JP6394271B2 - 連続鋳造用鋳片圧下装置及び連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造鋳片のセンターポロシティを低減することのできる連続鋳造用鋳片圧下装置及び連続鋳造方法に関するものである。
連続鋳造方法によってスラブやブルームなどの鋳片を鋳造する場合に、鋳片の中心部にリンやマンガン等の成分が偏析する、いわゆる中心偏析が発生することがある。また、鋳片中心部にはセンターポロシティと呼ばれる空孔が発生する。
連続鋳造中の凝固末期において、溶鋼の凝固収縮に伴って未凝固溶鋼が最終凝固部の凝固完了点に向かって流動する。溶鋼流動に際して、固液界面の不純物濃化溶鋼が最終凝固部に集積する。これが中心偏析の原因となる。従って、中心偏析を軽減するためには、最終凝固部付近において、溶鋼の凝固収縮量に見合った分だけ凝固シェルを圧下することにより、最終凝固部付近の溶鋼流動を抑えることが有効となる。このような考え方に基づき、連続鋳造末期の凝固完了前においてサポートロールによって鋳片を圧下する軽圧下技術が用いられている(例えば特許文献1)。
スラブの連続鋳造では鋳片幅が2m前後となり、鋳片の幅全体を1本のロールでサポートする1本ロールではロールたわみが生ずることとなる。ロール直径を大きくすればロール剛性を上げることができるが、鋳片未凝固部位においては、バルジングを防止するためにロール間隔を狭める必要があり、ロール直径を大きくすることができない。そこで、ロールを鋳片幅方向に2以上に分割し、分割した各ロールを軸受で保持することにより、ロールたわみを防止する分割ロールを用いた軽圧下技術が開発された。
連続鋳造中に凝固が完了する前後において鋳片を圧下しようとするとき、すでに鋳片の両短辺側は凝固が完了しているために圧下に伴う変形抵抗が大きく、所定の圧下量が得られないことがあった。そこで、ロールの直径について、鋳片幅中央部に対応する部分のロール直径が大きく、鋳片幅両側に対応する部分のロール直径が幅中央部に比較して小さい形状のロール(以下「凸型ロール」という。)を用い、凝固が完了した鋳片の両短辺側は圧下せず、未凝固領域の残る鋳片幅中央部のみを圧下する技術が開発された(例えば特許文献2、3)。
さらに、分割ロールの特徴と凸型ロール(1本ロール)の特徴をあわせ備えたロールとして、特許文献4においては、分割ロールを有し、鋳片の固相率が0.7以下の領域に相当する幅ついてロール直径を他の部分より大きくした圧下部を有する連続鋳造装置を用いた連続鋳造方法が開示されている。このようなロールを用い、中心固相率が0.3以降完全凝固位置までを圧下することにより、センターポロシティを抑制することができる。
未凝固領域での軽圧下の圧下量を増大すると、内部割れの問題や逆V偏析発生の問題があるため、軽圧下量を少なくせざるを得ず、センターポロシティの減少には不十分な結果になっている(特許文献2、3参照)。特許文献3では、凸型1本ロールを用い、中心固相率ごとに圧下勾配の上限と下限を設け、内部割れ、逆V偏析、V偏析の発生を防止しつつ中心偏析やセンターポロシティを低減する方法が開示されている。特許文献3では、(0.65〜0.75)≦中心固相率≦0.90の領域において、圧下勾配が0.16%/mを超えると逆V偏析が発生するとして忌避している。
特許文献5、6では、完全凝固後に鋳片を強圧下することにより、センターポロシティ低減を図っている。
特許文献7には、凝固末期に配置された軽圧下セグメントにおいて、各ロール軸受毎に位置制御用シリンダーを設け、各ロール毎に圧下量を調整する方法が開示されている。さらに特許文献8には、軽圧下ロール毎に圧下量を制御する方法において、所望圧下量に対して鋳片実圧下量を精度良く得る方法が記載されている。
分割ロールにおいては、鋳片幅方向に並ぶ各分割ロールの両端に軸受4が配置される(図1参照)。そのため、隣接する圧下ロール間に鋳片非接触部分が存在する。ここでは、鋳片非接触部を「軸受部9」と呼び、軸受部9(鋳片非接触部)の幅を「軸受幅A」と呼ぶ。圧下ロールの軸受部においては、圧下ロールが鋳片に接触していないために鋳片はバルジング可能な状態にある。そのため、当該圧下ロールと鋳造方向に隣接するロールとの間隔と、この軸受幅の関係次第では、必ずしも十分なバルジング抑制が達成されない。特許文献9においては、軸受幅をAとし、圧下ロールの前ロールと後ロールとの間隔をBとし、Bに対応する最大のAの値を限定することにより、鋳片のバルジング量を小さくして鋳片の中心偏析を抑制している。
特公昭62−34460号公報 特開平6−126406号公報 特許第2814958号公報 特開平8−257715号公報 特開平8−164460号公報 特開2009−279652号公報 特開平5−8004号公報 特開平8−90186号公報 特許第4880089号公報
鋳片のセンターポロシティを低減するために種々の鋳造方法が提案されているが、いまだに完全解決に至っていない。未凝固領域の圧下については、過剰圧下による逆V偏析の発生が懸念されるため、センターポロシティ消滅に足りるだけの圧下がなされない。完全凝固後の圧下によってセンターポロシティを低減する提案もなされているが、大きな圧下力を必要とし、既存の連続鋳造装置での改造では対応できないことがある。
本発明は、スラブ連続鋳造鋳片のセンターポロシティを十分に改善することのできる、連続鋳造用鋳片圧下装置及び連続鋳造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)金属の連続鋳造中に鋳片を圧下するための鋳片圧下装置であって、
連続して2対以上の圧下ロール対を有し、圧下ロール対の圧下ロールを分割ロールとし、
前記2対以上の圧下ロール対のうちの少なくとも1対は、鋳造方向で中心固相率が0.7以上の位置にあり、
圧下ロール対の圧下ロールの一方又は両方は、鋳片幅方向に並ぶ複数の分割ロールの表面を連続する表面としてみたときに、鋳片幅中央部のロール表面直径が大きく、鋳片幅両側のロール表面直径が幅中央部に比較して小さい形状(以下「凸型ロール群」と呼ぶ。)をなし、
鋳片幅中央部のロール表面直径が大きい部分(大径部)の鋳片幅方向長さについて、鋳片両端部の前記大径部で圧下をしない部分の長さが、鋳片幅両端部のそれぞれで60mm以上、鋳片厚みの1.5倍以下となるように定め、
鋳片幅方向に隣接する圧下ロール間の鋳片非接触部分(以下「軸受部」という。)の幅(以下「軸受幅」という。)をA(mm)とし、隣接する圧下ロール対の間隔をロールピッチP(mm)とし、
鋳造方向に隣接する圧下ロールの間では軸受部が鋳片幅方向に重なり部分を有さず、幅AとロールピッチPとが下記(1)式、(2)式の関係を有し、
各圧下ロール対はそれぞれ独立して、ロール対による圧下力又は圧下量若しくはその両方が調整可能であることを特徴とする連続鋳造用鋳片圧下装置。
A≦0.0041×P 2 −8.033×P+4051 (1)
200≦P≦1000 (2)
[2]上記[1]記載の連続鋳造用鋳片圧下装置を用いた連続鋳造方法であって
心固相率が0.7未満の位置にある圧下ロール対については、当該圧下ロール対による鋳片圧下量が凝固収縮を補償する圧下量又はそれ以下となるように当該圧下ロール対の圧下力又は圧下量を調整し、
中心固相率が0.7以上の位置にある圧下ロール対については、センターポロシティを十分に低減できるように当該圧下ロール対の圧下力又は圧下量を調整することを特徴とする連続鋳造方法。
