JP2015197666A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の発光素子を備える画像形成装置で、2つの発光素子からそれぞれ出射された光ビームの間隔を測定して得られる測定値を適切に重み付けして平均化することで、測定精度をより向上させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、非画像形成期間に2つの発光素子のそれぞれからレーザ光が順にBDセンサに入射するよう光源を制御し、BDセンサから順に出力される2つのBD信号の時間間隔を測定する。光走査装置は、得られた最新の測定値と、過去の非画像形成期間における測定で得られた過去の測定値とのそれぞれを、各測定値を得るための測定の実行タイミングから現時点までの時間差に基づいて、各測定値を得るための前記測定の実行タイミングから現時点までの前記時間差が大きいほど、小さい重み付け係数で重み付けして平均化する。更に、光走査装置は、得られた平均値に応じてレーザ出射タイミング制御を行う。
【選択図】図16

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関するものである。
従来、光源から出射された光ビームを回転多面鏡によって偏向するとともに、偏向した光ビームによって感光体を走査することで、感光体上に静電潜像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、回転多面鏡によって偏向された光ビームを検出するための光学センサ(ビーム検出(BD)センサ)を備えており、当該光学センサは、光ビームを検出すると同期信号を生成する。画像形成装置は、光学センサによって生成される同期信号を基準として定めたタイミングに、光源から光ビームを出射させることで、光ビームが感光体上を走査する方向(主走査方向)における静電潜像(画像)の書き出し位置を一定とする。
また、画像形成速度の高速化及び画像の高解像度化を実現するために、感光体上でそれぞれ異なるラインを並列に走査する複数の光ビームを出射する複数の発光素子を光源として備える画像形成装置が知られている。このようなマルチビーム方式の画像形成装置では、複数の光ビームで複数のラインを並列に走査することで画像形成速度の高速化を実現するとともに、副走査方向におけるライン間の間隔を調整することによって、画像の高解像度化を実現する。
特許文献1には、複数の発光素子を光源として備え、当該複数の発光素子が配置された平面内で光源を回転調整することで、副走査方向の解像度を調整可能な画像形成装置が開示されている。このような解像度の調整は、画像形成装置の組立工程において行われる。特許文献1には、組立工程における光源の取り付け誤差によって生じる、主走査方向の静電潜像の書き出し位置のずれを抑えるための技術が開示されている。具体的には、画像形成装置は、第1の発光素子及び第2の発光素子のそれぞれから出射される光ビームをBDセンサで検出して、複数のBD信号を生成する。更に、画像形成装置は、生成した複数のBD信号の生成タイミング差に基づいて、第1の発光素子の光ビームの出射タイミングに対する、第2の発光素子の光ビームの相対的な出射タイミングを設定する。これにより、組立工程における光源の取り付け誤差を補償して、発光素子間の静電潜像の書き出し位置のずれを抑えている。
特開2008−89695号公報
しかし、複数の発光素子を光源として備える画像形成装置で、上述のように、BDセンサによって生成されるBD信号の生成タイミング差(BD間隔)を測定する方法では、以下のような課題がある。
BD間隔測定をより高い精度で行うためには、複数回のBD間隔測定で得られた複数の測定結果について平均化処理を行うことが有効である。平均化処理は、例えば、最新の所定の回数のBD間隔測定で得られた所定の数の測定値に対して移動平均等の演算を行うことによって実現できる。しかし、画像形成処理の実行中には、画像形成のための調整動作等の実行に起因して、BD間隔測定を実行可能な非画像形成期間が一定の周期で発生するとは限らない。このため、BD間隔測定を実行してから相対的に長い時間が経過した後に、当該測定で得られた測定値を平均化処理に用いる場合が起こりうる。このような場合、複数の測定値について単純に平均化処理を行うと、十分な測定精度を達成できない可能性がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、複数の発光素子を備える画像形成装置で、2つの発光素子からそれぞれ出射された光ビームの間隔を測定して得られる測定値を適切に重み付けして平均化することで、測定精度をより向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。本発明の一態様の係る画像形成装置は、それぞれが光ビームを出射する複数の発光素子を含む光源と、前記複数の発光素子から出射された複数の光ビームが感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、を備え、前記複数の光ビームによって走査されることによって前記感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像し、現像されたトナー像を記録媒体に転写する画像形成装置であって、前記偏向手段によって偏向された光ビームの走査路上に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射することによって当該光ビームを検出したことを示す検出信号を出力する光学センサと、1枚の記録媒体に転写すべきトナー像を形成するための静電潜像の形成を終了してから次の記録媒体に転写すべきトナー像を形成するための静電潜像の形成を開始するまでの、記録媒体に転写するトナー像を形成するための静電潜像の形成を行わない非画像形成期間に、前記複数の発光素子のうちの第1及び第2の発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される2つの検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、前記測定手段による測定で得られた最新の測定値と、過去の非画像形成期間における前記測定で得られた過去の測定値とを、各測定値を得るための前記測定の実行タイミングから現時点までの時間差に基づいて、各測定値を得るための前記測定の実行タイミングから現時点までの前記時間差が大きいほど、小さい重み付け係数で重み付けして平均化する平均化手段と、記録媒体への画像形成を行う際に、前記複数の発光素子のそれぞれの、画像データに基づく相対的な光ビームの出射タイミングを、前記平均化手段によって得られた平均値に応じて制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の発光素子を備える画像形成装置で、複数の発光素子を備える光走査装置で、2つの発光素子からそれぞれ出射された光ビームの間隔を測定して得られる測定値を適切に重み付けして平均化することで、測定精度をより向上させることができる。
画像形成装置の概略的な構成例を示す断面図。 光走査部の概略的な構成例を示す図。 光源の概略的な構成例と、光源から出射されたレーザ光による感光ドラム及びBDセンサ上の走査位置の一例とを示す図。 画像形成装置の制御構成例を示すブロック図。 スキャナユニット制御部の構成例を示すブロック図。 光源から出射されたレーザ光による感光ドラム上の走査位置の変化の一例を示す図。 BD間隔測定時及び画像形成時の、レーザ光の1走査期間における各発光素子の動作タイミングとBDセンサによるBD信号の生成タイミングとを示すタイミングチャート。 BD間隔測定とCLK信号との関係を示す図。 BDセンサの受光光量とBD間隔との関係の一例を示す図。 画像形成の実行に伴うBD間隔の変化の一例を示す図。 平均化処理に用いる移動平均フィルタの構成例を示す図。 BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミングまでの時間差に基づいて生成される重み付け係数W0〜W3の一例を示す図。 実施例1〜3に係る画像形成処理の手順を示すフローチャート。 実施例1〜3に係る初期レーザ出射タイミング設定の手順を示すフローチャート。 実施例1及び2に係るBD間隔測定の手順を示すフローチャート。 実施例1〜3に係るレーザ出射タイミング設定の手順を示すフローチャート。 実施例1に係る測定間隔データの更新の手順を示すフローチャート。 実施例1〜3に係る重み付け係数の更新の手順を示すフローチャート。 実施例2に係る測定間隔データの更新の手順を示すフローチャート。 実施例3に係るBD間隔測定の手順を示すフローチャート。 実施例3に係る測定間隔データの更新の手順を示すフローチャート。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
以下では、本発明の実施形態として、複数色のトナー(現像剤)を用いてマルチカラー(フルカラー)画像を形成する画像形成装置及び当該画像形成装置に備えられる光走査装置に本発明を適用した場合を例に説明する。ただし、本発明は、単色(例えばブラック色)のトナーのみを用いてモノカラー画像を形成する画像形成装置及び当該画像形成装置に備えられる光走査装置に対しても適用可能である。
<カラー複合機のハードウェア構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るカラー複合機の構成について説明する。カラー複合機は、図1に示すように、画像読取装置150と画像形成装置100とで構成される。
画像読取装置150は、原稿152の画像を、照明ランプ153、ミラー群154A、154B及び154C、並びにレンズ155を介してカラーセンサー156に結像する。これにより、画像読取装置150は、例えば、ブルー(B)色、グリーン(G)色、レッド(R)色の色分解光ごとに原稿の画像を読み取って、当該画像を電気的な画像信号に変換し、変換後の画像信号を、画像形成装置100側の中央画像処理部130に送信する。
中央画像処理部130は、画像読取装置150で得られた画像信号に含まれるR,G,Bの各色成分の強度レベルに基づいて色変換処理を実行する。これにより、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(K)色の色成分から成る画像データが得られる。中央画像処理部130は、画像読取装置150以外にも、カラー複合機が備える外部インタフェース(I/F)413(図4)を介して、電話回線、LAN等のネットワーク上の外部装置から、外部入力データを受信できる。その場合、外部装置から受信したデータがPDL(Page Description Language)形式であれば、中央画像処理部130は、受信した外部入力データをPDL処理部412(図4)によって画像情報に展開することで、画像データを得ることが可能である。
画像形成装置100は、Y色、M色、C色、及びK色のトナーをそれぞれ用いて画像(トナー像)を形成する4つの画像形成部を備えている。各色に対応する画像形成部は、感光ドラム(感光体)102Y、102M、102C、102Kをそれぞれ備えている。感光ドラム102Y、102M、102C、102Kの周りには、帯電部103Y、103M、103C、103K、光走査部(光走査装置)104Y、104M、104C、104K、及び現像部105Y、105M、105C、105Kがそれぞれ配置されている。なお、感光ドラム102Y、102M、102C、102Kの周りには、更に、ドラムクリーニング部(図示せず)がそれぞれ配置されている。
感光ドラム102Y、102M、102C、102Kの下方には、無端ベルト状の中間転写ベルト(中間転写体)107が配置されている。中間転写ベルト107は、駆動ローラ108と、従動ローラ109及び110とに掛け渡されている。画像形成中には、駆動ローラ108の回転に伴って、中間転写ベルト107の周面は、図1に示す矢印の方向へ移動する。中間転写ベルト107を介して感光ドラム102Y、102M、102C、102Kに対向する位置には、一次転写バイアスブレード111Y、111M、111C、111Kが配置されている。画像形成装置100は、中間転写ベルト107上に形成されたトナー像を記録紙(記録媒体)上に転写するための二次転写バイアスローラ112と、記録紙上に転写されたトナー像を当該記録紙に定着させるための定着部113とを更に備えている。
次に、上述の構成を有する画像形成装置100における、帯電プロセスから現像プロセスまでの画像形成プロセスについて説明する。なお、各色に対応する画像形成部のそれぞれで実行される画像形成プロセスは同様である。このため、以下では、Y色に対応する画像形成部における画像形成プロセスを例にして説明し、M色、C色及びK色に対応する画像形成部における画像形成プロセスについては説明を省略する。
まず、Y色に対応する画像形成部の帯電部103Yが、回転駆動される感光ドラム102Yの表面を帯電させる。光走査部104Yは、複数のレーザ光(光ビーム)を出射して、帯電した感光ドラム102Yの表面を当該複数のレーザ光で走査することで、感光ドラム102Yの表面を露光する。これにより、回転する感光ドラム102Y上(感光体上)に静電潜像が形成される。感光ドラム102Y上に形成された静電潜像は、現像部105Yによって、Y色のトナーで現像される。その結果、感光ドラム102Y上にY色のトナー像が形成される。また、M色、C色及びK色に対応する画像形成部では、それぞれ、Y色に対応する画像形成部と同様のプロセスで、感光ドラム102M、102C、102K上にM色、C色、K色のトナー像がそれぞれ形成される。
以下、転写プロセス以降の画像形成プロセスについて説明する。転写プロセスでは、まず、一次転写バイアスブレード111Y、111M、111C、111Kが中間転写ベルト107に転写バイアスをそれぞれ印加する。これにより、感光ドラム102Y、102M、102C、102K上に形成された4色(Y色、M色、C色、K色)のトナー像が、それぞれ中間転写ベルト107に重ね合わせて転写される。
中間転写ベルト107上に重ね合わせて形成された、4色のトナーから成るトナー像は、中間転写ベルト107の周面の移動に伴って、二次転写バイアスローラ112と中間転写ベルト107との間の二次転写ニップ部へ搬送される。中間転写ベルト107上に形成されたトナー像が二次転写ニップ部に搬送されるタイミングに合わせて、給紙カセット718から記録紙が二次転写ニップ部へ搬送される。二次転写ニップ部では、中間転写ベルト107上に形成されているトナー像が、二次転写バイアスローラ112によって印加される転写バイアスの作用によって、記録紙上に転写される(二次転写)。
その後、記録紙上に形成されたトナー像は、定着部113で加熱されることで記録紙に定着する。このようにしてマルチカラー(フルカラー)画像が形成された記録紙は、排紙部725へ排紙される。
なお、中間転写ベルト107へのトナー像の転写が終了した後、感光ドラム102Y、102M、102C、102Kに残留するトナーが、上述のドラムクリーニング部(図示せず)によってそれぞれ除去される。このようにして一連の画像形成プロセスが終了すると、次の記録紙に対する画像形成プロセスが続けて開始される。
<光走査部のハードウェア構成>
次に、図2及び図3を参照して、光走査部104Y、104M、104C、104Kの構成を説明する。なお、光走査部104Y、104M、104C、104K(Y色、M色、C色、K色に対応する画像形成部)の構成は同一であるため、以下では、添え字Y、M、C、Kを省略した表記を行う場合がある。例えば、感光ドラム102と表記した場合、感光ドラム102Y、102M、102C、102Kのそれぞれを表し、光走査部104と表記した場合、光走査部104Y、104M、104C、104Kのそれぞれを表すものとする。
図2は、光走査部104の構成を示す図である。光走査部104は、レーザドライバ200と、レーザ光源201と、各種の光学部材202〜206(コリメータレンズ202、シリンドリカルレンズ203、ポリゴンミラー(回転多面鏡)204、fθレンズ205及び206)とを備える。レーザドライバ200は、レーザ光源201に供給する駆動電流によってレーザ光源201の駆動を制御する。レーザ光源(以下、単に「光源」と称する。)201は、駆動電流に応じた光量のレーザ光(光ビーム)を発生させて出力(出射)する。コリメータレンズ202は、光源201から出射されたレーザ光を、平行光に整形する。シリンドリカルレンズ203は、コリメータレンズ202を通過したレーザ光を、副走査方向(感光ドラム102の回転方向に対応する方向)へ集光する。
シリンドリカルレンズ203を通過したレーザ光は、ポリゴンミラー204が備える複数の反射面のうちのいずれかの反射面に入射する。ポリゴンミラー204は、入射したレーザ光が連続的な角度で偏向されるように、図2に示す矢印の方向に回転しながら各反射面でレーザ光を反射させる。ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光は、fθレンズ205、206に順に入射する。fθレンズ(走査レンズ)205、206を通過することで、レーザ光は、感光ドラム102の表面を等速で走査する走査光となる。
光走査部104は、fθレンズ205を通過したレーザ光の走査路における、当該レーザ光の走査開始側の位置に、反射ミラー(同期検知用ミラー)208を備える。反射ミラー208には、fθレンズの端部を通過したレーザ光が入射する。光走査部104は、更に、反射ミラー208からのレーザ光の反射方向に、レーザ光を検知するための光学センサとして、ビーム検出(BD)センサ207を備える。このように、BDセンサ207は、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光の走査路上に配置されている。即ち、BDセンサ207は、光源201から出射される複数のレーザ光が感光ドラム102の表面を走査する際の走査路上に設けられている。
BDセンサ207は、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光が入射すると、レーザ光を検出したことを示す検出信号(BD信号)を、(水平)同期信号として出力する。BDセンサ207から出力されたBD信号は、スキャナユニット制御部210へ入力される。スキャナユニット制御部210は、後述するように、BDセンサ207から出力されるBD信号を基準として、画像データに基づく各発光素子(LD1〜LDN)の点灯タイミングを制御する。
次に、図3を参照して、光源201の構成と、光源201から出射されたレーザ光による感光ドラム102及びBDセンサ207上の走査位置とについて説明する。
まず、図3(a)は、光源201の拡大図であり、図3(b)は、光源201から出射されたレーザ光による感光ドラム102上の走査位置を示す図である。光源201は、それぞれがレーザ光を出射(出力)するN個の発光素子(LD1〜LDN)を備える。光源201のn番目(nは1〜Nの整数)の発光素子n(LDn)は、レーザ光Lnを出射する。図3(a)のX軸方向は、ポリゴンミラー204によって偏向された各レーザ光が感光ドラム102上を走査する方向(主走査方向)に対応する方向である。また、Y軸方向は、主走査方向に直交する方向であり、感光ドラム102の回転方向(副走査方向)に対応する方向である。
