以下、本発明の一実施形態を図1〜図35に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、レジストローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、濃度検出器2245、4つのドラムホームポジションセンサ(2246a、2246b、2246c、2246d)、温湿度センサ(図示省略)、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
温湿度センサは、カラープリンタ2000内の温度と湿度を検出し、プリンタ制御装置2090に通知する。
感光体ドラム2030a、ドラムホームポジションセンサ2246a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、ドラムホームポジションセンサ2246b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、ドラムホームポジションセンサ2246c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、ドラムホームポジションセンサ2246d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示のドラム回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された複数の光束で、対応する帯電された感光体ドラムの表面をそれぞれ走査する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
ところで、各感光体ドラムにおいて、画像情報が書き込まれる領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って中間転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで中間転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。なお、中間転写ベルト2040上のトナー画像の移動方向は「副方向」、該副方向に直交する方向(ここでは、Y軸方向)は「主方向」と呼ばれている。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対2056に搬送する。該レジストローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を中間転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、中間転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここでカラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここでトナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次、積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
各ドラムホームポジションセンサは、一例として図2に示されるように、対応する感光体ドラムの回転周期(以下では、「ドラム周期」と略述する)と同じ周期でパルス信号を発生する。
濃度検出器2245は、中間転写ベルト2040の−X側に配置されている。この濃度検出器2245は、一例として図3に示されるように、3つの光学センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
光学センサ2245aは、中間転写ベルト2040における有効画像領域内の−Y側端部近傍に対向する位置に配置され、光学センサ2245cは、中間転写ベルト2040における有効画像領域内の+Y側端部近傍に対向する位置に配置され、光学センサ2245bは、Y軸方向に関して、光学センサ2245aと光学センサ2245cの間に、3つの光学センサの間隔がほぼ等間隔になるように配置されている。ここでは、Y軸方向に関して、光学センサ2245aの中心位置をY1、光学センサ2245bの中心位置をY2、光学センサ2245cの中心位置をY3とする。
各光学センサは、いずれも一例として図4に示されるように、中間転写ベルト2040に向けて光(以下、「検出用光」ともいう)を射出するLED11、中間転写ベルト2040あるいは中間転写ベルト2040上のトナーパッドからの正反射光を受光する正反射光受光素子12、中間転写ベルト2040あるいは中間転写ベルト2040上のトナーパッドからの拡散反射光を受光する拡散反射光受光素子13を有している。各受光素子は、いずれも受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
プリンタ制御装置2090は、一例として図5に示されるように、CPU101、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM102、作業用のメモリであるRAM103、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器104、通信制御装置2080及び光走査装置2010との通信を制御する通信IF(インターフェース)105、各現像ローラにおける現像バイアスを制御する現像バイアス制御回路106などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。なお、図5における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図6〜図9に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び走査制御装置3022(図6〜図9では図示省略、図10参照)などを備えている。
光源2200a、カップリングレンズ2201a、開口板2202a、シリンドリカルレンズ2204a、走査レンズ2105a、折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200b、カップリングレンズ2201b、開口板2202b、シリンドリカルレンズ2204b、走査レンズ2105b、2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)は、感光体ドラム2030bに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200c、カップリングレンズ2201c、開口板2202c、シリンドリカルレンズ2204c、走査レンズ2105c、2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)は、感光体ドラム2030cに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200d、カップリングレンズ2201d、開口板2202d、シリンドリカルレンズ2204d、走査レンズ2105d、折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに潜像を形成するための光学部材である。
各光源は、複数の垂直共振器型の面発光レーザが複数の発光部として2次元的に集積されている面発光レーザアレイを含んでいる。該面発光レーザアレイの複数の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。各発光部は、走査制御装置3022によって個別に点灯及び消灯される。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
各カップリングレンズは、対応する光源から射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光束を整形する。各シリンドリカルレンズは、対応する開口板の開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸まわりに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
また、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの各光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの各光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
各走査レンズはそれぞれ、対応する感光体ドラム近傍に光束を集光する光学的パワー、及びポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学的パワーを有している。
走査レンズ2105a及び走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、走査レンズ2105c及び走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、走査レンズ2105aと走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105bは1段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105aは2段目の4面鏡に対向している。また、走査レンズ2105cと走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105cは1段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105dは2段目の4面鏡に対向している。
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b及び折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c及び折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。
各感光体ドラム上の光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。ここでは、走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aとからKステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105bと2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、走査レンズ2105cと2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dとからYステーションの走査光学系が構成されている。なお、各走査光学系において、走査レンズが複数のレンズから構成されていても良い。
走査制御装置3022は、一例として図10に示されるように、CPU3210、ROM3211、RAM3212、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光源駆動回路3221などを有している。なお、図10における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。上位装置からの画像データは、IF(インターフェース)3214を介して供給される。
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、各光源の発光部毎のドットデータを作成する。
書込制御回路3219は、画像形成ステーション毎に、不図示の同期検知センサの出力信号に基づいて書込開始のタイミングを求める。そして、書込開始のタイミングに合わせて、各発光部のドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの各変調データに応じて、各光源に各発光部の駆動信号を出力する。
ROM3211には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データが格納されている。
RAM3212は、作業用のメモリである。
CPU3210は、ROM3211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
ところで、一例として図11に誇張して示されるように、感光体ドラムの真円性が低い場合には、感光体ドラムの回転位置によって現像ローラとの間の間隔(ギャップ)が異なるため、副方向に関して画像濃度が変動する。
そこで、プリンタ制御装置2090は、所定のタイミングで、不要な副方向の濃度変動を抑制するための補正情報を取得する。以下では、この補正情報を取得する処理を「補正情報取得処理」と略述する。
なお、上記所定のタイミングとして、電源投入時には、(1)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(2)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(3)装置内の相対湿度が50%以上変化しているとき、印刷時には、(4)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(5)現像ローラの回転回数が所定の回数に達したとき、(6)中間転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどに、補正情報取得処理が行われる。
ここで、補正情報取得処理について、図12及び図13を用いて説明する。図12及び図13のフローチャートは、補正情報取得処理の際に、プリンタ制御装置2090のCPU101によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。
最初のステップS401では、光走査装置2010に対して、一例として図14に示されるように、色毎に濃度チャートパターン(DP1〜DP4)の作成を指示する。
濃度チャートパターンDP1はブラックトナーで形成され、濃度チャートパターンDP2はマゼンタトナーで形成される。また、濃度チャートパターンDP3はシアントナーで形成され、濃度チャートパターンDP4はイエロートナーで形成される。
なお、以下では、濃度チャートパターンDP1〜DP4を区別する必要がない場合には、総称して「濃度チャートパターンDP」ともいう。
濃度チャートパターンDPは、一例として図15に示されるように、10個の四角形状のパターン(p1〜p10、以下では、便宜上「矩形パターン」という)を有している。各矩形パターンは、副方向に沿って一列に略等間隔に並んでおり、それぞれトナー濃度が異なっている。ここでは、トナー濃度の低い矩形パターンから、p1、p2、p3、p4、p5、p6、p7、p8、p9、p10とする。すなわち、矩形パターンp1のトナー濃度が最も低く、矩形パターンp10のトナー濃度が最も高い。
また、濃度チャートパターンDPを形成する際の発光部の点灯時間はトナー濃度に関係なく一定とし、発光パワーのみをトナー濃度に応じて異ならしている。そして、矩形パターンp1を形成するときの発光パワーをP1、矩形パターンp2を形成するときの発光パワーをP2、・・・・、矩形パターンp10を形成するときの発光パワーをP10とする。
次のステップS403では、各光学センサのLED11を点灯させるとともに、各光学センサにおける正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号のサンプリングを開始する。
各LED11からの光(検出用光)は、中間転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、濃度チャートパターンDP1の矩形パターンp1から濃度チャートパターンDP4の矩形パターンp10を順次照明する。
ここでは、各矩形パターンについて少なくとも1回は出力信号が取得されるような時間間隔で、各受光素子の出力信号のサンプリングが行われる。
各LED11を点灯してから所定の時間が経過し、検出用光の照明位置を濃度チャートパターンDP4の矩形パターンp10が通過したと判断されると、各光学センサのLED11を消灯する。そして、各光学センサにおける正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号のサンプリングを停止する。
ところで、中間転写ベルト2040にトナーが付着していない場合には、中間転写ベルト2040で反射された検出用光は、正反射光成分が拡散反射光成分に比べて多い。そこで、正反射光受光素子12には多くの光が入射するが、拡散反射光受光素子13にはほとんど光が入射しない(図16(A)参照)。
一方、中間転写ベルト2040にトナーが付着していると、トナーが付着していない場合と比較して、正反射光成分は減少し、拡散反射光成分は増加する。そこで、正反射光受光素子12に入射する光は減少し、拡散反射光受光素子13に入射する光は増加する(図16(B)参照)。
すなわち、正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力レベルから、中間転写ベルト2040に付着しているトナーの量すなわちトナー濃度を求めることが可能である。
次のステップS405では、矩形パターン毎に、次の(1)式を用いて拡散反射光受光素子13の出力レベルを規格化する。なお、該規格化された拡散反射光受光素子13の出力レベルLを、以下では、便宜上「センサ出力レベル」ともいう。
L=(拡散反射光受光素子13の出力レベル)÷{(正反射光受光素子12の出力レベル)+(拡散反射光受光素子13の出力レベル)} ……(1)
次のステップS407では、色毎に、センサ出力レベルと発光パワーとの相関関係を求める(図17参照)。ここでは、該相関関係を多項式で近似し、該多項式をRAM103に格納する。
なお、本実施形態では、センサ出力レベルと発光パワーとの相関関係が、光学センサ間でばらつかないように調整されている。
次のステップS411では、光走査装置2010に対して、一例として図18に示されるように、色毎に第1濃度変動測定用パターン(MP1〜MP4)の作成を指示する。
第1濃度変動測定用パターンMP1はブラックトナーのベタパターンであり、第1濃度変動測定用パターンMP2はマゼンタトナーのベタパターンである。また、第1濃度変動測定用パターンMP3はシアントナーのベタパターンであり、第1濃度変動測定用パターンMP4はイエロートナーのベタパターンである。なお、以下では、第1濃度変動測定用パターンMP1〜MP4を区別する必要がない場合には、総称して「第1濃度変動測定用パターンMP」ともいう。
第1濃度変動測定用パターンMPは、副方向を長手方法とするライン状パターンであり、副方向に関する長さは、感光体ドラム表面の円周よりも長い。
次のステップS413では、各光学センサのLED11を点灯させるとともに、各光学センサにおける正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号のサンプリングを開始する。
各LED11からの検出用光は、中間転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、第1濃度変動測定用パターンMP1から第1濃度変動測定用パターンMP4を順次照明する(図19参照)。
ここでは、各第1濃度変動測定用パターンについて、感光体ドラムが1回転する間に少なくとも5回は出力信号が取得されるような時間間隔で、各受光素子の出力信号のサンプリングが行われる。
各LED11を点灯してから所定の時間が経過し、検出用光の照明位置を第1濃度変動測定用パターンMP4の終端が通過したと判断されると、各光学センサのLED11を消灯する。そして、各光学センサにおける正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号のサンプリングを停止する。
次のステップS415では、光学センサ毎に、上記(1)式を用いてセンサ出力レベルを算出する。図20には、光学センサ2245bが第1濃度変動測定用パターンを照明したときのセンサ出力レベルの一例が、ドラムホームポジションセンサ2246aの出力信号とともに示されている。なお、センサ出力レベルは、厳密に言えば、サンプリング条件に応じた離散値であるが、図20では、煩雑さを避けるため、センサ出力レベルを連続値として図示している。そして、以下では、センサ出力レベルの時間変化を「センサ出力レベル波形」ともいう。
次のステップS417では、光学センサ毎に、色毎に、ドラムホームポジションセンサの出力信号に基づいて、各センサ出力レベル波形からドラム周期と同じ周期の正弦波を第1周期パターンとして抽出する(図21参照)。この第1周期パターンは、第1濃度変動測定用パターンにおける副方向に関する濃度変動に対応している。
次のステップS419では、色毎に、光学センサ毎に、上記第1周期パターンを上下反転させた第1反転周期パターンを求める(図22参照)。
次のステップS421では、次の(2)式を用いて、現像バイアス信号v(t)を算出する。ここで、a(t)は第1反転周期パターンを表す式であり、Aは、第1反転周期パターンの平均値であり、Vは、画像形成プロセスに応じて予め設定されている現像バイアスである。
v(t)=a(t)×V/A ……(2)
図23には、図22の第1反転周期パターンに対応する現像バイアス信号v(t)が示されている。
次のステップS423では、色毎に、3つの光学センサの現像バイアス信号v(t)を平均化し、制御用現像バイアス信号v(t)とする。
次のステップS425では、各色の制御用現像バイアス信号v(t)をRAM103に保存する。
次のステップS441では、光走査装置2010に対して、一例として図24に示されるように、色毎に第2濃度変動測定用パターン(SP1〜SP4)の作成を指示する。このとき、現像バイアス制御回路106を介して、色毎に制御用現像バイアス信号v(t)に基づいて現像バイアスを制御する。
第2濃度変動測定用パターンSP1はブラックトナーの中間調パターンであり、第2濃度変動測定用パターンSP2はマゼンタトナーの中間調パターンである。また、第2濃度変動測定用パターンSP3はシアントナーの中間調パターンであり、第2濃度変動測定用パターンSP4はイエロートナーの中間調パターンである。なお、以下では、第2濃度変動測定用パターンSP1〜SP4を区別する必要がない場合には、総称して「第2濃度変動測定用パターンSP」ともいう。また、中間調パターンとしては、網点が30%〜50%程度のパターンが好ましい。
次のステップS443では、各光学センサのLED11を点灯させるとともに、各光学センサにおける正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号のサンプリングを開始する。
各LED11からの検出用光は、中間転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、第2濃度変動測定用パターンSP1から第2濃度変動測定用パターンSP4を順次照明する(図25参照)。
ここでは、各第2濃度変動測定用パターンについて、感光体ドラムが1回転する間に少なくとも5回は出力信号が取得されるような時間間隔で、各受光素子の出力信号のサンプリングが行われる。
各LED11を点灯してから所定の時間が経過し、検出用光の照明位置を第2濃度変動測定用パターンSP4の終端が通過したと判断されると、各光学センサのLED11を消灯する。そして、各光学センサにおける正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号のサンプリングを停止する。
次のステップS445では、光学センサ毎に、上記(1)式を用いてセンサ出力レベルを算出する。図26には、光学センサ2245bが第2濃度変動測定用パターンを照明したときのセンサ出力レベルの一例が、ドラムホームポジションセンサ2246aの出力信号とともに示されている。なお、センサ出力レベルは、厳密に言えば、サンプリング条件に応じた離散値であるが、図26では、煩雑さを避けるため、センサ出力レベルを連続値として図示している。
次のステップS447では、光学センサ毎に、色毎に、ドラムホームポジションセンサの出力信号に基づいて、各センサ出力レベル波形からドラム周期と同じ周期の正弦波を第2周期パターンとして抽出する(図27参照)。この第2周期パターンは、第2濃度変動測定用パターンにおける副方向に関する濃度変動に対応している。
次のステップS449では、色毎に、光学センサ毎に、上記第2周期パターンを上下反転させた第2反転周期パターンを求める(図28参照)。
次のステップS451では、色毎に、光学センサ毎に、上記第2反転周期パターンにおいて、センサ出力レベルと発光パワーとの相関関係を参照して、縦軸をセンサ出力レベルから発光パワーに変換し、光量補正パターンとする。図29には、図28の第2反転周期パターンに対応する光量補正パターンが示されている。
次のステップS453では、色毎に、3つの光学センサの光量補正パターンを平均化し、制御用光量補正パターンとする。
次のステップS455では、各色の制御用光量補正パターンをRAM103に格納する。そして、補正情報取得処理を終了する。
プリンタ制御装置2090のCPU101は、画像形成が行われる際に、ステーション毎に、ドラムホームポジションセンサの出力信号と、不図示の同期検知センサの出力信号から得られる書込開始のタイミングとに基づいて、RAM103に格納されている制御用現像バイアス信号v(t)の位相をシフトさせて、現像バイアス制御信号を生成するとともに、制御用光量補正パターンの位相をシフトさせて、光量制御信号を生成する(図30参照)。ここでは、光量制御信号の縦軸は、平均値を1.0とする係数に変換されている。そして、光走査装置2010では、画像情報に対応する各発光部の駆動信号にプリンタ制御装置2090から送られてきた該係数を掛けることによって、駆動信号を制御する。
図31には、制御後の副方向の濃度変動が示されている。制御によって濃度変動が抑制されている。
ところで、図32には、現像バイアスを制御しつつ、トナー濃度が高い画像を形成する場合の、帯電電位Vdと現像バイアスVbと露光部電位VLとの関係が示されている。
なお、現像バイアスVbと露光部電位VLとの電位差は「現像ポテンシャル」と呼ばれている。現像ポテンシャルが大きいほど潜像に付着するトナー量は多くなり、画像濃度が高くなる。また、帯電電位Vdと現像バイアスVbとの電位差は「地肌ポテンシャル」と呼ばれている。地肌ポテンシャルが小さすぎると、非露光部にトナーが付着し、いわゆる地汚れが発生する。一方、地肌ポテンシャルが大きすぎると、現像剤中の磁性キャリアが感光体ドラムの表面に付着し、いわゆるキャリア付着が発生する。
図32には、画像面積率が100%、いわゆる「全ベタ」の画像を形成するときの、補正前における現像ポテンシャル、地肌ポテンシャル、及びそのときの記録紙上での画像濃度が示されている。このように、記録紙上での画像濃度に変動が発生しており、設計値の範囲内で現像バイアスを制御することで補正することを考える。
この場合に、図33に示されるように、画像面積率が100%の画像を形成するときに発生している濃度変動に対応して現像バイアスを周期的に変動させることで、該濃度変動を補正することができる。なお、現像バイアスを変動させると、その変動に伴って地肌ポテンシャルも変動する。ところで、一般的に、地肌ポテンシャルが小さいときはトナーが付着しやすく、地肌ポテンシャルが大きいときはトナーが付着しにくい傾向がある。そこで、中間調を含む画像を形成する場合に、該中間調部分の画像濃度が変動することが考えられる。
そこで、光源から射出される光束の光量を制御して、画像面積率が100%の画像を形成するときに発生している濃度変動を補正することを考える。この場合は、図34に示されるように、地肌ポテンシャルの変動は発生しない。しかしながら、この場合、図35に示されるように、画像面積率が90%以上では、光量に対する画像濃度変化の感度が下がり、適切な補正が困難である。なお、図34の縦軸は、光量を10%増加させたときの記録紙上の画像における色差の変化率である。
本実施形態では、現像バイアスの制御と光源から射出される光束の光量制御とを併用している。これにより、高濃度部分の濃度変動と中間調部分の濃度変動の両方を適切に補正することができた。
以上説明したように、本実施形態に係るカラープリンタ2000によると、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、中間転写ベルト2040、転写ローラ2042、濃度検出器2245、4つのドラムホームポジションセンサ(2246a、2246b、2246c、2246d)、及びプリンタ制御装置2090などを備えている。
プリンタ制御装置2090のCPU101は、所定のタイミング毎に、補正情報取得処理を行い、該補正情報取得処理において、ステーション毎に、第1濃度変動測定用パターンを照明したときの光学センサの出力信号とドラムホームポジションセンサの出力信号とに基づいて、制御用現像バイアス信号を求め、第2濃度変動測定用パターンを照明したときの光学センサの出力信号とドラムホームポジションセンサの出力信号とに基づいて、制御用光量補正パターンを求める。
そして、CPU101は、画像形成が行われる際に、ステーション毎に、制御用現像バイアス信号に基づいて現像バイアスを制御し、制御用光量補正パターンに基づいて光源の発光パワーを制御する。
この場合は、出力画像における副方向の濃度ムラを従来よりも低減することができる。その結果、高品質の画像を安定して形成することが可能となる。
なお、上記第1の実施形態では、各周期パターンとして正弦波を抽出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、図36に示されるように、第1周期パターンとして、上記正弦波に近づけた三角波を抽出しても良い。この場合は、現像バイアス補正信号も三角波となる。この現像バイアス補正信号は、ドラム周期に対する位相シフト時間と補正範囲量とが分かっていれば生成が可能であり、データ量を少なくすることができる。そこで、低コスト化を図ることができる。
また、一例として図37に示されるように、第1周期パターンとして、上記正弦波に近づけた台形波を抽出しても良い。この場合は、現像バイアス補正信号も台形波となる。この現像バイアス補正信号は、一例として図38に示されるように、インクリメント時間T1と、ピーク時間T2と、デクリメント時間T3と、補正範囲量と、ドラム周期に対する位相シフト時間(T4とする。図39参照)とが分かっていれば生成が可能であり、正弦波よりもデータ量を少なくすることができる。
インクリメント時間T1は、センサ出力レベル波形から求められる。ピーク時間T2は、センサ出力レベル波形から求めても良いが、T1/2から求めても良い。デクリメント時間T3は、基本的にT1と等しい値である。位相シフト時間T4は、感光体ドラムの周期と書込開始のタイミングとの位相の調整に用いられる。なお、感光体ドラムの回転が1回転目のときは、予め設定されているデフォルト値の周期で規定される。
台形波は、三角波と異なり、ピーク位置での濃度変動が小さいという特徴がある。また、台形波は、ドラム周期が変動しても、つなぎ目がないため補正が可能であるという特徴がある(図39参照)。
また、上記実施形態において、一例として図40に示されるように、前記第1濃度変動測定用パターンMPが、複数の矩形パターンから構成されていても良い。この場合であっても、一例として図41に示されるように、第1周期パターンを求めて、同様にして現像バイアス補正信号を得ることができる。
同様に、前記第2濃度変動測定用パターンSPが、一例として図41に示されるように、複数の矩形パターンから構成されていても良い。
また、上記実施形態では、濃度検出器2245が3つの光学センサを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置3022が行っても良い。また、走査制御装置3022での処理の少なくとも一部を、プリンタ制御装置2090が行っても良い。
また、上記実施形態において、プリンタ制御装置2090のCPU101によるプログラムに従う処理の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
また、上記実施形態では、濃度検出器2245が、中間転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出しても良い。なお、感光体ドラムの表面は、中間転写ベルト2040と同様に正反射体に近い。
また、上記実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンを、濃度検出器2245で検出しても良い。
また、上記実施形態では、感光体ドラムが4つある場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、感光体ドラムを5つあるいは6つ備えていても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、画像形成装置として、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。