JP5365909B2 - トナーの製造装置及び製造方法、トナー - Google Patents

トナーの製造装置及び製造方法、トナー Download PDF

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Description

本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、ファクシミリ、静電記録等における静電荷像を現像するためのトナー及びその製造方法、並びにトナーの製造装置に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するために使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている静電潜像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の記録媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。この場合、静電潜像担持体上に形成される静電荷像を現像するための現像剤として、キャリアとトナーからなる二成分系現像剤、及びキャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
従来より、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等のトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕した、いわゆる粉砕型トナーが広く用いられている。
また最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法によるトナー製造法、いわゆる重合型トナーが検討されている。その他にも、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる体積収縮を伴う工法も提案されている(特許文献1参照)。この提案の方法は、トナー材料を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散乃至溶解させ、これを分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性溶剤を除去するものである。この方法は、懸濁重合法、乳化重合凝集法と異なり、用いることのできる樹脂に汎用性が広く、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
しかし、前記重合型トナーにおいては、水系媒体中で分散剤を使用することを前提としているために、トナーの帯電特性を損なう分散剤がトナー表面に残存して環境安定性が損なわれるなどの不具合が発生したり、これを除去するために非常に大量の洗浄水を必要とすることが知られており、必ずしも製法として満足のいくものではない。
一方、水系媒体を用いないトナーの製造方法として、古くより噴霧造粒法が知られている(特許文献2参照)。これはトナー組成分の溶融液又はトナー組成液を溶解した液体を、様々なアトマイザを用いて微粒子化して放出し、乾燥させて粒子を得るため、水系媒体を用いることによる不具合は生じない。
しかし、従来の噴霧造粒法により得られる粒子は比較的粗く大きなものであり、また、粒度分布も広いため、トナーそのものの特性を劣化させる原因となっている。そこで、これに代わるトナーの製造方法として、圧電パルスを利用してノズルから微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナー化する方法及び装置が提案されている(特許文献3参照)。また、ノズル内の熱膨張を利用し、やはり微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナー化する工法が提案されている(特許文献4参照)。更に、その他のトナーの製造方法として、液貯留部を加圧してノズル部から液柱を発生させ、微弱な超音波振動によって液柱を分断し、液滴化し、これを乾燥固化してトナー化する方法及び装置が提案されている(特許文献5参照)。
しかし、前記トナーの製造方法においては、ノズルの手前に液を貯留するために存在する液貯留部に、トナー組成液を導入する際にしばしば気泡が残り、ノズルから液が放出されなくなってしまう場合があり、生産性を損ねていた。
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、液貯留部への、トナー組成液の充填時の気泡残留を無くし、更に均一な液滴の形成を実現でき、流動性及び帯電特性の変動の幅が少ないトナーを効率よく製造できるトナーの製造装置、及びトナーの製造方法、並びにトナーを提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討を進めた結果、複数のノズルのうち、側壁面からの距離Lが最も小さいノズルの位置において、ノズル面と、該ノズル面に対向する振動手段の振動面との間の厚さHが特定の関係にある場合に、上記課題が解決できることを見出して本発明を完成した。
すなわち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
(1)噴霧液を貯留する液貯留部を有し、前記液貯留部に設けた複数のノズルが形成された薄膜及び、前記薄膜に平行な振動面を持つ1つの振動発生手段で構成された液滴化手段を用いて、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を分散ないし溶解させたトナー組成液を、前記複数のノズルから周期的に液滴化して放出させる周期的液滴化工程と、前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させる粒子形成工程とを行うトナーの製造装置において、
前記ノズルは薄膜を貫通する孔によって形成され、
前記複数のノズルのうち、側壁面からの距離Lが最も小さいノズルの位置において、ノズル面と、該ノズル面に対向する振動手段の振動面との間の厚さHとLとが、H>Lの関係にあることを特徴とするトナーの製造装置。
(2)前記Hが各ノズル位置において一様であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造装置。
)前記振動発生手段は、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行な振動面を有し、垂直方向に縦振動しているトナーの製造装置であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のトナーの製造装置。
)前記液貯留部内の液の共振周波数が、前記複数のノズルが形成された薄膜を含む前記液貯留部を構成する構造体の共振周波数よりも低いことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のトナーの製造装置。
)前記液貯留部の外部に気流形成手段によって気流路を設け、前記複数のノズルを有する薄膜から、液が放出される方向に気流が形成されており、前記気流路が、液が放出されている部分の直後で、気流の通過する断面積を縮小せしめる気流絞りを設けていることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のトナーの製造装置
)前記トナー組成液の液滴を一の溶媒除去部で乾燥することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のトナーの製造装置。
)前記溶媒除去部内で液滴吐出方向と同方向に流れる乾燥気体によって前記トナー組成液の液滴を搬送して溶媒を除去させることを特徴とする()に記載のトナーの製造装置。
)(1)〜()のいずれかに記載のトナーの製造装置を用いたことを特徴とするトナーの製造方法
