JP6399478B1 - 吐水装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができ、往復振動の吐水を行いつつも吐水された水の水はねを抑制することができる吐水装置を提供する。【解決手段】本発明は、吐水装置2であって、吐水装置本体8と、供給された水を往復振動させながら吐水する振動発生素子10と、を有し、振動発生素子は、水が流入する第1通路18aと、第1通路の下流側端部に配置され、第1通路によって導かれた水が衝突することで、その下流側に交互に反対回りの渦を発生させる衝突部20と、第1通路の下流側に設けられ、衝突部により形成された渦を導く渦列通路18bと、吐出通路18cと、渦列通路における第1通路側にて渦列通路の幅方向に渦列通路と連通する空間を所定幅にわたって形成する拡張部18dと、を備え、拡張部の所定幅A1は、衝突部20と第1通路18aの壁面との間の流路幅Bよりも大きくなるように形成される。【選択図】図5

Description

本発明は、吐水装置に関し、特に、水を往復振動させながら吐水する吐水装置に関する。
特許文献1乃至3に示すように、水を吐水口から往復振動させながら吐水するようなシャワーヘッドの吐水装置として、水が流入する給水通路と、この給水通路の流路断面の一部を閉塞するように、給水通路の下流側端部に配置され、給水通路によって導かれた水が衝突することで、その下流側に交互に反対回りの渦を発生させる衝突部とを備えているものが知られている。
特開2017−064393号公報 特開2017−064394号公報 米国特許公開2011/0233301号公報
このような吐水装置をキッチンシステムのシンクや洗面化粧台の流し台等にも適用しようとする場合には、比較的高い流速の吐水はシンクや流し台で水はねを生じさせるという問題がある。よって、このような水はねを抑制するためには、吐水は比較的低流速で行われることが好ましい。
しかしながら、比較的低流速の水を吐水装置の給水通路に供給した場合、衝突部の下流側に交互に反対回りの渦が発生しにくく、水を吐水口から往復振動させながら吐水することが難しい。また、往復振動しない場合、往復振動する場合に比べて吐水の粒径が大きくなる。吐水の粒径が大きいと、シンクや流し台で水はねが生じやすいという問題が生じる。
また、特許文献3に示すように、衝突部の下流側の通路がわずかに拡張されていたとしても、比較的低流速の水を吐水装置の給水通路に供給した場合、衝突部の下流側に交互に反対回りの渦が発生しにくく、水を吐水口から往復振動させながら吐水することが難しいという問題が生じる。
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができ、往復振動の吐水を行いつつも吐水された水の水はねを抑制することができる吐水装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、水を往復振動させながら吐水する吐水装置であって、吐水装置本体と、この吐水装置本体に設けられ、供給された水を往復振動させながら吐水する振動発生素子と、を有し、上記振動発生素子は、供給された水が流入する第1通路と、この第1通路の流路断面の一部を閉塞するように、上記第1通路の下流側端部に配置され、上記第1通路によって導かれた水が衝突することで、その下流側に交互に反対回りの渦を発生させる衝突部と、上記第1通路の下流側に設けられ、上記衝突部により形成された渦を導く渦列通路と、上記渦列通路によって導かれた水を吐水させる吐出通路と、上記渦列通路における上記第1通路側にて上記渦列通路の幅方向に上記渦列通路と連通する空間を所定幅にわたって形成する拡張部と、を備え、上記拡張部の上記所定幅は、上記衝突部と上記第1通路の壁面との間の流路幅よりも大きくなるように形成されることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、第1通路の下流側端部には、流路断面の一部を閉塞するように衝突部が配置され、この衝突部は、第1通路によって導かれた水が衝突することで、その下流側に交互に反対回りの渦を発生させる。衝突部により形成された渦は、渦列通路によって、成長されながら導かれる。渦列通路は、渦を成長させながら導く領域を形成する。このとき渦列通路における第1通路側にて渦列通路の幅方向に渦列通路と連通する空間を所定幅にわたって形成する拡張部が形成されている。さらに、拡張部の所定幅は、渦が発生される部分の衝突部と第1通路の壁面との間の流路幅よりも大きくなるように形成される。よって、渦を成長させながら導く領域において渦が受ける壁面摩擦を軽減させることができる。これにより、第1通路に供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路において渦を形成することができ且つ吐出通路を通って吐水される水を往復振動させることができる。また、往復振動しない場合に比べて、吐水を小さい粒径で行うことができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径で行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、上記拡張部の前後方向の長さは、上記衝突部と上記第1通路の壁面との間の上記流路幅よりも大きくなるように形成される。
このように構成された本発明においては、拡張部の前後方向の長さを、渦が発生される部分の衝突部と第1通路の壁面との間の流路幅よりも大きくなるように形成することができる。よって、渦を成長させながら導く領域を、渦が発生される部分の領域よりも大きくし、渦の成長時に水流が受ける壁面摩擦を軽減させることができる。これにより、第1通路に供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路において渦をより確実に形成することができ且つ吐出通路を通って吐水される水をより確実に往復振動させることができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、上記拡張部の前後方向の長さは、上記渦列通路の上流端から下流端までの長さに形成される。
このように構成された本発明においては、拡張部の前後方向の長さは、上記渦列通路の上流端から下流端までの長さに形成される。よって、渦を成長させながら導く領域を、渦列通路の上流端から下流端までにおいて形成し、水流が受ける壁面摩擦をより軽減させることができる。これにより、第1通路に供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路において渦をより確実に形成することができ且つ吐出通路を通って吐水される水をより確実に往復振動させることができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、さらに、上記衝突部の設けられた部分よりも上流側の流路から上記衝突部の設けられた部分の上記第1通路を迂回して上記拡張部に至る第2通路を備え、上記拡張部には、上記第2通路からの流入口が形成される。
このように構成された本発明においては、第2通路から流入する水流を衝突部により形成された渦に引き込むことができる。よって、交互に反対回りに形成される渦の流量をそれぞれ増加させることができる。これにより、吐水される水の吐水角度をより大きくすることができるため、吐水される水の粒径をより小さくすることができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、上記拡張部に形成された流入口は、上記流入口の上記渦列通路の延びる方向の長さが、上記拡張部における上記渦列通路側の第1通路側端から吐出通路側端までの長さと同じとなるように形成される。
このように構成された本発明においては、第2通路の流入口の渦列通路の延びる向きの長さが比較的小さい場合に比べて、第2通路からより多くの水流を渦に引き込むことができる。よって、交互に反対回りに形成される渦の流速をより増加させることができる。これにより、吐水される水の吐水角度をさらに大きくすることができる。さらに、第2通路の流入口の長さが比較的小さく形成される場合に比べて、第2通路の流入口を通る水の流速が上昇して渦を壊してしまうことを抑制することができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、上記拡張部の上記渦列通路側における第1通路側端は、上記衝突部の第1通路入口側端よりも上記吐出通路側に位置する。
このように構成された本発明においては、衝突部の第1通路入口側端と拡張部の渦列通路側における第1通路側端との間の壁面の距離を比較的小さくすることができ、衝突部により発生された渦が拡張部の第1通路側端より上流側で受ける壁面摩擦を比較的小さくすることができる。従って、発生した渦が受ける壁面摩擦をより軽減させることができる。さらに、拡張部の渦列通路側における第1通路側端を、衝突部の第1通路入口側端よりも吐出通路側に位置させるので、製造誤差等の影響をうけにくく、衝突部の第1通路入口側端において第1通路の流路断面の一部が閉塞できなくなることを防ぐ。よって、衝突部の第1通路入口側端において渦をより確実に発生させることができる。さらに、例えば第2通路から流入する水流が衝突部により形成された渦に引き込まれる前に、渦が壁面摩擦を受けて減衰することを抑制することができる。
