JP2015011329A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の発光素子を備える光走査装置で、複数の発光素子を備える光走査装置で、回転多面鏡に発生した汚れを、簡易な装置構成でより精度よく検出する技術を提供する。【解決手段】本発明の光走査装置は、回転多面鏡(ポリゴンミラー)の反射面の汚れが当該面内で不均一となる特性を利用して、その汚れ量を検出する。具体的には、光走査装置は、複数の発光素子のうちの2つの発光素子のそれぞれからのレーザ光が順に光学センサ(BDセンサ)に入射するよう光源を制御するとともに、BDセンサから順に出力される、各レーザ光に対応するBD信号の時間間隔を測定する。更に、光走査装置は、測定されたBD信号の時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、ポリゴンミラーの反射面の汚れの有無を判定する。【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成装置で使用可能な光走査装置、及び画像形成装置に関するものである。
従来、光源から出射された光ビームを回転多面鏡によって偏向するとともに、偏向した光ビームによって感光体を走査することで、感光体上に静電潜像を形成する画像形成装置が知られている。このような画像形成装置は、回転多面鏡によって偏向された光ビームを検出するための光学センサ(ビーム検出(BD)センサ)を備えており、当該光学センサは、光ビームを検出すると同期信号を生成する。画像形成装置は、光学センサによって生成される同期信号を基準として定めたタイミングに、光源から光ビームを出射させることで、光ビームが感光体上を走査する方向(主走査方向)における静電潜像(画像)の書き出し位置を一定とする。
また、画像形成速度の高速化及び画像の高解像度化を実現するために、感光体上でそれぞれ異なるラインを並列に走査する複数の光ビームを出射する複数の発光素子を光源として備える画像形成装置が知られている。このようなマルチビーム方式の画像形成装置では、複数の光ビームで複数のラインを同時に走査することで画像形成速度の高速化を実現するとともに、副走査方向におけるライン間の間隔を調整することによって、画像の高解像度化を実現する。
しかし、上述のように回転多面鏡によって光ビームを偏向することで感光体を光ビームで走査する光走査装置では、回転多面鏡の反射面に汚れが生じると、当該反射面で光ビームが反射する際の反射率が低下する。このような反射面の汚れは、大気中に存在する埃等の粒子が、回転多面鏡の回転によって発生する気流によって、反射面の一部に付着することで発生し、当該反射面内は不均一に発生する。例えば、光ビームの走査路における走査開始側に光学センサが設けられている場合、回転多面鏡の反射面の端部に汚れが発生すると、当該光学センサへの光ビームの入射光量が低下し、当該光学センサによる光ビームの検出精度が低下する。また、この場合、各主走査ラインにおける画像書き出し開始位置付近において、形成される画像に濃度変動等が発生することもある。
特許文献1には、上述のような回転多面鏡(ポリゴンミラー)の汚れを検出する方法が提案されている。当該方法では、回転多面鏡の反射面で反射したレーザ光を検出するためのPD(フォトダイオード)センサの出力レベルに基づいて、回転多面鏡の汚れを判定する。
特開2006−11300号公報
しかし、特許文献1のように、PDセンサの出力レベルに基づいて回転多面鏡の汚れを判定する場合、PDセンサの出力レベルを精度よく検出するためのレベル検出回路が必要となる。そのようなレベル検出回路を光走査装置に設けると、コストアップを招くことになる。また、回転多面鏡に微小な汚れ量の汚れが発生した場合、汚れ量の検出誤差が発生しやすいという問題がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。本発明は、複数の発光素子を備える光走査装置で、回転多面鏡に発生した汚れを簡易な装置構成でより精度よく検出する技術を提供することを目的としている。
本発明は、例えば、光走査装置として実現できる。本発明の一態様の係る光走査装置は、複数の光ビームによって感光体を露光する光走査装置であって、それぞれが光ビームを出射する複数の発光素子を含む光源と、前記複数の発光素子から出射された複数の光ビームを反射させる反射面を有し、当該反射面で反射した複数の光ビームが前記感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記複数の光ビームの走査路上に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射することによって当該光ビームを検出したことを示す検出信号を出力する光学センサと、前記複数の発光素子のうちの2つの発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される、各光ビームに対応する前記検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された前記時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、前記反射面の汚れの有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
本発明は、例えば、画像形成装置として実現できる。本発明の一態様の係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、それぞれが光ビームを出射する複数の発光素子を含む光源と、前記複数の発光素子から出射された複数の光ビームを反射させる反射面を有し、当該反射面で反射した複数の光ビームが前記感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記複数の光ビームの走査路上に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射することによって当該光ビームを検出したことを示す検出信号を出力する光学センサと、を含み、前記複数の光ビームによって前記感光体を露光する光走査装置と、前記光走査装置による露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像して、記録媒体に転写すべき画像を前記感光体に形成する現像手段と、前記複数の発光素子のうちの2つの発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される、各光ビームに対応する前記検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、前記測定手段によって測定された前記時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、前記反射面の有無を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数の発光素子を備える光走査装置で、複数の発光素子を備える光走査装置で、回転多面鏡に発生した汚れを、簡易な装置構成でより精度よく検出する技術を提供できる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略的な断面図。 