上述の従来技術において、バッテリボックスは、取り付け機構(mounting arrangement)を介して、自動二輪車のステアリングヘッドパイプに直接取り付けられており、バッテリへのアクセスに必要以上に時間がかかる、又は、困難なものとなりうる。ヘッドライトユニットとバッテリボックスとは自動二輪車の前部に向かってそれぞれ配置され、互いに概して近接した鉛直空間関係を有するが、ヘッドライトユニットとバッテリボックスとはそれぞれ対応する別々の取り付け箇所によって自動二輪車に別々に取り付けられ、互いに直接的な構造的取り付け関係を有さない。この結果、自動二輪車上での構造的に別々の取り付け箇所の数が増えてしまい、自動二輪車の組み立て時間及び/又は複雑さが増す可能性がある。
更に、従来技術において、バッテリボックスは、単にバッテリを担持するために構成されており、他の目的を持っていない。質量の大きい追加的な構成要素を担持するためには、追加的な機械ストレスに対処するためにバッテリボックスの寸法、厚さ、及び/又は、形状を大きくする必要がある。この結果、バッテリボックスがより高価になり、且つ、フロントカバーの下の利用可能な空間が減ってしまう。更に、バッテリボックスの寸法、厚さ、及び/又は、形状を大きくする方法によっては、バッテリへのアクセスが更に難しくなる、及び/又は、時間がかかる場合もある。
フロントカバーの下の空間利用効率やフロントカバーの下の他の部品の位置決めに悪影響を与えることなく、同時にヘッドライトユニットとバッテリの保守が便利になるような、ヘッドライトユニットとバッテリボックスとが幾つかの自動二輪車のモデルにおいて互いに直接的な取り付け関係を有する自動二輪車のヘッドライト取り付け構造を提供することが望ましい。
請求項1に記載の本発明は、自動二輪車用のヘッドライト取り付け構造であって、自動二輪車のフレームの一部に取り付けるヘッドパイプと、プラスチック製のバッテリボックスであってその内部(例えば、内部の仕切られた空間)にバッテリを支持するためのものであって、金属ステイによってヘッドパイプの前部に取り付けるバッテリボックスと、を備え、バッテリボックスの前にヘッドライトユニットを取り付け、ヘッドライトユニットは、バッテリボックスの複数のヘッドライト取り付け部(例えば、バッテリボックスの左右ヘッドライト取り付け部)と、金属ステイのヘッドライト取り付け部とによって支持されることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明によれば、請求項1のヘッドライト取り付け構造であって、金属ステイは、(a)ヘッドパイプの下方前部から前方に突き出るメイン金属ステイであって、バッテリボックスの底部即ち表面を支持するメイン金属ステイと、(b)ヘッドパイプの上方前部から上方に突き出るサブ金属ステイであって、バッテリボックスの後部に接続されるサブ金属ステイと、を備え、メイン金属ステイは、(i)バッテリボックスの底部から上方に延びる上方突出部を備え、(ii)ヘッドライトユニット用のヘッドライト取り付け部とバッテリボックス用のバッテリボックス取り付け部とを更に備える。
請求項3に記載の本発明によれば、請求項2のヘッドライト取り付け構造であって、メイン金属ステイが更に左及び右向きに突き出る側方延出部を備えて金属ステイの左及び右側でバッテリボックス取り付け部(例えば、左右バッテリボックス取り付け部)を形成し、側方延出部が電気素子(例えば、バッテリ以外の追加的な電気素子)用の追加的な取り付け部を備える。
請求項4に記載の本発明によれば、請求項2のヘッドライト取り付け構造において、ヘッドライトユニットは、後方に向いた部分にピン構造を備え、ピン構造は、メイン金属ステイの上方突出部のヘッドライト取り付け部に接続され、上方突出部のヘッドライト取り付け部は、ピン構造を受け入れるための孔とハトメとを備える。
請求項5に記載の本発明によれば、請求項2のヘッドライト取り付け構造において、バッテリボックスは、(a)バッテリボックスの複数のヘッドライト取り付け部と(b)メイン金属ステイの上方突出部のヘッドライト取り付け部との間の位置でメイン金属ステイの上方突出部に接続される。
請求項6に記載の本発明によれば、請求項5のヘッドライト取り付け構造において、バッテリボックスが更に張り出し部を備え、バッテリボックスの複数のヘッドライト取り付け部は張り出し部と一体に担持又は形成され、張り出し部は、メイン金属ステイの上方突出部のヘッドライト取り付け部上でバッテリボックスの前側から締結部によってメイン金属ステイの上方突出部に接続される。
請求項7に記載の本発明によれば、請求項2のヘッドライト取り付け構造において、バッテリボックスは、(例えば、バッテリを下向きに押すことによって)バッテリを上から下方に押さえつけるよう構成された金属製のバッテリバンドを備え、バッテリバンドの第1端部はサブ金属ステイに連結され、バッテリバンドの第2端部はバッテリボックスの複数のヘッドライト取り付け部の左右境界の中心点でバッテリボックスに連結される。
請求項8に記載の本発明によれば、請求項7のヘッドライト取り付け構造において、サブ金属ステイが更に、バッテリバンドに接続するためのフック部を備え、バッテリバンドは、フック部と係合するための垂下部を備える。
請求項9に記載の本発明によれば、請求項1のヘッドライト取り付け構造において、バッテリボックスは、バッテリボックスの前、後、上、及び底側で金属構造によって支持される。
請求項10に記載の本発明によれば、請求項7のヘッドライト取り付け構造において、メイン金属ステイと、サブ金属ステイと、メイン金属ステイの上方突出部と、バッテリバンドを含む複数の金属手段にバッテリボックスを取り付ける。
請求項11に記載の本発明によれば、請求項1のヘッドライト取り付け構造において、バッテリボックスは、バッテリボックスの一方の側部においてヒューズユニットと共に取り付け、バッテリボックスは、バッテリボックスのもう一方の側部において電気素子と近接して取り付ける。
