JP2015108749A - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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樹 森谷
芳洋 森屋
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芳洋 森屋
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Ryuta Inoue
竜太 井上
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Abstract

【課題】耐オフセット性、耐フィルミング性に優れた、高精細・高品質な画像を長期にわたって形成することのできる電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するために使用されるトナーを提供すること。
【解決手段】少なくとも非晶性樹脂と離型剤とを含有するトナーであって、前記非晶性樹脂の接触角(A)と離型剤の接触角(B)とが下記関係式(1)を満たし、メタノールに対する疎水化度が75%以上であることを特徴とするトナー。
A+5°≦B≦A+30° ・・・ (1)
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するために使用されるトナー及びトナーの製造方法に関するものである。
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用されるトナーは、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において記録媒体に定着される。定着方法としては、加熱したロールやベルト等を用いて接触加熱溶融することで定着する方法が熱効率が良いため一般的に行われているが、接触加熱定着方法では熱ロールやベルトにトナーが融着するオフセットの発生がおこりやすいという問題がある。
このオフセットの発生を防止するため、トナー自体にワックスなどの離型剤を添加する方法がいくつか提案されている。その中の一例として、特定の示差走査熱量分析(DSC:Differential scanning calorimetry)において吸熱ピークを有するワックスを含有するトナーが提案されている(特許文献1)。また、他の例として、離型剤として、キャンデリラワックス、高級脂肪酸系ワックス、高級アルコール系ワックス、植物系天然ワックス(カルナバワックス、ライスワックス)、モンタン系エステルワックス等を用いることが提案されている(特許文献2)。
これらの離型剤は、接触加熱定着方法において、加熱されたロールやベルト部材をトナーが通過する際に速やかにメルトして、トナー粒子表面に露出することでトナーの定着部材への融着を抑止している。定着温度が低い側でのオフセット性(コールドオフセット)のみならず、定着温度が高い側でのオフセット性(ホットオフセット)いずれにも影響を与える。
一方、トナーからの離型剤の露出を促進させる手段として、トナー表面に離型剤を配置させた場合には、オフセットは抑止されるものの、例えば現像機中で攪拌されるうちに前記離型剤を基点とした融着が起こりやすく、トナーが押しつぶされたような形でキャリアや感光体に付着して現像を悪化させるフィルミングが起こりやすくなるという課題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐オフセット性、耐フィルミング性に優れた、高精細・高品質な画像を長期にわたって形成することのできるトナーを提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段である本発明の特徴は以下の[1]の通りである。
[1]少なくとも非晶性樹脂と離型剤とを含有するトナーであって、前記非晶性樹脂の接触角(A)と離型剤の接触角(B)とが下記関係式(1)を満たし、メタノールに対する疎水化度が75%以上であることを特徴とするトナー。
A+5°≦B≦A+30° ・・・ (1)
本発明によれば、トナーの耐オフセット性、耐フィルミング性に優れた、高精細・高品質な画像を長期にわたって提供することができる。
液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 液柱共鳴液滴ユニットの構成を示す断面図である。 吐出口の断面図である。 N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 N=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波を示す概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の液柱共鳴流路で生じる液柱共鳴現象の様子を示す概略図である。 トナー製造装置の概略図である。 液柱共鳴液滴形成手段の構成を示す断面図である。 タンデム型フルカラー画像形成装置の概略図である。 トナー粒子が結着した状態を示す図である。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
本発明のトナーについて以下説明する。
本発明のトナーは少なくとも結着樹脂および離型剤を含有し、必要に応じて、着色剤、帯電調整剤、添加剤およびその他の成分を含有する。
本発明のトナーは後述する噴射造粒法によって製造することができる。
噴射造粒法は少なくともトナー成分として結着樹脂、および離型剤を含有するトナー組成液を吐出孔から吐出させて液滴を形成する液滴形成工程と、形成された液滴を固化させる固化工程とからなるトナーの製造方法である。トナー組成液は、吐出させる条件下で液体状態のものであり、得ようとしているトナー成分が溶解又は分散させた分散された状態のものであってもよく、あるいは、溶媒を含まずトナー成分の一部または全てが溶融した状態のものであってもよい。
トナー材料としては、上記のトナー組成液を調製することが出来れば、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。これを前記のように液滴吐出手段より微小液滴とし、液滴固化捕集手段により、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。
本発明のトナーはメタノールに対する疎水化度が75%以上である。また疎水化度は75%以上、90%以下であることが好ましい。
以下では、トナー成分が溶解又は分散させた分散された状態であるトナー組成液からトナーを作製する場合について主に説明する。
(有機溶剤)
有機溶媒としては、結着樹脂を溶解し、着色剤等の分散体を安定に分散できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。トナーをサイクロンで捕集する場合は、ある程度トナー組成液を気相中で乾燥して、捕集する必要があるため、容易に乾燥できる溶媒が好ましい。乾燥の観点から、溶媒の沸点は100℃以下が、好ましい。
有機溶媒としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(非晶性樹脂)
非晶性樹脂は離型剤よりも小さな接触角をもち、結晶性樹脂よりも大きな接触角をもつ。また、製造方法上、結着樹脂は有機溶媒に溶解することが望ましく、この特徴を除けば従来公知の性能を持っていることが望ましい。
そのため、結着樹脂としては、前記の条件を満たせば、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。この中で低温定着性の観点から、ポリエステル系重合体が特に望ましい。
―分子量分布測定―
(非晶性樹脂)
非晶性樹脂のGPC(ゲルパーメンテーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100[%]となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
(結晶性樹脂)
結晶性樹脂のジクロロベンゼン可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が悪化するという観点から、重量平均分子量(Mw)で3000〜30000、数平均分子量(Mn)で1000〜10000、Mw/Mnが1〜10であることが好ましい。
―発熱ピーク温度、融点、及びガラス転移温度(Tg)の測定方法―
本発明におけるトナー、及び各材料の発熱ピーク温度、融点、ガラス転移温度(Tg)は、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「DSC−60」、島津製作所社製)を用いて測定することができる。
具体的には、対象試料の発熱ピーク温度、融点、ガラス転移温度は、下記手順により測定できる。
まず、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minにて200℃まで加熱する。その後、200℃から降温速度10℃/minにて0℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて200℃まで加熱し、示差走査熱量計(「DSC−60」、島津製作所社製)を用いてDSC曲線を計測する。
得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『吸熱ショルダー温度』を用いて、一回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温一回目におけるガラス転移温度を求めることができる。また、『吸熱ショルダー温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目におけるガラス転移温度を求めることができる。
また、得られるDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラム『ピーク温度解析プログラム』を用いて、一回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温一回目における融点を求めることができる。また、『吸熱ピーク温度』を用いて、二回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温二回目における最大ピークの吸熱ピークを融点として求めることができる。
