JP6393916B2 - 電気回転機 - Google Patents

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Description

本発明は、ロータとステータとを有する電気回転機に関する。
例えば、電気回転機として同期電動発電機(モータジェネレータ)があり、1台で電動機(モータ)又は発電機(ジェネレータ)として作動される。 ハイブリッド自動車では、特許文献1に開示されているように、車輪駆動系に動力分配機構を介して、エンジンと2台のモータジェネレータを連動連結し、1台のモータジェネレータでエンジンの始動及び動力補助、発電に使用し、他方を動力補助、回生発電等に使用している。
特許文献2においては、モータジェネレータを2台直結して、両方をモータ又はジェネレータとし、また1台をモータに、他方をジェネレータとして使用可能にしている。 特許文献3においては、円筒形ロータの内外周面にそれぞれステータを対向させ、両ステータの巻線の電気角を周方向で180°ずらした誘導電動機、同期電動機が開示されている。 特許文献4に開示された誘導反発吸引原理を利用した回転電機は、誘導反発吸引原理を利用した回転電機の固定子に供給される、永久磁石型回転子の回転速度に同期した3相電流に対して、この3相電流から90度位相がずれた電流を重畳することにより、前記永久磁石型回転子を中心に戻そうとする電磁力を発生させるように構成されている。 特許文献5に開示された回転型周波数変換装置は、電動機と発電機とを軸連結して、周波数の異なる系統間で電力の授受を行うように構成されている。
特開2012−232671号公報 特開2010−028887号公報 特開2009−247046号公報 特開2013−146158号公報 特開2009−273268号公報
前記特許文献1〜5の技術では、1台のモータジェネレータは、電動態様(モータ態様)と発電態様(ジェネレータ態様)とに切り替え可能であるが、瞬間においてはどちらか一方の態様のみで、2つの態様を同時に採り得ることができなく、電動態様で駆動されるロータで発電態様を持続させることは困難になっている。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決できるようにした電気回転機を提供することを目的とする。
本発明は、永久磁石で表裏に磁界部を形成した1個のロータを電動態様と発電態様とに同時に使用して、持続的に発電できるようにした電気回転機を提供することを目的とする。
本発明は、永久磁石で表裏に磁界部を形成する1個のロータに対向する2つのステータ磁界に発生する磁界の能力差をつけて、能力の高いステータ磁界に給電しかつ能力の低いステータ磁界から集電可能にして、持続的に発電できるようにした電気回転機を提供することを目的とする。
本発明は、永久磁石で表裏に磁界部を形成する1個のロータを両端が自由端の円筒体に形成し、第1ステータ又は第2ステータとの間に磁気間隙形成手段及び磁気位置設定手段を設けて、ロータを浮上状態で回転させて、持続的に発電できるようにした電気回転機を提供することを目的とする。
本発明は、永久磁石で表裏に磁界部を形成する1個のロータを両端が自由端の円筒体に形成し、第2ステータの巻線を大電流供給可能な超電導体で形成し、ロータを浮上状態で回転させて、第1ステータの巻線から持続的に発電できるようにした電気回転機を提供することを目的とする。
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
第1に、永久磁石を円周方向に配列して表裏各面にそれぞれ第1磁界部と第2磁界部とを形成した回転自在なロータと、このロータの外周面の第1磁界部と対面して第1ステータ磁界を形成する巻線を設けた第1ステータと、ロータの内周面の第2磁界部と対面して第2ステータ磁界を形成する巻線を設けた第2ステータと、前記第1ステータと第2ステータとを固定しかつロータを包囲したケースとを有しており、
前記第1ステータ又は第2ステータの一方の巻線に給電してロータを回転駆動する給電装置と、駆動されるロータの回転によって他方の巻線に発生する誘導電流を取り出す集電装置とを備えた制御部を有しており、
少なくとも給電側のステータの巻線を超電導材で形成しており、
前記ロータは、第1磁界部及び第2磁界部を設けた円筒部の両端が自由端の円筒体であり、第1ステータ又は第2ステータとロータとの間にロータを磁気で浮上させて径方向間隙を形成する磁気間隙形成手段及び軸方向相対位置を適正にする磁気位置設定手段を有することを特徴とする。
第1の特徴は、1台の電気回転機で、両端が自由端の1個のロータを共用して電動態様と発電態様とを同時に採って、持続的に発電することができる。
第2に、制御部は永久電流スイッチ及び限流器を有する超電導制御ユニットを備え、給電側の超電導巻線に永久電流を供給可能であることを特徴とする。
第2の特徴は、給電側の超電導巻線に永久電流を供給して、効率よく持続的に発電することができる。
第3に、第2ステータの巻線を超電導材で形成して給電装置に接続し、第1ステータを集電装置に接続し、第2ステータの超電導巻線に供給する電流を第1ステータの巻線で発生する誘導電流より大きくしていることを特徴とする。
第3の特徴は、第2ステータの超電導巻線に電流を供給して、効率よくロータを駆動して持続的に発電することができる。
第4に、給電装置は、給電側の巻線に給電する電流をステータ周方向等間隔にかつ複数同時に同極に励磁可能であることを特徴とする。
第4の特徴は、両端が自由端の1個のロータを、給電電流でステータとの間に間隙を形成しかつ軸方向相対位置を適正にすることができる。
第5に、集電側の巻線は、誘導電流がステータ周方向等間隔にかつ複数同時に同極に励磁可能になっていることを特徴とする。
