JP2007211053A - 青色色素、青色のコラーゲンまたはゼラチンおよびそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】青色色素が青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、アミノカーボネート系の金属キレート剤を含有する溶液または酸性溶液によって抽出される。青色のコラーゲンまたはゼラチンが青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によって抽出される。
【選択図】なし
Description
他の本発明に係る青色色素は、青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によって抽出されることを特徴とする。
他の本発明に係る青色色素の製造方法は、青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によって青色色素を抽出することを特徴とする。
本発明に係る青色のコラーゲンまたはゼラチンの製造方法は、青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によってコラーゲンまたはゼラチンを抽出することを特徴とする。
青色色素の製造に使用する青背魚類には、イワシ類、サバ類、コハダ、ホッケなどが利用可能であるが、サンマが最も望ましい。用いる部位は、鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上であるが、鱗が望ましい。本発明によって得られる青色色素は、サンマの胆汁酸色素として知られているビリベルジンのタンパク質結合体であることが想定される。青色色素は胆汁酸色素結合体の分泌によるものであると予想されることから、鱗のほか、皮、表層粘液、ひれなど、主に鱗や皮に近い部位を利用することが好ましい。
本発明に係る青色色素の色をマンセル記号で表すと、一例で、6.84BG 9.91/0.97である。
(1)限外濾過膜による分子量分画では、分子量5〜10万の範囲にある物質に由来する。
(2)サンマ等の魚類から得られる青色はビリベルジンに由来するものと言われているが、ビルベリジンは分子量655.28である低分子化合物であり、本発明に係る青色色素はビルベリジンがタンパク質と結合した高分子の状態で抽出されていると予想される。
(4)pH4以下の酸性条件下でも沈澱、退色をすることがなく、酸性条件下で高い安定性を有する。少なくともpH9以下であれば色調は維持される。
(5)0.5モル/リットルのEDTAを含む0.05モル/リットルリン酸緩衝液(pH7.5)中では、常温、遮光しない室内で、少なくとも2ヶ月間安定である。
(6)65℃の加熱では、少なくとも30分以上色調は維持されるが、75℃以上かつ5分以上の加熱条件では黄色に変化する。
抽出に用いられる酸性溶液は、有機酸、鉱酸のいずれでもよいが、後工程の乾燥工程に、抽出工程の後に直接供することができるよう、揮発性の酢酸、塩酸であることが望ましい。酸性溶液は、pH1.0〜4.0に調整したものが望ましいが、他の酸性条件であってもよい。pHが上記範囲より低いときにはゼラチン化し、上記範囲より高い場合には収量低下を生ずるので望ましくない。
抽出温度は0〜30℃が望ましく、0〜5℃が特に望ましい。抽出工程では、24〜48時間、望ましくは36〜48時間浸漬して、酸可溶性コラーゲンを抽出することが好ましい。抽出は攪拌しながら行うことが望ましい。酸可溶性の青色コラーゲン溶液は、上記の抽出混合液から、ろ過または遠心分離等の手段により不溶物を除去することにより、得ることができる。
本発明に係る青色のコラーゲンまたはゼラチンの色をマンセル記号で表すと、一例で、1.27B 8.88/1.56である。
サンマを水揚げしたときや、工場でサンマを加工したときには、大量の鱗の廃棄物が発生する。本発明によれば、従来、廃棄物として処理されていた鱗を資源として有効活用することができる。
サンマ鱗を原料として、アミノカーボネート系金属キレート剤を含む緩衝液によって抽出される青色色素の製造方法を以下に記載する。
新鮮なサンマの鱗8g(湿重量)を、160ミリリットルの10%食塩水中に投じ、攪拌、沈殿、上清除去の工程を3回繰り返し、洗浄を行った。最終的には、JIS第2種のろ紙上で鱗を回収した。洗浄後の鱗には、200ミリリットルの0.5モル/リットルのエチレンジアミン四酢酸(以下EDTAと略す)を含む0.05モル/リットルリン酸緩衝液(pH7.5)を加え、5℃で一晩抽出を行った。抽出液をJIS第2種のろ紙上でろ過して不溶物を除去し、約200ミリリットルの青色色素溶液を得た。
200ミリリットルの青色色素溶液を−20℃で凍結し、凍結乾燥に供して、青色色素粉末20gを得た。
サンマ鱗を原料として、酸性溶液によって抽出される青色色素の製造方法を以下に記載する。
サンマ鱗8g(湿重量)の洗浄ならびに回収を、実施例1に記載した方法と同様に行った。洗浄後の鱗には、200ミリリットル0.5モル/リットルの酢酸溶液を加え、4〜5℃の温度条件下で24時間振盪し、上澄み液を濾過操作により分離除去し、約200ミリリットルの青色色素溶液を得た。
得られた溶液を−20℃で凍結し、凍結乾燥に供して、青色色素粉末1.5gを得た。
サンマ鱗を原料とした、酸可溶性の青色コラーゲンの製造方法を下記に記載する。
サンマ鱗100gを約5℃の水で水洗し夾雑物を除いた後、10%塩化ナトリウム水溶液2リットルに入れ、4〜5℃の温度条件下で24時間振盪し、上澄み液を濾過操作により分離除去した。このようにして得られた洗浄魚鱗に、0.5モルの酢酸水溶液600ミリリットルを加え、4〜5℃の温度条件下で48時間振盪抽出し、上澄み液を濾過操作により分離して、酸可溶性青色魚鱗コラーゲンの溶液約1.5リットルを得た。
実施例1に記載された製造方法によって得られた青色色素の特性について、以下のとおり調べた。
青色色素溶液を表1に示した限外ろ過膜に高分子量側から順次通し、色素が通過しなくなる膜の分画分子量から分子量範囲を推測した。この結果、青色色素は、分子量10万は通過するが5万は通過せず、分子量5万〜10万の高分子物質であることが推測された。想定原因物質であるビリベルジンは、魚体中では蛋白結合体として存在していると言われている。実施例1で得られた青色色素も、蛋白結合体として抽出されていることが予想された。表1に、本試験によって得られた結果を示した。
青色色素溶液の波長吸収特性を分光光度計により測定した結果、380nmおよび640nm付近に2つの極大吸収を持っていた。
抽出時の緩衝液のpH、および金属キレート剤種の特性の濃度と抽出液の呈色について検討した。すなわち、上記に記載された製造方法において、0.5モル/リットルのエチレンジアミン四酢酸を含む0.05モル/リットルリン酸緩衝液(pH7.5)の代わりに表2に示す溶液を用いて抽出を行ったときの呈色度の色調を判定した。その結果を表2に示す。この結果、青色色素は、少なくともpH6.0以上の条件では、EDTA、DTA、NTAといったアミノカーボネート系の色素を望ましくは0.05モル/リットル以上の濃度で含むことを必須とする。しかしpH3以下の酸性条件では金属キレート剤を必ずしも必要としないことが示された。表2に、抽出時の緩衝液のpH、ならびに金属キレート剤種による特性を示した。
各種の抽出溶液にて抽出された青色色素溶液を、室温下で遮光することのない室内に1ヶ月放置し、青色の呈色程度を観察した。その結果を表3に示す。青色の呈色は、少なくともEDTAを0.5モル/リットル含むpH6.0以上の緩衝液で抽出、保存した場合に安定であった。表3に、青色色素溶液の保存安定特性を示す。
実施例1に記載の方法で、0.5モル/リットルのEDTAを含む0.05モル/リットルリン酸緩衝液(pH7.5)の代わりに、0.5モル/リットルのエチレンジアミン4酢酸4ナトリウムを含む0.05モル/リットルトリス(pH7.5)を用いて製造した青色色素溶液について、加熱安定性を検討した。
実施例1に記載の方法で、0.5モル/リットルのEDTAを含む0.05モル/リットルリン酸緩衝液(pH7.5)の代わりに、0.5モル/リットルのエチレンジアミン4酢酸4ナトリウムを含む0.05モル/リットルトリス(pH7.5)を用いて製造した青色色素溶液について、pH安定性を検討した。
Claims (7)
- 青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、アミノカーボネート系の金属キレート剤を含有する溶液によって抽出されることを特徴とする青色色素。
- 青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によって抽出されることを特徴とする青色色素。
- 青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、アミノカーボネート系の金属キレート剤を含有する溶液によって青色色素を抽出することを特徴とする青色色素の製造方法。
- 青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によって青色色素を抽出することを特徴とする青色色素の製造方法。
- 青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によって抽出されることを特徴とする青色のコラーゲンまたはゼラチン。
- 青背魚類の鱗、皮、表層粘液およびひれのうちの1種または2種以上を原料とし、酸性溶液によってコラーゲンまたはゼラチンを抽出することを特徴とする青色のコラーゲンまたはゼラチンの製造方法。
- 請求項1または2記載の青色色素を着色料として含むことを特徴とする食品・内服薬・食品添加物その他の経口物、入浴剤、化粧品、おもちゃまたは衣類。
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