請求項12に記載の本発明によれば、請求項11のヘッドライト取り付け構造において、バッテリボックスは、ヒューズユニットを取り付けるためのヒューズホルダを一体的に備える。
請求項1に開示された本発明によれば、バッテリボックスは金属ステイによって取り付けられ構造的に支持される。バッテリボックスは、(a)自動二輪車のバッテリの重量を支持すると共に、(b)プラスチック及び金属材料によってヘッドライトユニットの一部を支持及び安定化させるのに役立つのに十分な強度を有するよう設計する。金属ステイが自動二輪車のヘッドパイプにしっかりと取り付けられるので、このヘッドライト取り付け構造によって、ヘッドライトユニットとバッテリボックスとへの必要以上な機械的ストレス/力が減少する。この結果、バッテリボックスを過度に大きく又は厚くする必要がなくなり、バッテリボックスの一部の周辺において自動二輪車のフロントカバー下の空間を、例えば一以上の種類の電気素子等の他の部品を担持するためにより有効に活用することができる。この結果、金属ステイを一体化して取り付け箇所を少なくでき、従来技術と比較すると自動二輪車にヘッドライトユニットとバッテリボックスとを取り付けるのに必要な部品の数が少なくなる。
請求項2に開示した本発明によれば、バッテリボックスの底及び後部は、メイン金属ステイとサブ金属ステイとによってそれぞれ支持される。バッテリボックスは、ヘッドパイプに対する従って自動二輪車の構造フレームの一部に対する強く安定した構造的支持を備える。メイン金属ステイは、バッテリボックスの前部においてメイン金属ステイから上方に延びる上方突出部を備え、メイン金属ステイはバッテリボックスの正面部及び底部を少なくとも部分的に多い、囲み、支持する。これによって、バッテリボックスとバッテリを効率的に取り付けることができると共にバッテリボックスとバッテリとを構造的に保護することができる。最後に、メイン金属ステイの上方突出部は、バッテリボックス用及びヘッドライトユニット用の取り付け部を備える。この上方突出部は、バッテリボックスそのものによって安定となり、ヘッドライト取り付け部を介してヘッドライトユニットの強力で安定した取り付け箇所を同時に提供する。
請求項3に開示した本発明によれば、バッテリボックスは、側方突出部の両側に取り付けられるので、バッテリボックスの底部が安定して所定の位置に保持される。更に、側方突出部によって別の電気素子を保持可能であって、このような他の電気部品を自動二輪車に取り付けるための更なる別のステイ素子の必要がない。これによってコストや部品点数が減る。
請求項4に開示した本発明によれば、メイン金属ステイの上方突出部のヘッドライト取り付け部は、開口や孔等の単純な構造であってよく、単純で価格の安い嵌合リング又はハトメによって、ヘッドライトユニットのピン構造をしっかりと保持するための適切な保持力が得られ、追加的な締結部の必要がない。ヘッドライトユニットのピン構造は、嵌合リングを介して孔に単に挿入すればよい。従って、このようなヘッドライトユニット取り付け構造によれば、自動二輪車にヘッドライトユニットを取り付けるのに必要な締結部の数が減り、製造/組み立ての時間が減る。
請求項5に開示した本発明によれば、複数のヘッドライト取り付け部を備えるバッテリボックスは典型的には成形した硬いプラスチックで形成されるが、バッテリボックスそのものは、ヘッドライトユニットをしっかりと安定して支持するような十分な強度を備えていない。一方、メイン金属ステイの上方突出部はスチール等の金属でできており、バッテリボックスに接続され、プラスチックであるバッテリボックスの複数のヘッドライト取り付け部にあるかもしれない強度の不足が補われる。
請求項6に開示した本発明によれば、張り出し構造によって、上方突出部から支持されたバッテリボックスの複数のヘッドライト取り付け部の強度が増す。従って、プラスチック材料で製造したバッテリボックスであるために起こるバッテリボックスのヘッドライト取り付け部の強度の不足が補われる。更に、張り出し部は、上方突出部の締結部によって取り付けられるので、張り出し部の強度が増す。これによってヘッドライト取り付け構造の全体的な強度及び安定性が増す。
請求項7に開示した本発明によれば、金属のバッテリバンドによってバッテリボックスの強度が増す。更に、自動二輪車に乗車した際にバッテリボックスに加わるねじり力が小さくなる。この結果、バッテリボックスのねじり力の結果起こる、ヘッドライトのねじり作用も減少する。金属バッテリバンドによって、ヘッドライト取り付け構造の強度及び安定性が強化される。
請求項8に開示した本発明によれば、バッテリバンドとサブ金属ステイとの接続により、構造的に単純な機構が得られ、これによってバッテリバンドのサブ金属ステイへの設置及び取り外しが便利でかつ迅速に行える。
請求項9に開示した本発明によれば、金属構造によってバッテリボックスを前、後、上及び底側で支持する。このような金属の構造物は、バッテリボックスの側部それぞれの構造的完全性や安全性を高める金属の「ケージ部材」に対応し又はこのような「ケージ部材」を形成し、バッテリボックスそのものはプラスチック製であるのでバッテリボックスの構造に存在するかもしれない構造的な脆弱性を補償するものである。
請求項10に開示した本発明によれば、プラスチック製のバッテリボックスの別々の箇所を複数の金属手段に取り付ける。特に、バッテリボックスの底部をメイン金属ステイに取り付け、バッテリボックスの後部をサブ金属ステイに取り付け、バッテリボックスの前部をメイン金属ステイの上方突出部に取り付け、バッテリボックスの上部を金属バッテリバンドに取り付ける。このようにバッテリボックスの別々の箇所を複数の金属手段に取り付けることによって、高度な構造的完全性及び安定性を備えたヘッドライト取り付け構造が得られ、バッテリボックスを必要以上に厚くしたり大きくしたりする必要がない。更に、これによって強い構造となり、バッテリボックスの周りの他の部品を担持可能となる。
