JP6395388B2 - 磁気共鳴イメージング装置およびその制御方法 - Google Patents
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Description
MRI装置による撮像のために使用される電磁波に関する安全上の国際規格「IEC60601-2-33,3rd edition」がある。この国際規格によると、単位時間および単位質量あたりのRFパルスの人体への吸収量をSAR(Specific Absorption Rate)として定義し、SAR値の上限が設けられ、この上限を超えない撮像条件で撮像しなければならない。MRI装置による撮像において、撮像対象である人体に、SAR値の上限値を超える電磁波が照射されないように、電磁波の照射量に制限が求められており、安全面からこの規格に基づく制限を守ることが必要である。
RFパルスの出力を必要以上に低くすると、例えば撮像された画質が低下する恐れがある。また、前記安全率を小さくすると、撮像中にSAR値が事前に推定したSAR値の推定値を超え、SAR値の上限値を超える恐れが生じる。この場合は撮像を停止しなければならなくなる。もし撮像を途中で停止することになると、撮像作業をやり直すこととなり、作業効率が大幅に低下する。このため事前に、さらに高い精度でSAR値を推定することが可能なMRI装置およびその制御方法が望まれる。
図1は、本発明の一実施例であるMRI装置100の全体構成の概略を示すブロック図である。MRI装置100は、核磁気共鳴(以下NMRと記す)現象を利用して、寝台82の天板84に載置された被検体11の断層画像を撮像する装置である。MRI装置100は、静磁場発生源20と傾斜磁場コイル32とを備える磁場発生系30と、送信系40と、受信系50と、中央処理装置(以下CPUと記す)14や入出力装置90やガントリ備え付けディスプレイ(ディスプレイ)18や外部記憶装置61を有する信号処理系60と、寝台82を制御する寝台制御装置80と、シーケンサ12と、マーカ15を備える。
静磁場発生源20と傾斜磁場コイル32は、ガントリの中央部に形成された撮像空間において静磁場および傾斜磁場を発生する。被検体11は寝台82の天板84に載置された状態で、前記ガントリ内の前記撮像空間に導かれ、例えば静磁場発生源20と傾斜磁場コイル32とが発生する磁場が被検体11に加えられ、照射コイル48からRFパルスが被検体11に照射されることにより、被検体11の撮像位置の生体組織を構成する原子の原子核が励起され、NMR現象が誘起される。
NMR現象により原子核がNMR信号を発生し、被検体11に近接して設けられた受信コイル52により前記NMR信号が受信される。受信したNMR信号から画像が生成され、信号処理系60の出力装置96が有するディスプレイ98に表示される。なお出力装置96はディスプレイ98だけでなくプリンタ99やその他必要に応じて色々な出力装置を備えている。さらにガントリの近傍においても簡単な操作が可能となるように、ガントリには表示機能と共に例えばタッチパネル方式などの入力機能を持つディスプレイ18が設けられている。さらに寝台82にも入出力部190が設けられている。
入出力部190の機能は信号処理系60の機能と重複しているが、被検体11を天板84に載置する作業を行いながら、さらに入出力部190の操作や入力を行うことができる。なお入出力部190は主に寝台82の操作や情報の確認に重点が置かれているが、ディスプレイ18からも同様の表示や操作が可能である。
MRI撮像時には、例えば、スライス面すなわち撮像断面に直交する方向にスライス方向傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体11に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード方向傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード方向傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、NMR信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
例えば受信系50からディジタル化されたNMR信号が信号処理系60のCPU14に入力されると、CPU14は信号処理および画像再構成等の処理を実行し、被検体11の断層画像を生成する。
さらにCPU14はこの断層画像を出力装置96のディスプレイ98に表示し、また必要に応じあるいは操作に基づき、外部記憶装置61の磁気ディスク64あるいは光ディスク62に前記断層画像あるいは必要なデータを記憶する。
前記ガントリの近くで操作者が作業する場合に、作業に必要な情報をディスプレイ18に表示し、また表示内容に対応してディスプレイ18から指示や設定値などの入力を行うことができる。表示機能や入力機能を有するディスプレイ18は、入出力装置90の一部として動作し、入出力装置90と同様にCPU14に接続されており、CPU14を介して必要な情報の表示および操作された入力情報の取り込みが行われる。この機能は、ガントリのそばで作業する操作者にとって大変便利であり、表示内容の確認や入力のために一々操作卓の所へ行く必要が無く、作業性の向上につながる。
ディスプレイ18は表示手段と入力手段とが一体に構成されており、ディスプレイ18の表示を見ながら、操作のための指示を行うことができる。なおディスプレイ18の表示内容とディスプレイ98の表示内容が重複していても良いし、ディスプレイ18からの入力に代えて、ポインティングデバイス92あるいはキーボード94から入力することができる。
次に、MRI装置100における被検体11のMRI画像の撮像の手順を説明する。本発明が適用されたMRI装置100は、被検体11にRFパルスを照射して撮像を実施する前に、入力された被検体の情報や撮像のための設定内容と予めMRI装置が有しているSAR値の演算データからSAR値を算出し、この算出されたSAR値がIEC60601-2-33,3rd editionなどに基づいて設定された規定値を超えないように撮像条件を設定する。その上で被検体11にRFパルスを照射して撮像を実施する。このようにすることにより、撮像の実施中にSAR値の規定値を超過することに起因して、撮像作業が中止されることによる作業性の著しい低下を防ぐ効果的が得られる。
撮像条件表示部820は撮像条件を表示すると共に、表示されている条件を修正する場合、あるいは新たに条件を入力する場合にも利用できる。例えば表示されているスキャン位置834をカーソル150で選択して移動することで、スキャン位置834を変更できる。また繰り返し時間(TR)852の数値をカーソル150で選択し、新たな数値を入力することで、繰り返し時間(TR)852の条件を変更できる。さらにカーソル150で対象項目あるいは表示画像上の位置を指定して入力操作を行うことにより、新しく入力することができる。例示した項目や位置以外の他の部分に関しても同様である。
各スキャン名152は入力された部位名あるいは撮像位置に対して付される。撮像位置に対してはスキャン名152を付さないで部位に対してスキャン名152を付してもよい。しかし本実施例では部位に対応するだけでなく、必要に応じてさらに細かい指示位置に対してスキャン名152を付している。ここで指示位置は例えば、撮像のために寝台82を停止する停止位置とすると撮像作業の管理上あるいは撮像のための操作においてたいへん便利である。例えば頭部に対して少し離れた撮像箇所を複数個所撮像する場合に、同じ部位である同じ頭部であってもそれぞれの撮像箇所に対応して寝台82を動かして、MRI装置の撮像空間における撮像箇所の位置調整を撮像箇所ごとに行う。
寝台82の停止位置ごとにスキャン名152を付すことで、停止位置ごとに寝台82の位置を含めた撮像条件を設定できる。また発明者の研究結果では、撮像位置毎に被検体11に吸収されるSAR値がかなり異なる場合があり、SAR値を高い精度で管理するには、寝台82の停止位置を前記指示位置として、寝台82の停止位置ごとにスキャン名152を付すことが好ましい。
寝台の位置を含めた撮像条件を以下スキャンセットと記す。各スキャンセットはそれぞれスキャン名152で管理される。なおMRI装置100を含むシステムでは、被検体11を特定すると撮像された結果である画像や関係するスキャン名152を外部記憶装置61から読み出すことができ、読み出されたスキャンAのリストから各スキャン名152を特定することで、撮像条件やそのときのSAR値を読み出すことができる。
必要に応じ撮像条件表示部820の空欄項目に撮像条件を入力することが可能であり、既に表示されていても新たな入力操作で、撮像条件を変更することができる。撮像条件表示部820に表示される撮像条件は、選択されたスキャン名152とリンクしており、これらはリンクされた状態でMRI装置100における撮像など、色々な動作やそのための制御において、関連づけられた状態で取り扱われる。
この明細書では、各スキャン名152とリンクする撮像条件などを含む、関係する一連の設定条件や設定値などの集合体をスキャンカードと記しまた各スキャン名152をスキャンカード名152と記す場合がある。MRI装置100はスキャンカード名152の下に撮像条件などの関連する情報が集合体として取り扱われる。このようにすることで、各スキャン名152を特定することにより、撮像条件を含むいろいろな設定値を簡単に読出して確認や変更でき、またメモリ66または外部記憶装置61への書き込みや、撮像動作の実行、を行うことができる。このことで制御や管理、撮像動作が行い易くなる。
なお、寝台位置856を表す位置情報は、例えば磁場中心からの相対位置であって、操作者が入力してもよい。また操作者が入力する代わりに、信号処理系60が位置決め画像と後述する撮像断面の位置等から演算に寝台82の移動位置を算出して、自動的に設定するようにしてもよい。なお同様に繰り返し時間(TR)852やエコー時間(TE)854に付いても、信号処理系60が演算した演算結果が設定されてもよいし、操作者が入力してもよい。撮像条件表示部820には撮像の動作を開始するための指令を行う撮像開始マーク860が表示されており、撮像開始マーク860を操作することにより撮像パラメータ表示部850で設定された条件に従って、撮像のためのスキャン動作が開始される。
またスキャン位置836も新たに設定した位置に表示される。さらに新たなスキャン位置834やスキャン位置836の仮の断面画像838が表示される。位置決め画像832は、被検体11の外観形状や寝台82と被検体11との位置関係を特定する目的の画像であり、詳細な断面を撮像するための画像でない。そのため表示される断面画像838は詳細な画像ではなく、断面画像イメージを把握するための極めて大まかな画像である。しかし撮像したい位置が適切に設定されたかを確認することが可能であり、たいへん役立つ。
図2では、位置決め画像832として位置決めのための画像(以下スキャノグラムと記す)が表示されており、カーソル150により選択されたスキャン位置に基づく仮の断面画像838ではスキャノグラムの断面画像が表示される。このように特定のスキャン名をカーソル150で選択すると選択されたスキャン名にリンクする撮像条件が撮像条件表示部820に表示され、撮像条件表示部820の位置決め画像表示部830には設定されたスキャン位置が表示される。選択されたスキャン名のスキャン位置を複数個設定している場合には、各スキャン位置を表すための複数個のスキャン位置834やスキャン位置836が表示される。
これら複数個のスキャン位置834あるいは複数個のスキャン位置836から特定のスキャン位置を選択することで撮像される画像の状態を予め確認することができる。このようにスキャンリストに基づく撮像が実際に行われた場合の被検体11の撮像画像の状態を確認することができ、撮像の信頼性を向上することができる。
このため部位ごとに、あるいはさらに詳細に寝台82の移動を撮像のために停止する停止位置毎に、SAR値を予測演算して求め、SARの予測値に基づいて撮像条件を定めることが望ましい。寝台82の停止位置毎にSAR値を予測演算してSAR値を管理することにより、寝台82の停止位置毎に撮像する撮像条件を、SAR規定値を守りながら、より適切により高精度に設定することが可能となる。スキャン名152を寝台82の停止位置に対応させて定めることにより、寝台82の停止位置毎の撮像条件のきめ細かく設定でき、例えばRFパルスの照射出力をより高い精度で設定することが可能となる。
図2および図3を用いてMRI装置100の撮像条件の設定動作を説明する。図2は、選択されたスキャン名152の撮像条件を設定するために、あるいは設定された撮像条件を表示するために、ディスプレイ98に表示される画像であり、図3は撮像条件を設定するために信号処理系60が動作する内容を示すフローチャートである。図3のステップS102で、キーボード94あるいはポインティングデバイス92を用いて、被検体11に関する情報が入力される。これらの入力の操作は、ガントリに備え付けられたディスプレイ18から行うこともできるし、寝台に備えられた入出力部190を使用して行うことも可能である。新たな情報の入力であっても良いが、以前に入力されたデータを読み出してその一部または全部を使用するようにしても良い。さらに新たな情報を入力すると、過去に入力された情報が存在する場合には、過去に入力された情報が入力された新たな情報に変更される。
このステップS104では、例えば被検体11を寝台82の天板84に載置して固定し、被検体11の部位の基準位置、例えば中心に、レーザーを発するマーカ15を固定する。マーカ15からのレーザーで指定された被検体11の部位の基準位置の位置情報が寝台制御装置80に送信され、この位置情報に基づいて寝台82の天板84が移動し、マーカ15で指定された被検体11の基準点が磁場の基準位置である磁場中心に来るようにしても良い。このようにして被検体11のマーカ15で指定された位置と、MRI装置100との位置関係を定めることができる。
しかし安全性をより向上するために、スキャノグラムの撮像においても以下で説明する手順を踏んで、SARが規定値を超えることが無いかどうかなどの確認を行った上で、スキャノグラムの撮像を行うことにより、安全性をより向上することができる。また撮像途中にSAR値が設定値を超えることによる撮像の停止などの異常事態を防ぐことができる。
上述の例では、入力された検査部位が頭部、胸部、胸部、腹部、足部であり、信号処理系60はこれら各部位に対してそれぞれ、記憶されている各部位の標準身長に対する標準位置の情報とステップS102で入力された被検体11の身長とから、部位の位置を演算により求め、演算で求めた位置に各部位順に移動してくるように寝台制御装置80を介して寝台82の天板84が移動する。それぞれの寝台位置で対応する部位のスキャノグラムの撮像が行なわれる。撮像された各部位の2次元あるいは3次元のスキャノグラムの画像を、信号処理系60は内部メモリ66あるいは光ディスク62、磁気ディスク64に記憶する。
信号処理系60は、先にステップS102で入力された各部位名に対してあるいは寝台位置に対して、それぞれスキャン名を割り付けし、割り付けられたスキャン名のリストを内部メモリ66の撮像条件記憶部606に記憶する。ステップS112で記憶されている内部メモリ66からスキャン名のリストを読み出し、図2に示すスキャンリスト表示部810に表示する。ステップS114で、このスキャン名のリストから操作者によりあるいは信号処理系60の動作によりスキャン名が選択されると、選択されたスキャン名に関して既に設定されている撮像条件が存在すれば、撮像条件表示部820に表示される。
なおこれらの条件が入力される以前は、表示エリアが確保されているが条件の表示欄は空欄である。表示欄をカーソル150で指定することで、入力する項目を選択できる。選択された項目に条件が入力されると入力された内容が表示され、確定などの操作により設定される。信号処理系60により自動的にスキャン名が選択される場合は所定の順番で、例えば最初にリストの先頭のスキャンAが選択される。
ステップS122で、表示された位置決め画像832に、スキャンAで撮像するスキャン位置を先ず1つ入力する。この実施例では位置決め画像832としてスキャノグラムを用い、スキャノグラムを表示してスキャン位置の入力およびその設定を行う例であるが、スキャノグラムの使用は必ずしも必須ではなく、部位を表す標準的な画像やパターンを用いても良い。
例えばステップS102で被検体11の身長などの情報が入力されているので、標準的な部位の画像を必要に応じて被検体11の身長などの特徴により補正して使用しても良い。ただスキャノグラムを用いることでより正確にスキャン位置を設定できる効果がある。
2次元表示された位置決め画像832のそれぞれに対してスキャン位置を入力することで撮像面であるスキャン位置が決定される。そして入力された撮像面のイメージが仮の断面画像838として表示される。このようにしてスキャン位置834の1つおよび対応するスキャン位置836の一つが入力され、確定の操作によりスキャン位置の1つが設定される。
この操作を繰り返すことにより、スキャン名で管理さる複数のスキャン位置をそれぞれ設定することができる。なお既に設定されたスキャン位置であっても、カーソル150で既に設定されたスキャン位置を選択することにより、選択したスキャン位置を移動あるいは削除することが可能となる。またポインティングデバイス92あるいはキーボード94を用いてスキャン位置を追加や変更するなど、再設定することが可能となる。
入力されたスキャン位置834やスキャン位置836の入力されたスキャン位置に対応して、イメージとしての仮の断面画像838が位置決め画像表示部830の画像表示部837に表示される。各スキャン名はスキャン位置が1つで構成される場合は稀であり、各スキャン名は複数のスキャン位置を備えこれら一連のスキャン位置をセットとして管理し取り扱うことが可能である。
(数2)で定義される身体部分SARとは、被検体の撮像部位すなわち撮像位置に吸収される電磁波のエネルギーを被検体の所望部位あるいは撮像位置の質量で割ったものである。(数3)で定義される頭部SARとは、頭部吸収率Rhを全身SARに掛け、頭部質量で割った値である。
ここで、上述したようにSAR規定値は超えてはいけないSAR上限値であり、これは所定の平均時間で規定される値である。このため、後述する待ち時間を長くすることで、SAR吸収率の時間平均が低下するため、各式で演算されるSAR値は上記SAR規定値よりも低くなって規定条件を満足するようになる。
SAR値842は選択されたスキャン名に対応して表示され、SAR規定値844もまた選択されたスキャン名に対応して表示され、SAR値842がSAR規定値844を超える条件で警告846が表示される。
このようにしてSAR規定値844を超えない条件で撮像条件を決定することができる。ステップS136で、予測演算結果がSAR規定値を超えないと判断した場合には、信号処理系60の実行がステップS139に移り、入力された撮像条件が設定され、また過去にステップS138で警告を発しこれにより警告欄848や警告846に警告が表示されていた場合には、対応する警告を消去する。仮に警告欄848に警告が表示された状態で、操作者が他のスキャン名152を選択すると新たに選択されたスキャン名152に関してステップS116からの手順が実行される。この場合は、警告が表示されたスキャン名152に関する撮像条件が改善されて、予測演算結果がSAR規定値を超えない状態とならない限り、警告の表示は消去されない。このため、SAR規定値844に関する安全性が維持される。
このようにして、スキャンリスト表示部810に表示された各スキャン名に対して撮像条件の設定がなされる。この後信号処理系60の実行は、図4で説明する撮像動作のフローチャートに移る。もし、警告欄848に警告表示されているスキャン名152が存在する場合には、ステップS140から実行がステップS114に移り、警告欄848に警告されているスキャン名152が選択され、予測演算結果がSAR規定値を超えない撮像条件の設定が行われる。各スキャン名により管理されるスキャン位置や撮像条件はスキャンカードとし、各スキャン名をファイルの単位として内部メモリ66や光ディスク62、磁気ディスク64に記憶され、保持および管理される。
スキャンリスト表示部810に表示されたスキャン名の順番は撮像順番を表しており、最初に先頭に位置するスキャン名が信号処理系60により選択される。信号処理系60は選択したスキャン名のスキャンカードを読み出し、読み出したスキャンカードの撮像条件に基づいてステップS306で寝台82を制御する。寝台82の制御は、信号処理系60から寝台制御装置80に制御指令が送られることにより行われ、被検体11の最初の撮像部位が撮像空間の基準位置である例えば傾斜磁場の中央に来るように、撮像条件に従って、寝台82の天板84が制御される。
選択された部位の撮像のために照射したRFパルスに基づきSAR演算部70がW-patientを計測し、計測したW-patientを使用して信号処理系60はステップS314で実測SAR値を演算する。しかし対象の部位のW-patientが存在しないばあい、あるいは対象の寝台位置LのW-patientが存在しない場合、ステップS314は、既に存在するW-patientの内の位置的に近いW-patient選択し、さらに撮像条件などの撮像スケジュールに基づき実測SAR値を演算する。W-patientを使用したSAR値の演算を以下実測SAR値演算と記す。また演算された結果を実測SAR値と記す。
図4の撮像動作とSAR監視動作とを、別々の異なるプログラムで行うことにより、SAR監視動作が撮像動作による制限を受け難い状態で実行することができ、上述した効果をより向上することができる。その動作を図5のフローチャートを用いて説明する。なお図4に記載の参照符号と同じ参照符号のステップは、略同じ動作をなし、略同じ効果を奏する。既に説明済の参照符号のステップにおいては説明を省略する。
ステップS302〜S308とステップS332〜S338の基本的な動作は既に説明済であり、詳細な説明を省略するが、ステップS304で撮像対象部位あるいは撮像を行う寝台位置に対応して付されたスキャン名のリストから順に撮像を行うスキャン名が選択され、ステップS306で選択されたスキャン名の撮像条件が検索されて、寝台82が制御され、さらにステップS308でRFパルスが照射されて撮像が行われる。選択されたスキャン名におけるスキャン位置の撮像動作が全て終了すると、ステップS336からステップS304に信号処理系60の実行が移り、ステップS304で次に撮像されるスキャン名が選択される。このようにしてスキャン名のリストに登録された全てのスキャン名に対する撮像動作を終了すると、ステップS338で信号処理系60は撮像終了の処理を行い、撮像動作を終了する。
監視プログラム370は、撮像プログラム360のステップS304で、スキャンリスト表示部810に記載のスキャン名が特定されると、特定されたスキャン名の情報を監視プログラム370はステップS352で受け取る。受け取ったスキャン名の情報を基に、監視プログラム370はステップS352でさらに実測SAR値を演算する対象のスキャン名をステップS304で受け取ったスキャン名とする。スキャン名の受け渡し方法は例えば、撮像プログラム360はステップS304で選択したスキャン名の情報を内部メモリ66の特定のアドレスに書き込み、監視プログラム370のステップS352で前記特定のアドレスから選択したスキャン名を読み出すことで、実現できる。
次に図3のステップS134で説明した予測SARの演算や、図4と図5のステップS312で説明した実測SAR値の演算について説明する。図6は、予測SAR値の演算や実測SAR値の演算に関係する情報の記憶状態を示すブロック図である。外部記憶装置61はMRI装置100の撮像動作に必要な色々なデータベースを含む情報を保持している。被検体情報や撮像条件が使用する色々な情報が外部記憶装置61必要に応じ内部メモリであるメモリ66に取り込まれる。しかし特にメモリ66に取り込まなくてもそのまま外部記憶装置61に対して読み出しや置き込みを行っても良い。しかし、一例として関係情報をメモリ66に取り込むものとして、以下説明する。
内部メモリ66や外部記憶装置61に保持されている上記データベースとして、例えば図7に示すデータベースや図8に示すデータベースがある。図7に示すデータベースは、RFパルスを照射したときのSAR吸収率の統計的な平均値、すなわち標準者を対象とした標準的な電磁波吸収率のデータベース、W-basicであり、図6に示すデータベースDB1である。また図8に示すデータベースは、被検体11に固有な電磁波吸収率W-patientのデータベースである。被検体11に固有な電磁波吸収率W-patientのデータベースは、被検体11に対して実際に照射したRFパルスに基づいてSAR演算部70により実測演算した実測の電磁波吸収率に関するデータベースであり、図6に示すデータベースDB2である。
従ってデータWbb1からデータWbb13の使用に当たっては、撮像する被検体11の個人的な身長に基づいて比例計算して、寝台位置L1から寝台位置L13のデータを、被検体11の個人の体格に合わせた値に変換して使用する。データベースDB1は、部位などの部位情報610あるいは寝台位置情報612をデータベースDB1の検索パラメータとしてW-basic情報614を検索することができる。また頭部吸収率Rh情報616は、寝台82の各停止位置に対応して、RFパルスの高周波エネルギーが頭部に吸収される吸収率Rhの平均的なデータであり、同じく部位などの部位情報610あるいは寝台位置情報612を検索パラメータとして検索により読み出すことができる。
また寝台82の停止位置を示す寝台位置L1から寝台位置L13は、標準的な人に対する寝台82の停止位置の値である。従ってデータWp1からWp13の使用に当たっては、使用する被検体11の身長に基づいて比例計算して、被検体11の体格に合った寝台位置L1から寝台位置L13のデータを演算し、その演算結果を使用する。ただ、図8に記載のデータベースDB2で、寝台位置L1から寝台位置L13の値を、平均的な値ではなく、撮像対象の被検体11に固有な値にしても良い。また頭部に対しては、寝台82の各停止位置に対応して、RFパルスの高周波エネルギーが頭部に吸収される吸収率Rhのデータが記憶されている。
またデータベースDB1やデータベースDB2は外部記憶装置61に保持される。もしメモリ66においてデータが修正されたり、あるいは追加されたり、あるいは新たに作成されたりした場合には、必要に応じメモリ66から外部記憶装置61に書き込まれ、保持される。その他外部記憶装置61には、必要なプログラムが保持されており、本明細書で説明するフローチャートを実行するためのプログラムも保持されている。
図3に記載のステップ134の詳細を、図9のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは信号処理系60が実行する動作を表しており、ステップS412で、入力されてメモリ66の撮像条件記憶部606に記憶されていた撮像条件に基づいて、信号処理系60は照射コイル48が照射するRFパルスのエネルギーPower seq(W)を演算する。さらにステップS414で、データベースDB1に記憶されている標準的な値である全身SAR用W-basicを部位あるいは寝台位置Lを検索パラメータとして検索する。
上述したように全身SAR用W-basicや部位SAR用W-basic、頭部SAR用W-basicに詳細に分けずに、全身SAR用W-basicや部位SAR用W-basic、頭部SAR用W-basicに対して同じ値を使用しても、予測SAR値を得ることができるが、ここでは部位あるいは寝台82の移動停止位置に基づく全身SAR用W-basicや部位SAR用W-basic、頭部SAR用W-basicを読み出すことができ、非常に精度の高いSAR予測値の演算が可能である。
図4や図5に記載のステップS314の詳細を次に説明します。SAR演算部70が、照射コイル48から実際に照射されたRFパルスのエネルギー吸収状態を実測し、実測値に基づき被検体11に実際吸収される吸収率W-patientを演算して求め、データベースDB2として記憶する。
各部位に対応してあるいは寝台82の各移動停止位置に対応して実測値に基づくW-patientのデータが図7に記載のように、内部メモリ66にデータベースDB2として記憶され、さらに外部記憶装置である例えば磁気ディスク64や光ディスク62に保持される。なお、本実施例ではW-patientの値が、部位に対応するだけでなく、各部位においてさらにスキャン位置が異なるために寝台位置を移動する場合の各停止位置に対応して計測されたW-patientのデータが保持されており、より精度の高い実測SAR値が得られる効果がある。
実測に基づくW-patientがデータベースDB2に存在する場合は、ステップS444でこのW-patientをデータベースDB2から検索により読出し、(数4)の演算に使用する。図8に示す如く、実測に基づくW-patientは部位を検索パラメータとして、あるいは寝台位置Lすなわち被検体11が配置されている位置を検索パラメータとして検索することができる。本実施例では、部位だけでなく寝台位置Lを検索パラメータとして実測に基づくW-patientを記憶しているので、撮像部位に適したW-patientを保持することができ、さらに寝台位置Lを検索パラメータとするW-patientを利用することができる、実測SAR値の演算精度を向上することができる。このことにより撮像条件の安全率(margin)を適切に設定でき、結果として、適切な撮像条件とくにRFパルスの照射エネルギーを適切に設定でき、撮像された画質がより向上する。
W-patientがデータベースDB2に未だ存在しない場合には、ステップS456で対象となる部位に近い部位のW-patient、あるいは対象となる寝台の停止位置に近い停止位置のW-patientを検索して読み出す。読み出されたW-patientをそのまま使用してステップS455で実測身体部分SARを演算しても良い。またステップS456で求めた、異なる部位あるいは異なる寝台位置のW-patientをそのまま使用するのではなく、ステップS457で補正して使用することでより精度を向上することが可能となる。
W-patientがデータベースDB2に存在しない場合には、ステップS466で対象となる部位に近い部位のW-patientあるいは対象となっている寝台位置に近い寝台位置のW-patientを検索して読み出す。読み出されたW-patientをそのまま使用してステップS465で実測頭部SARを演算しても良い。またステップS466で求めた、異なる部位のW-patientあるいは異なる寝台位置に対するW-patientをそのまま使用するのではなく、ステップS467で補正する。このように補正することで、そのまま使用するよりも精度の高い実測頭部SAR値を得ることができる。
図3で予測SAR値を演算して、撮像条件を含む設定した撮像スケジュールによる実際の撮像動作で、SAR値が規定値を超えるのを防止しており、仮に規定値を超える事態が発生するとあるいは規定値を超えることが予測されると、図4に記載のフローチャートでは、ステップS320で撮像を停止する。しかし、対象とする部位あるいは寝台停止位置でのMRI装置の撮像は、被検体11にとって必要であり、撮像を止めてしまうことができない場合が多い。従って撮像条件を適切に再設定して、撮像を再開することが望ましい場合が多い。この場合に、操作者が撮像条件の変更など撮像スケジュールの変更をおこない、さらに撮像を行うこととなる。このための実施例を図11に示す。
ただし、ステップS316の判断が行われたスキャン名152について既に警告846や警告欄848の警告表示がされていた場合には、先に発せられた警告の原因がステップS316の判断により解決されたことが確認されたために、ステップS511で、前記警告846や警告欄848の警告表示がそれぞれ消去される。また他のスキャン名152で警告が出ている場合には、警告が出ているスキャン名152の撮像条件を再設定して警告が出ているスキャン名152が無くなってから撮像動作に入ることが必要である。このためステップS512で、警告が出ているスキャン名152が無いかどうかを判定し、警告が出ているスキャン名が無い場合にステップS332に信号処理系60の実行が移る。
他のスキャン名で警告が出ている場合には、ステップS518で警告が出ているスキャン名152の撮像条件を直ぐに変更するかあるいは後で変更するかを、操作者に質問する表示を行い、操作者の判断に基づいてステップS520を実行するかステップS524を実行するかを決める。ステップS511やステップS518の動作の詳細や動作の目的については後述する。
この場合には、撮像条件表示部820の表示は新たに選択されたスキャン名152の状態の表示に変わる。その結果、前のスキャン名152に対する警告846の表示は消え、新たなスキャン名152の状態に従って警告846の表示が行われる。一方警告欄848は、スキャンリスト表示部810に記載されたスキャン名のリストの全体に対する警告状態の表示であり、選択するスキャン名152が切り替わっても警告欄848の警告表示は変化しない。
例えば複数のスキャン名152で実測SAR値がSAR規定値を超える状態では、警告の対象となる複数のスキャン名が警告欄848に表示される。なおこの実施例では警告の対象となる複数のスキャン名をスキャンリスト表示部810に表示しているが、警告欄848を他の場所に表示しても良い。どのスキャン名152が、警告が発せられている状態であるかを操作者に伝えることが極めて重要であり、上述のようにSARの条件を満たさない警告対象のスキャン名を表示することにより、撮像条件の設定の対応誤りを防止することができ、信頼性向上や安全性向上の点で大きな効果を奏する。
なお、スキャンリスト表示部810に表示されたスキャン名152について順に警告の有無を調べ、スキャンリストの全てのスキャン名の調査が完了した場合には、ステップS526で全てのスキャン名の調査の完了が判断され、信号処理系60の実行がステップS532に移る。全てのスキャン名の調査の完了を意味する表示がステップS532で行われ、ステップS520で警告の発せられたスキャン名に付いてその撮像条件の変更が開始される。
ステップS528で、スキャンリストの次のスキャン名であるスキャンBが選択される。スキャンBでは仮に警告が出なくてもステップS512からステップS518に実行が移り、ステップS524とステップS526を介してステップS528が実行され、次のスキャン名152であるスキャンCが選択される。選択されたスキャン名が警告を発する場合はステップS316で警告846や警告欄848におけるスキャン名の表示が行われる。そしてステップS316からステップS518を通り、ステップS524からステップS526をとおり、ステップS528が実行されて、選択されるスキャン名が順に更新される。選択されたスキャン名が警告を発することが無くても、ステップS512からステップS518を通り、ステップS528により選択されるスキャン名152が順に更新される。
最後のスキャン名152であるスキャンEまでの全てのスキャン名152に付いて、警告の有無を調べることが可能となる。さらに警告を発することになったスキャン名152では、全てステップS516が実行され、警告欄848に該当するスキャン名152が順に表示される。このため全てのスキャン名に付いての警告の有無の調査結果は警告欄848に表示され。操作者は警告欄848を見ることで全体の状況を把握できる。このように全体の状況を把握することで、計測条件をどのようにするかの参考とすることが可能となる。被検体11の状態が標準者のそれと非常に異なる場合には、参考となる。
本実施例では、図7や図8に示すデータベースDB1やデータベースDB2で、撮像対象である部位と共に寝台位置を検索パラメータとして使用している。また図2に記載の撮像パラメータ表示部850の欄にも寝台位置の入力欄および表示欄があり寝台位置856が表示される。この欄に入力されるあるいは表示される寝台位置は被検体11の撮像のための位置制御に使用される。図7や図8に示す寝台位置および撮像パラメータ表示部850の欄に入力あるいは表示される寝台位置は、標準者に対する寝台位置であっても良いし、被検体11の個人に対応した寝台位置であっても良い。
先に図3に記載のフローチャートを用いて、標準的なSAR吸収率のデータであるW-basicを使用した予測SAR値により、SAR規定値を満たす撮像条件の設定を行う実施例を説明した。しかし、標準的なSAR吸収率のデータであるW-basicの代わりに、撮像予定者の個人的なSAR吸収率であるW-patientを使用しても良い。
図12を用いて、撮像予定者の個人的なSAR吸収率であるW-patientを使用した実測SAR値を演算してSAR規定値を満たす撮像条件を設定する実施例を説明する。
これによりガントリ内の所定の位置に、被検体11の各部位がくるように寝台82を、部位または寝台位置データL1〜L13に従って制御することが可能となる。ステップS102で撮像する部位の入力を、部位を特定する寝台位置を入力することでも可能であり、また撮像する部位とスキャン位置を特定するための寝台位置の両方を入力しても良い。この場合は、入力された部位名と入力された寝台位置の情報とに基づいて寝台82の天板84が寝台制御装置80を介して制御される。
しかし、スキャノグラムを撮像するためのRFパルスの照射を利用して、W-patientを算出することによる、標準的なSAR吸収率であるW-basicと被検体11個人のSAR吸収率であるW-patientとの違いの基となる個人差の状態を把握できるので、スキャノグラムを撮像するためのRFパルスを用いて得られたW-patientを使用することにより、個人差に基づく誤差を低減できる。さらに標準的なSAR吸収率であるW-basicと被検体11個人のSAR吸収率であるW-patientとの両方のデータがあるので、スキャノグラムを撮像するためのRFパルスを用いて得られたW-patientの値を必要に応じて補正して使用するようにしても良い。
そして上述の動作が繰り返される。このようにして入力された全ての部位あるいは寝台位置に対してW-patientの計測がSAR演算部70により行われる。信号処理系60がSAR演算部70から取得したW-patientの値は、図8に示す如く部位あるいは寝台位置を検索パラメータとして記憶され、データベースDB2として内部メモリ66に保持される。なお図8では頭部から足部まで撮像部位として記載されているが、この実施例では、ステップS102で入力された部位名または寝台位置に対してSAR演算部70によりW-patientの実測が行われ、SAR演算部70により測定されたW-patientでデータベースDB2が作られる。
全てのスキャン名152の撮像条件の入力およびその設定が完了するまで、前記動作を繰り返す。撮像条件の設定が完了すると、ステップS140で、全てのスキャン名152の撮像条件の設定完了の判断がなされ、撮像のステップを実行する。撮像の動作は設定された撮像条件に基づいて行われ、具体的な説明は省略する。
上述した実施例では、入力されスキャンリスト表示部810に表示された各スキャン名152についてそれぞれ個々にSARの規制値を超えないかどうかを判断した。図13に記載する実施例は、複数の撮像動作すなわちスキャンのスケジュールを変えることで、SARの規制値を満足する撮像条件の設定方法に関する。なお、図13に記載の方法と、先に説明した方法とを併用しても良いことは当然である。またここで使用する「撮像動作のスケジュールを変えるとの概念」には、撮像が予定されているスキャン名の撮像を行う順番を変えるだけでなく、寝台82の移動速度を変えることや、寝台82の移動が停止してから撮像のためのRFパルスの照射までの時間を返る、などの概念を含んでいる。
ここでスキャン順番候補表示部880に表示される内容は、以下に説明の撮像スケジュール表示部870表示される内容と略同じである。撮像スケジュール表示部870に表示される内容とスキャン順番候補表示部880に表示される内容の大きな相違点は、撮像スケジュール表示部870の表示内容が以下に説明のステップS634で操作者が自ら入力した内容を表しており、スキャン順番候補表示部880の表示内容がステップS638において信号処理系60により自動的に演算された内容を表している点である。
図14の内容には、ステップS639の演算により得られた内容と同じ内容が追加されていて、ステップS639によるスキャン順番候補表示部880の表示内容は、図14の内容と同じである。ステップS640で、上述のスキャン順番候補表示部880の表示に従って撮像動作を開始するかどうかの判断を操作者が行う。スキャン順番候補表示部880の表示内容に基づいて、操作者が撮像動作を開始するかどうかの判断を行い、操作者が撮像動作を開始する場合には、操作者の指示により、信号処理系60の実行がステップS640からステップS626に移り、撮像動作が開始される。一方さらに撮像スケジュール等を変更したい場合には、操作者の指示により、ステップS640からステップS634に実行が移る。
項目654のスキャン名の順番は、図2に記載のスキャンリスト表示部810のスキャン名152の順番と一致しており、スキャンリスト表示部810のスキャン名152の順番を入れ替えたり、あるいは図14の項目654に記載のスキャン名の順番を入れ替えたりすることにより、撮像の順番を変更することができる。また、スキャンリスト表示部810や項目654のどちらかでスキャン名の順番を変更すると他の方もそれに合わせて自動的にスキャン名の順番が変更される。
この場合は、各寝台位置に対してスキャン名が付けられる。ステップS636で演算されたSARの演算結果が表示される。表示されるSARの演算値には、(数1)〜(数3)に基づいて演算された予測演算結果の場合があるし、さらにまた(数4)〜(数6)に基づいて演算された実測演算結果の場合がある。実際には各スキャン名に対してSARの演算結果は3種類であるが、省略して1つのみを記載している。なおSAR規定値として示している値は、超えてはいけないSAR規定値であり、各スキャン名に対して実際には3種類のSAR規定値があるが記載を省略している。
図14において、スキャンAの頭部の撮像の後、スキャンCの腹部の撮像を行い、次にスキャンBの胸部の撮像を行うと、寝台82の天板84の移動方向が切り替わり、移動が重複することになる。このため、スキャンBとスキャンCの撮像の順番を入れ替えると、寝台82の移動に伴う待ち時間が増加することとなる。しかし、待ち時間を増やすことで、単位時間当たりのRFパルスのエネルギーの吸収量であるSAR値を下げることができる。
単位時間当たりのRFパルスのエネルギーの吸収量であるSAR値を下げるために、待ち時間を増加させることが重要であり、撮像順番を変更しないでそのままにして、項目664の待ち時間を変更することも可能である。この場合は、例えばカーソル150で項目664の該当するスキャン名の待ち時間を指定し、待ち時間を長くする入力を行う。待ち時間を長くした場合に、例えば寝台82の天板84が待ち時間に合わせてゆっくり移動するように制御される。あるいは他の例として、寝台82の天板84の移動が終了しても待ち時間が経過するまでは、照射コイル48からのRFパルスの照射が行われないようにしてもよい。
この場合には待ち時間の値が減少する方向に変更される。このようにステップS634の処理により、項目664の待ち時間が増加の方向あるいは減少の方向に変更される。ステップS635で、新たに変更された撮像スケジュールに基づいて、項目662や項目664の合計時間や項目666の寝台82の移動速度や移動時間の合計が演算される。
このデータから逆に頭頂部が基準となり、頭部が傾斜磁場の中心に配置され、足部が傾斜磁場の中心から最も遠くに位置する状態(以下ヘッドファースト(Head First)と記す)のデータを簡単に演算により求めることができる。図15に示す標準者の部位データを使用し、必要に応じて撮像を行う被検体11の固有の部位位置の情報に、被検体11の身長情報などを使用して変換できる。図7や図8に示すデータベースDB1やデータベースDB2は、部位と寝台位置との関係や、寝台位置を検索パラメータとした場合のW-basicや頭部吸収率やW-patientの検索処理には、標準者を対象者とした寝台位置の値を使用することが望ましい。
従ってデータベースDB1やデータベースDB2を含むデータベースは、図15に示す標準者の身長や体格を基に作成されている。一方これらデータベースから検索されたデータを使用する場合には、標準者に基づく寝台位置を被検体11の個人の値に変換して使用する。
被検体11の撮像予定部位は一度に複数個の部位を入力することが可能であり、例えば図2に示す如く、入力された部位名に対してスキャン名がそれぞれ割当られる。またこの例ではステップS710で撮像予定部位が入力されるが、撮像位置を部位の代わりに図15に示す標準者における基準点からの距離あるいは天板84の移動停止位置で入力しても良い。撮像予定者である被検体11の個人的な値で天板84の停止位置を入力しようとすると、被検体11の撮像位置の基準点からの長さを一々計測する必要があり、たいへん面倒である。図15に示す如く、標準的な位置関係の数値で入力することが効率的である。またデータ検索などにも便利である。
さらにステップS712で、被検体11の基準位置や部位にマーカが取り付けられる。この場合に撮像を予定している全ての部位にマーカを取り付ける必要はなく、1か所または2か所にマーカが取り付けられればよい。次にステップS714で、被検体11が天板84に対してヘッドファースト方向に載置されたのか、フィードファースト方向に載置されたのかを入力する。入力された部位名と寝台位置との関係を演算するのにこの情報が使用される。
上記説明は部位入力画面186を指定したことにより、撮像予定の部位を入力したが、モデル像182の像に対して撮像予定部位を指定すると、例えばモデル像182の頭部をタッチすると、撮像予定の部位として頭部が入力され、関係表示184が表示される。モデル像182あるいは部位入力画面186において、入力状態の部位を再びタッチ操作などにより選択すると、先の入力状態がリセットされ、表示されていた対象の関係表示184が消去される。撮像予定の部位に対して順に入力を行うと、入力された順にスキャン名がつけられ、図2のスキャンリスト表示部810に表示される。
入出力部190に表示の部位194を、撮像予定に従って順に、選択すると部位が順に入力される。例えば天板84に載置された被検体11の頭部を撮像するために、部位194に対応する操作手段である操作ボタン192を選択すると、操作ボタン192の色が変化し、頭部の部位が選択したことが表示される。複数の部位194が選択されると、選択された部位194に対応する複数の操作ボタン192色がそれぞれ変化し、入力された状態であることが分かる。図21に示す入出力部190と図20で説明した部位入力画面186やモデル像182との両方が使用される場合には、ディスプレイ18からの入力に基づいて、入出力部190の該当する部位194の操作ボタン192の表示状態が入力されている状態の表示に変化する。
逆に入出力部190からの入力に対して、ディスプレイ18において表示状態が入力されていることを表す表示状態となる。すなわち関係表示184が入力された部位名188とモデル像182との間に対応関係が分かるように表示される。既に入力状態にある部位188や部位194をディスプレイ18あるいは入出力部190から入力されていない状態に戻すリセット操作を行うことができる。なお、図21に記載の被検体11が天板84に載置される前であっても、天板84に載置された後であっても、入出力部190からの入力が可能である。
例えば入力操作終了を意味する操作が行われた場合は、部位の入力が終了したとして撮像のための次の処理がステップS754で行われる。部位の入力操作の終了ではない状態の場合には、ステップS744に実行が戻り、部位の入力が行われたかどうかを判断する。
図22は、合成画像を作成するために使用する入力画面の一例を示す。合成画像とは、撮像対象や撮像位置を変えて撮像した複数のMRI画像を組み合わせた画像で、一度の撮像では撮像できない広範囲を対象として表示するMRI画像である。上述したように被検体11の撮像部位や撮像位置により、SARの状態が大きく異なる。このため合成画像を構成する撮像対象や撮像位置を単に組み合わせた場合に、撮像単位の画像毎に例えばコントラスト等の画像状態が異なる場合が生じ、分り難い画像となる場合がある。このため合成画像を作成するための各構成画像について、画質、例えばコントラストをできるだけ一致させることが望ましいが、各撮像位置のコントラストを合わせる撮像条件を設定することが困難な場合があった。
例えば合成画像のコントラストを略同じになるようにMRI画像の撮像条件を設定でき、これにより分り易い合成画像を生成することが可能となる。さらに具体的な効果としては、上記の効果とは別に、コントラスト等を考慮したMRI画像の撮像条件の設定操作がたいへん容易になる。さらにまた作業効率が向上する効果がある。
即ち身体の体軸方向における中央部である腹部ではSAR規定値が大きい値であり、身体の体軸方向における端部である脚部や頭部ではSAR規定値が小さい値である傾向にある。グラフ3はSARの制限の厳しさを表すグラフでグラフ2の逆傾向を示す。即ち身体の体軸方向における端部である脚部や頭部ではSARの制限が厳しく、身体の体軸方向における中央部である腹部ではSARの制限が緩和されている傾向にある。
グラフ1とグラフ3を対比すると、吸収率W-patientあるいは吸収率W-basicの値が大きい身体の体軸方向における中央部である腹部ではSARの制限が緩和されているのに対して、吸収率W-patientあるいは吸収率W-basicの値が比較的少ない脚部や頭部ではSARの制限が厳しい傾向にある。図24に記載のこのような傾向により、上述の手法を用いることにより各構成画像のコントラストが略同じ値となる撮像条件を各撮像位置において設定することが可能となる。
操作画面1800の撮像位置表示部1810は、合成画像を構成する各構成画像の撮像位置の入力を行うために使用され、あるいは入力された各構成画像の撮像位置を表示するのに使用される。合成画像の各構成画像は、撮像位置表示部1810に直接文字入力しても良いが、以下で説明するように合成画像用入力画面1812を用いて入力しても良いし、また撮像位置表示画面1820を用いて入力しても良い。
撮像位置表示画面1820は入力された撮像位置を図式的に表示する機能を有しているが、さらに撮像位置を入力するための撮像位置入力部としても動作する。何れから入力されても各構成画像を撮像するための撮像位置の入力結果が、撮像位置表示部1810や撮像位置表示画面1820に表示される。スキャン位置入力部831は入力された各撮像位置におけるスライス位置を入力しあるいは表示し、あるいは入力されたスライス位置を変更するのに使用される。
頭部1832や撮像面1834は軸が異なっている、2次元画像であり、これらの画像に基づいて頭部の撮像面を2次元において入力することができる。あるいは入力されている撮像面を変更や追加、削除することができる。なお、2次元表示は一例であり、1次元表示であっても3次元表示であっても良い。ただし、合成画像の多くは被検体11の体軸であるZ軸に沿う方向に撮像された各構成画像を繋ぎ合わせる場合が多いので、繋ぎ合わせる軸に垂直なX軸やY軸方向の撮像面を設定する場合が多い。従って図22に記載のように、2次元の表示を用いて撮像面を設定することは、たいへん有効である。
即ち最もSAR条件の厳しい撮像位置に合わせて他の各撮像位置におけるSAR値が設定され、設定されたSAR条件の共通の条件としてこれに基づき、各撮像位置における撮像条件が定められる。このことにより、各撮像位置におけるコントラストを略同じ状態にする撮像条件を設定することが可能となる。
操作者が適切と考えるSAR値を示すように、図形表示1870を移動し設定すると、新たに図形表示1870が示す値が各構成画像に共通の条件となる。このように本実施例では、操作者が各構成画像に共通の共通条件を変更し適切に設定することが可能となる。このことにより、被検体11の状態に即応して適切な共通条件、例えば共通SAR値を設定でき、健康上大きな効果がある。さらにコントラストを略同様とする条件も満足することが可能となる。なお、逆に表示部1840を図の上方に移動した場合に、上記共通の条件の値が大きくなるが、最も厳しいSAR演算値1842あるいはSAR規定値1844の値を超えて表示部1840を設定しようとすると、信号処理系60の動作に基づき警報が出力される。これにより操作ミスを防止することができる。
なお実際の処理として、入力方法の選択指示が無い場合には、ステップS3214やステップS3222の何れにおいても異なると判断され、図23のフローチャートのステップS3200の処理を終了する。図23のフローチャートは上述したように短時間に繰り返し実行されるので、図23のフローチャートの次の実行時にステップS3214が実行されるので、図23に記載のように、入力がなされるまでステップS3214とステップS3222を繰り返す処理を行うことになる。
一方被検体11の人体に対応して撮像位置を指定するのではなく、被検体11を載置する寝台82の天板の位置、例えば天板の基準位置に対する天板の移動距離の関係に基づいて撮像位置を設定する場合には、ステップS3216からステップS3234へ実行が移り、S3234において図26に記載の如く寝台82の天板の位置、例えば天板の基準位置に対する天板の移動距離の関係を入力するための寝台の模式図1182が表示される。
撮像位置基点1172と撮像幅1174の両方あるいはどちらか一方が入力された場合にステップS3252で撮像位置の入力有と判断され、ステップS3254やステップS3256で撮像位置基点1172や撮像幅1174が指示された撮像位置の指定情報として取り込まれる。上述のように撮像位置基点1172や撮像幅1174は撮像位置の指示方法の一例であり、他の方法でも良い。撮像位置基点1172は、合成画像を生成するための各構成画像の基準点となり、例えば各構成画像の中心位置となる。
さらに撮像幅1174は撮像位置基点1172を基準点とした撮像範囲を表している。撮像位置基点1172を移動すると撮像位置A1152が前記移動方向にシフトし、撮像幅1174を変化させるとこれに基づいて撮像位置A1152の広さが変化する。ステップS3258で、取り込まれたデータが図1の内部メモリ66や外部記憶装置61に記憶される。
寝台の模式図1182は被検体11を載置する寝台、例えば天板の計測空間に対する位置関係を表している。例えば寝台82の基準位置1180を基点として撮像位置を基準位置1180からの距離で設定することができる。基準位置1180はMRI装置100の計測空間の基点と一致あるいは一定の関係を有している。
取り込まれた撮像位置に関するデータは、ステップS3258において、記憶される。なお図23に記載のフローチャートが非常に短い一定時間毎に繰り返し実行されるので、撮像位置に関する入力が無い場合にステップS3252の判断に基づき、ステップS3254からステップS3260の処理が実行されないままで、ステップS3230の処理が終了するが、次に図23に記載のフローチャートが実行される状態で、撮像位置に関する入力の有無が再び判断され、新たな入力がなされた状態であればステップS3254からステップS3260の処理が実行される。すなわち、操作者が撮像位置の操作を行うと、繰り返し実行されている図23に記載のフローチャートによりステップS3254からステップS3260の処理が実行され、撮像位置のデータが取り込まれ、必要な処理がなされる。
しかし、操作画面1800の撮像位置表示画面1820だけでなく、入力された結果が撮像位置表示部1810や合成画像用入力画面1812にも表示された方が良いので、ステップS3260が実行され、操作者による入力結果は撮像位置表示画面1820だけでなく、撮像位置表示部1810や合成画像用入力画面1812にも表示される。この結果合成画像を生成するための構成画像に関する撮像位置の入力過程が撮像位置表示画面1820だけでなく撮像位置表示部1810や合成画像用入力画面1812にも表示される。
また、このようにすることにより、入力状態が判断し易くなるだけでなく、合成画像を生成するための構成画像に関する撮像位置の入力操作を、一部は撮像位置表示画面1820を利用して更に他の撮像位置は撮像位置表示部1810や合成画像用入力画面1812を利用して行うことができ、入力し易い方法で選択的に撮像位置を入力することが可能となる。
ステップS3378やステップS3382を実行することで、操作者の入力ミスを防止でき、撮像終了後に合成画像が生成できないなどの作業の無駄を防止できる。ステップS3374で取り込まれた撮像位置のデータは、その都度撮像位置表示部1810に表示される。さらにステップS3384により、撮像位置表示画面1820にも可能な限り表示される。しかし、図29の入力内容と、図25や図26との対応関係がうまく取れない場合には、ステップS3384では可能な範囲内で表示が行われる。
SARを演算するのに使用される吸収率W-basicやW-patientなどの値は、上記事例のような部位においてそれぞれ異なる値を有する。吸収率W-basicやW-patientなどの値は、データベースとしてMRI装置100に保持されており、上述した頭部や肩部、胸部、腹部、骨盤部、大腿部、脚部など各部位や、各部位に相当する基準位置からの距離を検索パラメータとして、前記データベースから吸収率W-basicやW-patientなどの値を読み出すことができる。このようにして読み出された吸収率W-basicやW-patientなどの値を使用して各部位におけるSARを演算することにより、より精度の高いSAR値を求めることができる。また精度の高いSAR値をベースとして撮像条件を設定することにより、より各構成画像の画質や生成された合成画像の画質をより向上することができる。
図形表示1870は自動的に設定されるだけでなく、操作者がカーソル150を図形表示1870に合わせて上下することにより、図形表示1870を上下することが可能となる。図形表示1870をさらに下げることにより、撮像位置A1152から撮像位置F1162の各撮像位置に対して共通に設定するSAR値を撮像位置A1152の値よりさらに小さくすることが可能である。被検体11の状態が短時間に色々変化し状態が急に悪化した場合であっても、本実施例では対応することが可能である。このような操作の具体例を図23のステップS3240からのフローチャートおよび図34に記載のフローチャートを用いて説明する。
例えば被検体11のスキャノグラムが記憶されている場合には、撮像位置と部位との関係や寝台82の位置すなわち寝台82の天板の移動距離との関係が明確である。また標準的な人体の構成データを使用する場合であっても、被検体11の身長や体重などの個人データが存在しまた載置された被検体11の位置関係と計測空間あるいは寝台82の基準位置との関係が明らかな場合には、標準的な人体の構成データを身長などの上記個人データを使用して被検体11の個人的人体構成データに変換でき、入力された撮像位置と部位との関係や寝台82の位置との関係が明確である。
このような場合には、ステップS3244が実行され、図6に記載のデータベースDB1を検索してW-basicが読み出され、また図6に記載のデータベースDB2を検索してW-patientが読み出される。これらのデータベースの検索パラメータには入力された撮像位置に対応する部位や寝台位置が使用される。
被検体11の撮像位置と部位や寝台82の位置との関係が明確でないので、合成画像を生成するための構成画像の撮像位置に、頭部が含まれているかどうかは明確ではないが、最も厳しい条件である頭部のSAR規定値を満足すれば、他の撮像位置のSAR規定値は全て満足されることになる。また下半身の構成画像を生成する場合には、足部が含まれる可能性があるかどうかが判断され、足部が含まれる可能性がある場合には、足部のSARが下半身の構成画像を生成する各撮像位置の共通のSARとして使用される。これらはステップS3242によって処理されるが、ステップS3242の処理内容の具体例を図31に記載する。
ただし、ステップS3240で判断したように撮像位置と部位や寝台82の位置との関係が明確でないので、ステップS2404では、人体の全体に渡る部位の中から最も条件の厳しい部位のW-basicあるいはW-patientの値が読み出され、以下のSARの演算に使用される。W-basicよりW-patientのデータを使用した方が演算されたSARの精度が高くなるので、W-patientに関するテーブルが記憶されている場合には、W-patientの方がW-basicより優先的にSARの演算に使用される。頭部が構成画像の撮像位置に含まれている場合には、一般的に頭部のW-basicあるいはW-patientが最も厳しい条件となるので、頭部のW-basicあるいはW-patientが検索されて以下のSARの演算に使用される。
次に撮像位置B1154が入力されると、入力の後実行されたステップS3246により、撮像位置B1154のSARが演算され、SAR演算値1846とSAR規定値1848とが表示される。撮像位置と寝台位置との関係が明確でない場合には、W-basicあるいはW-patientや頭部吸収率Rhは撮像位置に関わらず厳しいSAR条件に基づいてステップS3242により定められた同じ値が使用されてSAR演算値1842やSAR演算値1846が演算される。このようにして撮像位置が入力される毎に、表示部1840にSAR規定値とSAR演算値との対比状態が表示される。
ステップS2424では最もSARの制限の厳しい頭部のW-basicあるいはW-patient、頭部の頭部吸収率Rhが検索されて演算のために保持される。保持された検索された頭部のW-basicあるいはW-patientや頭部の頭部吸収率Rhは、この後ステップS3246においてSARの演算に使用され、演算結果が表示部1840に表示する。
さらにステップS2428で頭部の頭部吸収率Rhが読み出されるが、もし頭部が撮像されないことが明確であれば頭部に近い撮像位置の頭部吸収率Rhが読み出される。読み出されたW-basicあるいはW-patientや頭部吸収率Rhは、以下に実行されるステップS3246でSARの演算に使用され、表示部1840に表示される。
このようにして上記演算されたSAR演算値に基づいて各撮像位置のSARを略同様の値となるように設定することにより、撮像する部位が明確に特定できない場合であっても、安全性が確保された状態で、SARの演算が行われ、合成画像を生成するための構成画像をコントラストが略同じとなる撮像条件を選択することが可能となり、略同じコントラストで撮像することが可能となる。
またステップS2438において、頭部が撮像される可能性が無い場合には頭部に近い部位の頭部吸収率Rhが読み出されて保持される。読み出されたW-basicあるいはW-patientや頭部吸収率Rhは、ステップS3246におけるSARの演算に利用され、演算されたSARは表示部1840に表示される。
このようにパターンCやパターンDの場合においても上記演算されたSAR演算値に基づいて各撮像位置のSARを略同様の値となるように設定することにより、撮像する部位が明確に特定できない場合であっても、安全性が確保された状態で、SARの演算が行われ、合成画像を生成するための構成画像をコントラストが略同じとなる撮像条件を選択することが可能となり、略同じコントラストで撮像することが可能となる。
操作者の入力を受けてステップS3272で撮像位置の入力の終了を判断した場合には、ステップS3278で撮像位置の入力および設定の終了の報告がなされ、ステップS3200で始まるフローチャートが終了する。ステップS3278における撮像位置の入力の終了報告は例えば入力終了フラグをセットする処理であり、合成画像を生成するための撮像条件の処理に使用される。
信号処理系60の実行がステップS4314からステップS4316へ移る。ステップS4316では、図形表示1870により入力されたすなわち操作された図形表示1870が示すSARcの値が取り込まれ、各撮像位置の共通のSAR値として記憶される。信号処理系60の実行がステップS4316からステップS4324へ移る。
Claims (15)
- 載置された被検体を移動するための天板を備えた寝台と、
前記被検体の撮像を行うための撮像空間に磁場を発生する磁場発生装置と、
前記被検体へ照射するためのRFパルスを発生する照射コイルと、
前記被検体が発生するNMR信号を検出し、検出した前記NMR信号に基づきMRI画像を生成する画像生成装置と、
前記被検体の撮像位置あるいは撮像条件を入力、撮像位置あるいは撮像条件を表示するための入出力装置と、
電磁波の吸収率に関するデータを、部位名あるいは寝台位置を検索パラメータとするデータベースとして記憶する記憶装置と、
入力された前記撮像位置における前記RFパルスの照射に伴う前記被検体の電磁波の吸収量を、前記部位名あるいは前記寝台位置を検索パラメータとして前記記憶装置から読み出した電磁波の吸収率に関するデータに基づいて演算し、演算された値が電磁波の吸収に関する規定値の条件を満たすかどうかを判断し、前記電磁波の吸収量の規定値の条件を満たすと判断された撮像条件や前記撮像位置を表すデータに従って、前記撮像位置での撮像動作を制御する制御装置と、を備える、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記入出力装置はディスプレイを備え、前記撮像位置として第一撮像位置と第二撮像位置が入力されると、前記入出力装置の前記ディスプレイには前記第一撮像位置と前記第二撮像位置とがそれぞれ表示され、
前記制御装置は、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置における前記電磁波の吸収率に関するデータをそれぞれ前記記憶装置から読み出し、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置における前記電磁波の吸収量を、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置における電磁波の吸収率に関する前記データに基づきそれぞれ演算し、
さらに前記制御装置は、演算された前記電磁波の吸収量が前記規定値の条件を満足するかどうかを前記第一撮像位置と前記第二撮像位置に関してそれぞれ判断し、演算された前記吸収量が前記規定値の条件を満足しない場合には、前記ディスプレイに前記規定値の条件を満足しない撮像位置に関する表示を行い、
さらに前記制御装置は、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置に関する撮像動作において、演算された前記吸収量が前記規定値の条件を満足した状態でのそれぞれの撮像条件に基づいて、撮像動作を制御する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記記憶装置は、標準的な電磁波の吸収率に関するデータを記憶する第一記憶領域と、前記被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータを記憶する第二記憶領域を有し、
前記制御装置は、入力された撮像位置に対する被検体に固有な電磁波の吸収率のデータが前記第二記憶領域に存在する場合には被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータに基づいて、また入力された撮像位置に対する被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータが前記第二記憶領域に存在しない場合には、前記第一記憶領域に記憶されている前記標準的な電磁波の吸収率に関するデータに基づいて、前記撮像位置における電磁波の吸収量を演算する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記標準的な電磁波の吸収率に関するデータは、部位名あるいは寝台位置を検索パラメータとするデータベースとして前記記憶装置の前記第一記憶領域に記憶され、
前記部位名あるいは前記寝台位置を検索パラメータとして前記第一記憶領域に記憶された前記データベースから標準的な電磁波の前記吸収率を表すデータを読み出し、
読み出した標準的な電磁波の吸収率の前記データを使用して、前記被検体の個人の吸収量に関するデータを演算し、演算された吸収量に関するデータに基づき前記被検体の電磁波の吸収量が演算される、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータは、前記部位名あるいは前記寝台位置を検索パラメータとして前記第二記憶領域に記憶され、
前記被検体の撮像を予定する部位あるいは寝台位置に対応した前記被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータが記憶されていない場合に、前記制御装置は、前記被検体の他の部位あるいは他の寝台位置に対応した前記被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータを読み出し、
さらに前記制御装置は、読み出した前記被検体に固有な電磁波の吸収率に関するデータに基づき、前記被検体の前記電磁波の吸収量を演算する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記入出力装置は、ガントリあるいは前記寝台に設けられた撮像位置を入力するための入力装置を有し、
また入出力装置はディスプレイを有し、前記ガントリあるいは前記寝台に設けられた前記入力装置から入力された前記撮像位置は前記ディスプレイに表示される、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記ディスプレイに表示される表示画像には、入力された撮像位置を表示するスキャンリスト表示部と撮像条件を表示する撮像パラメータ表示部が設けられ、
前記スキャンリスト表示部に表示された撮像位置が選択されると、前記制御装置は、選択された撮像位置の撮像条件および演算された電磁波の吸収量を前記ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記ディスプレイに表示される表示画像には、入力された部位名のスキャン位置を入力するためのスキャン位置入力部が設けられ、
前記スキャン位置入力部に表示された前記部位名の位置決め画像に入力されたスキャン位置に基づいて、前記制御装置は前記被検体の撮像位置を設定する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記制御装置は、演算した前記被検体への前記電磁波の吸収量が、前記電磁波の吸収量の規定値の条件を満足しない場合に、前記条件を満足しないことを表す表示を行い、前記被検体の撮像のための待ち時間を増加させた新たな撮像条件が入力されると、入力された新たな待ち時間の撮像条件に従って電磁波の吸収量を演算すると共に演算された前記電磁波の吸収量が前記規定値の条件を満足するかどうかを判断し、新たに演算された前記電磁波の前記吸収量が、前記電磁波の吸収量の前記規定値の条件を満足するときに、前記条件を満足する前記吸収量の演算に使用された前記待ち時間に従って、前記天板の移動を
制御する、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記制御装置は、前記撮像条件における前記待ち時間の増加に伴い、前記寝台の前記天板の移動速度を下げる制御を行う、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の合成画像の撮像の指示に基づき、前記制御装置は、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収量の内条件の厳しい電磁波の吸収量に従って、あるいは前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収率の内条件の厳しい電磁波の吸収率に従って、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の撮像条件を求める、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の合成画像の撮像の指示に基づき、前記制御装置は、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収量を表示すると共に前記第一撮像位置と前記第二撮像位置に共通に適用する電磁波の吸収量を表示し、あるいは前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収率を表示すると共に前記第一撮像位置と前記第二撮像位置に共通に適用する電磁波の吸収率を表示し、
表示された前記共通に適用する電磁波の吸収量あるいは前記共通に適用する電磁波の吸収率に基づいて、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の撮像条件を求める、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の合成画像の撮像の指示に基づき、前記制御装置は、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収量あるいは前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収率を、前記ディスプレイに表示し、
前記表示された前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収量あるいは前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収率に関して、共通に適用する電磁波の吸収量あるいは共通に適用する電磁波の吸収率が入力されると、前記制御装置は、入力された前記共通に適用する電磁波の吸収量あるいは前記共通に適用する電磁波の吸収率に基づいて、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の撮像条件を求める、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項13に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記制御装置は、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収量あるいは前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の電磁波の吸収率を、前記ディスプレイに、座標軸を共通にしてそれぞれグラフで表示し、
座標軸を共通とする前記グラフの表示に対して、前記共通に適用する電磁波の吸収量あるいは前記共通に適用する電磁波の吸収率が入力されると、前記制御装置は、入力された前記共通に適用する電磁波の吸収量あるいは前記共通に適用する電磁波の吸収率に基づいて、前記第一撮像位置と前記第二撮像位置の撮像条件を求める、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 載置した被検体を移動するための天板を備えた寝台と、前記被検体の撮像を行うための撮像空間に磁場を発生する磁場発生装置と、前記被検体へ照射するためのRFパルスを発生する照射コイルと、前記被検体が発生するNMR信号を検出して前記検出したNMR信号に基づきMRI画像を生成する画像生成装置と、被検体の撮像位置あるいは撮像条件を入力、被検体の撮像位置あるいは撮像条件を表示するための入出力装置と、電磁波の吸収率に関するデータを、部位名あるいは寝台位置を検索パラメータとするデータベースとして記憶する記憶装置と、制御装置と、を備える磁気共鳴イメージング装置の制御方法であって、
入力された前記撮像位置に基づいて前記部位名あるいは前記寝台位置を検索パラメータとして前記記憶装置から読み出した電磁波の吸収率に関するデータが読み出され、
前記入力された前記撮像位置における前記RFパルスの照射に伴う前記被検体の電磁波の吸収量が、読み出した前記電磁波の吸収率に関するデータに基づいて演算され、
演算された値が電磁波の吸収に関する規定値の条件を満たすかどうかが判断され、
前記電磁波の吸収量の規定値の条件を満たすと判断された状態の撮像条件に従って、前記撮像位置での撮像が行われる、
ことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置の制御方法。
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