JP6397161B2 - ヒトの関節痛緩和組成物およびその製造方法 - Google Patents

ヒトの関節痛緩和組成物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、経口摂取により、関節痛の自覚症状を緩和することができる関節痛緩和組成物および該関節痛緩和組成物を含む機能性食品に関する。
近年の平均寿命の高年齢化や生活習慣の変化に伴い、加齢や肥満に起因する関節痛を訴える人が増加しており、社会問題の一つになっている。これまで、関節痛に対する治療方法として、消炎鎮痛剤を摂取したり、リハビリテーションや温熱療法等の理学療法などが行われているが、これらの療法には専門的知識が必要となり、また、副作用や苦痛を伴うこともある。そのため、副作用や苦痛が伴わないで処置できる経口組成物、機能性食品の開発が進められている。
関節痛緩和に効果がある機能性食品として、グルコサミンを含む機能性食品が注目されている(例えば、特許文献1、2参照)。関節痛の原因の一つとして、関節の軟骨が消耗することが挙げられるが、グルコサミンは、軟骨を形成するプロテオグリカンの生成を促進する働きがあるとされている。しかしながら、特に問題となる炎症による痛みの削減に対する直接的な効果は弱いと考えられる。
一方で、生薬由来の成分は、解熱作用、鎮痛作用、抗炎症作用、抗酸化作用、血行促進作用、体温上昇作用を有することが知られており、従来より世界各地で香辛料や民間薬として広く使用されている。
例えば、ショウガは、食品や香料として利用されるだけでなく、薬味や生姜湯など風邪や冷え症等の予防・改善用に飲用されてきた。特許文献3には、特定のペプチドとショウガを組み合わせた健康食品が疲労回復、代謝活性促進、血流改善の改善などに有効であることが記載されている。
ショウガは、下記式(1)のジンゲロール類や、下記式(2)ショウガオール類が有効成分として含有し、それぞれに薬理的作用があることが知られている。
Figure 0006397161
Figure 0006397161
ショウガは生の未加工の状態では、その主体はジンゲロール類であり、ショウガオール類はごくわずかしか存在しないが、乾燥処理や加熱処理によってショウガオール類の量が増加し、ジンゲロール類の量が減少することが知られている。例えば、本出願人は、特許文献4にてショウガを加熱処理や発酵処理することによるショウガオールの富化方法を報告している。
ショウガを利用した関節痛の予防・改善作用に関する検討として、特許文献5には、ショウガを含む生薬の抽出物からなる漢方薬が開示されている。
しかしながら、ショウガの効能は経験的なものに基づき、科学的根拠が十分に明らかにされていないことが多く、ショウガに含まれる成分による関節痛緩和作用についての詳細な知見はないのが実状である。
また、ショウガに含まれる成分は、刺激性が強いため、その風味が嗜好上問題となる場合がある。この刺激的な風味を抑えるために、ショウガとその他の成分とを組み合わせた機能性食品として摂取されることが多い。
機能性食品にショウガ成分を添加する場合には、ショウガに含まれる有効成分が希釈される。したがって、従来のショウガを使用した機能性食品では、含有されるショウガの有効成分量が不十分なため、関節痛を緩和する作用が弱く、多量の摂取が必要になってしまう。また、所望とする効果を得るためには、長期間服用し続ける必要があるなどの必要があった。
特開2000−53569号公報 特開2006−176460号公報 特開2007−222116号公報 特開2011−32248号公報 特開平6−107556号公報
このように、関節痛の緩和作用を有する有効な組成物が求められている。
かかる状況下、本発明の目的は、安全で嗜好的にも優れ、日常的に経口摂取のしやすい、ショウガを原料とした関節痛緩和組成物および機能性食品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ショウガを特定の条件で発酵させることで得られる発酵ショウガをさらに加熱した加熱発酵ショウガが優れた関節痛緩和作用を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 原料発酵ショウガを加熱して得られる、加熱発酵ショウガを含有する関節痛緩和組成物。
