JP5029357B2 - 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム - Google Patents

適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム Download PDF

Info

Publication number
JP5029357B2
JP5029357B2 JP2007525991A JP2007525991A JP5029357B2 JP 5029357 B2 JP5029357 B2 JP 5029357B2 JP 2007525991 A JP2007525991 A JP 2007525991A JP 2007525991 A JP2007525991 A JP 2007525991A JP 5029357 B2 JP5029357 B2 JP 5029357B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
filter
output signal
coefficient
amplitude
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007525991A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007010849A1 (ja
Inventor
治 宝珠山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2007525991A priority Critical patent/JP5029357B2/ja
Publication of JPWO2007010849A1 publication Critical patent/JPWO2007010849A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5029357B2 publication Critical patent/JP5029357B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H21/00Adaptive networks
    • H03H21/0012Digital adaptive filters
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H17/00Networks using digital techniques
    • H03H17/02Frequency selective networks
    • H03H17/0294Variable filters; Programmable filters
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H2218/00Indexing scheme relating to details of digital filters
    • H03H2218/04In-phase and quadrature [I/Q] signals

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Mathematical Physics (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Noise Elimination (AREA)

Description

本発明は、適応ディジタルフィルタに関し、特にFM(Frequency Modulation)受信機のマルチパス等化器等に好適な適応ディジタルフィルタに関する。
FMラジオ放送やテレビジョン放送で用いられているFM変調波は、正弦波のキャリア信号を楽音信号により位相変調した信号であり、雑音耐性が高く、15kHzという広い帯域の楽音信号を低い歪率で伝送できる。しかしながら、電波が直接到達する経路以外に、建造物等に反射することで遅延して到達する経路であるマルチパス伝搬路が存在すると、直接波とともに受信する強い反射波の影響により復調に必要な位相情報が乱れて復調信号に歪が生じてしまう。
マルチパス伝搬路によって生じたこのような歪はマルチパス歪と呼ばれる。また、マルチパス伝搬路の特性を補償することでマルチパス歪を低減する等化器は、マルチパス等化器あるいはマルチパス歪キャンセラと呼ばれる。
マルチパス等化器は、マルチパス伝搬路の逆特性を持つフィルタ、すなわち逆フィルタに受信信号を通過させることでマルチパスの影響を軽減する。マルチパス伝搬路の特性は通信環境によって変化するため、逆フィルタの特性もその時々の状態に応じて最適化する必要がある。そのため、逆フィルタには、一般に適応ディジタルフィルタが使用される。
適応ディジタルフィルタとは、フィルタ係数を通信環境の変化に応じて自動的に更新する機能を持つフィルタである。フィルタ係数を時点毎に計算するアルゴリズムは適応アルゴリズム(adaptive algorithm)と呼ばれ、代表的なものにLMS(Least Mean Square)アルゴリズムがある。
LMSアルゴリズムは、広い意味で2乗平均誤差を最急降下法に基づいて最小にする方法であり、安定性があり、演算量が少ないという利点がある。また、LMSアルゴリズムの係数修正項をフィルタの状態ベクトルノルムで正規化した正規化LMSアルゴリズムと呼ばれるアルゴリズムがある。しかし、正規化LMSアルゴリズムはLMSアルゴリズムよりも計算量が多いという課題がある。
さらに、複素LMSアルゴリズムと呼ばれる適応アルゴリズムも知られている。これは、入力信号、出力信号、目標信号及びフィルタ係数がそれぞれ複素量である場合にLMSアルゴリズムを拡張したものであり、例えば入力信号が狭帯域高周波信号であるときに、その同相成分と直交成分とを分離して適応する場合に用いられる。
他方、適応ディジタルフィルタを用いる従来の等化器は、その適応化のために参照信号(トレーニング信号)を必要とし、通信の中断やユーザデータの伝送に寄与しない参照信号を送受信することで通信効率の低下を招いていた。これに対して近年開発されたブラインド等化器と呼ばれる等化器は、適応化のための参照信号を必要とせず、受信信号のみから信号の復元等化を行う。このようなブラインド等化に適するアルゴリズムはブラインドアルゴリズムと呼ばれ、その代表的なものとしてCMA(Constant Modulus Algorithm:コンスタントモジュラスアルゴリズム)がある。
CMAは、非特許文献1(C. Richard Johson Jr, P. Schniter, T. J. Endres, J. D. Behm, D.R. Brown, Raul A.Casas, “Blind Equalization Using the Constant Modulus Criterion: A Review” Proceedings of IEEE、Vol.86、No.10, Oct. 1998.)に記載されているように、フィルタ出力の包絡線、高次統計量等の出力信号に関する統計量を指標に用い、この指標が目標値に近づくようにフィルタ係数を更新するアルゴリズム一般を指す。FM変調のように変調波の振幅が一定である定振幅変調波を用いる場合は、非特許文献2(J. R. Treichler, and B. G. Agee, "A New Approach to Multipath Correction of constant Modulus Signals", IEEE Transactions on Acoustics, Speech, and Signal Processing, Vol.31 No.2, pp.459-472, Apr.1983.)に記載されているように、指標としてフィルタ出力の包絡線、すなわち振幅を使用し、フィルタを通した後の信号の包絡線の値と目標値との誤差が最小となるようにフィルタ係数を更新する。これにより、包絡線の歪の補正に伴って位相の歪も補正され、マルチパス伝搬路の反射波による影響が除去される。
なお、CMAは適応アルゴリズムとは別の概念である。CMAにおいてフィルタ係数を各時点で計算するための適応アルゴリズムとしては、前述したLMSアルゴリズム等の適応アルゴリズムが使用される。
上述したようにフィルタの出力信号の包絡線の値を一定に制御するためには、包絡線の値を瞬時に抽出する必要がある。その代表的な手法に複素信号化処理がある。複素信号化処理では、ある実信号f1に対して位相が90度(π/2)遅れた実信号f2をヒルベルト変換器等によって生成し、f1を実部に、f2を虚部に持つ複素信号(一般に解析信号と呼ばれる)を生成する。このような複素信号を生成すると、この実信号の包絡線の値は複素信号の実部と虚部の2乗和を計算することで瞬時に求めることができる。但し、フィルタの出力信号に対して複素信号化処理を施すと、係数の更新ループ中の複素信号化処理による遅延がループの不安定要因となるため、入力信号に対して複素信号化処理を施すことが望ましい。その場合、入力信号が複素信号となるので、適応アルゴリズムとして複素LMSアルゴリズム等の複素量が扱えるアルゴリズムを使用する。以下、この方法を第1の従来技術と呼ぶ。
第1の従来技術を用いた適応ディジタルフィルタの構成を図1に示す。
図1に示す入力信号X(k)は図示しないヒルベルト変換器により複素信号に変換されている。この複素信号を入力として複素フィルタ係数W(k)を畳み込み、複素信号の出力信号y(k)を得る。複素フィルタ係数W(k)は、出力信号y(k)の包絡線の値が予め規定した目標値に近づくように、複素信号を扱えるように拡張した適応アルゴリズムにより更新される。この適応ディジタルフィルタのアルゴリズムは以下のように表現される。
W(k+1)=W(k)−μ(|y(k)|−yref0)y(k) XH(k) …(1)
y(k)=WT(k)X(k) …(2)
W(k)=[w0(k),w1(k),…,wN-1(k)]T …(3)
X(k)=[x(k),x(k-1),…,x(k-N+1)]T …(4)
ここで、W(k)はフィルタ係数ベクトル、X(k)は複素信号ベクトル、kはサンプルインデックス、Nはフィルタのタップ数、y(k)は出力信号、yref0は包絡線目標値、μはフィルタ係数の更新量を決定するパラメータである。また、Hは複素共役転置、Tは転置をそれぞれ表す。p,qは包絡線目標値に対する誤差の評価関数を定める定数であり、例えばp=1,q=1とする。
第1の従来技術では、複素信号化処理を適用することで位相が90度(π/2)異なる2つの信号を生成したが、特許文献1(特開2005−64618号公報)及び非特許文献3(伊丹 誠、羽鳥 光俊、塚本 憲男、“FMマルチパスひずみキャンセラの試作”、1986年テレビジョン学会全国大会、355ページから356ページ)に記載されているように、入力信号を標本化する際に搬送周波数の(4/奇数)倍の周波数で標本化すれば、隣り合った標本点の位相が90度異なる。このようにすれば、実数を扱う適応アルゴリズムをそのまま利用可能であり、出力の包絡線の値を求める際に隣り合った標本点の2乗和を計算すればよい。以下、この方法を第2の従来技術と呼ぶ。
第2の従来技術を用いた適応ディジタルフィルタの構成を図2に示す。
図2に示す入力信号Xr(k)は実信号であり、この実信号を入力として実信号のフィルタ係数Wr(k)を畳み込み、実信号の出力信号yr(k)を得る。フィルタ係数Wr(k)は、出力信号yr(k)の包絡線が予め規定された目標値に近づくように実係数を扱う適応アルゴリズムによって更新される。この適応ディジタルフィルタのアルゴリズムは以下のように表現される。
Wr(k+1)=Wr(k)−μ(Env[yr(k)]−yref0)yr(k)Xr(k) …(5)
yr(k)=WrT(k)Xr(k) …(6)
Env[yr(k)]=(yr2(k-1)+yr2(k))1/2 …(7)
Wr(k)=Re[W(k)] …(8)
Xr(k)=Re[X(k)] …(9)
ここで、Wr(k)は実係数ベクトル、Xr(k)は実信号ベクトル、Env[ ]は包絡線の近似値を得る操作、Re[ ]は複素数の実部を取り出す操作、yr(k)は実数出力信号を表している。
包絡線目標値yref0は基本的に定数であるが、特許文献1では受信波に含まれるドップラフェージングの影響を除去して適応処理を安定化させるために、包絡線目標値を適応ディジタルフィルタの入力信号の振幅に応じて設定している。具体的には、入力信号中の隣り合った標本点の2乗和を計算して入力信号の振幅を求め、さらにその信号をLPF(ローパスフィルタ)に通過させたときの振幅を包絡線目標値としている。
上述した従来の適応ディジタルフィルタの問題点は、演算量が多く大規模なハードウェアが必要になることである。その理由は次の通りである。
第1の理由はフィルタ係数の更新量が入力信号のレベルに比例することである。フィルタ係数の更新量が入力信号のレベルに比例すると、大きな入力信号が入力された場合にフィルタ係数の更新量が大きくなり、フィルタ係数がオーバーフローする。それを防止するためにはフィルタ係数を浮動小数点で表記したり、固定少数点であってもビット数を多くする等、フィルタ係数の演算に高精度な演算が必要になる。しかしながら、高精度な演算には多くの演算量が必要であり、ハードウェア規模も大きくなる。
第2の理由はフィルタ係数の変動幅が非常に大きいことである。例えば、包絡線目標値を1とし、入力信号振幅が1である場合、フィルタ係数は1程度の値になるが、入力信号振幅が0.01である場合は、フィルタ係数は100程度の値になる。このように変動幅の大きいフィルタ係数をオーバーフローすることなく正確に表現するためには、フィルタ係数の演算に高精度な演算が必要であり、演算量が増え、ハードウェア規模が大きくなる。
第3の理由は複素信号を処理することである。すなわち、図1に示した適応ディジタルフィルタでは、入力信号X(k)、フィルタ係数W(k)、出力信号y(k)等のほとんど全ての信号処理を複素数で行う。複素数の乗算1回は、実数の乗算4回と加算2回に相当する。FM受信機用のマルチパス等化器では、多くのタップを有するフィルタの畳み込み演算及び係数更新演算を短いサンプリング周期毎に実行しなければならないため演算量が膨大になる。
なお、図2に示した適応ディジタルフィルタでは、サンプリング周波数が中間周波信号の中心周波数からみて正確に(4/奇数)倍であれば、包絡線の計算精度も高く、図1に示した適応ディジタルフィルタと同等の性能が得られ、しかも演算量を約25%に削減できる。しかしながら、サンプリング周波数の制限が厳しく、任意のサンプリング周波数で設計できないという別の課題がある。サンプリング周波数が中間周波信号の中心周波数の(4/奇数)倍からずれると、包絡線の計算精度が低下するため、マルチパス等化能力自体が劣化する。
そこで、本発明は演算量を削減することができる適応ディジタルフィルタを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、サンプリング周波数に対する制限がない適応ディジタルフィルタを提供することにある。
上記目的を達成するため本発明では、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部、または一つの実信号から生成された位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号を入力信号とし、該入力信号と実信号のフィルタ係数との畳み込み演算によって複素信号の出力信号を生成して出力するフィルタ部を備え、出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいてフィルタ係数を制御し、かつ適応ディジタルフィルタの入力信号及び出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいてフィルタ係数の更新量を制御する。
このような構成では、入力信号レベルが極端に大きくなった場合でもフィルタ係数が小さくなるため、フィルタ係数の更新量が大きくならず、フィルタ係数自体も大きな値にならない。したがって、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、複素信号である個々の出力信号から包絡線の値などの指標値を計算できるため、サンプリング周波数を任意に設定可能であり、第2の従来技術のようなサンプリング周波数に対する制限がない。