第5の特徴は、両端が自由端の1個のロータを、誘導電流でステータとの間に間隙を形成しかつ軸方向相対位置を適正にすることができる。
第6に、集電側のステータに周方向間隔をおいて設けた巻線は、主ループとこれと逆向きに巻いた副ループとをステータの軸心方向に隣接しかつそれらループを8の字結線しており、前記主ループは副ループよりもロータの永久磁石との対向面積が大きいことを特徴とする。
6の特徴は、1個のロータを誘導電流でステータとの間に間隙を形成しかつ軸方向相対位置を適正にすることができ、かつ、集電効率を高くすることができる。
第7に、ロータが停止しているときに、ロータと第1ステータ及び第2ステータとの間に径方向間隙を形成する間隙保持手段を設けていることを特徴とする。
第7の特徴は、ロータが停止しているときに、ロータと第1ステータ及び第2ステータとの間の接触を回避することができる。
第8に、ロータ、第1ステータ及び第2ステータとでなる組がロータの軸心方向に複数組設けられており、一方のロータは両端が自由端の磁気で浮上する前記円筒体で形成され、他方のロータは端部にケース外に突出する出力軸部を連結していることを特徴とする。
第8の特徴は、1組のロータ、第1ステータ及び第2ステータで発電し、他の1組のロータ、第1ステータ及び第2ステータで駆動力の取り出しができる。
第9に、第1磁界部及び第1ステータと第2磁界部及び第2ステータとは、給電側と発電側の交流電流の周波数が異なっていることを特徴とする。
第9の特徴は、給電と異なる周波数の発電を効率よくすることができる。
第10に、第1ステータ及び第2ステータの両方の巻線を超電導材で形成し、前記ロータの永久磁石は、ロータ内に埋め込んでその両端でロータ表裏の第1磁界部と第2磁界部とを形成する超電導バルクであることを特徴とする。
第10の特徴は、ロータの永久磁石を簡単に形成でき、強力な磁界を着磁できる。
本発明によれば、永久磁石3で表裏に磁界部4a、4bを形成した1個のロータ5を電動態様と発電態様とに同時に使用して、持続的に発電することができる。
また、本発明によれば、永久磁石3で表裏に磁界部4a、4bを形成した1個のロータ5に対向する2つのステータ磁界α、βに発生磁界の能力差をつけて、能力の高いステータ磁界に給電しかつ能力の低いステータ磁界から集電可能にして、持続的に発電することができる。
また、本発明によれば、永久磁石3で表裏に磁界部4a、4bを形成した1個のロータ5を、両端が自由端の円筒体に形成し、第1ステータ7a又は第2ステータ7bとの間に磁気間隙形成手段及び磁気位置設定手段を設けて、ロータ5を浮上状態で回転させて、持続的に発電することができる。
また、本発明によれば、第2ステータ7bの巻線6が表面積の小さなものであっても、超電導巻線6への大電流供給により、第1ステータ7aの巻線6の発生磁界より大きな磁界を発生でき、第1ステータ磁界αと第2ステータ磁界βとの間に発生磁界の能力差を明確につけることができる。
本発明の第1実施形態を示す断面正面図である。 図1のX−X線断面図である。 第1実施形態の電気回転機を移動機体に適用した概略図である。 同電気回転機の第1作動例を示す説明図である。 同電気回転機の第2作動例を示す説明図である。 同電気回転機の第3作動例を示す説明図である。 本発明の第2実施形態を示す断面正面図である。 図7のY−Y線断面図である。 第2実施形態の電気回転機を移動機体に適用した概略図概略図である。 本発明の第3実施形態を示す断面正面図である。 図10のZ−Z線断面図である。 本発明の第4実施形態を示す断面正面図である。 図12のW−W線断面図である。 本発明の第5実施形態を示す断面正面図である。 図14のV−V線断面図である。 第5実施形態の展開説明図である。 本発明の第6実施形態を示す断面正面図である。 本発明の第7実施形態を示す断面正面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜6は本発明の第1実施形態の電気回転機1Aを示しており、図1〜3において、電気回転機1Aは三相交流用の電動発電機(モータジェネレータ)であって、自動車、電車、船舶等の移動機体15に搭載されていて、給電装置9、集電装置10、インバータ(コンバータを含む)16及びバッテリ17等を備えた制御部18と接続されており、また移動機体15の回転軸、推進軸等の外部回転部材12と連動連結されている。
図1、2において、前記電気回転機1Aは大別して、1個のロータ5と、2個のステータ7a、7bと、これらを収納しかつ支持するケース8と、このケース8に固定されていてステータ7bを支持する支持体13と有し、ステータ7a、7bは三相交流電流を給電及び集電可能になっている。
前記ロータ5は、円筒形の円筒部5aと、この円筒部5aの一端に連結された回転軸部5bと、この回転軸部5bと一体成形された出力軸部5cとを有し、出力軸部5cの自由端はケース8から突出され、円筒部5a、回転軸部5b及び出力軸部5cはそれぞれ軸受20、21、22を介してケース8に対して回転自在に支持されている。
円筒部5aは表裏に円形の外周面と内周面とを有し、外周面には永久磁石3aを円周方向に複数個配列して第1磁界部4aが形成され、内周面には永久磁石3bを円周方向に複数個配列して第2磁界部4bが形成されている。
第1ステータ7aは珪素鋼板を多数枚重ねて巻線(コイル)6aを分巻き又は集中巻きして形成し、ケース8の外周壁8aの内周面に圧入固定したものであり、内周面に第1回転磁界(第1ステータ磁界、表回転磁界)αを形成し、この第1回転磁界αをロータ5の第1磁界部4aと僅少径方向間隙(ラジアルギャップ)を介して対面させている。