本発明において、好ましくは、上記拡張部の上記渦列通路側における第1通路側端は、上記衝突部の吐出通路側端よりも第1通路側に位置する。
このように構成された本発明においては、拡張部の第1通路側端が、衝突部の第1通路入口側端よりも吐出通路側且つその吐出通路側端よりも第1通路側に位置する。よって、衝突部の第1通路入口側端と拡張部の渦列通路側における第1通路側端との間の壁面の距離をより小さくすることができ、衝突部により発生された渦が拡張部の第1通路側端より上流側で受ける壁面摩擦をより小さくすることができる。従って、発生した渦が受ける壁面摩擦をより軽減させることができる。
本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができ、往復振動の吐水を行いつつも吐水された水の水はねを抑制することができる吐水装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態による吐水装置を備えたキッチンシステムの外観を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態による吐水装置の正面図である。 本発明の第1実施形態による吐水装置の断面図である。 本発明の第1実施形態による吐水装置に備えられている振動発生素子の外観を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態における振動発生素子の平面断面図である。 本発明の第1実施形態における振動発生素子の垂直断面図である。 本発明の第1実施形態における振動発生素子内において渦が成長し、吐水口から吐水される様子を示す図である。 本発明の第2実施形態における振動発生素子の平面断面図である。 本発明の第3実施形態における振動発生素子の平面断面図である。 本発明の第4実施形態における振動発生素子の平面断面図である。 本発明の第5実施形態における振動発生素子の平面断面図である。 比較例の吐水装置に備えられている振動発生素子の平面断面図である。
次に、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態の吐水装置を説明する。
まず、図1乃至図3を参照して、本発明の第1実施形態による吐水装置を説明する。図1は本発明の第1実施形態による吐水装置を備えたキッチンシステムの外観を示す斜視図であり、図2は本発明の第1実施形態による吐水装置の正面図であり、図3は本発明の第1実施形態による吐水装置の断面図である。
図1に示すように、吐水装置2は、キッチンシステム1のシンク(流し台)4に向けて設けられている。吐水装置2は、シンク4の周囲のカウンタ6から立ち上がる立水栓に設けられている。吐水装置2は、洗面化粧台等の洗面システムの流し台に向けて設けられていてもよく、他の流し台に向けた吐水装置として設けられていてもよい。なお、吐水装置2は、ハンドシャワー用の吐水装置として洗面室や浴室に用いられてもよい。また、吐水装置2は、立水栓に限られず壁面等に設けられていてもよい。吐水装置2は、シンク4に向けて吐水されることから、吐水口10a(図2参照)からの吐水の流速が1.0m/s〜3.0m/sの範囲内であり、より好ましくは、1.0m/s〜2.0m/sの範囲内とされる。
図2に示すように、吐水装置2は、概ね円柱形の吐水装置本体8と、この吐水装置本体8内に、軸線方向に一直線に並べて埋め込まれた複数の振動発生素子10と、を有する。
本実施形態の吐水装置2は、吐水装置本体8に接続されたホース9から水が供給されると、各振動発生素子10の吐水口10aから水が往復振動しながら吐水される。なお、本実施形態においては、水は、吐水装置本体8の中心軸線に概ね直交する平面内で扇形を形成するように各吐水口10aから吐水される。また、本実施形態においては、水は、水道等から供給された状態の水、湯と水を混合した湯水、水を加温して生じた湯等を含む意味で用いられる。また、以下、本発明の一実施形態における説明において、振動発生素子10を吐水口10aの正面から見て左右方向(吐水口10aから吐水される水の往復振動における振幅方向)を幅方向とし、上下方向を高さ方向として説明し、振動発生素子10の背面から吐水口10a側の正面に向かう方向(第1通路における流れ方向)を前後方向としている。吐水口10aを正面から見た左右方向は吐水口10aの長手方向(図5の紙面の上下方向)であり、上下方向は吐水口10aの短手方向(図6の紙面の上下方向)である。
次に、図3を参照して、吐水装置2の内部構造を説明する。
図3に示すように、吐水装置本体8内には、通水路を形成すると共に、各振動発生素子10を保持する通水路形成部材12が内蔵されている。通水路形成部材12は、概ね円筒形の部材であり、吐水装置本体8の内部に供給された水の流路を形成するように構成されている。通水路形成部材12の基端部12cには、ホース9に至る通水部材(図示せず)が水密的に接続されるようになっている。また、通水路形成部材12の内部には、概ね軸線方向に延びる主通水路12aが形成されている。
さらに、通水路形成部材12には、各振動発生素子10を挿入して保持するための複数の素子挿入孔12bが、主通水路12aと連通するように形成されている。各素子挿入孔12bは、通水路形成部材12の外周面から主通水路12aまで延びるように形成されている。また、各素子挿入孔12bは、概ね等間隔に、軸線方向に一直線に並べて形成されている。これにより、通水路形成部材12の主通水路12a内に流入した水は、通水路形成部材12に保持された各振動発生素子10に、その背面側から流入し、正面に設けられた吐水口10aから吐水される。吐水装置2は、さらに、振動発生素子10より上流側に設けられた定流量弁(図示せず)を備え、この定流量弁により、振動発生素子10に供給される水の流速を比較的低くしている。また、吐水装置2は、振動発生素子10より上流側に設けられた流量調整弁を備え、この流量調整弁により、振動発生素子10に供給される水の流速を比較的低くしてもよい。この流量調整弁は、操作部の操作により流量を調整することができるように形成される。
また、各素子挿入孔12bは、吐水装置本体8の中心軸線に直交する平面に対して僅かに傾斜するように設けられており、水は、各振動発生素子10から全体として吐水装置本体8の軸線方向に僅かに広がるように吐水される。
次に、図4乃至図6を参照して、吐水装置2に内蔵されている振動発生素子10の構成を説明する。
図4は本発明の第1実施形態による吐水装置に備えられている振動発生素子の外観を示す斜視図であり、図5は本発明の第1実施形態における振動発生素子の平面断面図であり、図6は本発明の第1実施形態における振動発生素子の垂直断面図である。
図4に示すように、振動発生素子10は概ね薄い直方体状の部材であり、その正面側の端面には長方形の吐水口10aが設けられ、背面側の端面には素子流入口10b(図6参照)が形成されている。各振動発生素子10が素子挿入孔12b(図3参照)に挿入されると、素子流入口10bは通水路形成部材12の主通水路12aに連通する。
図5及び図6に示すように、振動発生素子10の外側筒体13の内部には、前後方向に延びるように長方形断面の通路10cが形成され、この長方形断面の通路10cの内部には、内側筒体14が、振動発生素子10の前後方向に延びるように設けられている。内側筒体14は、長方形断面の筒体であり、長方形断面の通路10cと同心的に配置されている。
また、内側筒体14の内部の通路は、上流側から順に、第1通路である主給水通路18a、渦列通路18b、吐出通路18cとして形成されている。主給水通路18aは、内側筒体14背面側の流入口14aから延びる断面積一定且つ長方形断面の直線状の通路である。渦列通路18bは、主給水通路18aの下流側に、主給水通路18aに連続して設けられた長方形断面の通路である。渦列通路18bは、渦を成長させながら導く領域を形成する。主給水通路18aと渦列通路18bは、同一の断面形状で一直線に延びている。
吐出通路18cは、渦列通路18bと連通するように下流側(主給水通路18aと逆側)に設けられた断面積一定の長方形断面の通路であり、実質的に内側筒体14の壁厚分の長さを有するのみである。この吐出通路18cは主給水通路18aの流路断面積よりも小さく、渦列通路18bによって導かれた渦列を含む水が絞られて、吐水口10aから吐水される。従って、渦列通路18bと吐出通路18cの間には段部16が形成される。なお、吐出通路の形態はこのような形態に限られるものではなく、例えば、断面積一定でなく下流側へ向けて外側に向かって広がっていくテーパー形状でもよい。また、例えば、内側筒体でなく外側筒体13の壁厚分の長さを有するように構成してもよい。
