JP6388286B2 - 固定勾配と自由勾配施工の二通りに使用できるu形側溝 - Google Patents

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本発明は、道路の排水施設として内底に調整コンクリートを打つこともできる自由勾配兼用U形側溝に関する。
プレキャストコンクリート側溝における自由勾配側溝の割合は15〜30%を占めているとみられるが、現状では固定勾配専用と自由勾配専用の側溝製品とが用いられている。
従来、自由勾配専用の側溝は無底で門型のプレキャストコンクリート側溝ブロックを用い、ベースコンクリートの上に布設してから内底部を必要な水路勾配に形成するため一定厚さ以上の調整コンクリートを蓋掛け用開口部から現場打する工法が用いられている。
門形側溝は内壁が垂直面で内底と直角のため、調整コンクリートは最小厚さ5cm程度としても両側とベースコンクリートによる内底面とで拘束されて安定する。
一方、有底のU形側溝等は、固定勾配専用であるが時として自由勾配施工することもあり、門形側溝に準じて内底に最小厚さ5cm以上の調整コンクリート打ちとしている。
U形側溝の場合、先施工のベースコンクリートは構造上必要とせず、工期短縮できることが大きな利点である。
しかし反面、両内壁が上開き傾斜面のことが多く、調整コンクリートは水流による浮力や継目屈曲に対し内底面との付着が安定せず、とくに最小厚さ5cm近くでは両内壁が垂直面でも隅角部が曲面やハンチ斜面で皿形状となるので密着していても拘束がなく弱点となり、維持管理におけるスコップの衝撃等で剥離滑脱が生じ適合しないことがある。
そのため、U形側溝の底面1/2を凹部や開口部としたり、開口部に鉄筋を露出させる等調整コンクリートを拘束する改良もすすめられているが、底面開口部の面積が大きく支承面が連続状態にないため上載荷重が均等に下部基礎面に伝達されない弱点があるだけでなく開口部が側溝本体の強度を低下させ、開口しない部分は皿形状のままで調整コンクリートを拘束しないので不十分とされ、普及するに至っていない。
特開2002−235365号公報
発明が解決しようする課題
U形側溝は一般に固定勾配施工専用として普及しているが、そのままでも調整コンクリートによる自由勾配施工に適合し、二通りに使用できるものとする。
そのためU形側溝を自由勾配施工する場合、側溝内底へのあと打ち調整コンクリートが最小厚さ近くにおいても隅角部が曲面やハンチ斜面の皿形状であっても拘束され、水流による浮力やブロック継目の屈曲、さらに維持管理時の衝撃に対しても剥離滑脱がなく安定を高めるものとする。
課題を解決するための手段
前記課題を解決するため本発明のU形側溝は、一般の固定勾配施工用と同じものでありながら底版外底に凹条溝付きの構造とするもので、自由勾配施工では凹条溝を内底面に打抜いて、底版全長にわたり並列し調整コンクリートを隅角部の曲面やハンチ斜面も含めて根入拘束する横スリットを形成し、調整コンクリート底の一部が横スリット内に填充され硬化して根入アンカーとなり調整コンクリート全体を拘束安定させるものである。
横スリットは自由勾配施工する場合にのみ外底の凹条溝を内底面に打抜いて形成し左右隅角部の曲面やハンチ斜面間に配置されるが、側溝本体布設後の側溝延長に沿って並列するものとなり、調整コンクリートが、通水断面上開きの逆台形状であっても、並列する根入アンカーによって安定し、内底がせまく小水量でも掃流性をもち通水能力が維持されるものである。
本発明のU形側溝は、自由勾配施工時のみ外底部全延長に並列する凹条溝を内底面に打抜いて横スリットを形成する。
主鉄筋はU形状横鉄筋がスリット外を通って配設されて1個のU形側溝ブロックを構成し、底版にスリットのない従来のU形側溝ブロックと同等に輸送、小運搬、吊上げ、吊下ろし、据付布設でき、取扱い全般において変わらず、設計外圧荷重に対しても実用上同等となる。
横スリットは左右の隅角部間で上下に貫通し、調整コンクリートの一部が充填硬化し根入部アンカーとなる。
発明の効果
本発明によるU形側溝はただ外底に凹条溝があるに過ぎず、形状寸法と機能は従来のU形側溝と同じく、固定勾配施工専用側溝ブロック一般品として流通使用される。
その上で、自由勾配施工においても凹条溝を内底面に打抜いて横スリットを形成することにより調整コンクリート打に最適となり、布設工でも従来のU形側溝と同じく底版によって先施工のベースコンクリートは構造上必要とせず省力化となり据付布設取扱い全般において変わらず二通りに使用でき、工期も短縮する。
調整コンクリートが最小厚さの場合、隅角部が曲面やハンチ斜面であっても調整コンクリート底部の並列する横スリット内に填充され硬化した根入アンカーが左右の隅角部か近くに達していることによって皿形状の弱点が解消し長さ方向に連続状態で拘束固定されて付着一体が向上するので、浮力や側溝ブロック継目部分に対しても安定し、さらに維持管理に適合した側溝構造となる。
U形側溝ブロックとして構造上必要な主鉄筋となるU形状横鉄筋は凹条溝及び凹条溝打抜き横スリットと交錯途切れることなく配設できる。
U形状横鉄筋は設計荷重によって底版スラブに生じる曲げモーメントに対して線径、間隔が最適に配設される必要があり、凹条溝及び凹条溝打抜き横スリットはU形状横鉄筋と長辺が同一方向で幅がせまく、鉄筋間隔内に余裕を持って位置することができ底版スラブの断面削減も少ない。
