JP6392668B2 - 乳酸菌体外機能性産生物の増産方法およびヨーグルト製造方法 - Google Patents

乳酸菌体外機能性産生物の増産方法およびヨーグルト製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を増加させるヨーグルト製造方法に関する。また、本発明は、乳酸菌の菌体外機能性産生物の産生量を増加させる乳酸菌体外機能性産生物の増産方法に関する。
乳酸菌および乳酸菌由来の機能性産生物を摂取することにより、消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用(健康の維持・疾病リスクの低減)をすることが知られている。例えば、ラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス(Lactobacillus delbruechii subsp. bulgaricus)(以下「ブルガリア菌」とも称する)は、ヨーグルトスターターとして発酵乳の製造に用いられている乳酸菌のひとつである。このブルガリア菌の中には、菌体外多糖体(exopolysaccharide:EPS)を産生する菌株も多く存在する。そして、このEPSは、発酵乳製品の物性や安定性に寄与するのみならず、プロバイオティクス効果の享受にも寄与することが知られている。例えば、Lactobacillus delbruechii subsp. bulgaricus OLL1073R−1株(以下「OLL1073R−1株」とも称する)が産生するEPSには、自己免疫疾患を予防する効果があることが知られている。また、本菌株を用いて製造された発酵乳には、NK細胞の活性化、感冒罹患の減少、抗インフルエンザ等の効果があることが知られている。(例えば、特許文献1〜3等参照)。このように、EPSを産生する乳酸菌や、乳酸菌などの産生するEPSを利用することにより、健康に寄与する機能性食品やサプリメントを提供することができることとなる。
ところで、このような機能性食品やサプリメントを効率的に製造するためには、同機能性食品中のEPS産生量を高める必要がある。
ブルガリア菌に限らず乳酸菌由来のEPSを高めるために、過去に様々な方法が提案されている。例えば、特許文献4には、ペプトン、酵母エキス、及び不飽和脂肪酸もしくはそのエステルを含む培地で、Lactobacillus kefiranofaciens等のケフィラン生産能を有する乳酸菌を培養することにより、培養液中に高濃度のEPSを産生することができることが開示されている。また、特許文献5には、牛乳に乳清タンパクや大豆タンパクを加え、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・クレモリスで発酵させることにより、乳酸菌由来のEPSが顕著に増加することが開示されている。
特開2000−247895号公報 特開2005−194259号公報 国際公開パンフレットWO2011/065300 特開2011−250756号公報 特開2011−51268号公報
本発明の課題は、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を効率的に増加させることができる新たな方法を提供することである。
本発明の一局面に係る乳酸菌体外機能性産生物の増産方法では、乳原料に、0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩であるpH緩衝剤、および、ストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌と、乳酸菌体外機能性産生物を産生するラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌との混合物が配合され、pH緩衝剤によりストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらその乳原料を発酵させて乳酸菌体外機能性産生物が増産される。
本願発明者らの鋭意検討の結果、上述の乳酸菌体外機能性産生物の増産方法の通り、乳原料に、0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩であるpH緩衝剤、および、ストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌と、乳酸菌体外機能性産生物を産生するラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌との混合物を配合して、pH緩衝剤によりストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらその乳原料を発酵させることによって、菌体外機能性産生物産生乳酸菌が増殖できるpH領域の時間を延長することができ、その結果、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を高めることができることが明らかとなった。すなわち、この乳酸菌体外機能性産生物の増産方法は、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を効率的に高めることができる。