さらに、主給水通路18aの下流側端部(主給水通路18aと渦列通路18bの接続部)には衝突部20が形成されており、この衝突部20は主給水通路18aの流路断面の一部を閉塞するように設けられている。この衝突部20は、主給水通路18aの高さ方向に対向する壁面(図6における上側面と下側面)を連結するように延びる三角柱状の部分であり、主給水通路18aの幅方向の中央に、島状に配置されている。衝突部20の幅方向の断面は、直角二等辺三角形状に形成されており、その斜辺が主給水通路18aの流れ方向に延びる中心軸線と直交するように配置され、また、直角二等辺三角形の直角の部分は下流側に向くように配置されている。この衝突部20を設けることにより、その下流側にカルマン渦が生成され、吐水口10aから吐水される水が往復振動される。
さらに、外側筒体13の内壁面と、内側筒体14の外周壁面との間の空間は、第2通路である副給水通路18eを形成する。副給水通路18eは、衝突部20の設けられた部分よりも上流側の流路(例えば通路10c)から衝突部20の設けられた部分の主給水通路18aを迂回して拡張通路18dに至る流路を形成する。拡張通路18dには、拡張通路18dの幅方向の外側側面且つ副給水通路18eの内側側面において副給水通路18eからの流入口18fが形成される。副給水通路18eからの流入口18fは、内向きに拡張通路18d及び渦列通路18bに向けて開口される。副給水通路18eからの流入口18fは、流入口18fの渦列通路18bの延びる方向(振動発生素子10の前後方向)の長さL1が、拡張通路18dにおける衝突部20側(流入口18f側の逆側)における第1通路側端である主給水通路側端18gから吐出通路側端18hまでの長さL2と同じとなるように形成される。
このような構造により、吐水装置本体8から振動発生素子10の素子流入口10bに流入した水は、所定の割合で、主給水通路18aと、副給水通路18eとに夫々流入する。
主給水通路18aの流路断面積と、副給水通路18eの流路断面積との比は、主給水通路18aに流入した水が衝突部20によりカルマン渦を生じさせることができるような主給水通路18aの流量を少なくとも満たすように決定されている。また、上述したように、渦列通路18bを中心として流入口18fが互いに向かい合うように設けられており、この流入口18fから副給水通路18eを通った水が流入する。従って、副給水通路18eは、流入口18fを介して、渦列通路18bの延びる方向(図5の紙面の左右方向)に対して直交する方向(図5の紙面の上下方向)に、拡張通路18dに水を流入させる。
図5及び図6を参照して、渦列通路18bと連通する空間を形成する拡張部である拡張通路18dについて詳細に説明する。
渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側にて渦列通路18bの幅方向(衝突部20により生じるカルマン渦の回転の中心軸方向且つ前後方向に直交する方向)に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A1にわたって形成する拡張通路18dが形成されている。所定幅A1は振動発生素子10の幅方向の幅である。拡張通路18dの所定幅A1は、衝突部20の主給水通路入口側端20aと主給水通路18aの幅方向における一方側の壁面18iとの間の流路幅Bよりも大きくなるように形成される。拡張通路18dは、長方形断面の通路であり、渦列通路18bの外側に連続して設けられている。拡張通路18dは、副給水通路18eと渦列通路18bとの間に形成されている。拡張通路18dは、副給水通路18eの高さに対して低い高さに形成され、副給水通路18eの流路断面積よりも絞られた流路断面積の流路を形成している。なお、拡張通路18dの高さはこのような高さに限られるものではなく、例えば、副給水通路18eと同じ高さに形成してもよく、この場合、振動発生素子をよりコンパクトに形成することができる。
拡張通路18dの前後方向の長さL2は、流路幅Bよりも大きくなるように形成される。拡張通路18dの長さL2は、渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでの長さに形成される。拡張通路18dの衝突部20側(流入口18f側の逆側)における主給水通路側端18gは、衝突部20の第1通路入口側端である主給水通路入口側端20aよりも吐出通路18c側に位置すると共に、衝突部20の吐出通路側端20bよりも主給水通路18aの上流側に位置する。
図5に示すように、衝突部20の主給水通路入口側端20aから渦列通路18bの吐出通路側端18kまでの長さYは、片側の渦Cの生じる間隔である波長λの半分以上の長さとされる。渦Cは、衝突部20の左右両側に交互に形成されるからである。長さYを満たすような長さの渦列通路18bにより、渦列通路18b内に渦Cを確実に形成することができる。さらに、波長λの半分以上の長さの拡張通路18dにより、渦列通路18b内に渦Cをより確実に形成することができる。渦Cの間隔となる波長λは以下の式に基づいて説明される。
Figure 0006399478

Figure 0006399478

ここで、λは渦Cの間隔となる波長、U2は衝突部20に衝突した直後の流れ(図7において矢印F4で示す流れ)の流速、fは流れにおける振動現象の周波数、U1は衝突部20に衝突する前の流れ(図7において矢印F2で示す流れ)の流速、Wは衝突部20の主給水通路入口側端20aの幅(図6参照)、Stはストローハル数である。波長λは衝突部20の幅Wに依存している。
また、図5及び図6に示すように、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路18d及び吐出通路18cの高さ方向に対向する壁面(図6における上側面と下側面)は、全て同一平面上に設けられている。即ち、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路18d及び吐出通路18cの高さは全て同一で、一定である。
次に、図1乃至図7を参照して、本発明の第1実施形態による吐水装置2の作用を説明する。
図7は本発明の第1実施形態における振動発生素子内において渦が成長し、吐水口から吐水される様子を示す図である。
図2及び図3に示すように、ホース9から供給された水は、吐水装置本体8内の通水路形成部材12に流入する。図7において矢印F1に示すように、主通水路12aからの水は、各振動発生素子10の素子流入口10bから振動発生素子10に流入する。素子流入口10bに流入した水のうちの所定割合の水は、矢印F2に示すように、内側筒体14の流入口14aから主給水通路18aに流入する。残りの水は、矢印F3に示すように、副給水通路18eに流入する。主給水通路18aの流路断面積は、副給水通路18eの流路断面積よりも大きくされ、主給水通路18aを通る水の主流の流速は、副給水通路18eを通る副流の流速よりも速くなっている。
各振動発生素子10の主給水通路18aによって導かれた水は、その流路の一部を閉塞するように設けられた衝突部20に衝突する。衝突部20に衝突した水は、矢印F4に示すように、衝突部20の両側の流路を通って下流側に流れる。これにより、衝突部20の下流側には、衝突部20の幅方向両側に交互に反対回りのカルマン渦の渦列(渦C)が形成される。この衝突部20により形成されたカルマン渦は、渦列通路18bによって導かれながら成長し、吐出通路18cに至る。
衝突部20の下流側には渦が発生し、その部分で流速が高くなる。この流速の高い部分は衝突部20の両側に交互に表れ、渦列は渦列通路18b中を吐水口10aに向かって進行する。渦列通路18bの端部に到達した水は段部16に衝突し、吐水口10aにおける流速分布に基づいて吐水される方向が曲げられる。即ち、水の流速の高い部分が吐水口10aの幅方向の一端(図7における吐水口10aの上端)に位置する状態では、水は幅方向の他端(図7における吐水口10aの下端)に向けて偏向して吐水され、流速の高い部分が吐水口10aの幅方向の他端(図7における吐水口10aの下端)に位置する状態では、水は幅方向の一端(図7における吐水口10aの上端)に向けて偏向して吐水される。このように、衝突部20の下流側に交互にカルマン渦を発生させることにより、吐水口10aにおいて流速分布が発生して、吐水される水の角度が偏向される。また、渦列の進行により流速の速い部分の位置が往復移動するため、吐水される水の偏向角度が振動的に変化し、吐水方向も往復振動される。吐水される水の往復振動に伴って、水が粒状の形態で吐水される。渦の流速を比較的速くすることにより、吐水される水の粒Dの粒径を比較的小さくすることができる。
図5に示すように、渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側から渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A1にわたって形成する拡張通路18dが形成されている。よって、渦列通路18bにおいて渦を成長させながら導く際に、渦Cが受ける壁面摩擦を軽減させることができる。拡張通路18dの長さが、流路幅Bよりも大きく、例えば渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでの長さL2に形成されるので、渦列通路18bの両側の壁面が低減又はほぼ無くされている。さらに、拡張通路18dは、渦Cが成長できるような拡張領域を付加している。