また同じく『ピーク温度解析プログラム』を用いて、一回目の降温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の降温一回目における発熱ピーク温度を求めることができる。
本発明では、対象試料としてトナーを用いた際の一回目昇温時におけるガラス転移温度をTg1st、同二回目昇温時におけるガラス転移温度をTg2ndとする。
また本発明では、各構成成分の二回目昇温時における融点、Tgを各対象試料の融点、Tgとする。
トナーのTg1stはトナーの耐熱性及び低温定着性を担保するために20℃以上60℃未満であることが好ましく、40℃以上60℃未満がより好ましい。
―接触角の測定方法―
接触角の測定は協和界面化学社製の自動接触角計(型番CA−W)を用いて測定した。接触角の算出にはθ/2法を用いた。
(離型剤)
本発明で用いる離型剤は、非晶性樹脂の接触角(A)と離型剤の接触角(B)とが下記の関係式(1)を満たす。
A+5°≦B≦A+30° ・・・ (1)
BがA+5°より小さい場合、トナー内部に離型剤が偏在することで離型性が劣り、耐オフセット性が低下する。BがA+30°を超える場合、離型剤が表面に偏在することにより、耐フィルミング性が悪化する。
離型剤としては、前記の条件を満たせば特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン離型剤、マイクロクリスタリン離型剤、パラフィン離型剤、サゾール離型剤等の脂肪族炭化水素系離型剤、酸化ポリエチレン離型剤等の脂肪族炭化水素系離型剤の酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラ離型剤、カルナバ離型剤、木ろう、ホホバろう等の植物系離型剤、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系離型剤、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系離型剤、モンタン酸エステル離型剤、カスター離型剤の等の脂肪酸エステルを主成分とする離型剤類。脱酸カルナバ離型剤の等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
さらに本発明における離型剤はワックスであることが好ましい。
該ワックスの含有量が、DSC(示差走査熱量計)法により求められるワックスの吸熱量を質量換算した値で、全トナーに対し1〜20質量%であることが好ましい。また、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記ワックスの量が0.1質量%以上4質量%未満であることが好ましい。
該ワックス量の比率計測方法について以下に詳細に説明する。
トナー粒子中のワックス総量は、DSC(示差走査熱量計)法で得られる。以下の測定装置及び条件により、トナー試料とワックス単体試料とをそれぞれ測定し、それぞれ得られるワックスの吸熱量の比から求める。
・測定装置:DSC装置(DSC60;島津製作所製)
・試料量 : 約5mg
・昇温温度 : 10℃/min
・測定範囲 : 室温〜150℃
・測定環境 : 窒素ガス雰囲気中
ワックス総量は以下の式5で算出した。
ワックス総量(質量%)=(トナー試料のワックスの吸熱量(J/g))×100)
/(ワックス単体の吸熱量(J/g)) ・・・(式5)
このように、上記分析により、トナー製造工程中にワックスが流出して、仕込んだ全てワックスがトナーに含有されない場合においても、トナー粒子中のワックス総量を有効に規定することができる。
トナー粒子の表面ワックス量は、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法で得られる。測定原理から分析深さは0.3μm程度であり、この分析により、トナー粒子の表面から0.3μmの深さ領域におけるワックス量を求めることができる。測定方法は以下の通りである。
・先ず、試料として、トナー3gを自動ペレット成型器(Type M No.50 BRP−E;MAEKAWA TESTING MACHINE CO.製)で6tの荷重で1分間プレスして40mmφ(厚さ約2mm)ペレットを作製した。
・そのトナーペレット表面をFTIR−ATR法により測定した。
用いた顕微FTIR装置は、PERKIN ELMER社製Spectrum OneにMultiScope FTIR ユニットを設置したもので、直径100μmのゲルマニウム(Ge)結晶のマイクロATRで測定した。
・赤外線の入射角41.5°、分解能4cm−1、積算20回で測定した。
得られたワックス由来のピークとバインダ樹脂由来のピークとの強度比をトナー粒子の表面の相対的なワックス量とした。値は測定場所を変えて4回測定した後の平均値を用いた。
・前記試料における表面ワックス量を、既知のワックス量を均一に分散した検量線用試料の相対的なワックス量との関係から算出した。
ここで、FTIR−ATR法により分析されるトナー粒子表面から0.3μmの深さ領域に存在するワックスが、トナー表面にしみ出しやすい位置にあることから、トナー離型性を効果的に発揮するものである。
FTIR−ATR法によって求められるトナー粒子の表面ワックス量は、0.1〜4質量%の範囲にあることが好ましい。前記表面ワックス量が0.1質量%以上であることにより、トナー粒子の表面近傍のワックス量が少なすぎることが無く、従って定着の際に十分な離型性を得ることができる。また、表面ワックス量が4質量%以下であることにより、トナー粒子の表面近傍のワックス量が多くなり過ぎることが無く、トナー粒子最表面に露出せず、キャリア表面へのワックスを介在した付着が増大して、現像剤の耐フィルミング性を悪化させるということがない。このように、定着時の耐オフセット性と、帯電性、現像性、耐フィルミング性等との両立を良好にするために、より好ましくは、前記表面ワックス量が0.1〜3質量%の範囲であることがよい。
(結晶性樹脂)
結晶性樹脂は結着樹脂を低温で低粘性化させるための定着助剤としての役割を果たす。耐熱保存性を損なわずに定着助剤としての効果を十分に発現させるためには、非晶性樹脂の接触角(A)と結晶性樹脂の接触角(C)とは下記関係式(2)を満たすことが好ましい。
C≦A−2° ・・・ (2)
CがA−2°を超える場合には、トナー表面への結晶性樹脂の露出が増加し、耐熱保存性に悪影響を与える。
結晶性樹脂のトナー中に占める割合は2質量%以上30質量%以下であることが好ましい。は2質量%以上であることにより、結晶性ポリエステル樹脂の量が少なすぎることがなく、低温定着の効果が十分に得られる。30質量%以下であることにより、結晶性ポリエステル量が多すぎて、定着時にトナーの溶融粘度が下がりすぎたり、ホットオフセットが発生しやすくなったりすることがない。
結晶性ポリエステル樹脂は、前記の条件を満たせば特に制限はなく使用できる。例えば、アルコール成分として炭素数2〜12の飽和脂肪族ジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12ドデカンジオールおよびこれらの誘導体と、少なくとも酸性分として二重結合(C=C結合)を有する炭素数2〜12のジカルボン酸、もしくは、炭素数2〜12の飽和ジカルボン酸、特にフマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,8−オクタン二酸、1,10−デカン二酸、1,12ドデカン二酸およびこれらの誘導体と、を用いて合成される結晶性ポリエステル樹脂が好ましいものとして挙げられる。
中でも、結晶性ポリエステル樹脂のピーク半値幅が小さく、結晶性が高い点で、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12ドデカンジオールのいずれか一種類のアルコール成分、及び、フマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1,8−オクタン二酸、1,10−デカン二酸、1,12−ドデカン二酸のいずれか一種類のジカルボン酸成分のみで構成されることが好ましい。
また、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性および軟化点を制御する方法として、ポリエステル樹脂合成時にアルコール成分にグリセリン等の3価以上の多価アルコールや、酸成分に無水トリメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸を追加して縮重合を行った非線状ポリエステル樹脂などを設計、使用するなどの方法が挙げられる。
本発明における結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができる。簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1もしくは990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステル樹脂として検出する方法を例としてあげることができる。
本発明では、DSC(ディファレンシャルスキャニングカロリメトリー)において測定される離型剤の二回目昇温時における吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもって離型剤の融点とする。
前記離型剤又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いることが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10[℃/min]で、昇温させた時に測定されるものを用いる。
(着色剤)
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される着色剤を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂やポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、2〜30質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50mgKOH/gで、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1mgKOH/g未満であるとき、及び、アミン価が100mgKOH/gを超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーは帯電制御剤としては特に限定はないが、有機溶媒への溶解性の面から、フェノール類とアルデヒド類との重縮合反応により得られた重縮合体を含有する負帯電性の帯電制御剤を用いた。
前記フェノール類とは、1つのフェノール性水酸基を持ち、その水酸基のオルト位には水素が結合しているp−アルキルフェノール、p−アラルキルフェノール、p−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸エステルからなる群より選択された少なくとも1種のフェノール化合物を含有しており、前記アルデヒド類としては、パラホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒドを適宜使用できる。
前記の帯電制御剤であって市販されているものとしては例えば、FCA−N型の縮合系ポリマーを含有した電荷制御剤(藤倉化成株式会社)等が挙げられる。
(その他の添加剤)
本発明に係るトナーの添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でその表面をシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
前記添加剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、等公知のものを使用できる。
この他、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような添加剤(外添剤)は、表面処理剤により、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自身の劣化を防止することができる。前記表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが好適に挙げられる。
前記外添剤の一次粒子径としては、5[nm]〜2[μm]であることが好ましく、5[nm]〜500[nm]であることがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合としては、トナーの0.01〜5[質量%]であることが好ましく、0.01〜2.0[質量%]であることがより好ましい。
静電潜像担持体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1[μm]のものが好ましい。
(噴射造粒法)
本発明のトナーは噴射造粒によって作製することができる。
本発明のトナーの製造手段の一例を以下、図1〜図8を用いて説明する。本発明のトナー製造手段は液滴吐出手段、液滴固化捕集手段に分けられる。それぞれ下記で解説する。
[液滴吐出手段]
本発明で用いる液滴吐出手段は吐出する液滴の粒径分布が狭ければ、特に制限は無く、公知のものを用いることができる。液滴吐出手段としては1流体ノズル、2流体ノズル、膜振動タイプ吐出手段、レイリー分裂タイプ吐出手段、液振動タイプ吐出手段、液柱共鳴タイプ吐出手段等が挙げられる。膜振動タイプの液滴吐出手段は例えば、特開2008−292976号公報に記載されている。レイリー分裂タイプの液滴吐出手段は例えば、特許第4647506号号公報に記載されている。液振動タイプの液滴吐出手段は例えば、特開2010−102195号公報に記載されている。
液滴の粒径分布を狭くし、かつ、トナーの生産性を確保するためには、例えば、液滴化液柱共鳴を利用することができる。液滴化液柱共鳴では、液柱共鳴液室内の液体に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、該定在波の腹となる領域に形成された複数の吐出孔から液体を吐出すればよい。
[液柱共鳴吐出手段]
液柱の共鳴を利用して吐出する液柱共鳴タイプ吐出手段について解説する。
図1に液柱共鳴液滴吐出手段11を示す。液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んで構成されている。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出口19と、吐出口19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
本発明ではトナー粒子を形成する成分を含んだ液を「トナー組成液」という。トナー組成液は吐出手段より吐出されるであり、吐出させる条件下で液体であればよい。すなわちトナー組成液は、得ようとしているトナー粒子の成分が溶解又は分散させた分散された状態のものであってもよく、溶媒を含まずトナー粒子成分が溶融している状態であってもよい。
トナー組成液14は図示されない液循環ポンプにより液供給管を通って、図2に示す液柱共鳴液滴形成ユニット10の液共通供給路17内に流入し、図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11の液柱共鳴液室18に供給される。そして、トナー組成液14が充填されている液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅の大きな部分であって圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出口19から液滴21が吐出される。この液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、定在波の節以外の領域を意味するものである。好ましくは、定在波の圧力変動が液を吐出するのに十分な大きさの振幅を有する領域であり、より好ましくは圧力定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/4波長の範囲である。
定在波の腹となる領域であれば、吐出口が複数で開口されていても、それぞれからほぼ均一な液滴を形成することができ、更には効率的に液滴の吐出を行うことができ、吐出口の詰まりも生じ難くなる。なお、液共通供給路17を通過したトナー組成液14は図示されない液戻り管を流れて原料収容器に戻される。液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用し、液共通供給路17から供給されるトナー組成液14の流量が増加する。そして、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充される。そして、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー組成液14の流量が元に戻る。
液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室18は、金属やセラミックス、シリコンなどの駆動周波数において液体の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されるフレームがそれぞれ接合されて形成されている。また、図1に示すように、液柱共鳴液室18の長手方向の両端の壁面間の長さLは、後述するような液柱共鳴原理に基づいて決定される。また、図2に示す液柱共鳴液室18の幅Wは、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、液柱共鳴液室18の長さLの2分の1より小さいことが望ましい。更に、液柱共鳴液室18は、生産性を飛躍的に向上させるために1つの液滴形成ユニット10に対して複数配置されているほうが好ましい。その範囲に限定はないが、100〜2000個の液柱共鳴液室18が備えられた1つの液滴形成ユニットであれば操作性と生産性が両立でき、もっとも好ましい。また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17には複数の液柱共鳴液室18と連通している。
また、液柱共鳴液滴吐出手段11における振動発生手段20は所定の周波数で駆動できるものであれば特に制限はないが、圧電体を、弾性板9に貼りあわせた形態が望ましい。弾性板は、圧電体が接液しないように液柱共鳴液室の壁の一部を構成している。圧電体は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さいため積層して使用されることが多い。この他にも、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。更に、振動発生手段20は、1つの液柱共鳴液室毎に個別に制御できるように配置されていることが望ましい。また、上記の1つの材質のブロック状の振動部材を液柱共鳴液室の配置にあわせて、一部切断し、弾性板を介してそれぞれの液柱共鳴液室を個別制御できるような構成が望ましい。
更に、吐出孔19の開口部の直径は、1[μm]〜40[μm]の範囲であることが望ましい。1[μm]以上であることにより液滴が小さくなり過ぎることを防止して適度な大きさの液滴を形成することができる。また、トナーの構成成分として顔料などの固形微粒子が含有された構成の場合にも、吐出孔19において閉塞を発生させることがなく、生産性を高めることができる。また、40[μm]以下であることにより、液滴の直径が大きくなりすぎることを防止できる。これにより、トナー組成液を大幅に希釈しなくても乾燥固化させて、所望のトナー粒子径3〜6μmを得ることができる。有機溶媒でトナー組成を非常に希薄な液に希釈する必要がある場合があり、このため、希釈に用いる有機溶媒の量を少なくでき、一定量のトナーを得るために必要な乾燥エネルギーを減らすことができる。また、図2からわかるように、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することは、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなるために好ましい。また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが望ましい。
吐出口19の断面形状は図1等で開口部の径が小さくなるようなテーパー形状として記載されているが、適宜断面形状を選択することができる。
図3に吐出口19の取りうる断面形状を示す。
(a)は吐出口19の接液面から吐出口に向かってラウンド形状を持ちながら開口径が狭くなるような形状を有しており、薄膜41が振動した際に吐出口19の出口付近で液にかかる圧力が最大となるため、吐出の安定化に際しては最も好ましい形状である。