)()に記載のトナーの製造方法によって製造されたトナー。
10)粒度分布(重量平均粒径/数平均粒径)が、1.00〜1.15の範囲であることを特徴とする()に記載のトナー。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、液貯留部における薄膜のノズルの配置数を増大しても液滴化したトナー組成液の放出方向の経時変動の少ない(液滴化したトナー組成液同士の合体の少ない)、均一な液滴の形成を実現でき、流動性及び帯電特性の変動の幅が少ないトナーを効率よく製造できるトナーの製造装置、及びトナーの製造方法、並びにトナーを提供することができる。
トナーの製造装置の一例を示す概略構成図である。 本発明における液滴噴射ユニットの横断面図(a)及び縦断面図(b)である。 図2のA−A’断面を示す図である。 図3に示すものおいて気泡が形成された状態を示す図である。 液滴噴射ユニットを複数個配置した例を示す図である。 トナーの製造装置の液滴噴射ユニットの拡大説明図である。 気流路を形成したトナーの製造装置の液滴噴射ユニットの拡大説明図である。
(トナーの製造装置、トナーの製造方法、及びトナー)
本発明のトナーの製造装置は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を貯留する液貯留部と、前記液貯留部に設けられ、前記トナー組成液を液滴化して周期的に放出させるためのノズルが複数形成された薄膜と、前記液滴化したトナー組成液を固化させる粒子形成手段と、を少なくとも備えてなり、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のトナーの製造方法は、本発明のトナーの製造装置を用いて行われる。
本発明のトナーは、本発明のトナーの製造装置を用いて製造される。
以下、本発明のトナーの製造装置の説明を通じて、本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーの詳細についても明らかにする。
前記複数のノズルを有する薄膜に平行な振動面を持つ振動発生手段を有し、トナー組成液の液貯留部内に存在する液の共振現象を利用して液滴化を行う態様が好ましい。
この場合、液貯留部内の液の共振周波数が、複数のノズルを有する薄膜を含む液貯留部を構成する構造体の共振周波数よりも低いことが、液室内の液の圧力が均等に昇圧され、均一な液滴形成の点から好ましい。
また、液貯留部の外部に気流形成手段として気流路を有し、複数のノズルを有する薄膜から、トナー組成液が放出される方向に気流が形成されており、前記気流路が、トナー組成液が放出されている部分の直後で、気流の通過する断面積を縮小せしめる気流絞りを有することが、絞り部分の気流速度が増大し、粒子を拡散させ、合一を妨げるため、均一サイズの液滴を保持する点から好ましい。
液滴化したトナー組成液は一の溶媒除去部で乾燥することが好ましい。この場合、溶媒除去部内で液滴吐出方向と同方向に流れる乾燥気体によって液滴化したトナー組成液を搬送して溶媒を除去させることが、液滴同士のランダムな衝突を低減させ、効率的に乾燥させる点から好ましい。
ここで、図1は、本発明のトナーの製造装置の一例を示す概略図である。このトナーの製造装置1は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液を液滴化して放出する液滴化手段としての液滴噴射ユニット2と、この液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から放出される液滴化されたトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子Tを形成する粒子化手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tがチューブ5を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部6と、トナー組成液10を収容する原料収容部7と、この原料収容部7内から液滴噴射ユニット2に対してトナー組成液10を送液する配管(送液管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ9とを備えている。
また、原料収容部7からのトナー組成液10は、液滴噴射ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成としている。なお、トナー組成液10として、少なくとも樹脂及び着色剤を溶剤に溶解乃至分散したトナー組成液を用いている。また、図示してあるように、循環系を構築することが最も好ましい。
<液滴噴射ユニット>
前記液滴噴射ユニットとしては、複数のノズルを有し、かつ機械的振動手段を設けた液貯留部に液を供給する手段を持つものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。以下、薄膜のトナー組成液の放出側表面に撥液膜が形成された液滴噴射ユニットについて図面を用いて詳細に説明する。
図2(a)は液滴噴射ユニット構造体の横断面図であり、図2(b)は液滴噴射ユニット構造体の縦断面図である。これを用いて液滴化手段の詳細を説明する。
複数のノズル11を有する薄膜12は、液貯留領部14が区分された構造体に貼りあわされて、各液貯留領域には複数のノズルが存在することが好ましい。液貯留部14の上部には振動手段13が配置されている。液貯留部14は、流路部15とそれぞれが導通しており、流路部15を通じてトナー組成液が充填される。
液滴噴射ユニットは、液滴噴射ユニットの液貯留部壁、薄膜、振動手段などの構造の持つ共振周波数よりも液貯留部内のトナー組成液自体の液共振周波数を小さくし、液の共振現象を用いて液滴の放出を行う構造であることが好ましい。
複数のノズルを有する薄膜の材質は特に制限を設けるものではないが、複数のノズルを有する薄膜の機械的剛性は高いほうが先に述べた薄膜の構造共振周波数を高く設定できる。その一例として、金属薄膜にノズルを形成することが可能である。具体的には、ニッケルまたはニッケル合金を電鋳する際にノズル孔を形成する方法や、SUSなどの金属にパンチで孔を形成する方法を適用することが、小径ノズルを精度良く形成する点で好ましく用いられる。また、薄膜に設けられた、ノズルを配置する面積を大きくするためには、前期薄膜の膜厚を大きくし、機械的剛性を保たなければならない。膜厚を大きくするために、この薄膜12の材質は、シリコン又はシリコン酸化物などを用いることができる。これらを用いる効用として、既存のシリコンプレート作製プロセスを用いて形状精度が高く、アスペクト比の大きいノズルを形成することが可能となる。
図3は図2のA−A’断面を示す図である。液室は図3において、複数のノズル11のうち、側壁面からの距離Lが最も小さいノズル11aの位置において、ノズル面とこのノズル面に対向する振動手段の振動面との間の厚さH、すなわち図3における、ノズル面16(N)から振動手段の振動面Cまでの距離Hが距離Lに対して、H>Lの関係にあることが、液滴充填の際に気泡を残留させないという観点から好ましい。
H>Lとすることにより気泡が形成されにくく、形成しても容易にノズルから排出することができる。なおHは各ノズル位置において一様であることが好ましい。
なお、振動を効率よく伝達させるためにはHは、少なくとも振動の波長λの2分の1の値を上限値とすることが好ましい。ここで、波長λとは、駆動周波数をf、トナー組成液の音速をcとしたときに、式:λ=c/fで表される。
図4に液を充填した後に気泡43が残留した状態を示す。このような状態になると、気泡43を排除することができず、振動手段から液に伝播する圧力は気泡43に吸収され、この近傍のノズルからはトナー組成液は放出されない。それによってトナーの生産効率は著しく低下してしまう。