本発明の他の局面に係るヨーグルト製造方法は、リン酸アルカリ金属塩添加工程および発酵工程を備える。リン酸アルカリ金属塩添加工程では、ヨーグルト原料に対して、pH緩衝剤として0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩が添加される。発酵工程では、リン酸のアルカリ金属塩が添加されたヨーグルト原料(以下「リン酸のアルカリ金属塩添加ヨーグルト原料」という)にラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌との混合物が配合され、リン酸アルカリ金属塩によりストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらそのヨーグルト原料を発酵させてヨーグルト中の乳酸菌体外機能性産生物が増産される。なお、ヨーグルト原料への乳酸菌の添加はリン酸アルカリ金属塩の添加前であってもよいし、添加後であってもよい。
本願発明者らの鋭意検討の結果、上述のヨーグルト製造方法の通り、ヨーグルト原料に対して、pH緩衝剤として0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩を添加してからそのヨーグルト原料にラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌との混合物を配合して、リン酸アルカリ金属塩によりストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらそのヨーグルト原料を発酵させることによって、乳酸菌が増殖できるpH領域の時間を延長することができ、その結果、ヨーグルト中の乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を高めることができることが明らかとなった。すなわち、このヨーグルト製造方法は、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を効率的に高めることができる。
ところで、このヨーグルト製造方法において、ラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌は、乳酸菌体外多糖体産生能力を有する乳酸菌である。
また、このヨーグルト製造方法において、リン酸アルカリ金属塩は、リン酸水素二ナトリウムおよびリン酸水素二カリウムより成る群から選択される少なくとも一方のリン酸塩であることが好ましい。
さらに、このヨーグルト製造方法において、ヨーグルト原料には、8重量%以上20重量%以下の範囲内の無脂乳固形分が含まれていることが好ましい。なお、ここで、ヨーグルト原料とはリン酸アルカリ金属塩添加前のものを意味する。
加えて、このヨーグルト製造方法において、発酵工程では、リン酸アルカリ金属塩添加ヨーグルト原料が30℃以上40℃以下の範囲内の温度下で乳酸菌によって発酵させられることが好ましい。
上述のヨーグルト製造方法によって製造されたヨーグルトには、乳酸菌およびpH緩衝剤が含有される。なお、このヨーグルトでは、pH緩衝剤が均一に溶解されている。ここで、乳酸菌およびpH緩衝剤は、上述の通りである。また、このヨーグルト中のpH緩衝剤は、例えば、高速液体クロマトグラフィー等のクロマトグラフィー技術や、核磁気共鳴(NMR)技術(例えば、Szlyk E, Hrynczyszyn P,「Phosphate additives determination in meat products by 31-phosphorus nuclear magnetic resonance using new internal reference standard:hexamethylphosphoroamidephosphatesolution」, Talanta. 2011 Mar 15;84(1):199-203. doi: 10.1016/j.talanta.2010.12.046 参照)などによって検出することができる。
また、上述のヨーグルトは乳酸菌体外機能性産生物(例えば、乳酸菌体外多糖体など)をさらに含有することが好ましい。かかる場合、乳酸菌体外機能性産生物は、ヨーグルト全量に対して40mg/kg以上100mg/kg以下の範囲内の量含まれていることが好ましい。
本発明の一局面に係るヨーグルト製造方法では、ヨーグルト原料に対して、pH緩衝剤として0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩を添加してからそのヨーグルト原料にラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌との混合物を配合して、リン酸アルカリ金属塩によりストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらそのヨーグルト原料を発酵させることによって、乳酸菌が増殖できるpH領域の時間を延長することができ、その結果、ヨーグルト中の乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を高めることができる。すなわち、このヨーグルト製造方法は、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を効率的に高めることができる。