第1の従来技術の適応ディジタルフィルタの構成を示すブロック図である。 第2の従来技術の適応ディジタルフィルタの構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第1の実施の形態の構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する係数更新量制御部の一構成例を示すブロック図である。 第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する包絡線目標値発生回路の一構成例を示すブロック図である。 第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作を示すフローチャートである。 本発明の適応ディジタルフィルタの第2の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する包絡線目標値発生回路の一構成例を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第3の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する包絡線目標値発生回路の一構成例を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第4の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第5の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する係数更新量制御部の一構成例を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第6の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第7の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第8の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第9の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する係数更新量制御部の一構成例を示すブロック図である。 第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する係数更新量制御部の他の構成例を示すブロック図である。 第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタで使用する係数更新量制御部の他の構成例を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第10の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第11の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第12の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第13の実施の形態の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第14の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第15の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第16の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第17の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第18の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第19の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第20の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第21の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第22の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第23の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 本発明の適応ディジタルフィルタの第24の実施の形態の要部の構成を示すブロック図である。 包絡線目標値発生回路で使用する平均化回路の実施例の構成を示すブロック図である。 本発明のFM受信機の一構成例を示すブロック図である。
(第1の実施の形態)
図3に示すように第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、入力端子301から入力される複素信号(複素入力信号)と実信号のフィルタ係数(実フィルタ係数)との畳み込み演算によって複素信号の出力信号(複素出力信号)を生成し、出力端子302から出力するフィルタ部と、複素出力信号から導出した指標値(本実施形態では包絡線の値)と目標信号との誤差に基づいてフィルタ係数を制御する係数制御部とを有する構成である。
係数制御部は図3に示すブロック318とN個のブロック319〜319N−1とによって構成され、フィルタ部はそれ以外のブロックによって構成される。ここで、複素入力信号は一つの実信号から生成された位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号である。
フィルタ部は、タップ数がN、すなわちフィルタ係数がN個のFIR(Finite Impulse Response)型フィルタであり、信号を1サンプリング周期だけ遅延させるN−1個の遅延器330〜330N−1からなるタップつき遅延線と、複素入力信号及び遅延器330〜330N−1の出力信号に対してフィルタ係数を乗ずるためのN個の乗算器336〜336N−1と、これらN個の乗算器336〜336N−1の乗算結果を順次加算するN−1個の加算器337〜337N−1とを有する構成である。
係数制御部は、適応アルゴリズムとしてLMSを使用し、全てのフィルタ係数を制御する共通部318と個々のフィルタ係数を制御する個別部319〜319N−1とを備えている。
共通部318は、複素入力信号の包絡線の値(すなわち振幅値)を実部と虚部の2乗和により計算して出力する絶対値回路304と、絶対値回路304から供給される入力信号の振幅値に基づいて包絡線目標値を生成する包絡線目標値発生回路305と、フィルタ部の出力である複素出力信号の包絡線の値を実部と虚部の2乗和により計算して出力する絶対値回路308と、絶対値回路308で求めた包絡線の値から包絡線目標値を減じた値を出力する減算器307と、複素出力信号の実部のみを抽出して出力する実部抽出回路309と、減算器307の出力信号と実部抽出回路309の出力信号との乗算結果を出力する乗算器310と、乗算器310の出力信号と絶対値回路304から供給される入力信号の振幅値とに基づいて係数更新量を演算し、その結果を個別部319〜319N−1へ出力する係数更新量制御部306とを有する構成である。
個別部319〜319N−1は、複素入力信号あるいはタップつき遅延線上の対応する遅延器330〜330N−1の出力信号から、その実部のみを抽出して出力する実部抽出回路335〜335N−1と、共通部318から供給された信号と実部抽出回路335〜335N−1で抽出された実部とを乗じた結果を出力する乗算器331〜331N−1と、乗算器336〜336N−1に供給されているフィルタ係数と乗算器331〜331N−1の出力とを加算して次サンプリング周期で使用するフィルタ係数を出力する加算器333〜333N−1と、加算器333〜333N−1の出力を1サンプリング周期だけ遅延させて乗算器336〜336N−1に出力する遅延器334〜334N−1とを備えている。
係数更新量制御部306は、入力端子301を介して供給された入力信号の振幅が大きすぎる場合に係数更新量を小さくする機能を持つ。係数更新量制御部306の一構成例を図4に示す。
図4に示すように、係数更新量制御部306が備える乗算器512には入力端子500を介して図3に示した乗算器310の出力信号が供給される。乗算器512は、入力端子500から入力される信号にリミッタ514から出力された信号を乗じ、その結果を乗算器311へ出力する。乗算器311は、乗算器512から出力された信号にステップサイズ発生器303から供給された値を乗じ、その結果を出力端子503へ出力する。出力端子503からは図3に示した個別部319〜319N−1へ信号が供給される。
平均化回路505には、入力端子501を介して図3の絶対値回路304の出信号が供給される。平均化回路505は、入力端子501から入力される信号の時間平均を計算し、その結果を入力信号の振幅の推定値として乗算器509へ出力する。乗算器509は、平均化回路505から供給された信号に重み係数発生器508から供給された値を乗じ、その結果を逆数回路511へ出力する。逆数回路511は、乗算器509から供給された信号の逆数を計算し、その計算結果をリミッタ514へ出力する。リミッタ514は、逆数回路511から供給された値が予め設定された上限と下限間に収まるように制限し、その結果を乗算器512へ出力する。
包絡線目標値発生回路305は、入力信号の振幅が小さい場合は小さな包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きな包絡線目標値を生成する。包絡線目標値発生回路305の一構成例を図5に示す。
図5に示すように、包絡線目標値発生回路305は、入力端子401を介して絶対値回路304から供給された過去の一定期間の信号の重み付き平均を求める平均化回路404と、平均化回路404で求めた値が予め設定された上限と下限間に収まるように制限し、出力端子403から時変の包絡線目標値として出力するリミッタ408とを備えている。
包絡線目標値発生回路305は、目標信号を入力信号の振幅に基づいて制御する場合、入力信号の振幅が小さくなっていくときに目標信号を小さくしていき、入力信号の振幅が大きくなっていくときに目標信号を大きくしていき、かつ目標信号を小さくする速度を、目標信号を大きくする速度よりも速くする。
第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタのアルゴリズムは以下のように表現される。
Wr(k+1)=Wr(k)−μγ(|y(k)|p−yref(k))qRe[y(k)]Re[X(k)] …(10)
y(k)=WrT(k)X(k) …(11)
yref(k)=Av[|x(k)|] …(12-1)
Av[|x(k)|]=(1−β)Av[|x(k−1)|]+β|x(k)| …(12-2)
ここで、Wr(k)は実係数ベクトル、X(k)は複素信号ベクトル、Re[ ]は複素数の実部を取り出す操作、y(k)は複素出力信号、kはサンプルインデックス、Nはフィルタのタップ数、yrefは時変の包絡線目標値、μはフィルタ係数の更新量を決定するパラメータであるステップサイズ、Av[ ]は平均化を行う操作、βは重み係数であり0<β<1を満たす正定数、γは入力信号の振幅の逆数にほぼ比例するパラメータであり図4に示したリミッタ514の出力に相当する。また、p、qは、包絡線目標値に対する誤差の評価関数を定める定数であり、例えばp=1、q=1とする。
第1の実施の形態では、フィルタ係数は複素数ではなく実数であるため、ステップサイズμを、複素フィルタ係数を使用する場合のステップサイズの約4倍に設定する。これにより、複素フィルタ係数を使用する場合と収束速度を同等にできる。
次に第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作について説明する。
図6は第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタでは、入力端子301からの新たな複素入力信号の入力処理S1、適応等化処理S2、出力端子302への複素出力信号の出力処理S3及びパラメータ更新処理S4が繰り返し実行される。
適応等化処理S2は上記式(11)に基づく処理であり、パラメータ更新処理S4は上記式(10)に基づく処理である。以下、各々の動作について説明する。
まず、適応等化処理S2について説明する。
適応等化処理S2では、入力端子301から入力された複素入力信号を乗算器336及び実部抽出回路335に供給すると共に、1サンプリング周期だけ遅延させる遅延器330〜330N−1からなるタップつき遅延線に供給する。
遅延器330〜330N−1に供給された複素信号は、1クロック毎に隣接する遅延器に転送され、遅延器330〜330N−1の出力信号は対応する乗算器336〜336N−1及び対応する実部抽出回路335〜335N−1に供給される。
乗算器336は、入力端子301から入力された複素信号に、遅延器334から供給された実数フィルタ係数を乗じ、その結果を加算器337に出力する。乗算器336〜336N−1は、対応する遅延器330〜330N−1から供給された複素信号に、対応する遅延器334〜334N−1から供給された実数フィルタ係数を乗じ、その結果を加算器337〜337N−1に出力する。
加算器337〜337N−1は、乗算器336〜336N−1から供給された複素信号を全て加算し、その結果を出力端子302に出力すると共に、絶対値回路308及び実部抽出回路309へ出力する。このようにして複素入力信号と実信号のフィルタ係数との畳み込み演算によって複素信号の出力信号が生成される。
次にパラメータ更新処理S4について説明する。
パラメータ更新処理S4では、絶対値回路304により複素入力信号の振幅値を計算し、包絡線目標値発生回路305及び係数更新量制御部306へ供給する。包絡線目標値発生回路305は、平均化回路404により絶対値回路304から供給された振幅値に正定数βを乗じて平均化した結果をリミッタ408へ出力する。リミッタ408は過度の値を超えないように制限し、時変の包絡線目標値として減算器307に出力する。
絶対値回路308は、入力される複素出力信号の絶対値を計算し、その結果を包絡線の値として減算器307へ出力する。減算器307は、包絡線目標値発生回路305から供給された包絡線目標値を、絶対値回路308から供給された信号から減算し、その結果を乗算器310へ出力する。
実部抽出回路309は、入力された複素出力信号の実部のみを抽出し、その結果を乗算器310へ出力する。乗算器310は、減算器307から供給された信号に、実部抽出回路309から供給された信号を乗じ、その結果を係数更新量制御部306へ出力する。
係数更新量制御部306は、乗算器310から供給された信号とリミッタ514から供給された信号とを乗算器512により乗じ、その結果を乗算器311へ出力する。ここで、リミッタ514の出力信号は、平均化回路505、乗算器509及び逆数回路511の処理により適応ディジタルフィルタの入力信号の振幅の推定値のほぼ逆数になる。乗算器311は、乗算器512から供給された信号とステップサイズ発生回路303で生成したステップサイズとを乗じ、その結果を個別部319〜319N−1へ出力する。
個別部319〜319N−1は、係数更新量制御部306から供給された信号を乗算器331〜331N−1へ出力する。実部抽出回路335〜335N−1は、対応する遅延器330〜330N−1または入力端子301から入力された複素信号の実部を抽出し、対応する乗算器331〜331N−1へ出力する。乗算器331〜331N−1は、対応する実部抽出回路335〜335N−1から供給された実数信号と共通部318から供給された実数信号とを乗じ、その結果を対応する加算器333〜333N−1へ出力する。加算器333〜333N−1は、対応する乗算器331〜331N−1から供給された実数信号に、対応する遅延器334〜334N−1から供給された実数フィルタ係数を加算し、結果を次サンプルのフィルタ係数として、対応する遅延器334〜334N−1へ出力する。遅延器334〜334N−1は、対応する加算器333〜333N−1から供給された実数フィルタ係数を1サンプリング周期だけ遅延させて対応する乗算器336〜336N−1へ出力すると共に、対応する加算器333〜333N−1へ出力する。
次に第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタの効果について説明する。
第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部306から個別部319〜319N−1へ出力される信号は、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅の推定値の逆数に比例する。すなわち、該入力信号の振幅が大きすぎる場合は信号が小さくなる。個別部319〜319N−1は、乗算器331〜331N−1にて係数更新量制御部306から供給される信号と入力信号の実部とをそれぞれ被乗数とする乗算を行い、係数更新量を求めるため、一方の被乗数である入力信号が大きくても、他方の被乗数である係数更新量制御部306から供給される信号が小さくなるため、結果として係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。したがって、入力信号が極端に大きくなってもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、包絡線目標値発生回路305が生成する時変の包絡線目標値は入力端子301を介して供給される入力信号の振幅にほぼ比例する。例えば、入力信号振幅が0.01である場合、包絡線目標値は0.01程度の値となる。その結果、フィルタ係数は1程度の値になる。つまり入力信号のレベルが小さくてもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
さらに、図3に示したように、第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタでは、多くの信号が複素数ではなく実数である。信号が複素数ではなく実数であることで、図1に示した第1の従来技術と比較して、演算量が大きく低減する。何故なら、第1の従来技術の適応ディジタルフィルタでは全ての信号が複素数であるために、全ての乗算器にて複素数どうしの乗算を行う。それに対して本実施形態の適応ディジタルフィルタでは乗算器336〜336N−1が複素数と実数の乗算を行い、乗算器331〜331N−1が、実数どうしの乗算を行う。複素数どうしの乗算は、実数どうしの乗算4回と実数どうしの加算2回に相当する。それに対し、複素数と実数の乗算は、実数どうしの乗算2回にしか相当せず、さらに実数どうしの乗算は演算量が1回となる。
したがって、第1の従来技術において複素数どうしの乗算が行われていた箇所が複素数と実数の乗算を行う乗算器336〜336N−1に置き換わったことで、実数どうしの乗算にしてN回分に相当する演算量が削減される。また、第1の従来技術において複素数どうしの乗算が行われていた箇所が実数どうしの乗算を行う乗算器331〜331N−1に置き換わったことで、実数どうしの乗算にして3N回分に相当する演算量が削減され、さらに実数どうしの加算にして2N回分に相当する演算量が削減される。また、実部抽出部335〜335N−1は第1の従来技術では複素共役器が必要であったため、虚数部の符号を伝達しない分だけ演算量が削減される。
以上のことから第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタでは、演算量を第1の従来技術の約40%に削減できる。