前記ノズル11の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜12は厚み10μm〜500μmであり、かつノズル11の開口径が4μm〜15μmであることが、ノズル11からトナー組成液10の液滴を噴射させるときに、均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、前記ノズル11の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。
−振動手段−
前記液滴噴射ユニットにおいては、振動手段13は、例えば積層型PZTや、後述する超音波振動子と超音波ホーンを組み合わせたものなど、高い振幅において機械的超音波振動を液に与えることができるものであればどのようなものでも構わない。振動手段は、それぞれの液貯留部14毎に存在しているのが好ましいが、複数の液貯留部14につき1つの振動手段でもよい。
図5〜6には振動手段として振動発生手段と振動増幅手段(ホーン)とを組み合わせものを示したが、振動増幅手段を用いないPZTダイレクト型を用いても良い。
−流路部−
流路部15には各貯留領域に通じるにトナー組成液を供給するための液供給チューブ及び液循環用チューブに通じており、トナー組成液が外部より供給される。
−ユニット全体構成(連結)−
上記の説明では、液滴噴射ユニット2が1個だけ粒子形成部3に取付けられている例で図示しているが、図5に示すように、好ましくは複数個を液滴噴射ユニット2を粒子形成部3(乾燥塔)上部に並列にすることが、生産性向上の観点から好ましく、その個数は100〜1,000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。この場合、液滴噴射ユニット2には配管8を介して原料収容部(共通液溜め)7に通じ、トナー組成液10が供給される構成とする。トナー組成液10は、液滴化に伴って自給的に供給される構成とすることもできるし、また、装置稼働時等、補助的にポンプ9を用いて液循環を行う構成とすることもできる。
−粒子形成部−
次に、図1に戻って、トナー組成液10の液滴31を固化してトナー粒子Tを形成する粒子形成部3について説明する。ここでは、トナー組成液10として、前述したように、少なくとも樹脂及び着色剤を溶剤に溶解乃至分散したトナー組成液を用いているので、液滴31を乾燥して固化することでトナー粒子Tを形成している。つまり、この実施形態では、粒子形成部3は液滴31の溶媒を乾燥して除去することによってトナー粒子Tを形成する溶媒除去部としている(以下では、粒子形成部3を「溶媒除去部」あるいは「乾燥部」とも称する。)。
具体的には、この粒子形成部3は、液滴噴射ユニット2の複数のノズル11から放出される液滴31を、この液滴31の飛翔方向と同方向に流れる乾燥した気体(乾燥気体)35によって搬送することで、液滴31の溶媒を除去してトナー粒子Tを形成する。なお、乾燥気体35とは、大気圧下の露点温度が−10℃以下の状態の気体を意味する。乾燥気体35としては、液滴31を乾燥可能な気体であればよく、例えば、空気、窒素などを用いることができる。
次に、この粒子形成部3にて形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集手段としてのトナー捕集部4について説明する。このトナー捕集部4は、粒子形成部3の粒子飛翔方向下流側に粒子形成部3に連続して設けられ、開口径が入口側(液体噴射ユニット2側)から出口側に向けて漸次縮小するテーパ面41を有している。そして、例えば、図示しない吸引ポンプなどでトナー捕集部4内から吸引を行うことによってトナー捕集部4内に下流側に向かう渦流である気流42を発生させ、この気流42によってトナー粒子Tを捕集するようにしている。このように渦流(気流42)によって遠心力を発生させてトナー粒子Tを捕集することで確実にトナー粒子Tを捕集して下流側のトナー貯留部6に移送することができる。
このトナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tは、渦流(気流42)によってそのままチューブ5を介してトナー貯留部6に移送されて貯留される。この場合、トナー捕集部4、チューブ5、トナー貯留部6を導電性の材料で形成したときには、これらが接地されている(アースに接続されている)ことが好ましい。なお、このトナーの製造装置は全体が防爆仕様であることが好ましい。また、トナー捕集部4からトナー粒子Tをトナー貯留部6に向けて圧送したり、あるいは、トナー貯留部6側からトナー粒子Tを吸い込む構成としたりすることもできる。
<トナーの製造方法>
次に、本発明のトナーの製造装置による本発明のトナーの製造方法について説明する。図1及び図5に示すように液滴噴射ユニット2の液貯留部14に、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液10を供給した状態で、液滴化手段11の振動手段13の振動発生手段21に対して所要の駆動周波数の駆動信号を印加することによって、振動発生手段21に振動が発生し、この振動が振動増幅手段22によって増幅されて液貯留部内のトナー組成液が共振する。
この振動手段13の振動面13aの振動が液貯留部14内のトナー組成液10に伝播されて周期的圧力変動を発生し、これによって複数のノズル11から加圧時にトナー組成液が周期的に液滴化されて液滴31として溶媒除去部としての粒子形成部3内に放出される。
そして、粒子形成部3内に放出された液滴31は、粒子形成部3内で液滴31の飛翔方向と同方向に流れる乾燥気体35によって搬送されることで、溶媒が除去され、トナー粒子Tが形成される。この粒子形成部3にて形成されたトナー粒子Tは下流側のトナー捕集部4にて気流42にて捕集され、チューブ5を介してトナー貯留部6に送られて貯留される。
なお、この実施形態では、トナー組成液10として、少なくとも樹脂及び着色剤を溶剤に溶解乃至分散したトナー組成液を用いて、液滴を固化する手段として、液滴に含まれる有機溶媒を溶媒除去部(粒子化手段)において乾燥気体へ蒸発させ、乾燥による収縮固化を行ってトナー粒子を形成しているが、これに限られるものではない。
例えば、加熱した液貯留部内で少なくとも樹脂及び着色剤を溶融し液状化してトナー組成液とし、液滴として吐出し、放出させた後、この液滴を冷却固化してトナー粒子を形成する構成とすることもできる。また、熱硬化性物質を含むトナー組成液を使用して、液滴として放出させた後、加熱し硬化反応させて固化してトナー粒子を形成する構成とすることもできる。
更に、図6を参照して液滴噴射ユニットに、液滴分散用の気流を供給する気流路を付与した例を説明する。なお、図6は第二及び第三の液滴噴射ユニット形態の模式的断面説明図であるが、第一の液滴噴射ユニット形態でも全く同様に気流路を付与することができる。この液滴噴射ユニットは、前述した例と同様に、ホーン型振動子を振動発生手段13に用いて、この振動発生手段13の周囲を囲んでトナー組成液10を供給する流路部材15aを配置し、振動発生手段13のホーン22に薄膜12と対向する部分に液貯留部14を形成している。更に、流路部材15aの周囲に所要の間隔を置いて気流35を流す気流路37を形成する気流路形成部材36を配置している。
また、図7に示すように、気流路を設けたユニットにおいても、複数並べることが生産性の観点から好ましい。そして、好ましくは例えば制御性の観点からは1,000〜10,000個の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3を構成する乾燥塔貯留部に並べて配置する。これにより、より生産性の向上を図れる。
