JP6400957B2 - 具材入り混ぜ込み米飯用調味料 - Google Patents
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Description
近年は、この混ぜご飯をより簡単に作ることのできる、いわゆる「混ぜご飯(混ぜ寿司)の素」が市販されている。
しかしながら、このいわゆる「混ぜご飯(混ぜ寿司)の素」と呼ばれる、「具材入り混ぜ込み米飯用調味料」を製造する場合において、特に比較的大きな具材を使用する場合には、製造時に具材と調味液とが分離状態となりやすく、均一性・分散性に優れた製品を得ることが困難であった。しかも、製造された具材入り混ぜ込み米飯用調味料を消費者などがこれを米飯にふりかけ、混ぜ込む際にも、分離状態となることからか、米飯に混ぜ込みにくく、操作性に劣るばかりか、米飯及び具材に潰れが生じてしまうという問題があった。
即ち、本発明は、具材と調味液との混合性・分散性に優れ、比較的大きな具材を使用する場合であっても、米飯と混ぜ込みやすく、米飯及び具材に潰れの生じない、操作性の優れた調味米飯を提供することを目的とするものである。
なお、上記先行文献に示されている増粘剤の使用は、米飯、もしくは穀類食品の品質維持にのみ着目した技術であり、本発明の課題とする、具材入りの調味料と調味米飯との混合性を改善することを解決するための手段を開示したもの、もしくはこれを示唆したものでは、一切ない。
(1);タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物と;液状調味料と;具材と;からなる、具材入り混ぜ込み米飯用調味料であって、
前記増粘組成物として、
前記タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のもの1質量部に対して、
前記アラビアガムを0.1〜1.0質量部の割合で含有し、かつ、前記アルギン酸ナトリウムを5.0〜8.0質量部の割合で含有するものを用いると共に、
前記具材入り混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、前記具材を20〜75質量部の割合で含有すると共に、前記増粘組成物を0.2〜0.8質量部の割合で含有するものである、
具材入り混ぜ込み米飯用調味料。
(2);前記具材がカットされた根菜類を含むものであり、かつ、前記根菜類の最も長い辺の長さが15mm以上のものである、前記(1)に記載の具材入り混ぜ込み米飯用調味料。
(3);タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物と;液状調味料と;具材と;からなる、具材入り混ぜ込み米飯用調味料であって、
前記増粘組成物として、
前記タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のもの1質量部に対して、
前記アラビアガムを0.1〜1.0質量部の割合で含有し、かつ、前記アルギン酸ナトリウムを5.0〜8.0質量部の割合で含有するものを用いると共に、
前記具材入り混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、前記具材を20〜75質量部の割合で含有すると共に、前記増粘組成物を0.2〜0.8質量部の割合で含有する、
具材入り混ぜ込み米飯用調味料を、
炊飯米に、混ぜ込むことを特徴とする、具材入り混ぜ込み米飯の製造方法。
本発明によれば、具材入り混ぜ込み米飯の製造において優れた操作性を示し、外観、美味しさの観点でも申し分のない、優れた混ぜ込み米飯用調味料が提供される。
本発明は、第1に、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物と;液状調味料と;具材と;を含有する、具材入り混ぜ込み米飯用調味料に関する。
タラガムは、タラの種子に由来する多糖類である。
グアーガムは、グアー豆に由来する多糖類である。
ローカストビーンガムは、カロブ豆に由来する多糖類である。
タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムは、いずれもガラクトマンナンを主成分とする点で共通している。
ここで、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものを用いない場合には、増粘組成物同士がダマとなって、米飯との混合性に起こりやすくなり、さらには、米飯と具材がべたついた性状となって、食感が好ましいものでなくなりやすい。
ここで、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものに対するアラビアガムの使用割合が少なすぎると調味料の製造時にダマとなりやすくなってしまい好ましくない。
一方、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものに対するアラビアガムの使用割合が多すぎると、不快な粘度が生じるため好ましくない。
ここで、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものに対するアルギン酸ナトリウムの使用割合が少なすぎると、調味料の製造時にダマとなりやすくなってしまい好ましくない。