また、本発明の他の局面に係る乳酸菌体外機能性産生物の増産方法では、乳原料に、pH緩衝剤として0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩を添加してからその乳原料にラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌との混合物を配合して、リン酸アルカリ金属塩によりストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらその乳原料を発酵させることによって、乳酸菌が増殖できるpH領域の時間を延長することができ、その結果、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を高めることができる。すなわち、この乳酸菌体外機能性産生物の増産方法は、乳酸菌由来の機能性産生物の産生量を効率的に高めることができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明は、以下に述べる個々の実施の形態に限定されない。
−第1実施形態−
本実施形態に係るヨーグルトは、pH緩衝剤添加工程および発酵工程を経て製造される。pH緩衝剤添加工程では、ヨーグルト原料にpH緩衝剤が添加される。発酵工程では、pH緩衝剤が添加されたヨーグルト原料(以下「pH緩衝剤添加ヨーグルト原料」という)が乳酸菌によって発酵させられる。
本実施形態において、ヨーグルトとは、乳等省令で定義される「発酵乳」および「乳酸菌飲料」を指す。乳等省令における「発酵乳」とは、「乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳などを乳酸菌または酵母で発酵させ、糊状または液状にしたもの」または「これらを凍結したもの」と定義されている。発酵乳は、「容器充填後に発酵させて固化させたハードヨーグルト(固形状発酵乳、セットタイプヨーグルト)」、「発酵後にカードを粉砕し、容器充填したソフトヨーグルト(糊状発酵乳)」、「ソフトヨーグルトを均質機でさらに細かく砕き、液状の性質を高めたドリンクヨーグルト(液状発酵乳)」に大別される。また、乳等省令における「乳酸菌飲料」とは、「乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は主要原料とした飲料(発酵乳を除く。)」をいう。
ヨーグルト原料には、乳、乳製品、乳タンパクの少なくとも一種以上が含まれる。ヨーグルト原料としては、例えば、牛乳、羊、ヤギ等の獣乳や、その加工品、殺菌乳、脱脂乳、全脂粉乳、部分脱脂乳、脱脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、クリーム、バター、バターミルク、ホエイ、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質単離物(WPI)、α−ラクトアルブミン(α−La)、β−ラクトグロブリン(β−Lg)、α−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、非たんぱく態窒素などの乳原料、砂糖、糖類、加工澱粉(デキストリンの他、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維、甘味料、有機酸(リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸など)、香料、水などを挙げることができる。なお、ヨーグルト原料は、上述のような常用の原料を混合し、加温させながら溶解させることで得られる。ヨーグルト原料には、ゼラチン、寒天、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のゲル化剤、増粘剤、安定剤が添加されてもよい。かかる場合、ゼラチン等の安定剤などを水などの溶媒に予め加温して溶解させておき、この安定剤水溶液を他の成分と混合することによって、ヨーグルト原料を調製する。
また、このヨーグルト原料の無脂乳固形分(以下「SNF」という)は8重量%以上20重量%以下の範囲内であることが好ましい。本実施形態に係るヨーグルト製造方法において、乳酸菌としてEPSを産生するブルガリア菌とサーモフィルス菌を採用し、pH緩衝剤としてリン酸塩を採用した場合、ヨーグルトの風味を良好に保ちつつ、ヨーグルト中の菌体外多糖体(以下「EPS」という)含有量を高めることができるからである。なお、ヨーグルト原料のSNFは、8.5重量%以上18.5重量%以下の範囲内であることがより好ましく、9重量%以上15重量%以下の範囲内であることがさらに好ましく、9.5重量%以上14重量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
