述のように予測したタイミングにおいて、レーザ出射タイミング(A1〜AN)を新たに設定(更新)する。このため、図8(b)に示すように、BD間隔測定を実行するタイミングと、レーザ出射タイミングを更新するタイミングとが、異なるタイミングとなることもある。レーザ出射タイミング(A1〜AN)の更新は、予測したタイミングまでに実行されたBD間隔測定で得られている測定値に基づいて行うことが可能である。その際、CPU401は、予測したタイミングまでに実行されたBD間隔測定で得られている測定値に基づいて、当該タイミングにおけるBD間隔の予測値を算出し、当該予測値に基づいてA1〜ANを更新してもよい。
なお、本実施形態では、BD間隔測定を、予め定められた間隔で設けられる実行期間内に繰り返し実行し、各実行期間において得られた測定値の平均値を算出する場合を例として説明する。このような平均化処理を行うことで、BD間隔の測定誤差を低減可能である。
<画像形成処理の実行例>
図11は、本実施形態に係る、画像形成装置100で実行される画像形成処理の手順を示すフローチャートである。図11に示す各ステップの処理は、CPU401が、メモリ406に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって、画像形成装置100上で実現される。画像形成装置100に画像データが入力されたことに応じて、S201の処理が開始される。なお、第1の実施形態(図9)と同様、図11に示す各ステップの処理をCPU401が実行する例について説明しているが、レーザドライバ403内にCPU401とは独立した制御部を設け、当該制御部が、それらの処理を実行してもよい。
S201〜S205は、S101〜S105(図9)と同様である。ただし、S202におけるBD間隔測定は、図12に示す手順(S211〜S223)に従って実行される。S205で、CPU401は、画像形成対象の主走査ラインまたはページが残っている場合には、画像形成を終了しないと判定し、処理をS206に進める。一方、CPU401は、画像形成を終了すると判定した場合、処理を終了する。
S206で、CPU401は、BD間隔測定の実行タイミング(上述の実行期間)に達したか否かを判定する。CPU401は、一方、CPU401は、BD間隔測定の実行タイミングに達していないと判定すると、処理をS209に進める。一方、CPU401は、BD間隔測定の実行タイミングに達したと判定すると、S207で、図12に示す手順(S211〜S223)に従ってBD間隔測定を実行する。更に、S208で、上述のように、BD間隔が所定量変化するタイミングを予測する。
その後、S209で、CPU401は、S208で予測したタイミングに達したか否かを判定する。CPU401は、予測したタイミングに達していないと判定すると、処理をS204に戻し、予測したタイミングに達したと判定すると、処理をS210に進める。S210で、CPU401は、その時点までに実行されたBD間隔測定で得られた測定値に基づいて、レーザ出射タイミング(A1〜AN)を新たに設定(即ち、更新)し、その後、処理をS204に戻す。このようにして、画像形成の実行中に、BD間隔の測定値が所定量変化するごとに、レーザ出射タイミング(A1〜AN)が更新される。
(BD間隔測定の実行手順)
S202またはS207におけるBD間隔測定は、図12に示す手順でCPU401によって実行される。まず、S211〜S221は、S111〜S121(図10)と同様である。S222で、CPU401は、BD間隔測定(S211〜S221)をM回繰り返し実行したか否かを判定する。Mは、2以上の整数であり、例えば10000に予め設定される。CPU401は、BD間隔測定をM回繰り返し実行していないと判定すると、処理をS212に戻してBD間隔測定を繰り返し、BD間隔測定をM回繰り返し実行したと判定すると、処理をS223に進める。S223で、CPU401は、M回のBD間隔測定で得られた測定値(M個のカウント値Cs)を平均化する。
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置100は、BD間隔測定が比較的長い間隔で実行される場合に、BD間隔測定の測定値が所定量変化するタイミングを予測するとともに、予測したタイミングにレーザ出射タイミングを更新する。これにより、第1の実施形態と同様、レーザ出射タイミングの設定を、画像形成の実行中の発光素子等の温度変化に起因したBD間隔の変化に追随しつつ、適切なタイミングに実行できる。また、非画像形成期間にレーザ出射タイミングを更新することで、レーザ出射タイミングの更新に伴って画質劣化を招くことがなくなる。
100:画像形成装置、102(Y,M,C,K):感光ドラム、104(Y,M,C,K):光走査装置、201:レーザ光源、LD1〜LDN:発光素子1〜N、204:ポリゴンミラー、207:BDセンサ、401:CPU

Claims (8)

  1. 感光体を露光するための光ビームをそれぞれが出射する複数の発光点を備える光源と、
    前記複数の発光点から出射された複数の光ビームが前記感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、
    前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射する位置に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射すると当該光ビームを検出したことを示す検出信号を生成するビーム検出手段と、
    前記複数の発光点のうちの第1及び第2の発光点が第1及び第2の光ビームを順に出射するよう前記光源を制御し、前記ビーム検出手段によって生成される、前記第1及び第2の光ビームに対応する2つの検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、
    前記測定手段による測定で得られた測定値に基づいて、前記複数の発光点のそれぞれの、画像データに基づく光ビームの相対的な出射タイミングを設定する設定手段であって、前記時間間隔が前記出射タイミングの前回の設定時における時間間隔から予め定められた量だけ変化すると、前記出射タイミングを新たに設定する、前記設定手段と、
    前記設定手段によって設定された前記出射タイミングに従って前記複数の発光点のそれぞれが画像データに基づく光ビームを出射するよう、前記光源を制御する制御手段と、
    前記測定手段による測定が行われると、前記測定で得られた最新の測定値と過去の測定値とに基づいて、前記時間間隔が前記出射タイミングの前回の設定時における時間間隔から予め定められた量だけ変化するタイミングを予測する予測手段と、を備え、
    前記設定手段は、前記予測手段によって予測されたタイミングになると、前記出射タイミングを新たに設定することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記設定手段は、前記時間間隔が前記出射タイミングの前回の設定時における時間間隔から予め定められた量だけ変化すると、画像形成を行わない非画像形成期間に、前記出射タイミングを新たに設定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記測定手段は、前記複数の光ビームの1走査周期ごとに1回、前記非画像形成期間に前記測定を実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記設定手段は、前記予測手段によって予測されたタイミングになると、当該タイミングまでに実行された前記測定で得られている測定値に基づいて、前記出射タイミングを新たに設定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  5. 前記測定手段は、予め定められた間隔で設けられる実行期間内に、前記測定を繰り返し実行して、得られた測定値の平均値を算出し、
    前記予測手段は、前記測定で得られた最新の平均値と過去の平均値とに基づいて、前記時間間隔が前記出射タイミングの前回の設定時における時間間隔から予め定められた量だけ変化するタイミングを予測する
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記実行期間の間隔は、予め定められた枚数の記録媒体への画像形成に要する時間として定められることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  7. 前記複数の発光点は、前記光源において直線状に一列に配置されており、
    前記第1及び第2の発光点はそれぞれ、前記複数の発光点のうち一端及び他端に配置された発光点である
    ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記感光体と、
    前記感光体を帯電させる帯電手段と、
    前記複数の光ビームによる露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像して、記録媒体に転写すべき画像を前記感光体に形成する現像手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の画像形成装置。
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