一方、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものに対するアルギン酸ナトリウムの使用割合が多すぎると、他の具材と混合した場合、米飯において、ゲル化がおきやすく品質を損なうため好ましくない。
液状調味料としては、製造する混ぜ込み米飯の種類によっても異なり、一義的に定めることは困難であるが、醤油、糖類(砂糖、果糖ぶどう糖液糖、黒糖液など)、食塩、旨味調味料(グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウムなど)、醸造酢、みりん、アミノ酸類、エキス類(かつおエキスなど)、だし類、香辛料等を用いることができる。
具材としては、製造する混ぜ込み米飯の種類によって異なり、一義的に定めることは困難である。例えば、混ぜ込みいなり寿司の場合には、通常、ニンジン、シイタケ、油揚げ(特にこれを小さく刻んだ、きざみ揚げ)、大豆タンパク加工品等を用いることができる。具材としては、この他、タケノコ、カンピョウ、レンコンなどを用いることもできる。
具材は、適宜大きさにカットしたものを用いることができる。具材は、適宜大きさにカットしたりしたものをそのまま用いることもできるし、予め下茹でなど、下拵えをしたものを用いることもできる。また、具材としては、必要に応じて、冷凍品を用いることもできる。
一般的に根菜類は、物性が硬く潰れにくいため、米飯と混合しても、外観を損ないにくい長所があるものの、その物性に起因して、米飯との混合にあたっては、非常に混ぜにくい問題点がある。特に、カットしたときの最も長い辺の長さが15mm以上の比較的大きい具材の場合、この傾向は顕著であり、このような場合に本発明を適用すると、米飯ならびに具材とを混ぜやすく、かつ潰れのない外観に仕上げることができ好ましい。
従って、本発明においては、根菜類としては、これをカットしたときの最も長い辺の長さが15mm以上のものが好ましく用いられ、18mm以上のものがより好ましく用いられる。
本発明における根菜類としては、例えば、ニンジン、レンコン、ゴボウ、ショウガ等を挙げることができる。
上記の通り、具材が大きく、その具材量が調味液量に対して、相当な割合を占める場合、予め、液中に具材を分散させておくことが難しく、米飯調味時に均一に混ぜかけることは困難である。この場合には、一旦、炊飯米の上に、具材入り調味料を適当にふりかけてから、攪拌装置などで、混ぜ合わせる作業が必須となる。このような混ぜ合わせの作業時に、米飯及び具材のつぶれが生じやすいが、上記した割合で具材を含有させることにより、米飯調味時に均一に混ぜかけることができる。
増粘組成物の割合が少なすぎると、混合性・分散性に劣るものとなってしまう。
一方、増粘組成物の割合が多すぎると、増粘組成物同士がダマとなったり、混合性に劣るものとなる、また不快な粘度が混ぜ込みご飯への品質にも影響する。
本発明の具材入り混ぜ込み米飯用調味料は、具材と液状調味料とを含む、具材入り混ぜ込み米飯用調味料を製造するにあたり、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物を含有させることにより、製造することができる。
本発明の具材入り混ぜ込み米飯用調味料は、上記した如き特定の増粘組成物と;液状調味料と;具材と;を含有するものであればよく、特にその具体的な製法は限定されないが、例えば、次のようにして製造することができる。
これをレトルトパウチに充填し、密封した後、レトルト殺菌処理(加圧加熱処理)することにより、レトルトパウチに充填された、本発明の具材入り混ぜ込み米飯用調味料を製造することができる。
レトルト殺菌処理は、常法により行うことができる。なお、具材の調理を行ってもよいが、このレトルト殺菌処理により、具材の調理も同時に行うことができることから、必ずしも具材の調理工程を別途行う必要はない。
即ち、炊飯米に、タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物と;液状調味料と;具材と;を含有する、具材入り混ぜ込み米飯用調味料を混ぜ込むことにより、具材入り混ぜ込み米飯を製造することができる。
(1)使用する具材の準備
具材として、ニンジン30gを短冊切りにし、レンコン30gをイチョウ切りにカットしたものを用いた。
これらの具材は、概ね均一な大きさであり、最長の辺が20〜30mm程度のものであった。
アルギン酸ナトリウム70質量%、タラガム10質量%、アラビアガム2質量%、賦形剤(食品素材)18質量%からなる増粘組成物を調製した。
上記(1)で得られた具材と、上記(2)で得られた増粘組成物の水溶解液とを混合し、さらに、食酢、砂糖、醤油、旨味調味料を混合した調味液(液状調味料)を添加した液体混合物をレトルトパウチに充填し、密封した後、120℃にて10〜15分間程度レトルト殺菌処理(加圧加熱処理)して、表1に示す処方の具材入りの混ぜ込み米飯用調味料をそれぞれ調製した(実施例1〜4)。
なお、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中における具材の含有割合は、60質量部とした。
また、増粘組成物は、表1に示す含有割合となるようにして用いた。なお、表1では、単に「%」と記載したが、「質量%」の意である。
即ち、実施例1では、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、増粘組成物を0.20質量部の割合(0.20質量%)で含有させた。
