《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図24に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、転写前ローラ対2056、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、濃度検出器2245、4つのホームポジションセンサ(2246a、2246b、2246c、2246d)及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転するものとする。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向に沿った方向をY軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をX軸方向として説明する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、上位装置からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて、各色毎に変調された光束を、対応する帯電された感光体ドラムの表面にそれぞれ照射する。これにより、各感光体ドラムの表面では、光が照射された部分だけ電荷が消失し、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、この光走査装置2010の構成については後述する。
ところで、各感光体ドラムにおいて、画像情報が書き込まれる領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。
トナーカートリッジ2034aにはブラックトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033aに供給される。トナーカートリッジ2034bにはシアントナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033bに供給される。トナーカートリッジ2034cにはマゼンタトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033cに供給される。トナーカートリッジ2034dにはイエロートナーが格納されており、該トナーは現像ローラ2033dに供給される。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出し、転写前ローラ対2056に搬送する。該転写前ローラ対2056は、所定のタイミングで記録紙を転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出す。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。ここで転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。ここで定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次スタックされる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
濃度検出器2245は、転写ベルト2040の−X側に配置されている。この濃度検出器2245は、一例として図2に示されるように、3つの光学センサ(2245a、2245b、2245c)を有している。
光学センサ2245aは、転写ベルト2040における有効画像領域内の+Y側端部近傍に対向する位置に配置され、光学センサ2245cは、転写ベルト2040における有効画像領域内の−Y側端部近傍に対向する位置に配置され、光学センサ2245bは、主走査方向に関して、光学センサ2245aと光学センサ2245cのほぼ中央位置に配置されている。ここでは、主走査方向(Y軸方向)に関して、光学センサ2245aの中心位置をY1、光学センサ2245bの中心位置をY2、光学センサ2245cの中心位置をY3とする。
各光学センサは、いずれも一例として図3に示されるように、転写ベルト2040に向けて光(以下、「検出用光」ともいう)を射出するLED11、転写ベルト2040あるいは転写ベルト2040上のトナーパッドからの正反射光を受光する正反射光受光素子12、転写ベルト2040あるいは転写ベルト2040上のトナーパッドからの拡散反射光を受光する拡散反射光受光素子13を有している。各受光素子は、いずれも受光量に応じた信号(光電変換信号)を出力する。
ホームポジションセンサ2246aは、感光体ドラム2030aにおける回転のホームポジションを検出する。
ホームポジションセンサ2246bは、感光体ドラム2030bにおける回転のホームポジションを検出する。
ホームポジションセンサ2246cは、感光体ドラム2030cにおける回転のホームポジションを検出する。
ホームポジションセンサ2246dは、感光体ドラム2030dにおける回転のホームポジションを検出する。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図4〜図6に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び走査制御装置3022(図4〜図6では図示省略、図7参照)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング(図示省略)の所定位置に組み付けられている。
