JP4706350B2 - 誘導子型モータ - Google Patents
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Description
また、モータにおいても誘導子を用いたものがある。
しかしながら、例えば、アキシャルギャップタイプのモータで誘導子を用いる場合、誘導子が塊状となることがある。このような塊状の誘導子は、塊状の磁性体を切削して所要形状の誘導子を形成したり、溶融した金属を鋳型に流し込んで所要形状の誘導子を形成しているが、これらの方法では誘導子の作製に多大な労力とコストがかかり、また、これらの方法で形成された誘導子に交流磁場が作用すると渦電流が発生し、エネルギー損失が生じることとなる。
前記電機子側固定子には周方向に間隔をあけて電機子コイルが配置されていると共に、前記界磁側固定子には円環形状の界磁体が配置され、
前記回転子には、その回転子本体に周方向に間隔をあけて且つ軸線方向に貫通して前記誘導子が取り付けられ、これら誘導子の一端面は前記電機子コイルと対向させると共に他端面は前記界磁体の外周側と内周側とに周方向で交互に対向配置させ、周方向に交互に逆極性となる磁極が形成される構成とし、
前記各誘導子は、複数本の線状磁性体を集束して形成し、これら線状磁性体の長さ方向の一端面が前記電機子コイルとの対向面とする一方、他端面を前記界磁体との対向面とし、これら線状磁性体の長さ方向となる磁束方向に対する垂直方向の断面積は同一とされると共に、該垂直方向の断面形状は前記一端面と他端面とで相違させていることを特徴とする誘導子型モータを提供している。
また、線状磁性体の長さ方向と磁束方向を一致させているため、所定方向の磁束の流れを良くすることができる。また、誘導子に交流磁場が作用したときに発生する渦電流が異なる線状磁性体間を流れるため、この渦電流を低減することができ、エネルギー損失を低減することができる。
さらに、誘導子を通る磁束方向に対する垂直方向の断面積が異なると、断面積が小さな箇所で磁束が飽和してしまい、該誘導子をモータ等に用いた場合にトルクが小さくなってしまう。逆に、断面積が大きな箇所では必要以上に断面積が大きくなって誘導子に無駄が生じ、誘導子が重量化してしまう。これに対し、本発明で用いる誘導子では、線状磁性体を集束させて形成しているため、線状磁性体の長さ方向となる磁束方向に対する垂直方向の断面積が常に一定となり、トルクの低下や誘導子の不要な重量化を防止できる。
前記構成によれば、線状磁性体が磁束方向と異なる方向は全て樹脂で絶縁されているため、誘導子に交流磁場が作用したときに発生する渦電流を低減することができる。
また、各線状磁性体の外周面を樹脂で被覆しているため、樹脂を硬化させることにより誘導子を所要形状に型決めすることができる。なお、各線状磁性体の外周面を樹脂で被覆していない場合には、型決めのために所要形状に形成した誘導子の両端面以外の外周面を樹脂でモールドすることが好ましい。
特に、線状磁性体の長さ方向に磁束が流れやすくするように線状磁性体に異方性を持たせていることが好ましく、例えば、珪素鋼を温度を上げずに引き伸ばすとよい。
また、珪素鋼は脆くて硬いが、針金状とすることで柔軟性を得られ、複雑な形状の誘導子も容易に形成することができる。
前記構成によれば、誘導子の端面を円形あるいは円弧形として、電機子コイルあるいは界磁体の磁束発生領域に誘導子を対向させているため、誘導子が効率良く磁化され、該誘導子を用いたモータ等では高効率で回転子を回転させることができる。
また、本発明のように線状磁性体を集束して誘導子を形成しているため、両端面の形状が異なる誘導子であっても容易に形成することができる。
前記構成によれば、前記と同様、電機子コイルと界磁体の磁束発生領域に誘導子の両端面を対向させているため、誘導子が効率良く磁化され、誘導子型モータの回転子を高効率で回転させることができる。
界磁体あるいは/および電機子コイルを超電導材で形成すると、大電流を給電することが可能となり、発生する磁束を大幅に強化でき、高出力化を図ることができる。また、超電導化を図ることで大電流密度が得られるため、界磁体および電機子コイルを小さくすることができ、誘導子型モータを小型軽量化できる。なお、超電導材としてはビスマス系やイットリウム系等の高温超電導材を用いると好適である。