また、第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタでは、フィルタ部の出力信号が複素数で得られるため、出力信号の包絡線の値、すなわち振幅は図3に示した絶対値回路308の出力信号として瞬時かつ正確に得られる。したがって、第2の従来技術のようなサンプリング周波数の制約がない。つまり第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタでは、フィルタ係数は実信号であるが、入力信号が位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算により生成される出力信号も位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号になる。したがって、第1の従来技術と同様に出力信号の包絡線の値を瞬時かつ正確に求めることができ、かつ第2の従来技術のようなサンプリング周波数の制約はない。また、フィルタ係数を実数にしたことにより、演算量の大幅な削減が可能となる。さらに、入力信号である複素信号の実部と虚部は、位相が互いに90度異なるだけであり、同一の実信号から生成されたものであり、複素信号化している理由は出力信号の包絡線の値を瞬時に計算できるようにするために他ならない。
このため、適応ディジタルフィルタとしてのフィルタ性能は、入力信号の実部及び虚部を扱う第1の従来技術並びに入力信号の実部(あるいは虚部)のみ扱う第2の従来技術に比べて劣化することはない。
(第2の実施の形態)
図7に示すように、第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいて包絡線目標値を生成する点で第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路352は、絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(つまり振幅値)に基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。
包絡線目標値発生回路352は、出力信号の振幅が大きい場合は小さな包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きな包絡線目標値を生成する。包絡線目標値発生回路352の一構成例を図8に示す。
図8に示すように、包絡線目標値発生回路352は、入力端子402を介して絶対値回路308から供給される過去一定期間の信号の重み付き平均を求める平均化回路405と、平均化回路405で求めた値の逆数を計算する逆数回路406と、逆数回路406で計算した逆数が予め設定された上限と下限間に収まるように制限し、出力端子403を介して時変の包絡線目標値として出力するリミッタ408とを有する構成である。ここで、包絡線目標値発生回路352は、出力信号の振幅が大きくなっていくときに目標信号を小さくしていき、出力信号の振幅が小さくなっていくときに目標信号を大きくしていき、かつ目標信号を小さくする速度を、目標信号を大きくする速度よりも速くしている。
その他の構成は第1の実施の形態と同じである。また、第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路352の動作以外は第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタの効果について説明する。
第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生器352が生成する包絡線目標値は、適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きいときに小さくなる。出力信号が大きくなっている場合、フィルタ部のフィルタ係数や内部信号などの値が大きくなっている可能性が高い。包絡線目標値を小さくすることにより、フィルタ係数や内部信号の値は小さくなる方向に変化する。すなわち、フィルタ係数や内部信号の値が一定範囲内に収まる。一定範囲を逸脱しないということは、フィルタ係数や内部信号のオーバーフローが起きる確率が低くなるということである。したがって、第2の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第1の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第1の実施の形態と同様に、係数更新量制御部306によって入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は、複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第3の実施の形態)
図9に示すように、第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号と出力信号の双方に基づいて包絡線目標値を生成する点で第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、絶対値回路304で求めた適応ディジタルフィルタの入力信号の包絡線の値(振幅値)と絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(振幅値)とに基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。
包絡線目標値発生回路354は、入力信号の振幅が小さい場合は小さな包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きな包絡線目標値を生成する。また、出力信号の振幅が大きい場合は小さな包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きな包絡線目標値を生成する。
包絡線目標値発生回路354の一構成例を図10に示す。
図10に示すように、包絡線目標値発生回路354は、入力端子402を介して絶対値回路308から供給される過去一定期間の信号の重み付き平均を求める平均化回路405と、平均化回路405で求めた値の逆数を計算する逆数回路406と、入力端子401を介して絶対値回路304から供給される過去一定期間の信号の重み付き平均を求める平均化回路404と、逆数回路406から出力された値と平均化回路404から出力された値の小さい方の値を選択する最小値回路407と、最小値回路407で選択した値が予め設定された上限と下限間に納まるように制限し、出力端子403を介して時変の包絡線目標値として出力するリミッタ408とを有する構成である。
最小値回路407にて小さい方の値を選択する理由は、包絡線目標値が小さい方がフィルタ係数のオーバーフローが起きる確率がより低くなるからである。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。また、第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路354の動作以外は第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタの効果について説明する。
第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、第1の実施の形態の包絡線目標値発生回路305が生成する包絡線目標値の性質と、第2の実施の形態の包絡線目標値発生回路352が生成する包絡線目標値の性質とを兼ね備えた包絡線目標値を生成する。そのため、フィルタ係数がオーバーフローを起こす確率が低くなる。したがって、第3の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第1の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第1の実施の形態と同様に、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量制御部306によって係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第4の実施の形態)
図11に示すように第4の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、一定の包絡線目標値を生成する点で第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。すなわち、第4の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路364は、適応ディジタルフィルタの入出力信号に関係なく固定の包絡線目標値を生成する。その他の構成は第1の実施の形態と同じである。また、第4の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路364の動作以外は第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
第4の実施の形態の適応ディジタルフィルタによれば、第1の実施の形態と同様に、係数更新量制御部306により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第5の実施の形態)
図12に示すように第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいてフィルタ係数の更新量を制御する点で第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部316は、適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きすぎる場合に係数更新量を小さくする機能を持つ。係数更新量制御部316の一構成例を図13に示す。
図13に示すように、乗算器512には入力端子500を介して図12に示した乗算器310の出力信号が入力される。乗算器512は入力端子500から入力された信号にリミッタ514から供給された信号を乗じ、その結果を乗算器311へ出力する。
乗算器311は、乗算器512から供給された信号にステップサイズ発生器303から供給された値を乗じ、その結果を出力端子503を介して図3に示した個別部319〜319N−1へ出力する。
平均化回路504には入力端子502を介して図12に示した絶対値回路308の出力信号が入力される。平均化回路504は、入力端子502から入力された信号の時間平均を計算し、その結果を出力信号の振幅の推定値として乗算器507へ出力する。
乗算器507は、平均化回路504から供給された信号に重み係数発生器506から供給された値を乗じ、その結果を逆数回路511へ出力する。逆数回路511は、乗算器507から供給された信号の逆数を計算し、その結果をリミッタ514へ出力する。リミッタ514は、逆数回路511から供給された値が予め設定された上限と下限間に収まるように制限し、その結果を乗算器512へ出力する。
その他の構成は第1の実施の形態と同じである。また、第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、係数更新量制御部316の動作以外は第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
図13に示した構成を有する係数更新量制御部316において、出力端子503から個別部319〜319N−1へ供給される信号は、入力端子502から入力される信号の振幅の推定値の逆数に略比例する。したがって、出力信号の振幅が大きすぎる場合は信号が小さくなる。一般に適応ディジタルフィルタの出力信号が大きい場合は適応ディジタルフィルタの入力信号が大きい場合が多い。このため、第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第1の実施の形態と同様に、入力信号が極端に大きくなってもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、包絡線目標値発生回路305の作用により、第1の実施の形態と同様に入力信号レベルが小さい場合でもフィルタ係数が大きな値にならないため、
オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第6の実施の形態)
図14に示すように、第6の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいて包絡線目標値を生成する点で第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
包絡線目標値発生回路352は、絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(つまり振幅値)に基づいて、包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路352は、例えば図8に示した構成を備え、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第5の実施の形態と同じである。また、第6の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路352の動作以外は第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施形態の効果について説明する。
第6の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生器352が生成する包絡線目標値は、適応ディジタルフィルタの出力端子から出力される出力信号の振幅が大きいときに小さくなる。出力信号が大きくなっている場合は、フィルタ部の内部におけるフィルタ係数や内部信号などの値が大きくなっている可能性が高い。包絡線目標値を小さくすることにより、フィルタ係数や内部信号の値は小さくなる方向に変化する。すなわち、フィルタ係数や内部信号の値が一定範囲内に収まる。一定範囲を逸脱しないということは、フィルタ係数や内部信号においてオーバーフローが起きる確率が低くなるということである。
したがって、第6の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第5の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第5の実施の形態と同様に、係数更新量制御部316によって入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は、複素量でなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第7の実施の形態)
図15に示すように、第7の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号と出力信号の双方に基づいて包絡線目標値を生成する点で第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第7の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、絶対値回路304で求めた適応ディジタルフィルタの入力信号の包絡線の値(振幅値)と絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(振幅値)とに基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路354は、例えば図10に示すような構成を備え、入力信号の振幅が小さい場合は小さい包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きい包絡線目標値を生成する。また、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第5の実施の形態と同じである。また、第7の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路354の動作以外は第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第7の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、第5の実施の形態の包絡線目標値発生回路305が生成する包絡線目標値の性質と、第6の実施の形態の包絡線目標値発生回路352が生成する包絡線目標値の性質とを兼ね備えた包絡線目標値を生成する。そのため、フィルタ係数がオーバーフローを起こす確率が低くなる。したがって、第7の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第5の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第5の実施の形態と同様に、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量制御部316によって係数更新量を小さくするため、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第8の実施の形態)
図16に示すように、第8の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、一定の包絡線目標値を生成する点で第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。つまり、包絡線目標値発生回路364は、適応ディジタルフィルタの入出力信号に関係なく固定の包絡線目標値を生成する。その他の構成は第5の実施の形態と同じである。また、第8の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路364の動作以外は第5の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
第8の実施の形態の適応ディジタルフィルタによれば、第5の実施の形態と同様に、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量制御部316によって係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第9の実施の形態)
図17に示すように、第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号及び出力信号の双方に基づいてフィルタ係数の更新量を制御する点で第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部317は、適応ディジタルフィルタの入力信号の振幅が大きすぎる場合及び適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きすぎる場合に、係数更新量を小さくする機能を持つ。
