JP6388753B2 - レンズ鏡筒 - Google Patents
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Description
レンズ鏡筒は、組立公差によって組立後の性能にばらつきが生じることがある。
以下の特許文献1に開示されているレンズ鏡筒では、組立公差を抑制するために、鏡筒に保持される2枚のレンズのコバ部に平面を形成するとともに、2枚のレンズを保持する鏡筒のレンズ受け面を平面に形成し、2枚のレンズのコバ部を鏡筒のレンズ受け面に押し当てた状態で固定している。
2枚のレンズのうち、第1のレンズは、両面が凸面の両凸レンズであり、第2のレンズは、入射側の面が凸面で、出射側の面が凹面のメニスカスレンズである。
図1はこの発明の実施の形態1によるレンズ鏡筒を示す構成図であり、図2はこの発明の実施の形態1によるレンズ鏡筒の両凹レンズ2及びメニスカスレンズ3を示す拡大図である。
図1及び図2において、鏡筒10は平凸レンズ1(第1のレンズ)、両凹レンズ2(第2のレンズ)、メニスカスレンズ3(第3のレンズ)及び平凸レンズ4(第4のレンズ)を保持するレンズ保持部材であり、平面のレンズ受け面として、光の入射側から順番にレンズ受け面101(第1のレンズ受け面)、レンズ受け面102(第2のレンズ受け面)、レンズ受け面103(第3のレンズ受け面)、レンズ受け面104(第4のレンズ受け面)を有している。
また、平凸レンズ1は光の出射側の面に平面のコバ部1aを有しており、コバ部1aがレンズ受け面101に押し当てられている状態で保持されている。
両凹レンズ2は両面が凹面であり、負の屈折力を有している。
また、両凹レンズ2は光の出射側の面に平面のコバ部2aを有しており、コバ部2aがレンズ受け面102に押し当てられている状態で保持されている。
また、メニスカスレンズ3は光の出射側の面に平面のコバ部3aを有しており、コバ部3aがレンズ受け面103に押し当てられている状態で保持されている。
平凸レンズ4は光の入射側の面が平面で、光の出射側の面が凸面であり、正の屈折力を有している。
また、平凸レンズ4は光の入射側の面に平面のコバ部4aを有しており、コバ部4aがレンズ受け面104に押し当てられている状態で保持されている。
絞り20は両凹レンズ2とメニスカスレンズ3の間に設けられている。
なお、平凸レンズ1,4は、片面が平面であるため、製造の際、平面でない方の片面だけを研磨すればよい。このため、平凸レンズ1,4は、例えば、両凹レンズ2やメニスカスレンズ3と比べて、研磨のため製造コストが低い。
R3は両凹レンズ2における光入射面の曲率半径、R4は両凹レンズ2における光出射面の曲率半径である。
R5は絞り20における曲率半径である。
R6はメニスカスレンズ3における光入射面の曲率半径、R7はメニスカスレンズ3における光出射面の曲率半径である。
R8は平凸レンズ4における光入射面の曲率半径、R9は平凸レンズ4における光出射面の曲率半径である。
D3は光軸X上での両凹レンズ2における光入射面と光出射面の間隔、D4は光軸X上での両凹レンズ2の光出射面と絞り20との間隔、D5は光軸X上での絞り20とメニスカスレンズ3の光入射面との間隔である。
D6は光軸X上でのメニスカスレンズ3における光入射面と光出射面の間隔、D7は光軸X上でのメニスカスレンズ3の光出射面と平凸レンズ4の光入射面との間隔である。
D8は光軸X上での平凸レンズ4における光入射面と光出射面の間隔、D9は光軸X上での平凸レンズ4の光出射面と像面Siの結像位置Pとの間隔である。
この実施の形態1を含む実施の形態1〜3では、下記の条件(1)を満足することで、レンズ鏡筒全体の回転公差に対する波面収差の性能劣化が低減されている。
光の入射側である物体側からの光束は、光軸Xに沿ってレンズ鏡筒に入射される。
レンズ鏡筒に入射された光束は、平凸レンズ1、両凹レンズ2、メニスカスレンズ3及び平凸レンズ4を通過することで、像面Siの結像位置Pに結像される。