拡張通路18dが設けられていない場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面から受ける壁面摩擦よりも、拡張通路18dが設けられている場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面(両側の全体が拡張通路18dとなっている場合には拡張通路18dの両側の壁面)から受ける壁面摩擦が減少されている。よって、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、流速の減少を抑制し、渦列通路18bにおいて渦を形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水を往復振動させることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができる。さらに、往復振動の吐水を比較的小さい粒径で行うことができる。従って、吐水された水がシンク4により跳ね上げられる水はねを抑制することができる。水はねを抑制することにより、水はねが使用者に当たり使用者に不快感を与えることや、シンク4の周囲を濡らすことを抑制することができる。本実施形態における往復振動の吐水の粒Dの粒径は1.0mm〜2.0mmの範囲内とすることができる。
さらに、図7において矢印F5に示すように、副給水通路18eから供給された水が両側の流入口18fから拡張通路18dに流入する。これにより、矢印F6に示すように、副給水通路18eから流入する水流を、衝突部20により形成された渦に引き込むことができる。よって、拡張通路18dを介して供給される水により、交互に反対回りに形成される渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。振動発生素子10の素子流入口10bに供給される水の流速が変化しなくとも、主給水通路18aのみから渦を形成する場合と比べて、副給水通路18eから水を流入させて主給水通路18aで形成された渦を増幅させる場合には、渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。流入口18fの前後方向の長さが、主給水通路側端18gから吐出通路側端18hまでの長さと同じとなるように形成されるので、副給水通路18eからより多くの水流を渦に引き込むことができる。よって、交互に反対回りに形成される渦Cの流量及び流速をより増加させることができる。交互に形成される渦Cの流速が速くなることで、吐水口10aにおける流速分布の流速差が増大される。これにより、吐水角度をより大きくすることができるため、吐水される水の粒径をより小さくすることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
次に、図12を参照して、比較例による吐水装置の振動発生素子を説明する。
図12は、比較例の吐水装置に備えられている振動発生素子の平面断面図である。
この比較例による吐水装置502の振動発生素子510は、例えば特許文献1の図6に示されている。比較例による吐水装置502は、シャワーヘッドに設けられる吐水装置であり、水が流入する給水通路518aと、この給水通路518aの流路断面の一部を閉塞するような衝突部520とが設けられている。一方で、この吐水装置502は、バイパス通路518eとバイパス流入口518fを備えている。所定割合の水を、給水通路518aに流入させ、残りの水をバイパス通路518eを経由してバイパス流入口518fから渦列通路518bに流入させる。このようなシャワーヘッドの吐水装置502は、例えば4.0m/s以上の比較的高い流速で吐水を行う場合、衝突部520の下流側に交互に反対回りの渦を発生させ、吐出通路518cを通って吐水される水を往復振動させることができる。しかしながら、この吐水装置502において、吐水の流速を例えば3.0m/s以下とするような場合には、衝突部520の下流側に発生しようとする渦が渦列通路518bの壁面摩擦を受けて消滅しやすく、吐出通路518cを通って吐水される水を往復振動させることが難しい。さらに、水をバイパス流入口518fから渦列通路518bに流入させたとしても、発生しようとする渦が弱く、渦を成長させにくい。従って、吐出通路518cを通って吐水される水を往復振動させることが難しい。
本発明の第1実施形態の吐水装置2によれば、主給水通路18aの下流側端部には、流路断面の一部を閉塞するように衝突部20が配置され、この衝突部20は、主給水通路18aによって導かれた水が衝突することで、その下流側に交互に反対回りの渦Cを発生させる。衝突部20により形成された渦Cは、渦列通路18bによって、成長されながら導かれる。渦列通路18bは、渦Cを成長させながら導く領域を形成する。このとき渦列通路18bにおける主給水通路側から渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅にわたって形成する拡張通路18dが形成されている。さらに、拡張通路18dの所定幅A1は、渦Cが発生される部分の衝突部20と主給水通路18aの壁面18iとの間の流路幅Bよりも大きくなるように形成される。よって、渦Cを成長させながら導く領域において渦Cが受ける壁面摩擦を軽減させることができる。これにより、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路18bにおいて渦Cを形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水を往復振動させることができる。また、往復振動しない場合に比べて、吐水を小さい粒径で行うことができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径で行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
また、本実施形態の吐水装置2によれば、拡張通路18dの前後方向の長さL2を、渦Cが発生される部分の衝突部20と主給水通路18aの壁面18iとの間の流路幅Bよりも大きくなるように形成することができる。よって、渦Cを成長させながら導く領域を、渦Cが発生される部分の領域よりも大きくし、渦Cの成長時に水流が受ける壁面摩擦を軽減させることができる。これにより、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路18bにおいて渦Cをより確実に形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水をより確実に往復振動させることができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
さらに、本実施形態の吐水装置2によれば、拡張通路18dの前後方向の長さは、渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでの長さL2に形成される。よって、渦Cを成長させながら導く領域を、渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでにおいて形成し、水流が受ける壁面摩擦をより軽減させることができる。これにより、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路18bにおいて渦Cをより確実に形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水をより確実に往復振動させることができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
さらに、本実施形態の吐水装置2によれば、副給水通路18eから流入する水流を衝突部20により形成された渦Cに引き込むことができる。よって、交互に反対回りに形成される渦Cの流量をそれぞれ増加させることができる。これにより、吐水される水の吐水角度をより大きくすることができるため、吐水される水の粒径をより小さくすることができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
さらに、本実施形態の吐水装置2によれば、副給水通路18eの流入口18fの渦列通路18bの延びる向きの長さL1が比較的小さい場合に比べて、副給水通路18eからより多くの水流を渦Cに引き込むことができる。よって、交互に反対回りに形成される渦Cの流速をより増加させることができる。これにより、吐水される水の吐水角度をさらに大きくすることができる。さらに、副給水通路18eの流入口18fの長さが比較的小さく形成される場合に比べて、副給水通路18eの流入口18fを通る水の流速が上昇して渦Cを壊してしまうことを抑制することができる。従って、本発明によれば、往復振動の吐水を比較的低流速且つ小粒径でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
