JP6400263B1 - 保護リレー - Google Patents
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Abstract
Description
[電力系統の構成例]
図1は、保護リレーを備えた電力系統の構成例を示す図である。図1を参照して、送電線40の一端には電源42が設けられる。なお、送電線40は三相送電線であるが図1では図解を容易にするために1本の線で示している。
図2は、図1の保護リレーのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2の保護リレー50は、いわゆるデジタルリレー装置と同様の構成を有している。具体的に図2を参照して、保護リレー50は、アナログ入力回路51と、演算回路60と、I/O(Input and Output)回路70とを備える。
次に、演算回路60で実現されるデジタル処理の内容について詳しく説明する。以下の機能は、CPU61がプログラムに従って動作することによって実現されるものとして説明するが、前述のように、演算回路60は、ASICまたはFPGAなどによって実現されていてもよい。また、以下では、主として過電流リレーを例に挙げて説明するが、本開示は過電流リレーに限定されるものではない。
I2=[i(t-1)・i(t-2)−i(t)・i(t-3)]/[sin30°・sin60°] …(1)
で求めることができる。より、一般的な表式は上記の特許文献3に開示されている。
図5は、図2の演算回路による処理手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートは、図3および図4のデジタル処理部の動作を時系列順に示したものである。図5の各ステップは、図2のCPU61によって実行される。
以上のとおり、実施の形態1の保護リレーによれば、互いに窓長の異なる第1フィルタ81および第2フィルタ82を利用し、第1フィルタ81の出力信号のk1倍と第2フィルタ82の出力信号のk2倍との和に基づいて動作判定が行われる。電力系統に故障が検出されたときには、前記第1係数を減少させかつ前記第2係数を増加させ、その後、時間の経過とともに前記第1係数および前記第2係数を変化させるようにする。これにより、オーバーシュートの発生を抑制することができ、応答速度と動作判定精度とを両立することが可能な保護リレーを提供することができる。
実施の形態2では、実施の形態1で説明した第1フィルタ81、第2フィルタ82、おおよび第3フィルタ83の具体例と、係数k1,k2の具体的な設定方法について説明する。
(第1フィルタ81)
具体的に、第1フィルタ81としてフル・サイクル・コサイン・フィルタ(Full Cycle Cosine Filter)が用いられる。リレー演算周期Tを電気角で30°としたとき、フル・サイクル・コサイン・フィルタは、
i(t)+i(t-1)・cos30°+i(t-2)・cos60°+i(t-3)・cos90°+i(t-4)・cos120°
+i(t-5)・cos150°+i(t-6)・cos180°+i(t-7)・cos210°+i(t-8)・cos240°
+i(t-9)・cos270°+i(t-10)・cos300°+i(t-11)・cos330° …(2)
のように表される。したがって、フル・サイクル・コサイン・フィルタの窓長は電気角で330°である。
第2フィルタ82として、60°差分フィルタが用いられる。60°差分フィルタは、
i(t)−i(t-2) …(3)
で表される。ただし、リレー演算周期Tを電気角で30°としている。したがって、60°差分フィルタの窓長は電気角で60°である。
図8は、実施の形態2における係数値k1,k2の設定例を示す図である。図8(A)では係数値k1,k2を表形式で示し、図8(B)では数値k1,k2をグラフで示す。図8(A)では、電力系統の故障検出後の経過時間がリレー演算周期T(Tは電気角で30°に対応する)を基準にして示されている。すなわち、故障検出から1Tの時間が経過した以降において係数値k1,k2が変化する。
i(t)=0 ただし、0≦t<0.05(秒) …(4A)
i(t)=sin(ωt)+exp(−t/τ) ただし、t≧0.05(秒)
…(4B)