本発明の実施形態に係る光走査装置の構成を示す図。 本発明の実施形態に係る、光源及びBDセンサの概略的な構成と、光源から出射されたレーザ光による感光ドラム及びBDセンサ上の走査位置とを示す図。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御構成を示すブロック図。 第1の実施形態に係る光走査装置において、ポリゴンミラーの汚れ量を検出する際に各発光素子を点灯するタイミングを示すタイミングチャート。 第1の実施形態に係る画像形成装置で実行される、ポリゴンミラーの汚れ量を検出するための汚れ検出処理の手順を示すフローチャート。 第1の実施形態に係る、S617(図6A)で実行される処理の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る画像形成装置で実行される、ポリゴンミラーの汚れ量を検出するための汚れ検出処理の手順を示すフローチャート。 第2の実施形態に係る、S701(図7A)で実行される処理の手順を示すフローチャート。 ポリゴンミラーの回転によって発生する気流によって発生するポリゴンミラーの汚れと、発光素子1〜Nから出射された複数の光ビームL1〜LNの反射面への入射位置との関係の一例を示す図。 BDセンサに入射する光ビームの光量が変化した場合の、BDセンサによって生成されるパルスの時間間隔の変化の一例を示す図。 BDセンサに入射する光ビームL1の光量に対するBD信号の時間間隔の測定値DTの変化の一例を示す図。 第2の実施形態に係る光走査装置において、ポリゴンミラーの汚れ量を検出する際に各発光素子を点灯するタイミングを示すタイミングチャート。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
以下では、本発明の第1及び第2の実施形態として、複数色のトナー(現像剤)を用いてマルチカラー(フルカラー)画像を形成する画像形成装置及び当該画像形成装置に備えられる光走査装置に本発明を適用した場合を例に説明する。ただし、本発明は、単色(例えばブラック色)のトナーのみを用いてモノカラー画像を形成する画像形成装置及び当該画像形成装置に備えられる光走査装置に対しても適用可能である。
[第1の実施形態]
<画像形成装置のハードウェア構成>
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。画像形成装置100は、イエロー(Y)色、マゼンタ(M)色、シアン(C)色、及びブラック(Bk)色のトナーをそれぞれ用いて画像(トナー像)を形成する4つの画像形成部101Y、101M、101C、101Bkを備えている。
画像形成部101Y、101M、101C、101Bkは、感光ドラム(感光体)102Y、102M、102C、102Bkをそれぞれ備えている。感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkの周りには、帯電部103Y、103M、103C、103Bk、光走査装置104Y、104M、104C、104Bk、及び現像部105Y、105M、105C、105Bkがそれぞれ配置されている。感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkの周りには、更に、ドラムクリーニング部106Y、106M、106C、106Bkがそれぞれ配置されている。
感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkの下方には、無端ベルト状の中間転写ベルト(中間転写体)107が配置されている。中間転写ベルト107は、駆動ローラ108と、従動ローラ109及び110とに掛け渡されている。画像形成中には、図1に示す矢印Aの方向への駆動ローラ108の回転に伴って、中間転写ベルト107の周面は、矢印Bの方向へ移動する。中間転写ベルト107を介して感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkに対向する位置には、一次転写部111Y、111M、111C、111Bkが配置されている。画像形成装置100は、中間転写ベルト107上に形成されたトナー像を記録媒体S上に転写するための二次転写部112と、記録媒体S上に転写されたトナー像を当該記録媒体Sに定着させるための定着部113と更に備えている。
次に、上述の構成を有する画像形成装置100における、帯電プロセスから現像プロセスまでの画像形成プロセスについて説明する。なお、画像形成部101Y、101M、101C、101Bkのそれぞれで実行される画像形成プロセスは同様である。このため、以下では、画像形成部101Yにおける画像形成プロセスを例にして説明し、画像形成部101M、101C、101Bkにおける画像形成プロセスについては説明を省略する。
まず、画像形成部101Yの帯電部103Yが、回転駆動される感光ドラム102Y(の表面)を帯電させる。光走査装置104Yは、複数のレーザ光(光ビーム)を出射して、帯電した感光ドラム102Y(の表面)を当該複数のレーザ光によって走査することで、当該複数のレーザ光によって感光ドラム102Y(の表面)を露光する。これにより、回転する感光ドラム102Y上に静電潜像が形成される。感光ドラム102Y上に形成された静電潜像は、現像部105Yによって、Y色のトナーで現像される。その結果、感光ドラム102Y上にY色のトナー像が形成される。また、画像形成部101M、101C、101Bkでは、画像形成部101Yと同様のプロセスで、感光ドラム102M、102C、102Bk上にM色、C色、Bk色のトナー像がそれぞれ形成される。
以下、転写プロセス以降の画像形成プロセスについて説明する。転写プロセスでは、まず、一次転写部111Y、111M、111C、111Bkが中間転写ベルト107に転写バイアスをそれぞれ印加する。これにより、感光ドラム102Y、102M、102C、102Bk上に形成された4色(Y色、M色、C色、Bk色)のトナー像が、それぞれ中間転写ベルト107に重ね合わせて転写される。