本発明は、連続して2対以上の圧下ロール対を有し、圧下ロール対の圧下ロールを分割ロールとし、圧下ロールの一方又は両方を凸型分割ロール群とし、各圧下ロール対は独立して圧下力又は圧下量を調整することにより、スラブ連続鋳造鋳片のセンターポロシティを十分に改善することのできる、連続鋳造用鋳片圧下装置及び連続鋳造方法を提供することができる。
本発明の連続鋳造用鋳片圧下装置の一例を示す図であり、(a)は側面図、(b)はB−B矢視正面図、(c)はC−C矢視平面断面図である。 本発明の連続鋳造用鋳片圧下装置を説明する部分正面図であり、(a)は各分割ロールとロール表面形状の関係を示す図、(b)はロール表面形状と鋳片との関係を示す図である。 本発明の連続鋳造用鋳片圧下装置の一例を示す平面断面図である。 実施例を示す図であり、(a1)〜(d1)は正面断面図、(a2)〜(d2)は平面図、(b3)〜(d3)は側面断面図である。
本発明は、スラブ連続鋳造鋳片のセンターポロシティを低減することを目的とする。スラブ連続鋳造においては、鋳造中の鋳片を圧下するための圧下ロールとして、ロールを鋳片幅方向に2以上に分割し、分割した各ロールを軸受で保持することにより、ロールたわみを防止する分割ロールが用いられている。従来分割ロールでは鋳片幅端部の凝固部も圧下するため、大きな圧下反力が発生し、既存の連続鋳造装置を用いた軽圧下では十分な圧下ができなかった。凝固末期の鋳片を小さい力で効果的に圧下する手段として、ブルーム、ビレットなど小断面の鋳片については、凸型ロール(ロールの鋳片幅方向の直径について、鋳片幅中央部のロール直径が大きく、鋳片幅両側のロール直径が幅中央部に比較して小さい形状のロール)が採用されてきたが、ロールスパンが長いと、ロールのたわみが発生するため鋳片の圧下が困難となるためスラブには採用できなかった。そこで本発明では、凸型ロールの特質を有する分割ロールを採用することとした。
以下、図1、図2に基づいて本発明の連続鋳造用鋳片圧下装置について説明する。図1は、本発明の連続鋳造用鋳片圧下装置の一例を示す図であり、(a)は側面図、(b)はB−B矢視正面図、(c)はC−C矢視平面断面図である。図2は、本発明の連続鋳造用鋳片圧下装置を説明する部分正面図であり、(a)は各分割ロールとロール表面11の関係を示す図、(b)はロール表面11形状と鋳片20との関係を示す図である。図2(a)のハッチング部は実際の各分割ロールを示し、2点鎖線がロール表面11を示す。
圧下ロール3は、鋳片の鋳造方向30の同じ位置において長辺面の両側に配置される。L側(水平部の上側)をL側圧下ロール3L、F側(水平部の下側)をF側圧下ロール3Fと呼ぶ。この2本の圧下ロール(3L、3F)をここでは「圧下ロール対2」と呼ぶ。本発明では、圧下ロール対2の圧下ロール3を分割ロールとし、圧下ロール対2の圧下ロール3の一方又は両方は、鋳片幅方向31に並ぶ複数の分割ロールの表面を連続する表面11としてみたときに(図2参照)、鋳片幅中央部のロール表面直径が大きく、鋳片幅両側のロール表面直径が幅中央部に比較して小さい形状(以下「凸型ロール群7」と呼ぶ。)をなしている。これにより、小さい圧下力でのスラブの圧下が可能となる。図1に示す例では、L側圧下ロール3Lが凸型ロール群7であり、F側圧下ロール3Fについては鋳片幅方向にロール直径が一定であるフラットロール群8を構成している。
さらに図2に基づいて説明する。凸型ロール群7の表面形状において、鋳片幅中央部のロール表面直径が大きい部分(以下「大径部5」という。)の鋳片幅方向長さを大径部長さ21と呼ぶ。大径部長さ21は、鋳片両端部の圧下をしない長さ24をそれぞれ60mm以上とし、鋳片厚み23の1.5倍以下となるように定めると良い。鋳片両端部の圧下をしない長さ24をそれぞれ60mm以上とする、つまり大径部長さ21を鋳片幅22に対して120mm以上小さくすることで、変形抵抗が高い端部の圧下を回避することができ、効率的な圧下が可能となる。また品質改善のためには、鋳片内の未凝固部分を確実に圧下する必要がある。鋳片未凝固部分の鋳片幅方向長さは、冷却条件や鋳片断面サイズにより左右されるが、鋳片両端部の圧下をしない長さ24が鋳片厚み23の1.5倍より大きいと、未凝固部分の両端部に偏析等の課題が発生する場合が多い。よって鋳片両端部の圧下しない長さ24を最大でも鋳片厚み23の1.5倍以下とすることが好ましい。
鋳片幅両側のロール表面直径が小さい部分(以下「小径部6」という。)のロール直径と、大径部5のロール直径との関係については、その差が鋳片圧下量の2倍以上であれば、大径部5のみによる圧下が可能であり、鋳片圧下量に応じて定めることが好ましい。
センターポロシティ対策としての圧下ロール対2を1対のみとすると、未凝固部(固液共存相)に溶鋼静圧やデンドライトの噛み込みによる変形抵抗が発生する場合、圧下ロールの後流側で、圧下した部分を押し戻すように変形抵抗が作用してしまうため、十分に圧下が鋳片内部に伝わらないという問題があることが判明した。そこで、本発明では、圧下ロール対2を2対以上とすることで、ロール間の凝固シェルを利用して、面での圧下ができるため、凸型ロール群でも効率的な圧下が可能となることを新たに見出した。
従来、完全凝固前の鋳片を圧下するに際しては、逆V偏析の発生を防止するため、圧下ロールによる鋳片圧下量には上限があり、センターポロシティを十分に低減できないものと考えられていた。本発明においては、圧下ロール対を2対以上とし、中心固相率が0.7以上1.0以下において圧下を行うこととすれば、逆V偏析を発生させることなく、センターポロシティを十分に低減できることを明らかにした。上述のとおり、圧下ロール対を2対以上とすることで、ロール間の凝固シェルを利用して面での圧下を行うことにより、効果が発揮されたものと推定される。
圧下ロール対を2対以上とし、中心固相率が0.7以上1.0以下において圧下を行うに際し、中心固相率0.7以上1.0以下における圧下量については、鋼種、鋳片厚み、鋳造速度、冷却条件などに応じて、センターポロシティが十分低減できる適正な範囲を適宜設定すれば良い。適正な範囲は、予め鋳造試験等により鋳造条件に応じた値を決定すれば良い。このようにして決定した適正な圧下量で圧下することにより、センターポロシティを十分に低減することができる。
また、2対以上の圧下ロール対のうち、少なくとも下流側の1対(下流側圧下ロール対2D)の圧下位置が中心固相率0.7以上1.0以下の位置であれば、上記効果を発揮することができることも、新たに見出した。但し、上流側圧下ロール対2Uのうち、中心固相率が0.7未満で圧下を行う圧下ロール対がある場合、その圧下ロール対については、凸型ロール群で凝固収縮を補償するより大きい圧下量で圧下すると、鋳造方向逆向きの溶鋼流動が発生し、逆V偏析が発生する。従って、逆V偏析発生防止のために圧下量の上限を設ける必要がある。圧下量の上限は、当該圧下ロール対による鋳片圧下量が凝固収縮を補償する圧下量又はそれ以下となるように定められる。
鋳造中の凝固完了前の鋳造方向各部位において、凝固収縮を補償する圧下量は、鋼種、鋳片厚み、鋳造速度、冷却条件、圧下の鋳片内部への伝わり易さ(浸透度)などによって異なるので、正V偏析、逆V偏析が発生しない適正な範囲を、鋳造条件に応じて適宜設定すれば良い。適正な範囲は予め鋳造試験等により決定すれば良い。
上記のように、2対以上の圧下ロール対それぞれについて、中心固相率が0.7以上か0.7未満かによって適正な圧下量が異なることになる。また、連続鋳造中の鋳造速度などの変動により、各圧下ロール対位置での中心固相率は変動することがある。そこで、各圧下ロール対ごとに最適な圧下量を実現するため、本発明においては、各圧下ロール対はそれぞれ独立して、圧下ロール対による圧下力又は圧下量若しくはその両方が調整可能であることとする。例えば、図1に示すような2対の圧下ロール対2を有する場合、上流側圧下ロール対2Uと下流側圧下ロール対2Dのそれぞれが、圧下ロール対制御系(10U、10D)によって独立に圧下制御される。これにより、圧下ロール対ごとに圧下量目標が異なる場合、また鋳造中に圧下ロール対ごとに圧下量目標が変動した場合においても、それらに追随して最適な圧下量を実現することが可能となる。当該機能は、それぞれの圧下ロール対制御系10に油圧圧力調整弁やサーボ弁とロール間隔センサを設置するなどして実現することができる。
本発明の圧下制御において、各圧下ロール対の圧下量を調整することとしても良いが、圧下力を調整することとしても良い。その両方を採用しても良い。圧下力を指標として圧下調整を行う場合、中心固相率0.7未満において、正V偏析、逆V偏析を発生させない圧下力と、中心固相率0.7以上においてセンターポロシティが低減できる圧下力を、それぞれ鋳造試験等により予め求めておき、適宜設定すれば良い。
図3に基づいて説明する。図3は、2対の圧下ロール対(2U、2D)のL側圧下ロール(3U、3D)を上方から見た平面図である。本発明の圧下ロール3には分割ロールを用いている。分割ロールにおいては、前述のとおり、鋳片幅方向に隣接する圧下ロール間に鋳片非接触部分(軸受部9)が存在する。センターポロシティ低減のための圧下を行うに際し、軸受部9については鋳片が圧下を受けない。本発明は、圧下ロール対2を2対以上とすることにより、ロール間の凝固シェルを利用して面での圧下を行うことにより、逆V偏析を発生させることなく、センターポロシティを十分に低減することができる。ところが、軸受部9の軸受幅Aが広すぎると、圧下ロール対間のロールピッチPとの関係によっては、凝固シェルを利用しての面での圧下が十分に行われず、鋳片幅方向にセンターポロシティがやや増大する部分が生じることとなる。また図3(b)に示すように、鋳造方向に隣接する圧下ロールの間では軸受部が鋳片幅方向に重なり部分28があると、やはり凝固シェルを利用しての面での圧下が十分に行われず、鋳片幅方向にセンターポロシティがやや増大する部分が生じることとなる。
本発明では、鋳片幅方向に隣接する圧下ロール間の鋳片非接触部分(軸受部9)の幅(軸受幅)をA(mm)とし、隣接する圧下ロール対の間隔をロールピッチP(mm)とし、鋳造方向30に隣接する圧下ロール3の間では軸受部9が鋳片幅方向31に重なり部分を有さず、軸受幅AとロールピッチPとが下記(1)式、(2)式の関係を有することにより、上記問題が発生することなく、センターポロシティを十分に低減することが可能となる。
A≦0.0041×P2−8.033×P+4051 (1)
200≦P≦1000 (2)
図3(a)に示す例では、上流側圧下ロール対2Uの軸受部(9U1、9U2)のいずれも、下流側圧下ロール対2Dの軸受部(9D1、9D2)と鋳片幅方向31で重なり部分を有していないことがわかる。
ロールピッチPが小さいほど、圧下が内部に伝わりやすくなるが、ロールピッチPの下限を200mmとしたのは、小さくし過ぎるとロール、軸受の強度上の課題や配置上の課題が発生するので、連鋳設備において実際に設計しうる範囲として定めた。なお、実用上、ロールピッチの下限を例えば400mmとしてもよい。
ロールピッチPの上限を1000mmとしたのは、2対の圧下ロール対の間隔がこれを越えると、圧下の伝達が悪くなるだけでなく、適正な中心固相率の範囲から外れるためである。
上記(2)式の範囲内において、上記(1)式を満たすことにより、鋳片の幅方向いずれの部位においても、センターポロシティを十分に低減することが可能となることを知見した。
すなわち、(1)式については、以下の通り導出した。
まず図3(a)に示すように、圧下ロールにおいて鋳片幅方向31に隣り合う分割ロール間の軸受部9と、鋳造方向30に隣り合う圧下ロール間にて形成される鋳片未支持範囲27に対して、鋳片厚み方向の変形量を有限要素法を用いて解析し、ロールを圧下した際に発生する変形抵抗による未支持部の変形量を評価した。
未支持部の変形量が大きくなりすぎると十分にセンターポロシティを低減できないが、発明者が鋭意検討したところ、(1)式を満たす範囲において、圧下ロール間の変形抵抗によるシェル変形は抑制でき、センターポロシティを十分に低減することが分かった。
本発明において中心固相率とは、鋳片厚み方向の中心部で、かつ、鋳片幅方向の溶融部分の固相率と定義できる。中心固相率は、伝熱・凝固計算によって求めることができ、伝熱・凝固計算としては、エンタルピー法や等価比熱法などが広く知られており、いずれの方法を用いても良い。また、簡易的には、下記の式が広く知られており、この式を用いても良い。
中心固相率=(液相線温度−溶融部温度)/(液相線温度−固相線温度)
ここで、溶融部温度とは、鋳片厚み方向の中心部で、かつ、鋳片幅方向の溶融部分の温度を意味しており、伝熱・凝固計算によって求めることができる。また、液相線温度は、例えば、「鐵と鋼Vol.55、No.3(1969)S85、社団法人日本鉄鋼協会」を参照して、また、固相線温度は、例えば、「平居、金丸、森;学振19委、第5回凝固現象協議会資料、凝固46(1968年12月)」を参照して、それぞれ算出することができる。
垂直曲げ型の鋼スラブ連続鋳造装置を用い、幅2200mm、厚み300mmの鋼スラブを鋳造するに際し、本発明を適用した。図4に、実施例で使用した本発明例と比較例の連続鋳造用鋳片圧下装置を示す。図4の(a1)〜(d1)は正面断面図、(a2)〜(d2)は平面図、(b3)〜(d3)は側面断面図である。
本発明例においては、凝固完了部直前に2対の圧下ロール対(2U、2D)を設けた。圧下ロール対2の間のロールピッチPは600mmである。圧下ロール対2の圧下ロール3は3分割ロールであり、軸受部9の軸受幅Aは300mmである。(1)式の右辺は707mmとなり、ロールピッチPと軸受幅Aの関係は(1)式を満たしている。
圧下ロール対のうち、F側(水平部における下側)圧下ロール3Fは直径370mmの3分割のフラットロール群8である。L側(水平部における上側)圧下ロール3Lは3分割の凸型ロール群7を構成しており、凸型ロール群7の大径部5は直径370mm、小径部6は直径340mmとした。また、大径部5の鋳片幅方向長さ(大径部長さ21)は1900mmとした。2対の圧下ロール対(2U、2D)それぞれのL側圧下ロール3Lは圧下ロール対制御系(10U、10D)としての油圧シリンダーによってそれぞれ独立で昇降できる構造とし、圧力の調整によって圧下力の調整ができるようにした。
センターポロシティ体積は鋳片の幅方向に沿って、10箇所、均等に分割した位置から50mm×50mmのサンプルを採取し、このサンプルの表面を研磨した後、比重を測定することで、鋳片内部のポロシティ体積を求めるとともに、比較例1におけるポロシティ体積を基準とし、各条件を評価した。逆V偏析については鋳造方向に沿った鋳片断面のエッチプリントにおいて、偏析粒が連続的に繋がる偏析線の有無により評価した。
Figure 0006394271
比較例1では、図4(a)に示すように、圧下ロール対(2U、2D)の両方とも、3分割凸型ロール群を3分割フラットロール群8(直径370mm)に変更し、本発明例と同じ圧下力での圧下を行ったが、ポロシティは良化しなかった。鋳片幅両端部の完全凝固部を圧下するため、十分な圧下量を得るためには圧下力が不足したものと推定される。
比較例2では、図4(b)に示すように、圧下ロール対の一方(下流側圧下ロール対2D)について圧下を行わず、凸型ロール群の圧下ロール対2U1対での圧下をおこなった。ポロシティは若干良化したが、不十分であった。
比較例3では、図4(c)類似の凸型ロール群の圧下ロール対2対での圧下をおこなった。ポロシティは良化したが、上流側圧下ロール対2Uにおける中心固相率が0.7未満であり、ここに凝固収縮量を越える圧下を加えたために、逆V偏析が発生した。
本発明の実施例1(図4(c))、実施例2(図4(d))では凸型ロール群の圧下ロール対2対(2U、2D)での圧下を行いポロシティは大幅に良化した。実施例1において下流側圧下ロール対2Dにおける中心固相率は1.0であり、鋳片変形抵抗は比較的低く、ポロシティ良化につながった。
本発明の実施例3(図4(d)類似)では上流側圧下ロール対2Uにおける中心固相率が0.7未満であったため、凝固収縮量相当の圧下を加えるべく圧下力を適切な値に低減した。実施例2に比べてポロシティは若干大きいものの、比較例1、2に比べ、ポロシティは大幅に良化し、逆V偏析も発生しなかった。
実施例1、2、3により、ポロシティを無害化でき、厚板圧延時の加熱温度を下げることができる。
1 鋳片圧下装置
2 圧下ロール対
2U 上流側圧下ロール対
2D 下流側圧下ロール対
3 圧下ロール
3L L側圧下ロール
3F F側圧下ロール
4 軸受
5 大径部
6 小径部
7 凸型ロール群
8 フラットロール群
9 軸受部
10 圧下ロール対制御系
11 ロール表面
20 鋳片
21 太径部長さ
22 鋳片幅
23 鋳片厚み
24 鋳片両端部の圧下しない長さ
25 完全凝固部
26 未凝固部(固液共存相)
27 鋳片未支持領域
28 重なり部分
30 鋳造方向
31 鋳片幅方向
A 軸受幅(mm)
P ロールピッチ(mm)

Claims (2)

  1. 金属の連続鋳造中に鋳片を圧下するための鋳片圧下装置であって、
    連続して2対以上の圧下ロール対を有し、圧下ロール対の圧下ロールを分割ロールとし、
    前記2対以上の圧下ロール対のうちの少なくとも1対は、鋳造方向で中心固相率が0.7以上の位置にあり、
    圧下ロール対の圧下ロールの一方又は両方は、鋳片幅方向に並ぶ複数の分割ロールの表面を連続する表面としてみたときに、鋳片幅中央部のロール表面直径が大きく、鋳片幅両側のロール表面直径が幅中央部に比較して小さい形状(以下「凸型ロール群」と呼ぶ。)をなし、
    鋳片幅中央部のロール表面直径が大きい部分(以下「大径部」という。)の鋳片幅方向長さについて、鋳片両端部の前記大径部で圧下をしない部分の長さが、鋳片幅両端部のそれぞれで60mm以上、鋳片厚みの1.5倍以下となるように定め、
    鋳片幅方向に隣接する圧下ロール間の鋳片非接触部分(以下「軸受部」という。)の幅(以下「軸受幅」という。)をA(mm)とし、隣接する圧下ロール対の間隔をロールピッチP(mm)とし、
    鋳造方向に隣接する圧下ロールの間では軸受部が鋳片幅方向に重なり部分を有さず、幅AとロールピッチPとが下記(1)式、(2)式の関係を有し、
    各圧下ロール対はそれぞれ独立して、ロール対による圧下力又は圧下量若しくはその両方が調整可能であることを特徴とする連続鋳造用鋳片圧下装置。
    A≦0.0041×P 2 −8.033×P+4051 (1)
    200≦P≦1000 (2)
  2. 請求項に記載の連続鋳造用鋳片圧下装置を用いた連続鋳造方法であって
    心固相率が0.7未満の位置にある圧下ロール対については、当該圧下ロール対による鋳片圧下量が凝固収縮を補償する圧下量又はそれ以下となるように当該圧下ロール対の圧下力又は圧下量を調整し、
    中心固相率が0.7以上の位置にある圧下ロール対については、センターポロシティを十分に低減できるように当該圧下ロール対の圧下力又は圧下量を調整することを特徴とする連続鋳造方法。
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