JP6388109B2 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

トナー及びトナーの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6388109B2
JP6388109B2 JP2014077599A JP2014077599A JP6388109B2 JP 6388109 B2 JP6388109 B2 JP 6388109B2 JP 2014077599 A JP2014077599 A JP 2014077599A JP 2014077599 A JP2014077599 A JP 2014077599A JP 6388109 B2 JP6388109 B2 JP 6388109B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
liquid
column resonance
droplet
liquid column
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014077599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015026060A (ja
Inventor
樹 森谷
樹 森谷
芳洋 森屋
芳洋 森屋
竜太 井上
竜太 井上
竜輝 山口
竜輝 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2014077599A priority Critical patent/JP6388109B2/ja
Publication of JP2015026060A publication Critical patent/JP2015026060A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6388109B2 publication Critical patent/JP6388109B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)
  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するために使用されるトナーの製造方法、及びトナーに関するものである。
近年、市場においては、出力画像の高品質化のためのトナーの小粒径化が要求されている。また、環境負荷低減の観点からも省資源、省エネルギーなトナー製造工程が要求されている。
従来、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等のトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し微粉砕した、いわゆる粉砕型トナーが広く用いられている。
しかしながら、近年高画質な画像を得るためトナーが小粒径化する傾向にあり、前記粉砕法では、6μm以下の小粒径にすると粉砕効率が低下するとともに分級によるロスが大きくなり、生産性が低くコストアップとなってしまう点で問題である。
また、懸濁重合法、乳化重合凝集法といったいわゆる重合型トナーや、ポリマー溶解懸濁法とよばれる体積収縮を伴う工法が提案され実用化もされている(特許文献1参照)。これらのトナーは、小粒径のトナーを製造する点では優れている。
しかしながら、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているためにトナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存し、環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生したり、これを除去するために非常に大量の洗浄水を必要としたりすることが知られており、必ずしも製法として満足のいくものではない点で問題である。
これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用して微小ノズルから微小液滴を形成し、更にこれを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献2参照)。また、ノズル内の熱膨張を利用し、微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献3参照)。更に、音響レンズを利用し、微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、これらの方法では、トナーの小粒径化は容易であるが、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題があると同時に、液滴同士の合一による粒度分布の広がりが避けられず、均一粒径のトナーが得られないばかりでなく、分級によるロスを伴う場合がある点で問題であった。
さらに、現状のトナー製造においては、トナー母体を作製した後、混合により無機微粒子を添加する外添工程が存在する。外添状態に不具合がある場合、トナー補給性の悪化、耐熱保存性の悪化が生じるため、トナーを作製成する上で非常に重要な工程の1つとなっている。しかしながら、生産効率の向上・製造コストの削減のためには、出来る限り短工程であることが望ましい。過去、気相中でトナー母体に微粒子を固着または埋没させる技術が提案されているが、外添させる微粒子とトナー母体となる微粒子を別々のノズルから噴射させる必要があるため、設備が複雑になり、また設備としてもコストがかかる。(特許文献5、6参照)
また、樹脂と着色剤と疎水化度が15〜55%である無機微粒子とを含有するトナー組成液を柱状から括れ状態を経て液滴化し、該液滴を造粒空間において固体粒子に変化させることによりトナーを製造する工法が提案されている(特許文献7参照)。
しかし、この工法は無機微粒子の添加効果が十分ではなかった。
したがって、トナーの製造工程を簡略化し、かつ狭粒度分布、補給性、耐熱保存性が良好なトナー及びトナーの製造方法の提供が求められているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、トナーの製造工程を簡略化し、かつ狭粒度分布、補給性、耐熱保存性が良好なトナーおよびトナーの製造方法の提供を目的とする。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴は以下(1)のとおりである。
(1)吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴化する液滴吐出工程と、前記液滴を固化する固化工程と、を有するトナー粒子の製造方法であって、前記トナー組成液は、少なくとも結着樹脂、離型剤および微粒子を含有してなり、前記結着樹脂の水に対する接触角が90°以下であって、かつ前記微粒子のメタノールに対する疎水化度が65%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
本発明では、トナーの製造工程を簡略化し、かつ狭粒度分布、補給性、耐熱保存性が良好なトナーおよびトナーの製造方法を提供することができる。
液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。 吐出孔の断面図である。 N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 N=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。 液滴吐出の様子を示す図である。 駆動周波数と液滴吐出速度周波数特性を示す特性図である。 粒子製造装置の概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 本発明のトナーの断面のTEM写真を示す図である。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。本発明のトナーは気体媒体中で製造されるトナーである。本発明のトナーの製造手段の一例を以下、図1〜図11を用いて説明する。本発明ではトナー製造手段として噴射造粒を用いたが、トナーを気体媒体中で製造する手段であれば本明細書中の原理は適用されるため、この製造方法に限るものではない。噴射造粒手段は、液滴吐出手段、液滴固化捕集手段に分けられる。それぞれ下記で解説する。
[液滴吐出手段]
本発明で用いる液滴吐出手段は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられる。膜振動タイプの液滴吐出手段は例えば、特開2008−292976号公報に記載されている。レイリー分裂タイプの液滴吐出手段は例えば、特許第4647506号公報に記載されている。液振動タイプの液滴吐出手段は例えば、特開2010−102195号公報に記載されている。
液滴の粒径分布を狭くし、かつ、トナーの生産性を確保するためには、例えば、液滴化液柱共鳴を利用することができる。液滴化液柱共鳴では、液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された複数の吐出孔から液体を吐出すればよい。