<2> 前記加熱発酵ショウガが、原料発酵ショウガを、温度30℃〜90℃、湿度50%〜90%の条件下で加熱することによって得られてなる前記<1>記載の関節痛緩和組成物。
<3> 前記加熱発酵ショウガが、原料生ショウガと、微生物を利用して動植物由来の原料を発酵させた発酵物を含む発酵液、あるいは該発酵液からの抽出液と混合して熟成することにより製造されてなる前記<1>又は<2>に記載の関節痛緩和組成物。
<4> 形態が、顆粒状、カプセル状、タブレット状又は液状である前記<1>から<3>のいずれかに記載の関節痛緩和組成物。
<5> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の関節痛緩和組成物を含有する機能性食品。
<6> 茶、またはゼリーである前記<5>記載の機能性食品。
本発明によれば、従来のショウガ加工品に比し、優れた関節痛緩和作用が認められる関節痛緩和組成物が提供される。該関節痛緩和組成物を含有する機能性食品は、安全で嗜好的にも優れ、日常的に経口摂取しやすい。
コントロール、実施例(加熱発酵ショウガ)及び比較例(乾燥ショウガ)のVAS評価結果(被験者9名)を示す図である。
本発明は、加熱発酵ショウガを含有する関節痛緩和組成物に関する。
なお、本発明において、「関節痛」とは、肘、膝、肩等の痛み以外にも、腰痛、肩こりなども含むものとする。
本発明の関節痛緩和組成物に含まれる加熱発酵ショウガは、原料である原料発酵ショウガを、加熱処理したものである。
加熱発酵ショウガは、生ショウガを乾燥させた乾燥ショウガ、生ショウガを発酵させた発酵ショウガなどの従来のショウガ加工品と比較すると、関節痛を緩和する作用が大きいため、該加熱発酵ショウガを含む関節痛緩和組成物を摂取することで、関節痛の予防・改善に直接的に効果的である。
加熱発酵ショウガが、優れた関節痛の緩和作用を有する原因については、いまだ詳細が明らかでないが、未加工の生ショウガ、生ショウガを乾燥させた乾燥ショウガ、生ショウガを発酵させた発酵ショウガと比較してショウガオール類を多く含有することから、ショウガオール類が何らかの形で寄与していることが推測される。
なお、発酵ショウガの原料となる生ショウガは、ジンゲロール類を主成分としておりショウガオール類の含有量は微量であるが、ショウガを発酵させたのち、加熱する過程を経ることにより、ショウガオール類の量を増加させることができる。
本発明の関節痛緩和組成物における加熱発酵ショウガには、上記式(2)で表されるショウガオール類の中でも、n=4に相当する6−ショウガオールが多く含まれる。
本発明の関節痛緩和組成物は、関節痛を緩和する作用に優れるため、従来のショウガ加工品がショウガの効能を得るために長期間の摂取を必要としていたのに対し、長期間摂取しなくとも、関節痛緩和効果が認められるという利点もある。
また、本発明の関節痛緩和組成物は、安全で嗜好的にも優れ、日常的に経口摂取しやすいため、顆粒状、カプセル状、タブレット状又は液状などの形状でそのまま摂取するだけでなく、各種の茶、ゼリー等の食品、飲料と混ぜて機能性食品とすることで、長期的に摂取することも容易である。
以下、本発明につき、より詳細に説明する。
発酵ショウガの原料となる原料生ショウガは、ショウガ科植物由来の原料であればよく、金時生姜、三州生姜、近江生姜、谷中生姜、黄生姜、土生姜、オタフク生姜、黒生姜等が挙げられる。その中でも、金時生姜や三州生姜は、加工前の生の状態でのジンゲロール類の含有量が多く、発酵により該ジンゲロール類が変化して生成するショウガオール類の含有量が多くなるため好ましい。
原料生ショウガは、形状や種類は限定されることなく任意のものを使用でき、事前処理せずに根茎をそのまま使用することができるうえ、スライス、粉砕、圧搾またはすりおろす等により、細粒物として使用することもできる。
本発明の関節痛緩和組成物において、発酵ショウガの発酵方法は特に限定されないが、原料生ショウガを、微生物を利用して動植物由来の原料を発酵させた発酵物を含む発酵液、あるいは該発酵液からの抽出液に漬け込んだのちに熟成させてものであることが好ましい。発酵液中の微生物としては、乳酸菌、麹菌、酵母菌、枯草菌、酢酸菌等などが挙げられる。これらの微生物を1種類または2種類以上混合して使用しても良い。
