JP5834605B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
近年、アウトプットされた紙などは、リサイクルが進み、再生紙化される比率が高まっている。しかし、紙を再生する際に、紙から取り除かれたトナーを再利用することは現在の技術では困難であるため、焼却処分され、CO2が排出されている。
したがって、トナーに含まれる樹脂を石油由来のものから、バイオマス樹脂に変換することにより、カーボンニュートラルで、再生可能な資源として利用できるようになる。
しかしながら、従来のトナー生産工法では、乳酸系樹脂を多く含有させると、樹脂の極性の高さ、結晶性の高さ、機械的な強度などにより、トナー粒子を造粒することが困難になるため、乳酸系樹脂の比率を高くすることが困難であった。このため、必ずしも環境に十分配慮したトナーを得ることができないという問題があった。
<1> 吐出孔を有する液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成させ、前記定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴を形成し、前記液滴を固化してなるトナーであって、
前記トナー組成液が、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなり、
前記結着樹脂が、ポリビドロキシカルボン酸骨格を有し、かつ有機溶剤に可溶である樹脂を含有することを特徴とするトナーである。
<2> 液柱共鳴液室が2つ以上の吐出孔を有する前記<1>に記載のトナーである。
<3> ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸を重合して得られたものである前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、乳酸を重合して得られたものである前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、ラクチドを開環重合して得られたものである前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、L−ラクチド及びD−ラクチドの混合物を開環重合して得られたものである前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> 離型剤が、カルナバワックス及びライスワックスの少なくともいずれかである前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 重量平均粒径が1μm〜10μmであり、かつ粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.00〜1.15である前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<10> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記現像剤が前記<9>に記載の現像剤であることを特徴とする画像形成装置である。
<11> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を現像剤を用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像をローラ状又はベルト状の定着部材を用いて加熱加圧し、定着する定着工程とを少なくとも含み、前記現像剤が前記<9>に記載の現像剤であることを特徴とする画像形成方法である。
<12> 吐出孔を有する液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成させ、前記定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴を形成し、前記液滴を固化するトナーの製造方法であって、
前記トナー組成液が、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなり、
前記結着樹脂が、ポリビドロキシカルボン酸骨格を有し、かつ有機溶剤に可溶である樹脂を含有することを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明のトナーは、吐出孔を有する液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成させ、前記定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴を形成し、前記液滴を固化してなり、必要に応じてその他の工程を経てなる。
また、本発明のトナーは、前記トナー組成液が、前記結着樹脂、着色剤及び離型剤を含むトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなり、前記結着樹脂が、ポリビドロキシカルボン酸骨格を有し、かつ有機溶剤に可溶である樹脂を含有してなる。
本発明のトナーの製造方法は、液滴吐出工程と、液滴固化工程とを少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明に使用するトナーの製造装置は、液滴吐出手段と、液滴固化手段とを少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記液滴吐出工程は、少なくとも1つの吐出孔からトナー組成液を液滴状に吐出する工程であり、液滴吐出手段により実施することができる。本発明においては、前記液滴吐出工程において、前記吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与して液柱共鳴により圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出することを必須とし、該液滴吐出工程は、前記液滴吐出手段により実施することができる。
前記液柱共鳴液室の形状としては、前記振動により圧力定常波を形成することができれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、四角柱(長方体)、円柱、円すい台などが挙げられる。
前記液柱共鳴液室の長手方向の両端における、少なくとも一部に反射壁面が設けられることが好ましい。ここで、「反射壁面」とは、液体の音波を反射させる程度に硬質な部材、例えば、アルミ、ステンレス等の金属部材、シリコーン等の部材などにより形成された壁面をいう。
図1は、液柱共鳴液滴吐出手段の構成を示す断面図である。また、図2は、液柱共鳴液滴吐出ユニットの構成を示す断面図である。
図1に示す液柱共鳴液滴吐出手段11は、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を含んでなる。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち一方の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、両端の壁面と連結する壁面のうち一つの壁面に液滴21を吐出する吐出孔19と、吐出孔19と対向する壁面に設けられ、かつ液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
