JP6387309B2 - 貯湯式給湯機 - Google Patents

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Description

この発明は、給湯用の湯水を貯湯する缶体の外周部に断熱材を設けた貯湯式給湯機に関するものである。
従来よりこの種の貯湯式給湯機においては、特許文献1に記載のように、略円筒形の缶体(貯湯タンク)の径方向外周部に真空断熱材を設け、その真空断熱材のさらに径方向外周部に発泡断熱材(外周部断熱材)を設けたものがあった。
特開2013−24464号公報
ところでこの従来のものでは、前記真空断熱材についても前記発泡断熱材についても、前記略円筒形の缶体の周方向全周を覆うような、横断面略円環形状となっている。ここで、取り付け時の作業性を向上するために、缶体の外周部に取り付けられる真空断熱材を、横断面略円弧状の2つの真空断熱材片に分割する構造が考えられる。同様に、真空断熱材の外周部に取り付けられる発泡断熱材も、取り付け時の作業性を向上するために、横断面略円弧状の2つの発泡断熱材片に分割する構造が考えられる。
しかし、真空断熱材及び発泡断熱材を単純に前記のような2分割構造とした場合、構造上、2つの断熱材片どうし周方向に互いに突き合わされる突き合わせ部が生じ、そのままでは、真空断熱材片どうしの前記突き合わせ部及び発泡断熱材片どうしの前記突き合わせ部を介し缶体の熱が放熱することで、保温性能が低下するという問題があった。
上記問題を解決するために、本発明の請求項1では、加熱手段で加熱された湯水を内部に貯湯する、略円筒形の缶体と、前記缶体の径方向外周部を覆うように設けられ、横断面略円弧状の2つの真空断熱材片に分割された真空断熱材と、前記真空断熱材の径方向外周部を覆うように設けられ、横断面略円弧状の2つの発泡断熱材片に分割された発泡断熱材とを有する貯湯式給湯機において、前記2つの真空断熱材片を、周方向両端部どうしが互いに径方向に重なる2つのオーバーラップ部を形成するように配置し、前記2つのオーバーラップ部それぞれの周方向位置を、前記2つの発泡断熱材片が互いに周方向に突き合わされる突き合わせ部の周方向位置と一致させており、前記2つの真空断熱材片は、前記缶体の前面側に配置される第1断熱材片と、前記缶体の背面側に配置される第2断熱材片とを含み、前記2つのオーバーラップ部のうち一方のオーバーラップ部では、前記第1断熱材片が第2断熱材片の径方向外側において径方向に重なり、前記2つのオーバーラップ部のうち他方のオーバーラップ部では、前記第2断熱材片が第1断熱材片の径方向外側において径方向に重なり、前記2つの発泡断熱材片のそれぞれは、前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片のうち、各オーバーラップ部において径方向外側に位置する断熱材片が当該オーバーラップ部外で径方向内側へ戻るように曲折する曲折部に倣う、曲面部を備えるものである。
また、請求項では、前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片は、それぞれ、略真空状態の内部に所定の芯材が充填された袋部と、前記袋部の外周側に位置する耳部とを備えており、かつ、前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片は、いずれの前記オーバーラップ部においても、前記耳部が前記袋部の径方向外側に折りたたまれつつ、互いに径方向に重なっているものである。
また、請求項では、前記2つの発泡断熱材片のそれぞれは、前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片のうち、各オーバーラップ部において径方向外側に位置する断熱材片の、横断面略直線状に延びる周方向端部を収納する、収納部を備えるものである。
また、請求項では、前記収納部は、各発泡断熱材片の径方向内周面に、横断面略矩形形状で備えられているものである。
また、請求項では、前記曲面部は、各発泡断熱材片の径方向内周面に、横断面略円弧形状で備えられているものである。
また、請求項では、前記2つの発泡断熱材片のそれぞれは、前記オーバーラップ部の径方向外側で、前記突き合わせ部において互いに係合する係合段付き部を、周方向両端部に備えるものである。
また、請求項では、前記2つの真空断熱材片による前記オーバーラップ部の周方向寸法を、前記突き合わせ部の周方向寸法より大きくしたものである。
この発明の請求項1によれば、内部に湯水を貯湯するのに用いられる略円筒形の缶体の径方向外周部に保温用の真空断熱材が設けられ、その真空断熱材のさらに径方向外周部に発泡断熱材が設けられる。このとき、缶体への取り付け時の作業性を向上するために、真空断熱材は横断面略円弧状の2つの真空断熱材片に分割された構造となっている。この結果、そのままでは、真空断熱材片どうしの突き合わせ部から缶体の熱が放熱することで、保温性能が低下するおそれがある。
そこで、請求項1によれば、前記2つの真空断熱材片を缶体の外周部に配置する際、周方向両端部どうしを互いに径方向に重ねるようにしてオーバーラップ部を形成する。これにより、真空断熱材片どうしの間に隙間がなくなるので、上記放熱を防止することができる。
一方、前記真空断熱材と同様、取り付け時の作業性を向上するために、発泡断熱材も横断面略円弧状の2つの発泡断熱材片に分割された構造となっている。このとき、前記のようにオーバーラップ部では真空断熱材片が径方向に二重に重なって十分な断熱性能を果たすようになっている。そして、前記2つの発泡断熱材片を真空断熱材の外周部に配置する際、それらが突き合わされる突き合わせ部の周方向位置を、前記オーバーラップ部の周方向位置と一致させる(言い替えれば、真空断熱材片のオーバーラップ部の径方向外側に、発泡断熱材片の突き合わせ部を設ける)。このようにして、既に真空断熱材によって十分な保温性能が確保されている部位に発泡断熱材片の突き合わせ部を配置することで、缶体から外部へ向かう放熱量を減少させ、給湯機全体として十分な保温性能を確保することができる。以上の結果、請求項1によれば、断熱材の取り付け時の作業性を確保しつつ、十分な保温性能を確保することができる。
また、真空断熱材の2つの断熱材片について、一方のオーバーラップ部では内側に第2断熱材片、外側に第1断熱材片の重なり状態とし、他方のオーバーラップ部では内側に第1断熱材片、外側に第2断熱材片の重なり状態とする。この結果、第1断熱材片及び第2断熱材片に対し、缶体の熱を内側で一次的に遮熱する機能とその外側で二次的に遮熱する機能とを両オーバーラップ部においてそれぞれ均等に振り分け、分担することができる。
また、各オーバーラップ部において径方向外側に位置しオーバーラップ部外で径方向内側へと戻る、断熱材片の曲折部を、曲面部によって確実に位置決めしつつ保持することができる。
また、請求項によれば、袋部のほかに耳部を備える真空断熱材片が用いられる場合であっても、確実にオーバーラップ部を構築することができる。また、各断熱材片において、耳部を袋部の径方向外側に折りたたんで配置することにより、さらに確実にオーバーラップ部における遮熱効果を得ることができる。
また、請求項によれば、各オーバーラップ部において径方向外側に位置する断熱材片の周方向端部を、収納部によって収納し、確実に位置決めしつつ保持することができる。
また、請求項によれば、横断面略直線状に延びる周方向端部を、横断面略矩形形状の収納部によって、確実にフィットさせつつ安定的に保持することができる。
また、請求項によれば、曲折しながら径方向内側へと戻る曲折部を、横断面略円弧形状の曲面部によって、確実にフィットさせつつ安定的に保持することができる。
また、請求項によれば、各発泡断熱材片の周方向両端部に設けられた係合段付き部を互いに係合させることで、2つの発泡断熱材片を真空断熱材の径方向外周部に組み付けるときの組み付け性を向上することができる。また、段付き形状とすることで、突き合わせ部を介した放熱に対する遮熱効果もある。
また、請求項によれば、2つの発泡断熱材片の突き合わせ部の周方向寸法(言い替えれば外部に露出する開口寸法)よりも、2つの真空断熱材片どうしのオーバーラップ寸法を大きくすることで、オーバーラップ部において高い断熱性能を確実に得ることができる。
本発明の一実施形態の貯湯式給湯機の全体概略構成図 缶体及びその周囲構造の詳細を表す分解斜視図 図2中の矢印III方向からの矢視図に相当する模式側面図 缶体の径方向外側における、真空断熱材片及び発泡断熱材片の配置状態を表す、図3中のIV−IV断面による横断面図 真空断熱材及び発泡断熱材を単純に2分割した比較例を表す横断面図 発泡断熱材片が係合段付き部を備える変形例における、オーバーラップ部の拡大横断面図 真空断熱材片が袋部及び耳部を備える変形例における、真空断熱材片の外観を表す側面図、及び、図7(a)中のVIIb−VIIb断面による横断面図 図7に示す変形例における、オーバーラップ部の拡大横断面図
次に、本発明の一実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
本実施形態の貯湯式給湯機を備えた貯湯式給湯装置の全体概略構成を図1に示す。図1において、この貯湯式給湯装置100は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯に湯水を沸き上げて貯湯しこの貯湯した湯水を給湯に用いるもので、湯水を貯湯する缶体2(貯湯タンク)を備えた貯湯タンクユニット1と、缶体2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット3と、台所や洗面所等にそれぞれ設けられた給湯栓4と、例えば給湯栓4の近傍に設けられた給湯リモコン5と、浴槽6と、を有する。
前記貯湯タンクユニット1は、筐体となる外装ケース(図示省略)の内部に設置される前記缶体2と、缶体2の上部に接続された出湯管12と、缶体2の下部に接続された給水管13と、出湯管12からの高温水と給水管13から分岐されたバイパス管14からの低温水とを混合するミキシング弁15と、ミキシング弁15の下流に接続された給湯管16と、給湯管16から分岐され浴槽6に接続された湯張り管20と、湯張り管20の開閉を行う湯張り弁21と、出湯管12から分岐するよう接続されて缶体2の過圧を逃す過圧逃し弁23と、給湯管16に設けられた給湯温度センサ17と、給湯管16に設けられた給湯流量センサ18と、給水管13に設けられた給水圧を減圧する減圧弁24と、給水管13に設けられた給水温度センサ19と、湯張り管20を流れる流量を積算する湯張り流量センサ22と、マイクロコンピュータを備えてこの貯湯タンクユニット1の各種機器の制御を行う給湯制御部25とを有する。
前記缶体2には、上下方向に沿って複数個のサーミスタ29が配置されている。これらのサーミスタ29が検出する温度情報によって、缶体2内にどれだけの熱量が残っているかが検知され、さらに缶体2内の上下方向の温度分布が検知される。
前記缶体2と前記ヒートポンプユニット3とは、湯水を循環させるヒーポン往き管26及びヒーポン戻り管27からなる加熱循環回路28により接続されている。前記ヒートポンプユニット3は、ヒートポンプ回路34と、ヒーポン循環ポンプ36と、それらの駆動を制御するヒーポン制御部39とを備えている。前記ヒートポンプ回路34は、二酸化炭素冷媒を圧縮する圧縮機30と、凝縮器としての冷媒−水熱交換器31と、電子膨張弁32と、強制空冷式の蒸発器33とで構成されている。前記加熱循環回路28の冷媒−水熱交換器31入口側には、冷媒−水熱交換器31に流入する湯水の温度を検出する熱交入口温度センサ37が設けられ、加熱循環回路28の冷媒−水熱交換器31出口側には、冷媒−水熱交換器31から流出する湯水の温度を検出する熱交出口温度センサ38が設けられている。
前記給湯リモコン5には、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ40と、ふろ設定温度を設定するふろ温度設定スイッチ42と、前記ふろ設定温度の湯を湯張り量設定スイッチ41で設定された湯張り量だけ浴槽6へ湯張りして所定時間保温させるふろ自動スイッチ43と、適宜の表示を行う表示部45と、マイクロコンピュータを備え前記給湯制御部25と通信を行うリモコン制御部(図示せず)と、を備えている。
次に、図2及び図3を用いて、前記缶体2及びその周囲構造の詳細について説明する。なお、図示の煩雑を避けるために、缶体2に接続される各種配管及び前記外装ケース等は省略している。また、以下の説明において、上下方向、前後方向、左右方向は、図2等の各図中に適宜示す矢印方向に対応している。この図2において、缶体2は全体が略円筒形に形成された金属製の中空缶であり、その周囲に、缶体2の径方向外周部をほぼ全周にわたって覆う真空断熱材50と、この真空断熱材50を含めた缶体2全体を覆う発泡断熱材60と、発泡断熱材60で覆われた缶体2を上部に載置するベース部57と、が設けられている。
真空断熱材50は、前方側(言い換えれば前記缶体2の前面側)に位置する真空断熱材片51(第1断熱材片)と、後方側(言い換えれば前記缶体2の背面側)に位置する真空断熱材片52(第2断熱材片)とに2分割された構造となっている。各真空断熱材片51,52は、例えばアルミフィルムの袋体の内部にグラスウールを芯材として充填させた上でほぼ真空状態とした構造体であり、例えば平板状形状の断熱材母材をロール加工されることによって全体が概ね略半円筒形(横断面略円弧状)に形成されている。そして、図示する例では、前方側真空断熱材片51及び後方側真空断熱材片52は、缶体2の径方向外側表面に対して、それぞれ対向する略180°の範囲(詳細には180°よりも若干大きい角度。後述の図54等参照)を覆っている。また、各真空断熱材片51,52は、例えばポリプロピレンフィルムからなるテープ等、適宜の固定具によって缶体2に固定されている(煩雑防止のために図示省略)。
発泡断熱材片60は、前記缶体2の上面を覆うよう略半球形に形成された上部発泡断熱材片53と、前記缶体2の下面を覆うよう略半球形に形成された下部発泡断熱材片54と、前記缶体2の径方向外側表面に対してそれぞれ対向する180°の範囲(詳細には180°よりも若干小さい角度。後述の図54等参照)で覆うよう略半円筒形(横断面略円弧状)に形成された前方側発泡断熱材片55及び後方側真空断熱材片56とに、4分割された構造となっている。各発泡断熱材片53〜56は、機械的な剛性を有する材料(例えば耐熱性発泡ポリスチレン)からなる成形品である。なお、図中では、前記下部発泡断熱材片54は前記ベース部57と一体に設けられているものである。また、前記前方側・後方側発泡断熱材片55,56の内径は、(後述のオーバーラップ部OP1,OP2を除き)缶体2の外周表面を覆った前記真空断熱材片51,52の外径と略同じとなるように設定されており、前記前方側・後方側発泡断熱材片55,56は、前記真空断熱材片51,52の径方向外周部を(後述の突き合わせ部S1,S2を除き)ほぼ全周にわたって覆う。
以上の基本構成を備える貯湯式給湯装置100における、前記前方側発泡断熱材片55、前記後方側発泡断熱材片56、前記前方側真空断熱材片51、及び前記後方側真空断熱材片52の配置構造詳細について、図4を用いて説明する。なお、図4においては、図示の煩雑防止のために、缶体2は外形のみを想像線で略示している(後述の図5も同様)。
図4に示すように、前記前方側真空断熱材片51及び前記後方側真空断熱材片52は、周方向両端部どうしが互いに径方向に重なる、図示右側に位置するオーバーラップ部OP1及び図示左側に位置するオーバーラップ部OP2を形成するように、配置されている。
すなわち、前方側真空断熱材片51は、周方向一方側(図示右側の前記オーバーラップ部OP1側)の末端部が径方向外側に湾曲した形状となっており、その末端部近傍において横断面略直線状に延びる端部51a(周方向端部)と、前記端部51aの周方向他方側(前記オーバーラップ部OP2側)に連設され前記オーバーラップ部OP1外で径方向内側へ戻るように曲折する曲折部51bと、を備えている。なお、前記前方側真空断熱材片51のうち端部51a及び曲折部51b以外の部分は、略円環形状の中間部51dとなっている。同様に、後方側真空断熱材片52も、周方向一方側(図示左側の前記オーバーラップ部OP2側)の末端部が径方向外側に湾曲した形状となっており、その末端部近傍において横断面略直線状に延びる端部52a(周方向端部)と、前記端部52aの周方向他方側(前記オーバーラップ部OP1側)に連設され前記オーバーラップ部OP2外で径方向内側へ戻るように曲折する曲折部52bと、を備えている。なお、前記後方側真空断熱材片52のうち端部52a及び曲折部52b以外の部分は、略円環形状の中間部52dとなっている。
前記オーバーラップ部OP1においては、前記前方側真空断熱材片51の前記端部51aが、前記後方側真空断熱材片52の周方向他方側の端部52cの、径方向外側に重なっている。同様に、前記オーバーラップ部OP2においては、前記後方側真空断熱材片52の前記端部52aが、前記前方側真空断熱材片51の周方向他方側の端部51cの、径方向外側に重なっている。
また、前記前方側発泡断熱材片55及び前記後方側発泡断熱材片56は、周方向両端部どうしが互いに突き合わされる2つの突き合わせ部(図示右側の突き合わせ部S1及び図示左側の突き合わせ部S2)を形成するように、配置される。
すなわち、前方側発泡断熱材片55の周方向一方側(図示右側の前記オーバーラップ部OP1側)の端部55dと、前記後方側発泡断熱材片56の周方向他方側の(図示右側の前記オーバーラップ部OP1側)の端部56dとの間に、前記突き合わせ部S1が形成され、この突き合わせ部S1の周方向位置は、前記オーバーラップ部OP1の周方向位置と一致している。このとき、前記後方側発泡断熱材片56の前記端部56eの近傍の内周面には、前記オーバーラップ部OP1において径方向外側に位置している前記前方側真空断熱材片51の前記端部51aを収納する、横断面略矩形形状の収納部56aが備えられている。また、前記前方側発泡断熱材片55の前記端部55dの近傍の内周面には、前記前方側真空断熱材片51の前記曲折部51bに倣う曲面部55bが、横断面略円弧形状で備えられている。
また、前方側発泡断熱材片55の周方向他方側(図示左側の前記オーバーラップ部OP2側)の端部55eと、前記後方側発泡断熱材片56の周方向他方側の(図示左側の前記オーバーラップ部OP2側)の端部56dとの間に、前記突き合わせ部S2が形成され、この突き合わせ部S2の周方向位置は、前記オーバーラップ部S2の周方向位置と一致している。このとき、前記前方側発泡断熱材片55の前記端部55eの近傍の内周面には、前記オーバーラップ部OP2において径方向外側に位置している前記後方側真空断熱材片52の前記端部52aを収納する、横断面略矩形形状の収納部55aが備えられている。また、前記後方側発泡断熱材片56の前記端部56dの近傍の内周面には、前記後方側真空断熱材片52の前記曲折部52bに倣う曲面部56bが、横断面略円弧形状で備えられている。
なお、前記のようなオーバーラップ部OP1,OP2の構成において、オーバーラップ部OP1,OP2それぞれの周方向寸法である長さLは、前記突き合わせ部S1,S2の周方向寸法である間隙Mよりも大きくなっている。なお、構造の明確化のために、図4及びその他の各図においては、突き合わせ部S1,S2の広がりを大きく誇張して図示しているが、実際は、これら突き合わせ部S1,S2は、発泡断熱材を前記前方側発泡断熱材片55及び前記後方側発泡断熱材片56の2分割構造とする必要性からやむなく生じるものであって、比較的小さいものである(すなわち前記間隙Mの大きさは比較的小さい)。但し、オーバーラップ部OP1,OP2における真空断熱材片51,52の重なりにより十二分な断熱性能を確保できる場合には、前記突き合わせ部S1,S2の広がりを比較的大きくとる(前記間隙Mを比較的大きくする)ようにしてもよい。
以上のように構成した本実施形態では、略円筒形の缶体2の径方向外周部に真空断熱材50が設けられる。このとき、真空断熱材50を前記2つの真空断熱材片(前方側真空断熱材片51及び後方側真空断熱材片52)への分割構造とすることで、缶体2への取り付け時の作業性を向上することができる。また、前記真空断熱材50のさらに径方向外周部には発泡断熱材60が設けられる。このとき、発泡断熱材60のうち前記径方向外周部の部分を、前記2つの発泡断熱材片(前方側発泡断熱材片55及び後方側発泡断熱材片56)への分割構造とすることで、前記同様、真空断熱材50の外周部へ取り付ける時の作業性を向上することができる。
しかしながら、前記のように真空断熱材50や発泡断熱材60を単純に2分割構造とした場合には、図4に対応する図5に示す比較例のように、そのままでは、真空断熱材片51,52どうしの突き合わせ部及び発泡断熱材片55,56どうしの突き合わせ部から缶体の熱が放熱し(矢印ア,イ参照)、保温性能が低下するおそれがある。
そこで、本実施形態では、2分割構造の前記前方側真空断熱材片51及び前記後方側真空断熱材片52を缶体2の外周部に配置する際、それらの周方向両端部どうしを互いに径方向に重ねるようにして前記オーバーラップ部OP1,OP2を形成する。これにより、真空断熱材片51,52どうしの間に隙間がなくなるので、上記放熱を防止することができる。
一方、本実施形態では、前記真空断熱材50と同様、取り付け時の作業性を向上するために、発泡断熱材60も2つの発泡断熱材片(前方側発泡断熱材片55及び後方側発泡断熱材片56)に分割されている。このとき、前記のようにオーバーラップ部OP1,OP2では真空断熱材片51,52が径方向に二重に重なって十分な断熱性能を果たすようになっている。そこで、本実施形態では、前記2つの発泡断熱材片55,56を真空断熱材片51,52の外周部に配置する際、それらが周方向に突き合わされる突き合わせ部S1,S2の周方向位置を、前記オーバーラップ部S1,S2の周方向位置とそれぞれ一致させる(言い替えれば、真空断熱材片51,52のオーバーラップ部OP1,OP2の径方向外側に、発泡断熱材片55,56の突き合わせ部S1,S2を設ける)。このようにして、既に真空断熱材片51,52によって十分な保温性能が確保されている部位に発泡断熱材片55,56の突き合わせ部S1,S2を配置することで、缶体2から外部へ向かう放熱量を減少させ、給湯機全体として十分な保温性能を確保することができる。以上の結果、本実施形態によれば、断熱材50,60の取り付け時の作業性を確保しつつ、十分な保温性能を確保することができるものである。
また、本実施形態では特に、オーバーラップ部OP1では内側に後方側真空断熱材片52、外側に前方側真空断熱材片51の重なり状態とし、オーバーラップ部OP2では前方側真空断熱材片51、外側に後方側真空断熱材片52の重なり状態とする。この結果、前方側真空断熱材片51及び後方側真空断熱材片52に対し、缶体2の熱を内側で一次的に遮熱する機能とその外側で二次的に遮熱する機能とを両オーバーラップ部OP1,OP2においてそれぞれ均等に振り分け、分担することができるものである。
また、本実施形態では特に、前方側発泡断熱材片55及び後方側真空断熱材片52が、収納部55a,56aをそれぞれ備える。これにより、各オーバーラップ部OP1,OPにおいて径方向外側にそれぞれ位置する真空断熱材片52,51の端部52a,51aを、収納部56a,55aによって収納し、確実に位置決めしつつ保持できるものである。
また、本実施形態では特に、前記収納部55a,56aは、各発泡断熱材片55,56の径方向内周面に、横断面略矩形形状で備えられている。これにより、横断面略直線状に延びる後方側真空断熱材片52の端部52aや前方側真空断熱材片51の端部51aを、横断面略矩形形状の前記収納部55a,56aによって、確実にフィットさせつつ安定的に保持できるものである。
また、本実施形態では特に、各発泡断熱材片55,56は、前方側真空断熱材片51の曲折部51b及び後方側真空断熱材片52の曲折部52bにそれぞれ倣う、曲面部55b、56bを備える。これにより、各オーバーラップ部OP1,OP2において径方向外側に位置しオーバーラップ部OP1,OP2外で径方向内側へと戻る、真空断熱材片51,52の曲折部51b,52bを、曲面部55b,56bによって確実に位置決めしつつ保持できるものである。
また、本実施形態では特に、前記曲面部55b,56bは、各発泡断熱材片55,56の径方向内周面に、横断面略円弧形状で備えられている。これにより、曲折しながら径方向内側へと戻る曲折部51b,52bを、横断面略円弧形状の曲面部55b,56bによって、確実にフィットさせつつ安定的に保持できるものである。
また、本実施形態では特に、前記真空断熱材片51,52による前記オーバーラップ部OP1,OP2の前記長さLを、前記突き合わせ部S1,S2の前記間隙Mより大きくしている。これにより、2つの発泡断熱材片55,56どうしの隙間寸法(言い替えれば外部に露出する開口寸法)よりも、2つの真空断熱材片51,52どうしのオーバーラップ寸法が大きくなるので、オーバーラップ部OP1,OP2において高い断熱性能を確実に得ることができるものである。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記図4中右側の拡大図に対応する図6に示すように、オーバーラップ部OP1の径方向外側において、前方側発泡断熱材片55の周方向一方側(オーバーラップ部OP1側)に設けた係合段付き部55Aと、後方側発泡断熱材片56の周方向他方側(オーバーラップ部OP1側)に設けた係合段付き部56Aとを、前記突き合わせ部S1を介しつつ互いに係合させる構造としてもよい。なお、図示を省略しているが、オーバーラップ部OP2の径方向外側においても、上記同様に、前記前方側発泡断熱材片55の周方向他方側(オーバーラップ部OP2側)に設けた同様の係合段付き部と、後方側発泡断熱材片56の周方向一方側(オーバーラップ部OP2側)に設けた係合段付き部とが、前記突き合わせ部S2を介しつつ互いに係合している(すなわち、前方側発泡断熱材片55及び後方側発泡断熱材片56は、それぞれ、周方向両端部に前記係合段付き部を備えている)。
この場合、各発泡断熱材片55,56の周方向両端部の前記係合段付き部55A,56A等を互いに係合させることで、2つの発泡断熱材片55,56を真空断熱材片51,52の径方向外周部に組み付けるときの組み付け性を向上することができる。また、段付き形状とすることで、突き合わせ部S1,S2の形状をクランク形状とすることができるとともに、突き合わせ部S1,S2の周方向寸法である上記間隙Mを小さくできるので、前記放熱に対する遮熱効果もあるものである。
また、例えば、真空断熱材片51,52として、図7(a)及び図7(b)に示すように、略真空状態の内部に所定の芯材(例えば前記のグラスウール。但し図示省略)が充填された袋部BAと、袋部BAの外周側に位置する耳部Beとを備えたものが用いられる場合がある。このような場合には、図8に示すように、各オーバーラップ部OP1,OP2において、真空断熱材片51,52のいずれについても、前記耳部Beを前記袋部BAの径方向外側に折りたたむようにしつつ、径方向に重ねればよい。
この変形例によれば、袋部BAのほかに耳部Beを備える真空断熱材片51,52が用いられる場合であっても、確実に前記オーバーラップ部OP1,OP2を構築することができる。また、各真空断熱材片51,52において、耳部Beを袋部BAの径方向外側に折りたたんで配置することにより、さらに確実にオーバーラップ部OP1,OP2における遮熱効果を得ることができるものである。
また、上記実施形態では、加熱手段をヒートポンプユニット3で構成した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、太陽熱、ガス、液体燃料による給湯機や、電熱ヒータによる電気温水器や、コージェネレーションシステムの廃熱回収装置等を前記加熱手段として用いても良い。
1 貯湯タンクユニット(貯湯式給湯機)
2 缶体
3 ヒートポンプユニット(加熱手段)
50 真空断熱材
51 前方側真空断熱材片(第1断熱材片)
52 後方側真空断熱材片(第2断熱材片)
55 前方側発泡断熱材片
55A 係合段付き部
55a 収納部
55b 曲面部
56 後方側発泡断熱材片
56A 係合段付き部
56a 収納部
56b 曲面部
60 発泡断熱材
100 貯湯式給湯装置
BA 袋部
Be 耳部
OP1,OP2 オーバーラップ部
S1,S2 突き合わせ部

Claims (7)

  1. 加熱手段で加熱された湯水を内部に貯湯する、略円筒形の缶体と、
    前記缶体の径方向外周部を覆うように設けられ、横断面略円弧状の2つの真空断熱材片に分割された真空断熱材と、
    前記真空断熱材の径方向外周部を覆うように設けられ、横断面略円弧状の2つの発泡断熱材片に分割された発泡断熱材と
    を有する貯湯式給湯機において、
    前記2つの真空断熱材片を、
    周方向両端部どうしが互いに径方向に重なる2つのオーバーラップ部を形成するように配置し、
    前記2つのオーバーラップ部それぞれの周方向位置を、前記2つの発泡断熱材片が互いに周方向に突き合わされる突き合わせ部の周方向位置と一致させており、
    前記2つの真空断熱材片は、
    前記缶体の前面側に配置される第1断熱材片と、
    前記缶体の背面側に配置される第2断熱材片とを含み、
    前記2つのオーバーラップ部のうち一方のオーバーラップ部では、前記第1断熱材片が第2断熱材片の径方向外側において径方向に重なり、
    前記2つのオーバーラップ部のうち他方のオーバーラップ部では、前記第2断熱材片が第1断熱材片の径方向外側において径方向に重なり、
    前記2つの発泡断熱材片のそれぞれは、
    前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片のうち、各オーバーラップ部において径方向外側に位置する断熱材片が当該オーバーラップ部外で径方向内側へ戻るように曲折する曲折部に倣う、曲面部を備える
    ことを特徴とする貯湯式給湯機。
  2. 前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片は、それぞれ、
    略真空状態の内部に所定の芯材が充填された袋部と、
    前記袋部の外周側に位置する耳部と
    を備えており、
    かつ、
    前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片は、
    いずれの前記オーバーラップ部においても、前記耳部が前記袋部の径方向外側に折りたたまれつつ、互いに径方向に重なっている
    ことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯機。
  3. 前記2つの発泡断熱材片のそれぞれは、
    前記第1断熱材片及び前記第2断熱材片のうち、各オーバーラップ部において径方向外側に位置する断熱材片の、横断面略直線状に延びる周方向端部を収納する、収納部を備える
    ことを特徴とする請求項2記載の貯湯式給湯機。
  4. 前記収納部は、
    各発泡断熱材片の径方向内周面に、横断面略矩形形状で備えられている
    ことを特徴とする請求項3記載の貯湯式給湯機。
  5. 前記曲面部は、
    各発泡断熱材片の径方向内周面に、横断面略円弧形状で備えられている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の貯湯式給湯機。
  6. 前記2つの発泡断熱材片のそれぞれは、
    前記オーバーラップ部の径方向外側で、前記突き合わせ部において互いに係合する係合段付き部を、周方向両端部に備える
    ことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の貯湯式給湯機。
  7. 前記2つの真空断熱材片による前記オーバーラップ部の周方向寸法を、前記突き合わせ部の周方向寸法より大きくした
    ことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の貯湯式給湯機。
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