JP6398242B2 - 樹脂組成物及びそれを用いたフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光学特性、耐熱性、熱安定性および溶融加工性に優れた、樹脂組成物及びそれを用いたフィルムに関する。
近年、光学レンズ、光学フィルム、光学記録媒体といった光学系に使用される光学用透明樹脂の需要が増大している。
その中でも特に、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに代表される薄型の平面パネルディスプレイ(FPD)の普及が顕著であることから、視野角による位相差変化を補償するための視野角拡大フィルム、位相差の波長分散性を補償する逆波長分散フィルム(短波長になるほど位相差が小さくなる負の波長分散性を示すフィルム)、反射防止層としての1/4波長板など、各種の光学フィルムが開発され、利用されている。
例えば、従来から光学用透明樹脂として使用されている芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル等からなるフィルムは、光弾性係数が大きいために微小な応力変化により位相差変化が生じるといった問題があるため、透明性、耐熱性に優れ、光弾性係数の小さい脂環式ポリオレフィンからなる視野角拡大フィルムが提案されている(特許文献1)。
その一方で、芳香族化合物の耐熱性や光学的異方性を積極的に利用した光学用透明樹脂も多数報告されている。その代表例として、フルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂からなる延伸フィルムが挙げられる。この延伸フィルムは、フルオレン骨格の含有量を特定の範囲に制御したポリカーボネート樹脂を延伸することで得られ、逆波長分散性を示すことから、逆波長分散フィルム、1/4波長板として提案されている(特許文献2,3)。その他の芳香族化合物を有する光学用透明樹脂としては、ナフタレン骨格を用いた光弾性係数の小さいポリカーボネート樹脂(特許文献4)や光学レンズ用途向けの高屈折率のポリエステル樹脂(特許文献5)、フェナントレン骨格を用いた耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂(特許文献6)が種々の光学材料用途として提案されている。
特開2004−309979号公報 国際公開2000/026705号パンフレット 国際公開第2011/149073号パンフレット 国際公開第2012/102224号パンフレット 特開2012−162590号公報 国際公開第2008/016161号パンフレット
FPDの分野の発展は目覚しく、種々の特性を兼ね備えることが求められるようになっている。例えば、逆波長分散フィルムや1/4波長板に用いられる材料としては、光弾性係数が低く、所望の逆波長分散性が得られる優れた光学特性を有しつつ、十分な耐熱性と溶融加工性を兼ね備えた材料が求められている。
特許文献1記載の脂環式ポリオレフィンからなる視野角拡大フィルムは、耐熱性に優れ、光弾性係数は低いが、位相差が一定で、波長分散性がなく、逆波長分散フィルムや、広帯域(例えば、可視光領域の400nm〜700nm)において、位相差が1/4波長となるような広帯域1/4波長板としては用いることができない。
それに対して、特許文献2や3のフルオレン骨格を有するポリカーボネート樹脂からなる延伸フィルムは逆波長分散フィルムや1/4波長板に適した逆波長分散性を与えることが知られている。しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献2の9,9−ビス[4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−フルオレンを用いた樹脂や、特許文献3の9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−フルオレンを用いた樹脂が所望の逆波長分散性を発現するためには、フルオレン骨格を有する構造の質量分率が高いため、共重合による分子設計の自由度が低く、耐熱性や溶融加工性、光学物性などの改良が困難であった。そのため、1/4波長板により適した材料が求められているものの、フルオレン骨格より優れた材料は、これまで知られていない。
一方、1/4波長板以外の光学材料においては、ナフタレン骨格を持つポリカーボネート樹脂やポリエステル樹脂、フェナントレン骨格を持つポリカーボネート樹脂に関する特許文献4、5及び6が開示されている。しかしながら、逆波長分散フィルムや1/4波長板として重要な位相差の波長分散性についての記載がなく、それらの特性を有しているかどうかについては不明である。
さらに、1/4波長板以外の光学材料においては、高い耐熱性と透明性を有するビスフェノール類などの芳香族化合物を多く含むポリカーボネート樹脂などが汎用されているが、これらの樹脂からなる延伸フィルムの多くが、強い正の波長分散性を示すことが知られているため、1/4波長板に用いるためには、逆波長分散性を示す繰り返し単位を併用し、かつ、その繰り返し単位の割合を高く設定する必要がある。さらに、芳香族化合物を多く含む樹脂では、溶融加工性が悪い上に、光弾性係数も高いことが知られている。
そのため、種々の特性を兼ね備えた材料を得るためには、樹脂中の割合が低くても逆波長分散性などの所望の光学特性を効率よく発現する繰り返し単位を用いることで、樹脂設計の自由度を高め、さらに、所望の光学特性を損なわず、耐熱性、溶融加工性などの諸物性を調整することが重要である。
本発明者は、上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、ケトン基を有する2価の芳香族基の特定の繰り返し単位を有する延伸フィルムがフルオレン骨格を有する繰り返し単位を有する延伸フィルムより少量の使用で逆波長分散性が発現することを見出した。さらに、ケトン基を有する2価の芳香族基の特定の繰り返し単位と非芳香族基の特定の繰り返し単位を組み合わせて用い、非芳香族基の繰り返し単位の含有割合を特定範囲にする、又は、ケトン基を有する2価の芳香族基の特定の繰り返し単位以外の2価の芳香族性の基の含有割合を特定範囲にすることで、さらに少量の使用で所望の逆波長分散性が得られることから、樹脂組成の自由度を高めることができることを明らかにした。また、この樹脂組成物をフィルム成型した際に、光弾性係数が低く、かつ、十分な耐熱性と溶融加工性を兼ね備えることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は以下を要旨とする。
[1] 下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体からなる、又は該重合体を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合が50モル%以上であることを特徴とする樹脂組成物。
Figure 0006398242
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり、R3は、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、Xは芳香環が縮環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造を表し、pは0以上の整数値を示し、qは0〜4の整数値を示し、rは0〜4の整数値を示す。ただし、pが2以上である場合、各R1は同一であっても異なっていてもよく、qが2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0006398242
(式中、R10は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基、又は置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造若しくはヘテロ原子を含む環状構造を持つ基を示す。)
[2] 下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体からなる又は該重合体を含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対する2価の芳香族性の基の繰り返し単位(ただし、下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の構造単位を除く)の含有割合が50モル%未満であることを特徴とする樹脂組成物。
Figure 0006398242
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり、R3は、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、Xは芳香環が縮環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造を表し、pは0以上の整数値を示し、qは0〜4の整数値を示し、rは0〜4の整数値を示す。ただし、pが2以上である場合、各R1は同一であっても異なっていてもよく、qが2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 0006398242
(式中、R10は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基、又は置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造若しくはヘテロ原子を含む環状構造を持つ基を示す。)
[3] 前記樹脂組成物に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合が10モル%以上であることを特徴とする[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位として、下記式(1A)〜(1C)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 0006398242
(式中、r1は0〜4の整数値を示し、p1は0〜6の整数値を示し、R1、R2、R3及びqは、前記一般式(1)と同じである。)
Figure 0006398242
(式中、r2は0〜4の整数値を示し、p2は0〜8の整数値を示し、R1、R2、R3及びqは、前記一般式(1)と同じである。)
Figure 0006398242
(式中、r3は0〜4の整数値を示し、p3は0〜8の整数値を示し、R1、R2、R3及びqは、前記一般式(1)と同じである。)
[5] 前記一般式(1A)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位において、r1が0であることを特徴とする[4]に記載の樹脂組成物。
[6] 前記一般式(1B)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位において、r2が1であることを特徴とする[4]に記載の樹脂組成物。
[7] 前記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が、下記式(3)〜(7)から選ばれる少なくとも1種の2価の非芳香族基の繰り返し単位であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
(上記式(4)中、R11は置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基を示す。)
Figure 0006398242
(上記式(5)中、R12は置換されていてもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基を示す。)
Figure 0006398242
(上記式(6)中、R13は置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示し、sは1〜20の整数である。)
Figure 0006398242
(上記式(7)中、R16は置換されていてもよい炭素数2〜20のアセタール環を有する基を示す。)
[8] 前記樹脂組成物に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合%が95モル%以下であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 正の屈折率異方性を有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[10] 波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(Re550)の比が下記式(8)を満足することを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂組成物。
0.5 < Re450/Re550 < 1.0 (8)
[11] 塩素原子の含有量が100質量ppm以下であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[12] 前記重合体がポリカーボネートである[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] 前記重合体が、ジヒドロキシ化合物と下記一般式(9)で表される炭酸ジエステルとを溶融重縮合して得られることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 0006398242
(式中、A5およびA6は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基であり、A5とA6とは同一であっても異なっていてもよい。)
[14] Na、K、Cs及びFeの含有量の合計が3質量ppm以下であることを特徴とする[13]に記載の樹脂組成物。
[15] 前記一般式(9)で表される炭酸ジエステルより生成するモノヒドロキシ化合物の含有量が1500質量ppm以下であることを特徴とする[13]又は[14]に記載の樹脂組成物。
[16] [1]〜[15]のいずれかに記載の樹脂組成物を製膜してなることを特徴とするフィルム。
[17] [16]に記載のフィルムを少なくとも一方向に延伸して得られることを特徴とする延伸フィルム。
[18] [17]に記載の延伸フィルムを用いることを特徴とする逆波長分散フィルム。
[19] [18]に記載の逆波長分散フィルムを用いることを特徴とする1/4波長板。
本発明の樹脂組成物は、少量の使用で所望の逆波長分散性が得られ、フィルム成型した際に、光弾性係数が低く、さらには耐熱性と溶融加工性を兼ね備えていることから、光学用途、特に逆波長分散フィルムや1/4波長板用の材料として有用である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。本発明において、「重量」は「質量」と同義である。また、本発明の樹脂組成物には、本発明の樹脂組成物中に含まれる重合体の製造時に生成する各種化合物を含有するものや、本発明の樹脂組成物中に含まれる重合体に各種添加剤などを配合したものも含まれる。
<1.樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体からなる、又は該重合体を含有する樹脂組成物であって、以下の(i)及び/又は(ii)を満足するものである。
(i) 樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合が50モル%以上である。
(ii) 樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対する2価の芳香族性の基の繰り返し単位(ただし、下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除く)の含有割合が50モル%未満である。
Figure 0006398242
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり、R3は、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、Xは芳香環が縮環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造を表し、pは0以上の整数値を示し、qは0〜4の整数値を示し、rは0〜4の整数値を示す。ただし、pが2 以上である場合、各R1は同一であっても異なっていてもよく、qが2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0006398242
式中、R10は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基、又は置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造若しくはへテロ原子を含む環状構造を持つ基を示す。
本発明の樹脂組成物は、前記(i)及び/又は(ii)を満足することにより、効率よく所望の逆波長分散性が発現し、この樹脂組成物をフィルム成型した際に、光弾性係数が低く、かつ、十分な耐熱性と溶融加工性を兼ね備える傾向がある。
<1−1.樹脂組成物を得るための方法>
本発明の樹脂組成物を得るための方法としては何ら限定されないが、例えば、以下の方法A又は方法Bのいずれかを用いたり、方法Aと方法Bとを組み合わせて用いたりすることができる。
方法A:重合体として、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の両方を含有する共重合体を用いる方法、
方法B:重合体として、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を有する重合体の他に、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体を共存在させた重合体共存在物を用いる方法
これらの中で、得られる樹脂組成物の透明性や均一性の観点から、方法Aを用いること、又は方法Aと方法Bを組み合わせて用いることが好ましい。
これらの方法において、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位は単一種類のものを用いてもよく、上記一般式(1)の範囲内の複数種類の2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)の範囲内の複数種類の非芳香族基の繰り返し単位を組み合わせて用いてもよい。
本発明において繰り返し単位とは、重合体において任意の連結基に挟まれた部分構造を示す。重合体の末端部分で一方が連結基であり、もう一方が重合反応性基である部分構造も含む。
<1−1−1.方法A>
本発明の樹脂組成物を得るための方法Aとは、重合体として、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の、少なくとも2種類以上の2価の基の繰り返し単位を有する共重合体を用いる方法である。
方法Aにおいて、一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位としては、後述の<2.芳香族基>にて例示した繰り返し単位を好ましく採用することができる。さらに、一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位としては、後述の<3.非芳香族基>にて例示した繰り返し単位を好ましく採用することができる。
方法Aにおいて、本発明の樹脂組成物は、重合体として、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の、少なくとも2種類以上の2価の基の繰り返し単位を有する共重合体を含んでいればよく、該共重合体以外の任意の重合体を含有していてもよい。さらに、前記共重合体は、上記一般式(1)及び上記一般式(2)以外の2価の有機基の繰り返し単位(ただし、後述の連結基を除く)を含有していてもよい。
方法Aにおいて、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位は、後述する光学物性が発現する範囲内であれば、前記共重合体中に任意の質量分率で含まれていてよく、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位は、後述する光学物性を発現させ、溶融加工性や機械強度を保つために、前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して50質量%未満であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の好ましい含有量は、前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して5質量%以上80質量%以下、より好ましくは10質量%以上70質量%以下、更に好ましくは15質量%以上65質量%以下、特に好ましくは20質量%以上60質量%以下である。また、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の好ましい含有量は、前記共重合体全体の質量に対して20質量%以上95質量%以下、より好ましくは30質量%以上90質量%以下、更に好ましくは35質量%以上85質量%以下、特に好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の好ましい含有量は、前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは含有されないことである。
方法Aにおいて、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位は、後述する光学物性が発現する範囲内であれば、前記共重合体中に任意のモル分率で含まれていてよく、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位は、後述する光学物性を発現させ、溶融加工性や機械強度を保つために、前記共重合体全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して50モル%未満であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の好ましいモル分率は、前記共重合体全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して1モル%以上70モル%以下、より好ましくは2モル%以上60モル%以下、更に好ましくは5モル%以上50モル%以下、特に好ましくは10モル%以上45モル%以下である。また、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の好ましいモル分率は、前記共重合体全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して10モル%以上95モル%以下、より好ましくは20モル%以上90モル%以下、更に好ましくは30モル%以上85モル%以下、特に好ましくは40モル%以上80モル%以下である。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の好ましい含有量は、前記共重合体全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、より更に好ましくは10モル%以下、特に好ましくは含有されないことである。
上記範囲よりも上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位が多いと、光弾性係数が大きくなる上、屈折率異方性が小さくなる場合があり、さらに所望とする逆波長分散性が得られない場合がある上、フィルム成形した際に、十分な機械強度が得られない場合があり、少ないと逆波長分散性が発現しづらくなる場合がある。また、上記範囲よりも上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が多いと逆波長分散性が発現しづらくなる場合があり、少ないと光弾性係数が大きくなる上、屈折率異方性が小さくなる場合がある。さらに、上記範囲よりも上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位が多いと、光弾性係数が大きくなる上、屈折率異方性が小さくなる場合があり、さらに所望とする逆波長分散性が得られない場合がある上、フィルム成形した際に、十分な機械強度が得られない場合がある。
<1−1−2.方法B>
本発明の樹脂組成物を得るための方法Bとは、重合体として、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を有する重合体の他に、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体を共存在させた重合体共存在物を用いる方法である。
ここで、共存在させるとは、樹脂組成物の中に2種以上の重合体が存在していることを意味し、その手法は問わないが、2種以上の重合体を溶液の状態、または溶融の状態で混合する方法、1つ以上の重合体を含む溶液中または溶融液中で重合を進行させる方法などが挙げられる。
方法Bにおいて、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位としては、後述の<2.芳香族基>にて例示した繰り返し単位を好ましく採用することができる。さらに、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位としては、後述の<3.非芳香族基>にて例示した繰り返し単位を好ましく採用することができる。
また、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を有する重合体は、上記一般式(1)以外の2価の有機基の繰り返し単位(ただし、後述の連結基を除く)を有するものであってもよく、一方で、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体は、上記一般式(2)以外の2価の有機基の繰り返し単位(ただし、後述の連結基を除く)を有するものであってもよい。
方法Bにおいて、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位は、後述する光学物性が発現する範囲内であれば、前記樹脂組成物中に任意の質量分率で含まれていてよく、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位は、後述する光学物性を発現させ、溶融加工性や機械強度を保つために、前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して50質量%未満であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の好ましい含有量は、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して5質量%以上80質量%以下、より好ましくは10質量%以上70質量%以下、更に好ましくは15質量%以上65質量%以下、特に好ましくは20質量%以上60質量%以下である。
また、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の好ましい含有量は、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して20質量%以上95質量%以下、より好ましくは30質量%以上90質量%以下、更に好ましくは35質量%以上85質量%以下、特に好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の好ましい含有量は、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位の質量に対して40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは含有されないことである。
方法Bにおいて、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位は、後述する光学物性が発現する範囲内であれば、前記樹脂組成物中に任意のモル分率で含まれていてよく、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位は、後述する光学物性を発現させ、溶融加工性や機械強度を保つために、前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して50モル%未満であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の好ましいモル分率は、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して1モル%以上70モル%以下、より好ましくは2モル%以上60モル%以下、更に好ましくは5モル%以上50モル%以下、特に好ましくは10モル%以上45モル%以下である。
また、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の好ましいモル分率は、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して10モル%以上95モル%以下、より好ましくは20モル%以上90モル%以下、更に好ましくは30モル%以上85モル%以下、特に好ましくは40モル%以上80モル%以下である。
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の好ましい含有量は、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下、より更に好ましくは10モル%以下、特に好ましくは含有されないことである。
上記範囲よりも上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位が多いと、光弾性係数が大きくなる上、屈折率異方性が小さくなる場合があり、さらに所望とする逆波長分散性が得られない場合がある上、フィルム成形した際に、十分な機械強度が得られない場合があり、少ないと逆波長分散性が発現しづらくなる場合がある。また、上記範囲よりも上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が多いと逆波長分散性が発現しづらくなる場合があり、少ないと光弾性係数が大きくなる上、屈折率異方性が小さくなる場合がある。さらに、上記範囲よりも上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位が多いと、光弾性係数が大きくなる上、屈折率異方性が小さくなる場合があり、さらに所望とする逆波長分散性が得られない場合がある上、フィルム成形した際に、十分な機械強度が得られない場合がある。
上述した方法Bの場合、本発明の樹脂組成物は、例えば、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を有する重合体と上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体をブレンドすることにより得られる。さらに、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を有する重合体と上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体以外の任意の重合体及び/又は化合物をブレンドしてもよい。
<1−2.重合体>
すなわち、本発明の樹脂組成物に含有される重合体は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有するものであるが、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が任意の連結基により連結した共重合体であってもよい。なお、前記重合体はさらに、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位以外の任意の繰り返し単位を含み、該繰り返し単位が任意の連結基により連結されているものであってもよい。このなかでも樹脂組成物に必要とされる光学特性及び物性の範囲に制御するため、重合体として、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位、及び任意の繰り返し単位が、任意の連結基により連結した共重合体を用いることが好ましい。
上述のように、重合体は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が、任意の連結基で連結されたものであってもよい。この場合、1種類の連結基を単独で用いてもよく、複数種類の連結基を併用して用いてもよい。連結基で連結された重合体として具体的には、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテル、ポリスルホン構造を含む重合体及びそれら複数の併用物が挙げられ、好ましくは、一般に透明性の高いポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、エポキシ樹脂構造を含む重合体であり、より好ましくは、耐熱性と溶融加工性や機械物性とのバランスに優れるポリエステル、ポリカーボネート構造を含む重合体、特に好ましくはポリカーボネート構造を含む重合体である。
ここで、複数の連結基を併用する具体例としては、ポリエステルカーボネート、カーボネート結合を有するポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリエステルイミド等が挙げられ、これらの中で好ましくは、耐熱性と溶融加工性や機械物性とのバランスに優れるポリエステルカーボネートである。
本明細書中において、カーボネート結合を有する重合体をポリカーボネートと呼び、カーボネート結合のみを連結基として有する重合体の他、ポリエステルカーボネート(エステル結合とカーボネート結合を有する重合体)、カーボネート結合を有するポリウレタン等も含まれる。
<1−3.連結基>
上記重合体において用いられる連結基の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[A]群に示される連結基
Figure 0006398242
(上記[A]群に示される各連結基において、Zは上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位、及び任意の繰り返し単位が連結する部位を示す。)であり、これらの連結基のうち複数種を併用してもよい。また、連結基が非対称である場合、連結基は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位に対して、任意の向きで連結してよい。これらのうち好ましくは、耐熱性と溶融加工性や機械物性とのバランスに優れるポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネートを構成する、下記[B]群に示される連結基である。
Figure 0006398242
(上記[B]群に示される各連結基において、Zは上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位、及び任意の繰り返し単位が連結する部位を示す。)
<1−4.重合体ブレンド>
前述の方法A及び方法Bにおいて、本発明の樹脂組成物は上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体以外に、任意の重合体を含んでいてもよい。任意の重合体としては、光学性能が良好で、溶融製膜や溶液キャスト製膜ができる熱可塑性樹脂がより好ましい。より具体的には例えば、重縮合系ポリマー、オレフィン系ポリマー、付加重合系ポリマーがあげられ、重縮合系ポリマーが好ましい。重縮合系ポリマーとしては、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、等があげられ、中でもポリエステル及びポリカーボネートが好ましい。
より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のオレフィン系ポリマー;ビスフェノールA、ビスフェノールZ、イソソルビド等由来の繰り返し単位を有するポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンジメチレンシクロヘキサンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等由来の繰り返し単位を有するポリエステル等が挙げられ、これらのうち2種以上の重合体を併用していてもよい。
ここで、ポリカーボネートは、カーボネート結合のみを連結基として有する重合体の他、ポリエステルカーボネート(エステル結合とカーボネート結合を有する重合体)、ポリエーテル結合を有するジオールからなるカーボネート、カーボネート結合を有するポリウレタン等も含む。
本発明の樹脂組成物に含有されてもよい任意の重合体は、本発明の樹脂組成物中に任意の比率で含有されていてもよく、好ましくは樹脂組成物質量に対して50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。含有量が多いと上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の比率が相対的に低下し、必要な物性を得ることが困難となる場合がある。
本発明の樹脂組成物をフィルム成形した場合、フィルムが光学的に透明であることが好ましいため、ブレンドされる重合体は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体と屈折率が近いものや、相溶性を有する組み合わせを選択するのが好ましい。
<1−5.屈折率異方性>
本発明の樹脂組成物は正の屈折率異方性を示すことが好ましい。屈折率異方性は正負のどちらであっても、後述の<1−6.位相差比>に記載の条件を満足することで、逆波長分散フィルムとして用いることができる。ここで、負の屈折率異方性を有する逆波長分散フィルムを得るには、大きな負の屈折率異方性と小さな波長分散性を有する繰り返し単位が必要となるが、このような材料は知られておらず、負の屈折率異方性を有する逆波長分散フィルムを得ることは困難である。そのため、本発明の樹脂組成物は正の屈折率異方性を有することが好ましい。さらに、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位は、短波長ほど屈折率異方性が小さい(負に大きい)特性を有しているため、この2価の芳香族基の繰り返し単位を有する逆波長分散フィルムは、短波長ほど屈折率異方性が小さいことで逆波長分散性が発現する、正の屈折率異方性を有する樹脂組成物である必要がある。ここで、「本発明の樹脂組成物は、正の屈折率異方性を示す」とは、延伸フィルムに成型した際に、以下の測定条件において正の屈折率異方性を示すことを意味する。また「負の屈折率異方性」についても同様に定義される。
本発明の屈折率異方性は次の方法で測定される。熱プレス機にて樹脂組成物をプレスし、フィルムを作成する。そのフィルムを所定のサイズに切り出して、自由端一軸延伸して延伸フィルムを作成する。位相差測定装置(王子計測機器社製KOBRA−WPR)を用いて、この延伸フィルムの位相差を測定する。延伸方向に対して、正の位相差が発現する場合、この樹脂組成物は正の屈折率異方性を示すことになり、負の位相差が発現する場合、この樹脂組成物は負の屈折率異方性を示すことになる。詳細な測定条件は例えば、後述する条件が例示される。
<1−6.位相差比>
本発明の樹脂組成物は、波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(Re550)の比、すなわち位相差比が下記式(8)を満足することが好ましい。前記位相差比は逆波長分散性の指標であり、下記式(8)を満足することは逆波長分散性を示すことを意味する。
0.5 < Re450/Re550 < 1.0 (8)
ここで、「本発明の樹脂組成物は、位相差比が上記式(8)を満足する」とは、延伸フィルムに成形した際に、以下の測定条件において波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(Re550)の比が上記式(8)を満足することを意味する。
位相差比は次の方法で測定される。熱プレス機にて樹脂組成物をプレスし、フィルムを作成する。そのフィルムを所定のサイズに切り出して、自由端一軸延伸して延伸フィルムを作成する。位相差測定装置(王子計測機器社製KOBRA−WPR)を用いて、この延伸フィルムの波長450nmでの位相差(Re450)と波長550nmでの位相差(Re550)を測定する。延伸方向に対して、位相差比(Re450/Re550)が上記式(8)を満足する場合、この樹脂組成物は逆波長分散フィルムとして働く。詳細な測定条件は例えば、後述する条件が例示される。
本発明の樹脂組成物は、位相差比(Re450/Re550)が、0.65以上0.95以下であることが好ましく、0.75以上0.93以下であることがより好ましく、さらに0.80以上0.92以下がより好ましく、特に0.85以上0.91以下が好ましい。
位相差比(Re450/Re550)の値が上記範囲であれば、長波長ほど高い位相差が発現し、可視領域の各波長において理想的な位相差特性を得ることができる傾向がある。例えば1/4波長板としてこのような波長依存性を有する本発明の逆波長分散フィルムを偏光板と貼り合わせることにより、円偏光板等を作製することができ、あらゆる波長において外光反射防止機能を有する黒色性に優れた1/4波長板及び画像表示装置の実現が可能である。一方、位相差比(Re450/Re550)の値が上記範囲外の場合には、波長による色抜けが大きくなり、1/4波長板や画像表示装置に着色の問題が生じる場合がある。
<1−7.ガラス転移温度>
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度は100℃以上、170℃以下であることが好ましい。さらに好ましくは110℃以上、160℃以下であり、特に好ましくは120℃以上、140℃以下である。この範囲を下回ると、使用環境下において、光学物性が設計値から変化してしまうおそれがあり、実用的に必要な耐熱性を満たさない可能性がある。この範囲を上回ると、樹脂組成物の溶融加工性が低下し、良好な外観や寸法精度の高い成形体が得られない可能性がある。また、この範囲を上回ると、耐熱性が高すぎてしまい、その反面、機械物性は低下するため、樹脂組成物が脆くなって、加工性や成形体の取り扱い性が悪化する場合があることが考えられる。
<1−8.溶融粘度>
本発明の樹脂組成物の溶融粘度は、測定温度240℃、剪断速度91.2sec-1において、500Pa・s以上、5000Pa・s以下であることが好ましい。さらに好ましくは800Pa・s以上、4500Pa・s以下であり、特に好ましくは1000Pa・s以上、4000Pa・s以下である。この範囲を下回ると、実用に耐えうる機械物性が得られない可能性がある。また、後述する溶融製膜法に適切な溶融粘度範囲から外れてしまう可能性がある。この範囲を上回ると、前記のガラス転移温度が高すぎる場合と同様に、成形性が悪化する可能性がある。
<1−9.光弾性係数>
本発明の樹脂組成物の光弾性係数は40×10-12Pa-1以下であることが好ましい。さらに好ましくは35×10-12Pa-1以下であり、特に好ましくは30×10-12Pa-1以下である。光弾性係数が高くなると、大型の成形品に使用する場合や、成形品を折り曲げたりする場合に、応力が発生する部分において、材料の複屈折が変化し、光学物性の均一性が損なわれる可能性がある。
<1−10.複屈折>
本発明の樹脂組成物は、フィルムにした際に、550nmにおける複屈折が0.001以上であることが好ましい。後述のように本発明の樹脂組成物を用いて成形するフィルムの厚みを非常に薄く設計するためには、複屈折が高い方が好ましい。従って、550nmにおける複屈折は0.002以上であることが更に好ましく、特に0.0025以上であることが好ましい。550nmにおける複屈折が前記下限値未満の場合には、フィルムの厚みを過度に大きくする必要があるため、製膜材料の使用量が増え、厚み・透明性・位相差の点から均質性の制御が困難となる傾向がある。そのため、550nmにおける複屈折が前記下限値未満の場合には、精密性・薄型・均質性を求められる機器に適合できない可能性がある。
複屈折は、位相差をフィルム厚で割ったものであるので、位相差測定装置(王子計測機器社製KOBRA−WPR)を用いてフィルムの位相差を測定し、フィルム厚を測定することで求めることができる。
<1−11.塩素含有量>
本発明の樹脂組成物中の塩素含有割合は、塩素原子の質量として100質量ppm以下であることが好ましい。さらには10質量ppm以下であることが好ましい。塩素成分の含有量が多い場合、ポリマーの熱安定性を低下させるおそれがある。
<1−12.分子量>
本発明の樹脂組成物の分子量は、還元粘度で表すことができる。本発明の樹脂組成物の還元粘度は、後掲の実施例の項に記載されるように、溶媒として塩化メチレンを用い、高分子濃度を0.6g/dLに精密に調整し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。本発明の樹脂組成物の還元粘度に特に制限は無いが、好ましくは0.30dL/g以上であり、より好ましくは0.35dL/g以上である。還元粘度の上限は、好ましくは1.20dL/g以下、より好ましくは0.60dL/g以下、更に好ましくは0.50dL/g以下である。
<2.芳香族基>
本発明の樹脂組成物にかかる重合体は、下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を有するものである。
Figure 0006398242
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり、R3は、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、Xは芳香環が縮環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造を表し、pは0以上の整数値を示し、qは0〜4の整数値を示し、rは0〜4の整数値を示す。ただし、pが2 以上である場合、各R1、R2は同一であっても異なっていてもよく、qが2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。)
<2−1.Xの具体例>
Xにおいて、「芳香環が縮環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[C]群に示されるような環状ケトン構造が挙げられる。ここでいう「縮環」とは、2個以上の環が2個またはそれ以上の原子を共有して結合していることを示し、「2つのフェニル基が結合した炭素」とは、R2基を有する2つのベンゼン環が結合した環状ケトン構造を形成する炭素のことである。
Figure 0006398242
これらの中で好ましいXは、下記[D]群に示されるような構造が挙げられる。これらは、工業的に入手可能なアセナフテンキノン、フェナントレンキノン、及びアントラキノンから誘導される。
Figure 0006398242
<2−2.置換基の具体例>
1及びR2において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基」における「炭素数1〜10のアルキル基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル、n−デシルなどの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2−エチルヘキシル基などの分岐鎖を含むアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの環状のアルキル基が挙げられる。
その炭素数は好ましくは4以下であり、より好ましくは2以下である。この範囲内であると、立体障害が生じにくく、環状ケトン構造に起因する所望の光学特性が得やすい傾向がある。
前記炭素数1〜10のアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、メトキシメチル基などが挙げられる。
1及びR2において「置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基」における「炭素数4〜10のアリール基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;2−ピリジル基、2−チエニル基、2−フリル基などのヘテロアリール基が挙げられる。
その炭素数は好ましくは8以下であり、より好ましくは7以下である。この範囲内であると、立体障害が生じにくく、環状ケトン構造に起因する所望の光学特性が得やすい傾向がある。
前記炭素数4〜10のアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基の具体例としては、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−ベンゾイルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,4−メチレンジオキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−メチルフリル基などが挙げられる。
1及びR2において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基」における「炭素数1〜10のアシル基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2−メチルプロピオニル基、2,2−ジメチルプロピオニル基、2−エチルヘキサノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、1−ナフチルカルボニル基、2−ナフチルカルボニル基、2−フリルカルボニル基などの芳香族アシル基が挙げられる。
その炭素数は好ましくは4以下であり、より好ましくは2以下である。この範囲内であると、立体障害が生じにくく、環状ケトン構造に起因する所望の光学特性が得やすい傾向がある。
前記炭素数1〜10のアシル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアシル基の具体例としては、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、4−メトキシベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、4−トリフルオロメチルベンソイル基などが挙げられる。
1及びR2において「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基」における「炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基が挙げられる。
その炭素数は好ましくは4以下であり、より好ましくは2以下である。この範囲内であると、立体障害が生じにくく、環状ケトン構造に起因する所望の光学特性が得やすい傾向がある。
1及びR2において「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
1の中で好ましくは、ハロゲン原子、アシル基、ニトロ基、又はシアノ基である。より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はニトロ基である。
1の置換基数pは、0以上の整数値を示し、置換基が増えると、分子構造が大きくなるので、単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度が低下し、所望とする光学物性の発現効率が低下することから、pは0〜2が好ましく、pは0が特に好ましい。pが2以上である場合、各R1は同一であっても異なっていてもよい。R2の中で好ましくは、アルキル基、又はハロゲン原子であり、特に好ましくは、メチル基、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子である。
2の置換基数qは0〜4の整数値を示し、置換基が増えると、分子構造が大きくなるので、単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度が低下し、所望とする光学物性の発現効率が低下することから、qは0〜2が好ましく、qは0が特に好ましい。qが2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。
3において、「置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基」における「炭素数1〜10のアルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状のアルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(ただしR3において置換位置の数値は、X側の炭素からつけるものとする);下記[E]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式アルキレン基
Figure 0006398242
(ただし上記[E]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。);下記[F]群に示されるようなへテロ原子を含む環状構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ複素環式アルキレン基
Figure 0006398242
(上記[F]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)が挙げられる。
上記[E]群に示されるような脂環構造や、上記[F]群に示されるようなへテロ原子を含む環状構造が、任意の2箇所に有している直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状のアルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(ただし、ここで置換位置の数値は、上記環構造に結合した炭素からつけるものとする)が挙げられる。
上記炭素数1〜10のアルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基の具体例としては、フェニルメチレン基、1−フェニルエチレン基、1−フェニルプロピレン基、1−シクロヘキシルプロピレン基、1,1,2,2−テトラフルオロエチレン基などが挙げられる。
3において、「置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基」における「炭素数4〜10のアリーレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等のナフチレン基;2,5−ピリジレン基、2,4−チエニレン基、2,4−フリレン基などのヘテロアリーレン基が挙げられる。
前記炭素数4〜10のアリーレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン基の具体例としては、2−メチル−1,4−フェニレン基、3−メチル−1,4−フェニレン基、3,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、3−メトキシ−1,4−フェニレン基、3−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラクロロ−1,4−フェニレン基、3−ニトロ−1,4−フェニレン基、3−シアノ−1,4−フェニレン基などが挙げられる。
3において、「置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基」における「炭素数6〜10のアラルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[G]群に示されるようなアラルキレン基
Figure 0006398242
が挙げられる。
前記炭素数6〜10のアラルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)、炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等)、炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基、ベンゾイル基等)、炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基、ベンゾイルアミド基等)、ニトロ基、シアノ基などから選ばれる1〜3個の置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基の具体例としては、2−メチル−1,4−キシリレン基、2,5−ジメチル−1,4−キシリレン基、2−メトキシ−1,4−キシリレン基、2,5−ジメトキシ−1,4−キシリレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−キシリレン基、α,α−ジメチル−1,4−キシリレン基、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,4−キシリレン基、などが挙げられる。
3について、これらの中で好ましくは、芳香環を有さないことで光学フィルムに求められる低い光弾性係数を達成できる傾向がある、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、より好ましくは直鎖状のアルキレン基、又は上記[E]群に示されるような脂環構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ脂環式アルキレン基であり、さらに好ましくは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、又は下記[H]群に示されるような脂環式アルキレン基
Figure 0006398242
(ただし上記[H]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)、より更に好ましくは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、又は2,2−ジメチルプロピレン基であり、特に好ましくは、エチレン基である。鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、短い鎖状の基が好ましい。さらに、分子構造が小さくなるので単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度を高くすることができることから、所望とする光学物性を効率良く発現させることができる。さらに、短段階かつ工業的に安価に導入できる優位性もある。
rは0〜4の整数値を示し、耐熱性の観点では、鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、rは0〜2が好ましく、rは0が特に好ましい。さらに、短い鎖状の基では、分子構造が小さくなるので単位構造中のフルオレン環の濃度を高くすることができることから、所望とする光学物性を効率良く発現させることができる。一方で、機械強度の観点では、鎖長が短すぎると、フィルムが脆く、延伸が困難となる場合があるため、耐熱性や光学特性と、機械強度のバランスの取れたrは1が特に好ましい。
代表的な上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の好ましい構造は、下記一般式(1A)で表される構造、下記一般式(1B)で表される構造、及び下記一般式(1C)で表される構造が挙げられる。
これらは、対応するモノマーを容易に合成することができる。
Figure 0006398242
(式中、r1は0〜4の整数値を示し、p1は0〜6の整数値を示し、R1、R2、R3及びqは、前記一般式(1)と同じである。)
Figure 0006398242
(式中、r2は0〜4の整数値を示し、p2は0〜8の整数値を示し、R1、R2、R3及びqは、前記一般式(1)と同じである。)
Figure 0006398242
(式中、r3は0〜4の整数値を示し、p3は0〜8の整数値を示し、R1、R2、R3及びqは、前記一般式(1)と同じである。)
1は0〜6の整数値を示し、置換基が増えると、分子構造が大きくなるので、単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度が低下し、所望とする光学物性の発現効率が低下することから、0〜2の整数値が好ましく、0が特に好ましい。p2及びp3は0〜8の整数値を示し、置換基が増えると、分子構造が大きくなるので、単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度が低下し、所望とする光学物性の発現効率が低下することから、0〜2の整数値が好ましく、0が特に好ましい。r1及びr3は0〜4の整数値を示し、鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、r1及びr3は0〜2の整数値が好ましく、短い鎖状の基では、分子構造が小さくなるので単位構造中のフルオレン環の濃度を高くすることができることから、所望とする光学物性を効率良く発現させることができるため、r1及びr3は0が特に好ましい。r2は0〜4の整数値を示し、鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、0〜2の整数値が好ましく、鎖長が短すぎると、フィルムが脆く、延伸が困難となる場合があるため、耐熱性や光学特性と、機械強度のバランスの取れたr2は1が特に好ましい。R1、R2、R3及びqは、上記一般式(1)と同じであり、好ましい態様なども同じである。
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位として、前記一般式(1A)〜(1C)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の少なくともいずれか1つを含むことが好ましい。
いずれか1つを単独で含んでいてもよく、2種以上を併用していてもよい。例えば、前記一般式(1A)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、前記一般式(1B)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位とを併用してもよく、前記一般式(1A)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、前記一般式(1C)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位とを併用してもよく、前記一般式(1A)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、前記一般式(1B)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、前記一般式(1C)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位とを併用してもよい。
<2−3.具体的な構造>
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の具体的な構造としては、下記[I]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
Figure 0006398242
Figure 0006398242
これらの中で好ましい2価の芳香族基の繰り返し単位は、下記[J]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
これらの中でさらに好ましい2価の芳香族基の繰り返し単位は、原料調達と合成の容易さの観点から、下記[K]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
これらの中で特に好ましい2価の芳香族基の繰り返し単位は、下記[L]群に示されるような構造が挙げられる。上記一般式(1A)、(1B)、及び(1C)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位は、置換基が増えると、分子構造が大きくなるので、単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度が低下し、所望とする光学物性の発現効率が低下することから、p1、p2、p3及びqは0であることが好ましい。また、r1、r2、及びr3は0〜4の整数値を示し、耐熱性の観点では、鎖長が長いとガラス転移温度が低くなる傾向があるため、r1、r2、及びr3は0〜2が好ましく、r1、r2、及びr3は0が特に好ましい。さらに、短い鎖状の基では、分子構造が小さくなるので単位構造中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の濃度を高くすることができることから、所望とする光学物性を効率良く発現させることができる。一方で、機械強度の観点では、鎖長が短すぎると、フィルムが脆く、延伸が困難となる場合があるため、耐熱性や光学特性と、機械強度のバランスを取るためには、r1、r2、及びr3は1が特に好ましい。
Figure 0006398242
<3.非芳香族基>
本発明の樹脂組成物にかかる重合体は、下記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有するものである。
Figure 0006398242
一般式(2)中、R10は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基、又は置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造若しくはへテロ原子を含む環状構造を持つ基を示す。
<3−1.非芳香族基の具体例>
「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基」における「炭素数1〜6のアルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状アルキレン基;メチルメチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基が挙げられる。R10が置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基である、一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の中で好ましくは、適度な疎水性と柔軟性があり、低い光弾性係数を与える、下記一般式(4)
Figure 0006398242
一般式(4)中、R11は置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基を示す。)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位である。
「置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基」が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜5のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜5のアシル基(例、アセチル基等);炭素数1〜5のアシルアミノ基(例、アセトアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換基を有するアルキレン基の具体例としては、1,1,2,2−テトラフルオロエチレン基、2,2,3,3−テトラフルオロブチレン基、2,3−ジブロモブチレン基、2,3−イソプロピリデンジオキシ-1,4−ブチレン基等が挙げられる。
「置換されていてもよい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基」とは、1つ以上のアルキレン基とエーテル性酸素原子を有する2価の基である。R10が置換されていてもよい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基である、一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位は、より具体的には、下記一般式(6)
Figure 0006398242
(式中、R13は置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示し、sは1〜20の整数である。)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が挙げられる。
式(6)において、R13は、置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示す。「置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基」における「炭素数2〜10のアルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、エチレン基、n−プロピレン基、n−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘキシレンなどの直鎖状のアルキレン基;1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基などの分岐鎖を含むアルキレン基(ここで置換位置の数値は、末端側の炭素からつけるものとする)
「置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基」が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換基を有するアルキレン基の具体例としては、1−シクロヘキシルプロピレン基、1,1,2,2−テトラフルオロエチレン基、2,2,3,3−テトラフルオロブチレン基、2,3−ジブロモブチレン基、2,3−イソプロピリデンジオキシ-1,4−ブチレン基等が挙げられる。
これらR13の中で好ましくは、不斉点を有さないためモノマーの品質管理が容易な直鎖状のアルキレン基であり、より好ましくは工業的に安価に導入でき、柔軟性と吸水性を与えることができるエチレン基である。
式(6)の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[M]群に示されるようなアルキレンエーテル基
Figure 0006398242
(上記[M]群に示される各環構造において、ジアステレオマーが可能な構造については、いずれのジアステレオマーであってもよく、ジアステレオマー混合物であってもよい。)が挙げられる。
「置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造若しくはへテロ原子を含む環状構造を持つ基」における「炭素数3〜20の脂環構造若しくはヘテロ原子を含む環状構造」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[N]群に示されるような脂環構造またはへテロ原子を含む環状構造の任意の2箇所に直鎖状又は分岐状のアルキレン基の結合手を持つ2価の基
Figure 0006398242
(上記[N]群に示される各環構造における2つの結合手の置換位置については任意であり、同一炭素に2つの結合手が置換していてもよい。)が挙げられる。ここで結合手とは、直接結合、又は炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、2つの結合手の長さは異なっていてもよい。好ましい結合手は、ガラス転移温度の低下が少ない直接結合、及びメチレン基である。
「置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造若しくはへテロ原子を含む環状構造を持つ基」が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1〜10のアルキル基(例、メチル基、エチル基、イソプロピル基等);炭素数1〜10のアルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基等);炭素数1〜10のアシル基(例、アセチル基等);炭素数1〜10のアシルアミノ基(例、アセトアミド基等);ニトロ基;シアノ基等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1〜3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
10が置換されていてもよい炭素数3〜20の脂環構造またはへテロ原子を含む環状構造を持つである、一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の好ましい具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、高い透明性とガラス転移温度、吸水性、低い光弾性係数を与える、下記一般式(3)
Figure 0006398242
で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位、下記一般式(5)
Figure 0006398242
(式中、R12は置換されていてもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基を示す。)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(7)
Figure 0006398242
(式中、R16は置換されていてもよい炭素数2〜20のアセタール環を有する基を示す。)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が挙げられる。
式(5)において、R12は、置換されていてもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基を示す。「置換されていてもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基」における「炭素数3〜20のシクロアルキレン基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[O]群に示されるようなシクロアルキレン基
Figure 0006398242
(上記[O]群に示される各環構造において、ジアステレオマーが可能な構造については、いずれのジアステレオマーであってもよく、ジアステレオマー混合物であってもよい。)が挙げられる。
式(7)において、R16は、置換されていてもよい炭素数2〜炭素数20のアセタール環を有する基を示す。「置換されていてもよい炭素数2〜20のアセタール環を有する基」における「炭素数2〜20のアセタール環を有する基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[P]群に示されるようなアセタール環を有する基
Figure 0006398242
(上記[P]群に示される各環構造において、ジアステレオマーが可能な構造については、いずれのジアステレオマーであってもよい。)が挙げられる。
これらの中で好ましい2価の非芳香族基の繰り返し単位は、高い透明性とガラス転移温度、吸水性、低い光弾性係数を与える、下記一般式(3)
Figure 0006398242
又は、適度な疎水性と柔軟性があり、低い光弾性係数を与える、下記一般式(4)
Figure 0006398242
(上記式(4)中、R11は置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基を示す。)、又は、適度な疎水性と柔軟性、高い透明性とガラス転移温度を与える、下記一般式(5)
Figure 0006398242
(上記式(5)中、R12は置換されていてもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基を示す。)、又は、柔軟性と吸水性、低い光弾性係数を与える、下記一般式(6)
Figure 0006398242
(上記式(6)中、R13は置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示し、sは1〜20の整数である。)又は、高い透明性とガラス転移温度を与える、下記一般式(7)
Figure 0006398242
(上記式(7)中、R16は置換されていてもよい炭素数2〜20のアセタール環を有する基を示す。)から選ばれる少なくとも1種の基の繰り返し単位である。更に好ましくは、高い透明性とガラス転移温度、吸水性、低い光弾性係数を与えることで、逆波長分散フィルム、1/4波長板として優れた物性を付与する、上記一般式(3)で表される基の繰り返し単位である。
<3−2.非芳香族基の組み合わせの具体例>
前述のとおり、前記一般式(2)の範囲内の複数種類の2価の非芳香族基の繰り返し単位を組み合わせて用いても良く、その場合非芳香族基の繰り返し単位の好ましい組み合わせとしては、高い透明性とガラス転移温度、吸水性、低い光弾性係数を与えることで、逆波長分散フィルム、1/4波長板として優れた物性を付与する上記一般式(3)で表される基の繰り返し単位と、柔軟性を与える上記一般式(4)、上記一般式(5)又は上記一般式(6)で表される基の繰り返し単位のいずれかとを組み合わせて用いることである。更に好ましくは、フィルムに吸水性を付与する上記一般式(3)で表される基の繰り返し単位と、ガラス転移温度を損なわず、かつ、フィルムに疎水性を付与し、吸水率を適度な範囲に調整できる上記一般式(5)で表される基の繰り返し単位を組み合わせて用いることである。
<4.芳香族性の基>
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の割合が前記樹脂組成物全体の質量に対して50質量%未満であってもよい。上記上限値よりも多いと、本発明の目的とする光学物性が得られなくなる可能性があり、溶融加工性や、機械強度が悪化する恐れがある。好ましくは、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の含有量が、前記樹脂組成物全体の質量に対して40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下、最も好ましくは含有されないことである。
本発明の樹脂組成物は、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位の割合が前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して50モル%未満である。上記上限値よりも多いと、本発明の目的とする光学物性が得られなくなる可能性があり、溶融加工性や、機械強度が悪化する恐れがある。好ましくは、上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位を除いた2価の芳香族性の基の繰り返し単位のモル分率が、前記樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対して50%未満、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、よりさらに好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは含有されないことである。
<4−1.芳香族性の基の具体例>
芳香族性の基の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、下記[Q]群に示されるような繰り返し単位が挙げられる。
Figure 0006398242
これらの中で好ましい2価の芳香族性の基の繰り返し単位は、工業的に安価に入手可能であり、高いガラス転移温度を与える、下記[R]群、
Figure 0006398242
又は、本発明の2価の芳香族基の繰り返し単位と組み合わせることで、逆波長分散性や光弾性係数などの光学特性を調製できる、下記[S]群から選ばれる少なくとも1種の基の繰り返し単位である。
Figure 0006398242
<5.モノマー>
上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の両方を有する重合体は、例えば、下記一般式(10)で表される芳香族モノマーと、下記一般式(20)で表される非芳香族モノマーを共重合させる方法、または、それぞれのモノマーを重合した後に共存在させる方法により製造できる。得られる樹脂組成物の透明性や均一性の観点から、下記一般式(10)で表される芳香族モノマーと、下記一般式(20)で表される非芳香族モノマーを共重合させる方法が好ましい。
Figure 0006398242
上記式(10)中、R1、R2及びR3、p、q、及びrは前記一般式(1)のそれと同じである。A1及びA2はそれぞれ独立に、重合反応性基を示す。)
Figure 0006398242
上記式(20)中、R10は、前記一般式(2)のそれと同じである。A3及びA4はそれぞれ独立に、重合反応性基を示す。
<5−1.重合反応性基>
1〜A4において、「重合反応性基」の具体的な構造は以下に挙げられ、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のエステル基;カルボキシル基;アミノ基;アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、2−(アクリロイルオキシ)エトキシ基、3−(メタクリロイルオキシ)エトキシ基等のアクリル基;2,3−エポキシプロポキシ基、2,3−エポキシプロポキシエトキシ等のエポキシ基等が挙げられる。
なお、A1〜A4は同一であっても異なっていてもよい。
これらの中で好ましくは、モノマーの製造を短工程で実施できるA1とA2、A3とA4が同一である場合であり、より好ましくは、好ましい重合体であるポリカーボネートに用いられる、ヒドロキシル基、エステル基である場合であり、更に好ましくは、光学性能が良好のため好ましい重合体であるポリエステル、ポリカーボネートに共通に使用できるモノマーである、
Figure 0006398242
上記式(30)中、R1〜R3、p、q及びrは前記一般式(1)のそれと同じである。
Figure 0006398242
上記式(40)中、R10は、前記一般式(2)のそれと同じである。
上記一般式(30)で表される芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物及び、上記一般式(40)で表される非芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物となる、前記ヒドロキシル基であり、前記ヒドロキシル基の中でも特に好ましくは、上記一般式(10)で表される芳香族モノマーの場合は、合成が容易でかつ高いガラス転移温度の樹脂組成物が得られるヒドロキシル基または、ヒドロキシエトキシ基である。ヒドロキシル基は、モノマー分子中の芳香環が縮環した環状ケトン構造の割合を高めることができる、連結基と芳香環が縮環した環状ケトン構造が近接することで芳香環が縮環した環状ケトン構造が配向しやすく、少ない添加量で逆波長分散フィルム、1/4波長板としての特性を発揮できる、という特徴も有する。一方で、ヒドロキシエトキシ基は、ヒドロキシル基よりは若干添加量は増えるものの、同様の理由で少ない添加量で逆波長分散フィルム1/4波長板としての特性を発揮できる上、フィルムに柔軟性を与え、割れにくく、薄いフィルムが成形できる、という特徴も有する。上記一般式(20)で表される非芳香族モノマーの場合は、合成が容易でかつ高いガラス転移温度の樹脂組成物が得られるヒドロキシル基である。
<5−2.芳香族モノマーの具体例>
前記一般式(10)で示される芳香族モノマーの具体例としては、下記[T]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
Figure 0006398242
Figure 0006398242
これらの中で好ましい芳香族モノマーの具体例としては、光学性能が良好のため好ましい重合体であるポリエステル、ポリカーボネートに共通に使用できるモノマーである下記[U]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
Figure 0006398242
これらの中で特に好ましい芳香族モノマーの具体例としては、工業的に入手が可能であり、安価合成が可能である下記[V]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
<5−3.非芳香族モノマーの具体例>
前記一般式(20)で示される非芳香族モノマーの具体例としては、下記[W]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
これらの中で好ましい非芳香族モノマーの具体例としては、光学性能が良好のため好ましい重合体であるポリエステル、ポリカーボネートに共通に使用できるモノマーである下記[X]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
これらの中で特に好ましい非芳香族モノマーの具体例としては、工業的に入手が可能であり、安価合成が可能である下記[Y]群に示されるような構造が挙げられる。
Figure 0006398242
<6.ポリカーボネート>
本発明の樹脂組成物にかかる重合体の好適な例として、ポリカーボネートが挙げられる。ポリカーボネートは、下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有する。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
<6−1.ポリカーボネートの重合方法>
前記ポリカーボネートの製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と、下記一般式(9)で表される炭酸ジエステルとを溶融重縮合する方法(溶融重合法)を含むことが好ましい。もう一つの一般的なポリカーボネートの製造方法として知られる界面重合法は、使用できるモノマーが芳香族ジヒドロキシ化合物に限定されるため、アルコール性ヒドロキシ基を有するジヒドロキシ化合物も含む、より幅広い構造に適用できる溶融法を用いることが好ましい。また、界面法は毒性の強いホスゲンや塩化メチレン、クロロベンゼン等の含塩素溶媒を用いる必要もあり、環境負荷も高い傾向がある。
Figure 0006398242
上記一般式(9)において、A5およびA6は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基であり、A5とA6とは同一であっても異なっていてもよい。
前記ポリカーボネートのうち、好ましい上記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位及び、上記一般式(2)で表される2価の非芳香族基のの繰り返し単位を有するものの製造方法としては、上記一般式(30)で表される芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物と、上記一般式(40)で表される非芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物及び、上記一般式(9)で表される炭酸ジエステルとを溶融重縮合する方法(溶融重合法)を含むことが好ましい。その際に上記一般式(30)で表される芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物及び、上記一般式(40)で表される非芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物を併用してもよい。
<6−2.炭酸ジエステル等>
この溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、上記一般式(9)で表されるものが挙げられる。上記一般式(9)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネートなどに代表されるジアリールカーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどに代表されるジアルキルカーボネート類が挙げられる。なかでも、好ましくはジアリールカーボネート類が用いられ、特にジフェニルカーボネートが好ましく用いられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
炭酸ジエステルは、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.10のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.96〜1.05、特に好ましくは0.98〜1.03のモル比率で用いる。また、ジカルボン酸構造を導入する場合には、全ジヒドロキシ化合物のモル数から全ジカルボン酸のモル数を差し引いたジヒドロキシ化合物のモル数に対し、0.90〜1.10のモル比率で用いることが好ましく、さらに好ましくは、0.96〜1.05、特に好ましくは0.98〜1.03のモル比率で用いる。このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端水酸基が増加して、ポリカーボネートの熱安定性が悪化したり、所望する高分子量体が得られなかったりする。また、このモル比率が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下したり、所望とする分子量のポリカーボネートの製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、原反製膜時や延伸時に揮発し、フィルムの欠陥を招く可能性がある。
前記ポリカーボネートは、ジヒドロキシ化合物に由来する繰り返し単位が、カーボネート結合で連結された構造を有するポリマーであるが、本発明においては、カーボネート結合の一部がジカルボン酸構造に置換されたポリエステルカーボネートの他、カーボネート結合を有するポリウレタン等も含むものとする。
<6−3.ポリエステルカーボネート>
重合に用いる炭酸ジエステルの一部をジカルボン酸化合物と置換することでポリエステルカーボネートが得られる。前記ジカルボン酸構造を形成するジカルボン酸化合物は、上記一般式(10)で表される芳香族モノマーの重合反応性基A1及びA2がカルボキシル基のものであってもよく、また、上記一般式(20)で表される非芳香族モノマーの重合反応性基A3及びA4がカルボキシル基のものであってもよい。上記一般式(20)で表される非芳香族モノマーの重合反応性基A3及びA4がカルボキシル基のものとしては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができ、得られたポリエステルカーボネートの耐熱性や光弾性係数の低減の観点から、脂環式ジカルボン酸が好ましく、特には取扱いや入手のし易さから、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。これらのジカルボン酸成分はジカルボン酸そのものとして前記ポリエステルカーボネートの原料とすることができるが、製造法に応じて、メチルエステル体、フェニルエステル体等のジカルボン酸エステルや、ジカルボン酸ハライド等のジカルボン酸誘導体を原料とすることもできる。なお、ジカルボン酸化合物として、上記一般式(10)で表される芳香族モノマーの重合反応性基A1及びA2がカルボキシル基のものを用いる場合、ジヒドロキシ化合物として、上記一般式(30)で表される芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物を用いることは必須ではなく、製造コスト削減の観点から、上記一般式(40)で表される非芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物を用いることが好ましい。
また、重合に用いる上記一般式(10)で表される芳香族モノマーの重合反応性基A1及び/又はA2、及び上記一般式(20)で表される非芳香族モノマーの重合反応性基A3及び/又はA4がヒドロキシエステル基、すなわちエステル骨格を有するヒドロキシ基である場合、またはA1及びA2がヒドロキシル基及びカルボキシル基である場合にも、ポリエステルカーボネートを得ることができる。エステル骨格を有するヒドロキシ基の具体例としては、2−ヒドロキシエトキシカルボニル基等が挙げられる。また、A1及びA2がヒドロキシル基及びカルボキシル基である具体例としては、ヒドロキシエトキシ基とエトキシカルボニル基、2−(2−ヒドロキシエトキシ)カルボニル基とカルボキシル基等が挙げられる。
前記ポリエステルカーボネートにおいて、ジカルボン酸化合物に由来する繰り返し単位の含有比率は、全ジヒドロキシ化合物と全カルボン酸化合物に由来する繰り返し単位の合計を100モル%とした場合に、45モル%以下であり、好ましくは30モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。ジカルボン酸化合物に由来する繰り返し単位の含有比率が上記上限値よりも多くなると、重合性が低下し、所望とする分子量まで重合が進行しなくなることがある。
<6−4.重合触媒>
溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物が使用される。長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
上記重合触媒の使用量は、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物を用いる場合、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1μmol〜100μmolの範囲内で用い、好ましくは0.5μmol〜50μmolの範囲内であり、さらに好ましくは1μmol〜25μmolの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られず、一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリマーの色相が悪化し、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、目標とする品質のポリカーボネートの製造が困難になる。
また、ジカルボン酸構造を導入する場合には、上記塩基性化合物と併用して、または併用せずに、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、ジルコニウム化合物、鉛化合物、オスミウム化合物等のエステル交換触媒を用いることもできる。これらのエステル交換触媒の使用量は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1molに対して、金属換算量として、通常、10μmol〜1mmolの範囲内で用い、好ましくは20μmol〜800μmolの範囲内であり、特に好ましくは50μmol〜500μmolである。
<6−5.金属含有量>
前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物は、多量の金属および金属イオンを含有すると、重合や加工時に着色したり、熱分解が起こりやすくなるおそれがあるため、触媒として添加する金属化合物を前述のような適正範囲に収める以外にも、原料中にコンタミしている金属成分や、反応装置などから溶出する金属なども可能な限り低減することが重要である。特にNa、K、Cs、Feの影響が顕著であるため、前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物は、Na、K、Cs、Feの含有量の合計が3質量ppm以下であることが好ましい。前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物中の金属量は、湿式灰化などの方法で前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、ICP等の方法を使用して測定することが出来る。
<6−6.重合法>
前記ポリカーボネートを溶融重合法で製造する方法としては、ジヒドロキシ化合物と、必要に応じジカルボン酸化合物を重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる。重合は、通常、2段階以上の多段工程で実施され、重合反応器は1つで条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよいし、2つ以上の反応器を用いて、それぞれの条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよいが、生産効率の観点からは、2つ以上、好ましくは3つ以上、更に好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つの反応器を用いて実施する。重合反応はバッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせの何れでも構わないが、生産効率と品質の安定性の観点から、連続式が好ましい。
前記ポリカーボネートを得るための溶融重合反応においては、温度と反応系内の圧力のバランスを制御することが重要である。温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが反応系外に留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率が変化し、所望の高分子が得られない場合がある。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、130℃〜250℃、好ましくは140℃〜240℃、更に好ましくは150℃〜230℃の温度で、110kPa〜1kPa、好ましくは70kPa〜3kPa、更に好ましくは30kPa〜5kPa(絶対圧力)の圧力下、0.1時間〜10時間、好ましくは0.5時間〜3時間、発生するモノヒドロキシ化合物(炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合、モノヒドロキシ化合物とはフェノールのことを示す。)を反応系外へ留去しながら実施される。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を5kPa以下、好ましくは3kPaにして、内温の最高温度210℃〜270℃、好ましくは220℃〜260℃で、通常0.1時間〜10時間、好ましくは、0.5時間〜6時間、特に好ましくは1時間〜3時間行う。
特に前記ポリカーボネートの着色や熱劣化を抑制し、色相や機械物性の良好な前記ポリカーボネートを得るには、全反応段階における内温の最高温度が270℃以下、特に260℃以下であることが好ましい。
<6−7.ペレット化>
前記ポリカーボネートは、上述の通り重縮合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。後述するように、副生するモノヒドロキシ化合物がポリカーボネート中に多く含まれると、位相差フィルムに加工した後に、環境変化による光学的特性の変化を招くことがあるため、前記ポリカーボネートは、押出機を使用してモノヒドロキシ化合物を除去することが好ましく、中でも、最終重合反応器から溶融状態で単数または複数のベント口を有する一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、ベント口を減圧にしてモノヒドロキシ化合物を除去しつつ溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法が好ましい。
<6−8.モノヒドロキシ化合物含量>
溶融重合法では重合反応において炭酸ジエステルからフェノール等のモノヒドロキシ化合物が副生するため、これが前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物中に残存し、フィルム製膜時や延伸時に揮発して、臭気の原因となったり、フィルムの欠陥を招いたりすることがある。また、前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物に加工された後に、該フィルム中に残存しているモノヒドロキシ化合物は、環境変化により位相差フィルムの光学的特性を変化させることがあるため、前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物に含まれるモノヒドロキシ化合物は1500質量ppm以下であることが好ましい。さらには1000質量ppm以下であることが好ましい。下限については、上記問題を解決するために少ない方がよいが、溶融重合法では高分子中に残存するモノヒドロキシ化合物をゼロにすることは困難であること、除去のためには過大な労力が必要であることから、通常1質量ppmである。前記ポリカーボネートを含有する本発明の樹脂組成物中に残存するモノヒドロキシ化合物を低減するためには、上記のように高分子を押出機で脱揮処理すること、重合終盤の圧力を3kPa以下、好ましくは2kPa以下にすることが効果的であるが、圧力を下げすぎると分子量が急激に上昇して、反応の制御が困難になる場合があるため、高分子の末端基濃度を水酸基過剰かアリール基過剰にして、末端基バランスを偏らせて製造することが好ましい。中でも熱安定性の観点から、水酸基末端濃度を50mol/ton以下、特には30mol/ton以下にすることが好ましい。水酸基末端濃度は、1H−NMR等で定量することができる。末端基濃度は炭酸ジエステルと全ジヒドロキシ化合物の仕込みのモル比により調節することができる。
<7.その他の重合体>
本発明の樹脂組成物にかかる重合体の例として、これらに限定されるものではないが、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリウレタンは、上記一般式(30)で表される芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物及び、上記一般式(40)で表される非芳香族基の繰り返し単位を有するジヒドロキシ化合物と、分子内に2個イソシアネート基を有する化合物とを有機溶媒中で付加重合させることにより得ることができる。また、溶媒がない状態で原料を直接反応させることによってもポリウレタンを得ることができる。
ポリアクリレート、及びポリメタクリレートは、上記一般式(10)で表される芳香族モノマー、及び上記一般式(20)で表される非芳香族モノマーの重合反応性基A1〜A4が、アクリル基、メタクリル基を含む基である化合物に、有機溶媒中、又は溶媒がない状態で、光酸発生剤を添加し、紫外線を照射することでカチオン重合させる方法や、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を添加し、加熱することでラジカル重合させる方法などにより、得ることができる。
エポキシ樹脂は、上記一般式(10)で表される芳香族モノマー、及び上記一般式(20)で表される非芳香族モノマーの重合反応性基A1〜A4が、エポキシ基を含む化合物と、硬化剤として、ジエチレントリアミンなどの脂肪族硬化剤、メタフェニレンジアミンなどの芳香族硬化剤、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類とを有機溶媒中、又は溶媒がない状態で加熱することによりエポキシ樹脂を得ることができる。
<8.添加剤>
本発明の樹脂組成物には、任意の添加剤を含有させてもよい。同様に、本発明の樹脂組成物に含有される重合体にも、任意の添加剤を含有させてもよい。
<8−1.熱安定剤>
本発明の樹脂組成物には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。同様に、本発明の樹脂組成物に含有される重合体にも、同様の理由から、熱安定剤を配合することができる。
かかる熱安定剤としては、通常知られるヒンダードフェノール系熱安定剤および/またはリン系熱安定剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系化合物としては、具体的には、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、n−オクタデシル−3−(3',5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、n−オクタデシル−3−(3',5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
リン系化合物としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の熱安定剤を配合して、本発明の樹脂組成物を得た後に、さらに熱安定剤を配合すると、ヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を回避して、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。また、熱安定剤は、例えば、溶融押出し法等の押出機を用いてフィルムを製膜する場合、押出機に前記熱安定剤等を添加して製膜してもよいし、予め押出機を用いて、樹脂組成物中に前記熱安定剤等を添加して、ペレット等の形状にして用いてもよい。
これらの熱安定剤の配合量は、本発明の樹脂組成物を100質量部とした場合、0.0001質量部〜1質量部が好ましく、0.0005質量部〜0.5質量部がより好ましく、0.001質量部〜0.2質量部が更に好ましい。
<8−2.酸化防止剤>
また、本発明の樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することもできる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種又は2種以上が挙げられる。これら酸化防止剤の配合量は、本発明の樹脂組成物を100質量部とした場合、0.0001質量部〜0.5質量部が好ましい。
<8−3 触媒失活剤>
本発明の樹脂組成物には、重合触媒を失活させるために触媒失活剤を配合することができる。
かかる触媒失活剤としては例えば、リン系化合物が挙げられる。なお、リン系化合物は、高温下での樹脂組成物の着色を抑制するための熱安定剤として作用させることもできる傾向がある。このリン系化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸エステル、酸性リン酸エステル、脂肪族環状亜リン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。上記の中でも触媒失活と着色抑制の効果がさらに優れているのは、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホン酸エステルであり、特にホスホン酸エステルが好ましい。
ホスホン酸としては、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、プロピルホスホン酸無水物などが挙げられる。
ホスホン酸エステルとしては、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、エチルホスホン酸ジエチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、ジエチルホスホノアセトアルデヒドジエチルアセタール、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジビニル、リン酸ジプロピル、リン酸ジブチル、リン酸ビス(ブトキシエチル)、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ジイソトリデシル、リン酸ジオレイル、リン酸ジステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸ジベンジルなどのリン酸ジエステル、またはジエステルとモノエステルの混合物、クロロリン酸ジエチル、リン酸ステアリル亜鉛塩などが挙げられる。
脂肪族環状亜リン酸エステルは、リン原子を含む環状構造中に芳香族基を含まない亜リン酸エステル化合物と定義する。例えば、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、水添ビスフェノールA・ペンタエリスリトールホスファイトポリマーなどジヒドロキシ化合物とペンタエリスリトールジホスファイトからなるポリマー型の化合物などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
前記リン系化合物の含有量が少なすぎると、触媒失活や着色抑制の効果が不十分であり、多すぎるとかえって樹脂組成物が着色してしまう傾向があるため、リン系化合物の含有量は、樹脂組成物中のリン原子の含有量として1質量ppm以上、8質量ppm以下とすることが好ましく、さらには1.2質量ppm以上、7質量ppm以下が好ましく、特には1.5質量ppm以上、6質量ppm以下が好ましい。
前記リン系化合物は通常、三塩化リンを出発原料に用いられるため、未反応物や脱離した塩酸由来の含塩素成分が残存する場合があるが、前記リン系化合物に含有される塩素原子の量は5質量%以下であることが好ましい。塩素原子の残存量が多いと、前記リン系化合物を添加する製造設備の金属部を腐食させたり、樹脂組成物の熱安定性を低下させたり、着色や熱劣化による分子量低下を促進させたりする懸念がある。
前記リン系化合物は、押出機を用いて樹脂組成物に添加、混練されることが好ましい。特に、樹脂組成物を重合後に溶融状態のまま押出機に供給し、ただちに前記リン系化合物を樹脂組成物に添加することが最も効果的である。さらに、触媒を失活させた状態で、押出機で真空ベントにより脱揮処理を行うと、効率的に低分子成分を脱揮除去することができる傾向がある。
更に、本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる核剤、難燃剤、無機充填剤、衝撃改良剤、発泡剤、染顔料等が含まれても差し支えない。
上記の添加剤は、本発明の樹脂組成物に上記成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができるが、中でも押出機、特には二軸押出機により混練することが、分散性向上の観点から好ましい。
<9.フィルム>
本発明の樹脂組成物は、フィルムとして好適に用いることができる。本発明の樹脂組成物を製膜することでフィルムを得ることができる。
<9−1.フィルム製造法>
本発明の樹脂組成物を用いて原反フィルムを製膜する方法としては、本発明の樹脂組成物を溶媒に溶解させてキャストした後、溶媒を除去する流延法、溶媒を用いず溶融製膜する方法、具体的にはTダイを用いた溶融押出法、カレンダー成形法、熱プレス法、共押出法、共溶融法、多層押出、インフレーション成形法等があり、特に限定されないが、流延法は、前述のように残存溶媒による問題があるため、好ましくは溶融製膜法、中でも後の延伸処理のし易さから、Tダイを用いた溶融押出法が好ましい。
溶融製膜法で原反フィルムを成形する場合、成形温度は好ましくは280℃以下であって、より好ましくは270℃以下、特には265℃以下とすることが好ましい。成形温度が高過ぎると、得られる原反フィルム中の異物や気泡の発生による欠陥が増加したり、原反フィルムが着色したりする可能性がある。ただし、成形温度が低過ぎると本発明の樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、原反フィルムの成形が困難となり、厚みの均一な原反フィルムを製造することが困難になる可能性があるので、成形温度の下限は通常200℃以上、好ましくは210℃以上、より好ましくは220℃以上である。ここで、原反フィルムの成形温度とは、溶融製膜法における成形時の温度であって、通常、溶融樹脂を押出すダイス出口の温度を測定した値である。
原反フィルムの厚みに制限はないが、厚すぎると厚み斑が生じやすく、薄すぎると延伸時の破断を招く可能性があるため、通常30μm〜200μm、好ましくは40μm〜150μm、特に好ましく50μm〜120μmである。また、原反フィルムに厚み斑があると、逆波長分散フィルムの位相差斑を招く可能性があるため、逆波長分散フィルムとして使用する部分の厚みは設定厚み±3μm以下であることが好ましく、設定厚み±2μm以下であることが更に好ましく、設定厚み±1μm以下であることが特に好ましい。
<9−3.フィルム物性>
本発明のフィルムは、内部ヘイズが3%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好まく、特に1%以下であることが好ましい。逆波長分散フィルムの内部ヘイズが上記上限値よりも大きいと光の散乱が起こり、例えば偏光子と積層した際、偏光解消を生じる原因となる。内部ヘイズの下限値は特に定めないが、通常0.2%以上である。測定サンプルは、事前にヘイズ測定を行っておいた粘着剤付き透明フィルムを、試料フィルムの両面に貼り合せ、外部ヘイズの影響を除去した状態のものを作成して用い、測定値は、粘着剤付き透明フィルムのヘイズ値の差分を用いる。
本発明のフィルムは、b*値が3以下であることが好ましい。フィルムのb*値が大き過ぎると着色等の問題が生じる。本発明のフィルムのb*値はより好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。
本発明のフィルムは、厚みによらず、当該フィルムそのものの全光線透過率が80%以上であることが好ましく、この透過率は90%以上であることが更に好ましい。透過率が上記下限以上であれば、着色の少ないフィルムが得られ、偏光板と貼り合わせた際、偏光度や透過率の高い円偏光板となり、画像表示装置に用いた際に、高い表示品位を実現することが可能となる。なお、本発明のフィルムの全光線透過率の上限は特に制限はないが通常99%以下である。
本発明のフィルムは、後述する折り曲げ試験において脆性破壊しないことが好ましい。脆性破壊が生じるフィルムでは、フィルムの製膜時や延伸時にフィルムの破断が起こりやすく、製造の歩留まりを悪化させるおそれがある。脆性破壊しないフィルムとするには、本発明の樹脂組成物の分子量や溶融粘度、ガラス転移温度を、前述の好ましい範囲に設計することが重要である。また、ポリマー中に柔軟性を付与できる成分を共重合したり、ブレンドすることにより、フィルムの物性を調整する方法も効果的である。
<9−4.延伸フィルム製造法>
このようにして得られる原反フィルムは、少なくとも一方向に延伸することにより本発明の延伸フィルムとすることができる。その延伸の方法は、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮等、様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。また、延伸方向に関しても、水平方向・垂直方向・厚さ方向、対角方向等、様々な方向や次元に行なうことが可能であり、特に限定されない。好ましくは、横一軸延伸方法、縦横同時二軸延伸方法、縦横逐次二軸延伸方法等が挙げられる。延伸する手段としては、テンター延伸機、二軸延伸機等、任意の適切な延伸機を用いることができる。
延伸温度は、目的に応じて、適宜、適切な値が選択され得る。好ましくは、延伸は、原反フィルム(即ち、原反フィルムの製膜材料であるポリマー又は樹脂組成物)のガラス転移温度(Tg)に対し、Tg−20℃〜Tg+30℃、好ましくはTg−10℃〜Tg+20℃、より好ましくはTg−5℃〜Tg+10℃の範囲で行なう。このような条件を選択することによって、位相差値が均一になり易く、かつ、フィルムが白濁しにくくなる。具体的には、上記延伸温度は90℃〜210℃であり、さらに好ましくは100℃〜200℃であり、特に好ましくは100℃〜180℃である。
延伸倍率は、目的に応じて適宜選択され、未延伸の場合を1倍として、好ましくは1.1倍以上6倍以下、より好ましくは1.5倍以上4倍以下、更に好ましくは1.8倍以上3倍以下であり、特に好ましくは2倍以上2.5倍以下である。延伸倍率が過度に大きいと延伸時の破断を招く可能性があるだけでなく、延伸後の残留応力により、高温条件下での長期使用による光学的特性の変動が大きくなる可能性があり、過度に低いと所望の厚みにおいて意図した光学的特性が付与できなくなる可能性がある。
延伸速度も目的に応じて適宜選択されるが、下記式で表される歪み速度で通常50〜2000%/分、好ましくは100〜1500/分、より好ましくは200〜1000/分、特に好ましくは250〜500/分である。延伸速度が過度に大きいと延伸時の破断を招いたり、高温条件下での長期使用による光学的特性の変動が大きくなったりする可能性がある。また、延伸速度が過度に小さいと生産性が低下するだけでなく、所望の位相差を得るのに延伸倍率を過度に大きくしなければならない場合がある。
歪み速度(%/分)=延伸速度(mm/分)/原反フィルムの長さ(mm)×100 また、延伸後加熱炉で熱固定処理を行っても良いし、テンターの幅を制御したり、ロール周速を調整したりして、緩和工程を行っても良い。この処理を行うことで、高温条件下での長期使用による光学的特性の変動を抑制することができる。
本発明の延伸フィルムは、このような延伸工程における処理条件を適宜選択・調整することによって作製することができる。
<9−5.延伸フィルム物性>
本発明の延伸フィルムは、波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(Re550)の比が下記式(2)を満足する逆波長分散フィルムであることが好ましい。
0.5 < Re450/Re550 < 1.0 (2)
Re450/Re550が0.70以上0.95以下であることが好ましく、0.75以上0.93以下であることがより好ましく、さらに0.80以上0.92以下であることがより好ましく、特に0.85以上0.91以下であることが好ましい。Re450/Re550の値が上記範囲であれば、長波長ほど高い位相差が発現し、可視領域の各波長において理想的な位相差特性を得ることができる。例えば1/4波長板としてこのような波長依存性を有する本発明の逆波長分散フィルムを偏光板と貼り合わせることにより、円偏光板等を作製することができ、あらゆる波長において外光反射防止機能を有する黒色性に優れた円偏光板及び画像表示装置の実現が可能である。一方、Re450/Re550の値が上記範囲外の場合には、波長による色抜けが大きくなり、円偏光板や画像表示装置に着色の問題が生じる。
本発明の延伸フィルムの厚みは、通常150μm以下であることが好ましく、100μm以下であることが更に好ましく、さらに60μm以下であることがより好ましく、特に50μm以下が好ましい。延伸フィルムの厚みが過度に厚いと、同じ面積のフィルムを製造するのにより多くの製膜材料が必要になり非効率であったり、当該フィルムを使用する製品の厚みが厚くなったりする可能性があると共に、均一性の制御が困難となり、精密性・薄型・均質性を求められる機器に適合できない場合がある。本発明の延伸フィルムの厚みの下限としては、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。延伸フィルムの厚みが過度に薄いとフィルムの取り扱いが困難になり、製造中にしわが発生したり、保護フィルムなどの他のフィルムやシートなどと貼合わせることが困難になったりすることがある。
本発明の延伸フィルムは、複屈折が、0.001以上であることが好ましい。後述の本発明の樹脂組成物を用いて成形するフィルムの厚みを非常に薄く設計するためには、複屈折が高い方が好ましい。従って、複屈折は0.002以上であることが更に好ましく、特に0.0025以上が好ましい。複屈折が0.001未満の場合には、フィルムの厚みを過度に大きくする必要があるため、製膜材料の使用量が増え、厚み・透明性・位相差の点から均質性の制御が困難となる。そのため、複屈折が0.001未満の場合には、精密性・薄型・均質性を求められる機器に適合できない可能性がある。
<9−6.吸水率>
本発明のフィルムは、飽和吸水率が1.0質量%より大きいことが好ましい。飽和吸水率が1.0質量%より大きければ、このフィルムを他のフィルムなどと貼りあわせる際、容易に接着性を確保することができる。例えば、偏光板と貼りあわせる際、フィルムが親水性であるため、水の接触角も低く、接着剤を自由に設計し易く、高い接着設計ができる。飽和吸水率が1.0質量%以下の場合は、疎水性となり、水の接触角も高く、接着性の設計が困難になる。また、フィルムが帯電し易くなり、異物の巻き込み等、円偏光板、画像表示装置に組み込んだ際、外観欠点が多くなるという問題が生じる。一方、飽和吸水率が2.0質量%より大きくなると湿度環境下での光学特性の耐久性が悪くなるため好ましくない。本発明のフィルムは、飽和吸水率が1.0質量%より大きく2.0質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは1.1質量%以上1.5%質量以下である。
本発明にかかるフィルムは、各種ディスプレイ(液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマ表示装置、FED電界放出表示装置、SED表面電界表示装置)の視野角補償用、外光の反射防止用、色補償用、直線偏光の円偏光への変換用などの位相差フィルムとして用いることができる。
本発明にかかる樹脂組成物及びポリカーボネート樹脂組成物は複屈折が小さく、耐熱性および成形性にも優れ、さらに着色が少なく高い透明性を兼ね備えているため、その他の光学フィルムや光ディスク、光学プリズム、ピックアップレンズ等にも用いることもできる。
<10.芳香族モノマーの製造方法>
本発明で使用される芳香族モノマー(10)の製造方法は何ら限定されないが、例えば、芳香族モノマー10A〜Hは以下に記載の方法に従って製造することができる。
Figure 0006398242
芳香環が縮環した環状ケトン構造を有するビスフェノール化合物10A〜10Fは、特許文献(国際公開第2005/101127号パンフレット)に従って合成することができる。
芳香環が縮環した環状ケトン構造を有するジヒドロキシ化合物10G及び10Hは、特許文献(特開2011/74013号公報)に従って合成することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。本発明の芳香族化合物の品質評価、および樹脂組成物と透明フィルムの特性評価は次の方法により行った。なお、特性評価手法は以下の方法に限定されるものではなく、当業者が適宜選択することができる。
また、以下の製造例および実施例で用いた化合物の略号等は以下の通りである。
HP−AO:2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1(2H)−アセナフチレノン
P−AO:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1(2H)−アセナフチレノン
C−AO:2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1(2H)−アセナフチレノン
P−AN:10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アントロン
BHEPF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
BCF:9,9−ビス[4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル]−フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
ISB;イソソルビド(ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
DPC;ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
CHDM;1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス、トランス混合物)(SK CHEMICAL社製)
SPG:スピログリコール(三菱ガス化学(株)製)
BPA:2,2−ビス[4−ヒドロキシフェニル]プロパン(三菱化学(株)製)
TCDDM:トリシクロデカンジメタノール(オクセア社製)
PEG#1000:ポリエチレングリコール 数平均分子量:1000(三洋化成(株)製)
(1)芳香族モノマーの熱分解温度(TG/DTA)
芳香族モノマーのガラス転移温度は、示差熱重量同時分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG−DTA6300)を用いて測定した。分析試料約4mgを同社製アルミパンに入れて密封し、200mL/分の窒素気流下、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温した。得られたTGデータより、試料重量が5wt%減少した温度を5wt%重量減少温度とした。溶媒含有試料に関しては、試料重量が1H−NMRより見積もられた溶媒重量が減少後、重量変化がなくなった重量を試料の初期重量とし、その初期重量が5wt%減少した温度を5wt%重量減少温度とした。
(2)樹脂組成物の還元粘度
樹脂組成物の還元粘度は次のとおり測定した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、溶媒として、塩化メチレンを用い、温度20.0℃±0.1℃で測定した。濃度は0.6g/dLになるように、精密に調製した。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、式:ηrel=t/t0 より相対粘度ηrelを求め、 相対粘度ηrelから、式:ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1 より比粘度ηspを求めた。比粘度ηspを濃度c(g/dL)で割って、式:ηred=ηsp/c より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。この数値が高いほど分子量が大きい。
(3)樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)
樹脂組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定した。樹脂サンプル約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られたDSCデータより、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求め、それをガラス転移温度とした。
(4)樹脂組成物の溶融粘度
測定前に樹脂試料を80℃で5時間以上、真空乾燥を行った。東洋精機株式会社製キャピログラフを用いて、直径1mm×長さ10mmのダイを使用して、温度240℃、剪断速度91.2sec-1における溶融粘度を測定した。
(5)樹脂組成物中のNa、K、Cs、Feの含有量
パーキンエルマー社製マイクロウェーブ分解容器に樹脂サンプル約0.5gを精秤し、97%硫酸2mLを加え、密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱した。室温まで冷却後、68%硝酸1.5mLを加えて、密閉状態にして150℃で10分間マイクロウェーブ加熱した後、再度室温まで冷却を行い、68%硝酸2.5mLを加え、再び密閉状態にして230℃で10分間マイクロウェーブ加熱し、内容物を完全に分解させた。室温まで冷却後、上記で得られた液を純水で希釈し、サーモクエスト社製ICP−MSで定量した。
(6)樹脂組成物中の残存モノヒドロキシ化合物
樹脂試料約1gを精秤し、塩化メチレン5mLに溶解した後、総量が25mLになるようにアセトンを添加した。溶液を0.2μmディスクフィルターでろ過して、液体クロマトグラフィーにてフェノールの定量を行った後、含有量を算出した。
(7)樹脂組成物の光弾性係数
80℃で5時間、真空乾燥をした樹脂サンプル約4gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200〜250℃で、予熱1〜3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスにて圧力20MPaで3分間加圧冷却してシートを作製した。このフィルムから幅5mm、長さ20mmにサンプルを切り出した。
He−Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、及び光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製「DVE−3」)を組み合わせた装置を用いて測定した。(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93−97(1991)を参照。)
切り出したサンプルを粘弾性測定装置に固定し、25℃の室温で貯蔵弾性率E’を周波数96Hzにて測定した。同時に、出射されたレーザー光を偏光子、試料、補償板、検光子の順に通し、光検出器(フォトダイオード)で拾い、ロックインアンプを通して角周波数ω又は2ωの波形について、その振幅とひずみに対する位相差を求め、ひずみ光学係数O’を求めた。このとき、偏光子と検光子の方向は直交し、またそれぞれ、試料の伸長方向に対してπ/4の角度をなすように調整した。光弾性係数Cは、貯蔵弾性率E’とひずみ光学係数O’を用いて次式より求めた。
C=O’/E’
(8)樹脂組成物の屈折率異方性、および位相差の波長分散性
前述の熱プレスによる方法で厚み100〜200μmのフィルムを成形し、このフィルムから幅6cm、長さ6cmの試料を切り出した。この試料をバッチ式二軸延伸装置(アイランド工業社製)を用いて、延伸温度を樹脂試料のガラス転移温度+18℃、延伸速度1000%/分、延伸倍率2倍で、自由端一軸延伸を行い、延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムから幅4cm、長さ4cmに切り出したサンプルを位相差測定装置(王子計測機器社製KOBRA−WPR)により測定波長450nmの位相差(Re450)及び550nmの位相差(Re550)を測定した。両測定値の比(Re450/Re550)を位相差の波長分散性の指標とした。また、この位相差の測定において、延伸方向の位相差の測定値に正の値が出た場合、この樹脂の屈折率異方性は正である。
(9)フィルムの靱性(折り曲げ試験)
前述の熱プレスによる方法で厚み70〜200μmのフィルムを成形し、このフィルムから長さ20mm、幅5mmの長方形の試験片を作製した。次に両端の間隔を狭めていき、くの字に折れ曲がったフィルム全体を圧縮していった。完全に密着する迄に試験片が折れ曲がり部で2片(又は3片以上の破片)に割れた場合を「割れあり」、完全に密着してもなお試験片が割れずに折り曲げられた場合「割れなし」とした。同一の種類のフィルムについて5回繰り返して試験を実施し、そのうち4回以上「割れあり」となったものを「×:脆性破壊する」、3回以下「割れあり」となったものを「○:脆性破壊しない」とした。
[モノマーの合成例]
C−AOは、例えば、国際公開第2012/102224号パンフレットの合成例1に従って合成できる。また、P−ANは、例えば、特許文献(EP0242465)の合成例1に従って合成できる。
<合成例1>
Figure 0006398242
2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1(2H)−アセナフチレノン(化合物:HP−AO)の合成
300mL四口フラスコにフェノキシエタノール18.7g(135mmol)、メタンスルホン酸20mL(308mmol)、1−ドデカンチオール0.59mL(2.5mmol)、アセナフテンキノン8.7g(48mmol)を添加して、室温で7時間反応させた。反応終了後、氷冷下で水10mLおよびメタノール10mLを添加し、室温にてジクロロメタンで抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄した後、溶媒を留去した。得られた残渣にメタノール40mLを添加して加熱溶解させた後、水40mLを加えて濃縮した。得られた懸濁液をろ別し、含水メタノールで洗浄後、トルエン40mLより再結晶を行った。得られた結晶をメタノール40mLから再結晶し、80℃にて2時間減圧乾燥を行い、淡黄色結晶として2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−1(2H)−アセナフチレノン(化合物HP−AO)16.0g(36.4mmol、HPLC純度:99.0%、収率75%)を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ8.14−8.18(m,1H),8.01−8.04(m,1H),7.85−7.89(m,1H),7.78(dd,J1=8.1Hz,J2=7.1Hz,1H),7.67(dd,J1=8.3Hz,J2=7.1Hz,1H),7.43−7.46(m,1H),7.14−7.19(m,4H),6.78−6.84(m,4H),4.01−4.05(m,4H),3.89−3.95(m,4H),1.98(brs,2H).
<合成例2>
Figure 0006398242
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1(2H)−アセナフチレノン(化合物P−AO)の合成
1L四口フラスコに、アセナフテンキノン91g(0.50mol)、フェノール188g(2.0mol)、1−ドデカンチオール4.8mL(20mmol)を加え、70℃に加熱してスラリーを得た。50℃まで冷却後、硫酸1.0mL(20mmol)を添加し、50℃で4時間反応させて濃緑色の固体を得た。得られた固体にトルエン500mL、水100mLを添加して加熱還流した後、生じたスラリーをろ過、トルエンと水で洗浄し、淡黄色結晶を得た。結晶のうち半量をメタノール700mLに加熱下溶解させ、熱時ろ過で不溶物を除去した後、室温に冷却した。生じたスラリーに水700mLを添加、生じたスラリーをろ過、固体を含水メタノールで洗浄した。残りの半量も同様に処理し、淡黄色結晶を得た。得られた結晶を合わせ、クロロホルム500mLを添加して加熱還流した後、室温に冷却、ろ過した。得られた結晶を80℃にて5時間減圧乾燥を行い、淡黄色結晶として2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1(2H)−アセナフチレノン(化合物P−AO)129g(0.367mol、HPLC純度:99.6area%、収率73%)を得た。
1H−NMR(400MHz,アセトン−d6)δ8.44(s,2H),8.30−8.34(m,1H),7.98−8.02(m,2H),7.89(dd,J1=8.1Hz,J2=7.1Hz,1H),7.76(dd,J1=8.3Hz,J2=7.1Hz,1H),7.51−7.54(m,1H),7.03−7.08(m,4H),6.72−6.77(m,4H).
[ポリマーの合成例]
<実施例1>
HP−AO/ISB/PEG#1000
HP−AO 82.25質量部(0.187mol)、ISB 35.32質量部(0.242mol)、PEG#1000 1.27質量部(0.0013mol)、DPC 92.96質量部(0.434mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物2.27×10-3質量部(1.29×10-5mol)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃にし必要に応じ攪拌しながら、原料を溶解させた(約10分間)。溶解後、反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、60分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで90分かけて減圧し、13.3kPaで30分間保持し発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。
次いで反応2段目の工程として加熱槽の温度を15分かけて240℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで15分かけて減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。所定のトルクに到達後、反応を終了し、生成したポリマーを水中に押し出して、ポリカーボネート樹脂のペレットを得た。
前述の方法にて、得られたポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や溶融粘度、各種フィルム物性を測定した。結果を表1に示す。
<実施例2> HP−AO/ISB/CHDM
HP−AO 65.06質量部(0.148mol)、ISB 40.84質量部(0.279mol)、CHDM 11.01質量部(0.076mol)、DPC 108.94質量部(0.509mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物8.87×10-4質量部(5.04×10-6mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
<実施例3> P−AO/SPG
P−AO 40.07質量部(0.114mol)、SPG 80.13質量部(0.263mol)、DPC 82.37質量部(0.385mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物3.32×10-3質量部(1.88×10-5mol)を用いて、最終重合温度を260℃とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例4> P−AO/ISB/CHDM
P−AO 24.21質量部(0.069mol)、ISB 44.15質量部(0.302mol)、CHDM 44.06質量部(0.306mol)、DPC 147.78質量部(0.690mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-3質量部(6.76×10-6mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例5> P−AO/ISB/CHDM
P−AO 36.32質量部(0.103mol)、ISB 33.11質量部(0.227mol)、CHDM 44.06質量部(0.306mol)、DPC 138.78質量部(0.648mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物1.12×10-3質量部(6.35×10-6mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例6> P−AO/ISB/TCDDM
P−AO 42.37質量部(0.120mol)、ISB 33.11質量部(0.227mol)、TCDDM 40.18質量部(0.205mol)、DPC 121.69質量部(0.568mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物4.86×10-3質量部(2.76×10-5mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例7> C−AO/ISB/CHDM
C−AO 19.66質量部(0.052mol)、ISB 17.83質量部(0.122mol)、CHDM 23.72質量部(0.165mol)、DPC 74.98質量部(0.350mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物5.96×10-3質量部(3.38×10-5mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<実施例8> P−AN/ISB/CHDM
P−AN 21.18質量部(0.056mol)、ISB 9.61質量部(0.066mol)、CHDM 19.18質量部(0.133mol)、DPC 56.48質量部(0.264mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物8.98×10-3質量部(5.10×10-5mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<比較例1> BHEPF/ISB/PEG#1000
BHEPF 82.23質量部(0.188mol)、ISB 35.32質量部(0.242mol)、PEG#1000 1.27質量部(0.0013mol)、DPC 93.13質量部(0.435mol)、および触媒として酢酸マグネシウム4水和物9.23×10-4質量部(4.30×10-6mol)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
<比較例2> BCF/SPG
BCF 32.20質量部(0.085mol)、SPG 60.43質量部(0.199mol)、DPC63.18質量部(0.295mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物2.50×10-3質量部(1.42×10-5mol)を用いて、最終重合温度を260℃とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<比較例3> BCF/ISB
BCF 34.63質量部(0.091mol)、ISB 53.48質量部(0.366mol)、DPC 100.93質量部(0.471mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物4.03×10-3質量部(2.29×10-5mol)を用いて、最終重合温度を250℃とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
<比較例4> C−AO/BPA
C−AO 26.64質量部(0.070mol)、BPA 37.30質量部(0.163mol)、DPC 53.00質量部(0.247mol)、および触媒として炭酸セシウム3.80×10-3質量部(1.17×10-5mol)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃にし必要に応じ攪拌しながら、原料を溶解させた(約10分間)。溶解後、反応1段目の工程として220℃まで30分かけて昇温し、30分間常圧にて反応した。次いで圧力を常圧から13.3kPaまで60分かけて減圧し、13.3kPaで45分間保持し発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。
次いで反応2段目の工程として加熱槽の温度を30分かけて280℃まで昇温しながら、圧力を0.10kPa以下まで30分かけて減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜出した。所定のトルクに到達後、反応を終了し、生成したポリマーを水中に押し出して、ポリカーボネート樹脂のペレットを得た。
前述の方法にて、得られたポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や溶融粘度、各種フィルム物性を測定した。結果を表2に示す。
<参考例1> BHEPF/BPA
BHEPF 80.49質量部(0.184mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)13.23質量部(0.058mol)、DPC53.29質量部(0.249mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物1.28×10-3質量部(7.25×10-6mol)を用いて、最終重合温度を260℃とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
<参考例2> BCF/BPA
BCF 61.79質量部(0.163mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)30.49質量部(0.134mol)、DPC 67.40質量部(0.315mol)、および触媒として酢酸カルシウム1水和物2.61×10-3質量部(1.48×10-5mol)を用いて、最終重合温度を280℃とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 0006398242
Figure 0006398242
Figure 0006398242
表1及び表2より、本発明の樹脂組成物は、低い光弾性係数、正の屈折率異方性を示し、Re450/Re550が1未満であり、所望の逆波長分散性を満足するものとなっている。また、耐熱性と溶融加工性を兼ね備えるのに最適なガラス転移温度を有している。
さらに、表3より、本発明の樹脂組成物は、仕込み時のモノマー組成と樹脂組成物中の繰り返し単位の組成のモル比(1H−NMRによる分析値)とのずれが0.3%以内であることから、所望の光学特性に調整し易く、光学特性の再現性が高いといえる。逆波長分散フィルムや1/4波長板の用途に用いるためには上記全ての物性を満たすことが望ましいことから、本発明の樹脂組成物は、これらの用途に好適であるといえる。
芳香環が縮環した環状ケトン骨格に起因する作用と、フルオレン骨格に起因する作用とを考察するために、それぞれの骨格のフェニル基に結合した側鎖が同じもの同士、すなわち、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル基を有するジオールモノマーと、4-ヒドロキシフェニル基を有するビスフェノールモノマー同士を比較することにする。
まず、表1に示すジオールモノマー同士の比較を行う。共重合モノマーの組成がほぼ等しい実施例1と比較例1を比較すると、実施例1の位相差比は0.66であるのに対して、比較例1の位相差比は0.89であることから、HP−AOを用いた実施例1の方が、逆波長分散性を発現する効果が高いといえる。ただし、実施例1の位相差比0.66は逆波長分散性が強く発現しすぎているため、実施例1のHP−AOの質量分率65.2%から実施例2の53.0%に減らすことで、特に好ましい位相差比0.91に調整することができる。また、比較例1と参考例1はどちらもジオールモノマーにBHEPFを用いているが、参考例1は比較例1と同等の位相差比を発現するためのBHEPFの質量分率が大幅に高い上に、光弾性係数も46×10-12Pa-1と高い値を示している。これは共重合モノマーとして芳香族性の基を有するBPAを用いていることが原因であることが考えられる。それに対して、実施例1、2の樹脂組成物は、共重合モノマーとして芳香族性の基を有するモノマーではなく、非芳香族モノマーを使用しており、さらに、その含有割合が全て50モル%以上と高いため、光弾性係数が好ましい範囲の40×10-12Pa-1以下となっていると考えられる。
次に、表2に示すビスフェノールモノマー同士を比較する。ビスフェノールモノマーと非芳香族モノマーのSPGの共重合体であり、共重合モノマーの組成がほぼ等しい実施例3と比較例2を比較すると、実施例3の位相差比は0.86であるのに対して、比較例2の位相差比は0.92であることから、P−AOを用いた実施例3の方が、逆波長分散性を発現する効果が高いといえる。また、ビスフェノールモノマーP−AOの共重合モノマーとして非芳香族モノマーのISBやCHDMを用いた実施例4と比較例3を比較すると、実施例4はP−AOの質量分率が比較例3より大幅に低いにも関わらず、位相差比が0.98で、逆波長分散性を示したのに対し、比較例3は位相差比が1.00で、逆波長分散性を示さなかった。さらに、比較例3のフィルムは脆く、靭性は低いものであったが、実施例4のフィルムは高い靭性を示すことが明らかになった。実施例5では実施例4よりもP−AOの割合を高め、位相差比を0.94と好ましい範囲に設定してもフィルムの靭性は失われなかった。実施例6は実施例3よりもP−AOの質量分率が高いため、実施例3よりも強い逆波長分散性を示す。
ビスフェノールモノマーC−AOは、P−AOのフェノキシ基の2位にメチル基を持つ構造であるが、共重合モノマーの組成がほぼ等しい実施例7と実施例5を比較すると位相差比も、光弾性係数もほぼ同等であると言える。このことから、置換基を有していても同等の光学特性が期待できると考えられる。
位相差比がほぼ等しい実施例5、実施例7と実施例8を比較すると、実施例5と実施例7の芳香族モノマーの質量分率は30質量%であるのに対して、実施例8の質量分率は40質量%であることから、P−AO及びC−AOはP−ANよりも逆波長分散性を発現する効果が高いビスフェノールモノマーといえる。
表1及び、表2の結果から、樹脂組成物中の割合がより少ない量で逆波長分散性が発現できるという観点では、ジオールモノマーよりもビスフェノールモノマーの方が優れていることが分かる。一方で、ジオールモノマーは、樹脂組成物中の割合が比較的少ない量で逆波長分散性が発現できる上に、フィルムの靭性という観点では、ビスフェノールモノマーを用いたフィルムは脆くなりやすいのに対して、ジオールモノマーを用いたフィルムは適度な柔軟性を有し、優れた靭性を示すことが分かる。
また、ビスフェノールモノマーにBCFを用いた比較例3と参考例2を比較すると、ジオールモノマーの比較例1と参考例1を比較した場合と同様に、共重合物に芳香族性の基を有するBPAを用いている参考例2の方が、同等の位相差比を発現するためには、多くのビスフェノールモノマーを必要とし、かつ、光弾性係数が高いことが確認された。
さらに、ビスフェノールモノマーとしてC−AOを有し、共重合モノマーとして芳香族性の基を有するモノマーであるBPAを用いた比較例4は非常に脆く、延伸フィルムを作成することができず、光学特性の評価をすることができなかった。以上のことから、共重合モノマーとして非芳香族モノマーを用い、その割合を高めることで、逆波長分散性を効率よく発現したり、光弾性係数を低下させたり、フィルムの靭性を高めたりすることが期待できる。
その中でも特に、共重合モノマーが非芳香族モノマーである実施例3のSPGや実施例6のTCDDMを共重合物に持つ場合には、フィルムの靭性という観点では、実施例4や実施例5のISBやCHDMを共重合物に持つ場合と比較して、フィルムが脆くなり、靭性を失う傾向にあるが、光弾性係数の観点では、光弾性係数を低下させる傾向にある。
上述のように実施例の骨格を有するモノマーを用いた方が、比較例の骨格を有するモノマーを用いるよりも、少ない添加量で所望の光学特性が得られる。さらに、共重合モノマーとして、非芳香族モノマーを用い、その割合を高めることで、柔軟性の付与や、光弾性係数の低減など、求められる物性に応じた樹脂設計が可能である。
このことより、本発明のケトン基を有する2価の芳香族基の特定の繰り返し単位と非芳香族基の繰り返し単位を有する重合体からなる、又は該重合体を含有する樹脂組成物は、少ないケトン基を有する2価の芳香族モノマーの質量及び/又はモル分率で、各種光学物性や耐熱性及び溶融加工性といった種々の物性を達成できる傾向があることを示している。

Claims (18)

  1. 下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で
    表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有し、かつ、連結基としてカーボネート結合
    を有するポリカーボネート重合体からなる、又は該ポリカーボネート重合体を含有する樹
    脂組成物であって、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記一般式(
    2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合が50モル%以上であること
    を特徴とする樹脂組成物。
    Figure 0006398242

    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキ
    ル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数
    1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリ
    ールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり、R3は、置換されていても
    よい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン
    基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、Xは芳香環が縮
    環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造を
    表し、pは0以上の整数値を示し、qは0〜4の整数値を示し、rは0〜4の整数値を示
    す。ただし、pが2以上である場合、各R1は同一であっても異なっていてもよく、qが
    2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 0006398242

    (式中、R10は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていても
    よい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基、又は置換されていてもよい炭素数3〜20
    の脂環構造若しくはヘテロ原子を含む環状構造を持つ基を示す。)
  2. 下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位、及び下記一般式(2)で
    表される2価の非芳香族基の繰り返し単位を有し、かつ、連結基としてカーボネート結合
    を有するポリカーボネート重合体からなる、又は該ポリカーボネート重合体を含有する樹
    脂組成物であって、樹脂組成物全体に含まれる全ての繰り返し単位に対する2価の芳香族
    性の基の繰り返し単位(ただし、下記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し
    単位を除く)の含有割合が50モル%未満であることを特徴とする樹脂組成物。
    Figure 0006398242

    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキ
    ル基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリール基、置換されていてもよい炭素数
    1〜10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基若しくはアリ
    ールオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり、R3は、置換されていても
    よい炭素数1〜10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4〜10のアリーレン
    基、又は置換されていてもよい炭素数6〜10のアラルキレン基であり、Xは芳香環が縮
    環した炭素数12〜22(2つのフェニル基が結合した炭素を含む)の環状ケトン構造を
    表し、pは0以上の整数値を示し、qは0〜4の整数値を示し、rは0〜4の整数値を示
    す。ただし、pが2以上である場合、各R1は同一であっても異なっていてもよく、qが
    2以上である場合、各R2は同一であっても異なっていてもよい。)
    Figure 0006398242

    (式中、R10は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキレン基、置換されていても
    よい炭素数2〜50のアルキレンエーテル基、又は置換されていてもよい炭素数3〜20
    の脂環構造若しくはヘテロ原子を含む環状構造を持つ基を示す。)
  3. 前記樹脂組成物に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記一般式(2)で表される2
    価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合が10モル%以上であることを特徴とする請求
    項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記一般式(1)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位として、下記式(1A)〜
    (1C)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位の少なくともいずれか1つを含むこと
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 0006398242

    (式中、r1は0〜4の整数値を示し、p1は0〜6の整数値を示し、R1、R2、R3及び
    qは、前記一般式(1)と同じである。)
    Figure 0006398242

    (式中、r2は0〜4の整数値を示し、p2は0〜8の整数値を示し、R1、R2、R3及び
    qは、前記一般式(1)と同じである。)
    Figure 0006398242

    (式中、r3は0〜4の整数値を示し、p3は0〜8の整数値を示し、R1、R2、R3及び
    qは、前記一般式(1)と同じである。)
  5. 前記一般式(1A)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位において、r1が0であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記一般式(1B)で表される2価の芳香族基の繰り返し単位において、r2が1であ
    ることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  7. 前記一般式(2)で表される2価の非芳香族基の繰り返し単位が、下記式(3)〜(7
    )から選ばれる少なくとも1種の2価の非芳香族基の繰り返し単位であることを特徴とす
    る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 0006398242

    Figure 0006398242

    (上記式(4)中、R11は置換されていてもよい炭素数1〜6の直鎖状アルキレン基を示
    す。)
    Figure 0006398242

    (上記式(5)中、R12は置換されていてもよい炭素数3〜20のシクロアルキレン基を
    示す。)
    Figure 0006398242

    (上記式(6)中、R13は置換されていてもよい炭素数2〜10のアルキレン基を示し、
    sは1〜20の整数である。)
    Figure 0006398242

    (上記式(7)中、R16は置換されていてもよい炭素数2〜20のアセタール環を有する
    基を示す。)
  8. 前記樹脂組成物に含まれる全ての繰り返し単位に対する前記一般式(2)で表される2
    価の非芳香族基の繰り返し単位の含有割合%が95モル%以下であることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 正の屈折率異方性を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂
    組成物。
  10. 波長450nmで測定した位相差(Re450)と波長550nmで測定した位相差(
    Re550)の比が下記式(8)を満足することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1
    項に記載の樹脂組成物。
    0.5 < Re450/Re550 < 1.0 (8)
  11. 塩素原子の含有割合が100質量ppm以下であることを特徴とする請求項1〜10の
    いずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記重合体が、下記一般式(30)で表されるジヒドロキシ化合物と下記一般式(40
    )で表されるジヒドロキシ化合物と下記一般式(9)で表される炭酸ジエステルとを溶融
    重縮合して得られることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物

    Figure 0006398242

    (式中、R 〜R 、p、q及びrは、前記一般式(1)と同じである。)
    Figure 0006398242

    (式中、R 10 は、前記一般式(2)と同じである。)
    Figure 0006398242

    (式中、A5およびA6は、それぞれ置換もしくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族炭化水
    素基または置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基であり、A5とA6とは同一であっても
    異なっていてもよい。)
  13. Na、K、Cs及びFeの含有割合の合計が3質量ppm以下であることを特徴とする
    請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 前記一般式(9)で表される炭酸ジエステルより生成するモノヒドロキシ化合物の含有
    割合が1500質量ppm以下であることを特徴とする請求項12又は13に記載の樹脂
    組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の樹脂組成物を製膜してなることを特徴とするフ
    ィルム。
  16. 請求項15に記載のフィルムを少なくとも一方向に延伸して得られることを特徴とする
    延伸フィルム。
  17. 請求項16に記載の延伸フィルムを用いることを特徴とする逆波長分散フィルム。
  18. 請求項17に記載の逆波長分散フィルムを用いることを特徴とする1/4波長板。
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