中間転写ベルト107上に重ね合わせて形成された、4色のトナーから成るトナー像は、中間転写ベルト107の周面の移動に伴って、二次転写部112と中間転写ベルト107との間の二次転写ニップ部へ搬送される。中間転写ベルト107上に形成されたトナー像が二次転写ニップ部に搬送されるタイミングに合わせて、手差し給送カセット114または給紙カセット115から記録媒体Sが二次転写ニップ部へ搬送される。二次転写ニップ部では、中間転写ベルト107上に形成されているトナー像が、二次転写部112によって印加される転写バイアスの作用によって、記録媒体S上に転写される(二次転写)。
その後、記録媒体S上に形成されたトナー像は、定着部113で加熱されることで記録媒体Sに定着する。このようにしてマルチカラー(フルカラー)画像が形成された記録媒体Sは、排紙部116へ排紙される。
なお、中間転写ベルト107へのトナー像の転写が終了した後、感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkに残留するトナーが、ドラムクリーニング部106Y、106M、106C、106Bkによってそれぞれ除去される。このようにして一連の画像形成プロセスが終了すると、次の記録媒体Sに対する画像形成プロセスが続けて開始される。
画像形成装置100は、形成する画像の濃度特性を一定に保つために、濃度調整動作を行う。中間転写ベルト107に対向する位置には、中間転写ベルト107に形成されたトナー像の濃度を検出するための濃度検出センサ120が設けられている。画像形成装置100は、濃度検出センサ120を用いた所定の濃度調整動作によって、中間転写ベルト107上に形成された各色のトナー像の濃度を検出する。光走査装置104Y、104M、104C、104Bkは、濃度検出センサ120によって検出される各色のトナー像の濃度が所定値となるように、光源から出射する光ビームの光量を調整することで、形成される画像の濃度特性を調整できる。なお、このような濃度特性の調整のための光ビームの光量の調整は、後述する自動光量制御(APC)で使用する光量目標値(目標光量)を調整することによって実現される。
<光走査装置のハードウェア構成>
次に、図2及び図3を参照して、光走査装置104Y、104M、104C、104Bkの構成を説明する。なお、画像形成部101Y、101M、101C、101Bkの構成は同一であるため、以下では、添え字Y、M、C、Bkを省略した表記を行う場合がある。例えば、感光ドラム102と表記した場合、感光ドラム102Y、102M、102C、102Bkのそれぞれを表し、光走査装置104と表記した場合、光走査装置104Y、104M、104C、104Bkのそれぞれを表すものとする。
図2は、光走査装置104の構成を示す図である。光走査装置104は、レーザ光源201と、各種の光学部材202〜206(コリメータレンズ202、シリンドリカルレンズ203、ポリゴンミラー(回転多面鏡)204、fθレンズ205及び206)とを備える。レーザ光源(以下、単に「光源」と称する。)201は、駆動電流に応じた光量のレーザ光(光ビーム)を発生させて出力(出射)する。コリメータレンズ202は、光源201から出射されたレーザ光を、平行光に整形する。シリンドリカルレンズ203は、コリメータレンズ202を通過したレーザ光を、副走査方向(感光ドラム102の回転方向に対応する方向)へ集光する。
シリンドリカルレンズ203を通過したレーザ光は、ポリゴンミラー204が備える複数の反射面のうちのいずれかの反射面に入射する。ポリゴンミラー204は、入射したレーザ光が連続的な角度で偏向されるように、回転しながら各反射面でレーザ光を反射させる。ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光は、fθレンズ205、206に順に入射する。fθレンズ(走査レンズ)205、206を通過することで、レーザ光は、感光ドラム102を等速で走査する走査光となる。
光走査装置104は、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光の走査路上に、レーザ光を検出するための光学センサとして、ビーム検出(BD)センサ207を更に備える。即ち、BDセンサ207は、複数のレーザ光(光ビーム)が感光ドラム102を走査する際の走査路上に設けられている。BDセンサ207は、ポリゴンミラー204によって偏向されたレーザ光が入射することによって、当該レーザ光を検出したことを示す検出信号(BD信号)を、(水平)同期信号として出力する。後述するように、BDセンサ207から出力される同期信号を基準として、画像データに基づく各発光素子(LD1〜LDN)の点灯タイミングが制御される。
次に、図3を参照して、光源201の構成と、光源201から出射されたレーザ光による感光ドラム102及びBDセンサ207上の走査位置とについて説明する。
まず、図3(a)は、光源201の拡大図であり、図3(b)は、光源201から出射されたレーザ光による感光ドラム102上の走査位置を示す図である。光源201は、それぞれがレーザ光を出射(出力)するN個の発光素子(LD1〜LDN)を備える。また、光源201は、少なくとも3つの発光素子を備える(N≧3)。光源201のn番目(nは1〜Nの整数)の発光素子n(LDn)は、レーザ光Lnを出射する。図3(a)のX軸方向は、ポリゴンミラー204によって偏向された各レーザ光が感光ドラム102上を走査する方向(主走査方向)に対応する方向である。また、Y軸方向は、主走査方向に直交する方向であり、感光ドラム102の回転方向(副走査方向)に対応する方向である。
図3(b)に示すように、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されたレーザ光L1〜LNは、感光ドラム102上で、副走査方向においてそれぞれ異なる位置S1〜SNに、スポット状に結像する。これにより、レーザ光L1〜LNは、感光ドラム102上で、副走査方向において隣接する複数の主走査ラインを並列に走査する。また、発光素子1〜Nが、光源201内で図3(a)に示すようにアレイ状に配置されていることに起因して、レーザ光L1〜LNは、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、主走査方向においてもそれぞれ異なる位置に結像する。なお、図3(a)では、N個の発光素子(LD1〜LDN)は、光源201において直線状に(1次元に)一列に配置されているが、2次元に配置されていてもよい。
図3(a)に示すD1は、X軸方向における、発光素子1(LD1)と発光素子N(LDN)との間隔(距離)を表す。本実施形態では、発光素子1及びNは、光源201において直線状に一列に配置された複数の発光素子のうち、両端に配置された発光素子である。発光素子Nは、X軸方向において発光素子1から最も離れている。このため、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、複数のレーザ光のうち、レーザ光LNの結像位置SNは、レーザ光L1の結像位置S1から、主走査方向において最も離れた位置となる。
