以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における結像素子の模式平面図であり、図2は、図1に示す結像素子の当該図1中に示すII−II線に沿った模式断面図である。図3は、図1に示す結像素子の要部の分解斜視図である。また、図4は、図1に示す結像素子の枠状フレームおよび第2反射素子を取り除いた状態における模式平面図であり、図5は、図1に示す結像素子の要部を拡大した、図4中に示すV−V線に沿った模式断面図である。まず、これら図1ないし図5を参照して、本実施の形態における結像素子1Aの構成について説明する。
図1ないし図5に示すように、結像素子(一般に「2面コーナーリフレクタアレイ素子」または「マイクロミラーアレイ素子」と称される)1Aは、全体として略平板状の形状を有しており、第1反射素子10と、第2反射素子20と、枠状フレーム30と、複数の平板状スペーサー40Aとを備えている。
第1反射素子10は、厚み方向において相対して位置する外側主面10aおよび内側主面10bを有する平板状の部材からなり、厚み方向に沿って見た場合に正方形形状を有している。第1反射素子10は、複数の第1反射体11と複数の第1透明体12とによって構成されており、これら複数の第1反射体11と複数の第1透明体12とが、上記厚み方向に直交する第1方向(図1において左下側と右上側とを結ぶ方向)において交互に積層されてなるものである。なお、図1においては、第1反射体11を破線にて示している。
第1反射体11は、一対の反射膜(不図示)と、これら一対の反射膜の間に位置する接着層11b(接着層11bのみ図5に現われている)とを含んでいる。一対の反射膜と接着層11bとは、上記第1方向に沿って並んで配置されており、一対の反射膜は、接着層11bの両側面に直接接することで接合されている。なお、これら一対の反射膜と接着層11bとからなる第1反射体11の構成は、後述する第2反射体21の構成と同様である。
複数の第1反射体11は、互いに平行に配置されており、その各々は、上記厚み方向および上記第1方向の双方に直交する第2方向(図1において左上側と右下側とを結ぶ方向)に沿って延在している。複数の第1透明体12は、隣り合う第1反射体11間を充填するように互いに平行に配置されており、その各々は、上記第2方向に沿って延在している。
一対の反射膜は、たとえばアルミニウムまたは銀等の金属にて構成されており、接着層11bは、たとえばエポキシ系の接着剤の硬化物にて構成されている。また、第1透明体12は、たとえばガラスまたは透明樹脂にて構成されている。
個々の反射膜の上記第1方向における大きさである幅は、たとえば50[nm]以上200[nm]以下程度であり、個々の接着層11bの上記第1方向における大きさである幅は、たとえば5[μm]以上30[μm]以下程度である。したがって、個々の第1反射体11の上記第1方向における大きさである幅は、おおよそ個々の接着層11bの幅と同じになる。また、個々の第1透明体12の上記第1方向における大きさである幅は、たとえば300[μm]以上2000[μm]以下程度である。
ここで、複数の第1反射体11の各々および複数の第1透明体12の各々の延在方向(すなわち上記第2方向)に直交する断面形状は、当該延在方向における両端部を除いて矩形状である。これにより、複数の第1反射体11および複数の第1透明体12が、上記第1方向において互いに密着して配置されることにより、第1反射素子10は、上述したような平板状の形状を有している。
なお、第1反射素子10の厚みは、たとえば900[μm]以上6000[μm]以下程度であり、第1反射素子10の厚み方向と直交する一辺の長さは、たとえば10[cm]以上100[cm]以下程度である。
上記構成を有することにより、第1反射素子10は、その内部に複数の反射面を有することになる。当該複数の反射面の各々は、隣接する第1透明体12に面する部分の第1反射体11の表面(すなわち、上述した反射膜の第1透明体12に面する部分の表面)にて構成されており、これにより個々の第1反射体11につき、互いに反対方向を向く2つの反射面が形成されることになる。
第2反射素子20は、厚み方向において相対して位置する外側主面20aおよび内側主面20bを有する平板状の部材からなり、第1反射素子10と同じ厚みでかつ厚み方向に沿って見た場合に第1反射素子10と同じ大きさの正方形形状を有している。第2反射素子20は、複数の第2反射体21と複数の第2透明体22とによって構成されており、これら複数の第2反射体21と複数の第2透明体22とが、上記第2方向(図1において左上側と右下側とを結ぶ方向)において交互に積層されてなるものである。なお、図4においては、第2反射体21を二点鎖線にて示している。
図5に示すように、第2反射体21は、一対の反射膜21aと、これら一対の反射膜21aの間に位置する接着層21bとを含んでいる。一対の反射膜21aと接着層21bとは、上記第2方向に沿って並んで配置されており、一対の反射膜21aは、接着層21bの両側面に直接接することで接合されている。
図1ないし図5に示すように、複数の第2反射体21は、互いに平行に配置されており、その各々は、上記第1方向(図1において左下側と右上側とを結ぶ方向)に沿って延在している。複数の第2透明体22は、隣り合う第2反射体21間を充填するように互いに平行に配置されており、その各々は、上記第1方向に沿って延在している。
一対の反射膜21aは、たとえばアルミニウムまたは銀等の金属にて構成されており、接着層21bは、たとえばエポキシ系の接着剤の硬化物にて構成されている。また、第2透明体22は、たとえばガラスまたは透明樹脂にて構成されている。
個々の反射膜21aの上記第2方向における大きさである幅は、たとえば50[nm]以上200[nm]以下程度であり、個々の接着層21bの上記第2方向における大きさである幅は、たとえば5[μm]以上30[μm]以下程度である。したがって、個々の第2反射体21の上記第2方向における大きさである幅は、おおよそ個々の接着層21bの幅と同じになる。また、個々の第2透明体22の上記第2方向における大きさである幅は、たとえば300[μm]以上2000[μm]以下程度である。