[液柱共鳴吐出手段]
前記液滴吐出手段を、液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段を例に挙げて説明する。
図1に液柱共鳴液滴吐出手段11を示す。液柱共鳴液滴吐出手段11は液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。12は気流通路である。
本発明ではトナー粒子を形成する成分を含んだ液を「トナー組成液」という。トナー組成液は吐出手段より吐出されるものであり、吐出させる条件下で液体であればよい。トナー組成液は、得ようとしているトナー粒子の成分が溶解又は分散された状態のものであってもよく、溶媒を含まずトナー粒子成分が溶融している状態であってもよい。
トナー組成液14は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、トナー組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19から液滴21が吐出される。この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。
定在波の腹となる領域であれば、吐出孔が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出孔の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過したトナー組成液14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給されるトナー組成液14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー組成液14の流量が元に戻る。
液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、金属やセラミックス、シリコンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。また、図1に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図2に示す液柱共鳴液室18の幅Wは、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが望ましい。更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されているほうが好ましい。その範囲に限定はないが、100〜2000個の液柱共鳴液室18が備えられた1つの液滴形成ユニットであれば操作性と生産性が両立でき、もっとも好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18と連通している。
また、液柱共鳴液滴吐出手段11における振動発生手段20は所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が望ましい。弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。圧電体は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが望ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が望ましい。
更に、吐出孔19の開口部の直径は、1[μm]〜40[μm]の範囲であることが望ましい。1[μm]以上であることにより液滴が小さくなり過ぎることを防止して適度な大きさの液滴を形成することができる。また、トナーの構成成分として顔料などの固形微粒子が含有された構成の場合にも、吐出孔19において閉塞を発生させることがなく、生産性を高めることができる。また、40[μm]以下であることにより、液滴の直径が大きくなりすぎることを防止できる。これにより、トナー組成液を大幅に希釈しなくても乾燥固化させて、所望のトナー粒子径3〜6μmを得ることができる。有機溶媒でトナー組成を非常に希薄な液に希釈する必要がある場合があり、このため、希釈に用いる有機溶媒の量を少なくでき、一定量のトナーを得るために必要な乾燥エネルギーを減らすことができる。また、図2からわかるように、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することは、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
吐出孔19の断面形状は図1等で開口部の径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
図3に吐出孔19の取りうる断面形状を示す。
(a)は吐出孔19の接液面から吐出孔に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜41が振動した際に吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
(b)は吐出孔19の接液面から吐出孔に向かって一定のノズル角度24を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度24は適宜変更することができる。(a)と同様のこのノズル角度24によって薄膜41が振動したときの吐出孔19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、その範囲は60°〜90°が好ましい。60°以上とすることにより、液に充分な圧力をかけることができ、さらに薄膜41の加工も容易であるため好ましい。ノズル角度24が90°である場合は(c)が相当するが、最大値を90°とすることにより、出口に圧力がかかりにくくなることがないため液滴吐出が安定化する。
(d)は(a)と(b)を組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室内のトナー組成液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・(式1)
の関係にある。
また、図1の液柱共鳴液室18において固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとする。そして、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80[μm])は連通口の高さh2(=約40[μm])の約2倍あり当該端部が閉じている固定端と等価であるとする。このような両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の式2で表現される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数)
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも上記式2が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式1と上記式2より、
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
と導かれる。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図4にN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図5にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来は疎密波(縦波)であるが、図4及び図5のように表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図3の(a)からわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出孔の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度が極大となる端であり、逆に圧力は極小となる。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4及び図5のような形態の共鳴定在波を生じるが、吐出孔数、吐出孔の開口位置によっても定在波のパターンは変動し、上記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れる。この場合には、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
