JP6399254B2 - 色素材及び色素材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、食品、飲料品、医薬品、化粧品等の着色に適する色素材及びその色素材の製造方法に関する。
食品用色素として、多種多様の赤色色素、黄色色素、青色色素が存在するが、近年、発癌性等の問題から合成着色料が疑問視され、より安全性が高いと思われる天然色素に対する期待が大きくなっている。しかし、天然色素には物性的に一長一短があり、特に色調的に鮮明な赤色・青色色素が少ないのが現状である。
藻類色素のフィコシアニンは鮮明な青色色素であり、フィコエリトリンは鮮明な赤色色素である。これらの藻類色素はタンパク質結合色素である為に、特に熱安定性に劣り、使用できる範囲が狭かった。また、色素製造工程においても、加熱殺菌工程における色素の劣化等の問題があった。
タンパク質結合色素は熱安定性に乏しいため、熱安定性を向上させるべく、種々の賦形剤が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、藻類色素とトレハロースとを必須成分とする水溶液を乾燥することを特徴とする藻類色素材の製造方法が記載されている。トレハロースは、ブドウ糖2分子が結合した非還元性の2糖類で、植物や微生物など自然界に広く存在している糖質である。上記製造方法により得られる、藻類色素とトレハロースを含む藻類色素材には、藻類色素に熱安定性が付与され、上記製造工程における色素回収率の増大および乾燥方法の合理化が可能であることが記載されている。
特開平11−299450号公報
しかし、トレハロースを配合した色素製剤は、吸湿により変質しやすく、また水溶解性が悪いなど粉末色素使用時の取扱い上の問題が存在する。そこで、熱安定性に優れ、かつ物性が改善された材料が求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、熱安定性及び取扱い性に優れた色素材、並びにその色素材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、タンパク質系色素に加えて、さらにキレート剤を含有させた色素材が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の色素材及び色素材の製造方法は、以下の特徴を有する。
(1)タンパク質系色素と、キレート剤とを含有する色素材であって、
前記色素材の固形分100質量%に対し、前記タンパク質系色素の含有割合が1質量%以上90質量%以下であり、前記キレート剤の含有割合が10質量%以上99質量%以下であることを特徴とする色素材。
(2)タンパク質系色素と、キレート剤とを含有する色素材であって、
色価が4以上540以下であり、前記色素材の固形分100質量%に対し、前記キレート剤の含有割合が10質量%以上99質量%以下であることを特徴とする色素材。
(3)前記キレート剤が、2以上のカルボキシ基を有する化合物を含む、前記(1)又は(2)に記載の色素材。
(4)前記キレート剤が、クエン酸、リンゴ酸、及びエチレンジアミン四酢酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の色素材。
(5)前記タンパク質系色素が、フィコビリタンパク質を含む、前記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の色素材。
(6)前記フィコビリタンパク質が、フィコシアニンを含む、前記(5)に記載の色素材。
(7)前記色素材の固形分100質量%に対する、前記タンパク質系色素と、キレート剤との合計割合が60〜100質量%である前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の色素材。
(8)前記色素材の固形分100質量%に対し、トレハロースの含有割合が20質量%以下である前記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の色素材。
(9)水分含量が15質量%以下である前記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の色素材。
(10)粉体である前記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の色素材。
(11)タンパク質系色素、キレート剤、及び溶媒を含む色素組成物を乾燥させる乾燥工程を有する、前記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の色素材の製造方法。
(12)前記乾燥の方法が噴霧乾燥である、前記(11)に記載の色素材の製造方法。
本発明によれば、熱安定性に優れ、取扱い性に優れた色素材、及びその色素材の製造方法を提供できる。
実施例において得られた、色素材粉末の吸湿性の結果を示す画像である。 実施例において得られた、色素材粉末の熱安定性の結果を示すグラフである。 実施例において得られた、色素材粉末の吸湿性の結果を示す画像である。 実施例において得られた、色素材粉末の水溶解性の結果を示すグラフである。 実施例において得られた、色素材粉末の吸湿性の結果を示す画像である。
<色素材>
以下、好適な実施の形態に基づき、本発明を説明する。