ここで、複数の第2反射体21の各々および複数の第2透明体22の各々の延在方向(すなわち上記第1方向)に直交する断面形状は、当該延在方向における両端部を除いて矩形状である。これにより、複数の第2反射体21および複数の第2透明体22が、上記第2方向において互いに密着して配置されることにより、第2反射素子20は、上述したような平板状の形状を有している。
上記構成を有することにより、第2反射素子20は、その内部に複数の反射面を有することになる。当該複数の反射面の各々は、隣接する第2透明体22に面する部分の第2反射体21の表面(すなわち、上述した反射膜21aの第2透明体22に面する部分の表面)にて構成されており、これにより個々の第2反射体21につき、互いに反対方向を向く2つの反射面が形成されることになる。
以上において説明した構成の第1反射素子10および第2反射素子20は、たとえば以下の方法によって製作することができる。
まず、平板状の透明部材が複数準備され、それらの両主面にコーティング層が形成される。ここで、透明部材は、上述した第1透明体12または第2透明体22となるものであり、たとえばガラスまたは透明樹脂が好適に利用できる。また、コーティング層は、上述した第1反射体11の一対の反射膜または第2反射体21の一対の反射膜21aとなるものであり、たとえばアルミニウム膜または銀膜等にて構成される。当該コーティング膜は、たとえばスパッタリング等によって成膜可能である。
次に、コーティング層によって両主面が覆われてなる透明部材の一方の露出表面(すなわち一方のコーティング層の表面)にたとえばエポキシ系の接着剤が塗布され、当該接着剤が塗布された透明部材に他の透明部材が重ね合わされて接着剤が硬化させられる。これにより、重ね合わされた2枚の透明部材が、貼り合わされることになる。ここで、硬化後の接着剤は、上述した第1反射体11の接着層11bまたは第2反射体21の接着層21bとなるものである。
この貼り合わせ作業が必要回数分だけ繰り返されることにより、コーティング層によって両主面が覆われた複数の透明部材が接着剤を介して積層されてなる積層体ブロックが形成されることになる。
次に、積層体ブロックが、透明部材の積層方向と直交する方向に沿って複数回にわたって順次切断される。その際、積層体ブロックから切り出される部材の外形が平板状となるように薄く切断されることにより、切断されて個片化された各々の部材が、上述した第1反射素子10および第2反射素子20となる。なお、積層体ブロックの切断には、たとえばワイヤーカットが利用でき、切断後において切り出された各部材の表面が研磨されることとしてもよい。
以上により、上述した構成の第1反射素子10および第2反射素子20が製作されることになる。なお、第1反射素子10と第2反射素子20とは、結像素子1Aとして組付けられた後において向きこそ違うものの、その構造自体は同じである。
図2に示すように、第1反射素子10および第2反射素子20は、互いの内側主面10b,20bが対向するように配置されており、これによって厚み方向において重ね合わされている。その結果、第1反射素子10の外側主面10aによって結像素子1Aの第1主面1aが構成されるとともに、第2反射素子20の外側主面20aによって結像素子1Aの第2主面1bが構成されることになる。
ここで、第1反射素子10と第2反射素子20とは、各々に含まれる第1反射体11と第2反射体21とが互いに直交するように重ね合わされて対向配置されている。これにより、結像素子1Aの内部において、多数の微小なコーナーリフレクタがアレイ状に配置されることになる。
図2ないし図4に示すように、第1反射素子10と第2反射素子20との間の所定位置には、複数の平板状スペーサー40Aが挟み込まれている。これら複数の平板状スペーサー40Aの各々は、たとえば金属または樹脂にて構成されており、好適にはステンレス製のものが利用できる。
複数の平板状スペーサー40Aは、第1反射素子10と第2反射素子20との平行度を確保しつつ、これら第1反射素子10と第2反射素子20とを距離をもって隔てて配置するためのものである。そのため、個々の平板状スペーサー40Aの厚みは、互いに等しく構成されており、たとえば10[μm]以上1000[μm]以下とされる。
ここで、図2ないし図4に示すように、第1反射素子10および第2反射素子20は、それぞれ後述する枠状フレーム30との関係で、当該枠状フレーム30によって覆われることなく露出することによって空中映像の結像に寄与する結像寄与領域2を各々の中央部に有しており、当該枠状フレーム30によって覆われることで空中映像の結像に寄与しなくなる外周領域3を各々の中央部を取り囲む外周部に有している。
平板状スペーサー40Aは、このうちの第1反射素子10の外周領域3と第2反射素子20の外周領域3との間に配置されている。より詳細には、平板状スペーサー40Aは、平面視L字状のものと平面視I字状のものとを含んでおり、このうちの平面視L字状のものが第1反射素子10および第2反射素子20の角位置に配置されており、残る平面視I字状のものが辺の途中位置である中央位置に配置されている。
これにより、図2および図5に示すように、平板状スペーサー40Aを配置することで厚み方向において距離を隔てて配置された第1反射素子10と第2反射素子20との間には、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sが形成されることになり、当該内部空間Sによって空気層4が形成されることになる。
図2に示すように、複数の平板状スペーサー40Aによって距離を隔てて対向配置された第1反射素子10および第2反射素子20は、枠状フレーム30によって保持されている。枠状フレーム30は、平面視額縁状の形状を有しており、第1反射素子10の外縁と第2反射素子20の外縁とを挟み込むことにより、これら第1反射素子10と第2反射素子20とを保持している。
より詳細には、枠状フレーム30は、第1反射素子10の外側主面10aのうちの外周領域3に対応する部分と、第2反射素子20の外側主面20aのうちの外周領域3に対応する部分と、これら第1反射素子10の端面および第2反射素子20の端面とを覆う形状を有しており、対向配置された第1反射素子10と第2反射素子20とに外側から嵌め込まれることにより、これら第1反射素子10および第2反射素子20を保持している。
ここで、枠状フレーム30の内側には、スポンジまたはゴムからなる緩衝材31が位置しており、対向配置された第1反射素子10および第2反射素子20の端部は、当該緩衝材31によって挟み込まれることで保持されている。なお、枠状フレーム30は、たとえば金属または樹脂にて構成されており、好適にはステンレス製のものが利用できる。
図6は、図1に示す結像素子を用いることで空中映像が表示される仕組みを示す概念図である。次に、この図6を参照して、本実施の形態における結像素子1Aを用いることで空中映像が表示可能になる仕組みについて説明する。
図6に示すように、本実施の形態における結像素子1Aを用いて空中映像を表示させるためには、結像素子1Aの第1主面1a側の空間位置に被投影物としての物体100が配置される。
物体100から異なる方向に出た光は、結像素子1Aの第1主面1a(第1反射素子10の外側主面10a)を介して第1反射素子10の内部に侵入し、当該光の進行方向に位置する第1反射体11の反射面によって反射され、第1反射素子10の内側主面10bを介して空気層4に達する。
空気層4を通過した光は、第2反射素子20の内側主面20bを介して第2反射素子20の内部に侵入し、当該光の進行方向に位置する第2反射体21の反射面によって反射され、結像素子1Aの第2主面1b(第2反射素子20の外側主面20a)を介して結像素子1Aの外部へと至る。
結像素子1Aの外部へと出た光は、上述した第1反射素子10および第2反射素子20における再帰反射により、結像素子1Aが配置された平面を基準とした物体100の対称位置に集光することになり、これによって物体100の実像200が、結像素子1Aの第2主面1b側の空間位置において結像されることになる。
なお、物体100としてたとえば液晶ディスプレイを配置した場合には、当該液晶ディスプレイに表示される画像が、空中映像として表示されることになる。物体100としては、液晶ディスプレイに当然に限られるものではなく、2次元および3次元の種別を問わず、どのようなものが配置されてもよい。
以上において説明したように、本実施の形態における結像素子1Aにあっては、第1反射素子10と第2反射素子20との間の空間のうちの一部に複数の平板状スペーサー40Aが配置されることにより、第1反射素子10と第2反射素子20とが距離をもって隔てて配置されているとともに、第1反射素子10と第2反射素子20との間の空間のうちの平板状スペーサー40Aが配置されていない部分に空気層4が形成されている。
したがって、上記構成を採用することにより、これら第1反射素子10と第2反射素子20との接合に接着剤を用いる場合に比べ、高い位置決め精度をもって第1反射素子10と第2反射素子20とが固定できることになる。換言すれば、接着剤を用いて第1反射素子10と第2反射素子20とを接合する場合に生じ得る接着剤の厚みムラや収縮ムラが発生することがないため、第1反射素子10と第2反射素子20とを高い平行度をもって配置することが可能になる。そのため、結果として空中映像を高品位に表示することが可能になる。
また、上記構成を採用することにより、これら第1反射素子10と第2反射素子20とを他の部材を介さずに密着して固定する場合に比べ、第1反射素子10と第2反射素子20との間に空気層4が形成されることでこれらが密着しない構成であるため、干渉縞(いわゆるニュートンリング)の発生が抑制できることになり、この意味においても空中映像を高品位に表示することが可能になる。
さらには、上記構成を採用することにより、接着剤を用いて第1反射素子10と第2反射素子20とを接合する場合に生じ得る気泡に起因した空中映像の品位の劣化や、第1反射素子10と第2反射素子20とを他の部材を介さずに密着して固定する場合に生じ得る異物の混入に起因した空中映像の品位の劣化に伴う歩留りの低下が生じることもない。したがって、これら固定方法に比べてより優位な、空中映像の品位の劣化が抑制できる固定方法とすることができる。
このように、本実施の形態における結像素子1Aとすることにより、従来に比して高品位の空中映像を表示することができる結像素子とすることができ、当該結像素子1Aを用いた空中映像表示装置とすることにより、高品位での空中映像の表示が可能となる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2における結像素子の模式断面図である。以下、この図7を参照して、本実施の形態における結像素子1Bについて説明する。
図7に示すように、本実施の形態における結像素子1Bは、上述した実施の形態1における結像素子1Aと比較した場合に、一対の保護部材50A,50Bをさらに備えている点において、主としてその構成が相違している。
具体的には、一対の保護部材50A,50Bの各々は、透明な平板状の部材にて構成されており、たとえばガラスまたは透明樹脂が好適に利用できる。一方の保護部材50Aは、第1反射素子10の外側主面10a側の位置に配置されており、他方の保護部材50Bは、第2反射素子20の外側主面20a側の位置に配置されている。これにより、第1反射素子10および第2反射素子20は、これら一対の保護部材50A,50Bによって覆われることになる。
一対の保護部材50A,50Bは、枠状フレーム30によって保持されている。より詳細には、枠状フレーム30は、第1反射素子10の外縁および第2反射素子20の外縁のみならず、一対の保護部材50A,50Bの外縁をも挟み込むように多段に構成されており、これにより第1反射素子10、第2反射素子20および一対の保護部材50A,50Bを保持している。
一対の保護部材50A,50Bは、外部から直接的に第1反射素子10および第2反射素子20にアクセスすることを防止するためのものであり、これにより第1反射素子10および第2反射素子20の破損や汚染を防止することができる。
したがって、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1における効果に加え、第1反射素子10および第2反射素子20の破損や汚染を防止することができる効果が得られる。
なお、干渉縞の発生を抑制する観点から、第1反射素子10と保護部材50Aとの間には、隙間が設けられていることが好ましく、同様に第2反射素子20と保護部材50Bとの間にも、隙間が設けられていることが好ましい。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における結像素子の模式断面図である。以下、この図8を参照して、本実施の形態における結像素子1Cについて説明する。
図8に示すように、本実施の形態における結像素子1Cは、上述した実施の形態1における結像素子1Aと比較した場合に、平板状スペーサー40Aが、枠状フレーム30の一部によって代替されている点において、主としてその構成が相違している。
具体的には、枠状フレーム30には、その内側の所定位置から平板状の形状を有するスペーサー部30aが立設されており、当該スペーサー部30aが、第1反射素子10の外周領域3および第2反射素子20の外周領域3によって挟み込まれるように構成されている。
このように構成した場合にも、枠状フレーム30のスペーサー部30aによって第1反射素子10と第2反射素子20とが距離をもって隔てて配置されることになるとともに、第1反射素子10と第2反射素子20との間の空間のうちのスペーサー部30aが配置されていない部分において空気層4が形成されることになる。
したがって、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1における効果と同様の効果が得られることになり、従来に比して高品位の空中映像を表示することができる結像素子とすることができる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4における結像素子の枠状フレームおよび第2反射素子を取り除いた状態における模式平面図であり、図10は、本実施の形態における結像素子の要部を拡大した、図9に示すX−X線に沿った模式断面図である。以下、これら図9および図10を参照して、本実施の形態における結像素子1Dについて説明する。
図9および図10に示すように、本実施の形態における結像素子1Dは、上述した実施の形態1における結像素子1Aと比較した場合に、複数の平板状スペーサー40Aの一部が、複数のワイヤースペーサー40Bによって代替されている点と、当該複数のワイヤースペーサー40Bが、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にも位置している点とにおいて、主としてその構成が相違している。
具体的には、複数のワイヤースペーサー40Bの各々は、第1反射素子10および第2反射素子20の外縁の所定位置から、上述した内部空間Sを通過して第1反射素子10および第2反射素子20の外縁の他の所定位置に達するように張られている。より詳細には、本実施の形態においては、合計で3本のワイヤースペーサー40Bが設けられている。
このうちの1本のワイヤースペーサー40Bは、第1反射素子10および第2反射素子20の一組の対角位置を結ぶように張られており、残る2本のワイヤースペーサー40Bは、それぞれ上記一組の対角位置を結ぶように張られた1本のワイヤースペーサー40Bと平行となるように、第1反射素子10および第2反射素子20の一辺の途中位置から、当該一辺に隣接する他の一辺の途中位置に至るように張られている。なお、上記ワイヤースペーサー40Bが張られた一組の対角位置とは異なる方の一組の対角位置にある角部のそれぞれには、平板状スペーサー40Aが配置されている。
これらワイヤースペーサー40Bは、平板状スペーサー40Aと同様に、第1反射素子10と第2反射素子20との平行度を確保しつつ、これら第1反射素子10と第2反射素子20とを距離をもって隔てて配置するためのものである。そのため、個々のワイヤースペーサー40Bの直径(厚み)は、互いに等しく構成されており、さらには、平板状スペーサー40Aの厚みと同じとされている。ここで、個々のワイヤースペーサー40Bの直径は、たとえば10[μm]以上1000[μm]以下である。なお、ワイヤースペーサー40Bは、たとえば金属製または樹脂製のワイヤーにて構成されており、好適にはステンレスワイヤーが利用できる。
このように構成した場合にも、平板状スペーサー40Aとワイヤースペーサー40Bとによって第1反射素子10と第2反射素子20とが距離をもって隔てて配置されることになるとともに、第1反射素子10と第2反射素子20との間の空間のうちの平板状スペーサー40Aおよびワイヤースペーサー40Bが配置されていない部分において空気層4が形成されることになる。
したがって、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1における効果と同様の効果が得られることになり、従来に比して高品位の空中映像を表示することができる結像素子とすることができる。
さらには、上記構成を採用することにより、第1反射素子10の外周領域3と第2反射素子20の外周領域3との間のみならず、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2との間にもスペーサーが位置することになるため、第1反射素子10および第2反射素子20に撓みが発生することが抑制できる。したがって、これら第1反射素子10と第2反射素子20との平行度をより確実に確保することが可能になり、より高品位の空中映像の表示が可能になる。
ここで、図9および図10に示すように、3本のワイヤースペーサー40Bの各々は、第2反射素子20に含まれる第2反射体21の延びる方向に沿って延在するように配置されていることが好ましく、さらには、厚み方向に沿って見た場合に、第2反射体21に重なるように配置されていることが好ましい。
さらには、3本のワイヤースペーサー40Bの各々は、厚み方向に沿って見た場合に、第2反射素子20の第2透明体22に重ならないように配置されていることが好ましい。このように構成するためには、ワイヤースペーサー40Bとして、第2反射体21の幅よりも小さい直径のものを使用すればよい。たとえば、第2反射体21の幅が0.03[μm]である場合には、直径が0.02[μm]であるステンレスワイヤーをワイヤースペーサー40Bとして使用すればよい。
このように構成することにより、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にワイヤースペーサー40Bが位置する場合であっても、当該ワイヤースペーサー40Bが結像に寄与する光の光路を遮ることがないため、結像される物体の実像に品位の低下が発生してしまうことが防止できる。
さらには、このように構成することにより、結像素子1Dを第2主面1b側から目視した場合に当該ワイヤースペーサー40Bが見えないかまたは目立たなくなることから、結像素子1Dによって結像された物体の実像を視認した場合にも、その実像の後ろ側に位置する結像素子1Dに目の焦点が合うことが防止でき、実像の視認がより容易に行なえるようになる。
なお、本実施の形態においては、ワイヤースペーサー40Bを第2反射素子20の第2反射体21が延びる方向に沿って延在させた場合を例示して説明を行なったが、ワイヤースペーサー40Bを第1反射素子10の第1反射体11が延びる方向に沿って延在させることとしてもよい。その場合には、結像素子を第2主面1b側から目視した場合に当該ワイヤースペーサー40Bが見えることとなってしまうが、その他の効果についてはこれを得ることができる。
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5における結像素子の枠状フレームおよび第2反射素子を取り除いた状態における模式平面図である。以下、この図11を参照して、本実施の形態における結像素子1Eについて説明する。
図11に示すように、本実施の形態における結像素子1Eは、上述した実施の形態1における結像素子1Aと比較した場合に、複数のワイヤースペーサー40Bが、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にさらに設けられている点においてのみ、その構成が相違している。
具体的には、複数のワイヤースペーサー40Bは、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの所定位置においてたとえば図示するようにアレイ状に配置されている。当該ワイヤースペーサー40Bは、その長さが短い点を除き、上述した実施の形態4において説明したワイヤースペーサー40Bと同様の構成のものである。
このように構成した場合にも、上述した実施の形態4において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。なお、この場合においても、アレイ状に配置されたワイヤースペーサー40Bの各々は、第2反射素子20に含まれる第2反射体21の延びる方向に沿って延在するように配置されていることが好ましく、また、厚み方向に沿って見た場合に、第2反射体21に重なるように配置されていることが好ましい。
(実施の形態6)
図12は、本発明の実施の形態6における結像素子の枠状フレームおよび第2反射素子を取り除いた状態における模式平面図であり、図13は、本実施の形態における結像素子の要部を拡大した、図12に示すXIII−XIII線に沿った模式断面図である。以下、これら図12および図13を参照して、本実施の形態における結像素子1Fについて説明する。
図12および図13に示すように、本実施の形態における結像素子1Fは、上述した実施の形態1における結像素子1Aと比較した場合に、複数の平板状スペーサー40Aが、インク部としての複数のインクスペーサー40Cによって代替されている点と、複数のインクスペーサー40Cが、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にもさらに設けられている点とにおいて、主としてその構成が相違している。
具体的には、複数のインクスペーサー40Cの各々は、第1反射素子10の内側主面10b上の所定位置にスポット状に設けられている。当該インクスペーサー40Cは、たとえばインクを第1反射素子10の内側主面10bに印刷することによって形成することができる。
複数のインクスペーサー40Cの一部は、第1反射素子10の外周領域3と第2反射素子20の外周領域3との間において点列状に配置されており、複数のインクスペーサー40Cの残りは、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの所定位置においてたとえば図示するようにアレイ状に配置されている。
これらインクスペーサー40Cは、第1反射素子10と第2反射素子20との平行度を確保しつつ、これら第1反射素子10と第2反射素子20とを距離をもって隔てて配置するためのものである。そのため、個々のインクスペーサー40Cの厚みは、互いに等しく構成されており、たとえば10[μm]以上1000[μm]以下とされる。
このように構成した場合にも、インクスペーサー40Cによって第1反射素子10と第2反射素子20とが距離をもって隔てて配置されることになるとともに、第1反射素子10と第2反射素子20との間の空間のうちのインクスペーサー40Cが配置されていない部分において空気層4が形成されることになる。
したがって、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1における効果と同様の効果が得られることになり、従来に比して高品位の空中映像を表示することができる結像素子とすることができる。
さらには、上記構成を採用することにより、第1反射素子10の外周領域3と第2反射素子20の外周領域3との間のみならず、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2との間にもスペーサーが位置することになるため、第1反射素子10および第2反射素子20に撓みが発生することが抑制できる。したがって、これら第1反射素子10と第2反射素子20との平行度をより確実に確保することが可能になり、より高品位の空中映像の表示が可能になる。
ここで、図12および図13に示すように、インクスペーサー40Cの各々は、厚み方向に沿って見た場合に、第2反射体21に重なるように配置されていることが好ましい。なお、第2反射体21の幅は、たとえば0.03[μm]であり、インクスペーサー40Cの平面視した場合における直径は、たとえば0.04[μm]である。
このように構成することにより、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にインクスペーサー40Cが位置する場合であっても、当該インクスペーサー40Cが結像に寄与する光の光路を遮ることを抑制できるため、結像される物体の実像に品位の低下が発生してしまうことが防止できる。
さらには、このように構成することにより、結像素子1Fを第2主面1b側から目視した場合に当該インクスペーサー40Cが目立たなくなることから、結像素子1Fによって結像された物体の実像を視認した場合にも、その実像の後ろ側に位置する結像素子1Fに目の焦点が合うことが防止でき、実像の視認がより容易に行なえるようになる。
なお、インクスペーサー40Cの大きさを第2反射体21の幅よりも小さく構成した場合には、当該インクスペーサー40Cが第2反射体21から食み出さないように構成できることになり、上述した効果をさらに高めることが可能になる。
また、本実施の形態においては、インクスペーサー40Cを第1反射素子10の内側主面10bに設けた場合を例示して説明を行なったが、当該インクスペーサー40Cは、第2反射素子20の内側主面20bに設けられていてもよい。
(実施の形態7)
図14は、本発明の実施の形態7における結像素子の枠状フレームおよび第2反射素子を取り除いた状態における模式平面図であり、図15は、本実施の形態における結像素子の要部を拡大した、図14に示すXV−XV線に沿った模式断面図である。以下、これら図14および図15を参照して、本実施の形態における結像素子1Gについて説明する。
図14および図15に示すように、本実施の形態における結像素子1Gは、上述した実施の形態1における結像素子1Aと比較した場合に、複数の透明フィルムスペーサー40Dが、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にさらに設けられている点においてのみ、その構成が相違している。
具体的には、複数の透明フィルムスペーサー40Dの各々は、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの所定位置においてたとえば図示するようにアレイ状に配置されている。当該透明フィルムスペーサー40Dの各々は、透明の基材と、当該基材の片側の面に設けられた透明の粘着層とを有しており、当該粘着層を介して第1反射素子10の内側主面10bに貼り付けられている。
これら透明フィルムスペーサー40Dは、第1反射素子10と第2反射素子20との平行度を確保しつつ、これら第1反射素子10と第2反射素子20とを距離をもって隔てて配置するためのものである。そのため、個々の透明フィルムスペーサー40Dの厚みは、互いに等しく構成されており、たとえば10[μm]以上1000[μm]以下とされる。
このように構成した場合にも、透明フィルムスペーサー40Dによって第1反射素子10と第2反射素子20とが距離をもって隔てて配置されることになるとともに、第1反射素子10と第2反射素子20との間の空間のうちの透明フィルムスペーサー40Dが配置されていない部分において空気層4が形成されることになる。
したがって、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態1における効果と同様の効果が得られることになり、従来に比して高品位の空中映像を表示することができる結像素子とすることができる。
ここで、上記構成を採用した場合には、透明フィルムスペーサー40Dと第2反射素子20の内側主面20bとが直接接することで干渉縞が発生する可能性があるが、透明フィルムスペーサー40Dを十分に小さくするとともに、図示するようにこれを島状に点在させることにより、仮に干渉縞が発生した場合にも、当該干渉縞を目立たなくすることができる。
また、干渉縞の発生を確実に防止するためには、透明フィルムスペーサー40Dと第2反射素子20の内側主面20bとの間に位置するように、透明フィルムスペーサー40Dの粘着層が設けられた側の面とは反対側の面にマッチングオイルを塗布してもよいし、透明フィルムスペーサー40Dの粘着層が設けられた側の面とは反対側の面にも粘着層を設けることにより、透明フィルムスペーサー40Dを第1反射素子10の内側主面10bのみならず、第2反射素子20の内側主面20bにも貼り付けるように構成してもよい。
ここで、透明フィルムスペーサー40Dの各々は、厚み方向に沿って見た場合に、当該透明フィルムスペーサー40Dの外周縁が、第1反射素子10の第1反射体11上および第2反射体20の第2反射体21上に重なるように配置されていることが好ましい。このように構成することにより、透明フィルムスペーサー40Dの外周縁が、厚み方向に沿って見た場合に、第1反射素子10の第1透明体12および第2反射素子20の第2透明体22が重なる部分のいずれにも重ならないようになる。
したがって、透明フィルムスペーサー40Dと空気層4との界面が、結像に寄与する光の光路上に位置することがないため、結像される物体の実像に品位の低下が発生してしまうことが防止できる。
なお、本実施の形態においては、透明フィルムスペーサー40Dを第1反射素子10の内側主面10bに貼り付けた場合を例示して説明を行なったが、当該透明フィルムスペーサー40Dは、第2反射素子20の内側主面20bに貼り付けられていてもよい。
また、本実施の形態においては、透明フィルムスペーサー40Dをアレイ状(島状)に配置した場合を例示して説明を行なったが、当該透明フィルムスペーサー40Dは、第1反射素子10および第2反射素子20の外周部の所定位置から当該外周部の他の位置に向かって延びるように、帯状に配置されていてもよい。
(実施の形態8)
図16は、本発明の実施の形態8における結像素子の枠状フレームを取り除いた状態における模式平面図であり、図17は、図16に示す結像素子の要部を拡大した、図16中に示すXVII−XVII線に沿った模式断面図である。また、図18は、図16に示す結像素子の第1反射素子の分解図である。以下、これら図16ないし図18を参照して、本実施の形態における結像素子1Hについて説明する。
図16ないし図18に示すように、本実施の形態における結像素子1Hは、上述した実施の形態6における結像素子1Fと比較した場合に、第1反射素子10および第2反射素子20の各々が、いずれも単位反射素子を繋ぎ合わせた複合反射素子にて構成されている点において、主としてその構成が相違している。
具体的には、図18に示すように、第1反射素子10は、平面視正方形形状の4つの単位反射素子10Aと、平面視直角二等辺三角形形状の8つの単位反射素子10Bとが、所定のルールに従って同一平面上に並べて配置され、さらにこれらの端部同士が繋ぎ合わされることによって1つの平面視正方形形状の複合反射素子とされることにより、その製作が行なわれてなるものである。このように複数の単位反射素子同士を繋ぎ合わせる手法は、一般にタイリングと呼ばれるものであり、大面積の結像素子を製作する場合に好適に用いられる手法である。
これら単位反射素子10A,10B同士の端部の接合には、たとえば接着剤が用いられ、好適にはエポキシ系の接着剤が利用できる。図17に示すように、接着剤によって単位反射素子10A,10B同士の端部の接合が行なわれることにより、隣り合う単位反射素子10A,10Bの端部間には、継ぎ目部としての接着層60aが位置することになる。
当該接着層60aは、隣り合う単位反射素子10A,10Bの端面を覆う反射膜(不図示)によって挟み込まれており、これら反射膜同士を接合している。これにより、単位反射素子10A,10Bの継ぎ目部においては、第1反射体11が、これら一対の反射膜と、当該一対の反射膜の間に位置する接着層60aとによって構成されることになる。
なお、図16に示すように、第2反射素子20についても、第1反射素子10と同様に、平面視正方形形状の4つの単位反射素子20Aと、平面視直角二等辺三角形形状の8つの単位反射素子20Bとからなる複合反射素子にて構成されている。そのため、単位反射素子20A,20Bの継ぎ目部においては、第2反射体21が、一対の反射膜21aと、当該一対の反射膜21aの間に位置する接着層60bとによって構成されることになる。
図16および図17に示すように、複数のインクスペーサー40Cの各々は、複合反射素子からなる第1反射素子10の内側主面10b上の所定位置にスポット状に設けられている。より詳細には、複数のインクスペーサー40Cの一部は、複合反射素子からなる第1反射素子10の外周領域3と、複合反射素子からなる第2反射素子20の外周領域3との間において点列状に配置されており、複数のインクスペーサー40Cの残りは、複合反射素子からなる第1反射素子10の結像寄与領域2と、複合反射素子からなる第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの所定位置においてたとえば図示するようにアレイ状に配置されている。
このように構成した場合にも、インクスペーサー40Cによって複合反射素子からなる第1反射素子10と複合反射素子からなる第2反射素子20とが距離をもって隔てて配置されることになるとともに、複合反射素子からなる第1反射素子10と複合反射素子からなる第2反射素子20との間の空間のうちのインクスペーサー40Cが配置されていない部分において空気層4が形成されることになる。
したがって、上記構成を採用することにより、上述した実施の形態6における効果と同様の効果が得られることになり、従来に比して高品位の空中映像を表示することができる結像素子とすることができる。
ここで、図16および図17に示すように、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sに位置する部分のインクスペーサー40Cの各々は、厚み方向に沿って見た場合に、第1反射素子10および第2反射素子20の上述した継ぎ目部としての接着層60a,60bに重なっていることが好ましい。
このように構成することにより、第1反射素子10の結像寄与領域2と第2反射素子20の結像寄与領域2とによって挟み込まれた内部空間Sの一部にインクスペーサー40Cが位置する場合であっても、当該インクスペーサー40Cが結像に寄与する光の光路を遮ることを抑制できるため、結像される物体の実像に品位の低下が発生してしまうことが防止できる。
さらには、このように構成することにより、結像素子1Hを第2主面1b側から目視した場合に当該インクスペーサー40Cが目立たなくなることから、結像素子1Hによって結像された物体の実像を視認した場合にも、その実像の後ろ側に位置する結像素子1Hに目の焦点が合うことが防止でき、実像の視認がより容易に行なえるようになる。
なお、インクスペーサー40Cの大きさを、第2反射素子20の継ぎ目部としての接着層60bを含む第2反射体21の幅よりも小さく構成した場合には、当該インクスペーサー40Cが、接着層60bを含む第2反射体21から食み出さないように構成できることになり、上述した効果をさらに高めることが可能になる。
また、本実施の形態においては、インクスペーサー40Cを複合反射素子からなる第1反射素子10の内側主面10bに設けた場合を例示して説明を行なったが、当該インクスペーサー40Cは、複合反射素子からなる第2反射素子20の内側主面20bに設けられていてもよい。
ここで、上述した本発明の実施の形態1ないし8において開示した特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
結像素子は、厚み方向において相対して位置する第1主面および第2主面を有し、上記第1主面側の空間位置に配置される物体の実像を上記第2主面側の空間位置において結像させるものであって、上記第1主面側に配置された平板状の第1反射素子と、上記第2主面側に配置された平板状の第2反射素子とを備えている。上記第1反射素子は、上記厚み方向に直交する第1方向に沿って並ぶように互いに平行に配置された複数の第1反射体と、上記複数の第1反射体のうちの隣り合う第1反射体間を充填する複数の第1透明体とを含んでいる。上記第2反射素子は、上記厚み方向および上記第1方向の双方に直交する第2方向に沿って並ぶように互いに平行に配置された複数の第2反射体と、上記複数の第2反射体のうちの隣り合う第2反射体間を充填する複数の第2透明体とを含んでいる。上記結像素子においては、上記第1反射素子と上記第2反射素子との間の空間のうちの一部に少なくとも1つ以上のスペーサーが配置されることにより、上記第1反射素子と上記第2反射素子とが距離をもって隔てて配置されているとともに、上記第1反射素子と上記第2反射素子との間の空間のうちの上記スペーサーが配置されていない部分に空気層が形成されている。
上記結像素子にあっては、上記第1反射素子および上記第2反射素子の各々が、結像に寄与する結像寄与領域と、上記結像寄与領域を取り囲むように設けられた結像に寄与しない外周領域とを有していることが好ましく、その場合には、上記スペーサーが、少なくとも上記第1反射素子の外周領域と上記第2反射素子の外周領域との間に配置されることにより、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間を取り囲んでいることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記厚み方向に沿って見た場合に、上記第1反射素子および上記第2反射素子が、互いに同一の多角形形状を有していてもよく、その場合には、上記第1反射素子の外周領域と上記第2反射素子の外周領域との間に配置された部分の上記スペーサーが、多角形形状の上記第1反射素子および上記第2反射素子の少なくとも角位置および辺の途中位置に位置していることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記第1反射素子の外周領域と上記第2反射素子の外周領域とに対応する部分の上記第1主面および上記第2主面ならびに端面が、枠状フレームによって覆われることにより、上記第1反射素子および上記第2反射素子が、当該枠状フレームによって保持されていることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記スペーサーが、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間の一部にも位置していてもよい。
上記結像素子にあっては、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間に配置された部分の上記スペーサーが、ワイヤーにて構成されていてもよい。
上記結像素子にあっては、上記厚み方向に沿って見た場合に、上記ワイヤーが、上記第1反射体の延びる方向および上記第2反射体の延びる方向のいずれかに沿って延在することで上記第1反射体または上記第2反射体に重なっていることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間に配置された部分の上記スペーサーが、上記第1反射素子および上記第2反射素子のいずれかの表面に設けられたインク部にて構成されていてもよい。
上記結像素子にあっては、上記厚み方向に沿って見た場合に、上記インク部が、上記第1反射体および上記第2反射体の少なくとも一方に重なっていることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間に配置された部分の上記スペーサーが、透明フィルムにて構成されていてもよい。
上記結像素子にあっては、上記厚み方向に沿って見た場合に、上記透明フィルムの外周縁が、上記第1反射体上および上記第2反射体上に重なっていることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記第1反射素子および上記第2反射素子の各々が、同一平面上に並べて配置された平板状の複数の単位反射素子と、上記複数の単位反射素子の端部同士を繋ぎ合わせる継ぎ目部とを含む複合反射素子にて構成されていてもよい。その場合には、上記厚み方向に沿って見た場合に、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間に配置された部分の上記スペーサーが、上記継ぎ目部に重なっていることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記厚み方向に沿って見た場合に、上記第1反射素子の結像寄与領域と上記第2反射素子の結像寄与領域とによって挟み込まれた空間に配置された部分の上記スペーサーが、上記単位反射素子のいずれにも重なっていないことが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記スペーサーの厚みが、10[μm]以上1000[μm]以下であることが好ましい。
上記結像素子にあっては、上記スペーサーの厚みが、上記第1反射素子および上記第2反射素子間において同一であることが好ましい。
なお、上述した本発明の実施の形態1ないし8において開示した個々の特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて当然に相互に組み合わせることができる。たとえば、第1反射素子と第2反射素子とが平板状スペーサーとインクスペーサーとによって隔てられた状態で固定されてもよいし、第1反射素子と第2反射素子とがワイヤースペーサーと透明フィルムスペーサーとによって隔てられた状態で固定されてもよい。また、インクスペーサーを用いる場合において、ワイヤースペーサーを用いる場合に例示した上記のレイアウトを、当該インクスペーサーのレイアウトに適用することもできる。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。