さらに、本実施形態の吐水装置2によれば、衝突部20の主給水通路入口側端20aと拡張通路18dの衝突部20における主給水通路側端18gとの間の壁面の距離を比較的小さくすることができ、衝突部20により発生された渦Cが拡張通路18dの主給水通路側端18gより上流側で受ける壁面摩擦を比較的小さくすることができる。従って、発生した渦Cが受ける壁面摩擦をより軽減させることができる。さらに、拡張通路18dの衝突部20側における主給水通路側端18gを、衝突部20の主給水通路入口側端20aよりも吐出通路側に位置させるので、製造誤差等の影響をうけにくく、衝突部20の主給水通路入口側端20aにおいて主給水通路18aの流路断面の一部が閉塞できなくなることを防ぐ。よって、衝突部20の主給水通路入口側端20aにおいて渦Cをより確実に発生させることができる。さらに、例えば副給水通路18eから流入する水流が衝突部20により形成された渦Cに引き込まれる前に、渦Cが壁面摩擦を受けて減衰することを抑制することができる。
さらに、本実施形態の吐水装置2によれば、拡張通路18dの主給水通路側端18gが、衝突部20の主給水通路入口側端20aよりも吐出通路18c且つその吐出通路側端20bよりも主給水通路18a側に位置する。よって、衝突部20の主給水通路入口側端20aと拡張通路18dの衝突部20側における主給水通路側端18gとの間の壁面の距離をより小さくすることができ、衝突部20により発生された渦Cが拡張通路18dの主給水通路側端18gより上流側で受ける壁面摩擦をより小さくすることができる。従って、発生した渦Cが受ける壁面摩擦をより軽減させることができる。
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による吐水装置を説明する。
第2実施形態による吐水装置は、内側筒体内に副給水通路が形成されて拡張通路の所定幅が短くなっている点が、上述した第1実施形態とは異なる。
図8は本発明の第2実施形態における振動発生素子の平面断面図である。
第2実施形態による吐水装置102は、上述した第1実施形態による吐水装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
吐水装置102は、吐水装置本体8内に、軸線方向に一直線に並べて埋め込まれた複数の振動発生素子110を有する。
図8に示すように、振動発生素子110は概ね薄い直方体状の部材であり、その正面側の端面には長方形の吐水口110aが設けられ、背面側の端面には素子流入口110bが形成されている。各振動発生素子110が素子挿入孔12bに挿入されると、素子流入口110bは通水路形成部材12の主通水路12aに連通する。
図8に示すように、振動発生素子110の外側筒体113の内側には、内側筒体114が、振動発生素子110の前後方向に延びるように設けられている。外側筒体113及び内側筒体114により前後方向に延びるような長方形断面の通路110cが形成されている。内側筒体114は、長方形断面の筒体であり、長方形断面の通路110cと同心的に配置されている。
また、内側筒体114の内部の通路は、上流側から順に、第1通路である主給水通路18a、渦列通路18b、吐出通路18cとして形成されている。主給水通路18aは、内側筒体114の内側部分115aの内側に形成されている。
さらに、主給水通路18aの下流側端部には衝突部20が形成されており、この衝突部20は主給水通路18aの流路断面の一部を閉塞するように設けられている。
さらに、内側筒体114の外側部分115bの内周壁面と、内側部分115aの外周壁面との間の空間は、第2通路である副給水通路118eを形成する。副給水通路118eは、衝突部20の設けられた部分よりも上流側の流路(例えば通路110c)から衝突部20の設けられた部分の主給水通路18aを迂回して拡張通路118dに至る流路を形成する。拡張通路118dには、拡張通路118dの幅方向の外側側面且つ副給水通路118eの内側側面において副給水通路118eからの流入口118fが形成される。副給水通路118eからの流入口118fは、内向きに拡張通路118d及び渦列通路18bに向けて開口される。副給水通路118eからの流入口118fは、流入口118fの渦列通路18bの延びる方向(振動発生素子10の前後方向)の長さL1が、拡張通路118dにおける主給水通路側の主給水通路側端18gから吐出通路側端18hまでの長さL2と同じとなるように形成される。
このような構造により、吐水装置本体8から振動発生素子110の素子流入口110bに流入した水は、所定の割合で、主給水通路18aと、副給水通路118eとに夫々流入する。主給水通路18aの流路断面積と、副給水通路118eの流路断面積との比は、主給水通路18aに流入した水が衝突部20においてカルマン渦を生じさせることができるような主給水通路18aの流量を少なくとも満たすように決定されている。また、上述したように、渦列通路18bを中心として流入口118fが互いに向かい合うように設けられており、この流入口118fから副給水通路118eを通った水が流入する。従って、副給水通路118eは、流入口118fを介して、渦列通路18bの延びる方向(図5の紙面の左右方向)に対して直交する方向(図8の紙面の上下方向)に、拡張通路118dに水を流入させる。内側筒体114の1部材内に主給水通路18aと、副給水通路118eと、拡張通路118dとをコンパクトに且つ確実に形成することができる。
渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側にて渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A2にわたって形成する拡張部である拡張通路118dが形成されている。所定幅A2は振動発生素子10の幅方向の幅である。拡張通路118dの所定幅A2は、衝突部20の主給水通路入口側端20aと主給水通路18aの幅方向における一方側の壁面18iとの間の流路幅Bよりも大きくなるように形成される。拡張通路118dは、長方形断面の通路であり、渦列通路18bの外側に連続して設けられている。拡張通路118dは、副給水通路118eと渦列通路18bとの間に形成されている。拡張通路118dは、副給水通路118eの高さに対して低い高さに形成され、副給水通路118eの流路断面積よりも絞られた流路断面積の流路を形成している。第2実施形態における拡張通路118dの所定幅A2は、第1実施形態における拡張通路18dの所定幅A1よりも短くされている。
また、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路118d及び吐出通路18cの高さ方向に対向する壁面(図6における上側面と下側面)は、全て同一平面上に設けられている。即ち、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路118d及び吐出通路18cの高さは全て同一で、一定である。
次に、図8を参照して、本発明の第2実施形態による吐水装置102の作用を説明する。第2実施形態による吐水装置102は、上述した第1実施形態による吐水装置と作用がほぼ同じであるため、本発明の第2実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
矢印F11に示すように、素子流入口110bに流入した水のうちの所定割合の水は、矢印F12に示すように、内側筒体114の内側部分115aの流入口114aから主給水通路18aに流入する。残りの水は、矢印F13に示すように、副給水通路118eに流入する。主給水通路18aの流路断面積は、副給水通路118eの流路断面積よりも大きくされ、主給水通路18aを通る水の主流の流速は、副給水通路118eを通る副流の流速よりも速くなっている。
衝突部20に衝突した水は、矢印F14に示すように、衝突部20の両側の流路を通って下流側に流れる。衝突部20の下流側には渦が発生し、その部分で流速が高くなる。この流速の高い部分は衝突部20の両側に交互に表れ、渦列は渦列通路18bの壁面に沿って吐水口110aに向かって進行する。渦列通路18bの端部に到達した水は段部16に衝突し、吐水口110aにおける流速分布に基づいて吐水される方向が曲げられる。
渦列通路18bの両側の側面には、の主給水通路側端18j側から渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A2にわたって形成する拡張通路118dが形成されている。よって、渦列通路18bにおいて渦を成長させながら導く際に、渦Cが受ける壁面摩擦を軽減させることができる。拡張通路118dの前後方向の長さが、流路幅Bよりも大きく、例えば渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでの長さL2に形成されるので、渦列通路18bの両側の壁面が低減又はほぼ無くされている。さらに、拡張通路118dは、渦Cが成長できるような拡張領域を付加している。