によって表される。時刻t=0.05(秒)において、1相地絡などの単純故障が生じたと仮定している。系統周波数fを50Hzとし、リレー演算周期Tを1.667msec(対応する電気角を30°)とする。
次に、第3フィルタ83について説明する。第3フィルタ83として180°加算フィルタが用いられる。180°加算フィルタは、
i(t)+i(t-6) …(5)
で表される。ただし、リレー演算周期Tを電気角で30°としている。したがって、180°加算フィルタの窓長は電気角で180°である。
実施の形態2では、実施の形態1で説明した第1フィルタ81、第2フィルタ82、および第3フィルタ83の具体例と、係数k1,k2の具体的な設定方法について説明した。実施の形態1の場合と同様に、オーバーシュートの発生を抑制することができ、応答速度と動作判定精度とを両立することが可能な保護リレーを提供することができる。
実施の形態3では、係数演算部90における係数k1,k2の他の設定方法について説明する。
実施の形態4では、係数演算部90における係数k1,k2のさらに他の設定方法について説明する。
実施の形態5は、実施の形態1を変形したものである。実施の形態5では、基本波周波数に対して、第1フィルタ81の出力信号の位相と第2フィルタ82の出力信号の位相とが、同じか互いに180°異なる場合について説明する。この場合、第1フィルタ81および第2フィルタ82の各々の出力信号の振幅値を求めずに、各フィルタの出力信号の瞬時値を合成(加算または減算)することが可能である。この結果、動作遅れをより少なくすることができる。さらに、距離リレーなど瞬時値を用いるリレー演算にも、本開示の技術を適用することが可能になる。以下、図面を参照して詳しく説明する。
その次のステップS230において、CPU61は、第3フィルタ83の出力に基づいて電力系統で故障が発生しているか否かを判定する。たとえば、CPU61は、第3フィルタ83の出力の大きさが予め設定された閾値を超えた状態が、予め定められた照合期間(たとえば、2T)の間継続したときに、電力系統で故障が発生したと判定する。
実施の形態6では、実施の形態5で説明した第1フィルタ81の具体例について説明する。なお、第2フィルタ82の具体的構成として60°差分フィルタを用いることができ、第3フィルタ83の具体的構成として180°加算フィルタを用いることができる。これらフィルタ特性は実施の形態2で説明したので、説明を繰り返さない。また、係数k1,k2の値として、実施の形態3で説明した図15の設定値が用いられる。
第1フィルタ81は、複数の加算フィルタと差分フィルタとを直列に接続することによって構成される。具体的に、現時点の入力信号をi(t)としたとき以下のフィルタ(a)〜(f)が直列に接続される。なお、リレー演算周期Tは電気角で30°とする。
(b) i2(t)=i1(t)−i1(t-1) …(6B)
(c) i3(t)=i2(t)+i2(t-2) …(6C)
(d) i4(t)=i3(t)+i3(t-3) …(6D)
(e) i5(t)=i4(t)+√(3)*i4(t-1)+i4(t-2) …(6E)
(f) i6(t)=−i5(t)−i5(t-4) …(6F)
上式において、入力信号i(t)は式(6A)で表される30°加算フィルタに入力される。次に、式(6A)で表される30°加算フィルタの出力i1(t)は式(6B)で表される30°差分フィルタに入力される。次に、式(6B)で表される30°差分フィルタの出力i2(t)は、式(6C)で表される60°加算フィルタに入力される。以下同様の演算が行われ、最終的に入力信号i(t)に対して出力信号i6(t)が得られる。
上記の第1フィルタ81を用いた場合のシミュレーション結果について説明する。
Claims (12)
- 電力系統の電流または電圧を表す信号を検出してA/D(Analog to Digital)変換することにより、時系列データを生成するアナログ入力回路と、
前記時系列データに基づいたデジタル処理を行う演算回路とを備え、
前記演算回路は、
前記時系列データのうち直流成分および電力系統の少なくとも一部の次数の高調波成分を減衰または除去して前記電力系統の基本波成分の少なくとも一部を通過させ、第1の窓長を有する第1フィルタと、
前記時系列データのうち直流成分および電力系統の少なくとも一部の次数の高調波成分を減衰または除去して前記基本波成分の少なくとも一部を通過させ、前記第1の窓長より短い第2の窓長を有する第2フィルタと、