このように、液滴噴射ユニット2には複数のノズル11が設けられているので、同時に複数の液滴化されたトナー組成液の液滴31が連続的に多数放出されることから、トナーの生産効率が飛躍的に向上する。薄膜12内の領域に複数のノズル11を配置することによって一度に多くの液滴31を放出することができ、液貯留部内の液が振動することによってトナー組成液に存在する分散微粒子の沈着を防ぎ、ノズル11の目詰まりを発生することなく安定して効率的なトナー製造が可能になる。また、撥液膜を薄膜のトナー組成液の放出側表面に設けることによって、液滴の放出方向曲がりが低減し、液滴の衝突による粗大粒子、微小粒子の形成が発生しなくなった。更に、これまでにない粒度の単一分散性を有したトナーを得ることができるようになることが確認できた。
<トナー組成液>
前記トナー組成液は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有してなり、磁性体、溶媒、外添剤、ワックス、帯電制御剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−樹脂−
前記樹脂としては、特に制限はなく、トナーの結着樹脂として通常使用されている樹脂の中から適宜選択することができ、例えばスチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体又はこれら単量体の2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン系単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン又はその誘導体、などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル系単量体としては、例えばメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体又は共重合体を形成する他のモノマーとしては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及、又はこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有するモノマー、などが挙げられる。
前記結着樹脂としてのビニル重合体又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
前記架橋剤としては、例えば芳香族ジビニル化合物、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物、その他の化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジビニル化合物としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。 前記アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物としては、例えばエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。 前記エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物として、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。 その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。
また、ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば、商品名MANDA(日本化薬株式会社製)、などが挙げられる。
また、多官能の架橋剤としては、例えばペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、又はこれらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートなどが挙げられる。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体、又はビニル共重合体を形成する他のモノマー100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部用いることが好ましく、0.03質量部〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基、及びエーテル結合の少なくとも1つを含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
前記ビニル重合体又はビニル共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイ・ソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合には、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分(THF可溶成分)のGPCを用いた測定による分子量分布で、分子量3,000〜50,000(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量100,000以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶成分のGPCを用いた測定において、分子量分布100,000以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5,000〜30,000の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5,000〜20,000の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
前記結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gが更に好ましい。
前記結着樹脂がポリエステル系樹脂である場合には、該ポリエステル系樹脂を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
また、ポリエステル系樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂を構成する酸成分としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などが挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60%〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
前記ポリエステル樹脂は、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが更に好ましい。 前記分子量分布は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gである樹脂を60質量%以上含有するものが好ましい。
前記トナー組成液の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法(I)〜(IV)により求め、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(I)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5g〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(II)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