図3(b)に示すように、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されたレーザ光L1〜LNは、感光ドラム102上で、副走査方向においてそれぞれ異なる位置S1〜SNに、スポット状に結像する。これにより、レーザ光L1〜LNは、感光ドラム102上で、副走査方向において隣接する複数の主走査ラインを並列に走査する。また、発光素子1〜Nが、光源201内で図3(a)に示すようにアレイ状に配置されていることに起因して、レーザ光L1〜LNは、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、主走査方向においてもそれぞれ異なる位置に結像する。なお、図3(a)では、N個の発光素子(LD1〜LDN)は、光源201において直線状に(1次元に)一列に配置されているが、2次元に配置されていてもよい。
図3(a)に示すD1は、X軸方向における、発光素子1(LD1)と発光素子N(LDN)との間隔(距離)を表す。本実施形態では、発光素子1及びNは、光源201において直線状に一列に配置された複数の発光素子のうち、両端に配置された発光素子である。発光素子Nは、X軸方向において発光素子1から最も離れている。このため、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、複数のレーザ光のうち、レーザ光LNの結像位置SNは、レーザ光L1の結像位置S1から、主走査方向において最も離れた位置となる。
図3(a)に示すD2は、Y軸方向における、発光素子1(LD1)と発光素子N(LDN)との間隔(距離)を表す。複数の発光素子のうち、発光素子Nは、Y軸方向において発光素子1から最も離れている。このため、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、複数のレーザ光のうち、レーザ光LNの結像位置SNは、レーザ光L1の結像位置S1から、副走査方向において最も離れた位置となる。
Y軸方向(副走査方向)の発光素子間隔Ps=D2/N−1は、画像形成装置100が形成する画像の解像度に対応する間隔である。Psは、感光ドラム102上で副走査方向に隣接する結像位置Snの間隔が、所定の解像度に対応する間隔となるよう、画像形成装置100(カラー複合機)の組立工程において光源201を回転調整することによって設定される値である。光源201は、図3(a)に示すように、X軸及びY軸を含む平面(XY平面)内で矢印方向に回転調整される。光源201を回転させると、Y軸方向における発光素子の間隔が変化するとともに、X軸方向における発光素子の間隔も変化する。X軸方向(主走査方向)の発光素子間隔Pm=D1/N−1は、Y軸方向の発光素子間隔Psに依存して一意に定まる値である。
BDセンサ207によってBD信号が生成及び出力されたタイミングを基準とした、各発光素子(LDn)からレーザ光を出射させるタイミングは、発光素子ごとに、組立工程において所定の治具を用いて設定される。設定された発光素子ごとのタイミングは、画像形成装置100(カラー複合機)の工場出荷時に、初期値としてメモリ406(図5)に格納される。このようにして設定される、各発光素子(LDn)からレーザ光を出射させるタイミングの初期値には、Pmに対応した値が設定される。
次に、図3(c)は、BDセンサ207の概略的な構成と、光源201から出射されたレーザ光によるBDセンサ207上の走査位置とを示す図である。BDセンサ207は、光電変換素子が平面状に配置された受光面207aを備える。受光面207aにレーザ光が入射すると、BDセンサ207は、レーザ光を検出したことを示すBD信号を生成して出力する。光走査部104は、後述するBD間隔測定では、発光素子1及びN(LD1及びLDN)から出射されたレーザ光L1及びLNをBDセンサ207に順に入射させることによって、それぞれのレーザ光に対応する2つのBD信号を、BDセンサ207から順に出力させる。なお、本実施形態では、発光素子1及びN(LD1及びLDN)は、それぞれ第1の発光素子及び第2の発光素子の一例である。
図3(c)では、受光面207aの主走査方向の幅、及び副走査方向に対応する方向の幅を、それぞれD3及びD4として表している。本実施形態では、発光素子1及びN(LD1及びLDN)からそれぞれ出射されたレーザ光L1及びLNは、図3(c)に示すようにBDセンサ207の受光面207aを走査する。このため、レーザ光L1及びLNがいずれも受光面207aに入射可能となるよう、幅D4は、D4>D2×αを満たす値に定められている。ただし、αは、各種レンズを通過したレーザ光L1及びLNの間隔についての副走査方向の変動率である。また、発光素子1及びN(LD1及びLDN)を同時に点灯させた場合であっても、レーザ光L1及びLNが同時に受光面207aに入射しないよう、幅D3は、D3<D1×βを満たす値に定められている。ただし、βは、各種レンズを通過したレーザ光L1及びLNの間隔についての主走査方向の変動率である。
<画像形成装置の制御構成>
次に、図4を参照して、画像形成装置100の制御構成を説明する。図4に示すように、画像形成装置100は、画像形成に関連する制御構成として、中央画像処理部130、読取系画像処理部411、PDL処理部412、外部I/F413、画像メモリ414、外部メモリ415、及びスキャナユニット制御部210Y、210M、210C、210Kを備える。
中央画像処理部130は、PDL処理部412によるPDL処理等が行われた画像データを、画像メモリ414に一時的に格納する。スキャナユニット制御部210は、後述するタイミングに、中央画像処理部130に画像データを要求する。中央画像処理部130は、当該要求に応じて、画像メモリ414から画像データを読み出し、外部メモリ415等を用いて画像処理を行った後、スキャナユニット制御部210に各色に対応する画像データを送信する。
スキャナユニット制御部210には、BDセンサ207によって生成及び出力されたBD信号がそれぞれ入力される。スキャナユニット制御部210は、中央画像処理部130から受信した画像データを、光源201を制御するためのレーザ駆動パルス信号に変換する。更に、スキャナユニット制御部210は、BDセンサ207によってBD信号が生成されたタイミングを基準として、レーザ駆動パルス信号をレーザドライバ200に出力する。
<光走査部の制御構成>
次に、図5を参照して、光走査部104の制御構成を説明する。図5は、スキャナユニット制御部210の構成を示すブロック図である。スキャナユニット制御部210は、CPU401、クロック(CLK)信号生成部404、画像出力制御部405、メモリ(記憶部)406、ポリゴンモータ制御部408、及びモータドライバ409を備える。
CPU401は、メモリ406に格納された制御プログラムを実行することで、光走査部104全体を制御する。CLK信号生成部404は、所定周波数のクロック信号(CLK信号)を生成し、生成したCLK信号をCPU401に出力する。CPU401は、CLK信号生成部404から入力されるCLK信号のパルスをカウントするとともに、当該CLK信号に同期して、ポリゴンモータ制御部408、画像出力制御部405及びレーザドライバ200に制御信号を送信する。CPU401は、当該制御信号を用いて、ポリゴンモータ制御部408、画像出力制御部405及びレーザドライバ200を制御する。
ポリゴンモータ制御部408は、CPU401からの指示に応じて、モータドライバ409に対して加速信号または減速信号を出力することで、ポリゴンミラー204の回転速度を制御する。ポリゴンモータ407は、ポリゴンミラー204を回転駆動させるモータである。モータドライバ409は、ポリゴンモータ制御部408から出力される加速信号または減速信号に従ってポリゴンモータ407の回転を加速または減速させる。
ポリゴンモータ407は、ポリゴンミラー204の回転速度に比例した周波数信号を発生させる周波数発電機(FG:Frequency Generator)方式を採用した速度センサ(図示せず)を備える。ポリゴンモータ407は、ポリゴンミラー204の回転速度に応じた周波数のFG信号を速度センサによって発生させ、ポリゴンモータ制御部408に出力する。ポリゴンモータ制御部408は、ポリゴンモータ407から入力されるFG信号の発生周期を測定し、測定したFG信号の発生周期が所定の目標周期に達すると、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の目標回転速度に達したと判定する。このように、ポリゴンモータ制御部408は、CPU401からの指示に応じて、フィードバック制御によりポリゴンミラー204の回転速度を制御する。なお、CPU401も、ポリゴンモータから407から出力されたFG信号をポリゴンモータ制御部408を介して受信することで、ポリゴンミラー204の回転速度を判定できる。
BDセンサ207によって生成及び出力されたBD信号は、CPU401、画像出力制御部405及びレーザドライバ200に入力される。画像出力制御部405は、画像形成時には、BDセンサ207から出力されたBD信号が入力されると、1ラインごとの画像データを中央画像処理部130に要求する。画像出力制御部405は、当該要求に応じて中央画像処理部130から取得したラインごとの画像データをレーザ駆動パルス信号に変換し、当該レーザ駆動パルス信号をレーザドライバ200に出力する。
CPU401は、画像形成時には、BDセンサ207から出力されたBD信号が入力されると、当該BD信号を基準として、発光素子1〜Nからのレーザ光の出射タイミングを制御するための制御信号を画像出力制御部405に送信する。発光素子1〜Nからのレーザ光の出射タイミングは、発光素子1〜Nについて主走査方向の静電潜像(画像)の書き出し位置が一致するように制御される。画像出力制御部405は、当該制御信号に基づくタイミングに、各発光素子用の、1ラインの画像データに対応するレーザ駆動パルス信号をレーザドライバ200に転送する。
レーザドライバ200は、画像形成時には、画像出力制御部405から入力される画像形成用の画像データに基づく(即ち、画像データに応じて変調した)駆動電流を、各発光素子(LD1〜LDN)に供給する。これにより、レーザドライバ200は、駆動電流に応じた光量のレーザ光を各発光素子から出射させる。
<光走査部の温度変化の影響>
画像形成装置100では、図3(a)に示すような光源201の構成に起因して、図6(a)に示すように、各発光素子から出射されたレーザ光が、感光ドラム102上で、主走査方向において異なる位置S1〜SNに結像する。このような画像形成装置では、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像(画像)の主走査方向の書き出し位置を一定とするために、レーザ光を出射するタイミングを発光素子ごとに適切に制御する必要がある。
例えば、特定の発光素子から出射されたレーザ光に基づいて単一のBD信号を生成し、当該BD信号を基準として、発光素子ごとに予め設定された固定のタイミングにレーザ光を出射するよう、各発光素子を制御する。この制御によれば、画像形成中に、結像位置S1〜SNの相対的な位置関係が常に一定である限り、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像(画像)の主走査方向の書き出し位置を一致させることが可能である。
しかし、画像形成中には、各発光素子がレーザ光を出射すると、発光素子自体の温度の上昇に伴って、各発光素子から出射されるレーザ光の波長が変化する。また、ポリゴンミラー204を回転させる際にポリゴンモータ407から発生する熱によって、光走査部104全体の温度が上昇し、走査レンズ205、206等の光学特性(屈折率等)が変化する。これにより、各発光素子から出射されたレーザ光の光路が変化する。このようなレーザ光の波長または光路の変化が生じると、各レーザ光の結像位置S1〜SNが、図6(a)に示す位置から例えば図6(b)に示す位置に変化する。このように、結像位置S1〜SNの相対的な位置関係が変化した場合、上述の単一のBD信号に基づくレーザ出射タイミング制御では、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像の主走査方向の書き出し位置が一致させることができない。
そこで、本実施形態では、発光素子1〜Nのうちの2つの発光素子(第1及び第2の発光素子)から出射されるレーザ光によってBDセンサ207に2つのBD信号を生成させ、2つのBD信号の時間間隔(本明細書では「BD間隔」とも称する。)を測定する。このBD間隔測定を非画像形成期間に行い、当該非画像形成期間の後に画像形成を行う際に、単一のBD信号を基準として、各発光素子の、画像データに基づくレーザ光の相対的な出射タイミングを、BD間隔測定で得られる測定値に応じて制御する。BD間隔測定を行う非画像形成期間は、例えば、複数の記録紙に画像形成を行う場合、各記録紙への画像形成後、次の記録紙への画像形成を開始する前の期間である。これにより、画像形成の実行中に発光素子等の温度変化が発生したとしても、各発光素子から出射されるレーザ光によって形成される静電潜像の主走査方向の書き出し位置が一致するよう、レーザ出射タイミングを制御できる。
<BD間隔測定とレーザ出射タイミング制御>
次に、図7及び図8を参照して、本実施形態に係る光走査部104の、BD間隔測定時及び画像形成時の動作について説明する。
CPU401は、BD間隔測定時には、2つの発光素子のそれぞれが順にレーザ光を出射し、各レーザ光が順にBDセンサ207に入射するよう、レーザドライバ200を介して光源201を制御する。即ち、BD間隔測定は、BDセンサ207から順に出力される2つのBD信号に基づいて行われる(ダブルBDモード)。一方、CPU401は、画像形成時には、特定の発光素子が出射したレーザ光がBDセンサ207に入射するよう、レーザドライバ200を介して光源201を制御する。更に、CPU401は、レーザ光が入射することによってBDセンサ207から出力される単一のBD信号を基準として、画像データに基づくレーザ光の相対的な出射タイミングを発光素子ごとに制御する(シングルBDモード)。
図7(a)及び図7(b)はそれぞれ、BD間隔測定時及び画像形成時の、レーザ光の1走査期間における各発光素子の動作タイミングとBDセンサによるBD信号の生成タイミングとを示すタイミングチャートである。なお、以下では、BD間隔測定における2つのBD信号の生成には発光素子1及びNを用いるものとし、画像形成時の単一のBD信号の生成には発光素子1を用いるものとする。
図7(a)に示すように、非画像形成期間に実行されるBD間隔測定時には、発光素子1及びN(LD1及びLDN)から出射されたレーザ光が順にBDセンサ207に入射するように、レーザドライバ200から発光素子1及びNにそれぞれ駆動信号が供給される。その結果、発光素子1からのレーザ光を受光することによってBDセンサ207が生成するBD信号と、発光素子Nからのレーザ光を受光することによってBDセンサ207が生成するBD信号とが、BDセンサ207から出力される(ダブルBDモード)。CPU401は、BDセンサ207から順に出力されるこれら2つのBD信号の生成タイミングの時間間隔の測定(BD間隔測定)を行う。
一方、図7(b)に示すように、画像形成時には、まず、発光素子1(LD1)から出射されたレーザ光がBDセンサ207に入射するように、レーザドライバ200から発光素子1に駆動信号が供給される。その結果、発光素子1からのレーザ光を受光することによってBDセンサ207が生成する単一のBD信号が、BDセンサ207から出力される(シングルBDモード)。その後、記録紙に画像を形成する際には、CPU401は、BDセンサ207から出力される当該単一のBD信号と、各発光素子に対して設定される発光開始タイミング値A1〜ANとに基づいて、発光素子1〜Nのレーザ出射タイミングを制御する。
図7(b)に示す発光開始タイミング値A1〜ANは、BDセンサ207による単一のBD信号の生成タイミングを基準とした、発光素子1〜Nのそれぞれの発光開始タイミングに相当する。即ち、A1〜ANは、BDセンサ207から出力される単一のBD信号に対する、発光素子1〜Nのそれぞれの、画像データに基づくレーザ光の出射タイミングの相対遅延時間に相当する。A1〜ANは、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されるレーザ光によって形成される静電潜像(画像)の主走査方向の書き出し位置が一致するように設定される。
1〜ANは、各発光素子について、補正値Asnを用いて、基準タイミング値Adnを次式に示すように補正することによって得られる。
n=Adn+Asn (n=1, 2,..., N) (1)
CPU401は、A1〜ANを画像出力制御部405に設定することで、発光素子1〜Nのレーザ出射タイミングを制御する。図7(b)に示すように、画像出力制御部405は、単一のBD信号の生成タイミングを基準として、A1〜ANに従ったタイミングに、各発光素子に対応する画像データをレーザドライバ200に出力する。これにより、A1〜ANに従ったタイミングに、レーザドライバ200によって各発光素子が駆動され、感光ドラム102上で所望の主走査位置に、各ラインの静電潜像(画像)が形成される。
基準タイミング値Ad1〜AdNは、工場調整時に、特定の温度条件下で、発光素子1〜Nについて、所望の主走査位置に静電潜像が形成され、かつ、主走査方向の静電潜像の書き出し位置が複数のライン間で一致するように定められる値である。Ad1〜AdNは、メモリ406に予め格納されている。なお、工場調整時には、同じ温度条件下でBD間隔測定が行われ、その測定結果であるカウント値が基準カウント値Crとしてメモリ406に予め格納される。このように、基準タイミング値Ad1〜AdNは、基準カウント値Crに対応して予め定められている。
ここで、カウント値とは、CLK信号生成部404によって生成されるCLK信号のパルスをCPU401がカウントして得られる値に相当する。CPU401は、BD間隔測定を行う際、図8に示すように、発光素子1に対応するBD信号1が生成されたタイミングから、発光素子Nに対応するBD信号2が生成されたタイミングまでの間、CLK信号のパルスをカウントすることで、カウント値を生成する。このカウント値は、BD信号の時間間隔ΔTに対応し、BD間隔測定の測定結果として生成される。
一方、発光素子等の温度変化による結像位置S1〜SNのずれが発生すると、上述のように、主走査方向の静電潜像の書き出し位置を複数のライン間で一致させることができなくなる。このため、補正値As1〜AsNは、このような結像位置S1〜SNのずれを補償するために、次式を用いてCPU401によって生成される。
Asn=(Cs−Cr)/(N−1)×k×(n−1) (n=1, 2,..., N) (2)
ここで、nは、発光素子の番号を表す。Csは、後述するBD間隔測定における測定結果に相当する、(S128で)メモリ406に保存されるカウント値である。Crは、工場調整時の測定によって得られる、BD間隔測定の基準値である。kは、2つのBD信号の時間間隔を示すカウント値を、感光ドラム102上の結像位置における走査時間間隔に変換するための変換係数である。
式(2)から明らかなように、発光素子1に対応する補正値As1は、常に0となる。このため、式(2)は、発光素子等の温度変化による結像位置S1〜SNのずれを、発光素子1に対応する結像位置S1を基準として補正するための補正値を生成する。式(1)及び図7(b)に示すように、CPU401は、算出したAs1〜AsNを、メモリ406に格納されているAd1〜AdNに加算することで、発光素子1〜Nのそれぞれに対して設定すべき発光開始タイミング値A1〜ANを算出できる。
<BD間隔測定値の平均化処理>
BD間隔測定をより高い精度で行うためには、上述のように、複数回のBD間隔測定で得られた複数の測定結果について、移動平均等を演算することによって平均化処理を行うことが有効である。しかし、画像形成処理の実行中には、画像形成条件を調整ための調整動作等の実行に起因して、BD間隔測定を実行可能な非画像形成期間が一定の周期で発生するとは限らない。このような場合、複数の測定値について単純に平均化処理を行うと、十分な測定精度を達成できない可能性がある。なお、非画像形成期間とは、1枚の記録紙に転写すべきトナー像を形成するための静電潜像の形成が終了してから次の記録紙に転写すべきトナー像を形成するための静電潜像の形成を開始するまで期間に相当する。また、この期間は、記録紙に転写するためのトナー像を形成するための静電潜像の形成を行わない期間に相当する。
ここで、図10を参照して、上述のような場合の例について説明する。図10は、画像形成装置100に画像形成ジョブが入力された後の、画像形成の実行に伴うBD間隔の変化の一例を示す図である。同図では、記録紙Pm(m=1,2,3,...)に対して連続して画像形成を行う間に、各非画像形成期間内の時間tnにそれぞれBD間隔測定を行うことで、測定値Dnが得られる様子を示している(n=0,1,2,...)。また、記録紙P3への画像形成の開始前に調整動作を行わない場合と行う場合をそれぞれ示している。この調整動作は、画像形成条件を調整するために行われる動作である。例えば、中間転写ベルト107上に特定のパターン画像を形成し、そのパターン画像をセンサで読み取って、主走査方向及び副走査方向の書き出し位置のずれ(例えば色ずれ)の補正、または形成される画像の濃度の調整を行う動作が調整動作に相当する。画像形成装置100では、例えば、所定の枚数の記録紙へ画像形成を行うごとに、このような調整動作を実行しうる。
図10に示すように、調整動作が行われない場合、BD間隔測定の実行時間間隔がほぼ等間隔ΔT1となっている。これに対し、調整動作が行われる場合、調整動作に要する時間に依存して、BD間隔測定の実行時間間隔が、ΔT1からΔT2に変化している。調整動作が行われる場合、移動平均の対象となる所定の数の測定値を得るためのBD間隔測定の各実行タイミングにおける実際のBD間隔は、t2におけるD2からt4におけるD4のように、実行タイミング間で大きく変化している可能性がある。このような場合、所定の数の測定値について単純に平均化処理を行うと、平均化処理を行う時点の実際のBD間隔との誤差が大きい過去の測定値に起因して、得られた平均値と実際のBD間隔との誤差が大きくなる。その結果、十分な測定精度を達成できない可能性がある。
そこで、本実施形態では、画像形成装置100は、各非画像形成期間において実行されたBD間隔測定で得られた複数の測定値を平均化する際に、適切な重み付け係数で各測定値を重み付けして平均化することで、より高い測定精度を実現する。具体的には、画像形成装置100は、BD間隔測定で得られた最新の測定値と、過去の非画像形成期間における測定で得られた過去の測定値とを、各測定値を得るための測定の実行タイミングから現時点までの時間差に基づいてそれぞれ重み付けして平均化する。更に、画像形成装置100は、得られた平均値に応じてレーザ出射タイミング制御を行う。
これにより、BD間隔の測定結果の平均化によって得られる平均値に対する各測定値の寄与を、実際のBD間隔との誤差を抑えるように制御することが可能となり、測定精度を向上させることができる。その結果、レーザ出射タイミング制御の精度を向上させることができる。
上述のような重み付き移動平均(加重移動平均)の算出は、例えば、図11に示すような移動平均フィルタによって実現できる。図11は、一例として、最新の測定値と過去の3つの測定値とから成る4つの測定値についての加重移動平均を算出するための、タップ数4の移動平均フィルタを示している。なお、本実施形態では、最新の4つの測定値を用いて加重移動平均を算出する場合を例に説明するが、平均化に用いる測定値の数は任意の数に設定することが可能である。同図に示すように、BD間隔測定で得られる測定値(カウント値)Csの加重移動平均値Cs'は、
s'=D0×W0+D1×W1+D2×W2+D3×W3 (3)
により算出することができる。なお、測定値D0〜D3を格納するための記憶領域はメモリ406に確保される。BD間隔測定が実行され、最新の測定値CsがD3に格納される際には、D3〜D1に格納された値がそれぞれD2〜D0に移動(シフト)する。
加重移動平均の算出に用いる重み付け係数W0〜W3は、種々の方法で決定できる。例えば、平均化処理を行う時点(現時点)までの時間差が大きい実行タイミングにおける過去のBD間隔測定で得られた、測定精度の低下をもたらす測定値に対して、小さい重み付け係数で重み付けする。逆に、現時点までの時間差が小さい実行タイミングにおけるBD間隔測定で得られた測定値に対しては、大きい重み付け係数で重み付けする。即ち、最新の測定値と過去の測定値とのそれぞれを、各測定値を得るためのBD間隔測定の実行タイミングから現時点までの時間差が大きいほど、小さい重み付け係数で重み付けする。これにより、測定精度の低下をもたらす測定値の、平均値に対する寄与を抑え、平均値として得られる測定結果の精度を向上させることが可能である。
図12は、BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差に基づいて生成される重み付け係数W0〜W3の一例を示す図である。図12(a)は、重み付け係数W0〜W3が適用される測定値が得られたBD間隔測定の実行タイミングと重み付け係数との関係を示す。なお、最新の測定値についての測定の実行タイミングを基準(=1)として、各測定の実行タイミングを示している。本実施形態では、図12(b)に示すような、BD間隔測定の実行時間間隔を示す測定間隔データF0〜F3を用意し、当該データに基づいて重み付け係数W0〜W3を設定する。なお、F0〜F3からW0〜W3を設定する具体的な方法については、図18を用いて後述する。
ここで、測定間隔データF0〜F3は、それぞれD0〜D3(W0〜W3)に対応するBD間隔測定が実行されてから次にBD間隔測定が実行されるまでの間の実行時間間隔を示す。例えば、F1は、D1(W1)に対応するBD間隔測定の実行タイミングと、次のD2(W2)に対応するBD間隔測定の実行タイミングとの時間間隔を示す。例えば、測定間隔データF0〜F0の値は、対応する時間間隔内に上述の調整動作が行われた場合には、相対的に大きな値に設定され、調整動作が行われていない場合には、相対的に小さな値が設定される。図12(b)は、F1に対応する時間間隔内に調整動作が行われた例を示している。
図12(b)は、図12(a)に対応する、測定間隔データF0〜F3及び重み付け係数W0〜W3を示している。測定間隔データF0〜F3に基づいて、各BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差を特定できる。例えば、F0〜F3の累積値を、そのような時間差として特定できる。図12(b)に示すように、平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差が大きいほど、小さい重み付け係数が設定される。このような重み付け係数W0〜W3を用いることで、BD間隔の測定結果を平均化する際に、得られる平均値に対する各測定値の寄与を適切に制御することができ、測定精度を向上させることが可能である。
以下では、本発明の具体的な実施例として実施例1〜3について説明する。実施例1〜4では、各BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差を特定する方法が異なる実施例をそれぞれ示す。なお、以下の実施例では、一例として、光源201は32個の発光素子を備えるものとする(即ち、N=32とする)。また、BD間隔測定には、発光素子1、N(=32)を使用するものとする。
[実施例1]
実施例1では、BD間隔測定で得られた最新の測定値と過去の測定値とのそれぞれについて、各測定が実行されてから平均化処理を行う時点までの、測定実行回数と、調整動作の実行回数とに基づいて、重み付け係数の設定に用いる時間差を特定する。
図13は、実施例1に係る光走査部104によって実行される、画像形成処理の手順を示すフローチャートである。図13に示す各ステップの処理は、CPU401が、メモリ406に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって実現される。CPU401は、1枚以上の記録紙に画像形成を行うための画像形成ジョブが中央画像処理部130に入力されると、S101の処理を開始する。
S101で、CPU401は、ポリゴンミラー204の回転を開始させるための制御信号をポリゴンモータ制御部408に送信する。ポリゴンモータ制御部408は、CPU401からの制御信号に応じて、モータドライバ409を駆動して、ポリゴンミラー204の回転を開始させる。ポリゴンモータ制御部408は、ポリゴンミラー204が所定の目標回転速度で回転するよう、ポリゴンモータ407から出力されるFG信号に基づいてモータドライバ409を制御する。
次に、S102で、CPU401は、ポリゴンミラー204が目標回転速度で回転しているか否かを判定する。ここで、CPU401は、ポリゴンモータ407から出力されるFG信号をポリゴンモータ制御部408を介して受信することで、かかる判定を実行できる。CPU401は、ポリゴンミラー204が目標回転速度で回転していないと判定した場合、S103で、ポリゴンミラー204の回転速度が目標回転速度へ近づける回転速度制御を続けるよう、制御信号によってポリゴンモータ制御部408に指示する。一方、CPU401は、ポリゴンミラー204が目標回転速度で回転していると判定した場合、処理をS104に進める。
(初期レーザ出射タイミング設定)
S104で、CPU401は、図14に示す手順(S111〜S117)に従って、初期レーザ出射タイミング設定を実行する。まず、S111で、CPU401は、図15に示す手順(S121〜S130)に従って、BD間隔測定を実行する。更に、S112で、CPU401は、所定の回数(本実施例では一例として4回に設定する。)だけBD間隔測定を実行済みであるか否かを判定する。即ち、CPU401は、4個のカウント値(測定値)Csが得られたか否かを判定する。S112において4個のカウント値Csが得られていないと判定した場合、CPU401は、処理をS111に戻し、S121〜S130の処理を再度実行することで、BD間隔測定を繰り返す。一方、S112において4個のカウント値Csが得られたと判定した場合、CPU401は、処理をS113に進める。このようにして、CPU401は、BD間隔測定を4回繰り返し、4個のBD間隔測定値を得る。
ここで、図15を参照して、BD間隔測定の手順(S121〜S130)について説明する。BD間隔測定を開始する際、CPU401は、S121で、発光素子1及び32についてBD間隔測定用の光量を設定する。
図9は、BDセンサ207の受光光量とBD間隔との関係の一例を示す図である。BDセンサ207にレーザ光が入射した際のBDセンサ207の応答速度は、入射光量に応じて変化する。このため、BDセンサ207への入射光量が変化すると、BDセンサ207によって生成されるパルス(BD信号)の時間間隔(BD間隔)の測定結果に誤差が生じる可能性がある。図9では、発光素子N(LDN)から出射されたレーザ光のBDセンサ207による受光光量が、光量1から光量2に変化した場合に、測定されるBD間隔がBD間隔1からBD間隔2に変化している。これは、BDセンサ207によって生成される、BD信号に相当するパルスの立ち上がり速度及び立ち下がり速度(即ち、BDセンサ207の応答速度)が、BDセンサ207の受光光量に依存するためである。
このようなBDセンサ207の受光光量の変化によって、BD間隔の測定結果に誤差が生じると、各発光素子のレーザ出射タイミングの制御を適切に行うことができなくなる。このため、本実施例では、BD間隔測定を行う際に、BDセンサ207の受光光量を一定とするため、発光素子1及び32についてBD間隔測定用の光量を予め定められた一定の光量に設定する(S121)。
次に、CPU401は、S122で、レーザドライバ200を制御して、設定した光量で発光素子1を点灯させるとともに、S123で、BDセンサ207からの入力信号においてBD信号が検出されたか否かを判定する。BD信号が検出されていないと判定した場合、CPU401は、S123の判定処理を繰り返す。一方、BD信号が検出されたと判定した場合、CPU401は、処理をS124に進める。S124で、CPU401は、検出されたBD信号を起点として、CLK信号生成部404から入力されるCLK信号のパルスのカウントを開始する。更に、S125で、CPU401は、発光素子1を消灯させる。
続いて、CPU401は、S126で、レーザドライバ200を制御して、設定した光量で発光素子32を点灯させるとともに、S127で、BDセンサ207からの入力信号においてBD信号が検出されたか否かを判定する。BD信号が検出されていないと判定した場合、CPU401は、S127の判定処理を繰り返す。一方、BD信号が検出されたと判定した場合、CPU401は、処理をS128に進める。CPU401は、S128で、BD信号が検出された際のカウント値(測定値)Csをメモリ406に格納し、更に、S129で、発光素子32を消灯させる。なお、カウント値Csは、発光素子1及び32に対応する2つのBD信号の時間間隔(BD間隔)の測定値に相当する。
S128では、CPU401は、BD間隔測定により得られたカウント値(測定値)Csを、図11に示す測定値D0〜D3としてメモリ406に保存する。具体的には、CPU401は、D1、D2、D3にそれぞれ格納されている値を、順にD0、D1、D2に移動(シフト)させ、最後に、得られたカウント値CsをD3に格納する。これにより、最新の4回のBD間隔測定によって得られた測定値がD0〜D3に格納された状態となる。なお、D0〜D3に対応する記憶領域は、メモリ406に確保されている。
最終的にS130で、CPU401は、画像形成処理に備えて、発光素子1〜32のそれぞれが出射するレーザ光の光量を、画像形成用の光量に設定し、BD間隔測定を終了する。
図14に説明を戻し、CPU401は、S112からS113に処理を進めと、S113で、測定間隔データF0〜F3を初期化する。本実施例では、画像形成開始前の上述のBD間隔測定は、等間隔の時間間隔で行われるものとする。このため、CPU401は、測定間隔データF0〜F3には、初期値として全て1を設定する。なお、F0〜F3に対応する記憶領域は、メモリ406に確保されている。
次に、S114で、CPU401は、重み付け係数W0〜W3を初期化する。ここで、W0〜W3は、BD間隔測定の実行タイミングから現時点(平均化処理を行う時点)までの時間差に応じて設定されうる。測定間隔データF0〜F3には全て1が設定されており、即ち、W0〜W3に対応する4回のBD間隔測定は、等間隔の時間間隔で実行されている。このため、W0〜W3は、直線的に変化する値となるよう、例えば、1/10、2/10、3/10、4/10に初期化される。なお、W0〜W3に対応する記憶領域は、メモリ406に確保されている。
S114の後、S115で、CPU401は、測定値D0〜D3に対する平均化処理を行う。具体的には、CPU401は、図11に示す移動平均フィルタを用いて(即ち、式(3)を用いて)、最新の4回のBD間隔測定で得られた測定値Csの平均値Cs'を算出する。
次に、S116で、CPU401は、BD間隔の測定結果である、S115で得られた平均値Cs'に基づいて、主走査方向の静電潜像の書き出し位置を補正するための補正値As1〜As32を生成(設定)する。具体的には、CPU401は、平均値Cs'と、メモリ406に予め格納されている基準カウント値Crとに基づいて、式(2)を用いて補正値As1〜As32を生成する。なお、式(2)のCsとして平均値Cs'を使用する。更に、S117で、CPU401は、生成した補正値As1〜As32を式(1)に適用することで、発光素子1〜32のそれぞれに対して設定すべき発光開始タイミング値A1〜A32を設定する。以上により、CPU401は、初期レーザ出射タイミング設定を完了し、処理をS105(図13)に進める。
S105で、CPU401は、中央画像処理部130からスキャナユニット制御部210に入力される画像データに基づいて、1枚の記録紙に対する画像形成処理を実行する。本実施例では、発光素子等の温度変化による結像位置S1〜SNのずれを補償するために、1枚の記録紙に画像形成を行うごとに、次の記録紙への画像形成を開始するまでの非画像形成期間に、1回のBD間隔測定を実行するものとする。ただし、BD間隔測定の実行タイミングは任意に定めることが可能である。例えば、所定の枚数の記録紙へ画像形成を行うごとに、次の記録紙への画像形成を開始するまでの非画像形成期間に、1回のBD間隔測定を実行してもよい。また、1つの非画像形成期間に複数回のBD間隔測定を実行してもよい。
具体的には、CPU401は、レーザドライバ200を制御して、(S130で)設定した光量で発光素子を点灯させる。その際、CPU401は、(S117または後述するS146で)で決定したA1〜A32を画像出力制御部405に設定することで、各発光素子からの、画像データに基づくレーザ光の出射タイミングを制御する。なお、画像出力制御部405は、A1〜A32に従ったタイミングに、画像データに対応するレーザ駆動パルス信号をレーザドライバ200に出力する。レーザドライバ200は、レーザ駆動パルス信号に基づく駆動電流を各発光素子に供給することで、各発光素子から画像データに基づくレーザ光を出射させる。このようにして、1枚の記録紙に対する画像形成が完了すると、CPU401は、処理をS106に進める。
S106で、CPU401は、次の記録紙への画像形成を開始する前に、上述のような、画像形成のための調整動作を実行するか否かを判定する。S106で、CPU401は、このような調整動作を実行すると判定した場合、処理をS107に進め、実行しないと判定した場合、処理をS109に進める。
S107で、CPU401は、調整動作の実行前に、後述する図16に示す手順(S141〜S146)に従って、レーザ出射タイミング設定を実行する。これにより、CPU401は、BD間隔測定を実行し、測定値D0〜D3を更新するとともに、測定間隔データF0〜F3及び重み付け係数W0〜W3を更新する。更に、CPU401は、これらのデータに基づいて、測定値D0〜D3を平均化し、発光開始タイミング値A1〜A32を新たに設定する。その後S108で、CPU401は、調整動作を実行し、調整動作が完了すると処理をS109に進める。
S109で、CPU401は、次の記録紙への画像形成用の画像データが有るか否かを判定することで、画像形成処理を終了するか否かを判定する。CPU401は、画像データがないと判定した場合、画像形成ジョブの実行を終了し、光走査部104(画像形成装置100)を待機状態に移行させ、画像データがあると判定した場合、処理をS110に進める。
S110で、CPU401は、S107と同様、後述する図16に示す手順(S141〜S146)に従って、レーザ出射タイミング設定を実行する。れにより、CPU401は、BD間隔測定を実行し、測定値D0〜D3を更新するとともに、測定間隔データF0〜F3及び重み付け係数W0〜W3を更新する。更に、CPU401は、これらのデータに基づいて、測定値D0〜D3を平均化し、発光開始タイミング値A1〜A32を新たに設定する。その後、CPU401は、処理をS105に戻し、中央画像処理部130からスキャナユニット制御部210に入力される画像データに基づいて、1枚の記録紙に対する画像形成を実行する。このようにして、非画像形成期間において実行されるBD間隔測定に基づいて更新されたA1〜A32を用いて画像形成が行われる。
(レーザ出射タイミング設定)
次に、図16を参照して、S107及びS110で実行される、レーザ出射タイミング設定の手順(S141〜S146)について説明する。まず、S141で、CPU401は、図15に示す手順(S121〜S130)に従って、上述のようにBD間隔測定を実行することにより、測定値D0〜D3を更新する。
次に、S142で、CPU401は、図17に示す手順(S151〜S156)に従って、測定間隔データF0〜F3を更新する。まず、S151〜S153で、CPU401は、F1、F2、F3にそれぞれ格納されている値を、順にF0、F1、F2に移動(シフト)させる。
その後、CPU401は、S154〜S156で、F3に新たな値を設定する。S154で、CPU401は、次の記録紙への画像形成の開始前に、調整動作を実行するか否か(即ち、調整動作の実行開始前であるか否か)を判定する。ここで、CPU401は、S107における処理を実行中である場合には、調整動作を実行すると判定し、処理をS155に進め、S110における処理を実行中である場合には、調整動作を実行しないと判定し、処理をS156に進める。
本実施例では、非画像形成期間において調整動作を行う場合には、当該調整動作の後に再びBD間隔測定を実行する(S110)。一方、非画像形成期間において調整動作を行わない場合には、画像形成ジョブの実行が終了しない限り、次の記録紙への画像形成の後に再びBD間隔測定を実行する(S108またはS110)。S141において実行した今回のBD間隔測定(S141)の実行タイミングから、次のBD間隔測定の実行タイミングまでの時間差は、非画像形成期間において調整動作を行うか否かに応じて変化し、調整動作を行う場合の方が長くなる。
このため、本実施例では、非画像形成期間において調整動作を行う場合には、CPU401は、S155において相対的に長い時間差を示す値3をF3に設定する(F3=3)。一方、非画像形成期間において調整動作を行わない場合には、CPU401は、S156において相対的に短い時間差を示す値1をF3に設定する(F3=1)。これにより、非画像形成期間において調整動作が行われたか否かを測定間隔データに反映させることができる。CPU401は、S155またはS156でF3に値を設定すると、測定間隔データの更新を終了し、処理をS143に進める。
S143(図16)で、CPU401は、図18に示す手順(S161〜S169)に従って、重み付け係数W0〜W3を更新する。まず、CPU401は、S161で、変数Wを1に初期化し(W=1)、W0に新たな値としてWの値を設定する(W0=W=1)。次に、CPU401は、S163で、変数iを1に初期化し(i=1)、S164〜S167で、変数Wを用いてW1〜W3に新たな値を設定する。
具体的には、S164で、CPU401は、iが4以上であるか否かを判定し、iが4以上である場合にはS168へ、iが4未満である場合にはS165へ、処理を進める。次に、CPU401は、S165で、変数Wに測定間隔データFi-1の値を加算しすることで、Wを更新し(W=W+Fi-1)、S166で、Wiに更新後のWの値を設定する(Wi=W)。その後S167で、CPU401は、iを1インクリメントして、処理をS164に戻す。このような繰り返し処理により、測定間隔データFiの値の累積値が求められる。当該累積値は、各BD間隔測定が実行されてから平均化処理を行う時点までの時間差に対応し、その期間内の測定実行回数と、調整動作の実行回数とが反映されている。したがって、W1〜W3の値は、このような累積値に基づく新たな値に更新される。
CPU401は、上述の繰り返し処理によりW1〜W3の値を新たな値に更新すると、処理をS168に進める。S168で、CPU401は、新たな値に更新されたW0〜W3の総和Wtを算出する。更に、S169で、W0〜W3をWtで除算することで、正規化された重み付け係数W0〜W3を算出し、重み付け係数の更新を終了する。その後、処理をS144に進める。
S144(図16)で、CPU401は、S115と同様に、測定値D0〜D3に対する平均化処理を行う。具体的には、CPU401は、図11に示す移動平均フィルタを用いて(即ち、式(3)を用いて)、最新の4回のBD間隔測定で得られた測定値Csの平均値Cs'を算出する。
次に、S145で、CPU401は、S116と同様に、BD間隔の測定結果(S144で得られた平均値Cs')に基づいて、主走査方向の静電潜像の書き出し位置を補正するための補正値As1〜As32を生成(設定)する。更に、S146で、CPU401は、S117と同様に、生成した補正値As1〜As32を式(1)に適用することで、発光素子1〜32のそれぞれに対して設定すべき発光開始タイミング値A1〜A32を設定する。以上により、CPU401は、レーザ出射タイミング設定を完了し、処理をS108またはS105(図13)に進める。
本実施例では、1枚の記録紙に対する画像形成が完了するごとに、次の記録紙に対する画像形成の開始前の非画像形成期間内に、BD間隔測定が実行される。これにより、画像形成の実行中に補正値As1〜AsNを逐次的に更新できるため、発光素子等の温度変化に追従して、発光素子1〜32からのレーザ光の出射タイミングを制御することが可能になる。なお、BD間隔測定の実行タイミングは任意に設定可能である。例えば、2枚以上の所定の枚数の記録紙に対する画像形成が完了するごとに、次の記録紙に対する画像形成の開始前の非画像形成期間内に、BD間隔測定を実行してもよい。
以上説明したように、本実施例でCPU401は、BD間隔測定で得られた最新の測定値と過去の測定値とのそれぞれについて、各測定が実行されてから平均化処理の時点までの、測定実行回数と、調整動作の実行回数とに基づいて、重み付け係数を設定する。更に、CPU401は、設定した重み付け係数を用いて測定値の加重移動平均を算出し、得られた平均値に応じてレーザ出射タイミング制御を行う。
本実施例によれば、BD間隔の測定結果の平均化によって得られる平均値に対する各測定値の寄与を、実際のBD間隔との誤差を抑えるように制御することができる。これにより、BD間隔測定の測定結果をより高い精度で得ることができ、レーザ出射タイミング制御の精度を向上させることができる。
なお、上述の平均化処理では、複数の記録紙への画像形成を行う1つの画像形成ジョブの実行中の、それぞれ異なる非画像形成期間において得られた、最新の測定値と過去の測定値とを用いている。しかし、平均化処理に用いる測定値は、1つの画像形成ジョブの実行中に得られた測定値に限られず、それぞれ異なる画像形成ジョブの実行中の非画像形成期間において得られた測定値であってもよい。そのような場合にも、上述の実施例と同様の効果を得ることが可能である。
[実施例2]
実施例2では、最新及び過去の各BD間隔測定が実行されてから平均化処理を行う時点までの、測定実行回数及び調整動作の実行回数に加えて、画像形成が行われた各記録紙のサイズに基づいて、重み付け係数の設定に用いる時間差を特定する。本実施例では、CPU401は、実施例1と同様、1枚以上の記録紙に画像形成を行うための画像形成ジョブが中央画像処理部130に入力されると、図11に示す手順に従った処理を実行する。ただし、CPU401は、S107またはS110で実行する測定間隔データの更新(S142)を、図17ではなく、図19に示す手順に従って実行する。なお、以下では、重複した説明を避けるため、実施例1と共通する部分に関する説明については省略する。
S142で、CPU401は、図19に示す手順(S151〜S153、S251〜S255)に従って、測定間隔データF0〜F3を更新する。まず、S151〜S153で、CPU401は、実施例1と同様、F1、F2、F3にそれぞれ格納されている値を、順にF0、F1、F2に移動(シフト)させる。
その後、CPU401は、S251〜S255で、F3に新たな値を設定する。S251で、CPU401は、次の記録紙への画像形成の開始前に、調整動作を実行するか否か(即ち、調整動作の実行開始前であるか否か)を判定する。ここで、CPU401は、S107における処理を実行中である場合には、調整動作を実行すると判定し、処理をS252に進め、S110における処理を実行中である場合には、調整動作を実行しないと判定し、処理をS253に進める。
S252で、CPU401は、非画像形成期間において調整動作を行う場合には、相対的に長い時間差を示す値3をF3に設定する(F3=3)。一方、非画像形成期間において調整動作を行わない場合には、CPU401は、S253で、次の画像形成(S105)において、通常のサイズとは異なるA3サイズの記録紙を使用するか否かを判定する。なお、通常では、A4サイズの記録紙を使用しているものとする。CPU401は、A3サイズの記録紙を使用すると判定した場合、処理をS254に進め、A3サイズの記録紙に対応する時間差を示す値2をF3に設定する(F3=2)。一方、CPU401は、A3サイズの記録紙を使用しない(即ち、A4サイズの記録紙を使用する)と判定した場合、処理をS255に進め、A4サイズの記録紙に対応する時間差を示す値1をF3に設定する(F3=1)。
A3サイズの記録紙に画像形成を行う場合、A4サイズの記録紙の場合と比較して、画像形成に要する時間が副走査方向において約2倍となる。このため、本実施例では、S253〜S255の処理により、このような記録紙のサイズに起因したBD間隔測定の実行時間間隔の変化を、測定間隔データF0〜F3に反映させる。CPU401は、S252、S254またはS255でF3に値を設定すると、測定間隔データの更新を終了し、処理をS143に進める。
これにより、CPU401は、S143で、BD間隔測定で得られた各測定値について、各測定が実行されてから平均化処理の時点までの、測定実行回数及び調整動作の実行回数に加えて、画像形成に用いた各記録紙のサイズに基づいて、W0〜W3を設定する。即ち、BD間隔測定の実行時間間隔を、通常のA4サイズの画像形成に対応する時間間隔に対して、A3サイズの画像形成に対応する時間間隔については2倍、画像調整に対応する時間間隔については3倍に設定して、重み付け係数を設定している。
本実施例によれば、各BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差を、実施例1よりも高い精度で特定し、その時間差に基づく重み付け係数を設定することが可能である。その結果、BD間隔測定の測定結果をより高い精度で得ることができ、レーザ出射タイミング制御の精度を向上させることができる。
なお、測定間隔データF0〜F3を更新する際に考慮する記録紙のサイズは、A3及びA4サイズに限らず、その他のサイズを考慮してもよい。また、調整動作についても、実行する動作の種類(例えば、書き出し位置調整、濃度調整等)に応じて異なる値を用いて、測定間隔データF0〜F3を更新できるようにしてもよい。
[実施例3]
実施例3では、各BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差を、実施例1及び2よりも更に高い精度で特定する例を示す。具体的には、BD間隔測定を実行してから次にBD間隔測定を実行するまでの時間間隔を、BD間隔測定の実行時間間隔として測定する。更に、BD間隔測定で得られた最新の測定値と過去の測定値とのそれぞれについて、各測定が実行されてから平均化処理を行う時点までの、測定した実行時間間隔の累積値を、重み付け係数の設定に用いる時間差として特定する。
本実施例では、CPU401は、実施例1と同様、1枚以上の記録紙に画像形成を行うための画像形成ジョブが中央画像処理部130に入力されると、図11に示す手順に従った処理を実行する。ただし、CPU401は、S104、S107またはS110で実行するBD間隔測定(S111、S141)を、図15ではなく、図20に示す手順に従って実行する。また、CPU401は、S107またはS110で実行する測定間隔データの更新(S142)を、図17ではなく、図21に示す手順に従って実行する。なお、以下では、重複した説明を避けるため、実施例1と共通する部分に関する説明については省略する。
本実施例では、図20に示すように、CPU401は、BD間隔測定(S111、S141)を実行する際に、測定間隔カウンタを使用して、BD間隔測定の実行時間間隔として測定する。具体的には、CPU401は、S130の後、BD間隔測定(S111、S141)を終了する際に、S322で、CLK信号生成部404から供給されるCLK信号のパルスのカウントを開始することで、測定間隔カウンタを0からスタートさせる。その後、CPU401は、次のBD間隔測定(S111、S141)の実行を開始する際に、S121の前に、S321で、測定間隔カウンタの値を測定間隔データFzに格納する。なお、Fzに対応する記憶領域は、メモリ406に確保されている。このようにして、CPU401は、BD間隔測定の実行時間間隔の測定結果を、Fzとして得ることができる。
また、図21に示すように、CPU401は、S142で、測定間隔データF0〜F3を更新する際には、まず、測定間隔データF0〜F2を更新する。具体的には、S151〜S153で、CPU401は、実施例1と同様、F1、F2、F3にそれぞれ格納されている値を、順にF0、F1、F2に移動(シフト)させる。その後、CPU401は、S351で、F3に、Fzの値を新たな値として設定することで、測定間隔データの更新を終了し、処理をS143に進める。
これにより、CPU401は、S143で、BD間隔測定で得られた各測定値について、各測定が実行されてから平均化処理の時点までの、BD間隔測定の実行時間間隔の累積値に基づいて、重み付け係数W0〜W3を設定する。
本実施例によれば、各BD間隔測定の実行タイミングから平均化処理の実行タイミング(現時点)までの時間差を、実施例1及び2よりも高い精度で特定し、その時間差に基づく重み付け係数を設定することが可能である。その結果、BD間隔測定の測定結果をより高い精度で得ることができ、レーザ出射タイミング制御の精度を向上させることができる。
100:画像形成装置、102(Y,M,C,K):感光ドラム、104(Y,M,C,K):光走査部、201:レーザ光源、LD1〜LDN:発光素子1〜N、204:ポリゴンミラー、207:BDセンサ、401:CPU

Claims (11)

  1. それぞれが光ビームを出射する複数の発光素子を含む光源と、前記複数の発光素子から出射された複数の光ビームが感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、を備え、前記複数の光ビームによって走査されることによって前記感光体上に形成される静電潜像をトナーによって現像し、現像されたトナー像を記録媒体に転写する画像形成装置であって、
    前記偏向手段によって偏向された光ビームの走査路上に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射することによって当該光ビームを検出したことを示す検出信号を出力する光学センサと、
    1枚の記録媒体に転写すべきトナー像を形成するための静電潜像の形成を終了してから次の記録媒体に転写すべきトナー像を形成するための静電潜像の形成を開始するまでの、記録媒体に転写するトナー像を形成するための静電潜像の形成を行わない非画像形成期間に、前記複数の発光素子のうちの第1及び第2の発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される2つの検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、
    前記測定手段による測定で得られた最新の測定値と、過去の非画像形成期間における前記測定で得られた過去の測定値とを、各測定値を得るための前記測定の実行タイミングから現時点までの時間差に基づいて、各測定値を得るための前記測定の実行タイミングから現時点までの前記時間差が大きいほど、小さい重み付け係数で重み付けして平均化する平均化手段と、
    記録媒体への画像形成を行う際に、前記複数の発光素子のそれぞれの、画像データに基づく相対的な光ビームの出射タイミングを、前記平均化手段によって得られた平均値に応じて制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記平均化手段は、前記最新の測定値と前記過去の測定値とのそれぞれについて、各測定値を得るための前記測定が実行されてから現時点までに、前記測定が実行された回数と、画像形成条件を調整するための調整動作が実行された回数とに基づいて、前記時間差を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記平均化手段は、前記最新の測定値と前記過去の測定値とのそれぞれについて、各測定値を得るための前記測定が実行されてから現時点までに、前記測定が実行された回数と、画像形成条件を調整するための調整動作が実行された回数と、画像形成が行われた各記録媒体のサイズとに基づいて、前記時間差を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記測定手段は、更に、前記測定を実行してから次に前記測定を実行するまでの時間間隔を、前記測定の実行時間間隔として測定し、
    前記平均化手段は、前記最新の測定値と前記過去の測定値とのそれぞれについて、各測定値を得るための前記測定が実行されてから現時点までの、前記測定の実行時間間隔の累積値を、前記時間差として特定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記最新の測定値及び前記過去の測定値は、複数の記録紙への画像形成を行う1つの画像形成ジョブの実行中の、それぞれ異なる非画像形成期間において得られた測定値であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記最新の測定値及び前記過去の測定値は、それぞれ異なる画像形成ジョブの実行中の非画像形成期間において得られた測定値であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記平均化手段は、前記最新の測定値と1つ以上の前記過去の測定値とを含む、予め定められた数の測定値を平均化することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記制御手段による制御の基準となる基準値と、前記基準値に対応して定められた、前記複数の発光素子のそれぞれの前記出射タイミングを示すタイミング値とを予め格納した記憶手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記複数の発光素子のそれぞれについて、前記測定手段によって測定された時間間隔と前記基準値との差に応じて前記タイミング値を補正して得られる値を用いて、前記出射タイミングを制御する
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御手段は、前記光学センサから出力される前記1つの検出信号に対する、前記複数の発光素子のそれぞれの、画像データに基づく光ビームの出射タイミングの相対遅延時間を、前記測定手段による測定で得られた測定値に応じて制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記複数の発光素子は、前記光源において直線状に一列に配置されており、
    前記第1及び第2の発光素子は、前記複数の発光素子のうち、両端に配置された発光素子である
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記感光体と、
    前記感光体を帯電させる帯電手段と、
    前記複数の光ビームの走査によって前記感光体に形成された静電潜像を現像して、記録媒体に転写すべきトナー像を前記感光体に形成する現像手段と
    を更に備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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