また、図2からわかるように、吐出孔19の開口を多数設けることができ、よって生産効率が高くなる点で、吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設ける構成を採用することが好ましい。また、吐出孔19の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液柱共鳴周波数は液滴の吐出を確認して適宜決定することが好ましい。
先ず、図1の液柱共鳴液滴吐出手段11内の液柱共鳴液室18において生じる液柱共鳴現象の原理について説明すると、液柱共鳴液室内のトナー組成液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、液体の共鳴が発生する波長λは、
λ=c/f ・・・(式1)
の関係にある。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、N:偶数)
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある開放端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端又は片側開放端の場合には、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
(L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、c:トナー組成液の音波の速度、N:自然数)
と導かれる。しかし、実際には、液体は共鳴を減衰させる粘性を持つために無限に振動が増幅されるわけではなく、Q値を持ち、後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
(L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Le:液供給路側の端部と、該端部に最も近い吐出孔の中心部との距離、c:トナー組成液の音波の速度、N:自然数)
Le/L>0.6 ・・・(式6)
に相当する液滴吐出領域に吐出孔19が配置されていることから、当該腹の周期に応じて液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
図8の(b)は、吐出孔19の接液面から吐出口に向かって一定の角度を持って開口径が狭くなるような形状を有しており、このノズル角度44は、適宜変更することができる。図8(a)の形状と同様に、このノズル角度によって吐出孔19の出口付近でトナー組成液にかかる圧力を高めることができる。前記ノズル角度44としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60°〜90°が好ましい。前記ノズル角度が、60°未満であると、トナー組成液に圧力がかかりにくく、更に加工もし難いため好ましくない。前記ノズル角度44が、90°を超えると、吐出孔19の出口付近で圧力がかからなくなるため、液滴吐出が非常に不安定化する。したがって、前記ノズル角度44としては、90°(図8の(c)に相当する)を最大値とすることが好ましい。
図8の(d)は、図8(a)と(b)とを組み合わせた形状である。このように段階的に形状を変更してもよい。
前記固化工程は、前記液滴を固化する工程であり、前記固化手段により実施することができる。具体的には、先に説明した液滴吐出手段から気体中に吐出させたトナー組成液の液滴を固化(乾燥)さる工程及び手段であり、更に捕集する工程及び手段を含んでいてもよい。以下、固化(乾燥)及び捕集を行う液滴固化工程及び液滴固化手段(「乾燥捕集工程」、「乾燥捕集手段」ともいう)について説明する。
前記液滴吐出手段2としては、前述した液柱共鳴液滴吐出手段14を好適に用いることができる。液滴吐出手段2には、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を液供給管16を通して液滴吐出手段2に供給し、更に液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のトナー組成液14を圧送する液循環ポンプ15とが連結されており、トナー組成液14を随時液滴吐出手段2に供給できる。前記液供給管16にはP1、前記乾燥捕集ユニットにはP2の圧力測定器が設けられており、液滴吐出手段2への送液圧力、及び乾燥捕集ユニット内の圧力は、それぞれ圧力計P1、P2によって管理される。このときに、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも大きい場合には、トナー組成液14が吐出孔19から染み出すおそれがあり、P1の圧力測定値がP2の圧力測定値よりも小さい場合には、液滴吐出手段2に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1の圧力測定値とP2の圧力測定値とがほぼ同じあることが好ましい。
トナー組成液14を吐出して形成された液滴21は、液滴吐出手段2から吐出された直後は液体の状態であるが、チャンバー内を搬送される間にトナー組成液中に含まれる揮発溶剤が揮発することで乾燥が進行し、液体から固体に変化する。このような状態では、もはや粒子同士が接触しても合着は生じないため、トナー捕集手段62によってトナー粉体として回収することができ、トナー貯蔵部63に格納することができる。トナー貯蔵部63に格納されたトナーは、必要に応じて更に別の工程で乾燥される。
前記搬送気流101を構成する気体の種類としては、特に制限はなく、空気であっても、窒素等の不燃性気体であってもよいが、前述のように液滴21は乾燥することで合着しなくなる性質があるため、液滴21の乾燥を促進できる条件を持つことが好ましい。したがって、トナー組成液14に含まれる溶剤の蒸気を含まないことが好ましい。また、搬送気流101の温度としては、適宜調整可能であり、生産時において変動のないことが好ましい。
なお、前記搬送気流101は、液滴21同士の合着を防止するだけでなく、液滴21がチャンバ61に付着することを防止するために用いてもよい。
前記二次乾燥としては、特に制限はなく、流動床乾燥や真空乾燥のような一般的な公知の乾燥手段を用いることができる。
前記液滴乾燥捕集手段では、液滴の合着を搬送気流によって抑える説明を行っているが、合着防止が充分でない場合には、更なる合着防止手段を取り入れることもできる。
前記合着防止手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液滴吐出手段2付近での補助搬送気流の導入、液滴への同一極性の帯電、電界制御などが挙げられる。
図10に記載されているように、補助搬送気流68は、液滴21の進行方向と同一であることが好ましいが、合着を防ぐことができれば、液滴吐出方向と補助搬送気流の方向とが同じである必要はない。
図13に示すように、吐出孔19から吐出した液滴21は、空気抵抗を受けて吐出速度が急速に低下し、且つ自然落下を始める。吐出速度が低下すると、液滴間距離が短くなり、やがては液滴間での合着が生じ、合着液滴23が形成されるようになる。また、合着した液滴は、空気抵抗が増し、乾燥も遅れるため、更に別の液滴と合着を引き起こすようになり、数個の液滴が合着する場合もある。このような液滴が乾燥すると、合着した後に乾燥した粒子を生じ、結果として得られるトナーの粒度分布は広くなる。
図15では、基本粒子が結着した状態(結着粒子)を示している。前記結着粒子は、機械的強度を与えても粒子間のほぐれが無く、大きな粒子として振舞うため、基本粒子同士の結着も好ましくない。前記結着粒子は、ある程度粒子が乾燥した後に粒子同士が結合した結果得られるものと考えられる。このような粒子の発生は、ある程度乾燥が進行した粒子が配管壁面への付着し、やがて別の乾燥の進んでいない粒子が壁面に付着した粒子と結着した後に乾燥が進行し、配管から剥がれて回収されると考えられる。前記結着粒子の発生防止は、乾燥を早く確実に実施すること、気流制御によって配管内への粒子付着を抑えることなどにより達成できる。
前記トナー組成液は、トナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散させた組成液であり、前記トナー組成物は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤を含み、さらに、必要に応じて、帯電制御剤、磁性体、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などのその他の成分を含む。
前記トナー組成液の調製は、ホモミキサー乃至ビーズミルなどを用いて、着色剤、離型剤等の分散体を吐出孔の開口径に対して充分微細なものとすることが吐出孔の詰りを防止するために重要となる。
トナー組成液の固形分としては、5質量%〜40質量%であることが好ましい。前記固形分が、5質量%未満であると、生産性が低下するだけでなく、着色剤、離型剤等の分散体が沈降や凝集を起こしやすくなるため、トナー粒子ごとの組成が不均一になりやすく、トナー品質が低下する場合がある。前記固形分が、40質量%を超えると、小粒径のトナーが得られない場合がある。
前記有機溶剤としては、結着樹脂を溶解し、着色剤、離型剤等の分散体を安定に分散できる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー組成液を気相中で液滴化し乾燥してトナーを製造する場合に用いられるため、容易に乾燥できる有機溶剤が好ましい。
前記有機溶剤としては、例えば、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類、アルコール類が好ましく、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる結着樹脂としては、前記有機溶剤に可溶な、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有する樹脂を含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記結着樹脂に含まれるポリヒドロキシカルボン酸骨格の含有量としては、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格は、ヒドロキシカルボン酸を(共)重合してなる。
前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの透明性及び熱特性の観点から、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸がより好ましい。
前記炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸などが挙げられる。これらの中でも、適切なガラス転移温度を示し、樹脂の透明性及び着色剤との親和性に優れる点で、乳酸が特に好ましい。
なお、前記炭素数が7以上のヒドロキシカルボン酸も用いることができるが、その含有量が高すぎると、合成した樹脂のガラス転移温度(Tg)が低下して、保存性などが悪化するため、好ましくない。
前記反応開始剤としては、100℃、20mmHg以下の減圧乾燥や200℃程度の重合過熱を行っても揮散しないアルコール成分であれば、官能基数を問わず従来公知のいずれをも使用することができるが、樹脂と着色剤との親和性を向上させる点で、2価以上の多価アルコールが好ましい。
なお、前記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、DSC−6220R、セイコーインスツル社)を用いて求めることができる。
なお、前記数平均分子量(Mn)は、THFに溶解させた樹脂を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定することができる。測定装置としては、例えば、GPC−150C(ウォーターズ社製)を用いることができ、カラムとしては、例えば、KF801〜807(ショウデックス社製)を用いることができる。
以下では、前記ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、ポリ乳酸骨格である場合を例に説明する。
前記ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合により結合したポリマーであり、近年、環境に優しい生分解性プラスティックとして注目を集めている。即ち、自然界には、エステル結合を切断する酵素(エステラーゼ)が広く分布していることから、ポリ乳酸は環境中でこのような酵素により徐々に分解されて、単量体である乳酸に変換され、最終的には二酸化炭素と水になる。
光学純度X(%)=|X(L体)−X(D体)| ・・・(式7)
〔ただし、X(L体)は、モノマー換算でのL体比率(モル%)、X(D体)は、モノマー換算でのD体比率(モル%)を表す〕
光学活性モノマーからなるポリヒドロキシカルボン酸(例えば、前記ポリ乳酸)骨格を有する樹脂を純水と1N水酸化ナトリウムとイソプロピルアルコールとの混合溶媒に添加し、70℃で加熱攪拌して加水分解をする。次いで、ろ過して液中の固形分を除去した後、硫酸を加えて中和して、前記樹脂から分解されたL−体及び/又はD体のモノマーを含有する水性溶液を得る。該水性溶液を、キラル配位子交換型のカラムSUMICHIRAL OA−5000(株式会社住化分析センター製)を用いた高速液体クロマトグラフ(HPLC)で測定し、L体由来のピーク面積S(L)とD体由来のピーク面積S(D)を算出する。該ピーク面積から光学純度X(%)を次のようにして求めることができる。
X(L体)(%) = 100× S(L)/(S(L)+S(D))
X(D体)(%) = 100× S(D)/(S(L)+S(D))
光学純度X(%) = |X(L体)−X(D体)|
なお、当然のことながら、原料で用いているL体、D体は光学異性体であり、光学異性体は、光学特性以外の物理的、化学的性質は同じであるため、重合に用いた場合その反応性は等しく、モノマーの成分比と重合体におけるモノマーの成分比は同じとなる。
よって、本発明のトナーにおいては、ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、L−ラクチド及びD−ラクチドの混合物を開環重合してなることが好ましい。
本発明のトナーに用いる結着樹脂としては、必要に応じて、ポリビドロキシカルボン酸骨格を有しない従来公知のその他の樹脂を含んでいてもよい。
前記その他の樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等からなるビニル重合体、これらの単量体の2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
また、前記酸成分としては、3価以上の多価カルボン酸成分を用いることができるが、架橋構造を多く持たせないため、少量の使用にとどめることが好ましい。前記3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物乃至部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。