実施例2では、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、増粘組成物を0.40質量部の割合(0.40質量%)で含有させた。
実施例3では、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、増粘組成物を0.60質量部の割合(0.60質量%)で含有させた。
実施例4では、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、増粘組成物を0.80質量部の割合(0.80質量%)で含有させた。
実施例5では、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、増粘組成物を1.0質量部の割合(1.0質量%)で含有させた。
前記(3)で得られた、レトルトパウチ入りの具材入り混ぜ込み米飯用調味料100gを温めた後、開封し、内容物を、225gの生米を1.2倍程度の加水量にて炊飯して得た炊飯米500gにふりかけ、具材を混合して、具材入り混ぜ込み米飯を製造し、混ぜやすさ、外観、美味しさ、を経験豊かなパネラー5名により、下記4段階の基準にて評価すると共に、総合評価した。結果を表1に示す。
×:悪い
△:普通
○:良い
◎:非常に良い
実施例1〜5において、増粘組成物の代わりに澱粉を、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、0.50質量部の割合(0.50質量%)で含有させたこと以外は、実施例1〜5と同様にして具材入り混ぜ込み米飯用調味料を調製し、具材入り混ぜ込み米飯を製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例1〜5において、増粘組成物の代わりにキサンタンガムを、具材入りの混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、0.30質量部の割合(0.30質量%)で含有させたこと以外は、実施例1〜5と同様にして具材入り混ぜ込み米飯用調味料を調製し、具材入り混ぜ込み米飯を製造し、評価した。結果を表1に示す。
特に、実施例2、3は、米飯と具材との混ぜやすさ、外観、美味しさの全てに極めて優れる具材入り混ぜ込み米飯となった。
つまり、増粘組成物は、具材入り混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、0.2〜0.8重量の割合で混合される事が好ましいことが明らかとなった。換言すれば、具材入り混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、増粘組成物として、アルギン酸ナトリウム0.14〜0.56質量%、かつ、タラガム0.02〜0.08質量%、かつ、アラビアガム0.004〜0.016質量%が含有されているが好ましいことが明らかとなった。
本発明によれば、具材入り混ぜ込み米飯の製造において優れた操作性を示し、外観、美味しさの観点でも申し分のない、優れた混ぜ込み米飯用調味料が提供される。
従って、本発明は、食品産業において有効に貢献することができる。
Claims (3)
- タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物と;液状調味料と;具材と;からなる、具材入り混ぜ込み米飯用調味料であって、
前記増粘組成物として、
前記タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のもの1質量部に対して、
前記アラビアガムを0.1〜1.0質量部の割合で含有し、かつ、前記アルギン酸ナトリウムを5.0〜8.0質量部の割合で含有するものを用いると共に、
前記具材入り混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、前記具材を20〜75質量部の割合で含有すると共に、前記増粘組成物を0.2〜0.8質量部の割合で含有するものである、
具材入り混ぜ込み米飯用調味料。
- 前記具材がカットされた根菜類を含むものであり、かつ、前記根菜類の最も長い辺の長さが15mm以上のものである、請求項1に記載の具材入り混ぜ込み米飯用調味料。
- タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のものと、アラビアガムと、アルギン酸ナトリウムと、からなる増粘組成物と;液状調味料と;具材と;からなる、具材入り混ぜ込み米飯用調味料であって、
前記増粘組成物として、
前記タラガム、グアーガム及びローカストビーンガムから選ばれる少なくとも1種類のもの1質量部に対して、
前記アラビアガムを0.1〜1.0質量部の割合で含有し、かつ、前記アルギン酸ナトリウムを5.0〜8.0質量部の割合で含有するものを用いると共に、
前記具材入り混ぜ込み米飯用調味料100質量部中に、前記具材を20〜75質量部の割合で含有すると共に、前記増粘組成物を0.2〜0.8質量部の割合で含有する、
具材入り混ぜ込み米飯用調味料を、
炊飯米に、混ぜ込むことを特徴とする、具材入り混ぜ込み米飯の製造方法。
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