実施形態の色素材は、タンパク質系色素と、キレート剤とを含有する色素材であって、
前記色素材の固形分100質量%に対し、前記タンパク質系色素の含有割合が1質量%以上90質量%以下であり、前記キレート剤の含有割合が10質量%以上99質量%以下である。
(タンパク質系色素)
「タンパク質系色素」とは、タンパク質からなる色素、又はタンパク質を有する色素である。タンパク質を有するとは、タンパク質以外の成分とタンパク質とが結合しているタンパク質結合色素が挙げられる。当該結合は、共有結合であってよく、非共有結合であってもよい。
タンパク質系色素としては、クロロフィル-タンパク質複合体、カロテノイド-タンパク質複合体、フィコビリン-タンパク質複合体(フィコビリタンパク質)等が挙げられる。
タンパク質系色素は、クロロフィル-タンパク質複合体、カロテノイド-タンパク質複合体、及びフィコビリタンパク質からなる群から選ばれる一つ以上の化合物であってよい。
タンパク質系色素はテトラピロール環又は開環テトラピロールの構造を有してもよい。
実施形態の色素材が含有する、タンパク質系色素として、上記に挙げたもののなかでは、フィコビリタンパク質が好ましい。実施形態のタンパク質系色素は、フィコビリタンパク質を含んでもよい。タンパク質系色素は、フィコビリタンパク質を主成分として含んでもよい。ここで主成分として含有するとは、タンパク質系色素の固形分100質量%に対しフィコビリタンパク質が50質量%以上100質量%以下含まれていることをいい、70質量%以上98質量%以下含まれていてもよく、90質量%以上95質量%未満含まれていてもよい。
本明細書中において、色素としてのフィコビリタンパク質とは、アポタンパク質(タンパク質部分)にフィコビリン色素(非タンパク質部分)が共有結合した状態のものをいう。フィコビリタンパク質と結合したフィコビリン色素は、非常に鮮明な色を呈するが、高熱等にさらされてタンパク質部分が変性すると、フィコビリン色素が退色してしまう。そこで、フィコビリタンパク質を含み、退色の生じ難い色素材が求められる。
フィコビリタンパク質としては、アロフィコシアニン、フィコシアニン、フィコエリスロシアニン、フィコエリスリンが挙げられる。フィコシアニンは、C−フィコシアニンであってもよく、R−フィコシアニンであってもよい。実施形態のタンパク質系色素は、フィコシアニンを含んでもよい。タンパク質系色素は、フィコシアニンを主成分として含んでもよい。ここで主成分として含有するとは、タンパク質系色素の固形分100質量%に対しフィコシアニンが50質量%以上100質量%以下含まれていることをいい、70質量%以上98質量%以下含まれていてもよい。
フィコビリタンパク質は藻類から得られる藻類色素であることが好ましく、藍藻類から得られる藍藻色素であることがより好ましい。
藍藻類(Cyanobacteria)としては、アルスロスピラ(Arthrospira)属、スピルリナ(Spirulina)属、スイゼンジノリ(Aphanothece)属等が挙げられる。従来一括してスピルリナ属と呼称されていたアルスロスピラ属(Arthrospira)及びスピルリナ属(Spirulina)に属する微細な単細胞微生物は、「スピルリナ」と通称されており、その具体例としては、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)、アルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima)、アルスロスピラ・ゲイトレリ(Arthrospira geitleri)、アルスロスピラ・サイアミーゼ(Arthrospira siamese)、スピルリナ・メイヤー(Spirulina major)、スピルリナ・サブサルサ(Spirulina subsalsa)、等が挙げられる。中でも、人工的に培養でき、入手が容易なことから、アルスロスピラ・プラテンシス、アルスロスピラ・マキシマ、アルスロスピラ・ゲイトレリ、アルスロスピラ・サイアミーゼが好ましい。
前記タンパク質系色素は、アルスロスピラ属又はスピルリナ属に属する藍藻(以下「スピルリナ」ということがある。)のフィコビリタンパク質を主成分として含有するスピルリナ色素であってよい。ここで主成分として含有するとは、スピルリナ色素の固形分100質量%に対しフィコビリタンパク質が50質量%以上100質量%以下含まれていることをいい、70質量%以上98質量%以下含まれていてもよく、90質量%以上95質量%未満含まれていてもよい。
前記タンパク質系色素は、アルスロスピラ属又はスピルリナ属に属する藍藻から得られるフィコシアニンであることが好ましい。フィコシアニンは天然のものであってもよく、青色又は青色以外の色を呈し、天然のフィコシアニンと同等の機能を有するものであれば、人工的につくられたフィコシアニンであってもよい。
アルスロスピラ属又はスピルリナ属に属する藍藻からのフィコシアニンの取得方法は特に限定されるものではないが、例えば、スピルリナから緩衝液に抽出させる方法により抽出でき、一例として、文献(特開昭52−134058号公報)に記載の方法により取得できる。
(キレート剤)
「キレート剤」とは、金属イオンとともにキレート錯体を形成し得る特性を有する化合物である。実施形態において、キレート剤がタンパク質系色素の構成物質と直接に結びついて、キレート化合物を形成するかどうかは定かではない。しかし非常に意外なことに、本発明者らは、タンパク質系色素に加えて、キレート剤を含有させた色素材が、熱安定性に優れることを見出した。