第2ステータ7bは珪素鋼板を多数枚重ねて巻線(コイル)6bを分巻き又は集中巻きして形成し、ケース8の中心に固定した水平状の支持体13の外周面に嵌着固定したものであり、外周面に第2回転磁界(第2ステータ磁界、裏回転磁界)βを形成し、この第2回転磁界βをロータ5の第2磁界部4bと僅少径方向間隙を介して対面させている。
前記ロータ5の第1磁界部4aと第1ステータ7aの第1回転磁界αとはインナロータモータ構造(第1回転部M1)になっており、また、ロータ5の第2磁界部4bと第2ステータ7bの第2回転磁界βとはアウタロータモータ構造(第2回転部M2)になっており、第1回転部M1及び第2回転部M2のスロット数及び極数は適宜設定される。
前記水平状の支持体13は、一端側がケース8の側壁8bに嵌入固定され、軸受20を介してロータ5の円筒部5aの一端を支持しており、他端側は軸受21を介して円筒部5a及び回転軸部5b及び出力軸部5cを支持している。
前記ケース8の外周壁8aには水等の冷却用冷媒を流通する流通路11aが形成され、支持体13にも冷却用冷媒を流通する流通路11bが形成され、これら流通路11a、11bは外部の冷却装置11に接続されており、ケース8内部へ冷却用冷媒を循環できるようになっている。
なお、ロータ5の円筒部5aの両端は、ケース8に軸受を介して回転自在に支持してもよく、また、軸受20,21、22はラジアル軸受、スラスト軸受の他、磁気軸受でもよい。
前記ロータ5の円筒部5aの第1磁界部4aは、それぞれ永久磁石3aをN極とS極とが周方向交互になるように配置しており、珪素鋼板に磁石孔を形成して埋め込んだ埋め込み構造であり、各永久磁石3aにより外周面側の珪素鋼板部分も第1磁界部4aを形成している。第2磁界部4bも同様に、永久磁石3bをN極とS極とが周方向交互になるように埋め込み配置している。
ロータ5の円筒部5aの第1磁界部4aと第2磁界部4bとは別個の永久磁石3aを周方向同位相に配置しており、互いに対向する永久磁石3aは第1磁界と第2磁界とを異なる極で形成して、対向する永久磁石3a同士が一連の磁力線の磁路を形成している。しかし、第1磁界と第2磁界とを同一の極で形成することも可能である。
図3において、第1実施形態の電気回転機1Aを車両に適用して、内燃機関30を搭載した車両のシリーズパラレルハイブリッドシステムを示しており、内燃機関30を搭載しないと電気自動車又は電車になる。
電気回転機1Aのロータ5の出力軸部5cは、移動機体15の回転力が伝達される動力伝達手段、減速装置、動力分配機等の外部回転部材12と連動連結されており、外部回転部材12から内燃機関30又は車輪31へ駆動力が伝達され、内燃機関30又は車輪31から電気回転機1Aへ回転力が伝達される。
制御部18は、電気回転機1Aの制御系だけでなく、移動機体15の運行に関する情報を取得するとともに内燃機関30を制御する車両制御ユニット、インバータ、コンバータ等を有する。
図1〜3において、前記制御部18の給電装置9は、第1ステータ7a及び第2ステータ7bの一方又は両方の巻線6(6a、6b)に給電してロータ5を回転駆動可能になっており、集電装置10は、第1ステータ7a及び第2ステータ7bの一方又は両方の巻線6から発電した電力を集電可能になっている。また、第1ステータ7aと第2ステータ7bの一方に給電するときに、他方は給電を停止して発電することができる。
即ち、制御部18は、車両の停止、走行、減速等のいずれの状態でも、第1ステータ7aと第2ステータ7bとは、共通のロータ5を回転させて、一方を電動態様(モータ態様)にしかつ同時に他方を発電態様(ジェネレータ態様)にすることができる。
特に、車両が略定速状態でトルク変動が少ないとき、必要トルクが小さいとき又は減速するとき等に、第1ステータ7a又は第2ステータ7bの一方に給電して電動態様にして駆動力を得ながら、同時に他方を発電態様にしてバッテリ17に充電することができる。
そして、電気回転機1Aは電動態様と発電態様とを同時に実現できるので、シリーズパラレルハイブリッド車両において、モータジェネレータと別個に内燃機関30で駆動するジェネレータを設ける必要はない。
なお、第1回転磁界αのスロット数及び永久磁石3aの個数に対して第2回転磁界βのスロット数及び永久磁石3bの個数を異ならせたり、第1回転磁界αと第2回転磁界βの巻線長さを異ならせたりして、第1回転部M1と第2回転部M2とに出力、発電量等の能力差をつけてもよい。
前記電気回転機1Aは、第1ステータ7a及び第2ステータ7bに常温巻線を巻いていて、冷却装置11の冷媒は、水、油等である。第1ステータ7aと第2ステータ7bの少なくとも一方の巻線を超電導材(超伝導材)で形成する場合は、冷却装置11の冷媒に液体窒素、液体ヘリウムを用い、超電導巻線製巻線のステータSを臨界温度以下の超電導発生温度まで冷却させる。
超電導巻線6は大きく強い電流を流すことができるので、巻線6の磁界強度(発生磁界能力)を高くすることができ、発電側の誘導電流より能力(発生磁界能力)を高くすることができ、第2ステータ7bの巻線6bが第1ステータ7aの巻線6aより短くても、ステータ磁界の能力の高くすることができる。制御部18に永久電流スイッチ、限流器等を有する超電導制御ユニットを備えておいて、三相交流の強い電流、永久電流を供給可能にする。
電気回転機1Aは、第1ステータ7a及び第2ステータ7bに常温巻線又は超電導巻線を巻いていて、ロータ5を兼用する電動発電機、回転型周波数変換機、相数変換機、電圧変換機等に使用できる。給電側の巻線に直流電流を供給して直流電動機発電機としてもよい。
図4〜6は、図1〜3に示した電気回転機1A及び内燃機関30を搭載したシリーズパラレルハイブリッド車両における電動・発電(M・J)の作動態様を示している。なお、第1ステータ7aの巻線6を第2ステータ7bの巻線6より多く(磁界強さ能力が高い)しており、実線は第1ステータ7a、1点鎖線は第2ステータ7b、点線は内燃機関30のそれぞれの作動を示している。
図4に示す第1作動例は、始動の状態a1で内燃機関30を車両停止状態から始動すると同時に両ステータ7a、7bを電動態様(M)にして、強力な起動力を出し、状態bで最大加速、大トルクを得る。定速走行、中トルクの状態cになると、第2ステータ7bを電動態様から発電態様(J)に変更して電力を得、また、トルクの必要量が減少するとき、負荷が小さい定速走行中又は減速で車両慣性力が大きいときは、第2ステータ7bを発電態様にして状態d(定速走行、小トルク、小発電)にし、さらに減速時又は制動時は、第2ステータ7bとともに第1ステータ7aを発電態様の状態eにして、エネルギを回生して、回生エネルギ、制動力を得る。内燃機関30は、走行負荷が小さい定速走行中又は車両慣性力が大きいときに、適宜停止される。
前記第1作動例において、状態cの後半及び状態dは、ロータ5の表裏で第1ステータ7aの電動態様と第2ステータ7bの発電態様とが同時に発生し、外部回転部材12に電動回転力を伝達しながら第2ステータ7bで発電することができる。
図5に示す第2作動例は、状態a2で内燃機関30を車両停止状態から始動すると同時に両ステータ7a、7bを同時に発電態様にしており、状態fで内燃機関30で車両を低速走行させ、両ステータ7a、7bで大発電を行う。この場合、車両を走行させずに、大発電のみ行ってもよく、切替の状態cから一方のステータ(ここでは第2ステータ7b)を発電態様に変更すると、定速走行、小トルク、小発電の状態dとなる。状態eは両ステータ7a、7b及び内燃機関30の作動停止を示している。状態eから状態a2、あるいは第1ステータ7a及び第2ステータ7bの一方を発電態様にしかつ他方を電動態様にする状態a3へ移行できる。
前記第2作動例において、状態cの後半、状態d及び状態a3は、ロータ5の表裏で第1ステータ7a及び第2ステータ7bの電動態様と発電態様とが同時に発生している。
図6に示す第3作動例は、状態a3で内燃機関30を始動し、第1ステータ7aを電動態様にすると同時に第2ステータ7bを発電態様にしており、そのまま、状態d(定速走行、小トルク、小発電)にして第2ステータ7bの発電態様を持続する。そして、必要に応じて第2ステータ7bによる発電を停止したりし(状態g)、また状態dから減速・停止の状態eに変更して第2ステータ7bとともに第1ステータ7aを発電態様にする。前記状態gは発電負荷を小さくするだけで、状態dと同様に、ロータ5の表裏で第1ステータ7a及び第2ステータ7bの電動態様と発電態様とが同時に発生し、外部回転部材12に電動回転力を伝達しながら第2ステータ7bで持続的な発電をすることができる。
前記電気回転機1Aは、内燃機関を割愛すれば電気自動車、電車となり、第1ステータ7aと第2ステータ7bとに電動態様と発電態様とを同時に作用できる。
図7〜9は第2実施形態を示しており、この電気回転機1Bは出力軸部5cの両端がケース8から突出した三相交流電動機発電機であって、出力軸部5cの一端部が内燃機関30の出力軸に外部回転部材12を介して連動し、他端部が移動機体15の回転軸、推進軸等の外部回転部材12と連動連結されている。
電気回転機1Bのロータ5は、円筒部5aと回転軸部5bと出力軸部5cとがそれぞれ別個に形成され、出力軸部5cの両端は自由端であってケース8から突出されている。内周側のステータ7bを支持する支持体13は円筒形状に形成され、一端側がケース8に固定され、他端が自由端となっており、この円筒形状の支持体13内に出力軸部5cが貫通配置されている。
ロータ5の円筒部5aに埋設された永久磁石3は円筒部5aにN・S極を径方向にして貫通していて、その径方向両端で円筒部5aの表裏に円形外周面の第1磁界部4aと円形内周面の第2磁界部4bとを形成している。
ケース8の外周壁8aに固定される第1ステータ7aと、支持体13の外周面に嵌着固定される第2ステータ7bとは、常温用巻線6a、6bを巻いてもよく、一方又は両方を超電導材の巻線としてもよい。超電導巻線とする場合は、冷却装置11も超電導用とし、ケース8の外周を断熱ケース29で包囲する。
前記第1ステータ7aと第2ステータ7bとに超電導巻線を巻いて、電気回転機1Bを超電導回転機とする場合、永久磁石3にバルク磁石を採用し、第1ステータ7a及び第2ステータ7bを臨界温度以下の超電導発生温度まで冷却しながら又は臨界温度にしてから、周方向同位相で互いに反対でかつ波形に制御したパルス磁場を与えて、バルク磁石に着磁させる。
このバルク磁石の着磁は波形制御パルス着磁方法として知られているが、この着磁方法を、電気回転機1Bを構成するロータ5と第1ステータ7a及び第2ステータ7bとの間で行うことができ、バルク磁石の消磁は高温にすればできるので、バルク磁石の着磁・消磁・リセットが、着磁装置を用いることなく、電気回転機製作後にも、いつでもどこでも容易に着磁することができ、永久磁石3の磁力を常に良好に維持できる。
図10、11に示す本発明の第3実施形態において、電気回転機1Cは第1ステータ7aと第2ステータ7bのスロット数が異なっており、ロータ5は円筒部5aの両端部が自由端状の回転軸部5bとなっていて、ケース8から突出した出力軸部を備えていない。この電気回転機1Cは回転型周波数変換機、サイクロコンバータ、風力発電機の可変速機(DFM)等として利用できる。
ケース8の内周面に圧入された第1ステータ7aは、巻線6aを分巻き又は集中巻きして内周面に第1回転磁界αを形成し、ケース8の側壁8bに固定の支持体13の外周面に嵌着した第2ステータ7bも、巻線6bを分巻き又は集中巻きして外周面に第2回転磁界βを形成している。第2ステータ7bのスロットは第1ステータ7aより少なく、例えば、5:6の比率となっている。巻線6は常温巻線又は超電導巻線である。
ロータ5の円筒部5aは前記第1実施形態と同様に、円形の外周面と内周面とを有し、外周面には永久磁石3aを円周方向に複数個配列して第1磁界部4aが形成され、内周面には永久磁石3aを円周方向に複数個配列して第2磁界部4bが形成されている。
ケース8の側壁8b及び蓋部材8cの内側側面に回転軸部5bと同心のリング状の軸受支持部材36、37を設け、この軸受支持部材36、37に回転軸部5bの端部を挿入する環状溝を形成し、この環状溝内と回転軸部5bの内周面、外周面及び端面との間に、回転軸部5bをスラスト方向及びラジアル方向に位置規制する永久磁石又は電磁石を設けて磁気の軸受40、41を構成している。
即ち、磁気の軸受40、41は、ロータ5が高速回転しているときに、ロータ5と第1ステータ7a又は第2ステータ7bとの間に径方向間隙を形成する磁気間隙形成手段及び軸方向相対位置を適正にする磁気位置設定手段を構成し、ロータ5が停止しているとき及び低速回転しているときに作動して、ロータ5と第1ステータ7a又は第2ステータ7bとの間に径方向間隙を形成する間隙保持手段を構成する。
前記電気回転機1Cは、1つのロータ5と第1ステータ7a及び第2ステータ7bとの間で、電動態様と発電態様とを常に同時に発生することができ、第2ステータ7bに50サイクルの電流を供給してロータ5を回転させると、ロータ5と第1ステータ7aとは60サイクルの発電機となり、また、逆に第1ステータ7aに60サイクルの電流を供給してロータ5を回転させると、ロータ5と第2ステータ7bとは50サイクルの発電機となり、供給電流から周波数変換した電流を発電できる。
前記制御部18の給電装置9は、第1ステータ7a及び第2ステータ7bの一方又は両方の巻線6(6a、6b)に給電してロータ5を回転駆動可能になっており、集電装置10は、第1ステータ7a及び第2ステータ7bの一方又は両方の巻線6から発電した電力を集電可能になっている。また、第1ステータ7aと第2ステータ7bの一方に給電するときに、他方は給電を停止して発電することができる。
従って、発電開始時には、第1ステータ7a及び第2ステータ7bに同時に電流を供給して電動態様にし、ロータ5が高速回転してから、一方のステータ7を発電態様にし、ロータ5が停止するときには、ロータ5の慣性回転により第1ステータ7a及び第2ステータ7bで同時に回生発電をすることが可能になる。
なお、前記第1回転磁界αのスロット数及び永久磁石3aの個数に対して第2回転磁界βのスロット数及び永久磁石3bの個数を異ならせたり、第1回転磁界αと第2回転磁界βの巻線長さを異ならせたりして、第1回転部M1と第2回転部M2とに出力、発電量等の能力差(発生できる磁界の強さの差に由来する能力差)をつけてもよい。
図12、13に示す本発明の第4実施形態において、電気回転機1Dのロータ5は、円筒形の円筒部5aのみで構成され、外周面に永久磁石3aを周方向複数個配列して第1磁界部4aが形成され、内周面に永久磁石3bを周方向複数個配列して第2磁界部4bが形成され、永久磁石3a、3bの個数、即ち、5:6の比率で磁極数が異なっている。この電気回転機1Dは、回転型周波数変換機として利用できる。
第1ステータ7aと第2ステータ7bの巻線6a、6bは常温用又は超電導用であり、一方を電動態様としかつ他方を発電態様として使用されるが、電動態様のステータ7には、180°偏位した2箇所で同一磁極が形成されるように電流が供給され、ロータ5に180°対極位置で同一の吸引力又は反発力を発生させ、ロータ5と第1ステータ7a及び第2ステータ7bとの間に適切な僅少径方向間隙を確保し、吸引力によって軸心方向の位置も常に適正に維持できるようにしている。
即ち、120°間隔で3つのスロットをU相・V相・W相に設定し、この相組を180°偏位して2相組つくり、また、90°間隔で4相組つくることにより、ロータ5をステータ7による回転磁界で支持できる。
電動態様のステータ7の周方向同一磁極は、180°偏位の2箇所、90°偏位の4箇所、45°偏位の8箇所等、複数同時に励磁させればよく、ロータ5を電動態様のステータ7から磁力で浮き上がらせればよい。ロータ5の磁界部4a、4bと第1ステータ7aと第2ステータ7bの巻線6a、6bとの間の周方向等間隔の吸引力又は反発力は、ロータ5の磁気間隙形成手段となり、吸引力はステータ7に対するロータ5の軸方向の磁気位置設定手段となり、第1ステータ7aと第2ステータ7bとの間でロータ5を磁気軸受で回転自在に支持することになる。
前記第3、第4実施形態の電気回転機1C、1Dは、ロータ5は磁気軸受で支持されていて、機械的摩擦がないので回転効率が高く、1個のロータ5を回転するだけであるので、電動機と発電機とを別個に製作して軸連結する回転型周波数変換機に比べて、回転ロスが少なく、周波数変換効率を大幅に向上できる。
また、前記第3、第4実施形態の電気回転機1C、1Dは、第2ステータ7bの巻線6bを超電導材で形成すると、大電流、永久電流を供給することができ、その電磁力は、第1ステータ7aの巻線6aで励磁される誘導起電力より大きくかつ強くできる。即ち、第2ステータ7bの巻線6bは界磁形成表面積が小さくとも、超電導の特性により、第1ステータ7aの巻線6bより強い磁界を発生するように能力差をつけることができ、持続的に電力を取り出す発電機にもなる。
前記第1、3実施形態の電気回転機1A、1Cは、ロータ5の表裏磁界部形成構造は、例えば、ロータ5の内周と外周とに2個でハの字状になる永久磁石3aを周方向複数組配置したり、第1実施形態の第1磁界部4aと第2磁界部4bの永久磁石3a、3bの埋設位相を異ならせ、周方向において、第1磁界部4aの永久磁石3a間に第2磁界部4bの永久磁石3bが位置するようにしたりしてもよい。
図14〜16に示す本発明の第5実施形態において、電気回転機1Eは、三相交流発電用の超電導電動機発電機であって、給電装置9、集電装置10、超電導制御ユニット45、インバータ16及びバッテリ17等を備えた制御部18と接続されている。
前記電気回転機1Eは、1個のロータ5と、2個のステータ7a、7bと、これらを収納しかつ支持するケース8と、このケース8に固定されていてステータ7bを支持する支持体13と、ケース8を外側から覆う断熱ケース29とを有し、これらは円筒形であって、軸心は縦向きに配置されており、ステータ7a、7bに設けられた巻線6a、6bは超電導材で形成され、それぞれ三相交流電流を給電及び集電可能になっている。
前記ロータ5は、前記電気回転機1Dと同様に、両端が自由端の円筒体で形成されていて、円筒部のみであって外部と繋がる軸部は存在しない。ロータ5の永久磁石3aは、前記電気回転機1Bと同様に、径方向の両端で第1磁界部4aと第2磁界部4bとを形成しており、第2磁界部4b側よりも第1磁界部4a側の面積を小さくして、回転時にロータ5から飛び出さないように埋設されている。この永久磁石3aは波形制御パルス着磁が可能なバルク磁石が採用されている。
第1ステータ7aはアルミ合金、ステンレス等の非磁性材料又は磁性材料で形成され、ケース8の外周壁8aの内周面に固定したものであり、内周面に第1回転磁界(第1ステータ磁界)αを形成する巻線6aを取り付け、ロータ5と僅少径方向間隙(ラジアルギャップ)を介して対面させている。
前記ロータ5の第1磁界部4aと第1ステータ7aの第1回転磁界αとは8極12スロットのインナロータ超電導発電機構造(第1回転部M1)になっており、巻線6aは集電側の巻線であって、そこに発生する誘導電流を取り出す集電装置10と接続されている。
第1ステータ7aは1つの極を作る巻線6aが、主ループjとこれと逆向きに巻いた副ループkとをロータ5の軸心方向に隣接し、かつそれら主副ループj、kを上下方向8の字結線しており、主ループjは副ループkよりもロータ5の永久磁石3との対向面積が大きくなっている。
ロータ5の第1磁界部4aは周方向等間隔(例えば、180°間隔)で同極になっており、巻線6aはロータ5が回転して永久磁石3が対面してくると、主ループjが永久磁石3と同極となって電磁誘導によって起電力と反発力とが発生し、周方向等間隔でロータ5を軸心側に押さえるので磁気で径方向間隙を形成し(磁気間隙形成手段となる)、その誘導起電力が副ループkに流れて永久磁石3と異極になって吸引力が発生し、この吸引力がロータ5を浮上させかつ第1ステータ7aに対してロータ5の軸方向相対位置を適正にする磁気の位置設定手段となる。
即ち、ロータ5は回転すると、巻線6aとの間の誘導反発吸引作用によって、第1ステータ7aに対して径方向同心でかつ浮上して軸方向適正位置に保持される。
第1ステータ7aは、主ループjと副ループkの永久磁石3と対向する面積を同一にしてもよいが、主ループjを大きくする方が誘導起電力を大きくでき、また、ロータ5を軽量に形成できるので、浮上用吸引力は大きくなくても支障はない。
第2ステータ7bは、ステンレス等の非磁性材料又は磁性材料で形成され、ケース8の中心に固定した縦筒状の支持体13の外周面に嵌着固定されている。第2ステータ7bは外周面に第2回転磁界βを形成する超電導巻線6bを取り付け、ロータ5の第2磁界部4bと僅少径方向間隙を介して対面させている。
前記ロータ5の第2磁界部4bと第2ステータ7bの第2回転磁界βとは8極12スロットのアウタロータ超電導電動機構造(第2回転部M2)になっており、超電導巻線6bは給電側の巻線であって、そこに電流を供給する給電装置9と接続されている。
この巻線6bは、1つの極を作る巻線が、レーストラック型、パンケーキ型等の1つのループであり、周方向等間隔で同極に励磁して、ロータ5の永久磁石3に対して吸引力又は反発力を与えて、ロータ5を第2ステータ7bの軸心側に押さえながら(磁気間隙形成手段となる)回転させる。超電導巻線6bの電磁力により永久磁石3は吸引されるので、その吸引力はロータ5の軸方向相対位置を拘束し(浮上力を発生する)、ロータ5が軸方向に移動するのを規制する(磁気位置設定手段となる)。
即ち、巻線6bに界磁電流を供給してロータ5を回転すると、永久磁石3との間の回転磁界反発吸引作用によって、第2ステータ7bに対してロータ5は径方向同心でかつ浮上して軸方向適正位置に保持される。巻線6bに供給する回転界磁電流は、周方向180°間隔、90°間隔等で同極に励磁できる。
第2ステータ7bは第1ステータ7aより小径で体積が小さく(巻線長さが短く、界磁形成表面積が小さい)、少なくともこの第2ステータ7bは超電導巻線6bが巻かれており、超電導制御ユニット45内の永久電流スイッチ、限流器等と接続され、三相交流の永久電流を供給可能になっている。
第2ステータ7bの超電導巻線6bに強い電流、永久電流を供給すると、その電磁力は、第1ステータ7aの巻線6aで励磁される誘導起電力より大きくかつ強くできる。即ち、第2ステータ7bの巻線6bは界磁形成表面積が小さくとも、超電導の特性により、第1ステータ7aの巻線6bより強い磁界を発生するように能力差をつけることができる。
第1ステータ7aとケース8との間、第2ステータ7bと支持体13との間、及びケース8の底壁8bには、冷却装置11からの冷媒が流通できる流通路11aが形成され、支持体13は内部空洞になっていて、冷媒が貯留されるとともに超電導制御ユニット45が収納されている。
前記ケース8は底壁8bに外周壁8a及び支持体13が固定され、外周壁8aの上端開口を蓋部材8cで閉鎖しており、この蓋部材8cの下面にはテーパ凸部8dが形成され、支持体13の上端開口に嵌入して、支持体13の上端を支持している。
ケース8は底壁8bに環状の間隙保持手段47が配置されている。この間隙保持手段47は下レース47a上に多数個の回転体47bを配列し、ロータ5の下端面に上レース47cを形成したスラストベアリング構造であり、ロータ5が回転し始めるとき及び停止するとき等の低速回転のときに、浮上力が弱いので、ロータ5を回転自在に受けてケース8との間の摩擦を低減する。前記間隙保持手段47は回転体47bを球体にし、上レース47cを円弧凹面にすると、ロータ5に調心作用をし、回転体47bを円錐体にし、上レース47cをロータ5の軸心を中心とする円錐面にすると、ロータ5に調心作用をし、停止時及び低速回転時に、ロータ5と第1ステータ7a又は第2ステータ7bとの間に径方向間隙を形成しかつその間隙を保持する。
前記ケース8の蓋部材8cの上に冷却装置11を構成する冷媒タンク48が載置又は取り付けられており、この冷媒タンク48には流通路11aへ供給する冷媒を貯溜するとともに超電導巻線49と磁気遮蔽板50とが配置され、超電導エネルギ貯蔵装置となっている。巻線49は制御部18と接続されていて、電気を貯電、給電でき、磁気遮蔽板50は巻線49で発生する電磁気を閉ループにして遮蔽する。
断熱ケース29はスペーサを介してケース8を支持して空間29aを形成しており、この空間29aとケース8内の空間とは真空装置54に接続され、空間29aは外部からの熱の伝播を防止する真空空間になっている。
前記第5実施形態の電気回転機1Eにおいて、第2ステータ7bの超電導巻線6bに供給する電流は直流でもよく、始動時に巻線6a、6bにともに給電し、終了時に巻線6a、6bにともに集電してもよい。また、8極12スロットを異なる極数スロット数にしてもよく、巻線6a、6bを6対5にして発電周波数を電動周波数と異ならせて、周波数変換、電圧変換等をしてもよい。また、ロータ5、2個のステータ7a、7b、ケース8、支持体13等は鋼板で形成してもよく、第1ステータ7aの巻線6aを超電導材で形成したり、支持体13の内部を真空にしてもよい。
前記電気回転機1Eは第1〜4実施形態の電気回転機1A〜1Dと同様に、第2ステータ7bの巻線6bを超電導材で形成すると、大電流、永久電流を供給することができ、その磁界強さ(電磁力)は、第1ステータ7aの巻線6aで励磁される誘導起電力より大きくかつ強くでき、持続的に発電することができる。
図17に示す第6実施形態において、電気回転機1Fは、三相交流発電用の超電導電動機発電機であって、電気回転機1Eと異なる点は、ロータ5、ステータ7、ケース8及び支持体13が、軸心横向きの円筒形であって、支持体13内の空洞は断熱ケース29内と連通していて真空になっている。
第2ステータ7bの超電導巻線6bはレーストラック型等の1つのループであるのに対して、第1ステータ7aの巻線6aは、主ループjと、主ループjを挟んでロータ5軸心方向両側の副ループkとで形成され、各副ループkは主ループjと逆向きに巻かれていて、8の字結線(図17に1点鎖線で示す。)されており、主ループjは2つの副ループkよりも永久磁石3との対向面積が大きくなっている。
ロータ5の第1磁界部4aは周方向等間隔で同極であり、巻線6aはロータ5が回転して永久磁石3が対面してくると、主ループjが永久磁石3と同極となって電磁誘導により起電力と反発力とが発生し、周方向等間隔でロータ5を軸心側に押さえるので磁気で径方向間隙を形成し、その誘導電流が主ループjの両側の副ループkに流れて永久磁石3と異極になって磁気の吸引力が発生し、この吸引力がロータ5の両自由端を同時に同力で吸引し、第1ステータ7aに対してロータ5の軸方向相対位置を適正にする。
よって、永久磁石3と巻線6aとの間で、誘導反発吸引作用が生じ、磁気間隙形成手段と磁気位置設定手段とが構成される。
符号47は間隙保持手段であり、摩擦抵抗の少ない減摩材で半球形状に形成した突起であり、第2ステータ7bの軸心方向両側の外周面の上側に複数、ロータ5の軸心方向両側自由端の外周面に周方向等間隔に多数形成されており、ロータ5が低速回転のときに、ロータ5を回転自在に受けてステータ7a、7bとの間の摩擦を低減し、停止時に径方向間隙を形成する。
前記電気回転機1Fは、ロータ5と超電導巻線6bとの間でも、界磁電流により、磁気の回転トルクだけでなく、反発力を吸引力により磁気間隙形成手段と磁気位置設定手段とが構成される。
第2ステータ7bの超電導巻線6bに強電流、永久電流を流すと、超電導の特性により、その電磁力を第1ステータ7aの巻線6aで励磁される誘導起電力より大きくかつ強くでき、第1ステータ7aの巻線6bより強い電磁力を発生するように能力差をつけることができ、持続的に発電することができる。
図18に示す第7実施形態において、電気回転機1Gは、軸心方向に2組の超電導電気回転機1GL、1GRをケース8内に組込んでおり、電気回転機1GLは電気回転機1Dと同様の電動機発電機であり、電気回転機1GRは電気回転機1Aと同様の回転トルク取り出し可能な電動機発電機であり、かつ外部回転部材を介して移動機体の運動エネルギを回生する回生機である。
前記電気回転機1Gは、2個のロータ5L、5Rと、内外周のステータ7a、7bと、これらを収納しかつ支持するケース8と、このケース8に固定されていてステータ7bを支持する支持体13と、ケース8を外側から覆う断熱ケース29と有し、これらは円筒形であって、軸心は横向きに配置されている。
第1ロータ5Lは永久磁石3aLが埋め込まれていて両端が自由端の円筒形であり、第2ロータ5Rは永久磁石3aRが埋め込まれた円筒部5aと、この円筒部5aの一端に連結された回転軸部5bと、この回転軸部5bと一体成形された出力軸部5cとを有している。
2個のロータ5L、5Rに対向して、第1ステータ7aの内周には左右巻線6aL、6aRが、第2ステータ7bの外周には左右巻線6bL、6bRがそれぞれ設けられており、各巻線6a、6bは超電導材で形成され、レーストラック形状の1つのループに巻かれ、三相交流電流を給電及び集電可能になっている。
前記巻線6aL、6aR、6bL、6bRは超電導制御ユニット45と接続され、ステータ7a、7bの流通路11aは冷却装置11と接続され、ケース8内の空間及び断熱ケース29内の空間29aは真空装置54と接続されている。
第2ロータ5Rの出力軸部5cには2個の伝動体57、58が設けられ、移動機体15の回転力が伝達される動力伝達手段、減速装置、動力分配機等の外部回転部材12と連動連結され、また、冷却装置11及び真空装置54を駆動するように連動連結されている。
電気回転機1Gは、超電導巻線6bL、6bRに大電流、永久電流を供給して強い電流で2個のロータ5L、5Rを回転駆動し、巻線6aL、6aRから誘導電流を集電し、同時に第2ロータ5Rの出力軸部5cから回転駆動力を取り出す。巻線6aL、6aR、6bL、6bRは同時に又は独立して給電及び集電が可能である。
なお、本発明は前記実施形態における構造及び各部材の形状、位置関係は、図1〜18に示すように構成することが最良であるが、部材、構成を種々変形したり、組み合わせを変更したりすることもできる。
例えば、電動態様のステータ7の巻線6を超電導巻線とした超電導電気回転機としても、3K宇宙背景放射空間で使用する場合は冷却装置を省略してもよい。
1 電気回転機
3 永久磁石
4a 第1磁界部
4b 第2磁界部
5 ロータ
5a 円筒部
5b 回転軸部
5c 出力軸部
6(6a、6b) 巻線
7 ステータ
7a 第1ステータ
7b 第2ステータ
8 ケース
9 給電装置
10 集電装置
11 冷却装置
12 外部回転部材
13 支持体
18 制御部
α 第1回転磁界(第1ステータ磁界)
β 第2回転磁界(第2ステータ磁界)

Claims (10)

  1. 永久磁石を円周方向に配列して表裏各面にそれぞれ第1磁界部と第2磁界部とを形成した回転自在なロータと、このロータの外周面の第1磁界部と対面して第1ステータ磁界を形成する巻線を設けた第1ステータと、ロータの内周面の第2磁界部と対面して第2ステータ磁界を形成する巻線を設けた第2ステータと、前記第1ステータと第2ステータとを固定しかつロータを包囲したケースとを有しており、
    前記第1ステータ又は第2ステータの一方の巻線に給電してロータを回転駆動する給電装置と、駆動されるロータの回転によって他方の巻線に発生する誘導電流を取り出す集電装置とを備えた制御部を有しており、
    少なくとも給電側のステータの巻線を超電導材で形成しており、
    前記ロータは、第1磁界部及び第2磁界部を設けた円筒部の両端が自由端の円筒体であり、第1ステータ又は第2ステータとロータとの間にロータを磁気で浮上させて径方向間隙を形成する磁気間隙形成手段及び軸方向相対位置を適正にする磁気位置設定手段を有することを特徴とする電気回転機。
  2. 前記制御部は永久電流スイッチ及び限流器を有する超電導制御ユニットを備え、給電側の超電導巻線に永久電流を供給可能であることを特徴とする請求項1に記載の電気回転機。
  3. 第2ステータの巻線を超電導材で形成して給電装置に接続し、第1ステータを集電装置に接続し、第2ステータの超電導巻線に供給する電流を第1ステータの巻線で発生する誘導電流より大きくしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気回転機。
  4. 前記給電装置は、給電側の巻線に給電する電流をステータ周方向等間隔にかつ複数同時に同極に励磁可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気回転機。
  5. 前記集電側の巻線は、誘導電流がステータ周方向等間隔にかつ複数同時に同極に励磁可能になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気回転機。
  6. 前記集電側のステータに周方向間隔をおいて設けた巻線は、主ループとこれと逆向きに巻いた副ループとをステータの軸心方向に隣接しかつそれらループを8の字結線しており、前記主ループは副ループよりもロータの永久磁石との対向面積が大きいことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気回転機。
  7. 前記ロータが停止しているときに、ロータと第1ステータ及び第2ステータとの間に径方向間隙を形成する間隙保持手段を設けていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気回転機。
  8. 前記ロータ、第1ステータ及び第2ステータとでなる組がロータの軸心方向に複数組設けられており、一方のロータは両端が自由端の磁気で浮上する前記円筒体で形成され、他方のロータは端部にケース外に突出する出力軸部を連結していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気回転機。
  9. 前記第1磁界部及び第1ステータと第2磁界部及び第2ステータとは、給電側と発電側の交流電流の周波数が異なっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気回転機。
  10. 前記第1ステータ及び第2ステータの両方の巻線を超電導材で形成し、前記ロータの永久磁石は、ロータ内に埋め込んでその両端でロータ表裏の第1磁界部と第2磁界部とを形成する超電導バルクであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気回転機。
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