各光源は、複数の発光部が2次元配列されている面発光レーザアレイを含んでいる。該面発光レーザアレイの複数の発光部は、すべての発光部を副走査対応方向に伸びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等間隔となるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201cは、光源2200cから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
カップリングレンズ2201dは、光源2200dから射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
開口板2202aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光束を整形する。
開口板2202bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光束を整形する。
開口板2202cは、開口部を有し、カップリングレンズ2201cを介した光束を整形する。
開口板2202dは、開口部を有し、カップリングレンズ2201dを介した光束を整形する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2202aの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2202bの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2202cの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2202dの開口部を通過した光束を、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
カップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aとからなる光学系は、Kステーションの偏向器前光学系である。
カップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bとからなる光学系は、Cステーションの偏向器前光学系である。
カップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cとからなる光学系は、Mステーションの偏向器前光学系である。
カップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dとからなる光学系は、Yステーションの偏向器前光学系である。
ポリゴンミラー2104は、Z軸に平行な軸まわりに回転する2段構造の4面鏡を有し、各鏡がそれぞれ偏向反射面となる。そして、1段目(下段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)の4面鏡ではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。
また、シリンドリカルレンズ2204a及びシリンドリカルレンズ2204bからの各光束はポリゴンミラー2104の−X側に偏向され、シリンドリカルレンズ2204c及びシリンドリカルレンズ2204dからの各光束はポリゴンミラー2104の+X側に偏向される。
各走査レンズはそれぞれ、光束を対応する感光体ドラム近傍に集光する光学的パワー、及びポリゴンミラー2104の回転に伴って、対応する感光体ドラム面上で光スポットが主走査方向に等速で移動するような光学的パワーを有している。
走査レンズ2105a及び走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104の−X側に配置され、走査レンズ2105c及び走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104の+X側に配置されている。
そして、走査レンズ2105aと走査レンズ2105bはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105bは1段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105aは2段目の4面鏡に対向している。また、走査レンズ2105cと走査レンズ2105dはZ軸方向に積層され、走査レンズ2105cは1段目の4面鏡に対向し、走査レンズ2105dは2段目の4面鏡に対向している。
ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030a上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030aでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030aの回転方向が、感光体ドラム2030aでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、折り返しミラー2106b及び折り返しミラー2108bを介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030b上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030bでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030bの回転方向が、感光体ドラム2030bでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、折り返しミラー2106c及び折り返しミラー2108cを介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030c上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030cでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030cの回転方向が、感光体ドラム2030cでの「副走査方向」である。
また、ポリゴンミラー2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム2030d上を走査する。このときの光スポットの移動方向が、感光体ドラム2030dでの「主走査方向」であり、感光体ドラム2030dの回転方向が、感光体ドラム2030dでの「副走査方向」である。
なお、各折り返しミラーは、ポリゴンミラー2104から各感光体ドラムに至る各光路長が互いに一致するとともに、各感光体ドラムにおける光束の入射位置及び入射角がいずれも互いに等しくなるように、それぞれ配置されている。
ポリゴンミラー2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。ここでは、走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aとからKステーションの走査光学系が構成されている。また、走査レンズ2105bと2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)とからCステーションの走査光学系が構成されている。そして、走査レンズ2105cと2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)とからMステーションの走査光学系が構成されている。さらに、走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dとからYステーションの走査光学系が構成されている。なお、各走査光学系において、走査レンズが複数のレンズから構成されていても良い。
ポリゴンミラー2104の−X側にある感光体ドラムとポリゴンミラー2104の+X側にある感光体ドラムでは、ポリゴンミラー2104の回転方向が同一であるので、光スポットの移動する方向は互いに逆方向となり、Y軸方向に関して、一側の感光体ドラムでの書き込み開始位置と他側の感光体ドラムでの書き込み終了位置とが一致するように潜像が形成される。
Kステーションの走査レンズ2105aを介した書き込み開始前の光束の一部は、先端同期検知センサ2111A(図4参照)で受光される。
また、Yステーションの走査レンズ2105dを介した書き込み開始前の光束の一部は、先端同期検知センサ2111B(図4参照)で受光される。
各先端同期検知センサは、受光光量に応じた信号を走査制御装置3022に出力する。なお、各先端同期検知センサの出力信号は、「先端同期信号」とも呼ばれている。
走査制御装置3022は、一例として図7に示されるように、CPU3210、フラッシュメモリ3211、RAM3212、IF(インターフェース)3214、画素クロック生成回路3215、画像処理回路3216、書込制御回路3219、光源駆動回路3221などを有している。なお、図7における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
画素クロック生成回路3215は、画素クロック信号を生成する。なお、画素クロック信号は、1/8クロックの分解能で位相変調が可能である。
画像処理回路3216は、CPU3210によって色毎にラスター展開された画像データに所定の中間調処理などを行った後、各光源の発光部毎のドットデータを作成する。
書込制御回路3219は、ステーション毎に、先端同期信号に基づいて書き込み開始のタイミングを求める。そして、書き込み開始のタイミングに合わせて、各発光部のドットデータを画素クロック生成回路3215からの画素クロック信号に重畳させるとともに、発光部毎にそれぞれ独立した変調データを生成する。また、書込制御回路3219は、所定のタイミング毎に、APC(Auto Power Control)を実施する。
光源駆動回路3221は、書込制御回路3219からの各変調データに応じて、各光源に各発光部の駆動信号を出力する。
IF(インターフェース)3214は、プリンタ制御装置2090との双方向の通信を制御する通信インターフェースである。
フラッシュメモリ3211には、CPU3210にて解読可能なコードで記述された各種プログラム、及びプログラムの実行に必要な各種データが格納されている。
RAM3212は、作業用のメモリである。
CPU3210は、フラッシュメモリ3211に格納されているプログラムに従って動作し、光走査装置2010の全体を制御する。