係数更新量制御部317の一構成例を図18に示す。
図18に示すように、乗算器512には、入力端子500を介して図17に示した乗算器310の出力信号が入力される。乗算器512は、入力端子500から入力された信号にリミッタ514から供給された信号を乗じ、その結果を乗算器311へ出力する。乗算器311は、乗算器512から供給された信号にステップサイズ発生器303から供給される値を乗じ、その結果を出力端子503へ出力する。出力端子503からは図3に示した個別部319〜319N−1へ信号が出力される。
平均化回路505には、入力端子501を介して図17に示す絶対値回路304から出力された信号が入力される。平均化回路505は、入力端子501から入力された信号の時間平均を計算し、その結果を入力信号の振幅の推定値として乗算器509へ出力する。乗算器509は、平均化回路505から供給された信号に重み係数発生器508から供給された値を乗じ、その結果を加算器513へ出力する。また、平均化回路504には、入力端子502を介して図17に示した絶対値回路308から出力された信号が入力される。平均化回路504は、入力端子502から入力された信号の時間平均を計算し、その結果を出力信号の振幅の推定値として乗算器507へ出力する。
乗算器507は、平均化回路504から出力された信号に重み係数発生器506から供給された値を乗じ、その結果を加算器513へ出力する。加算器513は、乗算器509及び乗算器507から出力された信号を加算し、その結果を逆数回路511へ出力する。逆数回路511は、加算器513から供給された信号の逆数を計算し、結果をリミッタ514へ出力する。リミッタ514は、逆数回路511から出力された値を予め設定された上限と下限間に収まるように制限し、その結果を乗算器512へ出力する。
第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部317の他の構成例を図19に示す。
図19に示すように、乗算器311には入力端子500を介して図17に示した乗算器310の出力信号が入力される。乗算器311は、入力端子500から入力された信号にステップサイズ選択器531から供給された信号を乗じ、その結果を出力端子503へ出力する。出力端子503からは図3に示した各個別部319〜319N−1へ信号が供給される。
平均化回路505には入力端子501を介して図17に示した絶対値回路304から出力された信号が入力される。平均化回路505は、入力端子501から入力された信号の時間平均を計算し、その結果を入力信号の振幅の推定値として比較器535へ出力する。比較器535は、平均化回路505から供給された信号と閾値発生器533から供給された閾値とを比較し、平均化回路505から供給された信号が閾値より大きい場合は「1」を出力し、そうでない場合は「0」を出力する。また、平均化回路504には入力端子502を介して図17に示した絶対値回路308から出力された信号が入力される。平均化回路504は、入力端子502から入力された信号の時間平均を計算し、結果を出力信号の振幅の推定値として比較器534へ出力する。比較器534は、平均化回路504から供給された信号と閾値発生器532から供給された閾値とを比較し、平均化回路504から出力された信号が閾値より大きい場合は「1」を出力し、そうでない場合には「0」を出力する。ステップサイズ発生器303とステップサイズ発生器536は、それぞれ異なるステップサイズを生成し、ステップサイズ選択器531へ供給する。ここで、ステップサイズ発生器536が生成するステップサイズは、ステップサイズ発生器303が生成するステップサイズよりも小さい。ステップサイズ選択器531は、ステップサイズ発生器303とステップサイズ発生器536から出力された異なるステップサイズのいずれか一方を比較器534及び比較器535から出力された値に基づいて選択し、選択したステップサイズを乗算器311へ出力する。
ステップサイズ選択器531は、比較器534から供給された値が「1」である場合または比較器535から供給された値が「1」である場合に、ステップサイズ発生器536から供給された小さいステップサイズを乗算器311へ出力し、それ以外の場合はステップサイズ発生器303から供給されたステップサイズを乗算器311へ出力する。
第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部317のさらに他の構成例を図20に示す。
図20に示す係数更新量制御部317は、図18に示した係数更新量制御部317の加算器513を最大値回路510に置き換えた構成である。
最大値回路510は、乗算器507から供給される信号と乗算器509から供給される信号のうち、値の大きい方を選択して逆数回路511へ出力する。これにより、適応ディジタルフィルタの入力信号または出力信号のいずれか一方が大きすぎる場合に係数更新量を小さくできる。
なお、係数更新量制御部317は、図18〜図20に例示した構成に限定されるものではなく、適応ディジタルフィルタの入力信号及び出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して係数更新量が広い意味で単調減少となるものであればその構成は任意である。
その他の構成は第1の実施の形態と同じである。また、第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、係数更新量制御部317の動作以外は第1の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に第9の実施の形態の効果について説明する。
図18、図19または図20に示した構成を有する係数更新量制御部317において、出力端子503から個別部319〜319N−1へ供給される信号は、入力端子501を介して供給される入力信号の振幅の推定値が大きすぎる場合、または入力端子502を介して供給された出力信号の振幅の推定値が大きすぎる場合に小さくなる。また、一般に適応ディジタルフィルタの出力信号が大きい場合は適応ディジタルフィルタの入力信号が大きい場合が多い。このため、第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第1の実施の形態と同様に、入力信号が極端に大きくなってもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、包絡線目標値発生回路305の作用により、第1の実施の形態と同様に入力信号レベルが小さい場合でもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第10の実施の形態)
図21に示すように、第10の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいて包絡線目標値を生成する点で第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第10の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路352は、絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(つまり振幅値)に基づいて、包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路352は、例えば図8に示した構成を備え、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第9の実施の形態と同じである。また、第10の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路352の動作以外は第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第10の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生器352が生成する包絡線目標値は、適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きいときに小さくなる。出力信号が大きくなっている場合は、フィルタ部の内部におけるフィルタ係数や内部信号などの値が大きくなっている可能性が高い。包絡線目標値を小さくすることにより、フィルタ係数や内部信号の値は小さくなる方向に変化する。すなわちフィルタ係数や内部信号の値が一定範囲内に収まる。一定範囲を逸脱しないということは、フィルタ係数や内部信号において、オーバーフローが起きる確率が低くなるということである。したがって、第10の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第9の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第9の実施の形態と同様に、係数更新量制御部317により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第11の実施の形態)
図22に示すように、第11の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号と出力信号との双方に基づいて包絡線目標値を生成する点で第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第11の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、絶対値回路304で求めた適応ディジタルフィルタの入力信号の包絡線の値(振幅値)と絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(振幅値)とに基づいて、包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。
包絡線目標値発生回路354は、例えば図10に示した構成を備え、入力信号の振幅が小さい場合は小さい包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きい包絡線目標値を生成する。また、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第9の実施の形態と同じである。また、第11の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路354の動作以外は第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施形態の効果について説明する。
第11の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、第9の実施の形態の包絡線目標値発生回路305が生成する包絡線目標値の性質と、第10の実施の形態の包絡線目標値発生回路352が生成する包絡線目標値の性質とを兼ね備えた包絡線目標値を生成する。そのため、フィルタ係数がオーバーフローを起こす確率が低くなる。したがって、第11の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第9の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第9の実施の形態と同様に、係数更新量制御部317によって入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第12の実施の形態)
図23に示すように、第12の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、一定の包絡線目標値を生成する点で第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。つまり、第12の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路364は、適応ディジタルフィルタの入出力信号に関係なく固定の包絡線目標値を生成する。その他の構成は第9の実施の形態と同じである。また、第12の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路364の動作以外は第9の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
第12の実施の形態の適応ディジタルフィルタによれば、第9の実施の形態と同様に、係数更新量制御部317によって入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第13の実施の形態)
図24に示すように、第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、入力端子301から入力される複素信号(複素入力信号)と複素信号のフィルタ係数(複素フィルタ係数)との畳み込み演算によって複素信号の出力信号(複素出力信号)を生成し出力端子302から出力するフィルタ部と、複素出力信号から導出した指標値(本実施形態の場合は包絡線の値)と目標信号との誤差に基づいてフィルタ係数を制御する係数制御部とを備えた構成である。図25に示すブロック318とN個のブロック319〜319N−1が係数制御部を構成し、それ以外がフィルタ部を構成する。ここで、複素入力信号は、一つの実信号から生成した位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号である。
フィルタ部は、タップ数がN、すなわちフィルタ係数がN個のFIR(Finite Impulse Response)型フィルタであり、それぞれ1サンプリング周期だけ遅延させるN−1個の遅延器330〜330N−1からなるタップつき遅延線と、複素入力信号及び遅延器330〜330N−1の出力信号にフィルタ係数を乗ずるためのN個の乗算器346〜346N−1と、これらN個の乗算器346〜346N−1の乗算結果を順次加算するN−1個の加算器337〜337N−1とを有する構成である。
係数制御部は、適応アルゴリズムとして複素数を扱えるように拡張した複素LMSを使用し、全てのフィルタ係数の制御に共通な共通部318と個々のフィルタ係数を制御する個別部319〜319N−1とを備えている。
共通部318は、複素入力信号の包絡線の値(すなわち振幅値)を実部と虚部の2乗和により計算して出力する絶対値回路304と、この絶対値回路304から供給される入力信号の振幅値に基づいて包絡線目標値を生成する包絡線目標値発生回路305と、フィルタ部の出力である複素出力信号が供給され、複素出力信号の包絡線の値を実部と虚部の2乗和により計算して出力する絶対値回路308と、絶対値回路308で求めた包絡線の値から包絡線目標値を減じた値を出力する減算器307と、減算器307の出力と複素出力信号とを乗じた結果を出力する乗算器181と、この乗算器181の出力と絶対値回路304から供給される入力信号の振幅値とに基づいて係数更新量を演算し、結果を個別部319〜319N−1へ出力する係数更新量制御部306とを有する構成である。
個別部319〜319N−1は、複素入力信号あるいはタップつき遅延線上の対応する遅延器330〜330N−1の出力信号を受け取り、その複素信号を複素共役変換して出力する複素共役器340〜340N−1と、共通部318から供給された信号と複素共役器340〜340N−1から供給された複素信号とを乗じた結果を出力する乗算器341〜341N−1と、乗算器346〜346N−1に与えられているフィルタ係数と乗算器341〜341N−1の出力とを加算して次サンプリング周期で使用するフィルタ係数を出力する加算器343〜343N−1と、加算器343〜343N−1の出力を1サンプリング周期だけ遅延させて乗算器346〜346N−1へ出力する遅延器344〜344N−1とを備えている。
係数更新量制御部306は、第1の実施の形態と同様に図4に示した構成を備えている。但し、本実施形態の場合、入力端子500から入力される信号は複素信号であるため、乗算器512および乗算器311は複素信号と実信号とを乗算し、複素信号の乗算結果を出力する。
また、包絡線目標値発生回路305は、第1の実施の形態と同様に図5に示した構成を備え、入力信号の振幅が小さい場合は小さい包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
本実施形態の適応ディジタルフィルタのアルゴリズムは以下のように表現される。
W(k+1)=W(k)−μγ(|y(k)|p−yref(k))qy(k)XH(k) …(13)
y(k)=WT(k)X(k) …(14)
W(k)=[w0(k),w1(k),…,wN-1(k)]T …(15)
X(k)=[x(k),x(k-1),…,x(k-N+1)]T …(16)
yref(k)=Av[|x(k)|] …(17)
Av[|x(k)|]=(1−β)Av[|x(k−1)|]+β|x(k)| …(18)
ここで、W(k)はフィルタ係数ベクトル、X(k)は複素信号ベクトル、kはサンプルインデックス、Nはフィルタのタップ数、y(k)は出力信号、yrefは時変の包絡線目標値、μはフィルタ係数の更新量を決定するパラメータ、Av[ ]は平均化を行う操作、βは重み係数であり0<β<1を満たす正定数、γは入力信号の振幅の逆数にほぼ比例するパラメータであり図4のリミッタ514の出力に相当する。また、Hは複素共役転置、Tは転置をそれぞれ表す。p,qは、包絡線目標値に対する誤差の評価関数を定める定数であり、例えばp=1,q=1とする。
次に第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作について説明する。
第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタの適応ディジタルフィルタは、入力端子301に新たな複素入力信号が入力される毎に、第1の実施の形態と同様に、図6に示した適応等化処理S2とパラメータ更新処理S4とを繰り返し実行する。ここで、適応等化処理S2は、前記式(14)に基づく処理であり、パラメータ更新処理S4は前記式(13)に基づく処理である。以下、各々の動作を詳しく説明する。