また、線状磁性体を集束させて誘導子を形成しているため、線状磁性体の長さ方向となる磁束方向に対する垂直方向の断面積が常に一定となり、磁束が誘導子内で飽和しにくくなる。よって、該誘導子をモータに用いると、界磁体で発生した磁束を電機子コイル側に効率良く導くことができる。
図1は実施形態の誘導子型モータ10を示す。
誘導子型モータ10はアキシャルギャップタイプであり、界磁側固定子11、回転子12、電機子側固定子13、回転子14、界磁側固定子15の順番に駆動軸34で貫通し、界磁側固定子11、15および電機子側固定子13は設置面Gに固定すると共に駆動軸34と空隙をあけ、回転子12、14は駆動軸34に外嵌固定している。
界磁側固定子11、15は、設置面Gに固定された磁性体からなるヨーク16、29と、ヨーク16、29に埋設された真空断熱構造の断熱冷媒容器17、30と、断熱冷媒容器17、30に収容された超電導材からなる巻線である界磁コイル18、31とを備えている。
ヨーク16、29は、中央に駆動軸34の外径より大きく穿設された遊嵌穴16b、29bと、遊嵌穴16b、29bを中心として円環状に凹設された溝部16a、29aとを備えている。断熱冷媒容器17、30には液体窒素を循環させた状態で界磁コイル18、31を収容しており、その断熱冷媒容器17、30を溝部16a、29aに埋設している。
なお、ヨーク16、29は、パーメンダー、珪素鋼板、鉄、パーマロイ等の磁性体で形成している。また、界磁コイル18、31を形成する超電導材としては、ビスマス系やイットリウム系等の超電導材を用いている。
回転子12、14は、円盤形状で非磁性材料からなり中心孔19a、26aを有する回転子本体19、26と、中心孔19a、26aを中心として点対称位置に埋設された一対のS極誘導子21、27と、S極誘導子21、27から90°回転した位置に埋設された一対のN極誘導子20、28とを備えている。
S極誘導子21、27、N極誘導子20、28は、同一の線状磁性体40を同一本数集束している。よって、S極誘導子21、27、N極誘導子20、28は、通過する磁束の磁束方向に対する垂直方向の断面積がいずれの箇所でも同一となる。具体的には、直径0.1mm〜1.0mmの線状磁性体40を10〜108本集束していることが好ましく、本実施形態では、直径0.5mmの線状磁性体40を12万本集束している。
なお、線状磁性体40は、珪素鋼、パーメンダー、鉄、パーマロイ等の磁性体で形成しており、特に、針金状の珪素鋼を温度を上げずに引き伸ばし異方性を持たせていることが好ましい。
N極誘導子20、28の他端面20b、28bは、界磁コイル18、31のN極発生位置に対向するように配置され、例えばN極誘導子28の他端面28bは、図2(C)および図5(C)に示すように、界磁コイル31の内周側に対向配置される円弧状としている。
なお、回転子本体19、26は、FRPやステンレス等の非磁性材料で形成している。
支持部22は、中央に駆動軸34の外径より大きく穿設された遊嵌穴22bと、遊嵌穴22bを中心として周方向に等間隔に穿設された4つの取付穴22aとを備えている。断熱冷媒容器23には液体窒素を循環させた状態で電機子コイル24を収容していると共に電機子コイル24の中空部には磁性体からなるフラックスコレクタ25を配置している。内部に電機子コイル24を収容した4つの断熱冷媒容器23を各コイル取付穴22aにそれぞれ埋設している。
なお、フラックスコレクタ25は、パーメンダー、珪素鋼板、鉄、パーマロイ等の磁性体で形成している。また、電機子コイル24を形成する超電導材としては、ビスマス系やイットリウム系等の超電導材を用いている。また、支持部22は、FRPやステンレス等の非磁性材料で形成している。
断熱冷媒容器17、23、30には断熱配管を介して液体窒素タンク33が接続され、液体窒素を冷媒として循環している。
図1中右側の界磁コイル31に直流を給電すると、外周側にS極が発生すると共に内周側にN極が発生する。すると、図5(A)(B)に示すように、S極側の磁束が他端面27bよりS極誘導子27内に導入され、一端面27aにS極磁束が現れる。また、図5(A)(C)に示すように、N極側の磁束は他端面28bよりN極誘導子28内に導入され、一端面28aにN極磁束が現れる。ここで、他端面27b、28bは界磁コイル31の内外周に沿った同心円上に配置されているので、回転子14が回転してもS極誘導子27の一端面27aには常にS極が現れ、N極誘導子28の一端面28aには常にN極が現れることとなる。
同様の原理により、図1中左側の界磁コイル18に直流を給電すると、回転子12のN極誘導子20の一端面20aには常にN極が現れ、S極誘導子21の一端面21aには常にS極が現れる。
また、線状磁性体40を集束させて誘導子20、21、27、28を形成しているため、線状磁性体40の長さ方向となる磁束方向に対する垂直方向の断面積が常に一定となり、磁束が誘導子内で飽和しにくくなる。よって、界磁コイル18、31で発生した磁束を電機子コイル24側に効率良く導くことができ、回転子13を高効率で回転させることができる。また、N極誘導子20、28の断面積とS極誘導子21、27の断面積とは同一であるため、電機子コイル24との間で発生する吸引力/反発力が一定となり、回転子12、14の回転バランスが安定する。
さらに、各線状磁性体40の外周面を樹脂41で絶縁被覆して、磁束方向と異なる方向は全て樹脂で絶縁されているため、誘導子20、21、27、28に交流磁場が作用したときに発生する渦電流を低減することができる。
また、本実施形態では、電機子側固定子の両側に誘導子を備えた回転子を配置し、これら回転子の両外側に界磁側固定子を配置しているが、界磁側固定子を中央に配置し、該界磁側固定子の両側に誘導子を備えた回転子を配置し、これら回転子の両外側に電機子側固定子を配置した構造としてもよい。
さらに、本実施形態ではモータとしているが、同構造で発電機として利用してもよい。
11、15 界磁側固定子
12、14 回転子
13 電機子側固定子
17、23、30 真空断熱容器
18、31 界磁コイル
20、28 N極誘導子
21、27 S極誘導子
24 電機子コイル
34 駆動軸
Claims (6)
- 中心孔が駆動軸に固定されると共に誘導子が取り付けられる回転子と、該回転子の軸線方向の両側に配置した電機子側固定子と界磁側固定子を備えたアキシャルギャップタイプの誘導子型モータであって、
前記電機子側固定子には周方向に間隔をあけて電機子コイルが配置されていると共に、前記界磁側固定子には円環形状の界磁体が配置され、
前記回転子には、その回転子本体に周方向に間隔をあけて且つ軸線方向に貫通して前記誘導子が取り付けられ、これら誘導子の一端面は前記電機子コイルと対向させると共に他端面は前記界磁体の外周側と内周側とに周方向で交互に対向配置させ、周方向に交互に逆極性となる磁極が形成される構成とし、
前記各誘導子は、複数本の線状磁性体を集束して形成し、これら線状磁性体の長さ方向の一端面が前記電機子コイルとの対向面とする一方、他端面を前記界磁体との対向面とし、これら線状磁性体の長さ方向となる磁束方向に対する垂直方向の断面積は同一とされると共に、該垂直方向の断面形状は前記一端面と他端面とで相違させていることを特徴とする誘導子型モータ。 - 前記誘導子の線状磁性体の外周面は樹脂で絶縁被覆され、これら絶縁被覆された複数本の線状磁性体は長さ方向に対する垂直方向の形状を相違させて集束させて樹脂モールドしている請求項1に記載の誘導子型モータ。
- 前記誘導子の線状磁性体は、珪素鋼、パーメンダー、鉄、パーマロイからなる金属とし、直径を0.1〜1.0mmとしている請求項1または請求項2に記載の誘導子型モータ。
- 前記誘導子の一端面は円形あるいは円弧形のいずれか一方とすると共に、他端面はいずれか他方としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の誘導子型モータ。
- 前記誘導子の前記電機子コイルとの対向面となる一端面を円形としている一方、界磁体との対向面となる他端面を前記界磁体の外周側あるいは内周側に対向する円弧形状としている請求項4に記載の誘導子型モータ。
- 前記界磁体あるいは/および電機子コイルを超電導材で形成している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の誘導子型モータ。
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