本実施形態において、pH緩衝剤は、特に限定されないが、リン酸塩であることが特に好ましい。なお、本実施形態において、リン酸塩には水和物も含まれるものとする。リン酸塩としては、例えば、リン酸二水素一ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、リン酸二水素一カリウム(KHPO)、リン酸水素二カリウム(KHPO)等が挙げられる。なお、これらのリン酸塩は、単独で用いられてもよいし併用されてもよい。また、本実施形態に係るヨーグルト製造方法では、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)、リン酸水素二カリウム(KHPO)を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましく、リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)を単独で用いることが特に好ましい。
また、本実施形態に係るヨーグルト製造方法のpH緩衝剤添加工程において、ヨーグルト原料に対して0.05重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のpH緩衝剤が添加されるのが好ましい。本実施形態に係るヨーグルト製造方法において、乳酸菌としてEPSを産生するブルガリア菌とサーモフィルス菌を採用し、pH緩衝剤としてリン酸塩を採用した場合、pH緩衝剤の添加量がこの範囲内であれば、ヨーグルトのカード強度(カードテンション)や風味を良好に保ちつつ、ブルガリア菌の増殖を促進することができると共にブルガリア菌由来のEPSの産生量を増強することができるからである。なお、pH緩衝剤添加量は、0.08重量%以上0.45重量%以下の範囲内であることがより好ましく、0.1重量%以上0.35重量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
本実施形態において、乳酸菌は、菌体外機能性産生物、例えばEPSを産生する乳酸菌(以下「菌体外機能性産生物産生乳酸菌」という)、例えば、ラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス(Lactobacillus delbruechii subsp. bulgaricus)種の乳酸菌(以下「ブルガリア菌」ともいう)である。本実施の形態では、乳酸菌は、菌体外機能性産生物産生乳酸菌であれば菌株を問わないが、EPSを産生するLactobacillus delbruechii subsp. bulgaricus OLL1073R−1株(FERM BP−10741)が好適である。なお、本実施形態では、ブルガリア菌を主体とすることが好ましいが、その他のEPSを産生する乳酸菌(以下「EPS産生乳酸菌」という)、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)や、ラクトコッカス・ラクティス・クレモリス(Lactococcus lactis ssp. cremoris)等をブルガリア菌と併用してもよい。
また、EPS産生乳酸菌以外の乳酸菌、例えば、サーモフィルス菌、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、ビフィズス菌、プロピオン酸菌などの発酵乳の製造に一般的に用いられるその他の乳酸菌を、EPS産生乳酸菌と併用してもよい。また、上記乳酸菌と共に酵母を添加してもよい。なお、本実施形態に係るヨーグルト製造方法では、乳酸菌として、EPSを産生するブルガリア菌とサーモフィルス菌を併用することが特に好ましい。
本実施形態に係るヨーグルト製造方法の発酵工程において、発酵温度を30℃以上40℃以下の範囲内とすることが好ましい。乳酸菌としてEPSを産生するブルガリア菌とサーモフィルス菌を採用し、pH緩衝剤としてリン酸塩を採用した場合、ヨーグルト中のEPS含有量を高めることができるからである。なお、発酵温度は、32℃以上39℃以下の範囲内とすることがより好ましく、34℃以上38℃以下の範囲内とすることがさらに好ましい。
本実施形態にかかる菌体外機能性産生物産生乳酸菌は、全量に対して40mg/kg以上100mg/kg以下の範囲内の量の菌体外機能性産生物を産生することが好ましい。例えば、乳酸菌としてEPSを産生するブルガリア菌とサーモフィルス菌を採用し、pH緩衝剤としてリン酸塩を採用した場合、上記範囲内の量のEPSが産生される場合においてpH緩衝剤非添加時のEPSの産生量に対するpH緩衝剤添加時のEPSの産生量の比が高くなる、すなわちpH緩衝剤の添加効果が高くなることが認められるからである。なお、菌体外機能性産生物産生乳酸菌は、全量に対して42mg/kg以上100mg/kg以下の範囲内の量の菌体外機能性産生物を産生することが好ましく、44mg/kg以上100mg/kg以下の範囲内の量の菌体外機能性産生物を産生することがより好ましく、48mg/kg以上100mg/kg以下の範囲内の量の菌体外機能性産生物を産生することがさらに好ましく、50mg/kg以上100mg/kg以下の範囲内の量の菌体外機能性産生物を産生することが特に好ましい。