前記キレート剤としては、クエン酸、リンゴ酸、及びエチレンジアミン四酢酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含むことが好ましい。
塩としては、例えば、Na塩、K塩、Mg塩、Zn塩等が挙げられ、Na塩が好ましい。
クエン酸の塩としては、クエン酸三ナトリウムが挙げられる。リンゴ酸の塩としては、リンゴ酸二ナトリウムが挙げられる。エチレンジアミン四酢酸の塩としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウムが挙げられる。
発明者らは、後述する実施例において示すように、クエン酸、リンゴ酸、及びエチレンジアミン四酢酸の塩に、タンパク質系色素の熱安定性を向上させる作用があることを見出した。
これらのクエン酸、リンゴ酸、及びエチレンジアミン四酢酸に共通する官能基としてカルボキシ基が挙げられる。よって、前記キレート剤としては、2以上のカルボキシ基を有する化合物を含むことが挙げられる。キレート剤の有するカルボキシ基の数は、2個以上6個以下であってもよく、2個以上4個以下であってもよく、2個以上3個以下であってもよく、2個であってもよい。
(成分割合について)
実施形態の色素材の「固形分」とは、色素材中から、水等の揮発する物質を除いた不揮発分のことを指す。色素材に含まれる固形分として、タンパク質系色素、キレート剤が挙げられる。
実施形態の色素材の固形分100質量%におけるタンパク質系色素の割合は、1質量%以上90質量%以下であり、5質量%以上90質量%以下であってよく、10質量%以上80質量%以下であってよく、15質量%以上70質量%以下であってよく、20質量%以上60質量%以下であってもよく、25質量%以上50質量%以下であってもよく、25質量%以上35質量%以下であってもよい。
固形分100質量%におけるタンパク質系色素の割合が上記範囲内にある色素材は、色素材としての着色効果が良好に発揮される。
実施形態の色素材の固形分100質量%におけるキレート剤の割合は、10質量%以上99質量%以下であり、10質量%以上95質量%以下であってよく、20質量%以上90質量%以下であってよく、30質量%以上85質量%以下であってよく、40質量%以上80質量%以下であってもよく、50質量%以上75質量%以下であってもよく、55質量%以上70質量%以下であってもよい。
固形分100質量%におけるキレート剤の割合が上記範囲内にある色素材は、熱安定性が良好に発揮される。
色素材は、固形分として、タンパク質系色素、キレート剤以外に、さらにこれらに該当しないその他の成分を含有してもよい。固形分として、色素材が含有するその他の成分としては、例えば、賦形剤、防腐剤、各種ビタミン類、各種ミネラル類、前記藻類に由来するタンパク質系色素以外の物質、前記藻類の培地成分に由来する物質が挙げられる。
一実施形態として、実施形態の色素材は、タンパク質系色素及びキレート剤と、上記の一種以上の成分との合計が、固形分としての合計が100質量%を超えない範囲で含有する。
前記色素材の固形分100質量%に対する、前記タンパク質系色素と、キレート剤との合計割合は、60質量%以上100質量%以下であってよく、60質量%以上98質量%以下であってよく、70質量%以上95質量%以下であってよく、80質量%以上93質量%以下であってよく、85質量%以上92質量%以下であってよい。
固形分100質量%に対する前記タンパク質系色素と、キレート剤との合計割合が上記範囲内にある色素材は、タンパク質系色素とキレート剤以外のその他の成分量が低減されており、質量あたりの着色効果及び/又は熱安定性に優れる。また、その他の成分に対して生じる輸送コスト等の削減にもつながる。
例えば従来、糖、糖アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含む色素材が知られている。従来の色素材では、これらの化合物が多量に含まれている場合があった。対して、本発明の一実施形態に係る色素材は、これらの化合物を多量に含まなくとも、タンパク質系色素の熱安定性を良好なものとできる。
実施形態の色素材の固形分100質量%に対し、糖、糖アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物の含有割合は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。また、実施形態の色素材の固形分は、糖、糖アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を、実質的に含まなくともよい。
固形分100質量%に対する糖、糖アルコール、及び多価アルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物の含有割合が上記範囲内にある色素材は、吸湿性が低く、多湿環境での保存性に優れる。
従来、トレハロースを含む色素材が知られている。従来の色素材では、トレハロースが多量に含まれている場合があった。対して一実施形態の色素材は、トレハロースを多量に含まなくとも、タンパク質系色素の熱安定性を良好なものとできる。
実施形態の色素材の固形分100質量%に対し、トレハロースの含有割合は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。また、実施形態の色素材の固形分は、トレハロースを、実質的に含まなくともよい。
固形分100質量%に対するトレハロースの含有割合が上記範囲内にある色素材は、吸湿性が低く、多湿環境での保存性に優れる。
実施形態の色素材における、「タンパク質系色素の質量/キレート剤の質量」で示される、タンパク質系色素とキレート剤との質量比は、0.007以上7以下の範囲であってよく、0.08以上3以下の範囲であってよく、0.2以上2以下の範囲であってよく、0.21以下の範囲であってよく、0.3以上0.7未満の範囲であってよい。
タンパク質系色素とキレート剤との質量比が上記範囲内にある色素材は、着色効果と熱安定性がバランスよく発揮され好ましい。
色素材の固形分100質量%におけるタンパク質系色素の割合(質量%)は、公知の分析方法・測定方法により得られる。色素材の固形分100質量%におけるキレート剤の割合(質量%)は、公知の分析方法・測定方法により得られる。
例えば、色素材のタンパク質系色素の質量は、色素材を溶媒に溶かした色素材溶液の吸光度に基づき測定できる。一般的に知られるタンパク質系色素では、溶液中でのタンパク質系色素の極大吸収波長とタンパク質系色素の濃度%(w/v)との関係が知られており、色素材溶液の極大吸収波長での吸光度に基づき、色素材中のタンパク質系色素の割合(質量%)を求めることができる。例えば、文献(Yoshikawa, N. and Belay, A. (2008)“Single-laboratory validation of a method for the determination of c-phycocyanin and allophycocyanin in spirulina (arthrospira) supplements and raw materials by spectrophotometry” Journal of Aoac International VOL. 91, 524-529 )で示される方法に従って、極大吸収波長の吸光度の値から試料中のC−フィコシアニン(cPC)濃度(g/L)、及びアロフィコシアニン(aPC)の濃度(g/L)を求めることができる。ここでの色素材溶液中のcPCの極大吸収波長は、620nmであり、色素材溶液中のaPCの極大吸収波長は、650nmである。スピルリナのフィコシアニンは、cPCとaPCを足したものとすることができる。
例えば、試料中のcPCの濃度は、下記式により求められる。
cPC(mg/mL)=0.162×OD620−0.098×OD650
例えば、試料中のaPCの濃度は、下記式により求められる。
aPC(mg/mL)=0.180×OD650−0.042×OD620
実施形態の色素材中の色素含有量は、色価によって表すことができる。
実施形態の色素材は、タンパク質系色素と、キレート剤とを含有する色素材であって、色価が4以上540以下であり、前記色素材の固形分100質量%に対し、前記キレート剤の含有割合が10質量%以上99質量%以下である。
例えば、アルスロスピラ属又はスピルリナ属に属する藍藻からは、極大吸収波長が618nmであり、測定波長618nmにおける色価が400以上600以下の粉末色素を得ることができる。実施形態の色素材は、色素材の固形分100質量%に対しさらにキレート剤を10質量%以上99質量%以下含有し、その他の部分が上記粉末色素であるとすると、この場合の実施形態の色素材の色価は、例えば、4(4=400−400×0.99)〜540(540=600−600×0.1)であってよい。
実施形態の色素材の色価は、4以上540以下であってよく、20以上540以下であってよく、40以上480以下であってよく、60以上420以下であってよく、80以上360以下であってよく、100以上300以下であってよく、120以上250以下であってよく、160以上200以下であってよい。
(色価)
本明細書中において、「色価」とは、第8版食品添加物公定書(厚生労働省)の「色価測定法」の項目に記載の方法に準拠して求められる数値である。色価は、着色料溶液の可視部での極大吸収波長における吸光度を測定し、10w/v%溶液の吸光度に換算した数値(10%E)で表す。
試料(色素材)に、溶媒約10mLを加えて溶かし、更に溶媒を加えて正確に100mLとし、試料溶液とする。溶媒は、McIlvaine緩衝液(pH6.0)を用いる。
この試料溶液を吸光度測定用の検液とする。検液は、測定吸光度が0.3〜0.7の範囲に入るよう調整するものとする。検液を調製した溶媒を対照とし、測定波長で液層の長さ1cmでの吸光度Aを測定し、下記式により求めることができる(式中のFは、検液における試料の希釈倍率を表す)。
溶媒として用いられるMcIlvaine緩衝液(pH6.0)は、例えば、0.2mol/LのNaHPOを12.63mLと、0.1mol/Lのクエン酸を7.37mLとの量比で2液混合して得ることができる。
測定波長は、試料溶液の極大吸収波長に応じて適宜定めればよい。例えば、試料溶液に含まれる色素のうち、以下のタンパク質系色素が主成分として含有されている場合の、各測定波長を例示する。
フィコシアニンが主成分:610〜630nm
フィコエリトリンが主成分:550〜570nm
アロフィコシアニンが主成分:640〜660nm
<色素材の特性について>
(熱安定性)
実施形態の色素材は、乾熱処理前と乾熱処理後とでの各色素材間の色価(10%E:固形分濃度10%(w/v)当たりの吸光度)の、下記式により求められる変化率(色素残存率)が、75%以上であってもよく、80%以上であってもよく、85%以上であってもよい。乾熱処理前と乾熱処理後の色素材の色価(10%E)は、水分含量20質量%以下の乾燥状態の色素材に対し、105℃に設定した乾燥器内にて16時間保存することにより乾熱処理を行い、乾熱処理前及び乾熱処理後の各色素材を、分光分析に適する範囲の濃度となるようMcIlvaine緩衝液(pH6.0)に溶解して色素溶液を得て、該色素溶液の色素の極大吸収波長(例えば618nm)における、色価として求められる。
色素残存率(%)=乾熱処理後の色価÷乾熱処理前の色価×100
前記色素残存率は、75%以上90%以下であってもよく、80%以上90%以下であってもよく、85%以上90%以下であってもよい。
(吸湿性)
水分含量15質量%以下の乾燥状態の色素材を、常圧、乾燥温度105℃、乾燥時間2時間で乾燥させた後、色素材を40℃、相対湿度75%下にて2時間保存して色素材に水分を吸湿させた色素材の性状が、粉状であることが好ましい。
(吸湿率)
水分含量15質量%以下の乾燥状態の色素材を、常圧、乾燥温度105℃、乾燥時間2時間で乾燥させた後、40℃、相対湿度75%下にて2時間保存して色素材粉末に水分を吸湿させ、下記式により求められる吸湿率の値が20質量%未満であってもよく、18%以下であってもよく、17%以下であってもよい。
吸湿率(%)=(吸湿後の色素材の質量−乾燥後の色素材の質量)/乾燥後の色素材の質量×100
前記吸湿率は、5%以上20%未満であってもよく、10%以上18%以下であってもよく、10%以上17%以下であってもよい。
(水溶解性)
水分含量15質量%以下の乾燥状態の色素材を、終濃度15%(w/w)となるよう、25℃の水100mLに添加し、スターラーにより回転速度600rpmで撹拌し、色素材が水に溶解するまでに要する溶解時間が、20分以下であってもよく、15分以下であってもよく、10分以下であってもよい。
前記溶解時間は、1分以上20分以下であってもよく、3分以上15分以下であってもよく、5分以上10分以下であってもよい。
色素材が水に溶解したことは、目視により色素材の粉末が確認できなくなったこと、または、該色素水溶液の色素の極大吸収波長(例えば、618nm)における吸光度を測定することにより確認できる。
このとき、色素材は凍結乾燥の処理を経て製造されたものであってもよく、噴霧乾燥の処理を経て製造されたものであってもよい。凍結乾燥によって、色素材の水溶解性が高まる。係る観点からは、色素材は、凍結乾燥の処理を経て製造されたものが好ましい。一方、噴霧乾燥では、大量の素材を乾燥できるため色素材の大量生産に適するが、噴霧乾燥の処理を経て製造された色素材は、水溶解性が低い傾向にある。大量に生産可能で低コストであり、実施形態の色素材の高い水溶解性の効果がより有効に発揮されるという観点からは、色素材は噴霧乾燥の処理を経て製造されたものが好ましい。
(水分含量)
実施形態の色素材の水分含量は、20質量%以下であってもよく、15質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよい。
水分含量は、色素材を、常圧、乾燥温度105℃、乾燥時間4時間で乾燥させ、下記式により求められる。
水分含量(%)=(乾燥前の色素材の質量−乾燥後の色素材の質量)/乾燥前の色素材の質量×100
前記水分含量は、0.1質量%以上20質量%以下であってもよく、1質量%以上15質量%以下であってもよく、2質量%以上10質量%以下であってもよく、3質量%以上5質量%以下であってもよい。
水分含量が上記範囲内にある色素材は、粉状となりやすく、保存性にも優れ、良好な熱安定性が発揮されるため好ましい。
(性状)
実施形態の色素材は、粉体であることが好ましい。粉体であることは、粉状であることと同一の意味である。なお、色素材が粉体である場合、色素材の平均粒径は、一例として、1μm以上400μm以下であってもよく、5μm以上200μm以下であってもよく、10μm以上50μm以下であってもよい。平均粒径は、体積基準の累積分布により求められたメジアン径d50である。粒子径は、例えばレーザー回折・散乱法により測定できる。
<用途>
実施形態の色素材は、アイスクリーム、ソフトクリーム、ケーキ、ババロア、羊羹、ゼリー、ガム、グミ、チョコレート等の菓子類やパン類;そば、うどん、素麺等の麺類;豆腐、蒲鉾、はんぺん等の各種食品類;抹茶飲料、緑茶飲料、牛乳飲料、豆乳飲料、野菜飲料、果実飲料、清涼飲料水等の飲料類;錠剤等の医薬品や化粧品への添加に好適である。
また、単独での着色に好適であるが、その他の色素材との複合形態で提供されてもよい。
その他の色素材としては、ベニバナ黄、クチナシ黄、抹茶や緑茶のほか、大麦若葉、ケール、桑、笹、モロヘイヤ、クロレラ、青しそ、ブロッコリー、ほうれん草、ピーマン、明日葉等の緑色粉末が挙げられる。
実施形態の色素材によれば、タンパク質系色素と、キレート剤とを所定の割合で含有することにより、熱安定性に優れ、取扱い性に優れたものとできる。
<色素材の製造方法>
実施形態の色素材の製造方法は、タンパク質系色素、キレート剤、及び溶媒を含む色素組成物を乾燥させる乾燥工程を有する。
すなわち、前記色素組成物は、実施形態の色素材が含有していてもよい前記固形分と、溶媒と、を混合して得ることができる。色素組成物が含む固形分中の成分割合と、得られる色素材が含む固形分中の成分割合とは同一となる。色素組成物中の前記固形分中の成分割合を調節することで、色素材中の前記固形分中の成分割合を調節可能である。
固形分としては、上記の<色素材>において例示したものが挙げられ、説明を省略する。
溶媒の種類は、色素タンパク質及びキレート剤の種類に応じて、適宜選択することができるが、溶媒としては、少なくともタンパク質系色素およびキレート剤を溶解可能なものが挙げられ、水が好適である。
溶媒及び色素組成物の温度は、色素タンパク質及びキレート剤の種類に応じて、適宜設定すればよく、一例として0℃以上50℃以下である。
色素組成物の乾燥方法は、公知の乾燥方法を採用でき、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥等を例示できる。これらの乾燥法のなかでは、大量に生産可能で低コストであり、実施形態の色素材の高い水溶解性の効果がより有効に発揮されるという観点から、工業的には噴霧乾燥が好ましい。
色素組成物を乾燥させることで、色素組成物に含まれる溶媒が揮発し、色素組成物から溶媒が取り除かれ、色素材が得られる。ここで、色素組成物からは全ての溶媒が取り除かれる必要は無い。例えば、溶媒が水であってもよいので、例えば、上記色素材の水分含量として例示した範囲で溶媒を含むよう、溶媒が取り除かれる場合を例示できる。
タンパク質系色素、キレート剤を溶媒に溶解させ、それを乾燥させることで、タンパク質系色素へ付与されるキレート剤による熱安定性の効果が良好となる。
実施形態の色素材の製造方法は、前記乾燥工程で得られた色素材を熱処理する乾熱処理工程をさらに有していてもよい。乾熱処理の条件としては、100℃以上130℃以下で1時間以上30時間以下程度が挙げられる。
実施形態の色素材の製造方法によれば、実施形態の色素材を得ることができる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<色素材>
本実施例で用いたスピルリナ色素とは、藍藻類のスピルリナ(アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis))から抽出され、精製されたスピルリナ色素粉末(色素粉末100質量%中、タンパク質系色素含量:約75質量%、フィコシアニン含量:約75質量%(c−フィコシアニン58.5質量%、アロフィコシアニン16.5質量%)、色価:485)である。
<吸湿性の評価>
本実施例に示す吸湿性の評価結果は、以下の測定により行った。
色素材粉末を、それぞれ、乾燥温度105℃、乾燥時間2時間で乾燥させた後、色素材粉末を40℃、相対湿度75%下にて2時間保存して色素材粉末に水分を吸湿させ、各色素材粉末の性状を確認した。
<吸湿率の評価>
本実施例に示す吸湿率の評価結果は、以下の測定により行った。
色素材粉末を、それぞれ、乾燥温度105℃、乾燥時間2時間で乾燥させた。次いで、40℃、相対湿度75%下にて2時間保存して色素材粉末に水分を吸湿させ、各色素材粉末の吸湿率を測定した。
吸湿率は、以下の式により求めた。
吸湿率(%)=(吸湿後の色素材粉末の質量−乾燥後の色素材粉末の質量)/乾燥後の色素材粉末の質量×100
また、乾燥後の色素材粉末は、色素材の固形分に相当する。
<水溶解性の評価>
本実施例に示す水溶解性の評価結果は、以下の測定により行った。
色素材粉末を、それぞれ、終濃度15%(w/w)となるよう、25℃の水100mLに添加し、スターラーにより回転速度600rpmで撹拌し、色素材粉末が水に溶解するまでに要する溶解時間を計測した。
<熱安定性の評価>
本実施例に示す熱安定性の評価結果は、以下の測定により行った。
色素材粉末を、それぞれ、105℃に設定した乾燥器内にて16時間保存することにより乾熱処理を行った。乾熱処理前及び乾熱処理後の各色素材粉末を、分光分析に適する範囲の濃度となるようMcIlvaine緩衝液(pH6.0)に溶解して色素溶液を得て、該色素溶液の色素の極大吸収波長(618nm)における色価(10%E:固形分濃度10%当たりの吸光度)の変化率(色素残存率)を求めた。
色素残存率は、以下の式により求めた。
色素残存率(%)=乾熱処理後の色価÷乾熱処理前の色価×100
[実施例1]
スピルリナ色素及びクエン酸3Naを、各配合比が40%(w/w)、60%(w/w)となるように水に溶解し、噴霧乾燥法により粉末化し、実施例1の色素材粉末を得た。
[比較例1]
スピルリナ色素及びトレハロースとクエン酸3Naを、各配合比が40%(w/w)、55%(w/w)、5%(w/w)となるように水に溶解し、噴霧乾燥法により粉末化し、比較例1の色素材粉末を得た。
(吸湿性)
上記で得られた実施例1及び比較例1の色素材粉末について吸湿率及び吸湿性を評価した。
結果を表1及び図1に示す。図1は、実施例1及び比較例1の色素材粉末の、吸湿前(0時間)と吸湿後(2時間)の状態を示す写真である。
クエン酸3Naを含有する実施例1の色素材粉末の吸湿率は16質量%であった。対して、トレハロースを含有する比較例1の色素材粉末の吸湿率は21質量%であった。また、実施例1の色素材粉末は2時間の吸湿後であっても、吸湿前と同様の粉体状態を保っていた。一方、比較例1の色素材粉末は、2時間の吸湿後には色素材全体が塊を形成し、粉体状態は保たれなかった。
これらの結果から、クエン酸3Naを含有する実施例1の色素材粉末は、トレハロースを含有する比較例1の色素材粉末に比べて、耐吸湿性に優れており、粉体状態が保たれやすく、取扱い性に優れることが明らかとなった。実施例1の色素材粉末は、高温・高湿度環境における保存性に優れることが明らかとなった。
(水溶解性)
上記で得られた実施例1及び比較例1の色素材粉末について水溶解性を評価した。
結果を表1に示す。実施例1の色素材粉末の溶解時間は10分であったのに対し、比較例1の色素材粉末の溶解時間は35分であった。
これらの結果から、クエン酸3Naを含有する実施例1の色素材粉末は、トレハロースを含有する比較例1の色素材粉末に比べて、水溶解性に優れており、取扱い性に優れることが明らかとなった。
(熱安定性)
上記で得られた実施例1及び比較例1の色素材粉末について熱安定性を評価した。
結果を表1に示す。実施例1の色素材粉末の色素残存率は86%であり、比較例1の色素材粉末の色素残存率は90%であった。
これらの結果から、クエン酸3Naを含有する実施例1の色素材粉末は、トレハロースを含有する比較例1の色素材粉末と同等に、優れた熱安定性を有することが明らかとなった。
<熱安定性とクエン酸3Naの配合比の検討>
[比較例2、実施例2〜10]
スピルリナ色素とクエン酸3Naとの配合比が、表2に示すとおり0〜90%となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、実施例2〜10の色素材粉末を得た。
[比較例3〜12]
スピルリナ色素とデキストリン(物質名:デキストリン、製造元:松谷化学工業(株)、製品名:パインデックス#2)との配合比が、表3に示すとおり0〜90%となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、比較例3〜12の色素材粉末を得た。
(熱安定性)
上記で得られた比較例2、実施例2〜10、及び比較例3〜12の色素材粉末について熱安定性を評価した。
結果を表2、表3及び図2に示す。図2は、比較例2、実施例2〜10、及び比較例3〜12の色素材粉末の、色素残存率を示すグラフである。
これらの結果から、クエン酸3Na(Cit)を含有する実施例2〜10の色素材粉末は、クエン酸3Naを含有しない比較例2の色素材粉末と比較して、優れた熱安定性を有することが明らかとなった。
また、クエン酸3Na(Cit)を含有する実施例2〜10の色素材粉末は、デキストリン(Dex)を含有する比較例3〜12の色素材粉末と比較して、優れた熱安定性を有することが明らかとなった。
実施例2〜10の色素材粉末では、スピルリナ色素に対するクエン酸3Naの割合が高まるほど、熱安定性を向上可能であることが分かった。
<熱安定性とキレート剤の検討>
[実施例11〜13]
スピルリナ色素と表4に示す各種キレート剤とを、各配合比が40%(w/w)、60%(w/w)となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、実施例11〜13の色素材粉末を得た。
スピルリナ色素を水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、比較例13の色素材粉末を得た。
スピルリナ色素と表5に示す各種糖類又は塩類とを、各配合比が40%(w/w)、60%(w/w)となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、比較例14〜21の色素材粉末を得た。
表5に表記の糖類及び塩類は、以下のとおりである。
・Mal:マルチトール
・Suc:ショ糖
・Asc:アスコルビン酸Na
・NaP:リン酸水素2Na
(他は名称・化学式のとおり)
(熱安定性)
上記で得られた実施例11〜13、及び比較例13〜21の色素材粉末について熱安定性を評価した。
結果を表4及び表5に示す。これらの結果から、キレート剤(Cit,Malic,EDTA)を含有する色素材粉末(実施例11〜13)では85%以上の高い色素残存率が得られたことが判明した。
表5に示すその他の糖類又は塩類を含有する色素材粉末(比較例14〜21)では、これらを配合しない場合(比較例13)と変わらない色素残存率であった。
<吸湿性と配合比の検討・水溶解性と配合比の検討>
[実施例14〜18]
スピルリナ色素とクエン酸3Naの配合比を、表6に示すとおり10〜90%となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、実施例14〜18の色素材粉末を得た。
[比較例22〜27]
スピルリナ色素とトレハロースの配合比を、表7に示すとおり0〜90%となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、比較例22〜27の色素材粉末を得た。
(吸湿性)
上記で得られた実施例14〜18及び比較例22〜27の色素材粉末について吸湿性を評価した。
結果を図3に示す。図3は、実施例14〜18及び比較例22〜27の色素材粉末の、吸湿後(2時間)の状態を示す写真である。
クエン酸3Naを含有する実施例14〜18の色素材粉末は、2時間の吸湿後であっても、吸湿前と同様の粉体状態を保っていた。実施例18では、やや粉のフロック化が観察されたが、もろくくずれやすいため、粉体状態を維持することが可能であった。
トレハロース等の賦形剤を含有しない、又はトレハロースを含有する比較例22〜24の色素材粉末については、2時間の吸湿後に粉体状態が維持されていた。
一方、比較例25〜26の色素材粉末については、2時間の吸湿後に色素材の一部がゴム状の塊を形成した。比較例27の色素材粉末は、2時間の吸湿後に色素材全体が溶融して固化した。
これらの結果から、クエン酸3Naを含有する実施例14〜18の色素材粉末は、色素材粉末におけるクエン酸3Naの比率が非常に高い場合でも、高温・高湿度環境において粉体状態を維持可能であることが示された。
(水溶解性)
上記で得られた実施例14〜18及び比較例22〜27の色素材粉末について水溶解性を評価した。
結果を表6、表7、及び図4に示す。図4は、実施例14〜18及び比較例22〜27の色素材粉末の、前記溶解時間を示すグラフである。
実施例14〜18の色素材粉末は、クエン酸3Naの含有割合10〜90%(w/w)の範囲のいずれにおいても、トレハロースを含有する比較例22〜27の色素材粉末と比較して、溶解時間が短く、水溶解性が改善されていた。
<吸湿性とキレート剤の検討>
[比較例28、実施例19〜20]
スピルリナ色素と、トレハロース又は各種キレート剤とを、表8に示す各配合比となるように水に溶解し、凍結乾燥法により粉末化し、比較例28、実施例19〜20の色素材粉末を得た。
(吸湿性)
上記で得られた比較例28および実施例19〜20色素材粉末について、吸湿性を評価した。
結果を図5に示す。図5は、比較例28および実施例19〜20の色素材粉末の、吸湿前および吸湿後の状態を示す写真である。実施例19及び実施例20の色素材粉末は2時間の吸湿後であっても、吸湿前と同様の粉体状態を保っていた。一方、比較例28の色素材粉末は、2時間の吸湿後には色素材全体が塊を形成し、粉体状態は保たれなかった。
これらの結果から、キレート剤(クエン酸3Na,リンゴ酸2Na)を含有する実施例19〜20の色素材粉末は、トレハロースを含有する比較例28の色素材粉末と比較して、耐吸湿性に優れており、粉体状態が保たれやすく、取扱い性に優れることが明らかとなった。実施例19〜20の色素材粉末は、高温・高湿度環境における保存性に優れることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. タンパク質系色素と、キレート剤とを含有する色素材であって、
    前記タンパク質系色素が、フィコビリタンパク質を含み、
    前記キレート剤が、2以上のカルボキシル基を有する化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含み、
    前記色素材の固形分100質量%に対し、前記タンパク質系色素の含有割合が1質量%以上90質量%以下であり、前記キレート剤の含有割合が10質量%以上99質量%以下であることを特徴とする色素材。
  2. タンパク質系色素と、キレート剤とを含有する色素材であって、
    前記タンパク質系色素が、フィコビリタンパク質を含み、
    前記キレート剤が、2以上のカルボキシル基を有する化合物及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含み、
    色価が4以上540以下であり、前記色素材の固形分100質量%に対し、前記キレート剤の含有割合が10質量%以上99質量%以下であることを特徴とする色素材。
  3. 前記キレート剤が、クエン酸、リンゴ酸、及びエチレンジアミン四酢酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項1又は2に記載の色素材。
  4. 前記フィコビリタンパク質が、フィコシアニンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素材。
  5. 前記色素材の固形分100質量%に対する、前記タンパク質系色素と、キレート剤との合計割合が60質量%以上100質量%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の色素材。
  6. 前記色素材の固形分100質量%に対し、トレハロースの含有割合が20質量%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の色素材。
  7. 水分含量が15質量%以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の色素材。
  8. 粉体である請求項1〜のいずれか一項に記載の色素材。
  9. タンパク質系色素、キレート剤、及び溶媒を含む色素組成物を乾燥させる乾燥工程を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の色素材の製造方法。
  10. 前記乾燥の方法が噴霧乾燥である、請求項に記載の色素材の製造方法。
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