JP6393848B1 - 補修材料及び補修対象部の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補修材料は、常温アスファルト系舗装材1を水溶性シートからなる収納袋2で包んで封止した。アスファルト舗装5に形成されたポットホール6に、常温アスファルト系舗装材1を水溶性シートの収納袋2で包んで封止した補修材料を投入する工程と、ポットホール6内に投入された補修材料に放水器11で水を供給すると共に車両を走行させることで、水溶性シートを溶解させつつ補修材料を締め固めてポットホール6で一体に硬化させる工程と、を備えた。
【選択図】図4
Description
この補修方法では、工事期間中に亘って車両の通行規制をして舗装のポットホール等の補修工事をしなければならず、煩雑である上に長時間かかるために交通渋滞を引き起こすという問題があった。
この補修方法では、常温アスファルト系舗装材を予め不織布やプラスチック等の袋内に詰め込んで保管しておく。そして、アスファルト舗装にできたポットホールに、常温アスファルト系舗装材を詰め込んだ複数の袋をそのまま投入する。その後、交通開放して、車両通行によるタイヤの締固めによって常温アスファルト系舗装材の袋をポットホール内で締固め・硬化させて舗装の補修を終了していた。
また、締固め時の車両走行によって常温アスファルト系舗装材を収納した袋が走行する車両のタイヤで飛散すると、ポットホールが再発するという問題が生じる。或いは、常温アスファルト系舗装材を収納した袋が飛散しないまでも、袋の一部がちぎれて飛散すると路肩のごみになるおそれがあるという問題もあった。
いることを特徴とする。
本発明によれば、舗装材を水溶性シートで包んで封止した補修材料をポットホール等の補修対象部に複数個投入して車両走行や締固め機械等により締め固めると共に、水を供給することで水溶性シートが溶解するため、複数個の補修材料の舗装材同士の一体性が促進され、袋を用いない舗装材と同等の耐久性を有した補修を短時間で施工できる。しかも、水溶性シートは水で溶解するため、車両走行によって周囲へ飛散することを阻止できる。
補修対象部に投入された補修材料は、水溶性シートが水で溶解するため走行車両等でちぎれて飛散することがない。
舗装材の材質を上記のいずれかにすることで、水溶性シートによって封止して保存されている場合には柔軟性等を維持でき、水溶性シートが溶解して舗装材が外部に露出することで一体に硬化する特性を確保できる。
水溶性シート内に揮発性成分または硬化性成分が含まれている場合には柔軟性を維持でき、水溶性シートが水分で溶解して常温アスファルト系舗装材が外部に露出することで一体に硬化する特性を確保できる。
補修材料をポットホール等の補修対象部に投入する際、所定の大きさの複数個の収納体を投下することでその柔軟性によって補修対象部の形状に応じて変形するため隙間なく緊密に収納でき、水で水溶性シートが溶解することで一体に硬化できる特性を確保できる。
本発明によれば、ポットホール等の補修対象部に複数個の補修材料を投入し、水を供給して補修材料の水溶性シートを溶解させた後に複数の補修材料を締め固めることで、舗装材が一体に硬化するため、袋を用いない舗装材と同等の耐久性を有した補修対象部の補修を短時間で施工できる。
図1は実施形態による補修材料3を示すものである。補修材料3は、舗装材として例えば常温アスファルト系舗装材1を収納袋2内に収納して封止したものである。常温アスファルト系舗装材1は、細骨材(砂)と粗骨材(砂利)とアスファルトとを所定割合で混合したアスファルト混合物であり、更にフィラー等を混合しておいてもよい。常温アスファルト系舗装材1は、バインダーとして揮発性成分または硬化性成分を含んでおり、例えば改質アスファルトまたは改質アスファルト乳剤を含んでいる。フィラーは、例えば石灰岩を粉末にした石粉等を混合したものである。
常温アスファルト系舗装材1はアスファルト混合物による臭気を発生するが、本実施形態では水溶性シートの収納袋2によって包んで高い気密性で封止できる。そのため、常温アスファルト系舗装材1に含まれる揮発性成分が揮発しにくく臭気が外部に漏れ出ることを防止でき、その機能を維持して貯蔵期間を長期化できる上に周囲環境への臭気の飛散を抑制できる。
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルが好ましい。
上記のビニルエステル系重合体に占める上記他のモノマーに由来する構造単位の割合は、特に制限はないが、ビニルエステル系重合体を構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
なお、本明細書におけるPVA系重合体の重合度とは、JIS K6726−1994の記載に準じて測定される平均重合度を意味し、PVA系重合体(A)の重合度は、PVA系重合体(A)を再けん化し精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求めることができる。
Po = ([η]×103/8.29)(1/0.62)
また、PVA系重合体(A)のけん化度は、65モル%以上であることが好ましく、75モル%以上であることが特に好ましい。ここで、PVA系重合体(A)のけん化度は、PVA系重合体(A)が有する、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル系モノマー単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。PVA系重合体(A)のけん化度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
収納袋2の水溶性シートとしてPVA系重合体フィルムを用いることでシートの気密性が高くなるため、常温アスファルト系舗装材1の揮発性成分が抜けにくい。常温アスファルト系舗装材1の揮発性成分が収納袋2内に封入される期間が長いと、常温アスファルト系舗装材1の柔軟性を維持できる期間が長くなり、補修材料3としての常温アスファルト系舗装材1の保存期間が長くなる。
図2に示すアスファルト舗装5の一例では、路盤7の上部に舗装されたアスファルト舗装5は、いずれもアスファルト混合物からなる基層8と表層9とで構成されている。基層8は路盤7の上にあって路盤7の不陸を調整し、表層9に加わる荷重を均一に路盤7に伝達するものである。表層9はアスファルト舗装における最上層を構成するものであり、交通荷重を分散し、交通の安全性や快適性等の路面の機能を確保するものである。
アスファルト舗装5において、車両が走行することで表層9または基層8まで亀裂が入ったり車両の重量で欠けたりすること等でアスファルト舗装5に欠損が生じ、例えば図2に示すように、路盤7の表面まで到達するポットホール6(凹部や穴部等)が形成される。
投入完了状態で、図3に示すように、ポットホール6からアスファルト舗装5の上方に補修材料3の一部が突出しているものとする。ポットホール6内の隙間に重量の小さい補修材料3を投入して緊密に詰め込んで隙間のないように埋め込む。
この状態で、ジョウロ等の放水器11で水をポットホール6内の補修材料3に散水しながら、工事車両や一般車両等のタイヤやランマー等の締固め機械で補修材料3を押し込み締め固める。或いは、放水器11による散水終了後に交通規制を解除し、走行車両のタイヤによってポットホール6内の補修材料3を締め固める。
しかも、ポットホール6内で、車両等で締め固められた常温アスファルト系舗装材1は周囲のアスファルト舗装5と同一高さとなる。なお、ポットホール6内で散水等で溶解した収納袋2の水溶性シートの溶解物は、路盤7に沁み込むか、或いはポットホール6内の常温アスファルト系舗装材1内で溶解される。
臭気については、実施例1、実施例2として厚さ35μmの水溶性シートと厚さ50μmの水溶性シートの収納袋2を用いた。この水溶性シートはPVA系重合体フィルムである。
参考例1として紙袋(材質:パルプ、ポリエチレン(薄手))、参考例2としてビニール袋(材質:ポリエチレン(厚手))、参考例3として合成樹脂袋(材質:ラミネートフィルム、パルプ、UVシートの複合重袋)を用いた。紙袋、ビニール袋、合成樹脂袋はいずれも水溶性ではない。各袋の内部に収納する舗装材は、それぞれ株式社NIPPO製のアスファルト常温合材「レミファルトST」を用いた。
固形物に係る臭気強度については公定法が存在しないため、臭気強度に係る測定は、「油汚染対策ガイドライン」(平成18年3月:環境省)における「第二編 技術的資料 第二部 専門編 第一章 状況把握調査 資料4」での「油臭及び油膜の測定方法」に定める方法を参考に決定した。臭気強度測定方法は下記の通りである。臭気試験は、6名の臭気判定士による官能試験で測定した。
臭気強度測定試験結果による臭気強度は、表2に示す通り0〜5の6段階で評価した。各人が判定した臭気強度の平均値を算出し、表1に示すように臭気強度測定試験結果を得た。なお、悪臭防止法での規制範囲は臭気強度2.5〜3.5に対応する物質濃度、または臭気指数とするのが適当とされている。実施例1,実施例2はいずれも臭気強度は0であり、他の参考例1、2より大幅に小さいことを確認できた。
揮発試験は、上述した実施例1、2、参考例1、2、3の補修材料について、予め試験開始時(0時間)の(袋+舗装材)の重量と舗装材だけの重量を測定しておく。各袋内の舗装材の重量は1000gを基本とした。そして、恒温槽内に密栓状態にした実施例1、2、参考例1、2、3の各補修材料を35℃で92時間養生した。
養生後の各補修材料の(袋+舗装材)の重量を測定し、0時間の(袋+舗装材)の重量との差から舗装材の揮発量(g)と揮発率を表3で示すように算出した。
この揮発試験においても、実施例1,2は、参考例1〜3と比較して舗装材の揮発を確認できず、その長期保存性の向上を確認できた。
また、補修材料3は常温アスファルト系舗装材1が水溶性シートの収納袋2内に小分けされて袋詰めされているため、補修箇所への運搬性が向上する。しかも、水溶性シートで常温アスファルト系舗装材1を封止できるため、その揮発成分による臭気が収納袋2の外部に拡散することを抑制できる。また、水溶性シートによって常温アスファルト系舗装材1の揮発成分の漏洩を長期間にわたって阻止できるため、舗装材の硬化を防いで長期保存性を向上できる。
また、上述した実施形態では、補修対象部としてアスファルト舗装5のポットホール6について説明したが、補修対象部は必ずしもポットホール6でなくてもよい。例えば、補修対象部はクラックや凸部や斜面等であってもよい。
また、補修対象部の補修方法において、ポットホール6内に投入した複数の補修材料3の収納袋2に水を供給することと車両の走行や締固め機械によって補修材料3を締め固めることについて、いずれが先に行われてもよい。
2 収納袋
3 補修材料
5 アスファルト舗装
6 ポットホール
7 路盤
11 放水器
Claims (6)
- 舗装材を水溶性シートで包んで封止しており、
前記水溶性シートは水を接触させることで前記舗装材の硬化前に溶解する特性を有することを特徴とする補修材料。 - 前記水溶性シートはPVA系重合体フィルムを有している請求項1に記載された補修材料。
- 前記舗装材は、常温アスファルト系舗装材、樹脂系舗装材、セメント系舗装材、木質系舗装材、土系舗装材のいずれかである請求項1または2に記載された補修材料。
- 前記常温アスファルト系舗装材は、バインダーとして揮発性成分または硬化性成分を含んでいる請求項3に記載された補修材料。
- 前記水溶性シートは前記舗装材を収納して封止した収納体を形成しており、前記収納体は補修対象部に設置できる大きさと形状を有している請求項1から4のいずれか1項に記載された補修材料。
- 舗装に形成された補修対象部に、舗装材を水溶性シートで包んで封止した補修材料を設置する工程と、
前記補修材料に水を供給すると共に補修材料を加圧することで、前記水溶性シートを溶解させた後に前記舗装材を一体に硬化させる工程と、
を備えたことを特徴とする補修対象部の補修方法。
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