本発明によるU形側溝ブロックは、外底部長さ方向に並列して凹条溝が形成されているにすぎず、上載荷重の下部基礎面への伝達は凹条溝の開口面積が小さく並列間隔が大きい側溝底面のため従来のU形側溝と有効接地面積は同じく均等に支承されるので、同断面の一般流通品との併用も差支えなく、さらに従来通りの製造工程のためコストアップがない。
落し蓋を用いた自由勾配施工のU形側溝の実施例を示す切欠斜面図である。 図1のA〜A線にそった断面図である。 図1のB〜B線にそった断面図である。 図1の実施例におけるU形側溝の切欠斜面図である。
U形側溝はおおむね通水断面が内幅上部30〜40cm、内壁は上開きに傾斜して下部が狭く、内高10cm刻みで30〜120cm、側壁は上部より下部で厚く外圧荷重に対応している。
長さは1m、2m等とするプレキャストコンクリートで供給され、基礎上に固定勾配施工で布設する。
自由勾配施工はその通水断面内底に厚さを、骨材寸法の2倍程度の最小5cmとし、最大15cm程度の調整コンクリートをあと打ちするもので、最小厚さ5cm以上の15cmまでが高さ調整分となる。
本発明のU形側溝では、底部長さ方向に並列する横スリットが凹条溝を内底面に打抜いて形成され、調整コンクリートは下面が横スリット内根入アンカー付となり拘束されるものである。
底部に形成する横スリットは左右隅角部間で外底面の凹条溝を内底面に打抜いて上下に貫通し、おおむね上幅3〜5cmで、底版の厚さに応じて下方に向って1〜2cmの拡大テーパー付として形成される。
なお適宜、内底面にも凹条溝と背中合せに深さ3〜5mm程度のVカット切込線や凹面で位置表示し(図示省略)、横スリットの打抜形成に供することもある。
横スリットの配置は、側溝長さ1m当り2〜3本、2m当り4〜5本等の間隔でU形側溝ブロックの構造計算により配設する。
横スリットを形成するため内底面に打抜く凹条溝の断面形状は、残存厚さ3〜4cmが無筋で、凹みのテーパーが下方向に開くものとなり、調整コンクリートの根入アンカーは残存部の打抜き破断面で噛み合って効果が高まり、さらに下開きで側溝底版の下面に達する根入となって側溝延長方向に並列に配設されるため、調整コンクリートが最小5cmでもプラス底版厚さの付着条件となり、拘束固定に十分なものとなる。
U形側溝外底の凹条溝は直列にすることもでき、また細長の平面形状を変化させることもできる。
両隅角部からはなれて中心線に集中する直列の場合、並列よりも間隔を密にしてスリット内根入アンカーの効果を得ることが必要となるが、同時にU形側溝ブロックとして構造上必要な主鉄筋であるU形状横鉄を配設しにくくなるので、補充鉄筋を追加することとなる。
そして、底版スラブの断面削減も生じるが構造上安全低下のない範囲内のものとする。
図1に内底に調整コンクリート打ちする自由勾配施工の実施例を示す。
図1の実施例は図2図3図4にも示すとおりU形側溝(1)と落し蓋(2)の組合せとする自由勾配排水施設である。
U形側溝(1)は底版外底に凹条溝(10)が長さ方向に並列する底版(3)による左右一体ブロックであり、図4(イ)は横スリット形成以前を示し図4(ロ)は、凹条溝(10)を内底面(6)に打抜いて横スリット(5)を形成したものを示している。
U形側溝(1)の内断面は上開きの逆台形状で内底面(6)がせまく隅角部が曲面となっているが、排水勾配調整コンクリート(15)は凹条溝(10)を内底面(6)に打抜いて形成した左右隅角部間の横スリット(5)によって底版(3)の全厚さ分で基礎面に届く根入アンカー(20)が側溝延長にそって一定間隔に並列して形成される。
U形側溝ブロックの鉄筋配設は図2図3に示すとおりで、図2は凹条溝のない部分の断面を示し、U形状横鉄筋(7)と直線の縦鉄筋(8)は交点で溶接したメッシュが使用されている。
図3は凹条溝(10)を内底面(6)に打抜いて形成した横スリット(5)のある部分の断面を示し、縦鉄筋(8)のみ両側壁に必要な線径、間隔で配設されている。
本発明のU形側溝は、従来の一般流通有底側溝製品に適用でき、普及面での制約は生じない。
さらに、型枠も従来からの一般品を流用加工できるため、生産供給においても在来の道路用コンクリート製品と同等に安価に流通する。
1 U形側溝
2 落し蓋
3 底版
4 隅角部
5 横スリット
6 内底面
7 横鉄筋
8 縦鉄筋
9 流入口
10 凹条溝
15 調整コンクリート
20 根入アンカー
25 基礎

Claims (1)

  1. 内底に、調整コンクリートをあと打ちすることもできるプレキャストコンクリートU形側溝であって、外底部全長にわたり一定間隔に並列する凹条溝を設けてなり、固定勾配施工では従来のU形側溝と同じくそのまま布設することが可能であり、
    自由勾配施工においては前記凹条溝を内底面に打抜いて形成した横スリット付きのU形側溝を布設し、勾配調整コンクリートを打設することにより前記横スリット内に填充し硬化した底版厚さ分の調整コンクリート根入アンカーが側溝延長にそって並列に配設され、あと打ち調整コンクリートの拘束付着を安定させることを特徴とする固定勾配と自由勾配施工の二通りに使用できるU形側溝。
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