(III)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(IV)この時のKOH溶液の使用量をSmlとし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をBmlとし、以下の式(1)で算出する。ただし、fはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W ・・・(1)
前記結着樹脂、及び結着樹脂を含むトナー組成液は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35℃〜80℃が好ましく、40℃〜75℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。一方、前記ガラス転移温度(Tg)が80℃を超えると、定着性が低下してしまうことがある。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記着色剤の含有量としては、前記トナーに対して1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤の分散方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、(1)少なくとも樹脂、有機低分子化合物、及び着色剤を、高せん断力をかけて混合し、混練する方法、(2)分散剤及び着色剤をあらかじめ溶媒中にて分散する方法などが挙げられる。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。また、溶媒中で分散する装置としてはビーズミルが好適に使用される。
着色剤分散後の分散液中の着色剤の粒径は、500nm以下であることが好ましい。前記粒径が500nmより大きいと、吐出ノズルに詰りを生じやすくなる。更にはトナーを形成した際に、着色剤の粒径が大きくなり、画質が低下しやすく、特に、OHPの光透過性が低下しやすい。更に好ましくは300nm以下である。前記粒径が300nm以下では光透過性の向上が目覚しく色再現範囲が大幅に向上する。
ここで、前記着色剤の粒径は、例えばレーザー回折/散乱粒度分布測定装置「LA−920」(堀場製作所製)などで求めることができる。
分散時に用いられるバインダー樹脂としては、上述した変性ポリエステル樹脂、又は未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタンAポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
−磁性体−
前記磁性体としては、例えばマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又は他の金属酸化物を含む酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又はこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金;あるいはこれらの混合物、などが用いられる。
前記磁性体としては、例えばFe、γ−Fe、ZnFe、YFe5O12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が特に好ましい。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。前記異種元素としては、例えばリチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、などが挙げられる。これらの中でも、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムが特に好ましい。前記異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体を10質量部〜200質量部が好ましく、20質量部〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1μm〜2μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、磁性体の磁気特性としては、10kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20エルステッド〜150エルステッド、飽和磁化50emu/g〜200emu/g、残留磁化2emu/g〜20emu/gが好ましい。 なお、前記磁性体としては、着色剤としても使用することができる。
−溶媒−
前記溶媒としては、前記樹脂が分散乃至溶解可能な有機溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノール等のアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等のエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート等のグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネート等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−外添剤−
前記外添剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウムなど);金属酸化物(例えばチタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモンなど)、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化された酸化チタン微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子が好適に挙げられる。
前記シリカ微粒子としては、例えばHDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H1303(いずれもヘキスト社製);R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも日本アエロジル株式会社製)がある。また、前記チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル株式会社製)、STT−30、STT−65C−S(いずれもチタン工業株式会社製)、TAF−140(富士チタン工業株式会社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(いずれもテイカ株式会社製)などが挙げられる。これらの中でも、疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル株式会社製);STT−30A、STT−65S−S(いずれもチタン工業株式会社製);TAF−500T、TAF−1500T(いずれも富士チタン工業株式会社製);MT−100S、MT−100T(いずれもテイカ株式会社製)、IT−S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化処理された酸化物微粒子、疎水化されたシリカ微粒子、疎水化されたチタニア微粒子、疎水化されたアルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。また、シリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル又はメタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が使用できる。
前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが特に好ましい。