図3において、∞は曲率半径が無限大であることを示している。n1は平凸レンズ1の屈折率、n3は両凹レンズ2の屈折率、n6はメニスカスレンズ3の屈折率、n8は平凸レンズ4の屈折率を示している。
この実施の形態1では、曲率半径R1〜R9,Ri、間隔D1〜D9、屈折率n1,n3,n6,n8、レンズ鏡筒全体の焦点距離f、FナンバーFno、半画角ωは図3に示されている数値である。
この数値では、図3に示すように、Ri/f=−2.14となり、条件(1)を満足している。
また、f/f1=0.82、f/f2=−0.96、f/f3=−2.55、f/f4=0.82となり、条件(2)〜(5)を満足している。
図3の例では、曲率半径については光の入射側を正としている。
RMS=0.0175λ (6)
式(6)は半画角ωが10度の場合であるが、半画角ωが0度である場合、波面収差の二乗平均であるRMSは下記のようになる。
RMS=0.0149λ (7)
半画角ωが0度の場合も、10度の場合も、風計測ライダで要求される波面収差を満足している波面収差である。
因みに、風計測ライダで要求される波面収差のRMSは、一般的に0.1λ以下程度であるため、十分に要求を満足している。
なお、平凸レンズ1と平凸レンズ4の向きが反対であるため、図3では、平凸レンズ1の曲率半径R1と、平凸レンズ4の曲率半径R9との符号が異なっているが、即ち、R1=89.609で、R9=−89.609であるが、レンズ自体の曲率半径は同じである。
風計測ライダの光アンテナとしてレンズ鏡筒が使用される場合、レンズ鏡筒に対するレーザ光の入出力は、一般的に、光ファイバが用いられる。このため、像面上のファイバ端の位置では、画角が面ではなく、点として指定される。したがって、像面が曲率半径を有している場合でも、この曲率半径を有する像面上にファイバ端を配置すればよいため、カメラレンズの場合のようなボケが生じない。
風計測ライダの光アンテナとしてレンズ鏡筒が使用される場合、画角がファイバ端の像面上の位置で決まるため、波面収差の性能を維持すべき画角が、カメラレンズの場合のように広い範囲ではなく、ある特定の画角となる。このため、ある特定の画角について、波面収差の性能を向上させればよいため、制限条件が緩和され、結果として高い波面収差の性能を得ることができる。
この実施の形態1では、半画角ωが0度と10度の場合の波面収差を計測しており、いずれの波面収差も、風計測ライダで要求される波面収差を満足している。
−0.0006<Δn1−8<0.0006 (8)
また、両凹レンズ2の屈折率n3とメニスカスレンズ3の屈折率n6が同じである例を示しているが、両凹レンズ2とメニスカスレンズ3の屈折率差Δn3−6が±0.0006の範囲内となる硝材を用いて、両凹レンズ2とメニスカスレンズ3が製造されているものであってもよい。
−0.0006<Δn3−6<0.0006 (9)
屈折率差が±0.0006の範囲内であれば、式(6)や式(7)で示す波面収差と同等の波面収差が得られ、風計測ライダで要求される波面収差を満足することができる。このため、製造公差などによって、±0.0006の範囲内で屈折率のばらつきが生じても、同等の波面収差が維持される。
−0.47<ΔR1−9<0.47 (10)
曲率半径R1と曲率半径R9の差ΔR1−9が±0.47mmの範囲内であれば、式(6)や式(7)で示す波面収差と同等の波面収差が得られ、風計測ライダで要求される波面収差を満足することができる。このため、製造公差などによって、±0.47mmの範囲内で曲率半径のばらつきが生じても、同等の波面収差が維持される。
R2>17000 あるいは、R2<−17000 (11)
R8>17000 あるいは、R8<−17000 (12)
曲率半径R2,R8が17000mmより大きい場合や、曲率半径R2,R8が−17000mmより小さい場合には、無限大でない場合でも、式(6)や式(7)で示す波面収差と同等の波面収差が得られ、風計測ライダで要求される波面収差を満足することができる。このため、製造公差などによって、曲率半径R2,R8が17000mmより大きい曲率半径を有している場合や、曲率半径R2,R8が−17000mmより小さい曲率半径を有している場合でも、同等の波面収差が維持される。