拡張通路118dが設けられていない場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面から受ける壁面摩擦よりも、拡張通路118dが設けられている場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面(両側の全体が拡張通路118dとなっているので、外側部分115bの内周壁面)から受ける壁面摩擦が減少されている。よって、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路18bにおいて渦を形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水を往復振動させることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができる。さらに、往復振動の吐水を比較的小さい粒径で行うことができる。従って、吐水された水がシンク4により跳ね上げられる水はねを抑制することができる。水はねを抑制することにより、水はねが使用者に当たり使用者に不快感を与えることや、シンク4の周囲を濡らすことを抑制することができる。本実施形態における往復振動の吐水の粒Dの粒径は1.0mm〜2.0mmの範囲内とすることができる。
さらに、矢印F15に示すように、副給水通路118eから供給された水が両側の流入口118fから拡張通路118dに流入する。これにより、矢印F16に示すように、副給水通路18eから流入する水流を、衝突部20により形成された渦に引き込むことができる。よって、拡張通路118dを介して供給される水により、交互に反対回りに形成される渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。振動発生素子110の素子流入口110bに供給される水の流速が変化しなくとも、主給水通路18aのみから渦を形成する場合と比べて、副給水通路118eから水を流入させて主給水通路18aで形成された渦を増幅させる場合には、渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。流入口118fの前後方向の長さが、主給水通路側端18gから吐出通路側端18hまでの長さL2と同じとなるように形成されるので、副給水通路118eからより多くの水流を渦に引き込むことができる。よって、交互に反対回りに形成される渦Cの流量及び流速をより増加させることができる。交互に形成される渦Cの流速が速くなることで、吐水口110aにおける流速分布の流速差が増大される。これにより、吐水角度をより大きくすることができるため、吐水される水の粒Dの粒径をより小さくすることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態による吐水装置を説明する。
第3実施形態による吐水装置は、副給水通路からの流入口が絞られている点が、上述した第1実施形態とは異なる。
図9は本発明の第3実施形態における振動発生素子の平面断面図である。
第3実施形態による吐水装置202は、上述した第1実施形態による吐水装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
吐水装置202は、吐水装置本体8内に、軸線方向に一直線に並べて埋め込まれた複数の振動発生素子210を有する。図9に示すように、振動発生素子210は概ね薄い直方体状の部材であり、その正面側の端面には長方形の吐水口210aが設けられ、背面側の端面には素子流入口210bが形成されている。各振動発生素子210が素子挿入孔12bに挿入されると、素子流入口210bは通水路形成部材12の主通水路12aに連通する。
振動発生素子210の外側筒体213の内側には、内側筒体214が、振動発生素子210の前後方向に延びるように設けられている。外側筒体213の内部には、前後方向に延びるような長方形断面の通路210cが形成されている。内側筒体214は、長方形断面の筒体であり、長方形断面の通路210cと同心的に配置されている。
また、内側筒体214の内部の通路は、上流側から順に、第1通路である主給水通路18a、渦列通路18b、吐出通路18cとして形成されている。主給水通路18aは、内側筒体214の内側に形成されている。さらに、主給水通路18aの下流側端部には衝突部20が形成されており、この衝突部20は主給水通路18aの流路断面の一部を閉塞するように設けられている。
さらに、内側筒体214の外周壁面と、外側筒体213の内周壁面との間の空間は、第2通路である副給水通路218eを形成する。副給水通路218eは、衝突部20の設けられた部分よりも上流側の流路(例えば通路210c)から衝突部20の設けられた部分の主給水通路18aを迂回して拡張通路218dに至る流路を形成する。拡張通路218dには、拡張通路218dの幅方向の外側側面且つ副給水通路218eの内側側面において副給水通路218eからの流入口218fが形成される。副給水通路218eからの流入口218fは、内向きに拡張通路218d及び渦列通路18bに向けて開口される。副給水通路218eからの流入口218fは、流入口218fの渦列通路18bの延びる方向(振動発生素子10の前後方向)の長さL3が、拡張通路218dにおける主給水通路側の主給水通路側端18gから吐出通路側端18hまでの長さL2よりも短くなるように形成されている。流入口218fは、拡張通路218dの壁面218mの一部に形成される。
このような構造により、吐水装置本体8から振動発生素子210の素子流入口210bに流入した水は、所定の割合で、主給水通路18aと、副給水通路218eとに夫々流入する。主給水通路18aの流路断面積と、副給水通路218eの流路断面積との比は、主給水通路18aに流入した水が衝突部20においてカルマン渦を生じさせることができるような主給水通路18aの流量を少なくとも満たすように決定されている。また、上述したように、渦列通路18bを中心として流入口218fが互いに向かい合うように設けられており、この流入口218fから副給水通路218eを通った水が流入する。従って、副給水通路218eは、流入口218fを介して、渦列通路18bの延びる方向(図9の紙面の左右方向)に対して直交する方向(図9の紙面の上下方向)に、拡張通路218dに水を流入させる。
流入口218fは、内側筒体214の内側に向けて拡張通路218dの外側の側面部分まで比較的短い流路を形成する。内側筒体214の流入口218fは比較的小さい開口面積により簡単に形成されることができる。また、流入口218fが比較的絞られて形成されているので、副給水通路218eから流入口218fを通って拡張通路218dに流入する水の流速を加速させる又は維持させることができる。流入口218fは、拡張通路218dの主給水通路側端18g側に接続されるので、流入口218fから流入する水が衝突部20近傍において形成直後の渦に引き込まれやすくなっている。流入口218fは、拡張通路218dの主給水通路側端側に限られず、拡張通路218dの中間部分や吐出通路側端18h側に配置してもよい。
渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側にて渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A3にわたって形成する拡張部である拡張通路218dが形成されている。所定幅A3は振動発生素子10の幅方向の幅である。拡張通路218dの所定幅A3は、衝突部20の主給水通路入口側端20aと主給水通路18aの幅方向の一方側の壁面18iとの間の流路幅Bよりも大きくなるように形成される。拡張通路218dは、長方形断面の通路であり、渦列通路18bの外側に連続して設けられている。拡張通路218dは、副給水通路218eと渦列通路18bとの間に形成されている。拡張通路218dは、副給水通路218eの高さに対して低い高さに形成され、副給水通路218eの流路断面積よりも絞られた流路断面積の流路を形成している。第3実施形態における拡張通路218dの所定幅A3は、第1実施形態における拡張通路18dの所定幅A1よりも短くされている。
また、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路218d、流入口218f及び吐出通路18cの高さ方向に対向する壁面(図6における上側面と下側面)は、全て同一平面上に設けられている。即ち、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路218d、流入口218f及び吐出通路18cの高さは全て同一で、一定である。
次に、図9を参照して、本発明の第3実施形態による吐水装置202の作用を説明する。第3実施形態による吐水装置202は、上述した第1実施形態による吐水装置と作用がほぼ同じであるため、本発明の第3実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
矢印F21に示すように、素子流入口210bに流入した水のうちの所定割合の水は、矢印F22に示すように、内側筒体214の流入口214aから主給水通路18aに流入する。残りの水は、矢印F23に示すように、副給水通路218eに流入する。主給水通路18aの流路断面積は、副給水通路218eの流路断面積よりも大きくされ、主給水通路18aを通る水の主流の流速は、副給水通路218eを通る副流の流速よりも速くなっている。