このような発酵方法であると、ジンゲロール類を効率よくショウガオール類に変換することができるため、製造される発酵ショウガのショウガオール類が増加する。
上記微生物のなかでも、麹菌が好ましく、好適な麹菌としては、アスペルギルス属があり、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ウサミ、アスペルギルス・シロウサミ、アスペルギルス・カワチ、アスペルギルス・ソヤー、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・タマリ等が挙げられいずれも使用することができる。
発酵液の原料となる発酵物としては、植物由来の発酵物や、動物由来の発酵物のいずれも利用することができるが、植物由来の発酵物が好ましい。
植物由来の発酵物の原料となる植物は特に限定はなく、例えば、米、玄米、大麦トウモロコシ等の各種穀物あるいはそれら穀物の種子の発芽物;エンドウ豆、小豆、大豆等の豆類、キノコ類、レタス、キャベツ、ほうれん草、大根、カブ等の各種野菜;レモン、リンゴ等の果物;等が挙げられ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用しても良い。これら植物由来の原料は、生のまま使用しても良いし、蒸す、茹でる等の操作をした後、発酵しやすい最適な温度にしてから、微生物を加えて発酵させても良い。
また、コストが安く、市販されていて容易に入手可能である点から、納豆、玄米さらに、リンゴ酢やモロミや発酵後の絞り粕、例えばモロミの絞り粕である酒粕等を使用しても良い。
動物由来の発酵物としては、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの乳由来の発酵物も使用が好適である。特に牛乳は市販されており、安価で手に入りやすいので好ましい。
発酵液には、微生物が植物性原料や動物性原料を発酵した際に発酵時に生成される成分が含まれるが、これらの成分は、本発明の関節痛緩和組成物に発酵ショウガ由来の効能を与えるのみならず、該関節痛緩和組成物を含有する機能性食品に原料由来の風味を与えるため、発酵液の発酵物原料は、機能性食品の種類を考慮して適宜選択すればよい。
以下、本発明の関節痛緩和組成物の製造方法について説明する。
原料発酵ショウガの加熱条件は、発酵ショウガが熱劣化せずに、ジンゲロール類を効率よくショウガオール類に変化させることができる条件で選択される。
好適な条件としては、原料発酵ショウガを、温度30℃〜90℃、湿度50%〜90%の条件が挙げられる。このような条件で加熱することにより、ジンゲロール類を効率よくショウガオール類に変化させることができるため、加熱発酵ショウガ中のショウガオール類の含有量がより多くなる。
加熱時間は、ジンゲロール類が十分にショウガオール類に変化する時間であればよく、上記温度、湿度条件で通常120時間〜500時間程度である。特に低温から30℃から78℃に上昇させ、78℃を維持した状態で10日から2週間、湿度を約70%に保ち、熟成を行った後、徐々に温度と湿度を下げるのが好ましい。熟成が不十分な場合は、さらに加熱熟成を行ってもよい。
加熱方法としては、特に制限はなく、加熱の手段としては、蒸気加熱、遠赤外線等の電磁波を利用した加熱、電気ヒーター等の電熱機器を使用した加熱、直火、を利用した加熱等によって、淡褐色になるまで、温度30℃〜90℃、湿度50%〜90%の下で、120時間〜500時間加熱条件としては、加熱熟成後、1ヶ月間、約20℃の湿度の低い環境で乾燥・熟成を行うことが好ましい。
この発明の処理法によって富化したショウガオール類は安定して維持でき、しかも、ショウガオール類の含有量が、従来の抽出法によるものと対比して2倍以上、すなわち、ショウガ科植物の含有成分であるショウガオールとジンゲロールの比率は1:1〜30:1の組成の富化物とすることができる。
本発明の関節痛緩和組成物の形態は、特に制限されず使用する用途により適宜選択することができる。具体的には粉末状、顆粒状、カプセル状、タブレット状、グミ状、ガム状、キャンディー状、丸剤、錠剤状、棒状、板状、液状、クリーム状、軟膏状、シート状等の剤型・形態をとることができる。この中でも、顆粒状、カプセル状、タブレット状、液状であることが好ましい。