前記外添剤の添加量は、前記トナーに対し0.1質量%〜5質量%が好ましく、0.3質量%〜3質量%がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、100nm以下が好ましく、3nm〜70nmがより好ましい。前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径が、3nmより小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくいことがあり、100nmを超えると、静電潜像担持体表面を不均一に傷付けるので好ましくない。
前記外添剤としては、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径は1nm〜100nmが好ましく、特に5nm〜70nmの無機微粒子を少なくとも2種含むことがより好ましい。更に疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも2種類含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことがより好ましい。また、BET法による比表面積は、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては、例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザンなどのシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。
前記外添剤として樹脂微粒子も添加することができる。例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン;メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルの共重合体;シリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系;熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子と併用することによってトナーの帯電性が強化でき、逆帯電のトナーを減少させ、地肌汚れを低減することができる。前記樹脂微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜2質量%がより好ましい。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製);銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対し、0.1質量〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−ワックス−
前記ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができるが、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、などが挙げられる。
前記ワックスとしては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物、などが挙げられる。
より好適な例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒の如き触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基の如き官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸の如きビニルモノマーでグラフト変性したワックス、などが挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
前記ワックスの融点としては、定着性と耐オフセット性のバランスを取るために、70℃〜140℃であることが好ましく、70℃〜120℃であることがより好ましい。前記融点が、70℃未満であると、耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると、耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のもの、などが挙げられる。
離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10℃〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせ、などが挙げられる。
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10℃〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。前記融点の差が10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70℃〜120℃であることが好ましく、70℃〜100℃であることがより好ましい。
前記ワックスは、相対的に、枝分かれ構造のものや官能基の如き極性基を有するものや主成分とは異なる成分で変性されたものが可塑作用を発揮し、より直鎖構造のものや官能基を有さない無極性のものや未変性のストレートなものが離型作用を発揮する。好ましい組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フイシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポルリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナバワックズ、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせが挙げられる。
いずれの場合においても、トナー保存性と定着性のバランスをとりやすくなることから、トナーのDSC測定において観測される吸熱ピークにおいて、70℃〜110℃の領域に最大ピークのピークトップ温度があることが好ましく、70℃〜110℃の領域に最大ピークを有しているのがより好ましい。
前記ワックスの総含有量は、前記結着樹脂100質量部に対し、0.2質量部〜20質量部が好ましく、0.5質量部〜10質量部がより好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、金属石鹸、などが挙げられる。
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。
前記クリーニング性向上剤は、静電潜像担持体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。該ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、質量平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好適である。
本発明のトナーは、上述した本発明のトナーの製造装置を用いたトナーの製造方法により製造されたトナーであり、これにより、粒度分布が単分散なものが得られる。 具体的には、前記トナーの粒度分布(体積平均粒径/数平均粒径)としては、1.00〜1.15が好ましく、1.00〜1.10がより好ましい。前記粒度分布が1.15を超えると、画像の予期しない箇所に地肌汚れを生じたり、ドットパターンが悪く、画像品質が著しく低下してしまうことがある。 また、トナーの体積平均粒径(Dv)は、1μm〜20μmが好ましく、高画質化の観点から、3μm〜10μmがより好ましい。
<現像剤>
本発明のトナーは、現像剤として用いられ、該現像剤は、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有していてもよい。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の層厚規制部材へのトナーの融着がなく、現像手段の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像手段における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。 前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている静電潜像担持体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、平均粒径(重量平均粒径(D50))で、10μm〜200μmが好ましく、20μm〜100μmがより好ましい。前記平均粒径(重量平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー(フッ化三重(多重)共重合体)、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が特に好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、一般的に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オルガノシロサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂;アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKR271、KR255、KR152;東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2400、SR2406、SR2410などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えば、信越化学工業株式会社製のKR206(アルキド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性);東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキド変性)、などが挙げられる。
なお、シリコーン樹脂を単体で用いることも可能であるが、架橋反応する成分、帯電量調整成分等を同時に用いることも可能である。
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
本発明のトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<トナーの粒度分布の測定>
フロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。 トナーの粒度分布は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)を用いて測定した。 測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として10−3cmの水中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中にノニオン系界面活性剤(和光純薬工業株式会社製、コンタミノンN)を数滴加え、更に、測定試料を5mg加え、超音波分散器(STM社製、UH−50)で20kHz,50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、更に、合計5分間の分散処理を行い測定試料の粒子濃度が4,000〜8,000個/10−3cm(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。
試料分散液は、フラットで偏平な透明フローセル(厚み200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するために、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出した。
約1分間で、1,200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定できる。結果(頻度%及び累積%)は、0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行った。
(実施例1)
−トナー組成液の調製−
まず、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)17質量部、顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)3質量部、及び酢酸エチル80質量部を一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて、二次分散させて、粒径が5μm以上の凝集体を除去し、顔料分散液を調製した。
次に、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤2質量部、及び酢酸エチル80質量部を一次分散させた。なお、ワックス分散剤としては、ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したものを用いた。得られた一次分散液を攪拌しながら80℃まで加熱してカルナバワックスを溶解させた後、室温まで冷却して最大径が3μm以下となるようにカルナバワックスを析出させた。更に、ダイノーミルを用いて二次分散させ、最大径が2μm以下になるようにワックス分散液を調製した。
次に、攪拌羽根を有するミキサーを用いて、ポリエステル樹脂100質量部、前記顔料分散液30質量部、前記ワックス分散液30質量部、及び酢酸エチル840質量部を10分間攪拌し、均一に分散させ、トナー組成液を調製した。得られたトナー組成液は、電気伝導度が1.8×10−7S/mであった。
次に、得られたトナー組成液を、図2に示すトナーの製造装置の液滴噴射ユニットに供給した。
ノズル面と該ノズル面に対向する振動手段の振動面との間の厚さHは0.5mm、側壁面から、最端部ノズル11aまでの距離は0.2mmであった。
ノズルは各ノズル間の距離が100μmとなるように千鳥格子状にノズルプレートの中心の直径5mmの範囲にのみ設けた。
トナー組成液を調製後、以下のようなトナー作製条件で、液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
・分散液比重 :ρ=1.1888g/cm
・乾燥空気流量 :分散用窒素ガス 2.0L/分、装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
・装置内温度 :27℃〜28℃
・露点温度 :−20℃
・駆動周波数 :60kHz
・気流路より供給される気流の流量:ノズル近傍における平均線速度20m/s
乾燥固化したトナー母体粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後3時間経過した後に捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)で測定したところ、体積平均粒径(Dv)は5.2μmであり、Dv/Dnが1.06であった。
−外添処理−
乾燥固化したトナー母体粒子は、サイクロン捕集した後、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量%を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて外添処理を行い、トナーを作製した。
−キャリアの作製−
被覆層材料としてのシリコーン樹脂をトルエンに分散させて、被覆層分散液を調製した後、加温状態にて、芯材(平均粒径50μmの球形フェライト粒子)にスプレーコートし、焼成し、冷却後、被覆層の平均厚み0.2μmのキャリアを作製した。
−現像剤の作製− 得られたトナー4質量部に対し、上記キャリア96質量部を混合して二成分現像剤を作製した。
<細線再現性>
作製した現像剤を、市販の複写機(イマジオネオ271、株式会社リコー製)の現像器部分を改良した改造機に入れ、画像占有率7%の印字率で株式会社リコー製6000ペーパーを用いてランニングを実施した。その時の初期10枚目の画像と3万枚目の画像の細線部を原稿と比較し、光学顕微鏡を用いて100倍で拡大観察し、ラインの抜けの状態を段階見本と比較しながら、◎、○、△、×の4段階で評価した。なお、◎>○>△>×の順に画像品質が高いことを表し、特に×の評価は製品として採用できないレベルである。
表1に、細線再現性の評価結果、及び液の吐出率を一覧にした。液吐出率とは、液充填後に駆動を開始した直後に、正常に噴射している噴射ユニットの個数の割合である。気泡を巻き込んだユニットからは、どのノズルからも液は噴射していなかった。
(実施例2)
実施例1において、高さHを0.3mmとした以外は、全て同じ条件で評価を行った。
乾燥固化したトナー母体粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後3時間経過した後に捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)で測定したところ、体積平均粒径(Dv)は5.2μmであり、Dv/Dnが1.08であった。
(実施例3)
実施例1において、Lを0.1mmとした以外は、全て同じ条件で評価を行った。
乾燥固化したトナー母体粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後3時間経過した後に捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)で測定したところ、体積平均粒径(Dv)は5.3μmであり、Dv/Dnが1.07であった。
(実施例4)
実施例1において、Lを0.4mmとした以外は、全て同じ条件で評価を行った。
乾燥固化したトナー母体粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後3時間経過した後に捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)で測定したところ、体積平均粒径(Dv)は5.2μmであり、Dv/Dnが1.10であった。
(比較例1)
実施例1において、Lを0.6mmとした以外は、全て同じ条件で評価を行った。
乾燥固化したトナー母体粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。稼動後3時間経過した後に捕集した粒子の粒度分布をフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製、FPIA−2000)で測定したところ、体積平均粒径(Dv)は5.3μmであり、Dv/Dnが1.08であった。
(比較例2)
比較例1において、高さHを0.3mmとした以外は、全て同じ条件で評価を行った。しかしながら、全ての液貯留領域に気泡が残留しており、トナー母体を捕集することができなかった。
Figure 0005365909
上記表1に示されるように本発明で作製したトナーを用いて現像を行い得られた画像は、静電潜像に忠実な極めて画像品質に優れたものであった。
本発明のトナーの製造方法、及びそれにより製造されたトナーは、トナーを効率よく生産することができ、更にこれまでにない粒度の単一分散性を有した粒子であることにより、流動性や帯電特性といったトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子による変動の幅が全くないか、非常に少ない、電子写真、静電記録、静電印刷等における静電荷像を現像するための現像剤に使用可能である。
1 トナーの製造装置
2 液滴噴射ユニット
3 粒子形成部
4 トナー捕集部
5 チューブ
6 トナー貯留部
7 原料収容部(共通液溜め)
8 配管(送液管)
9 ポンプ
10 トナー組成液
11 ノズル
11a ノズル
12 薄膜
13 振動手段
14 液貯留部(液貯留領域)
15 流路部
15a 流路部材
16 ノズル面
21 振動発生手段
22 振動増幅手段(ホーン)
26 振動分離部材
31 液滴
35 気流
36 気流路形成部材
37 気流路
41 テーパー面
42 気流
43 気泡
T トナー粒子
L 側壁面からの距離
C 振動手段の振動面
H ノズル面と該ノズル面に対向する振動手段の振動面との間の厚さ
特開平7−152202号公報 特開昭57−201248号公報 特許第3786034号公報 特許第3786035号公報 特開2007−199463号公報

Claims (10)

  1. 噴霧液を貯留する液貯留部を有し、前記液貯留部に設けた複数のノズルが形成された薄膜及び、前記薄膜に平行な振動面を持つ1つの振動発生手段で構成された液滴化手段を用いて、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を分散ないし溶解させたトナー組成液を、前記複数のノズルから周期的に液滴化して放出させる周期的液滴化工程と、前記放出されたトナー組成液の液滴を固化させる粒子形成工程とを行うトナーの製造装置において、
    前記ノズルは薄膜を貫通する孔によって形成され、
    前記複数のノズルのうち、側壁面からの距離Lが最も小さいノズルの位置において、ノズル面と該ノズル面に対向する振動手段の振動面との間の厚さHとLとが、H>Lの関係にあることを特徴とするトナーの製造装置。
  2. 前記Hが各ノズル位置において一様であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造装置。
  3. 前記振動発生手段は、前記複数のノズルを有する薄膜に対して平行な振動面を有し、垂直方向に縦振動しているトナーの製造装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造装置。
  4. 前記液貯留部内の液の共振周波数が、前記複数のノズルが形成された薄膜を含む前記液貯留部を構成する構造体の共振周波数よりも低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトナーの製造装置。
  5. 前記液貯留部の外部に気流形成手段によって気流路を設け、前記複数のノズルを有する薄膜から、液が放出される方向に気流が形成されており、前記気流路が、液が放出されている部分の直後で、気流の通過する断面積を縮小せしめる気流絞りを設けていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のトナーの製造装置
  6. 前記トナー組成液の液滴を一の溶媒除去部で乾燥することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のトナーの製造装置。
  7. 前記溶媒除去部内で液滴吐出方向と同方向に流れる乾燥気体によって前記トナー組成液の液滴を搬送して溶媒を除去させることを特徴とする請求項に記載のトナーの製造装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のトナーの製造装置を用いたことを特徴とするトナーの製造方法
  9. 請求項に記載のトナーの製造方法によって製造されたトナー。
  10. 粒度分布(重量平均粒径/数平均粒径)が、1.00〜1.15の範囲であることを特徴とする請求項に記載のトナー。
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