上記実施の形態1では、第2のレンズが、両面が凹面である両凹レンズ2の例を示しているが、この実施の形態2では、第2のレンズが、光の入射側の面が凹面で、光の出射側の面が平面である片凹レンズの例を説明する。
第2のレンズである片凹レンズ2’は光の入射側の面が凹面で、光の出射側の面が平面であり、負の屈折力を有している。
また、片凹レンズ2’は光の出射側の面に平面のコバ部2a’を有しており、コバ部2a’がレンズ受け面102に押し当てられている状態で保持されている。
図5において、∞は曲率半径が無限大であることを示している。n1は平凸レンズ1の屈折率、n3は片凹レンズ2’の屈折率、n6はメニスカスレンズ3の屈折率、n8は平凸レンズ4の屈折率を示している。
この実施の形態2では、曲率半径R1〜R9,Ri、間隔D1〜D9、屈折率n1,n3,n6,n8、レンズ鏡筒全体の焦点距離f、FナンバーFno、半画角ωは図5に示されている数値である。
この数値では、図5に示すように、Ri/f=−2.16となり、上記の条件(1)を満足している。
また、f/f1=0.82、f/f2=−1.18、f/f3=−1.70、f/f4=0.82となり、上記の条件(2)〜(5)を満足している。
RMS=0.0218λ (13)
式(13)は半画角ωが10度の場合であるが、半画角ωが0度である場合、波面収差の二乗平均であるRMSは下記のようになる。
RMS=0.0136λ (14)
半画角ωが0度の場合も、10度の場合も、上記実施の形態1と同様に、風計測ライダで要求される波面収差を満足している波面収差である。
半画角ωが10度の場合、波面収差のRMSが上記実施の形態1よりも若干大きくなっているが、風計測ライダで要求される波面収差のRMSは、一般的に0.1λ以下程度であるため、この実施の形態2における波面収差は、十分に許容できるものである。
なお、半画角ωが0度の場合、波面収差のRMSが上記実施の形態1よりも若干小さくなっている。
さらに、この実施の形態2では、第2のレンズについても片面が平面である片凹レンズ2’を用いているため、上記実施の形態1よりも低コストのレンズ鏡筒が得られる。
R2>17000 あるいは、R2<−17000 (15)
R4>17000 あるいは、R4<−17000 (16)
R8>17000 あるいは、R8<−17000 (17)
曲率半径R2,R4,R8が17000mmより大きい場合や、曲率半径R2,R4,R8が−17000mmより小さい場合には、無限大でない場合でも、式(13)や式(14)で示す波面収差と同等の波面収差が得られ、風計測ライダで要求される波面収差を満足することができる。このため、製造公差などによって、曲率半径R2,R4,R8が17000mmより大きい曲率半径を有している場合や、曲率半径R2,R4,R8が−17000mmより小さい曲率半径を有している場合でも、同等の波面収差が維持される。
上記実施の形態1,2では、第3のレンズが、光の入射側の面が凸面で、光の出射側の面が凹面であるメニスカスレンズ3の例を示しているが、この実施の形態3では、第3のレンズが、光の入射側の面が平面で、光の出射側の面が凹面である片凹レンズの例を説明する。
第3のレンズである片凹レンズ3’は光の入射側の面が平面で、光の出射側の面が凹面であり、負の屈折力を有している。
また、片凹レンズ3’は光の入射側の面に平面のコバ部3a’を有しており、コバ部3a’がレンズ受け面103に押し当てられている状態で保持されている。
図6では、第3のレンズである片凹レンズ3’が、片凹レンズ2’が実装されている図4のレンズ鏡筒に適用されている例を示しているが、両凹レンズ2が実装されている図1のレンズ鏡筒に適用されているものであってもよい。