図3(a)に示すD2は、Y軸方向における、発光素子1(LD1)と発光素子N(LDN)との間隔(距離)を表す。複数の発光素子のうち、発光素子Nは、Y軸方向において発光素子1から最も離れている。このため、図3(b)に示すように、感光ドラム102上で、複数のレーザ光のうち、レーザ光LNの結像位置SNは、レーザ光L1の結像位置S1から、副走査方向において最も離れた位置となる。
Y軸方向(副走査方向)の発光素子間隔Ps=D2/N−1は、画像形成装置100が形成する画像の解像度に対応する間隔である。Psは、感光ドラム102上で副走査方向に隣接する結像位置Snの間隔が、所定の解像度に対応する間隔となるよう、画像形成装置100の組立工程において光源201を、図3(a)に示すXY平面上で回転調整することで設定される値である。また、X軸方向(主走査方向)の発光素子間隔Pm=D1/N−1は、Y軸方向の発光素子間隔Psに依存して一意に定まる値である。
BDセンサ207によって同期信号(BD信号)が生成及び出力されたタイミングを基準とした、各発光素子(LDn)からレーザ光を出射させるタイミングは、発光素子ごとに、組立工程において所定の治具を用いて設定される。設定された発光素子ごとのタイミングは、画像形成装置100の工場出荷時に、初期値としてメモリ406(図4)に格納される。このようにして設定される、各発光素子(LDn)からレーザ光を出射させるタイミングの初期値には、Pmに対応した値が設定される。
次に、図3(c)は、BDセンサ207の概略的な構成と、光源201から出射されたレーザ光によるBDセンサ207上の走査位置とを示す図である。BDセンサ207は、光電変換素子が平面状に配置された受光面207aを備える。受光面207aにレーザ光が入射することによって、BDセンサ207は、レーザ光を検出したことを示すBD信号(同期信号)を生成して出力する。本実施形態の光走査装置104は、発光素子1及びN(LD1及びLDN)から出射されたレーザ光L1及びLNをBDセンサ207に順に入射させることによって、それぞれのレーザ光に対応する(2つの)BD信号を、BDセンサ207から順に出力させる。
図3(c)では、受光面207aの主走査方向の幅、及び副走査方向に対応する方向の幅を、それぞれD3及びD4として表している。本実施形態では、発光素子1及びN(LD1及びLDN)からそれぞれ出射されたレーザ光L1及びLNは、図3(c)に示すようにBDセンサ207の受光面207aを走査する。このため、レーザ光L1及びLNがいずれも受光面207aに入射可能となるよう、幅D4は、D4>D2×αを満たす値に定められている。ただし、αは、各種レンズを通過したレーザ光L1及びLNの間隔についての副走査方向の変動率である。また、発光素子1及びN(LD1及びLDN)を同時に点灯させた場合であっても、レーザ光L1及びLNが同時に受光面207aに入射しないよう、幅D3は、D3<D1×βを満たす値に定められている。ただし、βは、各種レンズを通過したレーザ光L1及びLNの間隔についての主走査方向の変動率である。
<画像形成装置の制御構成>
図4は、本実施形態に係る画像形成装置100の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、制御構成として、CPU401、レーザドライバ403、クロック(CLK)信号生成部404、画像処理部405、メモリ406、及びモータ407を備える。なお、本実施形態では、図4に示すレーザドライバ403、光源201及びBDセンサ207は、光走査装置104に備わっているものとする。
CPU401は、内部にカウンタ402を備え、メモリ406に格納された制御プログラムを実行することで、画像形成装置100全体を制御する。CLK信号生成部404は、所定周波数のクロック信号(CLK信号)を生成し、生成したCLK信号をCPU401及びレーザドライバ403に出力する。CPU401は、カウンタ402によって、CLK信号生成部404から入力されるCLK信号をカウントするとともに、当該CLK信号に同期して、レーザドライバ403及びモータ407に制御信号を送信する。
モータ407は、ポリゴンミラー204を回転駆動させるポリゴンモータである。モータ407は、回転速度に比例した周波数信号を発生させる周波数発電機(FG:Frequency Generator)方式を採用した速度センサ(図示せず)を備える。モータ407は、ポリゴンミラー204の回転速度に応じた周波数のFG信号を速度センサによって発生させ、CPU401に出力する。CPU401は、モータ407から入力されるFG信号の発生周期を、カウンタ402のカウント値に基づいて測定する。測定したFG信号の発生周期が所定の周期に達すると、CPU401は、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の速度に達したと判定する。
BDセンサ207は、レーザ光の検出に応じてBD信号を生成し、生成したBD信号をCPU401及びレーザドライバ403に出力する。CPU401は、BDセンサ207から入力されるBD信号に基づいて、発光素子1〜N(LD1〜LDN)からのレーザ光の出射タイミングを制御するための制御信号を生成し、生成した制御信号をレーザドライバ403に送信する。レーザドライバ403は、画像処理部405から入力される画像形成用の画像データに基づく(即ち、画像データに応じて変調した)駆動電流を、CPU401から送信される制御信号に基づくタイミングに、各発光素子に供給する。これにより、レーザドライバ403は、駆動電流に応じた光量のレーザ光を各発光素子から出射させる。
また、CPU401は、レーザドライバ403に対して、発光素子1〜N(LD1〜LDN)の光量目標値を指定するとともに、入力されるBD信号に基づくタイミングに、各発光素子についてのAPCの実行を指示する。ここでAPCとは、レーザドライバ403が、発光素子1〜Nからそれぞれ出射されるレーザ光の光量を光量目標値に等しい光量に制御する動作である。レーザドライバ403は、発光素子1〜Nと同一のパッケージに内蔵されたPD(フォトダイオード)によって検出される各発光素子の光量が光量目標値と一致するように、各発光素子に供給する駆動電流の大きさを調整することで、APCを実行する。
なお、画像形成装置100は、タッチパネル機能を有する液晶表示部、キーボード等が設けられた操作部(図示せず)を備える。当該操作部は、CPU401による制御下で、画像形成装置100に対する指示をユーザが入力し、または、画像形成装置100に関する各種の情報を表示(ユーザに通知)するためのユーザインタフェース(UI)として機能する。