衝突部20に衝突した水は、矢印F24に示すように、衝突部20の両側の流路を通って下流側に流れる。衝突部20の下流側には渦が発生し、その部分で流速が高くなる。この流速の高い部分は衝突部20の両側に交互に表れ、渦列は渦列通路18bの壁面に沿って吐水口210aに向かって進行する。渦列通路18bの端部に到達した水は段部16に衝突し、吐水口210aにおける流速分布に基づいて吐水される方向が曲げられる。
渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側から渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A3にわたって形成する拡張通路218dが形成されている。よって、渦列通路18bにおいて渦を成長させながら導く際に、渦Cが受ける壁面摩擦を軽減させることができる。拡張通路218dの前後方向の長さが、流路幅Bよりも大きく、例えば渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでの長さL2に形成されるので、渦列通路18bの両側の壁面が低減又はほぼ無くされている。さらに、拡張通路218dは、渦Cが成長できるような拡張領域を付加している。
拡張通路218dが設けられていない場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面から受ける壁面摩擦よりも、拡張通路218dが設けられている場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面(両側の全体が拡張通路218dとなっている場合には拡張通路218dの両側の壁面218m)から受ける壁面摩擦が減少されている。よって、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路18bにおいて渦を形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水を往復振動させることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができる。さらに、往復振動の吐水を比較的小さい粒径で行うことができる。従って、吐水された水がシンク4により跳ね上げられる水はねを抑制することができる。水はねを抑制することにより、水はねが使用者に当たり使用者に不快感を与えることや、シンク4の周囲を濡らすことを抑制することができる。本実施形態における往復振動の吐水の粒Dの粒径は1.0mm〜2.0mmの範囲内とすることができる。
さらに、矢印F25に示すように、副給水通路18eから供給された水が両側の流入口218fから拡張通路18dに流入する。流入口218fは比較的短い前後方向の長さ(比較的小さい開口面積)であるので、流入口218fから供給される水量を抑制することができる。また、流入口218fから流入される水の流速を直前よりも加速させる又は維持させることができる。矢印F26に示すように、流入口218fから流入される水は衝突部20近傍において形成直後の渦に指向性を持って進み、渦に効率的に引き込むことができる。よって、拡張通路218dを介して供給される水により、交互に反対回りに形成される渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。振動発生素子210の素子流入口210bに供給される水の流速が変化しなくとも、主給水通路18aのみから渦を形成する場合と比べて、副給水通路218eから水を流入させて主給水通路18aで形成された渦を増幅させる場合には、渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。交互に形成される渦Cの流速が速くなることで、吐水口210aにおける流速分布の流速差が増大される。これにより、吐水角度をより大きくすることができるため、吐水口210aから吐水される水の粒Dの粒径をより小さくすることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
次に、図10を参照して、本発明の第4実施形態による吐水装置を説明する。
第4実施形態による吐水装置は、渦列通路と吐出通路との間に形成されるテーパー部が、上述した第3実施形態の段部16とは異なる。
図10は本発明の第4実施形態における振動発生素子の平面断面図である。
第4実施形態による吐水装置302は、上述した第3実施形態による吐水装置と基本構造がほぼ同じであるため、本発明の第4実施形態の第3実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
なお、第4実施形態の棚部は、便宜的に第3実施形態による吐水装置の構造に基づいて説明しているだけであるため、第3実施形態による吐水装置に限られず、第1実施形態による吐水装置の段部16、第2実施形態による吐水装置の段部16、後述する第5実施形態による吐水装置の段部16に代えて適用されてもよい。
吐水装置302は、吐水装置本体8内に、軸線方向に一直線に並べて埋め込まれた複数の振動発生素子310を有する。図10に示すように、振動発生素子310の外側筒体213の内側には、内側筒体214が、振動発生素子210の前後方向に延びるように設けられている。
吐出通路18cは、渦列通路18bと連通するように下流側に設けられた断面積一定の長方形断面の通路であり、実質的に内側筒体214の壁厚分の長さを有するのみである。この吐出通路18cは渦列通路18bの流路断面積よりも小さく、渦列通路18bによって導かれた渦列を含む水が絞られて、吐水口210aから吐水される。渦列通路18bと吐出通路18cの間にはテーパー部316が形成される。テーパー部316は、渦列通路18bの吐出通路側端18kから吐水口210aに向けて内側へと傾斜している。渦列通路18bと吐出通路18cの間をテーパー部316により形成することにより、吐出通路18cに流入する渦の乱れを抑制することができ、効率的に水の往復振動を発生させることができる。
また、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路218d、流入口218f、テーパー部316の形成されている領域及び吐出通路18cの高さ方向に対向する壁面(図6における上側面と下側面)は、全て同一平面上に設けられている。即ち、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路218d、流入口218f、テーパー部316の形成されている領域及び吐出通路18cの高さは全て同一で、一定である。
次に、図11を参照して、本発明の第5実施形態による吐水装置を説明する。
第5実施形態による吐水装置は、副給水通路が設けられていない点が、上述した第1実施形態とは異なる。
図11は本発明の第5実施形態における振動発生素子の平面断面図である。
第5実施形態による吐水装置402は、上述した第1実施形態による吐水装置と構造がほぼ同じであるため、本発明の第5実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
吐水装置402は、吐水装置本体8内に、軸線方向に一直線に並べて埋め込まれた複数の振動発生素子410を有する。図11に示すように、振動発生素子410は概ね薄い直方体状の部材であり、その正面側の端面には長方形の吐水口410aが設けられ、背面側の端面には素子流入口410bが形成されている。各振動発生素子410が素子挿入孔12bに挿入されると、素子流入口410bは通水路形成部材12の主通水路12aに連通する。
振動発生素子410の外側筒体413の内側には、内側筒体414が、振動発生素子410の前後方向に延びるように設けられている。外側筒体413により前後方向に延びるような長方形断面の通路410cが形成されている。内側筒体414は、長方形断面の筒体であり、長方形断面の通路410cと同心的に配置されている。
また、内側筒体414の内部の通路は、上流側から順に、第1通路である主給水通路18a、渦列通路18b、吐出通路18cとして形成されている。主給水通路18aは、内側筒体414の内側に形成されている。さらに、主給水通路18aの下流側端部には衝突部20が形成されており、この衝突部20は主給水通路18aの流路断面の一部を閉塞するように設けられている。主給水通路18aに流入する水の流量は、主給水通路18aに流入した水が衝突部20においてカルマン渦を生じさせることができるような流量に設定されている。
吐水装置本体8から振動発生素子410の素子流入口410bに流入した水は、主給水通路18aのみに流入する。内側筒体414は、1部材内に主給水通路18aと、拡張通路418dとをコンパクトに且つ確実に形成する。
渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側にて渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A4にわたって形成する拡張部である拡張通路418dが形成されている。所定幅A4は振動発生素子410の幅方向の幅である。拡張通路418dの所定幅A4は、衝突部20の主給水通路入口側端20aと主給水通路18aの幅方向の一方側の壁面18iとの間の流路幅Bよりも大きくなるように形成される。拡張通路418dは、長方形断面の通路であり、渦列通路18bの外側に連続して設けられている。拡張通路418dは、渦列通路18bの側方に箱状の小室を形成している。拡張通路418dは、渦列通路18bの側のみが開口され、外側の壁面は閉じられている。