まず、適応等化処理S2について説明する。
入力端子301から入力された複素入力信号は、乗算器346および複素共役器340に供給されると共に、1サンプリング周期だけ遅延させる遅延器330〜330N−1からなるタップつき遅延線に供給される。遅延器330〜330N−1に供給された複素信号は、1クロック毎に隣接する遅延器に転送され、遅延器330〜330N−1の出力信号は、対応する乗算器346〜346N−1および対応する複素共役器340〜340N−1に供給される。
乗算器346は、入力端子301から入力された複素信号に、遅延器344から供給された複素フィルタ係数を乗じ、結果を加算器337へ出力する。乗算器346〜346N−1は、対応する遅延器330〜330N−1から供給された複素信号に、対応する遅延器344〜344N−1から供給された複素フィルタ係数を乗じ、結果を加算器337〜337N−1に出力する。
加算器337〜337N−1は、乗算器346〜346N−1から供給された複素信号を全て加算し、結果を出力端子302に出力すると共に、絶対値回路308及び乗算器181へ出力する。このようにして、複素入力信号と複素信号のフィルタ係数との畳み込み演算により複素信号の出力信号が生成される。
次にパラメータ更新処理S4について説明する。
絶対値回路304は、複素入力信号の振幅値を計算し、包絡線目標値発生回路305及び係数更新量制御部306へ出力する。包絡線目標値発生回路305は入力信号にほぼ比例する包絡線目標値を生成して減算器307に出力する。
絶対値回路308は、入力された複素出力信号の絶対値を計算し、結果を包絡線の値として減算器307へ出力する。減算器307は、包絡線目標値発生器305から供給された包絡線目標値を、絶対値回路308から供給された信号から減算し、結果を乗算器181へ出力する。乗算器181は、減算器307から供給された信号に、複素出力信号を乗じ、結果を係数更新量制御部306へ出力する。
係数更新量制御部306の乗算器512は、乗算器181から供給された信号と図4に示したリミッタ514から供給された信号とを乗じ、その結果を乗算器311へ出力する。ここで、リミッタ514から供給される信号は、平均化回路505、乗算器509および逆数回路511により適応ディジタルフィルタの入力信号の振幅の推定値のほぼ逆数となっている。乗算器311は、乗算器512から供給された信号とステップサイズ発生回路303で生成したステップサイズとを乗じ、その結果を個別部319〜319N−1へ出力する。
個別部319〜319N−1は、係数更新量制御部306から供給された信号を乗算器341〜341N−1へ出力する。複素共役器340〜340N−1は、対応する遅延器330〜330N−1または入力端子301から入力された複素信号を複素共役変換し、対応する乗算器341〜341N−1へ出力する。乗算器341〜341N−1は、対応する複素共役器340〜340N−1から供給された実数信号と共通部318から供給された複素信号とを乗じ、結果を対応する加算器343〜343N−1へ出力する。
加算器343〜343N−1は、対応する乗算器341〜341N−1から供給された複素信号に、対応する遅延器344〜344N−1から供給された複素フィルタ係数を加算し、結果を次サンプルのフィルタ係数として対応する遅延器344〜344N−1へ出力する。遅延器344〜344N−1は、対応する加算器343〜343N−1から供給された複素フィルタ係数を1サンプリング周期だけ遅延させて対応する乗算器346〜346N−1へ出力するとともに、対応する加算器343〜343N−1へ出力する。
次に本実施形態の効果について説明する。
係数更新量制御部306から個別部319〜319N−1へ供給される信号は、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅の推定値の逆数に比例する。すなわち、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は信号が小さくなる。個別部319〜319N−1は乗算器341〜341N−1にて、係数更新量制御部306から供給される信号と入力信号の複素共役変換値とをそれぞれ被乗数とする乗算を行って係数更新量を求めるため、一方の被乗数である入力信号が大きくても、他方の被乗数である係数更新量制御部306から供給される信号が小さくなる。そのため、結果として係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。したがって、入力信号が極端に大きくなっても、フィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、包絡線目標値発生回路305で生成する時変の包絡線目標値は、入力端子301を介して供給される入力信号の振幅にほぼ比例するため、第1の実施の形態と同様に、入力信号レベルが小さい場合でもフィルタ係数が大きな値にはならない。そのため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
(第14の実施の形態)
図25に示すように、第14の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいて包絡線目標値を生成する点で第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第14の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路352は、第2の実施の形態と同様に図8に示した構成を備え、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第13の実施の形態と同じである。また、第14の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路352の動作以外は第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施形態の効果について説明する。
包絡線目標値発生器352が生成する包絡線目標値は、適応ディジタルフィルタの出力端子から出力される出力信号の振幅が大きいときに小さくなる。出力信号が大きい場合、フィルタ部の内部におけるフィルタ係数や内部信号などの値が大きい可能性が高い。本発明のように包絡線目標値を小さくすることにより、フィルタ係数や内部信号の値は小さくなる方向へ変化する。すなわち、フィルタ係数や内部信号の値が一定範囲内に収まる。一定範囲を逸脱しないということは、フィルタ係数や内部信号のオーバーフローが起きる確率が低くなるということである。したがって、第13の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
(第15の実施の形態)
図26に示すように、第15の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号と出力信号の双方に基づいて包絡線目標値を生成する点で第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第15の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、絶対値回路304で求めた適応ディジタルフィルタの入力信号の包絡線の値(振幅値)と絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(振幅値)とに基づいて、包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路354は、第3の実施の形態と同様に図10に示した構成を備え、入力信号の振幅が小さい場合は小さい包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きい包絡線目標値を生成する。また、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第13の実施の形態と同じである。また、第15の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路354の動作以外は第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第15の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、第13の実施の形態の包絡線目標値発生回路305で生成する包絡線目標値の性質と、第14の実施の形態の包絡線目標値発生回路352で生成する包絡線目標値の性質とを兼ね備えた包絡線目標値を生成する。そのため、フィルタ係数がオーバーフローを起こす確率が低くなる。したがって、第13の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
(第16の実施の形態)
図27に示すように、第16の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、一定の包絡線目標値を生成する点で第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。つまり、第16の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路364は、適応ディジタルフィルタの入出力信号に関係なく固定の包絡線目標値を生成する。その他の構成は第13の実施の形態と同じである。また、第16の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路364の動作以外は第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
本実施形態によれば、第13の実施の形態と同様に、係数更新量制御部306により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第17の実施の形態)
図28に示すように、第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいてフィルタ係数の更新量を制御する点で第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部316は、図13に示した構成を備え、適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きすぎる場合に係数更新量を小さくする機能を備えている。その他の構成は第13の実施の形態と同じである。また、第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、係数更新量制御部316の動作以外は第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
図13に示した構成を備えた係数更新量制御部316において、出力端子503から個別部319〜319N−1へ供給された信号は、入力端子502から入力された信号の振幅の推定値の逆数に略比例する。したがって、入力端子502を介して供給された出力信号の振幅が大きすぎる場合は信号が小さくなる。一般に適応ディジタルフィルタの出力信号が大きい場合は適応ディジタルフィルタの入力信号が大きい場合が多い。このため、第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第13の実施の形態と同様に、入力信号が極端に大きくなってもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、包絡線目標値発生回路305の作用により、第13の実施の形態と同様に入力信号レベルが小さい場合でもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第18の実施の形態)
図29に示すように、第18の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいて包絡線目標値を生成する点で第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第18の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路352は、絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(つまり振幅値)に基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路352は、例えば図8に示した構成を備え、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第17の実施の形態と同じである。また、第18の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路352の動作以外は第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第18の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生器352が生成する包絡線目標値は、適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きいときに小さくなる。出力信号が大きくなっている場合はフィルタ部の内部におけるフィルタ係数や内部信号などの値が大きくなっている可能性が高い。包絡線目標値を小さくすることにより、フィルタ係数や内部信号の値は小さくなる方向に変化する。すなわちフィルタ係数や内部信号の値が一定範囲内に収まる。一定範囲を逸脱しないということは、フィルタ係数や内部信号においてオーバーフローが起きる確率が低くなるということである。したがって、第18の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第17の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第17の実施の形態と同様に、係数更新量制御部316によって入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第19の実施の形態)
図30に示すように、第19の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号と出力信号の双方に基づいて包絡線目標値を生成する点で第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第19の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、絶対値回路304で求めた適応ディジタルフィルタの入力信号の包絡線の値(振幅値)と絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(振幅値)とに基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路354は、例えば図10に示した構成を備え、入力信号の振幅が小さい場合は小さい包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きい包絡線目標値を生成する。また、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第17の実施の形態と同じである。また、第19の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路354の動作以外は第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第19の実施の形態の適応ディジタルフィルタが有する包絡線目標値発生回路354は、第17の実施の形態の包絡線目標値発生回路305が生成する包絡線目標値の性質と、第18の実施の形態の包絡線目標値発生回路352が生成する包絡線目標値の性質とを兼ね備えた包絡線目標値を生成する。そのため、フィルタ係数がオーバーフローを起こす確率が低くなる。したがって、第19の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第17の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第17の実施の形態と同様に、係数更新量制御部316により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第20の実施の形態)
図31に示すように、第20の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、一定の包絡線目標値を生成する点で第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。つまり、第20の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路364は、適応ディジタルフィルタの入出力信号に関係なく固定の包絡線目標値を生成する。その他の構成は第17の実施の形態と同じである。また、第20の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路364の動作以外は第17の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
第20の実施の形態の適応ディジタルフィルタによれば、第17の実施の形態と同様に、係数更新量制御部316により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第21の実施の形態)
図32に示すように、第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号及び出力信号の双方に基づいてフィルタ係数の更新量を制御する点で第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える係数更新量制御部317は、図18、図19または図20に示した構成を備え、適応ディジタルフィルタの入力信号の振幅が大きすぎる場合と、適応ディジタルフィルタの出力信号の振幅が大きすぎる場合に係数更新量を小さくする機能を持つ。つまり、適応ディジタルフィルタの入力信号及び出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して係数更新量が広い意味で単調減少となる。