<ポリゴンミラーの汚れの影響>
画像形成装置100のように、マルチビーム方式の光走査装置を使用する場合、各発光素子から出射される光ビームによって感光ドラム102上に形成される静電潜像の主走査方向における書き出し位置を、副走査方向において一致させる必要がある。本実施形態では、画像形成装置100は、所定の測定期間において、特定の2つの発光素子のそれぞれから出射されるレーザ光に基づいて生成される2つのBD信号(パルス)の時間間隔を測定する。更に、画像形成装置100は、BD信号の時間間隔の測定結果に基づいて、各発光素子の光ビームの出射タイミングを制御する。なお、BD信号の時間間隔は、特定の2つの発光素子からそれぞれ出射されたレーザ光による感光ドラム102の走査の、主走査方向における時間間隔(ビーム間隔)に対応する。ビーム間隔の測定は、例えば、定期的(例えば、100ページの画像形成ごと)に実行されればよい。
このような画像形成装置100では、上述のように、ポリゴンミラー204の反射面の汚れに起因してレーザ光の反射率が変動すると、BDセンサ207によって生成されるBD信号の時間間隔(BD信号の生成タイミングの差)の測定結果に誤差が生じる。
ここで、図8は、ポリゴンミラー204の回転によって発生する気流に起因して発生するポリゴンミラーの汚れと、発光素子1〜Nから出射された複数の光ビームL1〜LNの反射面への入射位置との関係の一例を示す図である。ポリゴンミラー204の反射面に生じる汚れの程度は、ポリゴンミラー204の回転によって生じる気流に依存して異なるため、反射面内は不均一に汚れることになる。このため、反射面に入射する光ビームL1〜LNは、当該反射面内のそれぞれ異なる位置で、異なる反射率で反射する。その結果、ポリゴンミラー204における反射後の光ビームL1〜LNがBDセンサ207に入射する際の光量にばらつきが生じうる。
図9Aは、BDセンサ207に入射する光ビームの光量が変化した場合の、BDセンサ207によって生成されるパルスの時間間隔の変化の一例を示す図である。図9Aでは、本例では、発光素子LD1によって出射され、BDセンサ207に入射する光ビームL1の光量は、光量901で変化しないものとする。一方、発光素子LDMによって出射され、BDセンサ207に入射する光ビームLMの光量が、ポリゴンミラー204の反射面の汚れに起因して、光量911から光量912に変化するものとする。
図9Aに示すように、L1及びLMが、光量901及び911でBDセンサ207に入射した場合、BDセンサ207によって生成されるパルスの時間間隔はDTとして測定される。これに対して、LMについてのBDセンサ207への入射光量が光量911から光量912に減少すると、BDセンサ207の応答速度が低下することで、BD信号の検出タイミングに遅延が生じる。これにより、パルスの時間間隔の測定値DTが、ΔDTだけ大きい値に変化している。
また、図9Bは、BDセンサ207に入射する光ビームLMの光量に対するBD信号の時間間隔の測定値DTの変化の一例を示している。図9Bに示すように、BDセンサ207への光ビームMの入射光量が減少するにつれて、光ビームMに対応するBD信号の検出タイミングの遅延量が大きくなり、測定値DTが大きくなる。
このように、ポリゴンミラー204の反射面に汚れが生じると、BDセンサ207によって生成されるBD信号の時間間隔の測定結果に誤差が生じる。その結果、各発光素子のレーザ出射タイミングの制御を適切に行うことができなくなる。このため、ポリゴンミラー204の反射面に生じた汚れを精度よく検出することで、BD信号の時間間隔の測定(ビーム間隔測定)を適切に制御できるようにする必要がある。
<ポリゴンミラーの汚れ検出処理>
画像形成装置100(光走査装置104)は、以下で説明するように、ポリゴンミラー204の汚れ量を検出(判定)するための汚れ検出処理を実行する。具体的には、CPU401は、レーザドライバ403を介して光源201を制御することで、発光素子1〜Nのうちの特定の2つの発光素子を順に点灯させ、レーザ光(光ビーム)を順に出射させる。CPU401は、2つの発光素子のそれぞれからのレーザ光が順にBDセンサ207に入射するよう光源201を制御するとともに、BDセンサ207から順に出力される、各レーザ光に対応するBD信号の時間間隔を測定する。更に、CPU401は、測定されたBD信号の時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を判定する。
なお、実施の形態としては、CPU401が、検出されたBD信号の時間間隔の基準値からの変動を検出することによって、ポリゴンミラー204の反射面の汚れの有無を検出するようにしてもよい。この実施の形態の場合、CPU401は、検出されたBD信号の時間間隔の基準値からの変動量が所定値を超えた場合、ポリゴンミラー204の反射面に汚れが有ると判定し、変動量が所定の値以下の場合、ポリゴンミラー204の反射面に汚れがないと判定する。所定の値は、ポリゴンミラー204の反射面の汚れによって生じる主走査方向の各ビームの露光位置のずれ量の許容値などの画像形成装置の仕様に基づいて、設計時に設定される。
光源201が3つ以上(N≧3)の発光素子を備える場合には、汚れ検出処理は、任意の2つの発光素子を用いて上述のようにBD信号の時間間隔を測定することで実現できる。あるいは、発光素子1〜Nのうちの3つ以上(または全ての)発光素子を用いて実現することも可能である。具体的には、発光素子1〜Nを順に点灯させ、レーザ光L1〜LNが順にBDセンサ207に入射するよう光源201を制御する。更に、CPU401は、BDセンサ207から順に出力される、各レーザ光に対応するBD信号に関して、2つの発光素子の組み合わせごとに時間間隔を測定する。この場合、CPU401は、測定した時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量をそれぞれ判定すればよい。
本実施形態では、CPU401は、汚れ検出処理の一例として、図5に示すように、発光素子1〜N(図5ではN=8)のそれぞれから所定の時間間隔でレーザ光を順に出射させる例について説明する。図5には、CLK信号501、BDセンサ207の出力(BD信号)502、及びCPU401からレーザドライバ403に送信される、LD1〜LD8のレーザ出射タイミングを示す制御信号511〜518を示している。図5に示すように、CPU401は、2つの発光素子ごとに、レーザ光に対応するBD信号がBDセンサ207から出力される時間間隔DT1、DT3、DT5、DT7を測定する。更に、CPU401は、測定された2つの発光素子ごとの時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を判定する。