前記グリシジル系化合物としては、例えば、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA ジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタル酸、ジグリシジルイソフタル酸、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のジグリシジルエーテルが挙げられる。
前記酸無水物系化合物としては、例えば、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ジオキソテトラヒドロフラニルメチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、テトラフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、ターフェニルテトラカルボン酸無水物、シクロブタンテトラカルボン酸無水物、カルボキシメチルシクロペンタントリカルボン酸無水物などが挙げられる。
前記酸クロライド系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸の酸クロライドなどが挙げられる。
これらの中でも、反応性が高く、取り扱いが容易である点で、ジイソシアネートが好ましく、反応性が高く、ガラス転移温度(Tg)の低下を防ぐ効果が高い点で、芳香族系ジイソシアネートがより好ましく、反応性及び安全性の観点から、イソホロンジイソシアネート(略称:IPDI)が特に好ましい。
前記着色剤は、一般的にトナーに添加し、紙や画像保持体上で発色させるために用いられる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される着色剤を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、これらの混合物などが挙げられる。
前記マスターバッチ用の樹脂としては、ポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、水を含んだ着色剤の水性ペーストを、前記樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法、いわゆるフラッシング法が、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で、好適に使用される。
前記混合及び混練には、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、2質量部〜30質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂のアミン価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アミン価が1mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましく、10mgKOH/g〜50mgKOH/gがより好ましい。前記アミン価が、1mgKOH/g未満である、或いは100mgKOH/gを超えると、顔料分散性が不十分となることがある。
なお、前記酸価は、JIS K0070に記載の方法により測定することができ、前記アミン価は、JIS K7237に記載の方法により測定することができる。
前記分散剤としては、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)などが挙げられる。
前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤100質量部に対して、1質量部〜50質量部が好ましく、5質量部〜30質量部がより好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると、帯電性が低下することがある。
本発明のトナーは、定着時のオフセット防止を目的とし、離型剤としてワックス類を含有してなる。
前記ワックス類としては、特に制限はなく、通常トナー用離型剤として使用されるものを適宜選択することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
本発明のトナーが含んでいてもよいその他の成分としては、帯電制御剤、磁性体微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の機能性微粒子(外添剤)などが挙げられる。
本発明のトナーは、必要に応じて従来公知の帯電制御剤を含んでいてもよい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩、フェノール系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、大きな負帯電性を得られる点で、FCA−2508Nが好ましい。
本発明のトナーは、必要に応じて磁性体を含有させて磁性トナーとすることができる。
前記磁性体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、並びに(3)これらの混合物などが挙げられる。
前記磁性体の具体例としては、Fe3O4、γ−Fe2O3、ZnFe2O4、Y3Fe5O12、CdFe2O4、Gd3Fe5O12、CuFe2O4、PbFe12O、NiFe2O4、NdFe2O、BaFe12O19、MgFe2O4、MnFe2O4、LaFeO3、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、Fe3O4、γ−Fe2O3の微粉末が特に好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整すること、或いは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、磁性体粒子の表面に析出することができる。
なお、前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善する(トナーを流動しやすくする)ものである。
前記流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤又はシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナが好ましく、また、微粉末シリカをシランカップリング剤又はシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された微粉体としては、従来公知の方法により適宜製造してもよいし、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84;Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5;Wacker HDK(WACKER−CHEMIEGMBH社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40;D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名);Franso1(Fransi1社商品名)などが挙げられる。
前記流動性向上剤の個数平均粒径としては、5nm〜100nmが好ましく、5nm〜50nmがより好ましい。
なお、前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
本発明のトナーは、記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナーの除去性を向上させる目的で、クリーニング性向上剤を含んでいてもよい。
前記クリーニング性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。
なお、前記体積平均粒径は、例えば、粒度測定器(マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用い、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析することができる。
前記外添剤をトナーに外添する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種の粉体混合機を用いる方法が挙げられる。
前記粉体混合機としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられ、固定化を行う場合には、ハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサーなどが挙げられる。
本発明のトナーの粒径としては、トナー粒径が小さいほど、ドットや細線の再現性が向上し、ざらつきがなくシャープで高品位な画像が得られるが、トナー粒径が小さすぎると見掛けの付着力が増加して現像性や転写性を低下させるため、重量平均粒径(D4)として、1μm〜10μmが好ましく、2μm〜10μmがより好ましく、3μm〜8μmが特に好ましい。
電子写真現像法は、一成分現像方式と二成分現像方式に大別されるが、いずれの現像方式においても現像され易い粒径が存在し、現像を繰り返すことにより現像装置内に残っているトナーの粒径や粒度分布が変化する結果、画像品質が変化してしまうことがあるため、できる限り粒度分布が狭いことが好ましい。しかし、従来のトナー生産工法においては、前記粒度分布を極めて狭くすることは困難であり、例えば、従来の粉砕トナー場合には、前記粒度分布(D4/Dn)は、分級による生産性の低下を考慮して、通常1.2〜1.4程度である。
一方、本発明のトナーは、その粒度分布が極めて狭く、粒度分布(D4/Dn)としては、現像を繰り返しても非常に安定した画像を得る観点から、1.00〜1.15が好ましく、1.00〜1.10がより好ましい。
なお、前記重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、例えば、粒度測定器(マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用い、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析することができる。
本発明の現像剤は、本発明のトナーを含んでなり、本発明のトナーを一成分現像剤として使用してもよく、本発明のトナーをキャリアと混合することにより二成分現像剤として使用してもよい。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。
なお、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
前記含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物などが挙げられる。
前記磁性材料に含まれる元素としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどが挙げられる。これらの中でも、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト;マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが好適に挙げられる。
前記樹脂コートキャリアに対する被覆材の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定すればよいが、0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
前記キャリアの粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常4μm〜200μmであり、10μm〜150μmが好ましく、20μm〜100μmがより好ましい。特に、キャリアが樹脂コートキャリアである場合には、質量百分率50%に該当する粒径(50%粒径)が、20μm〜70μmが好ましい。
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー乃至非磁性トナーとしても用いることができる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像手段と、可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像をローラ状又はベルト状の定着部材を用いて加熱加圧し、定着する定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、材質としては、有機感光体やアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体などが挙げられる。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記中間転写体もしくは前記記録媒体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、120℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
本発明の画像形成装置の一態様について、図16を参照しながら説明する。図16に示す画像形成装置800は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム810(以下「感光体810」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ820と、前記露光手段としての露光装置830と、前記現像手段としての現像装置840と、中間転写体850と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置860と、前記除電手段としての除電ランプ870とを備える。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置1022及び定着装置1025の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置1028が配置されている。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス1032上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス1032上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体1033及び第2走行体1034が走行する。このとき、第1走行体1033により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体1034におけるミラーで反射し、結像レンズ1035を通して読取りセンサ1036で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
本発明の画像形成方法及び前記画像形成装置では、シャープな粒度分布を有し、帯電性、環境性、経時安定性などのトナー特性が良好である本発明の前記トナーを用いているので、高画質画像を形成することができる。
・バイロエコールBE−400(東洋紡績株式会社製、数平均分子量(Mn)43,000、ガラス転移温度50℃):市販の非晶性のポリ乳酸系樹脂である。
・樹脂1〜3:以下に合成例を示す。
<<樹脂1の合成>>
フラスコ中に、L−ラクチド85.0質量部、D−ラクチド15.0質量部、及びビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)9.3質量部を投入し、内温を徐々に昇温し、5mmHg〜20mmHgの減圧条件下で脱水処理を行った。次いで、N2パージ下でさらに昇温し、目視下で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ0.03質量部を系に投入して重合反応を行った。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を再び流出ラインに切り替え、減圧条件下で未反応のラクチドを除去し、重合反応を完結させ、樹脂Aを得た。
フラスコ中に、樹脂Aを88質量部、及びビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)を6質量部投入し、内温を徐々に昇温した。目視下で系の均一化を確認した後、減圧下で脱水処理を行った。その後、さらに昇温して170℃において2−エチルヘキサン酸スズ0.02質量部を系に投入したのち、伸長剤としてジイソシアン酸イソホロン(IPDI)7質量部を徐々に加えて伸長反応を行い、[樹脂1]を得た。
前記[樹脂1]は、ポリヒドロキシカルボン酸骨格の含有量が79.6質量%、数平均分子量(Mn)が21,000、ガラス転移温度が63℃であった。
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール570質量部、テレフタル酸ジメチル590質量部、アジピン酸155質量部、及び縮合触媒としてのテトラブトキシチタネート5質量部を入れ、窒素気流下、170℃で8時間反応させた後、230℃で4時間反応させた。
次に、5mmHg〜20mmHgの減圧下で反応させた後、軟化点が150℃になった時点で取り出した。
更に、取り出した樹脂を冷却した後、粉砕して、中間体ポリエステル樹脂Bを得た。前記中間体ポリエステル樹脂Bは、数平均分子量(Mn)が2,400、酸価が18KOHmg/g、水酸基価が38KOHmg/gであった。
次に、温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、前記中間体ポリエステル樹脂B20質量部、L−ラクチド72質量部、及びD−ラクチド8質量部を投入し、更にオクチル酸スズ1質量部を入れ、窒素置換した後、130℃で6時間反応させ、[樹脂2]を合成した。
前記[樹脂2]は、ポリヒドロキシカルボン酸骨格の含有量が80.0質量%、数平均分子量(Mn)が18,000、ガラス転移温度が61℃であった。
フラスコ中に、L−ラクチド70.0質量部、D−ラクチド20.0質量部、ε−カプロラクトン10.0質量部、及びオクチル酸スズ1質量部を、窒素雰囲気下、190℃で20分間加熱溶融させた。その後、残留ラクチドとカプロラクトンとを減圧下で留去し、[樹脂3]を得た。
前記[樹脂3]は、ポリヒドロキシカルボン酸骨格の含有量が100質量%、数平均分子量(Mn)が4,300、ガラス転移温度が48℃であった。
バイロエコールBE−400 1質量部に対し、酢酸エチル9質量部を混合し、樹脂を完全に溶かし、バイロエコールBE−400の溶解液を調製した。
[樹脂1]1質量部に対し、酢酸エチル9質量部を混合し、[樹脂1]を完全に溶かし、[樹脂1]の溶解液を調製した。
[樹脂2]1質量部に対し、酢酸エチル9質量部を混合し、[樹脂2]を完全に溶かし、[樹脂2]の溶解液を調製した。
[樹脂3]1質量部に対し、酢酸エチル9質量部を混合し、[樹脂3]を完全に溶かし、[樹脂3]の溶解液を調製した。
カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20質量部、顔料分散剤2質量部を、酢酸エチル78質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤としては、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、1μmの細孔を有するポリテトラフルオロエチレン製フィルターを通過させ、サブミクロン領域まで分散させた分散液を調製した。
カルナバワックス(東亜化成株式会社製)1質量部、酢酸エチル4質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌しカルナバワックスを溶解させた後、急冷してカルナバワックスの微粒子を析出させた。このカルナバワックス分散液を直径0.1μmのジルコニアビーズを充填したスターミルLMZ06(アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散し、カルナバワックスの平均粒径が0.3μm、最大粒径が0.8μm以下になるように調整した。前記カルナバワックスの粒径測定には、マイクロトラック社製のNPA150を用いた。
パラフィンワックス(日本精鑞株式会社製、HNP−9)1質量部、及び酢酸エチル4質量部を仕込み、85℃に加温し20分間撹拌しパラフィンワックスを溶解させた後、急冷してパラフィンワックスの微粒子を析出させた。このパラフィンワックス分散液を直径0.1μmのジルコニアビーズを充填したスターミルLMZ06(アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散し、パラフィンワックスの平均粒径が0.3μm、最大粒径が0.8μm以下になるように調整した。前記パラフィンワックスの粒径測定には、マイクロトラック社製のNPA150を用いた。
帯電制御剤(FCA−2508N(スチレンアクリル系ポリマー)、藤倉化成株式会社製)1質量部及び酢酸エチル4質量部を混合して帯電制御剤を完全に溶かし、帯電制御剤の溶解液を調製した。
<トナー組成液の調製>
下記表1の処方に従い、前記バイロエコールBE−400の溶解液1,000質量部、着色剤分散液25質量部、カルナバワックス分散液50質量部、帯電制御剤の溶解液10質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合した。この混合液を目開き1μmのフィルターを通し、トナー組成液を調製した。
得られたトナー組成液を、図1において吐出孔の数を液柱共鳴液室1つ当たり1個とした液柱共鳴液滴手段により、吐出液滴化し、図9及び図10の装置を使用して、乾燥させてトナー母体粒子を得た。なお、条件は下記の通りである。
−液柱共鳴条件−
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
−トナー母体粒子作製条件−
分散液比重 :ρ=1.1g/cm3
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :8.0μm
吐出孔の開口数 :1個(液柱共鳴液室1つ当たり)
液柱共鳴液室の数 :100室
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :12.0V
駆動周波数 :280kHz
<<数平均分子量(Mn)の測定方法>>
前記樹脂のTHF溶解分の分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定装置GPC−150C(ウォーターズ社製)によって測定した。カラムとしては、KF804(ショウデックス社製)を使用した。また、測定は以下の方法で行った。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mLの流速で流した。樹脂0.05gをTHF5gに十分に溶かした後、前処理用フィルター(孔径0.45μm クロマトディスク、クラボウ製)で濾過し、最終的に試料濃度として0.05質量%〜0.6質量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50μL〜200μL注入して測定した。前記樹脂のTHF溶解分の重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、ピークトップ分子量Mpの測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、PressureChemical Co.製、又は東洋ソーダ工業社製の分子量が、6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いた。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
前記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC−6220R、セイコーインスツル社製)を用い、樹脂を室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置し、室温まで試料を冷却して10分間放置し、再度150℃まで昇温速度10℃/分で加熱して、ガラス転移温度以下のベースラインと、ガラス転移を示す曲線部分の接線との交点で求めた。
得られたトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(マルチサイザーIII、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutlisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A、第一工業製薬株式会社製)を0.5mL添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mLを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は、装置が示す濃度が8±2%に成るように前記トナーサンプル分散液を滴下した。なお、本測定法は、粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。
チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52μm以上3.17μm未満;3.17μm以上4.00μm未満;4.00μm以上5.04μm未満;5.04μm以上6.35μm未満;6.35μm以上8.00μm未満;8.00μm以上10.08μm未満;10.08μm以上12.70μm未満;12.70μm以上16.00μm未満;16.00μm以上20.20μm未満;20.20μm以上25.40μm未満;25.40μm以上32.00μm未満;32.00μm以上40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上40.30μm未満の粒子を対象とした。トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出し、得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めた。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(Dn)で除したD4/Dnを用いた。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
実施例1において、トナー組成液を図1に示した液柱共鳴液室1つ当たり4つの吐出孔を有する液柱共鳴液滴手段により、吐出液滴化した以外は、実施例1と同様にしてトナーを得た。なお、条件は下記の通りである。
−液柱共鳴条件−
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=1.8mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
−トナー母体粒子作製条件−
分散液比重 :ρ=1.1g/cm3
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :8.0μm
吐出孔の開口数 :4個(液柱共鳴液室1つ当たり)
液柱共鳴液室の数 :100室
隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔 :130μm(全て等間隔)
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :12.0V
駆動周波数 :340kHz
実施例2において、カルナバワックス分散液をパラフィンワックス分散液に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナーを得た。
実施例2において、バイロエコールBE−400の溶解液を[樹脂1]の溶解液に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナーを得た。
実施例2において、バイロエコールBE−400の溶解液を[樹脂2]の溶解液に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナーを得た。
実施例2において、バイロエコールBE−400の溶解液を[樹脂3]の溶解液に変更した以外は、実施例2と同様にしてトナーを得た。
反応容器内にバイロエコールBE−400を100質量部、及び酢酸エチル100質量部を加えて攪拌して、バイロエコールBE−400溶解液を調製した。
次に、バイロエコールBE−400溶解液にカルナバワックス10質量部、着色剤分散液25質量部、及び帯電制御剤の溶解液5質量部を仕込み、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時、ディスク周速度6m/秒で、粒径が0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスしてトナー材料液を得た。
次に、容器内に水系媒体150質量部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmで攪拌しながら、トナー材料液100質量部を添加し、10分間混合して乳化スラリーbを得た。
更に、攪拌機、及び温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリーb100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら、30℃で10時間脱溶剤し、分散スラリーbを得た。
次に、分散スラリーb100質量部を減圧濾過し、得られた濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、フッ素系第四級アンモニウム塩化合物フタージェントF−310(ネオス社製)を、フッ素系四級アンモニウム塩がトナーの固形分100質量部に対して0.1質量部相当になるよう5%メタノール溶液で添加し、10分間攪拌した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
循風乾燥機を用いて、得られた濾過ケーキを40℃で36時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、トナー母粒子を作製した。得られたトナー母体粒子100.0質量部に対して、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン株式会社製)1.0質量部及び酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、その後目開き30μmの篩を通し、ブラックトナーを得た。
・シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコ−ン、SR2406、東レ・ダウコーニング社製) 100質量部
・触媒(TC−750、マツモトファインケミカル社製) 1質量部
・トルエン 100質量部
・γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 5質量部
・カーボンブラック(#44、三菱化学株式会社製) 10質量部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、コート層形成液を調製した。このコート層形成液を流動床型コーティング装置を用いて、粒径40μmの球状マグネタイト1,000部の表面にコーティングして磁性キャリアを得た。
前記現像剤を株式会社リコー製の複写機(Imagio MP C5000)に入れ、画像安定性の評価を実施した。なお、前記画像安定性は、下記の3つの観点から評価した。結果を表3に示す。
1枚目の画像と100枚目の画像の画像濃度を比較し、画像濃度が安定している場合は「○」、画像濃度が薄くなった場合は「×」とした。
1枚目の画像及び100枚目の画像において、地肌部分のかぶり(非画像部にトナーが乗ってかぶる現象)を観察し、かぶりがない場合は「○」、かぶりがある場合は「×」とした。
1枚目の画像及び100枚目の画像において、転写不良により、画像部分の一部が欠ける現象の発生の有無を評価した。欠損がない場合は「○」、欠損がある場合は「×」とした。
2 液滴吐出手段
9 弾性板
10 液柱共鳴液滴吐出ユニット
11 液柱共鳴液滴吐出手段
12 気流通路
13 原料収容器
14 トナー組成液
15 液循環ポンプ
16 液供給管
17 液共通供給路
18 液柱共鳴流路
19 吐出孔
20 振動発生手段
21 液滴
22 液戻り管
23 合着液滴
44 ノズル角度
41 薄膜
60 乾燥捕集手段
61 チャンバ
62 トナー捕集手段
63 トナー貯留部
64 搬送気流導入口
65 搬送気流排出口
66 シュラウド
67 補助搬送気流導入口
68 補助搬送気流
P1 液圧力計
P2 チャンバ内圧力計
101 搬送気流
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146、148 給紙路
147 搬送ローラ
150 複写装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
610 現像装置
630 クリーニング装置
640 除電器
701 静電潜像担持体
702 帯電手段
703 露光
704 現像手段
705 記録媒体
707 クリーニング手段
708 転写手段
800、900 画像形成装置
810 感光体
820 帯電ローラ
830 露光装置
840 現像装置
841 現像ベルト
842K、842Y、842M、842C 現像剤収容部
843K、843Y、843M、843C 現像剤供給ローラ
844K、844Y、844M、844C 現像ローラ
845K ブラック現像ユニット
845Y イエロー現像ユニット
845M マゼンタ現像ユニット
845C シアン現像ユニット
850 中間転写体
851 ローラ
858 コロナ帯電器
860 クリーニング装置
870 除電ランプ
880 転写ローラ
890 中間転写体用クリーニングブレード
895 記録媒体
1010 静電潜像担持体
1014、1015、1016 支持ローラ
1017 中間転写体クリーニング装置
1018 画像形成手段
1021 露光装置
1022 二次転写装置
1023 ローラ
1024 二次転写ベルト
1025 定着装置
1026 定着ベルト
1027 加圧ローラ
1028 シート反転装置
1032 コンタクトガラス
1033 第1走行体
1034 第2走行体
1035 結像レンズ
1036 読取りセンサ
1049 レジストローラ
1050 中間転写体
1055 切換爪
1056 排出ローラ
1057 排紙トレイ
1062 転写帯電器
Claims (7)
- 2つ以上の吐出孔を有する液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与することで液柱共鳴による定在波を形成させ、前記定在波の腹となる領域に配置された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴を形成し、前記液滴を固化するトナーの製造方法であって、
前記定在波の腹となる領域は前記定在波の振幅が極大となる位置(速度定在波としての節)から極小となる位置に向かって±1/3波長であり、
前記トナー組成液が、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有するトナー組成物を有機溶剤に溶解乃至分散してなり、
前記結着樹脂が、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を有し、かつ前記有機溶剤に可溶である樹脂を含有することを特徴とするトナーの製造方法。 - ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸を重合して得られたものである請求項1に記載のトナーの製造方法。
- ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、乳酸を重合して得られたものである請求項1から2のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、ラクチドを開環重合して得られたものである請求項1から3のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- ポリヒドロキシカルボン酸骨格が、L−ラクチド及びD−ラクチドの混合物を開環重合して得られたものである請求項1から4のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 離型剤が、カルナバワックス及びライスワックスの少なくともいずれかである請求項1から5のいずれかに記載のトナーの製造方法。
- 重量平均粒径が1μm〜10μmであり、かつ粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)が1.00〜1.15である請求項1から6のいずれかに記載のトナーの製造方法。
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