本発明の関節痛緩和組成物の摂取量は、対象者の年齢、性別などの個別差にもよって変化すると考えられる。摂取量が少な過ぎると代謝促進効果が十分発揮しないのはもちろんであるが、摂取量が多過ぎても加熱発酵ショウガの代謝促進効果が低下するベルシェイプ反応が臨床研究で認められる。
摂取量の好適範囲は、対象者の年齢、性別などの個別差にもよるが、加熱発酵ショウガ重量換算で、0.2〜3.0g/1日程度である。
一方、日常的に飲食することで、本発明の関節痛緩和組成物を摂取したい場合には、該食品、飲料に含有させて機能性食品としてもよい。
ここでいう「機能性食品」とは、一般食品に加えて、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、栄養保険食品等、健康の維持の目的で摂取する食品および/又は飲料を意味している。なお、機能性食品として製品化する場合には、食品に用いられる様々な添加剤、具体的には、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤漂白剤、防菌防黴剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料等を添加していてもよい。
本発明の機能性食品の対象となる、食品、飲料は特に限定されるものではないが、特にショウガの風味が加えられることが好適な食品、飲料が好ましい。例えば、食品として、ソーセージ、ハム、魚介加工品、ゼリー、キャンディー、チューインガムなどの食品類が挙げられる。また、飲料としては、各種の茶類、清涼飲料水、酒類、栄養ドリンクなどが挙げられる。この中でも、茶、ゼリーであることが特に好ましい。
本発明の関節痛緩和組成物は、このような食品、飲料に添加することにより、簡易に経口摂取することができる。また配合量を調節することにより代謝促進効果だけではなく薬味としても使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
玄米を発酵させて得られた玄米発酵物(酒粕)と水とを、重量比で1:9で、均一になるまで撹拌することによって、発酵液を調製した。
原料生ショウガとして、半分に切断した三州生姜(黄ショウガ)を使用した。
まず、ステンレス製の容器に、原料ショウガ100gと、上記方法で製造した発酵液60mLとを加え、発酵液中に生姜を浸漬して、常温で1日間保持することで、発酵ショウガを得た。
次いで、この混合物を、遠赤外線を熱源として備えた蒸し器に入れ、50時間かけて30℃から78℃に温度を上昇させ、78℃を維持したまま、湿度70%で300時間保持して蒸し込んだ。その後、この生姜を78℃から徐々に冷却し、50時間かけて室温に戻した。熟成工程に合計400時間を要した。熟成後、この生姜を1ヶ月間乾燥させることで、乾燥した加熱発酵ショウガを得た。
(生ショウガ及び加熱発酵ショウガの成分分析)
生ショウガ及び加熱発酵ショウガに含まれるジンゲロール類、ショウガオール類の含有量評価を行った。測定は、生ショウガ及び加熱発酵ショウガのそれぞれを、アセトニトリル/水=20/80の抽出媒にて抽出した抽出液のジンゲロール類、ショウガオール類の含量をサーモサイエンティフィック社製環境分析・食品ポジティブリスト用トリプル四重極型質量分析計(装置名:TSQ Quantum Access MAX)にて測定した。
その結果、生ショウガの抽出液成分から検出されたジンゲロール類、ショウガオール類は、6−ジンゲロール4900ppm、6−ショウガオール550ppmであり、加熱発酵ショウガ後の抽出液成分から検出されたジンゲロール類、ショウガオール類は、6−ジンゲロール350ppm、6−ショウガオール3700ppmであった。
(関節痛緩和テスト)
本発明の関節痛緩和組成物を用いて関節痛緩和テストを行った。また、比較のため、乾燥ショウガについても同様なテストを行った。
実施例の加熱発酵ショウガ、比較例の乾燥ショウガは、それぞれを粉末にし、カプセルに入れて用いた。
なお、乾燥ショウガは、原料生ショウガとして、三州生姜(黄ショウガ)を使用して以下のように製造した。
原料生ショウガを、50時間かけて30℃から78℃に温度を上昇させ、300時間保持して乾燥させた。その後、この乾燥物を78℃から徐々に冷却し、50時間かけて室温に戻した。熟成工程に合計350時間を要した。熟成後、この生姜を1ヶ月間乾燥させることで、乾燥ショウガを得た。
乾燥ショウガの含有成分を、上記に準じる方法で分析を行った結果、6−ジンゲロールが主成分であった。
(関節痛緩和テスト)
被験者として、関節に痛みを有し、消炎鎮痛剤の服用はしていない女性罹患者9名(平均年齢78.3±3.8歳)を選定した。
関節の痛みの変化は視覚的評価スケール(VAS,Visual Analogue Scale)を用いて評価した。VASは、10段階のスケールの左端を「痛みが無い」0とし、右端を「想像できる最高の痛み」10点としたとき、自覚する痛みの程度がどの程度に相当するかを、被験者にスケール上の一点で指し示してもらい、指示されたスケールの点数を調べる方法である。
テスト方法として、まず、コントロールとして、ショウガ組成物を摂取前の被験者9名のVASを評価した後に、比較例として乾燥ショウガを3.0g/日(1.0g/1回を1日3回)を1週間服用し、VASを評価した。次いで、乾燥ショウガの作用を除去するため、何も服用しないウォッシュアウト期間を一週間設けた後に、実施例として加熱発酵ショウガを3.0g/日(1.0g/1回を1日3回)を1週間服用し、VASを評価した。
表1に被験者9名それぞれのコントロール、実施例及び比較例のVAS評価結果を示す。また、図1に被験者9名における、コントロール、実施例及び比較例でのVASの平均点を示す。
なお、統計解析はコントロール、実施例(加熱発酵ショウガ)及び比較例(乾燥ショウガ)の摂取とVAS変化の関係性を検討するため、二元配置分散分析を行った。交互作用が認められた場合、各時間でボンフェローニ検定を行った。全ての有意水準P値は0.05とした。全ての統計解析には、統計パッケージのPASW Statistics 18を使用した。
Figure 0006397161
表1、図1からわかるように、実施例を摂取した場合、比較例と比較して、顕著にVASが減少していることが確認された。
また、図1に有意水準P値の評価結果を併せて示すが、コントロールに対する実施例又は比較例の有意水準P値は、それぞれ0.05未満であり、実施例(加熱発酵ショウガ)又は比較例(乾燥ショウガ)を3.0g/日を1週間摂取することにより、コントロールと比較し関節痛が統計的有意に減少することが認められた。
さらに、比較例と実施例を比較すると、有意水準P値は、0.05未満であることから、実施例による関節痛の緩和作用が、比較例より高いことが統計的有意に認められた。
このことから、実施例(加熱発酵ショウガ)は、比較例(乾燥ショウガ)を摂取する場合と比較して、関節痛の緩和に有効であることが確認された。
また、実施例の加熱発酵ショウガを摂取することによりVASが減少したばかりではなく、腰の動きが楽になった、足のこむら返りがなくなった、夜間の頻尿が減った、身体が温まった、喘息が楽になった、歩行が楽になった、眠れるようになったなどの意見を聞くことができた。
本発明によれば、優れた関節痛緩和作用を有する加熱発酵ショウガを含有する、関節痛緩和組成物及び機能性食品が提供される。

Claims (1)

  1. 加熱発酵ショウガを含有するヒトの関節痛(但し、炎症関節疾患による関節痛及び炎症を伴う非炎症性関節痛は除く)の緩和のための経口組成物の製造方法であって、
    金時生姜又は三州生姜から選択される原料生ショウガと、玄米を発酵させて得られた玄米発酵物(酒粕)と水とを、重量比1:9で、均一になるまで撹拌することによって得られる発酵液、あるいは該発酵液からの抽出液とを混合して熟成し、原料発酵ショウガを得る工程と、
    原料発酵ショウガを、温度30℃〜90℃、湿度50%〜90%の条件下で加熱することによって、6-ショウガオールが富化した加熱発酵ショウガを得る工程と、
    を有することを特徴とする製造方法。
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