(b)は吐出口19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度44は適宜変更することができる。(a)と同様のこのノズル角度によって薄膜41が振動したときの吐出口19の出口付近で液にかかる圧力を高めることができるが、その範囲60〜90°が好ましい。60°以下は液に圧力がかかりにくく、さらに薄膜41の加工もし難いため好ましくない。
(c)は(b)においてノズル角度24が90°である場合に相当する。出口に圧力がかかりにくくなるため、90°が最大値となる。90°以上は孔12の出口に圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。
(d)は(a)と(b)を組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更しても構わない。
次に、液柱共鳴における液滴形成ユニットによる液滴形成のメカニズムについて説明する。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明する。
液柱共鳴液室内のトナー組成液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・(式1)
の関係にある。
また、図1の液柱共鳴液室18において固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとする。そして、液共通供給路17側のフレームの端部の高さh1(=約80[μm])は連通口の高さh2(=約40[μm])の約2倍あり当該端部が閉じている固定端と等価であるとする。このような両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の式2で表現される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数)
更に、両端が完全に開いている両側開放端の場合にも上記式2が成り立つ。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式1と上記式2より、
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
と導かれる。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図4にN=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図5にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来は疎密波(縦波)であるが、図4及び図5のように表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。例えば、N=1の片側固定端の場合を示す図3の(a)からわかるように、速度分布の場合閉口端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で振幅が最大となり、直感的にわかりやすい。液柱共鳴液室の長手方向の両端の間の長さをLとしたとき、液体が液柱共鳴する波長をλとし、整数Nが1〜5の場合に定在波が最も効率よく発生する。また、両端の開閉状態によっても定在波パターンは異なるため、それらも併記した。後述するが、吐出口の開口や供給側の開口の状態によって、端部の条件が決まる。
なお、音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度がゼロとなる端であり、逆に圧力は極大となる。閉口端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。閉口端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。理想的に完全に閉口、もしくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図4及び図5のような形態の共鳴定在波を生じる。しかし、吐出口数、吐出口の開口位置によっても定在波のパターンは変動し、上記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れる。この場合には、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。例えば、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と完全に等価のN=2の共鳴モードを用いた場合、上記式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。他の例では、液体の音速cが1,200[m/s]、液柱共鳴液室の長さLが1.85[mm]と、上記と同じ条件を用い、両端に壁面が存在して、両側固定端と等価のN=4の共鳴モードを用いた場合、上記式(2)より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれる。このように同じ構成の液柱共鳴液室においても、より高次の共鳴を利用することができる。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11における液柱共鳴液室は、両端が閉口端状態と等価であるか、吐出口の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、それに限らず開放端であってもよい。ここでの吐出口の開口の影響とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。よって、図4の(b)及び図5の(a)のような液柱共鳴液室の長手方向の両端に壁面を形成する構成は、両側固定端の共鳴モード、そして吐出口側が開口とみなす片側開放端の全ての共鳴モードが利用できるために、好ましい構成である。
また、吐出口の開口数、開口配置位置、吐出口の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。例えば吐出口の数を多くすると、徐々に固定端であった液柱共鳴液室の先端の拘束が緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。更に、最も液供給路側に存在する吐出口の開口配置位置を起点に緩い拘束条件となり、また吐出口の断面形状がラウンド形状となったりフレームの厚さによる吐出口の体積が変動したり、実際上の定在波は短波長となり、駆動周波数よりも高くなる。このように決定された駆動周波数で振動発生手段に電圧を与
えたとき、振動発生手段が変形し、駆動周波数にて最も効率よく共鳴定在波を発生する。また、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さをL、液供給側の端部に最も近い吐出口までの距離をLeとする。このとき、L及びLeの両方の長さを用いて下記式4及び式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出口から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
なお、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さLと、液供給側の端部に最も近い吐出口までの距離Leの比がLe/L>0.6であることが好ましい。
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図1の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出口19において連続的に液滴吐出が発生するのである。なお、定在波の圧力が最も大きく変動する位置に吐出口19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。また、吐出口19は1つの液柱共鳴液室18に1つでも構わないが、複数個配置することが生産性の観点から好ましい。具体的には、2〜100個の間であることが好ましい。
100個以下とすることにより、吐出口19から所望の液滴を形成させる際に、振動発生手段20に与える電圧を低く抑えることができ、振動発生手段20としての圧電体の挙動を安定させることができる。また、複数の吐出口19を開孔する場合、吐出口間のピッチは20[μm]以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましい。吐出口間のピッチが20[μm]以上とすることにより、隣り合う吐出口より放出された液滴同士が衝突して大きな滴となってしまう確率を低くすることができ、トナーの粒径分布を良好にすることができる。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について当該様子を示す図6を用いて説明する。なお、同図において、液柱共鳴液室内に記した実線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における速度をプロットした速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力値をプロットした圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。
また、正圧であれば図中の下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の上方向に圧力が加わることになる。更に、同図において、上述したように液共通供給路側が開放されているが液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図1に示す高さh2)に比して固定端となるフレームの高さ(図1に示す高さh1)が約2倍以上である。このため図6では、液柱共鳴液室18がほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
図6の(a)は液滴吐出時の液柱共鳴液室18内の圧力波形と速度波形を示している。
また、図6の(b)は液滴吐出直後の液引き込みを行った後再びメニスカス圧が増加してくる。これらの同図の(a),(b)に示すように、液柱共鳴液室18における吐出口19が設けられている流路内での圧力は極大となっている。その後、図6の(c)に示すように、吐出口19付近の正の圧力は小さくなり、負圧の方向へ移行して液滴21が吐出される。
そして、図6の(d)に示すように、吐出口19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18へのトナー組成液14の充填が始まる。その後、図6の(e)に示すように、吐出口19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー組成液14の充填が終了する。そして、再び、図6の(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出口19から液滴21が吐出される。このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生する。そして、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹に相当する液滴吐出領域に吐出口19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出口19から連続的に吐出される。
[液滴固化]
先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー組成液の液滴を固化させた後に、捕集することで本発明のトナーを得ることが出来る。
[液滴固化手段]
液滴を固化させるには、トナー組成液の性状しだいで、考え方は異なるが、基本的にトナー組成液を固体状態にできれば手段を問わない。
例えばトナー組成液が固体原材料を揮発可能な溶媒に溶解または分散させたものであれば、液滴噴射後、搬送気流中液滴を乾燥させる、すなわち溶媒を揮発させることで達成することができる。溶媒の乾燥にあたっては、噴射する気体の温度や蒸気圧、気体種類等を適宜選定して乾燥状態を調整することが出来る。また、完全に乾燥していなくとも、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、回収後に別工程で追加乾燥させても構わない。前記例に従わなくとも、温度変化や化学的反応等の適用で達成しても良い。
[固化粒子捕集手段]
固化した粒子は公知の粉体捕集手段、例えばサイクロン捕集、バックフィルター等によって気中から回収することが出来る。
図7は、本発明のトナーの製造方法を実施する装置一例の断面図である。トナー製造装置1は、主に、液滴吐出手段2及び乾燥捕集ユニット60を含んで構成されている。
液滴吐出手段2には、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のトナー組成液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、トナー組成液14を随時液滴吐出手段2に供給できる。液供給管16にはP1、乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力および、乾燥捕集ユニット内の圧力は圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1>P2の関係であると、トナー組成液1が吐出口19から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
チャンバ61内では、搬送気流導入口64から作られる下降気流(搬送気流)101が形成されている。液滴吐出手段2から吐出された液滴21は、重力よってのみではなく、搬送気流101によっても下方に向けて搬送され、固化粒子捕集手段62によって捕集される。
[搬送気流]
噴射された液滴同士が乾燥前に接触すると、液滴同士が合体し一つの粒子になってしまう(以下この現象を合着と呼ぶ)。均一な粒径分布の固化粒子を得るためには、噴射された液滴どうしの距離を保つ必要がある。しかしながら、噴射された液滴は一定の初速度を持っているが空気抵抗により、やがて失速する。失速した粒子には後から噴射された液滴が追いついてしまい、結果として合着する。図10にフロー式粒子像解析装置(シスメックス社 FPIA−3000)を用いて撮影された合着粒子の状態及びその粒径を示す。
この現象は定常的に発生するため、この粒子を捕集すると粒径分布はひどく悪化することとなる。合着を防ぐためには液滴の速度低下を無くし、液滴同士を接触させないように搬送気流101によって合着を防ぎながら、液滴を固化させつつ搬送する必要があり、最終的には固化粒子捕集手段まで固化粒子を運ぶ。
例えば搬送気流101は図1に示されるように、その一部を第一の気流として液滴吐出手段近傍に液滴吐出方向と同一方向に配置することで、液滴吐出直後の液滴速度低下を防ぎ、合着を防止することが出来る。あるいは、合着防止のための気流は図8に示すように吐出方向に対して横方向であってもよい。あるいは図示していないが角度を持っていても良く、液滴吐出手段より液滴が離れるような角度を持っていることが望ましい。図8のように液滴吐出に対して横方向から合着防止気流を与える場合は吐出口から合着防止気流によって液滴が搬送された際に軌跡が重ならないような方向であることが望ましい。
上記のように第一の気流によって合着を防いだ後に、第二の気流によって固化粒子捕集手段まで固化粒子を運んでもよい。
第一の気流の速度は液滴噴射速度と同じかそれ以上であることが望ましい。液滴噴射速度より合着防止気流の速度が遅いと、合着防止気流本来の目的である液滴粒子を接触させないという機能を発揮させることが難しい。
第一の気流の性状は、液滴同士が合着しないような条件を追加することが出来、第二の気流と必ずしも同じでなくとも良い。また、合着防止気流に粒子表面の固化を促進させるような化学物質を混入したり、物理的作用期待して付与したりしても良い。
搬送気流101は特に気流の状態として限定されることは無く層流や旋回流や乱流であっても構わない。搬送気流101を構成する気体の種類は特に限定は無く、空気であっても窒素等の不燃性気体を用いても良い。また、搬送気流101の温度は適宜調整可能であり、生産時において変動の無いことが望ましい。またチャンバ61内に搬送気流101の気流状態を変えるような手段をとっても構わない。搬送気流101は液滴21同士の合着を防止すだけでなく、チャンバ61の壁面に付着することを防止することに用いても良い。
[二次乾燥]
図7で示された乾燥捕集手段によって得られたトナー粒子に含まれる残留溶剤量が多い場合はこれを低減するために必要に応じて、二次乾燥が行われる。二次乾燥としては流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることが出来る。有機溶剤がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者および周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
(画像形成装置)
図9に、本発明の画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備える。
複写装置本体150の中央部に設けられている中間転写ベルト50は、3個のローラ14、15及び16に張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。ローラ15の近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写ベルト50上に残留したトナーを除去するためのクリーニングブレードを有するクリーニング装置17が配置されている。ローラ14及び15により張架された中間転写ベルト50に対向すると共に、搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像形成ユニット120Y、120C、120M及び120Kが並置されている。また、画像形成ユニット120の近傍には、露光装置21が配置されている。さらに、中間転写ベルト50の画像形成ユニット120が配置されている側とは反対側には、二次転写ベルト24が配置されている。なお、二次転写ベルト24は、一対のローラ23に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写ベルト50は、ローラ16と23の間で接触することができる。また、二次転写ベルト24の近傍には、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧されて配置された加圧ローラ27とを備える定着装置25が配置されている。なお、二次転写ベルト24及び定着装置25の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、画像形成装置100Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。まず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に、カラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に、カラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした場合は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした場合は、直ちに、スキャナ300が駆動し、光源を備える第1走行体33及びミラーを備える第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体34で反射した後、結像レンズ35を介して、読み取りセンサ36で受光することにより、原稿が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
各色の画像情報は、各色の画像形成ユニット120に伝達され、各色のトナー像が形成される。各色の画像形成ユニット120は、図4に示すように、それぞれ、感光体ドラム10と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電ローラ160と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、各色の静電潜像を形成する露光装置と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像装置61と、トナー像を中間転写ベルト50上に転写させるための転写ローラ62と、クリーニングブレードを有するクリーニング装置63と、除電ランプ64とを備える。
各色の画像形成ユニット120で形成された各色のトナー像は、ローラ14、15及び16に張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)され、重ね合わされて複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラを回転して手差しトレイ54上の記録紙を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。次に、中間転写ベルト50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させることにより、中間転写ベルト50と二次転写ベルト24との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写ベルト50上に残留したトナーは、クリーニング装置17により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト24により搬送された後、定着装置25により複合トナー像が定着される。次に、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。あるいは、記録紙は、切換爪55により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置28により反転され、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ56により排紙トレイ57上に排出される。
本発明は下記の(1)のトナーに係るものであるが、次の(2)〜(11)をも実施の形態として含む。
(1)少なくとも非晶性樹脂と離型剤とを含有するトナーであって、前記非晶性樹脂の接触角(A)と離型剤の接触角(B)とが下記関係式(1)を満たし、メタノールに対する疎水化度が75%以上であることを特徴とするトナー。
A+5°≦B≦A+30° ・・・ (1)
(2)更に結晶性樹脂を含有し、前記非晶性樹脂の接触角(A)と前記結晶性樹脂の接触角(C)とが下記関係式(2)を満たすことを特徴とする(1)に記載のトナー。
C≦A―2° ・・・ (2)
(3)前記離型剤のトナー母体粒子中に占める割合が、3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のトナー。
(4)前記離型剤の、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記離型剤の量が0.1以上4質量%未満であることを特徴とする請求項(1)乃至(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)前記結晶性樹脂のトナー母体粒子中に占める割合が、2質量%以上30質量%以下であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)前記結晶性樹脂は、オルトジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布が、重量平均分子量(Mw)で3000〜30000、数平均分子量(Mn)で1000〜10000、Mw/Mnが1〜10であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかにに記載のトナー。
(7)前記トナーの、示差走査熱量測定(DSC)における昇温一回目に算出されるガラス転移温度(Tg1st)が20℃以上60℃未満であることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)前記トナーの体積平均粒径が1μm〜10μmであり、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1〜1.10の範囲にあることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載のトナー。
(9)噴射造粒法によって作製されたことを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載のトナー。
(10)前記噴射造粒における液滴形成工程が、少なくとも1つの吐出孔が形成された液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴を形成する工程である(9)に記載のトナーの製造方法。
(11)(1)乃至(9)のいずれかに記載のトナーとキャリアとを少なくとも含有することを特徴とする現像剤。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
なお、いわゆる当業者は以下に示す本発明の実施例について適宜変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正は本発明に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい実施形態における例であって、本発明を限定するものではない。
特に明記しない限り、部は質量部を示し、また、%は質量%を示す。
(結着樹脂の合成)
以下に結着樹脂である非晶性樹脂及び結晶性樹脂の合成例を記載する。
<非晶性樹脂の合成>
―非晶性樹脂1の合成―
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、アルコール成分として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物0.5モル及び、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物0.5モルを、カルボン酸成分として、テレフタル酸0.9モルを、エステル化触媒としてオクチル酸スズを入れ、窒素雰囲気下、180℃で4時間縮重合反応させた。その後、トリメリット酸0.07モルを追加して、210℃に昇温して1時間反応させ、さらに8KPaにて1時間反応させることにより、[非晶性樹脂1]を合成した。この樹脂の水への接触角は72°、質量平均分子量は70000、ガラス転移点は61℃であった。
−非晶性樹脂2の合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、アルコール成分として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物0.6モル及び、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物0.6モルを、カルボン酸成分として、テレフタル酸0.6モルを、エステル化触媒としてオクチル酸スズを入れ、窒素雰囲気下、180℃で4時間縮重合反応させた。その後、トリメリット酸0.07モルを追加して、210℃に昇温して1時間反応させ、さらに8KPaにて1時間反応させることにより、[非晶性樹脂2]を合成した。この樹脂の水への接触角は66°、質量平均分子量は14000、ガラス転移点は55℃であった。
−非晶性樹脂3の合成−
下記の物性を有するスチレン−アクリル酸nブチル共重合樹脂を用い、これを[非晶性樹脂3]とした。
水への接触角 : 84°
質量平均分子量 : 13000
ガラス転移温度 : 53℃
−非晶性樹脂4の合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物をモル比で85/15、イソフタル酸とアジピン酸をモル比で80/20とし、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHを1.2で仕込み、500ppmのチタンテトライソプロポキシドと共に常圧で230℃で8時間反応し、さらに10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応し中間体ポリエステルを得た。次に、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に中間体ポリエステルとイソホロンジイソシアネートを投入した。このとき、イソホロンジイソシアネートのmol%が全モノマー中の0.8mol%となるようにした、反応条件は200℃で4時間とした。最後に、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れ、180℃、常圧で3時間反応し、[非晶性樹脂4]を得た。
この樹脂の水への接触角は79°、質量平均分子量は14,000、ガラス転移点は55℃であった。
非晶性樹脂の諸特性を表1に示す。
<結晶性樹脂の合成>
−結晶性樹脂1−
[結晶性樹脂1]としてポリエステル系結晶性樹脂(DIC株式会社製)を用いた。この結晶性樹脂の融点は68℃,接触角は60°であった。
−結晶性樹脂2−
[結晶性樹脂2]としてポリエステル系結晶性樹脂(DIC株式会社製)を用いた。結晶性樹脂の融点は68℃,接触角は68°であった。
−結晶性樹脂3−
[結晶性樹脂3]としてポリエステル系結晶性樹脂(DIC株式会社製)を用いた。結晶性樹脂の融点は67℃,接触角は75°であった。
結晶性樹脂の諸特性を表1に示す。
(結晶性樹脂1〜3の分散液の調製)
―結晶性樹脂1の分散液の作製―
金属製2L容器に[結晶性樹脂1]を100g、酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分の速度で急冷した。これにガラスビーズ(3mmφ)500mlを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性樹脂1分散液]を得た。得られた[結晶性樹脂1分散液1]中の結晶性樹脂1の体積平均粒径をレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−950、堀場製作所製)を用いて測定したところ、0.56μmであった。
−結晶性樹脂1溶解液の作製−
[結晶性樹脂1分散液]を攪拌しながら、ウォーターバスにて60℃に加温することで分散液が白色から透明となり、結晶性樹脂1の溶解液が得られた。
―結晶性樹脂2の分散液の作製―
結晶性ポリエステル分散液1の作製と同様の方法で、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂2]変更して、[結晶性樹脂1分散液]を得た。結晶性樹脂1と同様な方法で測定した結晶性樹脂2の体積平均粒径は0.52μmであった。