例えば、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式3より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]と、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式3より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれる。このように同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出孔の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出孔の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4の(b)及び図5の(a)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出孔側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい構成である。
また、吐出孔の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば吐出孔の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出孔の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出孔の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出孔の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与
えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離をLeとする。このとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出孔までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出孔19において連続的に液滴吐出が発生するのである。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出孔19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。また、吐出孔19は1つの液柱共鳴液室18に1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましい。具体的には、2〜100個の間であることが好ましい。
100個以下とすることにより、吐出孔19から所望の液滴を形成さる際に、振動発生手段20に与える電圧を低く抑えることができ、振動発生手段20としての圧電体の挙動を安定させることができる。また、複数の吐出孔19を開孔する場合、吐出孔間のピッチは20[μm]以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。吐出孔間のピッチを20[μm]以上とすることにより、隣り合う吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率を低くすることができ、トナーの粒径分布を良好にすることができる。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図6を用いて説明する。なお、同図において、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、同図において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上である。このため図6では、液柱共鳴液室18がほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図6の(a)は液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。
また、図6の(b)は液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a),(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6の(c)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
そして、図6の(d)に示すように、吐出孔19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18へのトナー組成液14の充填が始まる。その後、図6の(e)に示すように、吐出孔19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー組成液14の充填が終了する。そして、再び、図6の(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生する。そして、圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
次に、実際に液柱共鳴現象によって液滴が吐出された構成の一例について説明する。この一例は、図1において液柱共鳴液室18の長手方向の両端間の長さLが1.85[mm]、N=2の共鳴モードであって、第一から第四の吐出孔がN=2モード圧力定在波の腹の位置に吐出孔を配置し、駆動周波数を340[kHz]のサイン波で行った吐出をレーザーシャドウグラフィ法にて撮影した様子を図7に示す。同図からわかるように、非常に径の揃った、速度もほぼ揃った液滴の吐出が実現していた。
また、図8は駆動周波数290[kHz]〜395[kHz]の同一振幅サイン波にて駆動した際の液滴速度周波数特性を示す特性図である。同図からわかるように、第一〜第四のノズルにおいて駆動周波数が340[kHz]付近では各ノズルからの吐出速度が均一となって、かつ最大吐出速度となっていた。この結果から、液柱共鳴周波数の第二モードである340[kHz]において、液柱共鳴定在波の腹の位置で均一吐出が実現していることがわかる。また、図7の特性結果から、第一モードである130[kHz]においての液滴吐出速度ピークと、第二モードである340[kHz]においての液滴吐出速度ピークとの間では液滴は吐出しないという液柱共鳴の特徴的な液柱共鳴定在波の周波数特性が液柱共鳴液室内で発生していることがわかる。
[液滴固化]
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー組成液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明のトナーを得ることが出来る。
[液滴固化手段]
吐出した液滴を固化させる手段としては、トナー組成液の性状しだいで、考え方は異なるが、基本的にトナー組成液を固体状態にできるものであれば手段を問わない。
例えばトナー組成液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解または分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中で液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用で達成しても良い。
[固化粒子捕集手段]
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
図9は、本発明のトナーの製造方法を実施する装置一例の断面図である。トナー製造装置1は、主に、液滴吐出手段2及び乾燥捕集ユニット60を含んで構成されている。
液滴吐出手段2には、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のトナー組成液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、トナー組成液14を随時液滴吐出手段2に供給できる。液供給管16にはP1、乾燥捕集ユニット60にはP2の圧力測定器がそれぞれ設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット60内の圧力は液圧力計P1およびチャンバ内圧力計P2によって管理される。このときに、液圧力計P1の圧力p1とチャンバ内圧力計P2の圧力p2とがp1>p2の関係であると、トナー組成液1が吐出孔19から染み出す恐れがあり、p1<p2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力によってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送されて搬送気流排出口65から排出され固化したトナー粒子を捕集するトナー捕集手段62によって捕集される。捕集されたトナーはトナー貯留部63に貯留される。
[搬送気流]
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流101は図1に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することが出来る。あるいは、図10に示すように吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていても良く、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図10のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出孔から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用を期待して付与しても良い。
搬送気流101は特に気流の状態として限定されることは無く層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流101を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いても良い。また、搬送気流101の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。またチャンバー61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流101は液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61に付着することを防止することに用いても良い。
[二次乾燥]
図9で示された乾燥捕集ユニット60によって得られたトナー粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。有機溶剤がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
次にトナーについて説明する。
本発明のトナーは少なくとも結着樹脂、離型剤及び微粒子を含有し、必要に応じて、着色剤、帯電調整剤、添加剤およびその他の成分を含有する。
前記結着樹脂の水への接触角が90°以下であり、前記微粒子のメタノールに対する疎水化度が65%以上である。
本発明で用いる、「トナー組成液」について説明する。トナー組成液は上記トナー成分が溶媒に溶解又は分散させた液体状態であるか、または吐出させる条件下で液体であれば溶媒を含まなくてもよく、トナー成分の一部または全てが溶融した状態で混合され液体状態を呈しているものである。
トナー材料としては、上記のトナー組成液を調製することが出来れば、従来の電子写真用トナーと全く同じものが使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
前記手段により作製されたトナー粒子は、トナー最表面に微粒子が偏在する構造を有する。それはトナー組成液中に分散された微粒子が疎水性であるために、トナー液吐出後の乾燥過程において気液界面に自発的に偏在するからである。これにより、既知のトナー製造工程において必要とされていた外添工程を省略することが可能となる。
(有機溶剤)
有機溶剤としては、結着樹脂を溶解し、着色剤等の分散体を安定に分散できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。トナーをサイクロンで捕集する場合は、ある程度トナー組成液を気相中で乾燥して、捕集する必要があるため、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。乾燥の観点から、溶媒の沸点は100℃以下が、好ましい。
具体例としてトルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。
(結着樹脂)
結着樹脂としては従来公知のトナー用結着樹脂が用いられるが、溶剤に溶解させるため架橋構造をもたないものが好ましい。
例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等からなるビニル重合体、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
これらのうち、ポリエステル系樹脂やスチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体の共重合体樹脂が好ましく用いられる。
無機微粒子をトナー最表面に配置させるには、樹脂の親水性は高いほうが望ましい。樹脂の水に対する接触角が90°以下であることが好ましく、より好ましくは85°以下である。接触角が90°より大きい樹脂を使用した場合、無機微粒子がトナー最表面に露出しにくく、耐熱保存性や流動性が悪化する。式(2)は熱溶融前のトナーの接触角と熱溶融後のトナーの接触角でトナーの接触角が変化していることを示している。これは、熱溶融前は無機微粒子がトナー表面に偏在しているために、熱溶融により均一化されたトナー表面の性質とは異なるためである。
ポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられるが架橋構造をもたせないためには少量の使用にとどめねばならない。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2’,4’−ジメチル−4’−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
これらの結着樹脂は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
―発熱ピーク温度、融点、及びガラス転移温度(Tg)の測定方法―
本発明におけるトナー、及び各材料の発熱ピーク温度、融点、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の発熱ピーク温度、融点、ガラス転移温度は、下記手順により測定できる。
まず、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minにて200℃まで加熱する。その後、200℃から降温速度10℃/minにて0℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて200℃まで加熱し、示差走査熱量計(「DSC−60」、島津製作所社製)を用いてDSC曲線を計測する。
得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ショルダー温度』を用いて、一回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温一回目におけるガラス転移温度を求めることができる。また、『吸熱ショルダー温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目におけるガラス転移温度を求めることができる。
また、得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『ピーク温度解析プログラム』を用いて、一回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温一回目における融点を求めることができる。また、『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における融点を求めることができる。
また同じく『ピーク温度解析プログラム』を用いて、一回目の降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の降温一回目における発熱ピーク温度を求めることができる。
本発明では、対象試料としてトナーを用いた際の一回目昇温時におけるガラス転移温度をTg1st、同二回目昇温時におけるガラス転移温度をTg2ndとする。
また本発明では、各構成成分の二回目昇温時における融点、Tgを各対象試料の融点、
Tgとする。
[結着樹脂の分子量分布]
結着樹脂のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100[%]となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
―水に対する接触角の測定方法―
接触角の測定は協和界面化学社製の自動接触角計(型番CA−W)を用いて静的接触角を測定する。本装置ソフト中の「液滴法」を選択することにより、固体表面に付着した液滴の濡れ性を測定することが出来る。具体的な測定方法はJIS R3257の静滴法の測定方法に準じる。
―結着樹脂の接触角測定用試料板の作製―
結着樹脂3 gを、底面が平らなアルミカップに計量した後、120℃に加熱されたオーブンに入れ、樹脂が十分に溶融するまで加熱した。その後、樹脂が固化するまで冷却しアルミカップから樹脂板を取り出すことで接触角測定用の試料板を得る。この時、試料板の底面に凹凸、亀裂など測定に支障をきたす欠陥がないことを確認した。
―トナーの接触角測定用試料板の作製―
トナーを自動加圧成形機により加圧成形して試料板を作製した。以下に成形条件を示す。
トナー量 : 3 g
荷重 : 6t
時間 : 60s
成形ダイス直径 : 40 mm
―熱溶融後のトナーの接触角測定用試料板の作製―
トナー3 gを、底面が平らなアルミカップに計量した後、120℃に加熱されたオーブンに入れ、トナーが十分に溶融するまで加熱した。その後、トナーが固化するまで冷却し、アルミカップからトナー板を取り出すことで接触角測定用の試料板を得た。この時、試料板の底面に凹凸、亀裂など測定に支障をきたす欠陥がないことを確認した。
(微粒子)
微粒子はトナー表面に露出し、トナーの流動性を向上させる役割を果たす。