また、本実施形態に係るヨーグルト製造方法において、菌体外機能性産生物の産生量は、pH緩衝剤無添加時の産生量の1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、1.25倍以上であることが特に好ましい。例えば、乳酸菌としてEPSを産生するブルガリア菌とサーモフィルス菌を採用し、pH緩衝剤としてリン酸塩を採用した場合、pH緩衝剤添加時のEPS産生量は、pH緩衝剤無添加時のEPS産生量の1.25倍以上となる場合がある。
−第2実施形態−
本実施形態に係る乳酸菌体外機能性産生物は、pH緩衝剤添加工程および発酵工程を経て製造される。pH緩衝剤添加工程では、乳原料にpH緩衝剤が添加される。発酵工程では、pH緩衝剤が添加された乳原料が、乳酸菌体外機能性産生物を産生する乳酸菌によって発酵させられる。
なお、本実施形態に係る乳酸菌体外機能性産生物の製造方法は、ヨーグルト原料が乳原料とされること以外、第1実施形態に係るヨーグルト製造方法と同じである。また、本実施形態にいう「乳酸菌体外機能性産生物」は、第1実施形態にいう「菌体外機能性産生物」と同じものを示す。そして、ここにいう「乳原料」とは、牛乳、羊、ヤギ等の獣乳や、その加工品、殺菌乳、脱脂乳、全脂粉乳、部分脱脂乳、脱脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、クリーム、バター、バターミルク、ホエイ、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質単離物(WPI)、α−ラクトアルブミン(α−La)、β−ラクトグロブリン(β−Lg)、α−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、非たんぱく態窒素などである。また、この乳原料の無脂乳固形分(以下「SNF」という)は8重量%以上20重量%以下の範囲内であることが好ましく、8.5重量%以上18.5重量%以下の範囲内であることがより好ましく、9重量%以上15重量%以下の範囲内であることがさらに好ましく、9.5重量%以上14重量%以下の範囲内であることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る乳酸菌体外機能性産生物の産生量は、pH緩衝剤無添加時の乳酸菌体外機能性産生物の産生量の1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることがより好ましく、1.2倍以上であることがさらに好ましく、1.25倍以上であることが特に好ましい。
<実施例>
以下、本発明の好ましい実施例を説明するが、本発明は、前述した実施形態や以下の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更することが可能である。なお、実施例に用いられているLactobacillus delbruechii subsp. bulgaricus OLL1073R−1株(以下、OLL1073R−1株)は、2006年11月29日付(受託日)で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター 中央第6)に、受託番号でFERM BP−10741としてブタペスト条約に基づき国際寄託されている乳酸菌である。また、Streptcoccus thermophilusOLS3059株は、2006年12月15日付(受託日)で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター 中央第6)に、受託番号でFERM BP−10740として、ブタペスト条約に基づき国際寄託されている乳酸菌である。なお、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターの特許微生物寄託業務は2012年4月1日をもって独立行政法人製品評価技術基盤機構に承継されており、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センターは2013年4月1日をもって日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8の独立行政法人製品評価技術基盤機構事業所内に移転している。
(製造例)
(1)ヨーグルト原料ミックスA(SNF=9.4重量%)の調製
原料乳50kg、脱脂粉乳5.49kg、無塩バター1.5kgおよび水43.01kgを混合し、その混合物を95℃で5分間加熱殺菌した後に37℃前後まで冷却して、ヨーグルト原料ミックスAを調製した。
(2)ヨーグルト原料ミックスB(SNF=10.2重量%)の調製
原料乳25kg、脱脂濃縮乳18.4kg、脱脂粉乳0.96kg、無塩バター1.31kgおよび水45.75kgを混合し、その混合物を95℃で5分間加熱殺菌した後に37℃前後まで冷却して、ヨーグルト原料ミックスAよりも無脂乳固形分(SNF)が高いヨーグルト原料ミックスBを調製した。
−EPS産生量に及ぼすリン酸塩添加量の影響の検証−
サーモフィルス菌OLS3059株(Streptcoccus thermophilus OLS3059、以下OLS3059株とも称する)、及び、多糖体を産生するラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌である1073R−1株の混合培養物である乳酸菌スターター(ヨーグルトスターター)を、乳酸菌スターターが全量に対して2重量%含まれるようにヨーグルト原料ミックスAに接種した後、その乳酸菌スターター入りヨーグルト原料ミックスAを5本の試験管に20mLずつ分注して、5つのサンプル1−1、1−2、1−3、1−4、1−5を準備した。そして、サンプル1−1には、NaHPOが全量に対して0.5重量%含まれるようにNaHPOを添加した。サンプル1−2には、NaHPOが全量に対して0.4重量%含み且つNaHPOが全量に対して0.1重量%含まれるようにNaHPOおよびNaHPOを添加した。サンプル1−3には、NaHPOとNaHPOが全量に対してそれぞれ0.25重量%含まれるようにNaHPOおよびNaHPOを添加した。サンプル1−4には、NaHPOとNaHPOが全量に対してそれぞれ0.5重量%含まれるようにNaHPOおよびNaHPOを添加した。なお、サンプル1−5(対照)には、リン酸塩を添加しなかった。その後、上記各サンプルを43℃の恒温水槽に浸漬して発酵させた。各サンプルのpHが4.4〜4.5となった時点でサンプルを10℃以下まで冷却し、そのサンプルの発酵を停止させた。各サンプルについて、発酵停止までの時間(発酵時間)、酸度、EPS含有量、ブルガリア菌数、サーモフィラス菌数を測定した(表1参照)。
pHは、ガラス電極を用いたpHメーター(TOA−HM50V、東亜ディーケーケー社製)にて測定した。酸度は次の手順で測定した。各サンプルから9.00gを分取し、その分取サンプルに500μLのフェノールフタレインを添加した。そして、その分取サンプルを0.1Nの水酸化ナトリウムで滴定し、30秒間、微紅色の消失しない時点を終点とした。
また、ヨーグルトのEPS含有量は次の手順で測定した。まず、各サンプルを10gずつ計り取ってそれぞれを50mLのチューブに入れ、そこに、100%のトリクロロ酢酸1mLを添加した。次に、その内容物を攪拌した後、その内容物を約4℃、約10分で静置した。次いで、4℃の温度下20分間、その内容物を12000×gの相対遠心力で遠心分離し、上清を新たな50mLのチューブに移した。そして、この上清を攪拌しながら、上清の2倍量の冷エタノールをその上清に徐々に添加して、上清と冷エタノールとを完全に混合した。続いて、その混合物を約4℃の温度下で一晩静置した後、前記と同様の条件下でその混合物を遠心分離した。その後、その混合物の上清を捨て、沈澱物に10mLの精製水を添加して、その沈殿物を精製水に完全に溶解させた。口径0.45μmのフィルター付きのシリンジを用いてその水溶液150μLをHPLCに注入した。そして、「注入開始時点から16分後付近においてRI検出器によって検出される単一ピークのピーク面積」の「全ピーク面積」に対する割合をEPS含有量とした。HPLCの分析操作条件は以下の通りである。
HPLCシステム: Aquity H−class(Waters)
カラム: OHpak 806HQ(Shodex)+SB−G(Shodex)
カラム温度: 40℃
溶媒: 0.2M NaCl水溶液
流速: 0.5mL/min
検出器:RI detector 2414(Waters)、検出温度40℃
サンプルインジェクション: 150μL
分析時間:50min
EPS含有量に及ぼすリン酸塩添加量の影響を表1に示す。リン酸塩を添加したサンプル1−1、1−2、1−3及び1−4では、対照サンプル1−5に比べて、発酵時間が長くなり、発酵終了時の酸度も1以上となった。リン酸塩の添加によって、ヨーグルトのEPS産生量が増加する結果となった。なお、リン酸塩としてNaHPOのみを添加した場合(サンプル1−1)に、EPS含有量が最も多かった。また、ブルガリア菌数はリン酸塩の添加によって増加したが、サーモフィルス菌はNaHPOの濃度の上昇に伴って減少した。
これらの結果から、リン酸塩の添加によって乳酸菌が増殖することができるpH域での発酵時間を延長することができ、この効果によってブルガリア菌の菌数が増加したと考えられる。さらに、リン酸塩、中でもNaHPOの添加によってサーモフィルス菌の増殖低下が観察されたことから、サーモフィルス菌の増殖低下もブルガリア菌由来のEPS増加に寄与したものと考えられる。
Figure 0006392668
−EPS産生量に及ぼすリン酸塩の種類の影響の検証−
OLS3059株及び1073R−1株の混合培養物である乳酸菌スターター(ヨーグルトスターター)を、乳酸菌スターターが全量に対して2重量%含まれるように500gのヨーグルト原料ミックスAに接種した後、その乳酸菌スターター入りヨーグルト原料ミックスAを6本の試験管に20mLずつ分注して、6つのサンプル2−1、2−2、2−3、2−4、2−5、2−6を準備した。そして、サンプル2−1には、NaHPOが全量に対して0.5重量%含まれるようにNaHPOを添加した。サンプル2−2には、KHPOが全量に対して0.61重量%含まれるようにKHPOを添加した。なお、サンプル2−2におけるKHPOのモル濃度は、サンプル2−1におけるNaHPOのモル濃度と同じである。サンプル2−3には、NaClが全量に対して0.21重量%含まれるようにNaClを添加した。なお、サンプル2−3におけるNaClのモル濃度は、サンプル2−1におけるNaHPOのモル濃度と同じである。サンプル2−4には、NaHPOが全量に対して0.3重量%含まれるようにNaHPOを添加した。サンプル2−5には、NaHPOが全量に対して0.1重量%含まれるようにNaHPOを添加した。なお、サンプル2−6(対照)には、リン酸塩を添加しなかった。その後、上記各サンプルを43℃の恒温水槽に浸漬して発酵させた。各サンプルのpHが4.4〜4.5となった時点でサンプルを10℃以下まで冷却し、そのサンプルの発酵を停止させた。各サンプルについて、発酵停止までの時間(発酵時間)、酸度、EPS含有量、ブルガリア菌数、サーモフィルス菌数を測定した(表2参照)。なお、これらの物性値は実施例1と同様の方法で測定した。
EPS含有量に及ぼすリン酸塩の種類の影響を表2に示す。NaHPOのみを添加したサンプル2−1、2−4、2−5では、NaHPOの添加量の増加に伴って発酵時間が長くなると共にEPS含有量が増加した。また、NaHPOの添加量の増加に伴ってブルガリア菌の菌数は増加し、サーモフィルス菌の菌数は減少した。ここで、サーモフィルス菌の菌数の減少に影響する要因を調べた。具体的には、サンプル2−1、サンプル2−2及びサンプル2−3について、サーモフィルス菌の菌数などを対比した。サンプル2−2のサーモフィルス菌の菌数およびEPS含有量は、サンプル2−1のサーモフィルス菌の菌数およびEPS含有量とほぼ同等であった。サンプル2−3では、サンプル2−6(対照)とほぼ同様に、EPS含有量の増加やサーモフィルス菌の菌数の減少は見られなかった。なお、これは、添加したNaClがpH緩衝作用を発揮しなかったためであると思われる。したがって、リン酸塩の添加がサーモフィルス菌の増殖を抑制している可能性が示唆された。
Figure 0006392668
−EPS産生量およびカードテンションに及ぼすリン酸塩添加量の影響の検証−
100kgのヨーグルト原料ミックスAを20kgずつに分け、5つのサンプル3−1、3−2、3−3、3−4、3−5を準備した。サンプル3−1(対照)には、リン酸塩を添加しなかった。サンプル3−2には、NaHPOが0.1重量%含まれるようにNaHPOを添加した。サンプル3−3には、NaHPOが0.3重量%含まれるようにNaHPOを添加した。サンプル3−4には、NaHPOが0.5重量%含まれるようにNaHPOを添加した。サンプル3−5には、NaHPOが1.0重量%含まれるようにNaHPOを添加した。そして、ヨーグルトの製造に一般的に使用されるサーモフィラス菌及び1073R−1株の混合培養物である乳酸菌スターターを、乳酸菌スターターが全量に対して2重量%含まれるように各サンプルに接種した。その後、乳酸菌スターター入りの各サンプルをそれぞれ85g容量の容器に85g充填して43℃の恒温室で発酵させた。各サンプルのpHが4.4になった時点でサンプルを10℃以下まで冷却し、そのサンプルの発酵を停止させた。
そして、各サンプルについて、発酵停止までの時間(発酵時間)、EPS含有量、カードテンション(CT)を測定した(表3参照)。なお、各サンプル中のEPS含有量は、実施例1と同様に測定した。CTは次の手順で測定した。各サンプルに100gの錘をつけ、カードメーターマックス(ME−500、飛鳥機器社製)によって各サンプルが破断に至るときの弾力性を測定した。そして、この弾性力をCT指標値とした。
各サンプルの発酵時間、EPS含有量、CTの結果を表3に示す。NaHPOの添加量が増加するに伴ってサンプル中のEPS含有量が増加し、CT値が減少した(すなわちサンプルが柔らかくなった)。
Figure 0006392668
−EPS産生量に及ぼすヨーグルト原料ミックスのSNF含有量の影響の検証−
OLS−3059株及び1073R−1株の混合培養物である乳酸菌スターター(ヨーグルトスターター)を、乳酸菌スターターが全量に対して2重量%含まれるようにヨーグルト原料ミックスA及びヨーグルト原料ミックスBにそれぞれ接種した後、乳酸菌スターター入りの各ヨーグルト原料ミックスA,Bを85g容量の容器に85gずつ分注して、2種類のサンプル4−1(SNF=9.4重量%)、4−2(SNF=10.2重量%)を準備した。そして、これらのサンプル4−1,2を43℃の恒温室で発酵させた。各サンプルの酸度が0.8になった時点でサンプルを10℃以下まで冷却し、そのサンプルの発酵を停止させた。各サンプル中のEPS含有量を測定した。なお、EPS含有量は実施例1と同様の方法で測定した。
サンプル4−1のEPS含有量は46.0mg/kgであった。これに対し、サンプル4−2のEPS含有量は48.6mg/kgであった。すなわち、サンプル4−2のEPS含有量は、サンプル4−1の1.1倍であった。したがって、高SNFのヨーグルト原料を使用することによりヨーグルト中のEPS含有量を高めることができることが明らかとなった。
−EPS産生量に及ぼす発酵温度の影響の検証−
OLS−3059株及び1073R−1株の混合培養物である乳酸菌スターター(ヨーグルトスターター)を、乳酸菌スターターが全量に対して2重量%含まれるようにヨーグルト原料ミックスAに接種した後、その乳酸菌スターター入りヨーグルト原料ミックスAを85g容量の容器に85gずつ分注して、2種類のサンプル5−1、5−2を準備した。そして、サンプル5−1を43℃で発酵させ、サンプル5−2を37℃で発酵させた。各サンプルの酸度が0.8になった時点でサンプルを10℃以下まで冷却し、そのサンプルの発酵を停止させた。各サンプル中のEPS含有量を測定した。なお、EPS含有量は実施例1と同様の方法で測定した。
サンプル5−1のEPS含有量は43.4mg/kgであった。これに対し、サンプル5−2のEPS含有量は51.1mg/kgであった。すなわち、サンプル5−2のEPS含有量は、サンプル5−1の1.2倍であった。したがって、発酵温度を低温にすることで、ヨーグルト中のEPS含有量を高めることができることが明らかとなった。
先ず、サンプル6−1(対照)としてヨーグルト原料ミックスAを準備した。また、ヨーグルト原料ミックスBを3つに分けて、3つのサンプル6−2、6−3、6−4を準備した。そして、ヨーグルトの製造に一般的に使用されるサーモフィラス菌及び1073R−1株の混合培養物である乳酸菌スターターを、乳酸菌スターターが全量に対して2重量%含まれるように各サンプルに接種した。また、サンプル6−4には、さらに、NaHPOが全量に対して0.3重量%含まれるようにNaHPOを添加した。そして、サンプル6−1および6−2を43℃で発酵させ、サンプル6−3および6−4を37℃で発酵させた。各サンプルの酸度が0.8になった時点でサンプルを10℃以下まで冷却し、そのサンプルの発酵を停止させた。各サンプル中のEPS含有量を測定した。なお、EPS含有量は実施例1と同様の方法で測定した。
各サンプルのSNF、発酵温度、リン酸塩(NaHPO)添加量、ヨーグルト中のEPS含有量を表4に示す。サンプル6−2(高SNF含有量)ではEPS含有量が対照サンプル6−1の1.15倍に高められ、サンプル6−3(高SNF含有量,低発酵温度)ではEPS含有量が対照サンプル6−1の1.19倍にまで高められた。さらに、サンプル6−4(高SNF含有量,低発酵温度,リン酸塩添加)では、ヨーグルトのEPS含有量が対照サンプル6−1の1.37倍にまで高められた。
Figure 0006392668
本発明に係るヨーグルトの製造方法は、乳酸菌由来の機能性産生物の含有量を効率的に増加させることができるため、乳酸菌由来の機能性産生物(多糖体など)が有する健康増進作用を高めたヨーグルトや、有効量の乳酸菌由来の機能性産生物を十分含有した小容量のヨーグルトを効率よく製造することができる。

Claims (4)

  1. 乳原料に、0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩であるpH緩衝剤、および、ストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌と、乳酸菌体外機能性産生物を産生するラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌との混合物を配合し、前記pH緩衝剤により前記ストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつ前記ラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらその乳原料を発酵させて前記乳酸菌体外機能性産生物を増産する、乳酸菌体外機能性産生物の増産方法。
  2. ヨーグルト原料に対して、pH緩衝剤として0.3重量%以上0.55重量%以下の範囲内の量のリン酸のアルカリ金属塩を添加するリン酸アルカリ金属塩添加工程と、
    前記リン酸のアルカリ金属塩が添加された前記ヨーグルト原料(以下「リン酸アルカリ金属塩添加ヨーグルト原料」という)にラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌とストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌との混合物を配合し、前記リン酸アルカリ金属塩により前記ストレプトコッカス・サーモフィルス種の乳酸菌の増殖を抑制しつつ前記ラクトバチルス・デルブルエッキー・サブスピーシス・ブルガリクス種の乳酸菌の増殖を促進させながらそのヨーグルト原料を発酵させてヨーグルト中の前記乳酸菌体外機能性産生物を増産する発酵工程と
    を備える、ヨーグルト製造方法。
  3. 前記ヨーグルト原料には、8重量%以上20重量%以下の範囲内の無脂乳固形分が含まれている
    請求項2に記載のヨーグルト製造方法。
  4. 前記発酵工程では、前記リン酸アルカリ金属塩添加ヨーグルト原料が30℃以上40℃以下の範囲内の温度下で前記乳酸菌によって発酵させられる
    請求項3に記載のヨーグルト製造方法。
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