請求項11に開示した本発明によれば、バッテリが典型的にはヒューズユニットに近接して接続され、ヒューズユニットは非常に軽量な部品であるので、バッテリボックスの設計が改善され、バッテリボックスの一方の側部においてヒューズユニットを搭載する。これによって、自動二輪車のフロントカバーの下においてバッテリボックスのもう一方の側部の利用可能な空間をより効率的に利用可能となる。加えて、使用しないデッドスペースとするのではなく、バッテリボックスのもう一方の側に追加的な又は補助的な電気素子を適応即ち取り付け可能となる。
請求項12に開示した本発明によれば、ヒューズユニットは、バッテリボックスのヒューズホルダと共に容易に取り付け可能な非常に軽量の部品であるので、バッテリボックスに一体的にヒューズホルダを形成する。バッテリボックスとは別の追加的な取り付け構造の必要がない。このようなバッテリボックスのヒューズホルダによって部品点数やコストが減る。
簡潔に明確にするために、特定の実施形態に係る自動二輪車用のヘッドライト取り付け構造の典型的な実施形態について以下に説明する。図1〜図7Eに関して、図1は、本実施形態に係る自動二輪車20の前部に配置したヘッドライト取り付け構造200を有する自動二輪車20の左側面図である。図2は、本実施形態に係る自動二輪車20の他の正面側部品に対するヘッドライト取り付け構造200の一部を示す左部分側面図である。図3は、本実施形態に係る自動二輪車20の他の正面側部品に対するヘッドライト取り付け構造200の一部を示す部分正面断面図である。図4は、本実施形態に係る自動二輪車20の他の正面側部品に対するヘッドライト取り付け構造200の一部を示す自動二輪車20の上正面部の部分水平断面図である。図5は、図4の断面A−Aに対応する左断面図である。図6は、図2の断面X−Xに対応する背面断面図である。図7Aは、本実施形態に係るヘッドライト取り付け構造の一部を示す平面図である。図7Bは、図7Aの断面B−Bに対応する第1断面図である。図7C及び図7Dは、それぞれ、図7Aの断面C−C及び断面D−Dに対応する第2断面図及び第3断面図である。最後に、図7Eは、本実施形態に係るバッテリバンドを補助/サブ金属ステイに機械的に連結させるための、係合構造のフック部と垂下部とを示す部分斜視図である。
図1を参照すると、様々な実施形態において、自動二輪車20には、関連する技術の当業者であれば容易に理解されるような方法で、アンダーボーン型又は同様の種類の自動二輪車(例えばスクーター)に対応する構造要素/特徴がある。但し、本実施形態に係るヘッドライト取り付け構造200がこのような種類の自動二輪車20に限定されないことは、当業者であれば更に認識されるであろう。図1に示した自動二輪車20の特定の左側の部品については、対応する部品番号に加えて添え字の「L」を示してあるが、当業者であれば、これらの左側の部品に対応する右側の部品も有することを容易に理解されるであろう。右側の部品については他の図面で示しているものもある。このような対応する右側の部品を示す際、対応する部品番号に加えて添え字の「R」を示すものとする。
図1に示す実施形態において、自動二輪車20は、運転手が座ることのできるシート22に連結する下部構造フレームと、運転手の左脚を支持するための左ステップフロア25Lを提供する左前方ステップフロアパネル24Lと、乗員の左脚を支持するための左後方ステップ27にアクセス可能(折りたたみ可能に延長可能)である左後方ステップカバー26Lと、自動二輪車20を駐車する際に支持するためのメインスタンド28及びサイドスタンド29と、を備える。
自動二輪車の下部構造フレームは、シート22の下に配置したエンジンユニット30を支持する。エンジンユニット30は、エアクリーナー40に連結される。エアクリーナーは、エンジンユニット30に粒子状物質が入らないように空気をろ過するためのものである。ろ過後の空気と噴霧化された燃料とがエンジンユニット30のシリンダーヘッド31に導入され、その燃焼室内で燃焼する。燃焼の結果、エンジンユニット30は、推進力、即ち駆動力を発生させる。この駆動力は、後方タイヤ33を担持する後輪32に伝達される。後輪32は、後ろ車軸34によって支持される。後輪32は、推進力に応じてこの車軸34の周りを回転する。特に、エンジンの推進力は、クランクシャフト軸36の周りを回転するクランクシャフト、又は、ベルトコンバータ、即ちベルト駆動軸38を有する無段変速機(CVT)によって、後輪32に伝えられる。エンジンユニット30からの排気は、エンジンユニット30の下に配置された排気筒42へと向かう。排気筒42は、エンジンユニットの騒音を減衰するためのマフラー44に連結される。
シート22の下であって、且つ、後輪32の上後方には、後輪32から飛んでくる道路上のしぶきやがれきを阻止するためのリアフェンダ46が配置される。これにより、このような道路上のしぶきやがれきがリアフェンダ46を超えないようになる。自動二輪車20が動いた際の道路での振動を抑えるために、リアサスペンション、即ちクッション48が、自動二輪車の構造フレームと後輪32を支持する揺動アームとの間に連結する。自動二輪車20は、更に、乗員が握れる後方グリップ50、後方コンビネーションライト52(例えば、複合型テールライト、リアウィンカ、及びライセンスライト)、その他の従来の部品や要素を、関連する技術の当業者であれば容易に理解されるような方法で備える。