そのため、微粒子が高分子微粒子の場合、有機溶媒に溶解しない必要がある。その条件を満たすものであれば、前記微粒子としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末やシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、溶媒へ溶解しない点とトナーへの流動性付与の効果が高い点から、処理シリカが好ましく、該シリカの処理剤としては疎水化度の向上効果の高いヘキサメチルジシラザン(HMDS)が特に好ましい。処理シリカの疎水化度は65%(MeOH)以上であることが望ましい。65%未満では、シリカが表面に露出しにくく、トナーの流動性や耐熱保存性が悪化するからである。シリカの疎水化度は、シランカップリング剤の量によってある程度コントロールでき、量を増すことによって疎水化度を上げることができる。
―疎水化度の測定方法―
疎水化度の測定はメタノール滴定試験によって行う。メタノール滴定試験は疎水化された表面を有する微粒子の疎水化度を確認する実験的試験である。
メタノール滴定試験を、疎水化された表面を有するシリカ微粉末の疎水化度を測定する場合を例に挙げて以下説明する。
・容量250mlの三角フラスコ中に水50mlを入れ、更にシリカ微粒子0.2gを添加する。
・マグネットスターラーで緩やかに攪拌しつつ、滴下時に先端が水中に浸漬されたビューレットからメタノールを添加していく。
・シリカ微粉体の全量が液体中に懸濁された時を滴定の終点とする。
疎水化度は下記式に示すように、終点に達した際のメタノール及び水の液状混合物中のメタノールの百分率として表される。
疎水化度(%)
=(滴下メタノールの質量/(50ml+滴下メタノールの質量))×100
(着色剤)
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される着色剤を適宜選択して使用することができる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂やポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100部に対して、2〜30部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1mgKOH/g未満であるとき、及び、アミン価が100mgKOH/gを超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましい。具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
(離型剤)
本発明で用いるトナー組成液は、結着樹脂、着色剤とともに離型剤を含有する。
離型剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン離型剤、マイクロクリスタリン離型剤、パラフィン離型剤、サゾール離型剤等の脂肪族炭化水素系離型剤、酸化ポリエチレン離型剤等の脂肪族炭化水素系離型剤の酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラ離型剤、カルナバ離型剤、木ろう、ホホバろう等の植物系離型剤、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系離型剤、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系離型剤、モンタン酸エステル離型剤、カスター離型剤の等の脂肪酸エステルを主成分とする離型剤類。脱酸カルナバ離型剤の等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記離型剤の融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70〜140[℃]であることが好ましく、70〜120[℃]であることがより好ましい。70[℃]以上であることにより耐ブロッキング性が低下することがなく、140[℃]以下であることにより良好な耐オフセット効果が得られる。
前記離型剤の総含有量としては、結着樹脂100部に対し、0.2〜20部が好ましく、0.5〜10部がより好ましい。
本発明では、DSC(ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー)において測定される離型剤の吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもって離型剤の融点とする。
前記離型剤又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/min]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーに用いられる帯電制御剤としては特に限定はないが、有機溶媒への溶解性の面から、フェノール類とアルデヒド類との重縮合反応により得られた重縮合体を含有する負帯電性の帯電制御剤を用いることが好ましい。
前記フェノール類とは、1つのフェノール性水酸基を持ち、その水酸基のオルト位には水素が結合しているp−アルキルフェノール、p−アラルキルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸エステルからなる群より選択された少なくとも1種のフェノール化合物を含有しており、前記アルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒドを適宜使用できる。
前記の帯電制御剤であって市販されているものとしては例えば、FCA−N型の縮合系ポリマーを含有した電荷制御剤(藤倉化成株式会社)等が挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下で示す「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
(ポリエステル樹脂の合成)
―ポリエステル樹脂Aの合成―
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、アルコール成分として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物0.6モル及び、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物0.6モルを、カルボン酸成分として、テレフタル酸0.9モルを、エステル化触媒としてオクチル酸スズを入れ、窒素雰囲気下、180℃で4時間縮重合反応させた。その後、トリメリット酸0.07モルを追加して、210℃に昇温して1時間反応させ、さらに8KPaにて1時間反応させることにより、ポリエステル樹脂Aを合成した。この樹脂の水への接触角は69°、質量平均分子量は25,000、ガラス転移点は58℃であった。
―ポリエステル樹脂Bの合成―
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、アルコール成分として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物0.5モル及び、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物0.5モルを、カルボン酸成分として、テレフタル酸0.9モルを、エステル化触媒としてオクチル酸スズを入れ、窒素雰囲気下、180℃で4時間縮重合反応させた。その後、トリメリット酸0.07モルを追加して、210℃に昇温して1時間反応させ、さらに8KPaにて1時間反応させることにより、ポリエステル樹脂Aを合成した。この樹脂の水への接触角は80°、質量平均分子量は75,000、ガラス転移点は63℃であった。
(スチレン−(メタ)アクリル系樹脂)
スチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂を用いた。このスチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂の水への接触角は84°、質量平均分子量は45,000、ガラス転移温度は61℃であった。
(シリコーン樹脂)
シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング社製 Z−6018)を用いた。このシリコーン樹脂の水への接触角は97°、質量平均分子量は2000、ガラス転移点は51℃であった。
―疎水性シリカA―
バーナーの中心部に設けたスラリー噴霧用二流体ノズルの中心部から、金属シリコン粉末(平均粒径6.7μm)50部と水50部からなるスラリーを火炎中(温度約1800℃)に20.5kg/時間の速度で噴射すると共に、その周囲から酸素を供給した。
生成した球状シリカ粉末をブロワーによって捕集ラインへ空気輸送し、バグフィルターで捕集した。
球状シリカ粉末250gを振動流動層に仕込み、吸引ブロワーにより循環させた空気で流動化させながら水3.2gを噴霧して5分間流動混合させた後、シランカップリング剤であるHMDS(ヘキサメチルジシラザン)5.3gを噴霧し、40分間流動混合し[疎水性シリカA]を得た。
―疎水性シリカB―
疎水性シリカA製造において、金属シリコン粉末(平均粒径6.7μm)70部と水30部に変えて製造した以外は疎水性シリカAと同様に製造し、[疎水性シリカB]を得た。
―疎水性シリカC―
メタノール700部、水46部、28%アンモニア水55部を添加して混合して混合溶液を得た。
この混合溶液を35℃に調整し攪拌しながらテトラメトキシシラン1300部および5.4%アンモニア水470部を同時に添加開始し、前者は5時間、そして後者は2時間かけて滴下した。
テトラメトキシシラン滴下後も0.2時間攪拌を続け加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。
得られた懸濁液に室温でヘキサメチルジシラザン550部を添加し55℃に加熱し3時間反応させシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。これにより、[疎水性シリカC]を得た。
―疎水性シリカD―
メタノール700部、水46部、28%アンモニア水55部を添加して混合した。
この溶液を35℃に調整し攪拌しながらテトラメトキシシラン1300部および5.4%アンモニア水470部を同時に添加開始し、前者は7時間、そして後者は4時間かけて滴下した。
テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間攪拌を続け加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。
得られた懸濁液に室温でヘキサメチルジシラザン550部を添加し55℃に加熱し3時間反応させシリカ微粒子をトリメチルシリル化した。
これにより、[疎水性シリカD]を得た。
―疎水性酸化チタンA―
酸化チタン(テイカ株式会社製)250gを振動流動層に仕込み、吸引ブロワーにより循環させた空気で流動化させながら水3.2gを噴霧して5分間流動混合させた後、シランカップリング剤であるイソブチルトリメトキシシラン5.3gを噴霧し、40分間流動混合し[疎水性酸化チタンA]を得た
得られた疎水性シリカA〜D及び[疎水性酸化チタンA]の物性値を表1に示す。
(着色剤分散液の調製)
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(RegaL400;Cabot社製)17部、顔料分散剤3部を、酢酸エチル80部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られたカーボンブラックの一次分散液を、ビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去したカーボンブラックの二次分散液を調製した。
(離型剤分散液の調製)
次に離型剤分散液を調製した。
カルナバ離型剤18部、離型剤分散剤2部を、酢酸エチル80部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバ離型剤を溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるよう離型剤粒子を析出させた。離型剤分散剤としては、ポリエチレン離型剤にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下になるよう調製した。
(トナー組成液の調製)
次に、上記結着樹脂、シリカ、着色剤、及び上記離型剤が表2の組成になるように各分散液、乃至溶解液を、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させてトナー組成液を得た。溶媒希釈によるショックで顔料、及び離型剤粒子が凝集することはなかった。
(実施例A)
<トナーAの作製>
トナー組成液Aを、図1、2、図3(a)に示すトナー製造装置を用い、図4に示す液柱共鳴原理を用いた液滴吐出ヘッドにより以下に示す条件で液滴を吐出させた。その後、該液滴を乾燥固化し、サイクロン捕集した後、更に35℃にて48時間2次乾燥させることにより、トナー母体粒子Aを作製した。
[液柱共鳴条件]
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
[トナー母体粒子作製条件]
分散液比重 :ρ=1.1g/cm
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :7.5μm
吐出孔の開口数 :液柱共鳴液室1つ当たり4個
隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔 :130μm(全て等間隔)
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :10.0V
駆動周波数 :395kHz
(実施例B)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Bに変更して、[トナーB]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(実施例C)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Cに変更して、[トナーC]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを観察し、その結果を表3にまとめた。
(実施例D)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Dに変更して、[トナーD]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(実施例E)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Eに変更して、[トナーE]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(実施例F)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Fに変更して、[トナーF]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(実施例G)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Gに変更して、[トナーG]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例A)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Hに変更して、[トナーH]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例B)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Iに変更して、[トナーI]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例C)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Jに変更して、[トナーJ]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例D)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Kに変更して、[トナーK]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例E)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Lに変更して、[トナーL]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例F)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Mに変更して、[トナーM]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例G)
実施例Aの、トナー組成液Aをトナー組成液Nに変更して、[トナーN]を得た。トナー諸特性、噴射時のノズルのつまりを評価し、その結果を表3にまとめた。
(比較例H)
比較例Hでは、トナー製造方法を変更した。下記手順でトナー母体粒子Oを作製した。
−スチレン/アクリル樹脂微粒子の合成−
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)16部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂微粒子分散液]を得た。このスチレン/アクリル樹脂微粒子A1のガラス転移温度Tgは62℃であった。
−アクリル樹脂微粒子の合成−
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(カチオンDS、花王製)10部、メタクリル酸メチル144部、アクリル酸ブチル50部、過硫酸アンモニウム1部、エチレングリコールジメタクリレート4部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度65℃まで昇温し10時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸メチル)の水性分散液[アクリル樹脂微粒子分散液]を得た。このアクリル樹脂微粒子のガラス転移温度Tgは79℃であった。
― ―水系媒体相の調製― ―
水660質量部、前記スチレン/アクリル樹脂微粒子分散液A1 25部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)25部、及び酢酸エチル60部を混合撹拌し、乳白色の液体(水相)を得た。さらにアクリル樹脂微粒子を50部加え、[水相]を得た。光学顕微鏡で観察すると数百μmの凝集体が見られた。本水系媒体相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数8000rpmで攪拌すると該凝集体がほぐれ、数μmの小凝集体に分散できることを光学顕微鏡によって確認した。したがってこの後行われるトナー材料の乳化工程においてもアクリル樹脂微粒子は分散してトナー材料成分の液滴に付着することが期待できた。このようにアクリル樹脂微粒子は凝集を生じるがせん断によってほぐれることがトナー表面に均一に付着させる上で重要である。
−乳化・脱溶剤−
表2に記載した[トナー組成液O]980部が入った容器に、[水相]を1200部加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー]を得た。
−洗浄・乾燥−
[分散スラリー]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する、という前記(1)〜(4)の操作を2回行い[濾過ケーキ]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い[トナーO]を得た。
(キャリアの作製)
下記組成をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を、流動床型コーティング装置を用いて、粒径40μmの球状マグネタイト1,000部の表面にコーティングして磁性キャリアを得た。
[組成]
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100部
トルエン 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5部
カーボンブラック 10部
(現像剤の作製)
[トナーA]から[トナーN]のそれぞれについて、ブラックトナー4部及び上記磁性キャリア96部をボールミルで混合して二成分現像剤を作製した。
各二成分現像剤について、以下に示す方法で、粒径分布、耐熱保存性、剤流動性について評価した。
(粒度分布の評価)
トナーA〜トナーOの体積平均粒径(Dv)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用いて、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。
具体的には、ガラス製ビーカー(100mL容)に10%界面活性剤(アルキルベンゼンスホン酸塩 ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5mL添加した。次いで、各トナーをそれぞれ0.5g添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜた後、イオン交換水 80mLを添加した。次いで、超音波分散器(W−113MK−II、本多電子株式会社製)で10分間分散処理した。
この分散液について、前記マルチサイザーIIIを用いて、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター社製)を用いて測定を行った。測定は、前記マルチサイザーIIIが示す濃度が8±2%になるように前記トナー分散液を滴下した。2.001μm以上20.1874μ以下の粒径を対象とした。
トナー粒子又はトナーの体積及び個数を測定後、体積分布と個数分布を算出した。得られた分布から、トナーの体積平均粒径(Dv)、個数平均粒径(Dn)を求めた。粒度分布の指標としては、トナーの体積平均粒径(Dv)を個数平均粒径(Dn)で除したDv/Dnを用いた。完全に単分散であればDv/Dn=1となり、この数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
(接触角の測定)
前記の「水に対する接触角の測定方法」の項に記載した方法で、トナー及び熱融解後のトナーの接触角CAa及びCAbを測定した。
(トナーの補給性)
トナー容器から現像部へのトナーの補給性は、各々のトナーをトナー容器に充填し機械にセット、上記画像を形成している間(累計20,000枚耐久中)の、トナーの補給状況を、下記基準に基づいて評価した。
〔評価基準(補給性)〕
○:累計20,000枚耐久中補給異常が認められなかった。
×:トナーがトナー容器に入っているのに関わらずトナーエンド検知が点灯し、機械が停止した。
−(耐熱保存性)
50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度を測定し、下記基準により耐熱保存性を評価した。なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が5mm未満であるもの(×)は、使用上、問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
○:針入度が15mm以上
△:針入度が5mm以上15mm未満
×:針入度が5mm未満
実施例A〜GのトナーA〜Gは、トナー特性として粒度分布、耐熱保存性、補給性ともに優れるものであった。
一方、比較例A〜Hにおいては、粒度分布に優れるものの、耐熱保存性、補給性に劣る結果となった。比較例Aについては、樹脂の接触角が90°以上であったことが原因であり、比較例B〜Gについては、シリカの疎水化度が65%未満であったことが原因である。比較例Hにて製造方法を変更した場合、CAaの値が非常に小さく、疎水性微粒子以外の親水性成分が表面に配置されていることがわかる。その結果、耐熱保存性、補給性ともに劣る結果となった。
粒子の表面状態を、走査型電子顕微鏡(SEM)観察したところ、実施例のトナーはいずれもトナー表面にシリカ粒子が観察されたのに対して、比較例の結果はいずれも、シリカがトナー表面に露出していなかった。
図11に実施例Aで得たトナーの断面のTEM写真を示す。
X線電子分光(XPS)による測定結果からも、シリカ微粒子由来のSiが最表面に偏在していることが検出された。
また、本発明は下記(1)のトナーの他、下記(2)〜(7)の実施の態様を含む。
(1)少なくともトナー成分として結着樹脂、離型剤および微粒子を含有するトナー組成液を気体媒体中で造粒・乾燥して得たトナーであって、前記結着樹脂の水への接触角が90°以下であって、かつ前記微粒子のメタノールに対する疎水化度が65%以上であって、微粒子がトナー表面に偏在することを特徴とするトナー。
(2)微粒子が、シリカ微粒子であることを特徴とする(1)に記載のトナー。
(3)トナーの接触角(CAa)と熱溶融後のトナーの接触角(CAb)との関係が下記式(1)及び式(2)を満たすことを特徴とする(1)又は(2)に記載のトナー。
60°≦CAa≦90° (1)
2°≦|CAa−CAb| (2)
(4)重量平均粒径が1μm〜10μmであり、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1.00〜1.10の範囲にあることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴化する液滴吐出工程と、前記液滴を固化する固化工程と、を有するトナー粒子の製造方法であって、前記トナー組成液は、少なくとも結着樹脂、離型剤および微粒子を含有してなり、前記結着樹脂の水への接触角が90°以下であって、かつ前記微粒子のメタノールに対する疎水化度が65%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
(6)前記液滴形成工程が、同じ開口径を有する複数の吐出孔が形成された薄膜に振動手段により振動を付与し、前記吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴を形成する工程であることを特徴とする(5)に記載のトナー製造方法。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載のトナーとキャリアとを少なくとも含有することを特徴とする現像剤。
本発明のトナーの製造方法は、トナーの製造工程を簡略化し、かつ狭粒度分布、補給性、耐熱保存性が良好なトナーを得ることができる。
1:トナー製造装置
2:液滴吐出手段
9:弾性板
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:トナー組成液
15:液循環ポンプ
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴液室
19:吐出孔
20:振動発生手段
21:液滴
22:液戻り管
24:ノズル角度
41:薄膜
60:乾燥捕集ユニット
61:チャンバ
62:トナー捕集手段
63:トナー貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
101:下降気流
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
特開平7−152202号公報 特開2003−262976号公報 特開2003−280236号公報 特開2003−262977号公報 特開2005−215089号公報 特開2005−215090号公報 特開2008−65005号公報

Claims (3)

  1. 吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴化する液滴吐出工程と、前記液滴を固化する固化工程と、を有するトナー粒子の製造方法であって、前記トナー組成液は、少なくとも結着樹脂、離型剤および微粒子を含有してなり、前記結着樹脂の水に対する接触角が90°以下であって、かつ前記微粒子のメタノールに対する疎水化度が65%以上であることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記液滴形成工程が、同じ開口径を有する複数の吐出孔が形成された薄膜に振動手段により振動を付与し、前記吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴を形成する工程であることを特徴とする請求項に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記微粒子が、シリカ微粒子であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
JP2014077599A 2013-06-17 2014-04-04 トナー及びトナーの製造方法 Expired - Fee Related JP6388109B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014077599A JP6388109B2 (ja) 2013-06-17 2014-04-04 トナー及びトナーの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013126235 2013-06-17
JP2013126235 2013-06-17
JP2014077599A JP6388109B2 (ja) 2013-06-17 2014-04-04 トナー及びトナーの製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018152870A Division JP2019008306A (ja) 2013-06-17 2018-08-15 樹脂粒子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015026060A JP2015026060A (ja) 2015-02-05
JP6388109B2 true JP6388109B2 (ja) 2018-09-12

Family

ID=52490727

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014077599A Expired - Fee Related JP6388109B2 (ja) 2013-06-17 2014-04-04 トナー及びトナーの製造方法
JP2018152870A Pending JP2019008306A (ja) 2013-06-17 2018-08-15 樹脂粒子の製造方法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018152870A Pending JP2019008306A (ja) 2013-06-17 2018-08-15 樹脂粒子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6388109B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3425453B1 (en) * 2016-03-03 2019-11-13 Ricoh Company, Ltd. Toner, toner containing unit, and image forming apparatus
JP2017156699A (ja) * 2016-03-04 2017-09-07 株式会社リコー トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3451817B2 (ja) * 1995-12-27 2003-09-29 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用トナーおよびその製造方法
JPH09244294A (ja) * 1996-03-14 1997-09-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd トナー
JP3919485B2 (ja) * 2000-09-01 2007-05-23 キヤノン株式会社 乾式トナー及び画像形成方法
JP4175122B2 (ja) * 2003-01-22 2008-11-05 セイコーエプソン株式会社 トナーの製造方法およびトナー
JP2005215089A (ja) * 2004-01-27 2005-08-11 Seiko Epson Corp トナーの製造方法およびトナー
JP2006011325A (ja) * 2004-06-29 2006-01-12 Seiko Epson Corp トナーの製造方法およびトナー
JP4715174B2 (ja) * 2004-11-26 2011-07-06 セイコーエプソン株式会社 樹脂微粒子の製造方法、および樹脂微粒子の製造装置
JP2008065005A (ja) * 2006-09-07 2008-03-21 Ricoh Co Ltd 静電荷像現像用トナー及びトナーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019008306A (ja) 2019-01-17
JP2015026060A (ja) 2015-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5365904B2 (ja) トナーの製造方法
JP5386889B2 (ja) トナー及びその製造方法
US8445172B2 (en) Method for producing toner and toner
US9522370B2 (en) Method for producing fine particles and apparatus for producing fine particles
JP5724464B2 (ja) トナーの製造方法
JP5239669B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び画像形成装置
JP4979539B2 (ja) トナー
JP2014026257A (ja) トナー、該トナーの製造方法及び現像剤
JP5754225B2 (ja) トナーの製造方法及びトナーの製造装置
JP5644367B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びに現像剤
JP2019008306A (ja) 樹脂粒子の製造方法
JP5396817B2 (ja) トナー及びその製造方法、並びにトナーの製造装置
JP6350897B2 (ja) トナーの製造方法
JP6443774B2 (ja) 粒子製造方法
JP5365909B2 (ja) トナーの製造装置及び製造方法、トナー
JP2015108749A (ja) トナー及びトナーの製造方法
JP5659825B2 (ja) トナーの製造方法
JP6168385B2 (ja) 粒子製造装置及び粒子製造方法
JP5974727B2 (ja) 粒子製造方法、及び粒子製造装置
JP5224104B2 (ja) トナーの製造方法およびトナー
JP2013064886A (ja) トナーの製造方法、及びトナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170323

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171225

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180731

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6388109

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees