JP3942845B2 - 超電導モータ - Google Patents

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    • F16C32/0436Passive magnetic bearings with a conductor on one part movable with respect to a magnetic field, e.g. a body of copper on one part and a permanent magnet on the other part
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Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、超電導モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、研究されている超電導磁気軸受は、支持軸受部分に超電導体、ロータ部分に永久磁石を使用している。
【0003】
一方、近年、高温超電導体の製造技術が飛躍的に進歩し、高密度電流を持つ高温超電導体の大型バルク材の製造が可能となった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超電導磁気軸受は、支持軸受部分に超電導体、ロータ部分に永久磁石を用いるために、装置が大型になったり、制御の複雑さが問題となっていた。
【0005】
また、上記以外にも従来の超電導モータには以下のような問題点があった。
【0006】
(1)従来の超電導モータでは、駆動電流を磁場中冷却時の電流と同じ値を用いているため、より大きな剛性とダンピング効果を持たせることができない。また、駆動電流を磁場中冷却時の励磁電流と同じ値を用いているため、剛性やダンピングを向上させようとすると、より大容量の励磁電流が必要である。
【0007】
(2)従来の超電導モータでは、駆動トルクの大きさは磁場中冷却時の励磁電流の大きさによって決まってしまう。したがって、駆動トルクの大きさを調整することもできない。
【0008】
(3)従来の超電導モータにおけるロータは、超電導モータと同様に非接触状態で回転駆動可能であるが、駆動電流を磁場中冷却時の励磁電流と同じにしているため、最高回転速度は磁場中冷却時の励磁電流の大きさで決まってしまう。そのため、高速回転を得るためには、磁場中冷却時に大きな電流を必要とし、装置が大がかりになる。
【0009】
(4)従来の超電導モータにおけるロータ回転時の安定性や振動の大きさは、磁場中冷却時の励磁電流の大きさで決まるため、大きな励磁電流を流すために大がかりな設備が必要になる。また、従来の超電導モータでは磁場中冷却後にロータ回転時の安定性を調整したり振動を任意の大きさに抑えることはできなかった。
【0010】
(5)従来の超電導モータにおいて、超電導体からなるロータを用いた場合、駆動機構とは別にロータを支持するための軸受部や支持部が必要である。そのため、超電導モータ全体が複雑なシステムになり、比較的作製が難しいということがある。
【0011】
(6)従来の超電導モータにおいては、ロータの浮上支持機構と駆動機構とは別なので、そのためモータ構成要素が多くなり小型化し難いという問題がある。
【0012】
(7)従来の超電導モータにおいては、超電導体の冷却や電磁石への電力供給も含めて、エネルギー損失を考慮した装置は殆どない。よって、電力供給線から装置への熱侵入による発熱などによって、効率低下の問題がある。
【0013】
(8)従来の超電導モータにおいては、磁場中冷却時の励磁電流と同じ駆動電流を用いるため、着磁の磁化の大きさは電磁石の電磁力で決まってしまう。そのため、大きな着磁を実現するため、比較的大がかりな設備が必要となる。
【0014】
(9)従来の超電導モータにおける機械的に支持されたロータの回転トルクは、磁場中冷却時の励磁電流の大きさで決まり、回転トルクのむらは磁場中冷却時の電磁石のむらで決まる。そのため、回転トルクにむらがあると、トルクのむらがロータの振動を誘発するなどの問題がある。
【0015】
そこで、本発明は、上記した高温超電導体が大きなピン止め力を持つために、常電導磁石と比べ強力な反射浮上力を有する点に着目し、この高温超電導体をロータとして用い、ステータにはそのロータを浮上させ、かつ回転支持する電磁石を用いることにより、無制御状態で非接触浮上が可能となり、また、非接触浮上により軸受損失が少なく、小型化と制御の容易さを図ることができる超電導モータを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、
超電導モータにおいて、超電導体からなるロータと、このロータを浮上させる磁気軸受を兼ね、前記ロータを浮上させた状態で回転駆動可能な機能を有する、電磁石からなるステータとを具備し、前記磁気軸受の軸受剛性やダンピングを強化する超電導モータにおいて、前記磁気軸受の軸受剛性やダンピングの強化を、前記ステータの電磁石の駆動電流を磁場中冷却時の励磁電流より個々に増加または同時に増加させることにより行うことを特徴とする。
【0017】
〕上記〔1〕記載の超電導モータにおいて、前記超電導体はバルク材からなる高温超電導体であることを特徴とする。
【0018】
〕上記〔1〕記載の超電導モータにおいて、前記電磁石を、前記ロータの周りに超電導モータの中心点に対して8個対称的に配置することを特徴とする。
【0019】
〕上記〔1〕記載の超電導モータにおいて、前記ロータを円盤状に構成し、この円盤の円周に前記超電導体を配置し、この超電導体の上下に前記電磁石を配置することを特徴とする。
【0020】
〕上記〔1〕記載の超電導モータにおいて、前記超電導体のみを覆うように管を配置することを特徴とする。
【0021】
〕上記〔〕記載の超電導モータにおいて、前記管の外側に断熱材を設けることを特徴とする。
【0022】
上記したように、本発明によれば、バルク材からなる高温超電導体からなるロータを電磁石のステータで磁場中冷却して、磁場中冷却時の励磁電流より大きな駆動電流で回転駆動し、ピン止め力によってロータを浮上支持することができる。
【0023】
したがって、ロータを完全に非接触状態で浮上させることができる。このとき、駆動電流を磁場中冷却時の電流より大きくすることによって、より大きな剛性とダンピング効果を持たせることができる。また、剛性やダンピングを向上させるために制御機構などは全く必要ない。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の第1実施例を示す超電導モータの基本的構成図であり、図1(a)はその断面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。
【0026】
これらの図において、1は超電導体、2は超電導体1からなるロータ、3はそのロータ2を中心として円周状に配置される電磁石、4は電磁石3からなるステータであり、超電導体1からなるロータ2を駆動するためには、磁場中冷却時の励磁電流より大きな駆動電流で回転駆動する。5は磁場中冷却時の磁束線を示している。
【0027】
図2は本発明の第2実施例を示す超電導モータの構成図である。
【0028】
この実施例では、超電導モータからなるロータ11を円盤12で構成し、その円盤12の円周上に超電導体13を配置し、その超電導体13を挟むように上下に配置した電磁石14を有するステータ15を設けるようにしている。
【0029】
図1と同様に、超電導体13を電磁石14で磁場中冷却して、磁場中冷却時の励磁電流より大きな駆動電流で回転駆動する。電磁石14は円盤12の上下に配置しているが上下どちらか一方のみでも同様の効果が得られる。
【0030】
図3は本発明の第3実施例を示す超電導モータの構成図である。
【0031】
この実施例の超電導モータは、液体窒素等の冷媒22が流れる管21の中に超電導体23からなるロータ24を入れ、管21の外側に回転駆動用の電磁石25を有するステータ26を配置するようにしている。
【0032】
ここでは、電磁石25は管21の周りに、図1に示すように、円周状に配置されている。図1と同様に、磁場中冷却時の励磁電流より大きな駆動電流によって超電導体23からなるロータ24を回転駆動する。ロータ24のみが管21内に存在するので、作製が容易なばかりでなく、小型化が可能である。
【0033】
図4は本発明の第4実施例を示す超電導モータの構成図である。
【0034】
この実施例の超電導モータは、図3と同様に、液体窒素などの冷媒22が流れる管21の中に超電導体23からなるロータ24を入れ、管21の外側に回転駆動用の電磁石25を有するステータ26を配置する。
【0035】
この実施例によれば、管21の周りに断熱材27を用いることによって、管21内への熱侵入が抑えられるようにしている。
【0036】
この実施例でも第1実施例と同様に磁場中冷却時の励磁電流より大きな駆動電流によって超電導体からなるロータを回転駆動する。
【0037】
図5は本発明の第5実施例を示す超電導モータの構成図である。
【0038】
図5は第1実施例と同様の超電導モータの構造に加えて、変位センサ6を取り付けるように構成した。よって、図1と同様に、磁場中冷却時の励磁電流より大きな駆動電流によって超電導体1からなるロータ2を回転駆動するが、回転時のロータ2の変位を変位センサ6で検出し、ロータ2の変位を制御するようにしている。
【0039】
以下、具体例(実験例)について説明する。
【0040】
図6は本発明の超電導磁気浮上ステッピングモータの実験装置の全体構成図である。
【0041】
まず、計算機43内のDSPにより、ある特定周波数のパルス信号を4つの位相の異なったデジタル信号としてそれぞれ出力し、D/Aコンバータ42を用いてデジタル信号をアナログ電圧信号に変換する。次に、このアナログ信号を駆動回路41に入力し、4つの位相の異なったパルス信号をそれぞれ増幅する。
【0042】
このように構成することにより、超電導磁気浮上ステッピングモータ31内部の電磁石36(図7参照)にそれぞれパルス状の電流を流すことが可能となる。ここで、パルス波形の山の部分では正のコイル電流、谷の部分では負のコイル電流が流れるため、それぞれの絶対値が等しくなるように設定した。超電導磁気浮上ステッピングモータ31では、駆動回路41からの信号によって、電磁石36の極(±電流)が切り替わることにより、ロータ32の回転が実現できる。
【0043】
図7は本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの構成図であり、図7(a)はそのモータの上面図、図7(b)は図7(a)のB−B線断面図である。
【0044】
超電導磁気浮上ステッピングモータ31は、高温超電導体(以下、単に超電導体という)33からなるロータ32と、支持軸受機能を有する8つの電磁石(縦33mm×幅20mm×長さ22.5mm)36と、それを取り付けているヨーク37により構成されている。電磁石36は鉄芯34を中心にコイル35が500巻回されており、45°毎に計8個取り付けられている。ロータ32は超電導体(直径9mm)33を連結して長さ46mmとした。ロータ32の質量は約18gである。38はステータ、39はフレームである。
【0045】
次に、浮上・回転駆動方法について説明する。
【0046】
この超電導モータは構造上、能動的に完全非接触状態で浮上、回転が可能である。その浮上方法は、まず、ロータ32を支持軸受中にしっかりと固定し、磁場中冷却を行い、ロータ32の超電導体33内に磁束をピン止めする。こうすることでロータ32に反発力が生じ、浮上させることができる。また、回転駆動方法は電磁石36を、はじめに超電導体33に着磁させた状態から右に45°励磁を切り替えると、それを追従するようにロータ32も45°回転する。これを繰り返すことにより回転駆動が可能になる。
【0047】
図8(a)は超電導体にピン止めされた磁束の様子を示し、図8(b)ではロータが変位したときピン止め力により超電導体が中心位置に戻ろうとする力が働くことを示す図である。なお、外部磁界は均一とする。
【0048】
ここで、ロータ32が中心から移動したときの超電導体33内に侵入している磁束の様子を図8(a)に示す。この図よりロータ32が右方向に移動しているにも関わらず、ロータ32内部の超電導体33に侵入している磁束分布はピン止め効果により変化していないことが分かる〔図8(b)参照〕。この状態から超電導体33にはピン止め力が働き、もとの状態に戻ろうとする。これによりロータ32は、常時、能動的にステータ38の中心に安定浮上することができる。
【0049】
次に、電磁石の励磁を変化させたときの超電導体内部の磁束の様子を図9に示す。
【0050】
ロータ32が初期位置の段階〔図9(a)〕から電磁石36の励磁パターンを時計方向に45°回転させる〔図9(b)〕と、超電導体33内部の磁束は変化しないため、電磁石36の励磁に合わせて、超電導体33には吸引及び反発力が働く。その結果、ロータ32は追従して時計方向に45°回転することができる〔図9(c)〕。
【0051】
以下、その実験について説明する。
【0052】
超電導体33を極低温で磁場中冷却すると、超電導体33内部に磁束を捕捉するピン止め効果が働く。このピン止め効果により得られるピン止め浮上力は、外部印加磁界による磁束と超電導体33にピン止めされた磁束がずれることにより生成される。そこで、本発明ではロータ32の自重により生成される磁束のずれによるピン止め力の浮上ではなく、ロータ32の浮上前(冷却時)と浮上後で能動的に外部印加磁界(コイル35の電流値)を変化させることにより、超電導体33自身にピン止め力を生成させ、剛性を高める実験を行った。なお、本発明では実験を行う際、超電導体33に磁束を捕捉するため実験装置全体を液体窒素中に入れ、磁場中冷却を行った。
【0053】
次に、実験及びその考察を行う。
【0054】
(a)冷却時1Aにおける振動振幅特性
超電導体33を浮上させる前に、コイル電流値を1Aの状態で磁場中冷却し、浮上時にコイル電流値をそれぞれ1A〜4Aに変動させて実験を行った。
【0055】
図10は各回転数に対してのロータ32のアキシャル方向での振幅(peak to peak)を測定したものである。変位の測定にはレーザー変位計を用いた。
【0056】
結果として、まず、浮上時に1Aのままコイル電流値を変動させなかった時は、外部印加磁界が小さく、また、冷却時に1Aであるから十分に磁束がピン止めされていないので、最大回転数は約600rpmと高回転まで追従することはできなかった。さらに、600rpmを越えると、ロータ32は電磁石36の励磁パターンに追従できなくなり、超電導体33内にピン止めされた磁束と電磁石36からの磁束が大幅にずれてしまいロータ32は浮上力を失ってしまう。
【0057】
また、コイル電流値1A時ではどの回転数に対しても比較的大きな振幅が観察された。そこで、コイル電流値を2A,3Aと浮上前と浮上後に変動してみると、共にロータ32は約900rpmまで回転駆動が可能であることがわかった。また、各回転数における振幅も観察したところ、高回転になるほど振幅は同じ値に収束していくことが確認できた。
【0058】
ここで、どの電流値に対しても言えることだが、低回転で振幅が大きくなっている。この理由として、1ステップ(45°)回転するときに、このモータの構造上、始点部分では反発力、終点部分では吸引力が主にかかるため安定しているが、隣り合う電磁石36の中間部分付近で吸引力また反発力が減少し、結果的に回転トルクが最も低くなってしまうことが考えられる。そのため、ロータ32が1ステップ回転する際、中間付近でロータ32が下方に下がるといった現象が起こってしまうのである。
【0059】
しかし、高回転で駆動しているときは、ロータ32の慣性力により1ステップの回転がスムーズかつ短時間で行えるため、アキシャル方向での振動振幅はほとんど無く、安定して回転駆動が行えるものと考えられる。コイル電流値2Aと3Aでは振幅特性を比較すると、コイル電流値3Aを流した方が全体的に振動は抑えられているようだった。
【0060】
しかし、コイル電流値を4Aまで上げてしまうとモータを始動させてすぐに激しく振動を起こして、150rpmで回転が不可能となった。これは、磁場中冷却を1Aの状態で行ったため、超電導体33内部ではピン止めされている磁束は弱く、そこで外部印加磁界を強くかけると、ピン止めされた磁束と電磁石36からの磁束のずれが大きくなり浮上力がうまく生成されないためと考えられる。そこで、コイル電流値を大きくすれば良いというわけではなく、適当な電流値の変動を行うことで、より効率的な回転が実現できることが分かった。結局、冷却時1Aに対しては浮上時3Aが妥当であると言える。
【0061】
また、図11は浮上後に各コイル電流値を変えたときのロータに加わる吸引力特性を解析により算出したものである。この図より電磁石36のコイル電流値を大きくするとロータ32に加わる吸引力も大きくなり、また、ロータ32内部まで徐々に吸引力が加わってきていることが分かる。
【0062】
(b)冷却時2Aにおける振動振幅特性
超電導体33を浮上前にコイル電流値を2Aの状態で磁場中冷却し、浮上時にコイル電流値をそれぞれ1A〜4Aに変動させたときの振動振幅特性を図12に示す。
【0063】
実験方法は上記と同様である。冷却時2Aの場合では、どのコイル電流値に対しても大きな差は見られなかった。上記(a)の冷却時1Aの場合と同様に回転数が上がるに連れて振幅は減衰していき、600rpm以降に関してはどの電流値でもほぼ安定していることがわかる。ここでは、冷却時の電流値より浮上後の電流値を下げる実験を行った。
【0064】
能動的にピン止め力を得るためには浮上前と浮上後の磁束をずらすことにより生成されるため、冷却時より浮上時の電流値を下げることにより、ピン止め力を生成できる。この実験により、電流値を上げたときと下げたときの振幅はほぼ一定であることが分かった。
【0065】
しかし、電磁石36の電流値を上げることで吸引・反発力が向上するため、ロータ32の回転トルクが高くなるので、低回転数から高回転数に対して安定して回転駆動を行うことができるためには、なるべくコイル電流値を高くした方がいいと思われる。しかし、冷却時2Aの場合では問題はなかったが、上記(a)でも述べたが、あまり外部印加磁界を高くすると浮上力がうまく生成されないため、最適な電流値変動量を検討する必要がある。
【0066】
図13に上記(a)と同様に冷却時2Aに対する各コイル電流値を変動したときのロータに加わる吸引力特性を示す。
【0067】
冷却時1Aの場合と比べ、コイル電流を大きくすると吸引力も増しているが、次第にロータ32内部まで吸引が働くといったことはなかった。これはもともと超電導体33に働いているピン止め力が大きいため、初めからある程度力が働いているためだと考えられる。
【0068】
(c)冷却時3Aにおける振動振幅特性
超電導体を浮上前にコイル電流値を3Aの状態で磁場中冷却し、浮上時にコイル電流値をそれぞれ1A〜4Aに変動させた時の振動振幅特性を図14に示す。実験方法は上記(a)と同様である。
【0069】
図14に示すように、冷却時1A,2Aのときは高回転になるほど振幅は減衰していったが、冷却時3Aでは浮上時1A〜3Aの場合において750rpm付近から、0.5mmと振幅が大きくなっていることが確認された。
【0070】
これは冷却時3Aに比べ、浮上時ではコイル電流値を小さくしたことで、高回転になると電磁石36のコイル35に流れるパルス電流が矩形波として信号がでておらず、立ち上がりと立ち下がり時において信号が遅れて出力されることが1つの原因だと考えられる。そのため、始めに低い電流値で設定しておくとパルス周波数が高くなるにつれてコイル35に流れる電流値は更に低くなってしまい、外部印加磁界の減少により、モータの剛性が低くなったためだと思われる。
【0071】
これに対し、コイル電流値を4Aに増加することで浮上時に剛性を強くすることによって、高回転でも安定して回転駆動を行うことができた。また、冷却時3Aの場合において、冷却時1A,2Aの時は最高回転数は900rpmであったが、ここでは、最高回転数はどの電流値に対しても1050rpmまで追従することができた。これは、冷却時1A,2Aの時と比べ、高い電流で超電導体33に磁場中冷却を行ったため、高いピン止め力が得られ、そのためロータ32が浮上回転する際、モータの剛性が向上し高回転でも安定して回転駆動できたものだと考えられる。
【0072】
以上のことから、冷却時、3Aの場合ではコイル電流値を4Aに変動して回転駆動を行った方がモータの特性は向上することが分かった。
【0073】
図15に冷却時3Aに対する各コイル電流値を変動させたときのロータ32に加わる吸引力特性を示す。
【0074】
ここでも上記と同様にコイル電流値を増加すると吸引力も増加することが分かる。しかし、冷却時、1A,2Aの場合と比べて吸引力の分布が狭く表示されているのは、冷却時3Aに対し電磁石36のコイル電流が1A〜3Aまでと小さいため、電磁石36からの吸引力は必然的に小さくなってしまい吸引力分布が狭まっているものと考えられる。だが、各部分においての吸引力は、冷却時、1A,2Aと比べ高い値が導出されていることが分かった。
【0075】
上記から明らかなように、超電導体33の浮上前と浮上後に外部印加磁界を変動させ能動的に反発浮上力を得ることで、より安定にかつ高速に回転駆動が可能である。特に、電流値の変動を行うにあたって浮上前の電流値と浮上後の電流値により、超電導体33に生成されるピン止め力は大きく左右されるため、浮上前後においての各電流値変動に対してそれぞれ実験を試みることで、より剛性の高いモータが得られることが分かった。
【0076】
なお、本発明の超電導モータにおけるロータは、非接触状態で回転駆動可能であるが、ロータを機械的な軸受で支持した状態でも、駆動電流を磁場中冷却時の励磁電流より大きくすることによって駆動トルクの大きさを調整することができる。
【0077】
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0078】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0079】
(A)超電導体からなるロータを電磁石励磁により磁場中冷却するので、ピン止め力によってロータを浮上支持することができる。したがって、ロータは完全に非接触状態で浮上することができる。このとき、駆動電流を磁場中冷却時の電流より大きくすることによって、より大きな剛性とダンピング効果をもたせることができる。また、剛性やダンピングを向上させるために制御機構などは全く必要ない。
【0080】
(B)駆動電流を磁場中冷却時の電流より大きくすることによって、駆動トルクを大きくすることができる。また、駆動電流を励磁電流より増加させることによって駆動トルクの大きさを調整することができる。
【0081】
(C)ロータは、非接触状態で回転駆動可能であることに加えて、駆動電流を励磁電流より大きくすることによって駆動トルクの大きさを調整できるため、超高速で回転駆動できる。
【0082】
(D)ロータは、駆動電流を励磁電流より大きくすることによって、ロータの安定性を調整できると同時に、ロータ回転時の振動を任意の大きさに抑えることができる。
【0083】
(E)超電導体からなるロータのみを冷却すればよいため、冷媒が流れる管などに超電導体からなるロータを入れることで冷却が容易に行える。また、ロータの浮上支持と駆動とを同じ電磁石で行うため構造も簡単である。
【0084】
(F)超電導体からなるロータのみを冷却すればよいため、ロータのみを冷媒が流れる管などに入れることによって冷却が可能である。また、ロータの浮上支持と駆動とを同じ電磁石で行うため構造も簡単であり、モータ構成要素が少なく済むという利点がある。以上の理由から、本発明の超電導モータは従来の超電導モータに比べて小型化に向いていると言える。
【0085】
(G)超電導体からなるロータのみを冷却すればよいため、ロータのみを冷媒が流れる管などに入れ電磁石などは管の外に置くことができる。この場合、管内への熱侵入を容易に抑えることができるため、エネルギー損失が少なく効率の良いシステムを構成することができる。
【0086】
(H)ロータは、磁場中冷却で着磁する以外に、パルス着磁などの方法によって任意の大きさに着磁することができる。この場合、駆動電流を変化させることで、上記と同様の効果が得られる。
【0087】
したがって、本発明によれば、高速回転機器、低温冷媒用ポンプ、非接触回転機器などの更なる高トルク化、高安定化、低振動化、小型化などを押し進めることができる。これにより、本発明によって、超電導モータの更なる実用化が促進されると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す超電導モータの基本的構成図である。
【図2】 本発明の第2実施例を示す超電導モータの構成図である。
【図3】 本発明の第3実施例を示す超電導モータの構成図である。
【図4】 本発明の第4実施例を示す超電導モータの構成図である。
【図5】 本発明の第5実施例を示す超電導モータの構成図である。
【図6】 本発明の超電導磁気浮上ステッピングモータの実験装置の全体構成図である。
【図7】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの構成図である。
【図8】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの磁束とロータの様子を示す図である。
【図9】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの回転駆動時における磁束の様子を示す図である。
【図10】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの冷却時における浮上後1A〜4Aのコイル電流をそれぞれ変動させたときの振動振幅特性を示す図である。
【図11】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの冷却時1Aにおける各コイル電流値でのロータに加わる吸引力特性を示す図である。
【図12】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの冷却時2Aにおける浮上後1A〜4Aのコイル電流をそれぞれ変動したときの振動振幅特性を示す図である。
【図13】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの冷却時2Aにおける各コイル電流値でのロータに加わる吸引力特性を示す図である。
【図14】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの冷却時3Aにおける浮上後1A〜4Aのコイル電流をそれぞれ変動したときの振動振幅特性を示す図である。
【図15】 本発明の実施例を示す超電導磁気浮上ステッピングモータの冷却時3Aにおける各コイル電流値でのロータに加わる吸引力特性を示す図である。
【符号の説明】
1,13,23,33 超電導体
2,11,24,32 超電導体からなるロータ
3,14,25,36 電磁石
4,15,26,38 電磁石からなるステータ
5 磁束線
6 変位センサ
12 円盤
21 管
22 冷媒
27 断熱材
31 超電導磁気浮上ステッピングモータ
34 鉄芯
35 コイル
37 ヨーク
39 フレーム
41 駆動回路
42 D/Aコンバータ
43 計算機

Claims (6)

  1. 超電導体からなるロータと、該ロータを浮上させる磁気軸受を兼ね、前記ロータを浮上させた状態で回転駆動可能な機能を有する、電磁石からなるステータとを具備し、前記磁気軸受の軸受剛性やダンピングを強化する超電導モータにおいて、前記磁気軸受の軸受剛性やダンピングの強化を、前記ステータの電磁石の駆動電流を磁場中冷却時の励磁電流より個々に増加または同時に増加させることにより行うことを特徴とする超電導モータ。
  2. 請求項1記載の超電導モータにおいて、前記超電導体はバルク材からなる高温超電導体であることを特徴とする超電導モータ。
  3. 請求項1記載の超電導モータにおいて、前記電磁石を、前記ロータの周りに超電導モータの中心点に対して8個対称的に配置することを特徴とする超電導モータ。
  4. 請求項1記載の超電導モータにおいて、前記ロータを円盤状に構成し、該円盤の円周に前記超電導体を配置し、該超電導体の上下に前記電磁石を配置することを特徴とする超電導モータ。
  5. 請求項1記載の超電導モータにおいて、前記超電導体のみを覆うように管を配置することを特徴とする超電導モータ。
  6. 請求項記載の超電導モータにおいて、前記管の外側に断熱材を設けることを特徴とする超電導モータ。
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