―結晶性樹脂3の分散液の作製―
結晶性樹脂1分散液の作製と同様の方法で、[結晶性樹脂1]を[結晶性樹脂3]に変更して、[結晶性樹脂3分散液]を得た。結晶性樹脂1と同様な方法で測定した結晶性ポリエステル樹脂3の体積平均粒径は0.64μmであった。
(着色剤分散液の調製)
先ず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(RegaL400;Cabot社製)17部、顔料分散剤3部を、酢酸エチル80部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。得られたカーボンブラックの二次分散液を[着色剤分散液]とした。
(離型剤分散液、離型剤溶解液の調製)
―離型剤1の分散液の調製―
次に離型剤分散液を調製した。
離型剤1(エステル系ワックス 三洋化成工業株式会社製)18部、離型剤分散剤2部を、酢酸エチル80部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバ離型剤を溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるよう離型剤粒子を析出させた。離型剤分散剤としては、ポリエチレン離型剤にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下になるよう調製した。離型剤1の融点は70℃であり、接触角は99°であった。
―離型剤2の分散液の調製―
離型剤2(HNP−9 日本精鑞株式会社製)18部、離型剤分散剤2部を、酢酸エチル80部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバ離型剤を溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるよう離型剤粒子を析出させた。
離型剤分散剤としては、ポリエチレン離型剤にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。
得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下になるよう調製した。離型剤2の融点は75℃であり、接触角は86°であった。
―離型剤2の溶解液の調製―
離型剤2分散液をスターラーを用いて攪拌しながらウォーターバスにて70℃に加熱することで分散液の色が白色から透明となり、離型剤2の溶解液が得られた。
―離型剤3の分散液の調製―
離型剤3(エステル系ワックス 日油株式会社製)18部、離型剤分散剤2部を、酢酸エチル80部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温しカルナバ離型剤を溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるよう離型剤粒子を析出させた。
離型剤分散剤としては、ポリエチレン離型剤にスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを使用した。
得られた分散液を、更にビーズミル(アシザワファインテック社製LMZ型、ジルコニアビーズ径0.3mm)を用いて強力なせん断力により細かく分散し、最大径が1μm以下になるよう調製した。離型剤3の融点は53℃であり、接触角は111°であった。
離型剤の諸特性を表3に示す。
(トナー組成液の調製)
次に、上記非晶性樹脂、結晶性樹脂、着色剤、及び上記離型剤が表5の組成になるように各樹脂、分散液、乃至溶解液を、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させて表4に示す[トナー組成液A]〜[トナー組成液H]及び[トナー組成液I]〜[トナー組成液K]を得た。この中で[トナー組成液G]では離型剤を、[トナー組成液H]では結晶性樹脂を、溶解した状態で添加した。結晶性樹脂及び離型剤の溶解状態を保持するために、他材料が溶解された組成液を予め50℃に加温しておき、その中に離型剤2の溶解液または結晶性樹脂1の溶解液を投入することによって、析出を防いだ。
各トナー組成液の構成成分等を表4に示す。
(実施例A)
<トナーAの作製>
[トナー組成液A]を、図1、図2、図3(a)に示すトナー製造装置を用い、図4に示す液柱共鳴原理を用いた液滴吐出ヘッドにより以下に示す条件で液滴を吐出させた。その後、該液滴を乾燥固化し、サイクロン捕集した後、更に35℃にて48時間2次乾燥させることにより、トナー母体粒子Aを作製した。
[液柱共鳴条件]
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
[トナー母体粒子作製条件]
分散液比重 :ρ=1.1g/cm
吐出口の形状 :真円
吐出口直径 :7.5μm
吐出口の開口数 :液柱共鳴液室1つ当たり4個
隣接する吐出口の中心部間の最短間隔 :130μm(全て等間隔)
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :10.0V
駆動周波数 :395kHz
(実施例B)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液B]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーB]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(実施例C)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液C]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーC]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(実施例D)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液D]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーD]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(実施例E)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液E]に変更したこと以外は実施例Aと同様にしてトナーEを得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(実施例F)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液F]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーF]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(実施例G)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液G]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーG]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(実施例H)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液H]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーH]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(比較例A)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液I]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーI]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(比較例B)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液J]に変更したこと以外は実施例Aと同様にして[トナーJ]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(比較例C)
実施例Aの、[トナー組成液A]を[トナー組成液K]に変更して、[トナーK]を得た。トナー諸特性を表5にまとめた。
(キャリアの作製)
下記組成をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を、流動床型コーティング装置を用いて、粒径40μmの球状マグネタイト1,000部の表面にコーティングして磁性キャリアを得た。
[組成]
シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン) 100部
トルエン 100部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5部
カーボンブラック 10部
(現像剤の作製)
[トナーA]〜[トナーK]のそれぞれについて、トナー4部及び上記磁性キャリア96部をボールミルで混合して二成分現像剤を作製した。
各トナーおよび二成分現像剤について、以下に示す方法で、粒径分布、離型剤の質量割合、0.3μm深さの離型剤量、疎水化度、コールドオフセット性、ホットオフセット性、耐フィルミング性、耐熱保存性について評価した。
以下に評価方法について述べる。
<<粒径分布>>
トナーの粒径分布をフロー式粒子像分析装置(FPIA−3000、シスメックス株式会社製)を用いて下記に示す測定方法にて測定した。
〔測定方法〕
ガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5mL添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでパーティクルシース(シスメックス社製)80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。
前記分散液を前記フロー式粒子像分析装置FPIA−3000を用いて、分散液濃度調整のための1回目の測定を行なう。装置が示す有効解析数が、3500〜14000に成るように、前記分散液を薄めて、2回目の測定を行う。(1回目の測定の有効解析数を7000で割った数値倍で、前記分散液をパーティクルシースで薄めると、2回目の測定の有効解析数が3500〜14000の間にほぼ入る。また、有効解析数が3500以下の場合は、トナー量を多くして前記分散液を作り直す。)なお、測定の条件は、対物レンズ10倍、測定モード:HPFで行う。有効解析数が3500以下の場合は、測定数が少なく測定誤差が大きくなる。また、有効解析数が14000以上の場合は、サンプル濃度が高いため、2粒子を1粒子と解析するため、粒径が大きくなったり、円形度が低くなったりしてしまう。
得られたデータを用いて、粒度分布を計算する。トナーの体積平均粒径(Dv)は、円相当径(体積基準)、トナーの数平均粒径(Dn)は、円相当径(個数基準)を用いる。なお、解析条件(粒子径/形状)は、0.500<=円相当径<200.0、0.200<=円形度<=1.000である。
本発明のトナーの重量平均粒径としては、高解像度で、高精細・高品質な画像を形成する観点から、1μm〜8μmであることが好ましい。
また、前記トナーの粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)としては、長期にわたって安定した画像を維持する観点から、1.00〜1.15であることが好ましく、1.00〜1.10であることいがより好ましい。
<<疎水化度の測定方法>>
疎水化度の測定はメタノール滴定試験によって行う。メタノール滴定試験は疎水化された表面を有する微粒子の疎水化度を確認する実験的試験である。
メタノール滴定試験を、疎水化された表面を有するシリカ微粉末の疎水化度を測定する場合を例に挙げて以下説明する。
・容量250mlの三角フラスコ中に水50mlを入れ、更にシリカ微粒子0.2gを添加する。
・マグネットスターラーで緩やかに攪拌しつつ、滴下時に先端が水中に浸漬されたビューレットからメタノールを添加していく。
・シリカ微粉体の全量が液体中に懸濁された時を滴定の終点とする。
疎水化度は下記式に示すように、終点に達した際のメタノール及び水の液状混合物中のメタノールの百分率として表される。
疎水化度(%)
=(滴下メタノールの質量/(50ml+滴下メタノールの質量))×100
<<コールドオフセット性>>
現像剤を、市販の複写機リコー製複写機imageo Neo C600を使用し、A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に3cm×5cmの長方形となるような画像を紙面の先端から5cmの位置に付着量0.85mg/cmのトナーサンプルを作製し、続いて定着部材の温度を120℃に常に制御した上で線速300mm/secにて定着させた(トナー重量は画像出力前後の用紙の重量から計算した)。
120℃においてオフセットの発生有無を試験者の目視評価にて基準で判定した
○:コールドオフセットが発生していない
△:微小なコールドオフセット箇所が認められるが3箇所以下である
×:コールドオフセットが発生している
<<ホットオフセット性>>
現像剤を、市販の複写機リコー製複写機imageo Neo C600に入れ、A4サイズの用紙(T6000 70W T目、リコー社製)に3cm×5cmの長方形となるような画像を紙面の先端から5cmの位置に付着量0.85mg/cm2のトナーサンプルを作製し、定着温度を低温から高温に変化させながら画像を出力する。そして、画像の光沢度が低下した温度もしくは画像にオフセット画像が見られた場合をオフセット発生温度とした。評価結果を下記の表1に示す。オフセット発生温度が200℃以上である場合を○、200℃未満である場合を×として評価した。
<<耐フィルミング性>>
作製した各現像剤をタンデム型カラー画像形成装置(imageo Neo C600、株式会社リコー製)を用いて、20%画像面積のチャートを、画像濃度1.4±0.2になるようにトナー濃度を制御しながら、20万枚出力後の電子写真用現像剤の帯電量(μc/g)の変化量(20万枚ラン後の帯電量の低下量/ラン初期の帯電量)で、出力前の初期値と比較して、下記基準で評価した。なお、帯電量は、ブローオフ法で測定した。
〔評価基準〕
◎:15%未満
○:15%以上30%未満
△:30%以上50%未満
×:50%以上
トナーが電子写真用キャリアにフィルミングすることで、電子写真用キャリア最表面の組成が変化して、帯電量が低下する。この、ラン前後における帯電量の変化が少ないほど、トナーの電子写真用キャリアへのフィルミングの程度が少ないと判断される。
<<耐熱保存性>>
50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により、針入度を測定し、下記基準により耐熱保存性を評価した。なお、針入度が大きい程、耐熱保存性が優れていることを意味し、針入度が5mm未満であるもの(×)は、使用上、問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
○:針入度が10mm以上
△:針入度が5mm以上10mm未満
×:針入度が5mm未満
実施例A〜Hの、トナーA〜Hは、いずれの項目においても優れた結果であった。
一方、比較例A、Cにおいては、耐オフセット性に優れるものの、耐フィルミング性に劣る結果となった。これは最表面に離型剤が偏在していたために耐フィルミング性の低下に繋がったと考えられる。
比較例Bは耐フィルミング性に優れるものの、耐オフセット性が劣る結果となった。これは、離型剤が内部に偏在していたために、低温での定着の際に離型剤の表面への染み出しが不十分であったために耐オフセット性の低下に繋がったと考えられる。
(図1〜8)
1:トナー製造装置
2:液滴吐出手段
6:トナー組成液供給口
7:トナー組成液流路
8:トナー組成液排出口
9:弾性板
10:液柱共鳴液滴吐出ユニット
11:液柱共鳴液滴吐出手段
12:気流通路
13:原料収容器
14:トナー組成液
15:液循環ポンプ
16:液供給管
17:液共通供給路
18:液柱共鳴流路
19:吐出口
20:振動発生手段
21:液滴
22:液戻り管
23:合着液滴
24:ノズル角度
60:乾燥捕集手段
61:チャンバ
62:トナー捕集手段
63:トナー貯留部
64:搬送気流導入口
65:搬送気流排出口
P1:液圧力計
P2:チャンバ内圧力計
(図9について)
50 中間転写体
51 ローラ
52 手差しトレイ
53 手差し給紙路
55 切り換え爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
59 帯電器
60 クリーニング装置(クリーニングブレード)
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 記録紙
100A、100B、100C 画像形成装置
110 ベルト式定着装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142a、142b 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145a、145b 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
特開平7−84401号公報 特開平5−341577号公報

Claims (11)

  1. 少なくとも非晶性樹脂と離型剤とを含有するトナーであって、前記非晶性樹脂の接触角(A)と離型剤の接触角(B)とが下記関係式(1)を満たし、メタノールに対する疎水化度が75%以上であることを特徴とするトナー。
    A+5°≦B≦A+30° ・・・ (1)
  2. 更に結晶性樹脂を含有し、前記非晶性樹脂の接触角(A)と前記結晶性樹脂の接触角(C)とが下記関係式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
    C≦A―2° ・・・ (2)
  3. 前記離型剤のトナー母体粒子中に占める割合が、3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記離型剤の、FTIR−ATR(全反射吸収赤外分光)法により求められる、表面から0.3μmまでの深さ領域に存在する前記離型剤の量が0.1以上4質量%未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記結晶性樹脂のトナー母体粒子中に占める割合が、2質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 前記結晶性樹脂は、オルトジクロロベンゼンの可溶分のGPCによる分子量分布が、重量平均分子量(Mw)で3000〜30000、数平均分子量(Mn)で1000〜10000、Mw/Mnが1〜10であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかにに記載のトナー。
  7. 前記トナーの、示差走査熱量測定(DSC)における昇温一回目に算出されるガラス転移温度(Tg1st)が20℃以上60℃未満であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記トナーの体積平均粒径が1μm〜10μmであり、粒度分布(体積平均粒径/個数平均粒径)が、1〜1.10の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 噴射造粒法によって作製されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
  10. 前記噴射造粒における液滴形成工程が、少なくとも1つの吐出孔が形成された液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴を形成する工程である請求項9に記載のトナーの製造方法。
  11. 請求項1乃至9のいずれかに記載のトナーとキャリアとを少なくとも含有することを特徴とする現像剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017194540A (ja) * 2016-04-19 2017-10-26 キヤノン株式会社 トナーおよびトナーの製造方法

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