自動二輪車20の前部では、前方タイヤ55を担持する前輪54が、前車軸56に回転可能に取り付けられる。自動二輪車20に乗車すると、前輪54が、前車軸56の周りを高速回転する。前車軸56は、左フォーク部材59Lを備えるフロントフォーク58に連結され、且つ、支持される。前輪54上には、フロントフェンダ60が配置される。これにより、自動二輪車20が動いて前輪が回転することで道路のしぶきやがれきがフロントフェンダ60を超えないようになる。自動二輪車20は更に、前輪54にブレーキ力を加えるためのフロントブレーキ機構(例えば、前輪54に連結したディスクブレーキ62、又は、ディスクブレーキ62と選択的に係合可能なブレーキキャリパー64)を備え、関連する技術の当業者であれば容易に理解されるような方法で自動二輪車20を減速させる。
自動二輪車20は更に、自動二輪車20の特定の内部を覆う幾つかの構造パネル、即ちカバーを備える。カバーは、自動二輪車の下部構造フレームも含む。様々な実施形態において、自動二輪車20は、左後方サイドカバー66Lと、センターカバー68と、を備える。左後方サイドカバー66Lは、シート22の下に配置される。センターカバー68は、シート22の下に配置され、且つ、後方サイドカバー66Lと対応する右側のカバーとに連続してこれらの前方に配置される。センターカバー68は、シート22の前方に形成sれた開口部を備える。この開口部に、枢動開放/閉鎖可能な燃料蓋78が取り付けられる。自動二輪車20は更に、左前方サイドカバー70Lと、左下部アンダーカバー72Lと、ベルトコンバータカバー35と、を備える。左前方サイドカバー70Lは、センターカバー68の下であって、且つ、左後方サイドカバー66Lの前部に配置される。左下部アンダーカバー72Lは、左前方サイドカバー70Lに連続してその下に配置される。ベルトコンバータカバー35は、ベルトコンバータを覆う。自動二輪車20は更に、運転手が自動二輪車20に乗った際に運転手の左脚を守るために、左前方サイドカバー70Lに連続してその前方に配置された左脚用シールド74Lを、ステップフロアパネル24Lの前部の上方に備える。
自動二輪車20は更に、インナーカバー76を備える。インナーカバー76は、センターカバー68に隣接してその前方であって、且つ、左前方サイドカバー70Lに隣接してその上に配置される。インナーカバー76は、運転手と対向する自動二輪車の構造フレームの特定の部分に重なる。以下に更に詳細に述べるように、運転手が左ハンドルグリップ88Lにアクセス可能となるように、後方ハンドルカバー94がインナーカバー76の上に延び、且つ、前方ハンドルカバー96が後方ハンドルカバー94の前方に配置される。
フロントカバー100は、インナーカバー76に隣接してその前方に取り付けられる。フロントカバー100は、前方ハンドルカバー96の下でその前方に延び、脚用シールド74Lの上であって、正面から見て自動二輪車の幅を略横切るように配置される。フロントカバー100は、側面から見ると下方に向かう傾斜を描く。フロントカバー100は、取り外し可能なフロントフード108を担持する開口又は隙間を備え、その下に、以下に詳細に示すような本実施形態に係るヘッドライトユニット201が取り付けられたヘッドライト取り付け構造が位置する。
図2〜図4を更に参照すると、自動二輪車の走行方向を制御するために、自動二輪車20は、右ハンドルパイプ部材85R及び左ハンドルパイプ部材85Lを含むハンドルパイプ84を備え、その上に右ハンドグリップ88R及び左ハンドグリップ88Lがそれぞれ担持される。ハンドルパイプ84は、ステアリングヘッドパイプ86を貫通して延びるステアリングステム82に連結しており、自動二輪車の構造フレームの一部を形成している。ステアリングステム82は更に、フロントフォーク58に連結する。ステアリングステム82は、ステアリングステムを貫通するステアリング軸を中心に旋回移動可能である。操舵軸の周りでハンドルグリップ88R,88Lを運転手が相対的に旋回移動させることに応じて運転手がハンドルグリップ88R,88Lに与える左右操舵動作は、ハンドルパイプ84R,84Lとステアリングステム82にも与えられ、前輪54が左右方向に回転する。様々な実施形態において、後方ハンドルカバー94と前方ハンドルカバー96とが、自動二輪車のハンドルパイプ84を覆う。バックミラー(不図示)が、ハンドルグリップ88R,88Lに連結しており、関連する技術の当業者であれば容易に理解されるように、自動二輪車20の後方の対象物を運転手が見ることができる。
自動二輪車20の前方への速度を制御するために、右ハンドルグリップ88Rは、アクセル、即ちアクセルグリップとして機能し、又は、アクセル、即ちアクセルグリップを備える。右ハンドルグリップ88Rを後ろ向きに回転させると、自動二輪車20が加速する。リアブレーキレバー90は、後輪ブレーキ機構を制御するための右ハンドルグリップ88Rの前方に配置される。従って、運転手は、右ハンドルグリップ88R上で右手の平を使って自動二輪車20の加速を制御し、且つ、リアブレーキレバー90上で右手の指を使って自動二輪車20のブレーキを制御する。自動二輪車の反対側には、左ハンドルグリップ88Lの前方に、上述のように、前輪54のブレーキ機構を制御するためのフロントブレーキレバー92が配置される。対象とする自動二輪車20の種類によっては、関連する当業者であれば容易に理解するような方法で、自動二輪車20が別の又は追加的な種類のブレーキ機構(例えば、運転手の脚でアクセス可能なリアブレーキペダル)を備えてもよい。自動二輪車20は更に、速度計98等の様々な計器、メータ、及び/又はゲージを、ハンドルグリップ88R,88Lの後方で運転手に対向するように備える。
図1〜図3からよくわかるように、自動二輪車のヘッドライトユニット201は、その外側レンズ202がフロントカバー100の下部に形成した開口内に配置され、外側レンズ202が脚用シールド74R,74Lの鉛直方向上であって、且つ、前方に位置するように配置される。ヘッドライトユニット201は、反射装置構造を担持するケースを備え、複数のヘッドライトバルブを組み合わせることによって作り出されるロービーム及びハイビームの照明を前方方向に向かわせ、このような照明を、外側レンズ202を通じて前方の道路に投影させるよう構成される。加えて、図示した実施形態において、ヘッドライトユニット201は、そのケース内に担持した一対のウィンカーユニットを備え、左右方向指示器に対応して間欠的又は周期的に点滅するように構成される。
更に図3を参照すると、フロントカバー100の下において、ヘッドライトユニット201は、一組の上部後方側部ヘッドライトユニット取り付け部208R、208Lを備える。上部後方側部ヘッドライトユニット取り付け部208R、208Lによって、ヘッドライトユニット201の上部後方左右部を自動二輪車20に固定可能である。上部後方側部ヘッドライト取り付け部208R、208Lには、ねじ等の締結部品を受け入れる開口209R、209Lを形成可能である。図3に示すように、自動二輪車20は更に、フロントカバー100の下にアンサーバックシステム(answer−back system)用の制御ユニット105を備える。自動二輪車20は更に、インナーカバー76内に取り付けられたイグニッションキーユニット77を備える。
特に図2〜図5を参照すると、自動二輪車のヘッドライト取り付け構造200は、自動二輪車のフロントカバー100の下に配置される。自動二輪車のヘッドライト取り付け構造200は、地形の変動に関係なく自動二輪車20に乗車した際に意図した位置にヘッドライトユニット201とその外側レンズ202とをしっかりと維持するように、ヘッドライトユニット201を自動二輪車20に便利に取り付けられるよう構成した構造要素を備える。一般的に、様々な実施形態において、ヘッドライト取り付け構造200は、(a)メイン金属ステイ400であって、典型的にはその正面又は略正面箇所に担持又は配置した側方に延在する複数の部分又は部材410R、410Lと共に、その正面に担持又は配置した上方又は鉛直方向に突き出た部分420とを備えるメイン金属ステイ400と、(b)メイン金属ステイ400の上に位置決めした副又はサブ金属ステイ460と、(c)ヘッドライトユニット201の特定の後ろ向きの箇所と、(d)自動二輪車のバッテリ302が位置するバッテリボックス300の特定の前向きの箇所と、(e)バッテリボックス300の特定の後ろ向きの箇所と、(f)バッテリボックス300の上部に渡って延在するバッテリバンド380と、(g)メイン金属ステイ400とサブ金属ステイ460とを溶接する自動二輪車のステアリングヘッドパイプ86と、を備える。これによって、ヘッドライト取り付け構造200を自動二輪車の下部構造フレームに機械的に連結する。
ヘッドライト取り付け構造200は、以下のような取り付け箇所を備える。バッテリボックス300の下部、即ち底部をメイン金属ステイ400の側方延出部410R、410Lに取り付けて、側方延出部410R、410Lとメイン金属ステイ400とによってバッテリボックス300の裏面の一部を支持し、バッテリボックス300の中央前部をメイン金属ステイ400の上方突出部420に取り付け、バッテリボックス300の上方後部360をサブ金属ステイ460に取り付け、ヘッドライトユニット201の少なくとも一つの上方後部をバッテリボックス300の前方張り出し部320の上部に取り付け、ヘッドライトユニット201の下方後部をメイン金属ステイ400の上方突出部420に取り付け、バッテリバンド380をサブ金属ステイ460とバッテリボックス300の上方前部とに取り付ける。
具体的には、図2及び図5に示すように、メイン金属ステイ400は、ステアリングヘッドパイプ86の下方前部に溶接し、サブ金属ステイ460は、ステアリングヘッドパイプ86の上方前部に溶接する。メイン金属ステイ400は、ステアリングヘッドパイプ86の下方前部から離間して前方方向に所定の距離だけ突き出る、突出する、又は延在し、側方延出部410R、410Lと共に、プラットフォーム部402(例えば、平面状又は略平面状の支持プラットフォーム402)を備え、以下に更に説明するように、バッテリボックス300の下部即ち底表面306を支持する。
更に図7Aを参照すると、メイン金属ステイ400の側方延出部410R、410Lは、メイン金属ステイの上方突出部420の若干後方のメイン金属ステイ400に沿った位置から、メイン金属ステイ400から右方向及び左方向それぞれに離間するように延びる。側方延出部410R、410Lは、典型的にはメイン金属ステイ400に溶接するが、他の構造も可能である(例えば、メイン金属ステイ400は、一体形成された側方延出部410R、410Lを有してもよい)。側方延出部410R、410Lは、バッテリボックスの取り付け箇所411R、411Lを提供する。例えば、この箇所にバッテリボックスの底表面306の開口と一直線上に並ぶ複数の開口を備える。これにより、複数のボルト510R、510Lと対応するねじ山付きのナット等の締結機構によって、バッテリボックス300の底表面306の左右と、メイン金属ステイ400の右側方延出部410R及び左側方延出部410Lとを固定可能である。この結果、右側方延出部410Rが、バッテリボックス300の右半分をしっかりと支持し、左側方延出部410Lが、バッテリボックス300の左半分をしっかりと支持する。複数の実施形態において、側方延出部410R、410Lのうちの一方は、もう一方の側方延出部410R、410Lより更に延在し、追加的な取り付け部413を提供する。この取り付け部413には、追加的な又は補助的な電気等の部品又は装置110をバッテリボックス300の横に取り付け可能である。図3には、メイン金属ステイ400の左側方延出部410Lに取り付ける代表的な追加電気部品110を示す。このような電気部品110は、例えば、音響信号を発生するよう構成した通知装置(例えば、ブザーオンを出力するブザーやその他の種類の音響通知装置)であってよい。メイン金属ステイ400の所定の側方延出部410R、410Lによって追加の取り付け部413を設けることにより、デッドスペースであったであろう場所を有効活用することとなり、ヘッドライト取り付け構造200とは別に追加の電気部品110のための取り付け構造を更に設ける必要性がなくなるので、コストや部品点数が減らせる。