ところで、感光体ドラム及び現像ローラの偏心、形状誤差等に起因して、出力画像に不要な副走査方向の濃度変動が生じる(図8(A)〜図10参照)。この濃度変動は、感光体ドラムに起因する濃度変動成分及び現像ローラに起因する濃度変動成分を含んでいる(図9及び図10参照)。
そこで、CPU3210は、所定のタイミングで、不要な濃度変動を抑制するための「光量補正情報取得処理」を行う。
なお、上記所定のタイミングとして、電源投入時には、(1)感光体ドラムの停止時間が6時間以上のとき、(2)装置内の温度が10℃以上変化しているとき、(3)装置内の相対湿度が50%以上変化しているとき、印刷時には、(4)プリント枚数が所定の枚数に達したとき、(5)現像ローラの回転回数が所定の回数に達したとき、(6)転写ベルトの走行距離が所定の距離に達したときなどに、光量補正情報取得処理が行われる。
以下に、光量補正情報取得処理について、図11を用いて説明する。図11のフローチャートは、光量補正情報取得処理の際に、CPU3210によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。なお、光量補正情報取得処理は、ステーション毎に行われるが、各ステーションで同様にして行われるので、ここでは、代表として、Kステーションでの光量補正情報取得処理について説明する。
最初のステップS401では、一例として図12に示されるように、ブラックに関して、互いにトナー濃度が異なる複数の領域を有する濃度チャートパターンを、一例として図13に示されるように、Y軸方向に関して中心位置がY2となるように形成する。
ここでは、一例として、濃度チャートパターンは、10種類の濃度(n1〜n10)領域を有している。そして、濃度n1が最も低濃度であり、濃度n10が最も高濃度である。すなわち、濃度n1から濃度n10にかけて濃度が徐々に高くなる。なお、濃度チャートパターンを形成する際には、各領域の画像面積率は一定で、発光部の点灯時間は濃度に関係なく一定とし、発光パワーのみ異ならして濃度を変化させている。ここでは、濃度n1に対応する発光パワーをp1、濃度n2に対応する発光パワーをp2、・・・・、濃度n10に対応する発光パワーをp10とする。
次のステップS403では、各光学センサのLED11を点灯させる。LED11からの光(「検出用光」という)は、転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、濃度チャートパターンにおける濃度n1の領域から濃度n10の領域までを順次照射する(図14参照)。
そして、正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号を取得する。
ところで、転写ベルト2040にトナーが付着していない場合には、転写ベルト2040で反射された検出用光は、正反射光成分が拡散反射光成分に比べて多い。そこで、正反射光受光素子12には多くの光が入射するが、拡散反射光受光素子13にはほとんど光が入射しない(図15(A)参照)。
一方、転写ベルト2040にトナーが付着していると、トナーが付着していない場合と比較して、正反射光成分は減少し、拡散反射光成分は増加する。そこで、正反射光受光素子12に入射する光は減少し、拡散反射光受光素子13に入射する光は増加する(図15(B)参照)。
すなわち、正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力レベルによって、転写ベルト2040に付着しているトナーの濃度を検出することが可能である。
次のステップS405では、濃度チャートパターンにおける濃度毎に、正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の2つのセンサ信号から、トナーの濃度を演算して求める。
そして、トナーの濃度と発光パワーとの相関関係を求める(図16参照)。ここでは、該相関関係を多項式で近似し、該多項式をフラッシュメモリ3211に格納する。
次のステップS407では、転写ベルト2040に濃度変動測定用パターンを作成する。ここでは、濃度変動測定用パターンとして、ブラック、上記の濃度パターンと同じ画像面積率の画像をA3縦サイズで形成する(図17参照)。
次のステップS409では、各光学センサのLED11を点灯させる。各LED11からの検出用光は、転写ベルト2040が回転するにつれて、すなわち、時間が経過するとともに、濃度変動測定用パターンを副走査対応方向に沿って照明する(図18参照)。
そして、光学センサ毎に、所定の時間間隔で正反射光受光素子12及び拡散反射光受光素子13の出力信号を取得し、センサ出力信号からトナー濃度を算出する(図19参照)。図19には、ホームポジションセンサ2246aの出力信号も示されている。ホームポジションセンサ2246aの出力信号から感光体ドラム2030aの周期(ドラム回転周期Td)が求められる。図19から分かるように、各光学センサのセンサ出力信号から算出されたトナー濃度は、ホームポジションセンサ2246aの出力信号の周期(ドラム回転周期Td)と略同じ周期で周期的に変動する。
次のステップS411では、ホームポジションセンサ2246aの出力信号に基づいて、各センサ出力から得られたトナー濃度の周期的変動、すなわち主走査方向の3つの位置Y1、Y2、Y3における副走査方向のトナー濃度の変動(以下、周期的濃度変動と称する)を、ホームポジションセンサ2246aの出力信号の周期と同じ周期の正弦波として抽出する、すなわち正弦波近似(周期関数化)する(図20参照)。ここでは、光学センサ2245a、2245b、2245cで検出されるトナー濃度を、位相差はないものとして、それぞれ次の(1)〜(3)式で近似して示すこととしている。なお、図20には、一例としてS1>S2>S3の場合が示されている。
F1(t)=S1sin(2πt/Td+a) …(1)
F2(t)=S2sin(2πt/Td+a) …(2)
F3(t)=S3sin(2πt/Td+a) …(3)
次のステップS413では、各光学センサの主走査方向の位置と、トナー濃度の正弦波近似式である上記(1)〜(3)式に基づいて、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を求める。ここでは、一例として図21に示されるように、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置での周期的濃度変動の振幅を、主走査方向の3つの位置Y1、Y2、Y3における周期的濃度変動の振幅S1、S2、S3に基づいて求められる1次関数S(y)で近似(線形近似)することで取得することとしている。なお、yは、主走査方向の位置である。
次のステップS415では、上記(1)〜(3)式、及び振幅の近似式S(y)から、次の式(4)で示される、濃度変動測定用パターンに対する光量補正用の関係式を導出し、格納する。
F(t、y)=S(y)sin(2πt/Td+a) …(4)
次のステップS417では、上記(4)式、及び図16に示されるトナー濃度と発光パワーとの関係に基づいて、主走査方向の各位置における光量補正パターンを作成し(図22及び図23参照)、その少なくとも一部をフラッシュメモリ3211に格納する。すなわち、光量補正パターンは、主走査方向の複数位置に個別に対応して複数作成され、格納される。
ここでは、一例として、光量補正パターンは、図23に示されるように、ドラム回転周期Tdを周期とする、正弦波近似後の周期的濃度変動と逆位相の(位相がπだけ異なる)正弦波として作成される。すなわち、各光量補正パターンは、トナー濃度が高い部分に対する照射光量を下げ、トナー濃度が低い部分に対する照射光量を上げるように作成される。
このため、フラッシュメモリ3211への格納の際には、主走査方向の各位置における光量補正パターンの1周期分のデータ(以下、光量補正データとも称する)のみを格納すれば、そのデータを繋ぎ合わせて又は時系列で読み出すことで、光量補正パターンを再現することができる。この結果、格納するデータ量を少なくすることができ、ひいてはデータの書込み速度及び読み出し速度の向上を図ることができる。
そして、CPU3210は、前述したプロセスで記録紙に画像形成を行うときに、主走査方向の各位置に対応する変調データに応じた駆動信号に、該位置に対応する光量補正パターンを重畳させることで該駆動信号を補正する。すなわち、主走査方向の各位置における周期的濃度変動が抑制されるように、各光源の複数の発光部の発光パワーが調整される。
次いで、CPU3210は、先端同期検知センサ及びホームポジションセンサの出力信号に基づいて、出力画像の主走査方向の各位置における周期的濃度変動、すなわち出力画像全体の濃度変動が抑制されるように、各発光部を駆動する。発光部の駆動は、各ステーションで同様に行われるので、以下、Kステーションについて具体的に説明する。
CPU3210は、先端同期検知センサ2111Aの出力信号に基づいて、主走査方向の各位置の書込みタイミングを求め、該書込みタイミングで該位置に対応する光量補正パターンを用いて光源を駆動する。この際、ホームポジションセンサ2246aからの出力信号に基づいて、光量補正パターンの位相が対応する周期的濃度変動と逆位相になるように調整される。
図24には、光量補正パターンを用いて光量補正された光源からの光によって形成された出力画像に対する各光学センサの出力レベルが示されている。図24から、出力画像の主走査方向の各位置における周期的濃度変動は、格段に低減されることが分かる。
以上説明した本実施形態のカラープリンタ2000は、感光体ドラムと、光源を含み、該光源からの光によって感光体ドラム表面を主走査方向に走査し、感光体ドラム表面に潜像を形成する光走査装置2010と、該潜像を現像する現像装置と、感光体ドラムの回転周期を検出するホームポジションセンサと、現像装置で現像された濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置における主走査方向に直交する副走査方向の濃度変動を検出する濃度検出器2245と、濃度検出器2245の出力信号に基づいて、濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置における感光体ドラムの回転周期を周期とする周期的濃度変動の振幅を求め、該振幅及び感光体ドラムの回転周期に基づいて、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動が抑制されるように光源の駆動信号を補正する走査制御装置3022とを備えている。
この場合、濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置における周期的濃度変動の振幅に基づいて、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を求めることで、該振幅及び感光体ドラムの回転周期に基づいて、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動が抑制されるように光源の駆動信号を補正することができる。
この結果、出力画像の全域に亘って濃度変動を要求レベルまで抑制することができる
また、走査制御装置3022は、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を、濃度変動測定用パターンの3つの位置における周期的濃度変動の振幅に基づいて求められた1次関数で近似することで取得し、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅及び感光体ドラムの回転周期に基づいて、光源の駆動信号を補正するための光量補正パターンを作成する。
この場合、仮に濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動に忠実に光量補正パターンを作成する場合に比べて、光量補正パターンを、単純化でき、少ない容量で格納することができる。この結果、光量補正データの書込み及び読み出しを迅速に行うことができ、ひいてはスループット(生産性)の低下を抑制できる。
また、走査制御装置3022は、濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置における周期的濃度変動を正弦波で近似して取得することとしている。
この場合、主走査方向の3つの位置それぞれにおける周期的濃度変動の振幅が一義的に定まるため、該振幅を容易に取得することができる。
なお、上記第1の実施形態では、光量補正情報取得処理において、図11のフローチャートにおけるステップS401、ステップS403及びステップS405を実行して光源の発光パワーとセンサ出力レベルとの関係を求めているが、先の光量補正情報取得処理のステップS405でこの関係のデータを保存した後は、その保存したデータを用いることができるので、以後の光量補正情報取得処理においては、ステップS401、ステップS403及びステップS405を必ずしも行う必要はない。
また、上記第1の実施形態では、主走査方向の3つの位置における周期的濃度変動を、周期関数化(正弦波近似)しているが、周期関数化しなくても良い。この場合、3つの光学センサの出力信号から直接的に得られる主走査方向の3つの位置における周期的濃度変動(図19参照)の、任意の山部の頂点付近の高さ(図19におけるS)を振幅として取得することとすれば良い。そして、主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を、取得された3つの振幅に基づいて求められた1次関数で近似することで取得し、主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅及び感光体ドラムの回転周期に基づいて、該位置に対応する光量補正パターンを作成することとすれば良い。
また、上記第1の実施形態では、主走査方向の全位置において周期的濃度変動を抑制、すなわち全ての光量補正パターンを用いて光源の駆動信号を補正することとしているが、例えば、主走査方向の3つの位置Y1、Y2、Y3での周期的濃度変動の振幅の大きさに応じて、周期的濃度変動を抑制するか否かを決定しても良い。
以下では、他の複数の実施形態を説明するが、各実施形態では、上記第1の実施形態と同様の構成を有する部材には、同じ符号を付し、その説明を省略する。
《第2の実施形態》
上記第1の実施形態では、感光体ドラムに起因して出力画像に生じる不要な副走査方向の濃度変動を抑制することとしているが、前述したように、現像ローラの偏心、形状誤差等によっても、出力画像に不要な副走査方向の濃度変動が生じる(図8(A)〜図10参照)。この副走査方向の濃度変動は、現像ローラの回転周期と略同じ周期で変動する。
そこで、第2の実施形態では、以下に具体的に説明するように、感光体ドラムの回転周期を周期とする周期的濃度変動のみならず、現像ローラの回転周期を周期とする濃度変動(周期的濃度変動)をも抑制することとしている。以下では、感光体ドラムの回転周期を周期とする周期的濃度変動を第1の周期的濃度変動とも称し、現像ローラの回転周期(ローラ回転周期Tr)を周期とする周期的濃度変動を第2の周期的濃度変動とも称する。第2の周期的濃度変動は、第1の周期的濃度変動に比べて、周期がかなり短い(図26参照)。
第2実施形態では、図25に示されるように、各現像ローラのホームポジションを検知するホームポジションセンサ(2247a〜2247d)を設け、ホームポジションセンサ(2247a〜2247d)の出力信号に基づいて各現像ローラの回転周期を求めることとしている。
第2の実施形態では、光量補正情報取得処理において、第1の周期的濃度変動を抑制するための第1光量補正パターン(上記第1の実施形態で作成された光量補正パターン(図23参照))に加えて、第2の周期的濃度変動を抑制するための第2光量補正パターンが作成される。
すなわち、第2の実施形態では、図11のフローチャートのステップS401〜ステップS409が行われた後、第1及び第2光量補正パターンが作成される。第1光量補正パターンの作成手順は、上記第1の実施形態と同様なので、以下、第2光量補正パターンの作成手順について説明する。
先ず、上記第1の実施形態と同様にして、濃度変動測定用パターンに対する3つの光学センサの出力信号から得られる主走査方向の3つの位置Y1、Y2、Y3における第2の周期的濃度変動(図26参照)が正弦波近似され(図27参照)、正弦波近似後の3つの第2の周期的濃度変動の振幅U1、U2、U3が取得される。
次いで、上記第1の実施形態と同様にして、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における第2の周期的濃度変動の振幅が、正弦波近似後の3つの第2の周期的濃度変動の振幅U1、U2、U3に基づいて求められた1次関数で近似されることで取得される。
そして、上記第1の実施形態と同様にして、主走査方向の各位置における第2の周期的濃度変動の振幅及び現像ローラの回転周期に基づいて、該位置に対応する第2光量補正パターンが作成され(図28参照)、フラッシュメモリ3211にその少なくとも一部(例えば一周期分のデータ)が格納される。
次いで、記録紙に画像が形成される際に、変調データに応じた光源の駆動信号に、第1及び第2光量補正パターンが重畳されることで、該駆動信号が補正される。駆動信号の補正は、4つのステーションで同様に行われるので、以下、Kステーションについて、代表的に説明する。
先ず、先端同期検知センサ2111Aの出力信号に基づいて、主走査方向の各位置の書込みタイミングが求められ、該書込みタイミングで該位置に対応する第1及び第2光量補正パターンを用いて光源が駆動される。この際、ホームポジションセンサ2246aの出力信号に基づいて第1光量補正パターンの位相が対応する第1の周期的濃度変動と逆位相になるように調整されるとともに、ホームポジションセンサ2247aの出力信号に基づいて第2光量補正パターンの位相が対応する第2の周期的濃度変動と逆位相になるように調整される。
図29には、第1及び第2光量補正パターンを用いて光量補正された光源からの光によって形成された濃度変動測定用パターンに対する各光学センサの出力レベルが示されている。図29から、主走査方向の各位置における周期的濃度変動は、第1の実施形態に比べてより一層低減されることが分かる。
以上説明した第2の実施形態によれば、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置において、感光体ドラムの回転周期を周期とする周期的濃度変動(第1の周期的濃度変動)が抑制されるとともに、現像ローラの回転周期を周期とする周期的濃度変動(第2の周期的濃度変動)が抑制される。
この結果、上記第1の実施形態に比べて、出力画像の全域に亘って濃度変動をより一層抑制することができる。
なお、上記第2の実施形態では、主走査方向の全位置に対応する第2光量補正パターンを作成しているが、例えば主走査方向の各位置における第2の周期的濃度変動の振幅の大きさに応じて、第2光量補正パターンを作成するか否か、すなわち第2の周期的濃度変動を抑制するか否かを決定しても良い。
具体的には、例えば、主走査方向の3つの位置における第2の周期的濃度変動の振幅のうち、少なくとも1つの振幅が所定の閾値以上である場合にのみ、主走査方向の全位置に対応する第2光量補正パターンを作成することとしても良い。また、例えば、主走査方向の3つの位置に基づいて求められた1次関数の傾きの大きさが所定の閾値以上である場合にのみ、主走査方向の全位置に対応する第2光量補正パターンを作成することとしても良い。
また、上記第2の実施形態では、第2の周期的濃度変動を周期関数化しているが、周期関数化しなくても良い。
また、上記第2の実施形態でも、図11におけるステップS401、ステップS403及びステップS405に相当する処理は、先の光量補正情報取得処理で行った後は、後の光量補正情報取得処理において、必ずしも行う必要はない。
また、上記第2の実施形態では、現像ローラのホームポジションを検知するホームポジションセンサを設けて現像ローラの回転周期を求めているが、これに代えて、例えば、感光体ドラムと現像ローラとをギアを用いて機械的に接続し、該ギア比と感光体ドラムのホームポジションセンサの出力信号とに基づいて現像ローラの回転周期を求めても良い。
なお、図30に示されるように、濃度変動測定用パターンの3つの位置Y1、Y2、Y3における第1の周期的濃度変動を台形波又は高次の高調波で近似することとしても良い。台形波で近似する場合には、正弦波で近似する場合よりもデータ量を少なくすることができ、高次の高調波で近似する場合には、正弦波で近似する場合よりも周期的濃度変動によりフィットした光量補正データを作成することができる。同様に、濃度変動測定用パターンの3つの位置Y1、Y2、Y3における第2の周期的濃度変動を台形波又は高次の高調波で近似することとしても良い。
周期的濃度変動を台形波で近似する場合、光量補正パターンも台形波となる。この光量補正パターンは、一例として図31に示されるように、インクリメント時間T1と、ピーク時間T2と、デクリメント時間T3と、補正範囲量と、ドラム回転周期Td(又はローラ回転周期Tr)に対する位相シフト時間(T4とする)とが分かれば生成することが可能である。図32には、台形波近似後の3つの周期的濃度変動の振幅V1、V2、V3、及び該周期的濃度変動の周期(ドラム回転周期Td又はローラ回転周期Tr)に基づいて作成された主走査方向の各位置に対応する光量補正パターンが示されている。
また、図33に示されるように、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を、濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置Y1、Y2、Y3における周期的濃度変動の振幅S1(U1)、S2(U2)、S3(U3)に基づいて求められた高次関数(例えば、n次関数(nは、2以上の整数)、正弦関数など)で近似して取得することとしても良い。
この場合、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を高次関数でより正確にフィッティング(求めることが)できるため、より精度が高い光量補正を行うことができる。
この場合、上記(4)式におけるS(y)を、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅の近似式である高次関数(図33参照)の式に置き換えることで、主走査方向の各位置に対応する光量補正パターンが作成される(図34参照)。
また、第1の周期的濃度変動の振幅に加えて、該第1の周期的濃度変動の位相を考慮しても良い。すなわち、図35に示されるように、3つの光学センサの出力信号から得られる、濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置における第1の周期的濃度変動を、そのままの位相で、ホームポジションセンサ2246aの出力信号の周期(ドラム回転周期Td)と同じ周期の正弦波として抽出しても良い。具体的には、光学センサ2245a、2245b、2245cからのセンサ出力信号により算出されるトナー濃度は、次の(5)式〜(7)式で示される。
G1(t)=S1sin(2πt/Td+a1) …(5)
G2(t)=S2sin(2πt/Td+a2) …(6)
G3(t)=S3sin(2πt/Td+a3) …(7)
そして、濃度変動測定用パターンの主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を1次関数S(y)で近似して取得する(図21参照)。また、濃度変動測定用パターンの主走査方向に関する各位置における周期的濃度変動の初期位相を、濃度変動測定用パターンの主走査方向の3つの位置Y1、Y2、Y3における初期位相a1、a2、a3に基づいて求められた1次関数a(y)で近似して取得する(図36参照)。この結果、次の(8)式で表される、濃度変動測定用パターン全域における光量補正用の関係式が得られる。
G(t、y)=S(y)sin(2πt/Td+a(y)) …(8)
上記(8)式で示される光量補正用関係式を用いて光量補正パターンを作成することで、濃度変動測定用パターン上で実際に発生している濃度変動に対して極力忠実に光量補正を行うことができる。
なお、図37では、上記(8)式を用いて作成された光量補正パターンが図式化されている。ここでは、一例として、上記(5)式でa1=0、上記(6)式でa2=−π/2、上記(7)式でa3=−πとされている。
また、上記と同様にして、第2の周期的濃度変動の振幅に加えて、該第2の周期的濃度変動の位相を考慮して光量補正用の関係式を求めても良い。
また、上記各実施形態では、主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を、主走査方向の3つの位置における周期的濃度変動の振幅に基づいて求められた関数で近似して取得しているが、これに限らず、例えば、主走査方向の各位置における周期的濃度変動の振幅を、主走査方向の3つの位置における周期的濃度変動の振幅の平均値として取得しても良い。
また、上記各実施形態では、濃度検出器2245は、Y軸方向(主走査方向)に配列された3つの光学センサを有している場合について説明したが、これに限定されず、Y軸方向に配列された2つ又は4つ以上の光学センサを有していても良い。濃度検出器が光学センサを2つ有する場合には、上記各実施形態に比べて、部品点数の削減及び制御の簡略化を図ることができる。また、濃度検出器が光学センサを4つ以上有する場合には、上記各実施形態に比べて、一層精度良く濃度変動を補正することができる。また、濃度検出器は、例えば、Y軸方向に配列された複数の光学センサ部を有する1つのラインセンサであっても良い。
また、上記各実施形態において、走査制御装置3022での処理の少なくとも一部を、プリンタ制御装置2090が行っても良い。また、プリンタ制御装置2090での処理の少なくとも一部を、走査制御装置3022が行っても良い。
また、上記各実施形態では、濃度検出器2245が、転写ベルト2040上のトナーパターンを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラム表面のトナーパターンを検出しても良い。なお、感光体ドラムの表面は、転写ベルト2040と同様に正反射体に近い。
また、上記各実施形態において、トナーパターンを記録紙に転写し、該記録紙上のトナーパターンを、濃度検出器2245で検出しても良い。
また、上記各実施形態では、光走査装置が一体的に構成される場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成ステーション毎に光走査装置が設けられても良いし、2つの画像形成ステーション毎に光走査装置が設けられても良い。
また、上記各実施形態では、感光体ドラムが4つある場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、感光体ドラムを5つあるいは6つ備えていても良い。
また、上記各実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、画像形成装置として、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。