前記第1フィルタの出力信号に基づく値に第1係数を乗算し、前記第2フィルタの出力信号に基づく値に第2係数を乗算し、乗算結果を合成する係数演算部と、
前記係数演算部による合成結果に基づいて動作判定を行う動作判定部と、
前記第1係数および前記第2係数を設定する係数設定部とを含み、
前記係数設定部は、前記電力系統の故障が検出されたときに、前記第1係数を減少させかつ前記第2係数を増加させ、その後、時間経過とともに前記第1係数および前記第2係数を変化させる、保護リレー。 - 前記演算回路は、さらに、
前記時系列データのうち基本波成分を除去する第3フィルタと、
前記第3フィルタの出力信号に基づいて前記電力系統の故障を検出する故障判定部とを含む、請求項1に記載の保護リレー。 - 前記第1フィルタは、フル・サイクル・コサイン・フィルタを含み、
前記第2フィルタは、60°差分フィルタを含み、
前記第3フィルタは、180°加算フィルタを含む、請求項2に記載の保護リレー。 - 前記演算回路は、さらに、
前記第1フィルタの出力信号の振幅を計算する第1振幅値演算部と、
前記第2フィルタの出力信号の振幅を計算する第2振幅値演算部とを含み、
前記係数演算部は、前記第1振幅値演算部によって算出された振幅値に前記第1係数を乗算し、前記第2振幅値演算部によって算出された振幅値に前記第2係数を乗算する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護リレー。 - 前記基本波成分の周波数に対して、前記第1フィルタの出力信号の位相と前記第2フィルタの出力信号の位相とは同じであるか、互いに180°異なり、
前記係数演算部は、前記第1フィルタの出力信号に前記第1係数を乗算し、前記第2フィルタの出力信号に前記第2係数を乗算し、乗算結果を合成し、
前記動作判定部は、前記係数演算部による前記合成結果に基づいて動作判定を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載の保護リレー。 - 前記係数設定部は、前記第1係数および前記第2係数と故障検出後の経過時間との間の予め決定された対応関係に基づいて、前記第1係数および前記第2係数を設定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の保護リレー。
- 前記係数設定部は、前記電力系統の故障が検出されたときに、前記第1係数を減少させかつ前記第2係数を増加させ、その後、前記第1係数を増加させかつ前記第2係数を減少させた後に、再び前記第1係数を減少させかつ前記第2係数を増加させ、その後、前記第1係数を増加させかつ前記第2係数を減少させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護リレー。
- 前記係数設定部は、前記電力系統の故障が検出されたときに、前記第1係数を減少させかつ前記第2係数を増加させ、その後、時間の経過とともに前記第1係数を徐々に増加させかつ前記第2係数を徐々に減少させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護リレー。
- 前記係数設定部は、前記電力系統の故障が検出されたときに、前記第1係数を0に設定しかつ前記第2係数を1に設定する、請求項8に記載の保護リレー。
- 前記係数設定部は、前記電力系統の故障が検出されたときに、前記第1係数を0に設定しかつ前記第2係数を1に設定してからその状態を維持した後に、時間の経過とともに前記第1係数を徐々に増加させかつ前記第2係数を徐々に減少させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の保護リレー。
- 前記第1係数と前記第2係数との和は1に等しい、請求項1〜10のいずれか1項に記載の保護リレー。
- 前記対応関係は、故障時における前記電力系統の直流電流成分が最大となるような仮想の前記時系列データに基づいて、前記電力系統の故障検出後に前記合成結果の振幅が入力信号の振幅に等しくなるように決定される、請求項6に記載の保護リレー。
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