図6の例では、片凹レンズ3’のコバ部3a’が、光の入射側の面にあるため、レンズ受け面103における鏡筒10の形状が、図1及び図4の鏡筒10と相違している。
図7において、∞は曲率半径が無限大であることを示している。n1は平凸レンズ1の屈折率、n3は片凹レンズ2’の屈折率、n6は片凹レンズ3’の屈折率、n8は平凸レンズ4の屈折率を示している。
この実施の形態3では、曲率半径R1〜R9,Ri、間隔D1〜D9、屈折率n1,n3,n6,n8、レンズ鏡筒全体の焦点距離f、FナンバーFno、半画角ωは図7に示されている数値である。
この数値では、図7に示すように、Ri/f=−2.36となり、上記の条件(1)を満足している。
また、f/f1=0.71、f/f2=−1.17、f/f3=−1.01、f/f4=0.71となり、上記の条件(2)〜(5)を満足している。
RMS=0.0345λ (18)
式(18)は半画角ωが10度の場合であるが、半画角ωが0度である場合、波面収差の二乗平均であるRMSは下記のようになる。
RMS=0.0107λ (19)
半画角ωが0度の場合も、10度の場合も、上記実施の形態1と同様に、風計測ライダで要求される波面収差を満足している波面収差である。
半画角ωが10度の場合、波面収差のRMSが上記実施の形態1,2よりも若干大きくなっているが、風計測ライダで要求される波面収差のRMSは、一般的に0.1λ以下程度であるため、この実施の形態3における波面収差は、十分に許容できるものである。
なお、半画角ωが0度の場合、波面収差のRMSが上記実施の形態1,2よりも若干小さくなっている。
さらに、この実施の形態3では、第3のレンズについても片面が平面である片凹レンズ3’を用いているため、上記実施の形態1,2よりも更に低コストのレンズ鏡筒が得られる。
R2>17000 あるいは、R2<−17000 (20)
R4>17000 あるいは、R4<−17000 (21)
R6>17000 あるいは、R6<−17000 (22)
R8>17000 あるいは、R8<−17000 (23)
曲率半径R2,R4,R6,R8が17000mmより大きい場合や、曲率半径R2,R4,R6,R8が−17000mmより小さい場合には、無限大でない場合でも、式(18)や式(19)で示す波面収差と同等の波面収差が得られ、風計測ライダで要求される波面収差を満足することができる。このため、製造公差などによって、曲率半径R2,R4,R6,R8が17000mmより大きい曲率半径を有している場合や、曲率半径R2,R4,R6,R8が−17000mmより小さい曲率半径を有している場合でも、同等の波面収差が維持される。
Claims (2)
- 光の入射側の面が凸面で、光の出射側の面が平面である第1のレンズと、
負の屈折力を有しており、前記第1のレンズから出射された光が入射される第2のレンズと、
負の屈折力を有しており、前記第2のレンズから出射された光が入射される第3のレンズと、
光の入射側の面が平面で、光の出射側の面が凸面であり、前記第3のレンズから出射された光が入射される第4のレンズと、
前記第1から第4のレンズを保持する鏡筒と
を備え、
前記第1から第4のレンズによる鏡筒全体の焦点距離で、前記第1から第4のレンズにより光が結像される像面の曲率半径を除算した結果が−2.36から−2.14の範囲内であることを特徴とするレンズ鏡筒。 - 前記第1のレンズの焦点距離で前記鏡筒全体の焦点距離を除算した結果が0.71から0.82の範囲内であり、前記第2のレンズの焦点距離で前記鏡筒全体の焦点距離を除算した結果が−1.18から−0.96の範囲内であり、前記第3のレンズの焦点距離で前記鏡筒全体の焦点距離を除算した結果が−2.55から−1.01の範囲内であり、前記第4のレンズの焦点距離で前記鏡筒全体の焦点距離を除算した結果が0.71から0.82の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。
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