このような処理は、以下で説明する図6Aに示すフローチャートに従って実現することが可能である。なお、本実施形態では、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を判定に用いる基準値は、この基準値は、予め工場調整時の測定によって取得され、メモリ406に初期値として予め格納されている。
図6Aは、本実施形態に係る、画像形成装置100で実行される、ポリゴンミラー204の汚れ量を検出するための汚れ検出処理の手順を示すフローチャートである。図6Aに示す各ステップの処理は、CPU401が、メモリ406に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって、画像形成装置100上で実現される。なお、この汚れ検出処理は、例えば、画像形成装置100(光走査装置104)が電源停止状態から起動する際に実行される。
まず、CPU401は、S601で、モータ407の駆動を開始して、ポリゴンミラー204の回転を回転させるとともに、S602で、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の回転速度に達したか否かを判定する。S602で、CPU401は、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の回転速度に達していないと判定すると、処理をS603に進め、回転速度が所定の回転速度に近づくよう、ポリゴンミラー204の回転を加速させ、再度S602の判定処理を行う。S602で、CPU401は、ポリゴンミラー204の回転速度が所定の回転速度に達したと判定すると、処理をS604に進める。
S604以下では、CPU401は、図5に示すように、発光素子1〜Nのそれぞれを順に点灯させ、BDセンサ207から順にBD信号を生成及び出力させる。
CPU401は、S604で、変数nを1に初期化(n=1)するとともに、S605で、レーザドライバ403を制御して、発光素子nを点灯させる。その後、S605で、CPU401は、BDセンサ207からの出力に基づいて、発光素子nから出射されたレーザ光によってBD信号が生成されたか否かを判定する。CPU401は、S606では、BD信号が生成されていないと判定する限り、S606の判定処理を繰り返し、BD信号が生成されたと判定すると、処理をS607に進める。CPU401は、S607で、BD信号の生成に応じて、カウンタによるCLK信号のカウントを開始するとともに、S608で、レーザドライバ403に、発光素子nを消灯させる。
次に、S609で、CPU401は、レーザドライバ403に、APCの実行後の光量で発光素子(n+1)を点灯させる。その後、S610で、CPU401は、BDセンサ207からの出力に基づいて、発光素子(n+1)から出射されたレーザ光によってBD信号が生成されたか否かを判定する。CPU401は、S610では、BD信号が生成されていないと判定する限り、S610の判定処理を繰り返し、BD信号が生成されたと判定すると、処理をS611に進める。CPU401は、S611で、カウンタ402によるCLK信号のカウント値をサンプルして、カウント値CDTnを生成するとともに、S612で、レーザドライバ403に、発光素子(n+1)を消灯させる。なお、S611で、CPU401は、カウント値CDTnに対応するBD信号の時間間隔DTnを特定する。
その後、S613で、CPU401は、n≧N−1が満たされているか(全ての発光素子について変動量を検出したか)否かを判定し、満たされている場合には処理をS615に進め、満たされていない場合には処理をS614に進める。S614で、CPU401は、nを2増加させて、処理をS605に戻し、次の発光素子nを点灯させる。なお、本実施形態では、すべての発光素子について変動量DTnを検出する構成を示しているが、N個の発光素子のうち一部であって、3つ以上の発光素子について変動量を検出する構成にしてもよい。
一方、S615で、CPU401は、メモリ406から、発光素子n及び(n+1)に対応する基準値DTn_ref(n=1,3,5,7)を順に読み出す。更に、S616で、CPU401は、次式に基づいて、時間間隔DTn(n=1,3,5,7)の、基準値DTn_refからの変動量を算出する。
ΔDTn=|DTn−DTn_ref| (1)
このように、CPU401は、発光素子n及び(n+1)についてのBD信号の時間間隔の測定値と基準値との差分を、変動量として測定する。
最後に、S617で、CPU401は、S615で測定した変動量ΔDTn(n=1,3,5,7)に応じて、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を判定する。図6Bは、S617で実行される汚れ量判定処理の手順を示すフローチャートである。S621で、CPU401は、変動量ΔDTn(n=1,3,5,7)と、汚れ量の判定用の所定の閾値αとを比較し、ΔDTnがαより大きいか否かを判定する。閾値αは、ポリゴンミラー204の反射率とΔDTnとの関係を考慮して予め定められる。
ΔDTnがαより大きい場合、CPU401は、S622で、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量が大きいと判定する。この場合、S624で、CPU401は、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量をユーザに通知するために、画像形成装置100の操作部に当該汚れ量を示す警告を表示してもよい。一方、ΔDTnがαより大きくない場合、CPU401は、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量が小さいと判定し、汚れ量判定処理を終了する。なお、S621〜S624では、変動量ΔDTn(n=1,3,5,7)の少なくともいずれかについてΔDTn>αが満たされた場合に、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量が大きいと判定すればよい。
S617における汚れ量の判定は、例えば、変動量ΔDTnが大きいほど、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量が大きいと判定することによって行われてもよい。これは、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量が大きいほど、上述のように、当該反射面でのレーザ光の反射率が低下し、BDセンサ207への入射光量が減少する結果、BD信号の時間間隔が変動するためである。
以上説明したように、本実施形態では、ポリゴンミラー204の反射面の汚れが当該面内で不均一となる特性を利用して、その汚れ量を検出(判定)する。具体的には、2つのビーム間で発生するBD信号の検出タイミング差(時間間隔)の、基準値からの変動量に応じて、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を検出(判定)する。これにより、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を、新たな検出回路等を設けることなく簡易な装置構成で精度よく検出できる。また、発光素子1〜Nのうちの3つ以上(または全ての)発光素子を用いて上述のように汚れ検出処理を行うことで、ポリゴンミラー204の反射面内の複数の位置について汚れ量を検出できる。これにより、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量の検出精度をより改善できる。
なお、本実施形態では、図5に示すように、隣接するビーム間におけるBD信号の時間間隔を測定する例について説明してきた。このような測定で、ポリゴンミラー204の汚れ方に依存して、隣接ビーム間で汚れ量による反射率の変動に差が生じない場合には、3つ以上の発光素子のうちで隣り合っていない発光素子(例えば、発光素子1及び4)を用いて汚れ量検出処理を行ってもよい。即ち、ポリゴンミラー204の反射面における光ビームの反射位置がある程度離れたビーム間でBD信号の時間間隔を測定してもよい。
また、本実施形態では、図6A及び図6Bに示す処理を、CPU401が実行する例について説明してきたが、レーザドライバ403内にCPU401とは独立した制御部を設け、当該制御部が、図6A及び図6Bに示す処理を実行してもよい。この場合、レーザドライバ403内の制御部は、CPU401からの指示に従って動作し、CLK信号生成部404から入力されるCLK信号、及びBDセンサ207から入力されるBD信号に基づいて、ビーム間隔の測定を実行すればよい。また、レーザドライバ403内の制御部は、CPU401からの指示に応じて、汚れ検出処理(図6A及び図6B)及びレーザ出射タイミング制御を実行すればよい。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、汚れ検出処理で使用する基準値DTn_refを予めメモリ406に初期値として格納する例について説明した。第2の実施形態では、第1の実施形態のように、予め基準値DTn_refを用意しておくことなく、動的に基準値を生成し、汚れ検出処理を実行する例について説明する。なお、以下では、説明の簡略化のため、第1の実施形態と共通する部分については説明を省略する。
光走査装置104は、図8に示すように、ポリゴンミラー204の端部には比較的汚れが発生しにくい特性を有している。このため、光源201において直線状に一列に配置された発光素子1〜Nのうちの両端に配置された発光素子1及びNから出射される光ビーム(レーザ光)は、ポリゴンミラー204の反射面の汚れの影響を受けにくい。そこで、本実施形態では、これら発光素子1及びNを用いてBD信号の時間間隔の測定を行うことで、その測定結果に基づいて、汚れ検出処理で使用する基準値DTn_refを動的に生成する。
本実施形態では、CPU401は、汚れ検出処理の一例として、図10に示すように、発光素子1〜N(図5ではN=8)のそれぞれから所定の時間間隔でレーザ光を順に出射させる例について説明する。図10には、CLK信号1001、BDセンサ207の出力(BD信号)1002、及びCPU401からレーザドライバ403に送信される、LD1〜LD8のレーザ出射タイミングを示す制御信号1011〜1018を示している。
本実施形態では、CPU401は、任意のタイミングに、発光素子1及び8(=N)を用いてビーム間隔測定を行い、BDセンサ207から順に出力されるBD信号の時間間隔ΔDTallを測定し、その測定結果に基づいて基準値DTn_refを生成する。具体的には、CPU401は、測定した時間間隔ΔDTallに基づいて、実際の汚れ検出処理におけるビーム間隔測定に用いる2つの発光素子(本実施形態では隣接する2つの発光素子)に対応した基準値を生成する。本実施形態では、時間間隔ΔDTallを、隣接する2つの発光素子間のBD信号の時間間隔に換算することで、
DTn_ref=DTall/(N−1) (2)
として基準値DTn_refを生成する。
図7Aは、本実施形態に係る、画像形成装置100で実行される、ポリゴンミラー204の汚れ量を検出するための汚れ検出処理の手順を示すフローチャートである。第1の実施形態と同様、図7Aに示す各ステップの処理は、CPU401が、メモリ406に格納された制御プログラムを読み出して実行することによって、画像形成装置100上で実現される。なお、この汚れ検出処理は、例えば、画像形成装置100(光走査装置104)が電源停止状態から起動する際に実行される。
図7Aにおいて、第1の実施形態(図6A)と異なる点は、S615に変えて、S701で、上述のように基準値DTn_refを動的に生成する点である。本実施形態では、S701で、CPU401は、図7Bに示す手順に従った処理を実行する。図7Bは、S701で実行される基準値生成処理の手順を示すフローチャートである。ここで、S701〜S718は、ビーム間隔測定に用いる発光素子が、隣接する発光素子n及び(n+1)ではなく、発光素子1及びNである点を除いて、CPU401は、S605〜S612と同様の処理を実行する。
S701〜S718におけるビーム間隔測定の結果、時間間隔ΔDTallが得られる。CPU401は、S719で、時間間隔ΔDTallから基準値DTn_refを、式(2)のように算出し、基準値生成処理を終了する。
図7Aに戻り、S616で、CPU401は、次式に基づいて、時間間隔DTn(n=1,3,5,7)の、基準値DTn_refからの変動量を算出する。
ΔDTn=|DTn−DTn_ref|
(=|DTn−DTall/(N−1)|) (3)
このように、CPU401は、発光素子n及び(n+1)についてのBD信号の時間間隔の測定値と、S701で生成した基準値との差分を、変動量として測定する。
最後に、S617で、CPU401は、S615で測定した変動量ΔDTn(n=1,3,5,7)に応じて、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量を判定する。なお、S617における汚れ量判定処理は、第1の実施形態と同様、図6Bに示す手順に従った処理によって実現できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、汚れ検出処理で使用する基準値DTn_refを予めメモリ406に初期値として格納しておくことを必要とすることなく、動的に当該基準値を生成できる。これにより、環境温度変動等の汚れ以外の要因によって、発光素子1〜N等の光学系の特性が変化したとしても、適切な基準値を使用した汚れ検出処理を実行でき、ポリゴンミラー204の反射面の汚れ量の検出精度を改善できる。

Claims (12)

  1. 複数の光ビームによって感光体を露光する光走査装置であって、
    それぞれが光ビームを出射する複数の発光素子を含む光源と、
    前記複数の発光素子から出射された複数の光ビームを反射させる反射面を有し、当該反射面で反射した複数の光ビームが前記感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、
    前記偏向手段によって偏向された前記複数の光ビームの走査路上に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射することによって当該光ビームを検出したことを示す検出信号を出力する光学センサと、
    前記複数の発光素子のうちの2つの発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される、各光ビームに対応する前記検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、
    前記測定手段によって測定された前記時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、前記反射面の汚れの有無を判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする光走査装置。
  2. 前記判定手段は、前記測定手段によって測定された前記検出信号の時間間隔と前記基準値との差分に応じて、前記反射面の汚れ量を判定することを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記光源は、3つ以上の発光素子を含み、
    前記測定手段は、前記3つ以上の発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される、各光ビームに対応する前記検出信号に関して、2つの発光素子の組み合わせごとに前記時間間隔を測定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記判定手段は、前記基準値からの前記時間間隔の変動量が大きいほど、前記反射面の汚れ量が大きいと判定する
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の光走査装置。
  5. 前記判定手段は、前記基準値からの前記時間間隔の変動量を所定の閾値と比較することで、前記汚れ量を判定する
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の光走査装置。
  6. 前記光源は、前記光源において直線状に一列に配置された、3つ以上の発光素子を含み、
    前記光走査装置は、前記3つ以上の発光素子のうちの両端に配置された2つの発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される、各光ビームに対応する前記検出信号の時間間隔を測定するとともに、測定した当該時間間隔に基づいて前記基準値を生成する生成手段を更に備え、
    前記判定手段は、測定手段によって測定された前記時間間隔の、前記生成手段によって生成された前記基準値からの変動量に応じて、前記反射面の汚れ量を判定する
    ことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の光走査装置。
  7. 前記生成手段は、測定した前記時間間隔に基づいて、前記測定手段による前記時間間隔の測定に用いられる2つの発光素子に対応した基準値を生成する
    ことを特徴とする請求項6に記載の光走査装置。
  8. 前記判定手段によって判定された前記汚れの有無をユーザに通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
  9. 前記判定手段によって判定された前記汚れ量をユーザに通知する通知手段を更に備えることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の光走査装置。
  10. 前記偏向手段は、複数の反射面を有し、前記複数の光ビームを、回転しながら当該複数の反射面のいずれかで反射させることによって、当該複数の光ビームを偏向する回転多面鏡であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光走査装置。
  11. 感光体と、
    前記感光体を帯電させる帯電手段と、
    複数の光ビームによって前記感光体を露光する、請求項1乃至10の何れか1項に記載の光走査装置と、
    前記光走査装置による露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像して、記録媒体に転写すべき画像を前記感光体に形成する現像手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  12. 感光体と、
    前記感光体を帯電させる帯電手段と、
    それぞれが光ビームを出射する複数の発光素子を含む光源と、前記複数の発光素子から出射された複数の光ビームを反射させる反射面を有し、当該反射面で反射した複数の光ビームが前記感光体を走査するよう、当該複数の光ビームを偏向する偏向手段と、前記偏向手段によって偏向された前記複数の光ビームの走査路上に設けられ、前記偏向手段によって偏向された光ビームが入射することによって当該光ビームを検出したことを示す検出信号を出力する光学センサと、を含み、前記複数の光ビームによって前記感光体を露光する光走査装置と、
    前記光走査装置による露光によって前記感光体に形成された静電潜像を現像して、記録媒体に転写すべき画像を前記感光体に形成する現像手段と、
    前記複数の発光素子のうちの2つの発光素子のそれぞれからの光ビームが順に前記光学センサに入射するよう前記光源を制御し、前記光学センサから順に出力される、各光ビームに対応する前記検出信号の時間間隔を測定する測定手段と、
    前記測定手段によって測定された前記時間間隔の、基準値からの変動量に応じて、前記反射面の有無を判定する判定手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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