その他の構成は第13の実施の形態と同じである。また、第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、係数更新量制御部317の動作以外は第13の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
図18、図19または図20の構成を有する係数更新量制御部317において、出力端子503から個別部319〜319N−1へ供給される信号は、入力端子501を介して供給される入力信号の振幅の推定値が大きすぎる場合または入力端子502を介して供給された出力信号の振幅の推定値が大きすぎる場合に小さくなる。また、一般に適応ディジタルフィルタの出力信号が大きい場合は適応ディジタルフィルタの入力信号が大きい場合が多い。このため、第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第13の実施の形態と同様に、入力信号が極端に大きくなってもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、包絡線目標値発生回路305の作用により、第13の実施の形態と同様に入力信号レベルが小さい場合でもフィルタ係数が大きな値にならないため、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第22の実施の形態)
図33に示すように、第22の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの出力信号に基づいて包絡線目標値を生成する点で第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第22の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路352は、絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(つまり振幅値)に基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路352は、例えば図8に示した構成を備え、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第21の実施の形態と同じである。また、第22の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路352の動作以外は第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第22の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生器352が生成する包絡線目標値は、適応ディジタルフィルタの出力端子から出力される出力信号の振幅が大きいときに小さくなる。出力信号が大きくなっている場合、フィルタ部の内部におけるフィルタ係数や内部信号などの値が大きくなっている可能性が高い。包絡線目標値を小さくすることにより、フィルタ係数や内部信号の値は小さくなる方向に変化する。すなわちフィルタ係数や内部信号の値が一定範囲内に収まる。一定範囲を逸脱しないということは、フィルタ係数や内部信号においてオーバーフローが起きる確率が低くなるということである。したがって、第22の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、第21の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第21の実施の形態と同様に、係数更新量制御部317により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第23の実施の形態)
図34に示すように、第23の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、適応ディジタルフィルタの入力信号と出力信号との双方に基づいて包絡線目標値を生成する点で第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。
第23の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、絶対値回路304で求めた適応ディジタルフィルタの入力信号の包絡線の値(振幅値)と絶対値回路308で求めた適応ディジタルフィルタの出力信号の包絡線の値(振幅値)とに基づいて包絡線目標値を生成し、減算器307へ出力する。包絡線目標値発生回路354は、例えば図10に示した構成を備え、入力信号の振幅が小さい場合は小さい包絡線目標値を生成し、入力信号の振幅が大きい場合は大きい包絡線目標値を生成する。また、出力信号の振幅が大きい場合は小さい包絡線目標値を生成し、出力信号の振幅が小さい場合は大きい包絡線目標値を生成する。
その他の構成は第21の実施の形態と同じである。また、第23の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路354の動作以外は第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
次に本実施の形態の効果について説明する。
第23の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路354は、第21の実施の形態の包絡線目標値発生回路305が生成する包絡線目標値の性質と、第22の実施の形態の包絡線目標値発生回路352が生成する包絡線目標値の性質とを兼ね備えた包絡線目標値を生成する。そのため、フィルタ係数がオーバーフローを起こす確率が低くなる。したがって、第21の実施の形態と同様に、オーバーフローを防止するためにフィルタ係数を広い範囲の値とするような演算の高精度化が不要であり、演算量を削減でき、かつハードウェア規模を小さくできる。
また、第21の実施の形態と同様に、係数更新量制御部317により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(第24の実施の形態)
図35に示すように、第24の実施の形態の適応ディジタルフィルタは、一定の包絡線目標値を生成する点で第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタと異なっている。つまり、第24の実施の形態の適応ディジタルフィルタが備える包絡線目標値発生回路364は、適応ディジタルフィルタの入出力信号に関係なく固定の包絡線目標値を生成する。その他の構成は第21の実施の形態と同じである。また、第24の実施の形態の適応ディジタルフィルタの動作は、包絡線目標値発生回路364の動作以外は第21の実施の形態の適応ディジタルフィルタと同じである。
第24の実施の形態の適応ディジタルフィルタによれば、第21の実施の形態と同様に、係数更新量制御部317により入力端子301を介して供給される入力信号の振幅が大きすぎる場合は係数更新量が小さくなり、フィルタ係数がオーバーフローする確率が低下する。さらに、フィルタ係数は複素量ではなく実信号であるため、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算に要する演算量が低減する。
(実施例)
次に、上述した包絡線目標値発生回路305、352及び354に備える平均化回路404及び405の実施例について説明する。
図36は包絡線目標値発生回路で使用する平均化回路の実施例の構成を示すブロック図である。
図36に示す平均化回路の入力端子601へ入力された信号は減算器602及び比較器607へ出力される。比較器607は、入力端子601を介して供給された信号と遅延器605から供給された信号とを比較し、入力端子601を介して供給された信号が遅延器605から供給された信号より大きい場合は比較結果「0」を切替器608へ出力し、入力端子601を介して供給された信号が遅延器605から供給された信号より小さい場合は比較結果「1」を切替器608へ出力する。なお、入力端子601を介して供給された信号と遅延器605から供給された信号とが同じ大きさの場合、出力値は任意の値でよい。
切替器608は、比較器607から出力された比較結果が「1」である場合は立下り係数発生器610から供給された立下り係数を乗算器603へ出力し、比較結果が「0」である場合は立上り係数発生器609から供給された立上り係数を乗算器603へ出力する。減算器602は、入力端子601を介して供給された入力信号から遅延器605の出力信号を減算し、その結果を乗算器603へ出力する。乗算器603は、減算器602から供給された信号に切替器608から供給された立上り係数または立下り係数を乗じ、その結果を加算器604へ出力する。加算器604は、乗算器603から供給された信号に遅延器605から供給された信号を加算し、その結果を遅延器605及び出力端子606へ出力する。遅延器605は加算器604から供給された信号を1サンプリング周期だけ遅延させ、その結果を比較器607、加算器604及び減算器602へ出力する。加算器604から出力された信号は、入力端子601から入力された信号の平均化信号として出力端子606から出力される。
図36に示す平均化回路の特徴は、乗算器603に供給される係数が比較器607の比較結果によって切り替えられていることである。立上り係数と立下り係数は0から1の間の値となる。立上り係数は、入力端子601を介して供給される入力信号が大きくなっていくときに、出力端子606から出力される平均化された出力信号が大きくなっていく速度を決定する。また、立下り係数は、入力端子601を介して供給される入力信号が小さくなっていくときに、出力端子606から出力される平均化された出力信号が小さくなっていく速度を決定する。すなわち、立上り係数及び立下り係数は平均化の時定数を決定する。このため、立下り係数が立上り係数よりも大きい場合は、入力端子601を介して供給される入力信号の値が上下した場合に、出力端子606から出力される信号が大きくなり易く、小さくなり難くなる。逆に、立下り係数が立上り係数よりも小さい場合は、出力端子606から出力される信号が小さくなり易く、大きくなり難くなる。
入力信号の振幅値の平均化を行う平均化回路404では、立下り係数を大きく、立上り係数を小さく設定する。このようにすると、入力信号が出力信号よりも小さい場合は平均化の時定数が短くなり、入力信号が出力信号よりも大きい場合は平均化の時定数が長くなる。これにより、平均化回路404の出力信号は小さくなり易く、大きくなり難くなる。その結果、包絡線目標値は小さくなり易く、大きくなり難くなる。包絡線目標値が小さい方が、フィルタ係数のオーバーフローが起きる確率がさらに低くなる。
他方、出力信号の振幅値の平均化を行う平均化回路405では、立下り係数を小さく、立上り係数を大きく設定する。このようにすると、入力信号が出力信号よりも小さい場合は平均化の時定数が長くなり、入力信号が出力信号よりも大きい場合は平均化の時定数が短くなる。これにより、平均化回路405の出力信号は大きくなり易く、小さくなり難くなる。平均化回路405の出力は逆数回路406によって逆数に変換されるため、包絡線目標値は小さくなり易く、大きくなり難くなる。
なお、図36に示した構成以外に同じ機能を有する平均化回路を用いた場合も同様の効果が得られる。
次に本発明の適応ディジタルフィルタをFM受信機のマルチパスキャンセラに適用した実施例について説明する。
図37に示すように、本実施例のFM受信機は、アンテナ101、無線周波数中間周波数変換器102、アナログディジタル変換器103、自動利得制御器104、ヒルベルト変換器105、マルチパスキャンセラ106及び復調器107を備え、マルチパスキャンセラ106として上記第1の実施の形態〜第24の実施の形態のいずれかに記載した適応ディジタルフィルタが使用される。
アンテナ101で受信したFM変調波は、無線周波数中間周波数変換器102にて中間周波数帯域の信号に変換され、アナログディジタル変換器103に出力される。
アナログディジタル変換器103は、無線周波数中間周波数変換器102から出力されたアナログ信号を適切なサンプリング周波数でサンプリングしてディジタル信号へ変換し、自動利得制御器104へ出力する。
自動利得制御器104は、包絡線の値を指標とするCMAアルゴリズムに悪影響を与えない範囲内で、出力信号の振幅が一定範囲内に収まるような利得で増幅した後、ヒルベルト変換器105へ出力する。
ここで、自動利得制御器104の利得を高くして追従速度を速くするとCMAアルゴリズムに必要な包絡線の変化が抑圧されてしまうため、自動利得制御器104の利得を低くして追従速度を遅くする。このようにすると従来のFM受信機では、入力信号の振幅が大きくなってフィルタ係数の更新量が増大し、フィルタ係数がオーバーフローする原因となったが、本発明ではフィルタ係数の更新量を制御するため問題はない。
ヒルベルト変換器105は、自動利得制御器104から出力された信号を解析信号、すなわち位相が90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号へと変換してマルチパスキャンセラ106へ出力する。
マルチパスキャンセラ106は、ヒルベルト変換器105から出力された複素信号を、多重反射の影響を低減した信号に変換して復調器107へ出力する。復調器107は、マルチパスキャンセラ106から出力された信号をFM復調し、音声周波数帯域の信号を出力する。なお、上述した各実施形態の適応ディジタルフィルタの出力端子302からは複素信号が出力されるが、その実部のみを抽出して復調器107に出力するか、あるいはその虚部のみを抽出し符号を反転して復調器107に出力する。
なお、本発明は第1の実施の形態〜第24の実施の形態で示した構成に限定されるものではなく、以下に述べるような各種の変更が可能である。
第1の実施の形態〜第24の実施の形態では、係数更新量制御部306、316及び317は、乗算器310または181から個別部319〜319N−1に至る経路上に挿入されていたが、出力信号から導出した包絡線と包絡線目標との誤差を求める減算器307から個別部319〜319N−1に至る経路上であれば他の場所に挿入することも可能である。例えば、図3に示す構成では、減算器307から乗算器310に至る経路に挿入することも可能であり、適応ディジタルフィルタの出力端子302から乗算器310に至る経路に挿入することも可能である。
また、第1〜第12の実施の形態では、実部抽出回路335〜335N−1および実部抽出回路309を使用したが、これらの全部または一部を虚部抽出反転回路で置換してもよい。虚部抽出反転回路とは、入力された複素信号の虚部のみを抽出し、その符号を反転させた値を出力する回路である。
適応ディジタルフィルタの入力端子301から入力される複素入力信号は、一つの実信号から生成した互いに位相が90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号としたものであるので、虚部抽出反転回路を使用しても第1〜第12の実施の形態と同様の効果がある。
また、第1〜第12の実施の形態では、フィルタ係数を全て実数、すなわちスカラー値としたが、演算量の削減効果は低下するものの、一部のフィルタ係数を複素数にすることも可能である。また、実部抽出回路309を乗算器310の出力側に移動したり、乗算器311の出力側に移動して、乗算器310、311で複素数による演算を行うようにしてもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、フィルタ部としてFIR型のフィルタを用いたが、IIR型のフィルタを使用することもできる。
また、第1の実施の形態〜第24の実施の形態では、適応アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを使用する例を示したが、適応アルゴリズムには、逐次最小二乗法(Recursive Least Squares Algorithm)、最小二乗法(Least Squares Algorithm)、アフィン射影法(Affine Projection Algorithm)、勾配法(Gradient Algorithm)等を使用することも可能である。これらの適応アルゴリズムによるフィルタ係数更新の際の乗算回数がLMS型アルゴリズムより多い場合は、フィルタ係数を実数化したことによる演算量削減の効果はさらに大きくなる。
また、第1の実施の形態〜第24の実施の形態では、FM変調に適用する適応ディジタルフィルタを想定しているが、本発明はPSK(Phase Shift Keying)などの他の定振幅変調にも適用できる。また、マルチレベルCMAを用いれば、QAM(Quadrature Amplitude Modulation)のような変調方式にも適用可能である。また、上記非特許文献1で示されたコンスタントモジュラスアルゴリズムのうち、出力信号が複素数であるものなどにも適用できる。
また、第1の実施の形態〜第24の実施の形態では、包絡線を指標とするCMAを対象に説明したが、本発明は、非特許文献1に記載された他の統計量を指標とした場合にも適用可能である。
本発明の適応ディジタルフィルタは、その機能を、個別部品、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を使用してハードウェアで実現してもよく、プログラムにしたがって処理を行うCPUやDSP(Digital Signal Processor)等を備えたコンピュータによって実現してもよい。プログラムは、例えば磁気ディスクや半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよく、ネットワークを介して通信装置により提供されてもよい。その場合、コンピュータは、電源投入時にプログラムを読み取り、該プログラムにしたがって処理を実行することで上述した第1の実施の形態〜第24の実施の形態で示した適応ディジタルフィルタとして動作する。