再び図5を併せて参照すると、メイン金属ステイ400の上方突出部420は、メイン金属ステイの前方部又は箇所において隣接又は近接して配置され、支持プラットフォーム部402から所定の距離だけ離間して上方又は鉛直方向に延びる。様々な実施形態において、メイン金属ステイ400と上方突出部420とは、側面から見ると略L字型の輪郭を描く。更に、側面から見ると、メイン金属ステイの上方突出部420、そのプラットフォーム部402、ステアリングヘッドパイプ86、サブ金属ステイ460とは、略U字型の輪郭を描く。
メイン金属ステイの上方突出部420は、(a)バッテリボックス300の前方張り出し部320による内部前方の空間(compartment)321との位置合わせ、その空間への挿入、及び取り付け係合と、(b)ヘッドライトユニット201の下方後部との取り付け係合のために構成される。具体的には、メイン金属ステイ400の上方突出部420は、第1取り付け用開口又は孔422と、第2取り付け用開口又は孔424とを備える。第1取り付け用開口422は、第2取り付け用開口424の上に配置され、メイン金属ステイ400の上方突出部420をバッテリボックス300の前方張り出し部320の前方内部の仕切られた空間321内に配置すると、バッテリボックス300の前方開口又は孔322と一直線上に並ぶ。上方突出部の第1取り付け用開口422は、ナット523等のねじ山付きの構造物を担持可能である。従って、金属製のボルト522等の締結具をバッテリボックス300の前方開口322とメイン金属ステイ400の上方突出部420の第1取り付け用開口422内に挿入可能であって、ねじ山付きのナット523と係合させる。これによって、メイン金属ステイ400の上方突出部420にバッテリボックス300の前方張り出し部320を固定する。
第2取り付け用開口424と、そこに担持され又は嵌合した対応するハトメ426とは、ヘッドライトユニットのケースの下方後部に形成した後方突出ピン構造220を受け入れるよう構成される。後方突出ピン構造220は、ヘッドライトユニットのケースの後表面222の一部から後方に延び、ピン構造220、第2取り付け用開口424、ハトメ426を介して、ヘッドライトユニット201の下方後部がメイン金属ステイ400の上方突出部420に対して意図した位置にしっかりと保持可能となっている。このように、メイン金属ステイの上方突出部420の第2取り付け用開口424とハトメ426とが、メイン金属ステイ400のヘッドライト取り付け部を形成する。第2取り付け用開口424、ハトメ426、及び、ヘッドライトユニットの後方突出部220との協調設計によって、ヘッドライトユニット201の下方後部を意図した位置にしっかりと維持するための別の締結機構又は締結部の必要がない。
サブ金属ステイ460は、ステアリングヘッドパイプ86の上方前部から離間して上向き且つ前向き方向に所定の距離だけ突き出る即ち突出する。サブ金属ステイ460は、バッテリボックス300の上方後部360をしっかりと取り付け可能に構成される。更に図6を参照すると、様々な実施形態において、サブ金属ステイ460は、サブ金属ステイ460の右側及び左側に形成、即ち配置したバッテリボックス取り付け部462R、462Lを備える。バッテリボックス取り付け部はそれぞれ、バッテリボックス300の上方後部360のサブステイ接触部(interface portion)362R、362Lに形成した対応する後方開口と一直線上に並ぶ開口、即ち孔を有する。左右の金属ボルト562R、562L等の締結機構及び対応する左右のねじ山付きのナット563R、563Lを利用して、サブ金属ステイ460のバッテリボックス取り付け部462R、462Lをバッテリボックス300の上方後部360の右側及び左側のステイ接触部362R、362Lに適切に位置合わせした後に、金属ボルト562R、562Lを対応するねじ山付きのナット563R、563L内にそれぞれ挿入して係合させることが可能である。この結果、バッテリボックス300の上方後部360は、サブ金属ステイ460によって所定の位置にしっかりと保持及び支持される。
バッテリボックス300は、バッテリ302を受け入れて保持するためのバッテリ容器301を有する筐体を備えている。バッテリの正極端子及び負極端子は、対応するコネクタに容易に接続可能である(例えば、バッテリの正極(+)端子と負極(−)端子は上向きであって、バッテリ302が容器301の内部にあっても、これらの端子は露出しており、アクセス可能である)。バッテリボックス300は、右側及び左側の表面、即ち側面304R、304Lと、底表面306と、前、即ち前方に向かう表面332、333、334の組み合わせを備える張り出し部320と、上表面340と、後表面352、354とを備える。後表面は、バッテリボックス300の上方後部360に対応する上方後表面352及び/又は上方後端部352R、352Lと、バッテリボックス300の下方後部外側部を形成する下方後表面354とを備える。
図7Aにおいて、バッテリ容器301の上境界を形成するバッテリボックス300の上表面340には開口が形成される。バッテリボックス300の上表面340は、バッテリ容器301の前方に所定の距離だけ延在しており、バッテリボックス300の第1、即ち上方前表面332と接する。様々な実施形態において、バッテリボックス300の上表面340のこのような前方突出部分が、バッテリボックス300の張り出し部320の頂部を形成する。
バッテリボックス300は、バッテリボックス300の上表面340上のバッテリ容器301の前方に、ヘッドライト取り付け部342R、342Lの組を担持、備え、又は提供する。このヘッドライト取り付け部において、ヘッドライトユニット201の上方後部242R、242Lをバッテリボックス300の上方前部に固定可能、即ち固定する。具体的には、図2、図4及び図7Aに示すように、様々な実施形態において、バッテリ容器301の前方において、バッテリボックス300の上表面340が、バッテリボックスの張り出し部320の上向きの領域を形成し、バッテリボックス300のヘッドライト取り付け部342R、342Lは、バッテリボックス300の張り出し部320のこのような上向きの領域の右側及び左側に側方に配置される。バッテリボックスのヘッドライト取り付け部342R、342Lは、開口、即ち孔を備える。この開口をヘッドライトユニット201の上方後部242R、242Lの対応する開口、即ち孔と位置合わせする。この結果、このような開口をヘッドライトユニット201の上方後部242R、242Lに設けた対応する開口に位置合わせした状態で、バッテリボックスのヘッドライト取り付け部342R、342Lの開口に挿入可能な右ヘッドライト取り付けボルト542R及び左ヘッドライト取り付けボルト542Lを含む締結機構によって、ヘッドライトユニット201の上方後部242R、242Lをバッテリボックス300の上方前部にしっかりと取り付けることができる。
図7Aの断面B−Bに対応する図7Bにおいて、左ヘッドライト取り付けボルト542Lと対応する左スチールクリップナット543Lとを用いた代表的な締結機構を示す。バッテリボックス300の上方左前部にヘッドライトユニット201の上方左後部242Lを固定するための締結機構である。スチールクリップナット543Lは、バッテリボックス300の対応するヘッドライト取り付け部342Lの開口及びヘッドライトユニット201の対応する上方後部242Lの開口部に対して協調して位置合わせ可能な開口をその内部に備えている。対応するボルト542Lは、これらの開口に挿入して、ヘッドライトユニット201の上方後部242Lをバッテリの空間301の前方でバッテリボックス300の頂部表面340に取り付けることができる。このような実施形態において、クリップナット543Lは、バッテリボックス300の後方から、バッテリボックス300の対応するヘッドライト取り付け部342Lに挿入可能である。この左側の構造は実際、右側の構造と同じである。
図4を再び参照すると、幾つかの実施形態において、フロントカバー100は、ヘッドライトユニット201の上方後部242R、242Lとバッテリボックスのヘッドライト取り付け部342R、342Lに隣接したバッテリボックス300の上方前部とに、フロントカバーねじ500R、500Lによって固定される。この結果、フロントカバー100が更にヘッドライト取り付け構造200に固定される。
幾つかの実施形態において、バッテリボックス300の上方前表面332は、鉛直又は略鉛直方向下向きに所定の距離だけ突き出ている。この上方前表面332の下で、バッテリボックス300の第2、即ち中央前表面333は、一以上の後ろ向きの角度、例えば鉛直方向に対して約15〜60°の間の複数の角度で下方に延在する(例えば、第1、即ち上部角度は約30°で、第2、即ち下部角度は約45°に沿う)。バッテリボックス300の第3、即ち下方前表面334は、中央前表面333の下であって、中央前表面333の下側境界の後方に配置され、バッテリボックス300の下方前部の一部を形成する。
バッテリボックスの中央前表面333の下部に沿って、中央前表面333は、開口を備える。この開口によって、バッテリボックスの内側前方の仕切られた空間321の通路(entryway)が形成される。内側前方の仕切られた空間321は、例えば図5に示したような方法で、中央領域に配置したバッテリボックス300の内側前方表面、即ち壁によって形成する。バッテリボックス300をメイン金属ステイ400の側方突出部410R、410Lに取り付けると、メイン金属ステイ400の上方突出部420は、バッテリボックス300の内部前方の仕切られた空間321内部に延び、バッテリボックス300の張り出し部320の前側の開口322が、メイン金属ステイ400の上方突出部420の第1取り付け用開口422に位置合わせされる。この結果、バッテリボックス300の前方の張り出し部320は、上述のようなボルト522とねじ山付きのナット523等の締結機構によって、メイン金属ステイの上方突出部420にしっかりと取り付け可能となる。
メイン金属ステイ400とその上方突出部420とは金属でできているのに対して、バッテリボックス300は成形プラスチックでできており、メイン金属ステイ400は自動二輪車のステアリングヘッドパイプ86に取り付けられる。従って、張り出し部320をメイン金属ステイ400の上方突出部420に取り付けると、バッテリボックス300の張り出し部320、即ちバッテリボックス300の前部の全体的な強度が増す。上方突出部420の構造的完全性を含むメイン金属ステイ400の構造的完全性と、メイン金属ステイ400をステアリングヘッドパイプ86に連結させることとによって、バッテリボックス300単独の強度の不足を補う。これにより、ヘッドライト取り付け構造200の構造的完全性と安定性が大きく強化されるとともに、従来、即ち典型的なバッテリボックスと較べて非常に大きな輪郭を有し、従来、即ち典型的なバッテリボックスより厚い又は有意に厚い壁を有し、及び/又は従来、即ち典型的な成形プラスチック材料より強力又は有意に強力な材料を用いてバッテリボックス300を形成する必要がなくなる。これらがあまりに大きいと、他の自動二輪車の部品を担持するための自動二輪車のフロントカバー100下の空間が狭くなってしまう。
上述のように、ヘッドライト取り付け構造200は更に、典型的には金属製であるバッテリバンド380を備える。特に図4及び図7Aに示すように、バッテリバンド380は、バッテリボックス300の中央部において前後方向に延びる細長い材料片を備える。バッテリバンド380は、バッテリ302の頂部(例えば、バッテリの正極(+)と負極(−)の間の頂部中央部)に下向きの力を発揮するよう構成する。即ち、バッテリバンド380は、バッテリ300のこのような部分を下向きに押さえつける。
バッテリバンド380は、サブ金属ステイ460と機械的に係合可能又は係合する第1端部381と、バッテリボックス300のヘッドライト取り付け部342R、342Lの間(例えばその間の中央即ち中ほど)のバッテリボックス300の上方前部上のバッテリバンド取り付け部384に機械的に固定される第2端部382とを備える。図7Eは、代表的なバッテリバンド係合構造390を示す斜視図である。このようなバッテリバンド係合構造によって、バッテリバンドはサブ金属ステイ460と係合可能である。一実施形態において、バッテリバンド係合構造390は、バッテリバンド380の第1端部381において垂下部392と、サブ金属ステイ460の上部に担持即ち配置される曲線状のフック部494とを備える。フック部は上方かつ後方に突き出ている。バッテリバンドの垂下部392は、サブ金属ステイのフック部494に挿入するように係合可能であって、しっかりと保持可能である。これにより、垂下部392によってフック部494に前方方向の圧力即ち力が加わる。このような前向きの圧力、即ち力は、バッテリバンドの第2端部382がバッテリボックス300のバッテリバンド取り付け部384に固定された際に得られる。
図5及び図7Aの断面C−Cに対応する図7Cを更に参照すると、バッテリバンド380の第2端部382は、締結機構によってバッテリボックス300のバッテリバンド取り付け部384に固定可能である。その締結機構では、バッテリバンド取り付けボルト584をバッテリバンドの第2端部382に近接した開口と、バッテリボックスのバッテリバンド取り付け部384の開口と、バッテリバンドクリップナット585(例えばスチールクリップナット585)の開口とに挿入する。バッテリバンドクリップナット585は、バッテリボックス300のバッテリバンド取り付け部384上で前方方向に挿入可能である。
バッテリバンド380の垂下部がサブ金属ステイ460のフック部494と係合し、バッテリバンド380の前部がバッテリボックス300のバッテリバンド取り付け部384に固定されると、バッテリバンドの裏面によってバッテリ302の上表面に対して上述の下方向きの圧力、即ち力が発揮される。バッテリバンド380の厚さ及び/又はバッテリバンドの断面領域の輪郭については、実施形態の詳細に応じて、自動二輪車20に乗車した際に、バッテリ302のバッテリボックス300内での鉛直方向及び横方向への変位を実質的に又は基本的に防止するのに十分であると期待されるように、バッテリバンド380がバッテリ302に下向きの圧力を加えられるように選択すればよい。加えて、バッテリバンド380は金属製であるので、バッテリバンド380によってバッテリボックス300の強度が増す。また、バッテリ302の慣性力がバッテリボックス300に加わることによって自動二輪車に乗車した際にバッテリボックス300に加わるねじり力が減少する。この結果、金属バッテリバンド380によって、ヘッドライト取り付け構造の強度及び安定性が更に強化される。
上述の説明に鑑みると、成形プラスチック製のバッテリボックス300が、側方突出部410R、410L及び上方突出部420によるメイン金属ステイ400、サブ金属ステイ460、及びバッテリバンド380を含む複数の金属構造、即ち要素に取り付けられることを関連する技術の当業者であれば理解されるであろう。このような金属の構造物によって、自動二輪車のステアリングヘッドパイプ86に従って自動二輪車の下部構造フレームにバッテリボックス300をしっかりと機械的に連結させるのに役立ち又はそのような連結が行え、バッテリボックスの側部の構造的完全性や安全性を高める「ケージ要素」即ち「ケージ部材」に対応し、又はこれを形成し、バッテリボックスそのものはプラスチック製であるのでバッテリボックスの構造に存在するかもしれない構造的な脆弱性を補償するものである。加えて、このようなケージ要素/部材によって、バッテリボックス300を必要以上に大きく又は厚くする必要がなくなるのでコストが削減できる。
幾つかの実施形態において、バッテリボックス300は更に、バッテリボックス300の一方の側部、例えば、バッテリボックスの右側部304R(例えば、バッテリボックス300の右側部304Rの下部)にヒューズユニット190と共に取り付ける(例えば直接取り付ける)一体形成されたヒューズホルダ370を備える。関連する技術の当業者であれば、従来技術において、ヒューズユニット170は従来のバッテリボックスに近接して取り付ける非常に軽量の部品であることを理解されるであろう。ヒューズユニット170に取り付ける一体形成されたヒューズホルダ370を設けることによって、バッテリボックス300に隣接する横方向の空間をより効果的に利用することができ、バッテリボックス300とは別のヒューズユニット170用の追加的な取り付け構造を設ける必要がなくなる。これによってコストと部品点数とが減る。
本発明の様々な実施形態により、現存する自動二輪車用のヘッドライト取り付け構造に関連する問題、制限及び/又は短所の少なくとも一つが解決される。幾つかの実施形態に関連する幾つかの特徴及び/又は利点について説明してきたが、他の実施形態であってもこのような特徴及び/又は利点を示す可能性がある。また、以下の請求項の範囲内にある全ての実施形態が必ずしもこのような特徴及び/又は利点を示す必要性はない。上述の構造、要素、部品又はその代替品のうちの幾つかを、以下の請求項の範囲内で、他の異なる構造、要素又は部品に所望に組み合わせることができることを、当業者であれば理解されるであろう。加えて、当業者であれば、本明細書に記載した実施形態に様々な修正、変更及び/又は改善を行うことが可能である。本実施形態は、以下の請求項によってのみ限定される。