また、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路418d及び吐出通路18cの高さ方向に対向する壁面(図6における上側面と下側面)は、全て同一平面上に設けられている。即ち、主給水通路18a、渦列通路18b、拡張通路418d及び吐出通路18cの高さは全て同一で、一定である。
次に、図11を参照して、本発明の第5実施形態による吐水装置402の作用を説明する。第5実施形態による吐水装置402は、上述した第1実施形態による吐水装置と作用がほぼ同じであるため、本発明の第5実施形態の第1実施形態とは異なる点のみを説明し、同様な部分については同じ参照符号を付して説明を省略する。
図11において、矢印F41に示すように、供給された水は、吐水装置本体8内を通って、各振動発生素子410の素子流入口410bから振動発生素子410に流入する。素子流入口410bに流入した水は、矢印F42に示すように、内側筒体414の流入口414aから主給水通路18aのみに流入する。
各振動発生素子410の主給水通路18aによって導かれた水は、その流路の一部を閉塞するように設けられた衝突部20に衝突する。衝突部20に衝突した水は、矢印F44に示すように、衝突部20の両側の流路を通って下流側に流れる。これにより、衝突部20の下流側には、衝突部20の左右方向両側に交互に反対回りのカルマン渦の渦列(渦C)が形成される。この衝突部20により形成されたカルマン渦は、渦列通路18bによって導かれながら成長し、吐出通路18cに至る。
衝突部20の下流側には渦Cが発生し、その部分で流速が高くなる。この流速の高い部分は衝突部20の両側に交互に表れ、渦列は渦列通路18bの壁面に沿って吐水口410aに向かって進行する。渦列通路18bの端部に到達した水は段部16に衝突し、吐水口410aにおける流速分布に基づいて吐水される方向が曲げられる。
渦列通路18bの両側の側面には、渦列通路18bの主給水通路側端18j側から渦列通路18bの幅方向に渦列通路18bと連通する空間を所定幅A4にわたって形成する拡張通路418dが形成されている。よって、渦列通路18bにおいて渦を成長させながら導く際に、渦Cが受ける壁面摩擦を軽減させることができる。拡張通路418dの前後方向の長さが、流路幅Bよりも大きく、例えば渦列通路18bの主給水通路側端18jから吐出通路側端18kまでの長さL2に形成されるので、渦列通路18bの両側の壁面が低減又はほぼ無くされている。さらに、拡張通路418dは、渦Cが成長できるような拡張領域を付加している。
拡張通路418dが設けられていない場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面から受ける壁面摩擦よりも、拡張通路418dが設けられている場合に渦を含む流れが渦列通路18bの両側の壁面(両側の全体が拡張通路418dとなっている場合には拡張通路418dの両側の壁面418m)から受ける壁面摩擦が減少されている。よって、主給水通路18aに供給される水の流速が比較的低い場合においても、渦列通路18bにおいて渦を形成することができ且つ吐出通路18cを通って吐水される水を往復振動させることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速で行うことができる。さらに、往復振動の吐水を比較的小さい粒径で行うことができる。従って、吐水された水がシンク4により跳ね上げられる水はねを抑制することができる。水はねを抑制することにより、水はねが使用者に当たり使用者に不快感を与えることや、シンク4の周囲を濡らすことを抑制することができる。本実施形態における往復振動の吐水の粒Dの粒径は1.0mm〜2.0mmの範囲内とすることができる。
矢印F45に示すように、水は、拡張通路418d内において、左右方向の内側から外側且つ上流側に向かう回転流を生じさせる。矢印F46に示すように、このような回転流による水流を拡張通路418dの主給水通路側端18g側から、衝突部20により形成された渦Cに引き込むことができる。回転流が流れ込むので渦Cの形成を補助し及び渦Cの成長を促進させることができる。さらに、拡張通路418dを介して供給される水により、交互に反対回りに形成される渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。振動発生素子410の素子流入口410bに供給される水の流速が変化しなくとも、拡張通路418dにより、渦Cの流量及び流速をそれぞれ増加させることができる。交互に形成される渦Cの流速が速くなることで、吐水口410aにおける流速分布の流速差が増大される。これにより、吐水角度をより大きくすることができるため、吐水される水の粒Dの粒径をより小さくすることができる。従って、往復振動の吐水を比較的低流速でより確実に行うことができ、吐水された水の水はねを抑制することができる。
1 キッチンシステム
2 吐水装置
4 シンク
6 カウンタ
8 吐水装置本体
8a 基端部
9 ホース
10 振動発生素子
10a 吐水口
10b 素子流入口
10c 通路
12 通水路形成部材
12a 主通水路
12b 素子挿入孔
12c 基端部
13 外側筒体
14 内側筒体
14a 流入口
16 段部
18a 主給水通路
18b 渦列通路
18c 吐出通路
18d 拡張通路
18e 副給水通路
18f 流入口
18g 主給水通路側端
18h 吐出通路側端
18i 壁面
18j 主給水通路側端
18k 吐出通路側端
20 衝突部
20a 主給水通路入口側端
20b 吐出通路側端
102 吐水装置
110 振動発生素子
110a 吐水口
110b 素子流入口
110c 通路
113 外側筒体
114 内側筒体
114a 流入口
115a 内側部分
115b 外側部分
118d 拡張通路
118e 副給水通路
118f 流入口
202 吐水装置
210 振動発生素子
210a 吐水口
210b 素子流入口
210c 通路
213 外側筒体
214 内側筒体
214a 流入口
218d 拡張通路
218e 副給水通路
218m 壁面
218f 流入口
302 吐水装置
310 振動発生素子
316 テーパー部
402 吐水装置
410 振動発生素子
410a 吐水口
410b 素子流入口
410c 通路
413 外側筒体
414 内側筒体
414a 流入口
418d 拡張通路
418m 壁面
A 所定幅
A1 所定幅
A2 所定幅
A3 所定幅
A4 所定幅
B 流路幅
C 渦
D 粒
W 幅
λ 波長

Claims (7)

  1. 水を往復振動させながら吐水する吐水装置であって、
    吐水装置本体と、
    この吐水装置本体に設けられ、供給された水を往復振動させながら吐水する振動発生素子と、を有し、
    上記振動発生素子は、
    供給された水が流入する第1通路と、
    この第1通路の流路断面の一部を閉塞するように、上記第1通路の下流側端部に配置され、上記第1通路によって導かれた水が衝突することで、その下流側に交互に反対回りの渦を発生させる衝突部と、
    上記第1通路の下流側に設けられ、上記衝突部により形成された渦を導く渦列通路と、
    上記渦列通路によって導かれた水を吐水させる吐出通路と、
    上記渦列通路における上記第1通路側にて上記渦列通路の幅方向に上記渦列通路と連通する空間を所定幅にわたって形成する拡張部と、を備え、
    上記拡張部の上記所定幅は、上記衝突部と上記第1通路の壁面との間の流路幅よりも大きくなるように形成されることを特徴とする吐水装置。
  2. 上記拡張部の前後方向の長さは、上記衝突部と上記第1通路の壁面との間の上記流路幅よりも大きくなるように形成される請求項1記載の吐水装置。
  3. 上記拡張部の前後方向の長さは、上記渦列通路の第1通路側端から吐出通路側端までの長さに形成される請求項1又は2に記載の吐水装置。
  4. さらに、上記衝突部の設けられた部分よりも上流側の流路から上記衝突部の設けられた部分の上記第1通路を迂回して上記拡張部に至る第2通路を備え、上記拡張部には、上記第2通路からの流入口が形成される請求項1乃至3の何れか1項に記載の吐水装置。
  5. 上記拡張部に形成された上記流入口は、上記流入口の上記渦列通路の延びる方向の長さが、上記拡張部における上記渦列通路側における第1通路側端から吐出通路側端までの長さと同じとなるように形成される請求項4記載の吐水装置。
  6. 上記拡張部の上記渦列通路側における第1通路側端は、上記衝突部の第1通路入口側端よりも上記吐出通路側に位置する請求項1乃至5の何れか1項に記載の吐水装置。
  7. 上記拡張部の上記渦列通路側における上記第1通路側端は、上記衝突部の吐出通路側端よりも上記第1通路側に位置する請求項6に記載の吐水装置。
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