Claims (25)

  1. 入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    を有し、
    前記係数制御部は、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して前記フィルタ係数の更新量を単調減少させる適応ディジタルフィルタ。
  2. 一つの実信号から生成された位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号を入力信号とし、該入力信号と前記実信号のフィルタ係数との畳み込み演算によって複素信号の出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    を有し、
    前記係数制御部は、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して前記フィルタ係数の更新量を単調減少させる適応ディジタルフィルタ。
  3. 前記係数制御部は、
    前記目標信号を前記入力信号の振幅に比例するように制御する請求項1または2記載の適応ディジタルフィルタ。
  4. 前記係数制御部は、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方に基づいて前記目標信号を制御する請求項1または2記載の適応ディジタルフィルタ。
  5. 入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    を有し、
    前記係数制御部は、
    前記目標信号を前記入力信号の振幅に基づいて制御する場合、前記入力信号の振幅が小さくなっていくときに前記目標信号を小さくしていき、前記入力信号の振幅が大きくなっていくときに前記目標信号を大きくしていき、かつ前記目標信号を小さくする速度を前記目標信号を大きくする速度よりも速くする適応ディジタルフィルタ。
  6. 入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    を有し、
    前記係数制御部は、
    前記目標信号を前記出力信号の振幅に基づいて制御する場合、前記出力信号の振幅が大きくなっていくときに前記目標信号を小さくしていき、前記出力信号の振幅が小さくなっていくときに前記目標信号を大きくしていき、かつ前記目標信号を小さくする速度を前記目標信号を大きくする速度よりも速くする適応ディジタルフィルタ。
  7. 前記係数制御部は、
    前記出力信号の包絡線の値を前記指標値とする請求項4記載の適応ディジタルフィルタ。
  8. 前記係数制御部は、
    前記目標信号を制御し、前記出力信号の包絡線の値と前記目標信号との誤差を前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて調整した信号を出力する共通部と、
    前記フィルタ部における前記畳み込み演算用の乗算器毎に設けられ、対応する乗算器に入力される信号と前記共通部から入力される前記信号と現在のフィルタ係数とに基づいて次サンプリング周期で使用するフィルタ係数を算出する複数の個別部と、
    を有する請求項記載の適応ディジタルフィルタ。
  9. 請求項1乃至の何れか1項に記載された適応ディジタルフィルタと、
    中間周波数に変換されディジタル化されたFM変調信号をヒルベルト変換して生成した複素信号を前記適応ディジタルフィルタに入力するヒルベルト変換器と、
    を有するFM受信機。
  10. 入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力し、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御し、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して前記フィルタ係数の更新量を単調減少させる信号処理方法。
  11. 一つの実信号から生成された位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号を入力信号とし、該入力信号と前記実信号のフィルタ係数との畳み込み演算によって複素信号の出力信号を生成して出力し、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御し、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して前記フィルタ係数の更新量を単調減少させる信号処理方法。
  12. 前記目標信号を前記入力信号の振幅に比例するように制御する請求項10または11記載の信号処理方法。
  13. 前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方に基づいて前記目標信号を制御する請求項10または11記載の信号処理方法。
  14. 入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力し、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御し、
    前記目標信号を前記入力信号の振幅に基づいて制御する場合、前記入力信号の振幅が小さくなっていくときに前記目標信号を小さくしていき、前記入力信号の振幅が大きくなっていくときに前記目標信号を大きくしていき、かつ前記目標信号を小さくする速度を前記目標信号を大きくする速度よりも速くする信号処理方法。
  15. 入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力し、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御し、
    前記目標信号を前記出力信号の振幅に基づいて制御する場合、前記出力信号の振幅が大きくなっていくときに前記目標信号を小さくしていき、前記出力信号の振幅が小さくなっていくときに前記目標信号を大きくしていき、かつ前記目標信号を小さくする速度を前記目標信号を大きくする速度よりも速くする信号処理方法。
  16. 前記出力信号の包絡線の値を前記指標値とする請求項13記載の信号処理方法。
  17. 前記目標信号を制御し、前記出力信号の包絡線の値と前記目標信号との誤差を前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて調整した信号を出力する共通処理と、
    前記畳み込み演算用の乗算器毎に設けられ、対応する乗算器に入力される信号と前記共通処理で生成される前記信号と現在のフィルタ係数とに基づいて次サンプリング周期で使用するフィルタ係数を算出する複数の個別処理と、
    を含む請求項16記載の信号処理方法。
  18. コンピュータを、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    として動作させ、
    前記係数制御部は、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して前記フィルタ係数の更新量を単調減少させるためのプログラム。
  19. コンピュータを、一つの実信号から生成された位相が互いに90度異なる2つの信号の一方を実部に持ち他方を虚部に持つ複素信号を入力信号とし、該入力信号と前記実信号のフィルタ係数との畳み込み演算によって複素信号の出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    として動作させ、
    前記係数制御部は、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に対して前記フィルタ係数の更新量を単調減少させるためのプログラム。
  20. 前記係数制御部は、
    前記目標信号を前記入力信号の振幅に比例するように制御する請求項18または19記載のプログラム。
  21. 前記係数制御部は、
    前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方に基づいて前記目標信号を制御する請求項18または19記載のプログラム。
  22. コンピュータを、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    として動作させ、
    前記係数制御部は、
    前記目標信号を前記入力信号の振幅に基づいて制御する場合、前記入力信号の振幅が小さくなっていくときに前記目標信号を小さくしていき、前記入力信号の振幅が大きくなっていくときに前記目標信号を大きくしていき、かつ前記目標信号を小さくする速度を前記目標信号を大きくする速度よりも速くするためのプログラム。
  23. コンピュータを、入力信号とフィルタ係数との畳み込み演算によって出力信号を生成して出力するフィルタ部と、
    前記出力信号から導出した指標値と目標信号との誤差に基づいて前記フィルタ係数を制御し、かつ前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて前記フィルタ係数の更新量を制御する係数制御部と、
    として動作させ、
    前記係数制御部は、
    前記目標信号を前記出力信号の振幅に基づいて制御する場合、前記出力信号の振幅が大きくなっていくときに前記目標信号を小さくしていき、前記出力信号の振幅が小さくなっていくときに前記目標信号を大きくしていき、かつ前記目標信号を小さくする速度を前記目標信号を大きくする速度よりも速くするためのプログラム。
  24. 前記係数制御部は、
    前記出力信号の包絡線の値を前記指標値とする請求項21記載のプログラム。
  25. 前記係数制御部は、
    前記目標信号を制御し、前記出力信号の包絡線の値と前記目標信号との誤差を前記入力信号及び前記出力信号の少なくとも一方の振幅推定値に基づいて調整した信号を出力する共通部と、
    前記フィルタ部における前記畳み込み演算用の乗算器毎に設けられ、対応する乗算器に入力される信号と前記共通部から入力される前記信号と現在のフィルタ係数とに基づいて次サンプリング周期で使用するフィルタ係数を算出する複数の個別部と、
    を有する請求項24記載のプログラム。
JP2007525991A 2005-07-15 2006-07-14 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム Expired - Fee Related JP5029357B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007525991A JP5029357B2 (ja) 2005-07-15 2006-07-14 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005206721 2005-07-15
JP2005206721 2005-07-15
PCT/JP2006/314051 WO2007010849A1 (ja) 2005-07-15 2006-07-14 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム
JP2007525991A JP5029357B2 (ja) 2005-07-15 2006-07-14 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007010849A1 JPWO2007010849A1 (ja) 2009-01-29
JP5029357B2 true JP5029357B2 (ja) 2012-09-19

Family

ID=37668730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007525991A Expired - Fee Related JP5029357B2 (ja) 2005-07-15 2006-07-14 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム

Country Status (4)

Country Link
US (1) US8223829B2 (ja)
EP (1) EP1909393A1 (ja)
JP (1) JP5029357B2 (ja)
WO (1) WO2007010849A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7978799B2 (en) * 2005-07-15 2011-07-12 Nec Corporation Adaptive digital filter, FM receiver, signal processing method, and program
JP5096179B2 (ja) * 2008-01-28 2012-12-12 ルネサスエレクトロニクス株式会社 適応等化装置
JP5532966B2 (ja) * 2010-01-29 2014-06-25 ミツミ電機株式会社 平滑電流算出装置、平滑電流算出方法、電池監視モジュール
WO2011141902A1 (en) * 2010-05-13 2011-11-17 Dsp Group Ltd. Adaptive processor
US9985807B1 (en) * 2016-06-28 2018-05-29 Seagate Technology Llc Channel parameter recovery
FR3076361B1 (fr) * 2018-01-04 2019-12-13 Safran Aircraft Engines Procede de filtrage adaptatif

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4797950A (en) * 1986-11-10 1989-01-10 Kenneth Rilling Multipath reduction system
JPH04185011A (ja) * 1990-11-20 1992-07-01 Nec Corp 適応フィルタの発散防止方法及び装置
JP3464535B2 (ja) 1994-08-12 2003-11-10 シャープ株式会社 適応型ディジタルフィルタ
JPH09162783A (ja) * 1995-12-01 1997-06-20 Matsushita Electric Ind Co Ltd 自動等化器
JPH1098419A (ja) 1996-09-20 1998-04-14 Fujitsu Ltd エコーキャンセラ
JPH10313260A (ja) * 1997-05-13 1998-11-24 Matsushita Electric Ind Co Ltd 受信装置
JP3859386B2 (ja) 1999-03-31 2006-12-20 三菱電機株式会社 波形等化器、波形等化装置及び受信装置
KR100320213B1 (ko) * 2000-02-12 2002-01-10 구자홍 리얼 및 콤플렉스 겸용 채널 등화기
US6950842B2 (en) * 2002-01-23 2005-09-27 Analog Devices, Inc. Echo canceller having an adaptive filter with a dynamically adjustable step size
JP3977661B2 (ja) 2002-02-26 2007-09-19 株式会社メガチップス フィルタ係数変換方法、フィルタ係数変換装置
US7333605B1 (en) * 2002-04-27 2008-02-19 Fortemedia, Inc. Acoustic echo cancellation with adaptive step size and stability control
JP4205509B2 (ja) 2003-08-19 2009-01-07 パイオニア株式会社 マルチパスひずみ除去フィルタ
JP4263586B2 (ja) 2003-12-03 2009-05-13 パイオニア株式会社 マルチパス除去フィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
US20090122931A1 (en) 2009-05-14
WO2007010849A1 (ja) 2007-01-25
US8223829B2 (en) 2012-07-17
JPWO2007010849A1 (ja) 2009-01-29
EP1909393A1 (en) 2008-04-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5029355B2 (ja) 適応ディジタルフィルタ、fm受信機、信号処理方法、およびプログラム
JPWO2007010889A1 (ja) 適応ディジタルフィルタ、fm受信機、信号処理方法、およびプログラム
JP5029357B2 (ja) 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム
JP4773294B2 (ja) 適応等化装置及び受信装置
JPH0362628A (ja) ディジタル等化器
JP5029356B2 (ja) 適応ディジタルフィルタ、信号処理方法、fm受信機およびプログラム
CN116232558A (zh) 一种iq时延补偿方法、装置、电子设备和存储介质
US20020027953A1 (en) Low-complexity blind equalizer
JP7208570B2 (ja) 受信装置
JP5686752B2 (ja) 逆フィルタ回路
RU198305U1 (ru) Адаптивный цифровой фильтр для подавления нефлуктуационных помех
JP3180240B2 (ja) 適応等化器
Bernocchi et al. A hybrid RNS adaptive filter for channel equalization
CN108322410B (zh) 时域均衡器及其信号处理方法
EP0715407B1 (en) Method and apparatus for controlling coefficients of adaptive filter
JP3147864B2 (ja) 適応ステップサイズ制御適応フィルタ、及び適応ステップサイズ制御方法
Paleologu et al. Recursive least-squares lattice adaptive algorithm suitable for fixed-point implementation
Kim A least squares approach to escalator algorithms for adaptive filtering
JPH01235405A (ja) 自動等化器
JPH06216717A (ja) 適応ディジタルフィルタ
JPH053438A (ja) 適応最尤系列推定器
JP2009060577A (ja) 無線信号復調装置
WO2012059909A1 (en) Adaptively scaled parameter estimator
JP2001267887A (ja) デジタルフィルタ係数演算回路

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090612

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120529

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120611

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5029357

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150706

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees