JP6382663B2 - 電池状態判定方法及び電池状態判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電池における充電状態を判定する電池状態判定方法、及び、電池状態判定装置に関する。
従来、電池の充電状態の1つである残存容量(SOC:State Of Charge)を算出する技術として、電池の電圧に基づいて算出する技術(特許文献1)や、電池の充放電電流の積算量に基づいて算出する技術(特許文献2)が知られている。また、電池の交流インピーダンスの周波数変化に基づいて作成されるナイキスト線図に現れる円弧の半径からSOCを算出する技術(特許文献3)や、交流インピーダンスのうち実数成分のみからなるときの周波数に基づいてSOCを算出する技術(特許文献4)も知られている。
特開2001−231179号公報 特表平8−507368号公報 特開平11−32442号公報 特許第4648322号公報
しかしながら、SOCを電池の電圧から算出する技術の場合、電池の状態や充放電状態を反映して電池電圧が大きく変化するため、その算出結果に大きな誤差を生じるおそれがある。また、SOCを電池の充放電電流の積算量に基づいて算出する技術の場合、電流計測精度の問題や電池の充放電効率を要因として演算誤差が大きくなるおそれがある。
さらに、ナイキスト線図に現れる円弧の半径からSOCを算出する技術の場合、円弧の半径はSOCと線形相関にないことから、測定精度が高くなく、特にSOCの低い領域では測定精度が低くなる。また、交流インピーダンスのうち実数成分のみからなるときの周波数に基づいてSOCを算出する技術の場合、電池に接続される配線等の影響が無視できない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、電池の交流インピーダンスに基づいて、電池の充電状態をより好適に算出することができる電池状態判定方法及び電池状態判定装置を提供することにある。
上記課題を解決する電池状態判定方法は、電池の充電状態を算出する電池状態判定方法であって、電池の交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する特徴値を求め、該特徴値を、予め定められている特徴値と電池の充電状態との相関関係を示す残量情報と照合することに基づいて電池の充電状態を算出することを要旨とする。
上記課題を解決する電池状態判定装置は、電池の充電状態を算出する電池状態判定装置であって、前記電池の交流インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、前記インピーダンス測定部により測定された交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する特徴値を取得する特徴値取得部と、前記取得した特徴値を、予め設定されている特徴値と電池の充電状態との相関関係を示す残量情報と照合することによって電池の充電状態を算出する算出部と、を備えることを要旨とする。
このような方法又は構成によれば、電池の残存容量などの充電状態が、交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスから得られる特徴値を残量情報と照合することにより算出される。これにより、電池の交流インピーダンスに基づいて、電池の充電状態が好適に算出されるようになる。また、電池の交流インピーダンスに基づくものであることから非破壊で電池の充電状態を算出することができる。
好ましい方法として、前記照合する残量情報を電池の各異なる温度毎の情報として定めておき、前記特徴値をその都度の電池の温度に対応する残量情報と照合することに基づいて電池の充電状態を算出する。
好ましい構成として、電池の温度を測定する温度測定部を更に備え、前記算出部は、前記残量情報として電池の各異なる温度毎の情報を用い、前記特徴値と前記温度測定部により測定された温度に対応する残量情報とを照合することによって電池の充電状態を算出する。
このような方法又は構成によれば、電池の温度を考慮することで電池の充電状態をより高い精度で算出することができるようになる。
好ましい方法として、前記照合する電池の残量情報は、予め定められている特徴値と電池の負極の充電状態との相関関係を示すものであり、前記電池の充電状態を、照合により得られる電池の負極の充電状態に基づいて算出する。
このような方法によれば、負極に放電リザーブを有する電池において電池の充電状態を適切に算出することができるようになる。
好ましい方法として、前記特徴値を交流インピーダンスの実数成分のうち反応抵抗に起因する交流インピーダンスを含むように予め定められた範囲から取得する。
このような方法によれば、特徴値が交流インピーダンスの反応抵抗に起因する交流インピーダンスから得られる実数成分により予め定められた範囲から適切に得られる。
好ましい方法として、前記電池の交流インピーダンスの周波数変化に、回路抵抗と溶液抵抗と反応抵抗と拡散抵抗とにそれぞれ対応する構成を有する等価回路を対応させ、該対応させた等価回路のうち、反応抵抗に対応する等価回路の値から前記特徴値を取得する。
このような方法によれば、電池の交流インピーダンスの周波数変化の反応抵抗に対応する等価回路の部分の値に基づいて特徴値が得られるようになる。よって、反応抵抗に起因する交流インピーダンスに対して他の抵抗(例えば、拡散抵抗)の交流インピーダンスが及ぼす影響が排除される。これにより、反応抵抗に起因する交流インピーダンスが好適に得られるようになるため特徴値をより正確に得ることができ、より正確に電池の充電状態が算出されるようになる。また、等価回路へのフィッティングにより、少ない実測値からであれ、特徴値を正確に得ることができる。
上記課題を解決する電池状態判定方法は、電池の負極の充電状態を算出する電池状態判定方法であって、電池の負極の交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する特徴値を求め、該特徴値を、予め定められている特徴値と電池の負極の充電状態との相関関係を示す残量情報と照合することに基づいて電池の負極の充電状態を算出することを要旨とする。
このような構成によれば、負極の充電状態が算出されるようになる。また、電池の分析等の際、負極の充電状態を非破壊で調べることができる。
この電池状態判定方法及び電池状態判定装置によれば、電池の交流インピーダンスに基づいて、電池の充電状態をより好適に算出することができる。
電池状態判定装置を具体化した第1の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。 同実施形態において、負極SOCと正極SOCとの相関関係を図示する関係図。 同実施形態において、電池の残存容量(SOC)を算出する算出手順を示すフローチャート。 同実施形態において、電池の交流インピーダンスから作成されるナイキスト線図の一例をグラフで示す図。 同実施形態において、−30℃〜15℃の範囲において電池の各温度毎に予め設定される特徴値(fmax)と負極SOCとの相関関係を示す相関データの一例をグラフで示す図。 同実施形態において、25℃〜45℃の範囲において電池の各温度毎に予め設定される特徴値と負極SOCとの相関関係を示す相関データの一例をグラフで示す図。 電池状態判定装置を具体化した第2の実施形態について、電池SOCを算出する算出手順を示すフローチャート。 同実施形態において、電池の交流インピーダンスに対応付けられる等価回路の一例を示す回路図。 電池の交流インピーダンスに基づいて作成されるナイキスト線図の一例と、等価回路との関係性について一般的な説明の参考となるグラフを示す図。 電池状態判定装置を具体化した第3の実施形態について、電池の交流インピーダンスから作成されるナイキスト線図の一例をグラフで示す図。 同実施形態において、電池の交流インピーダンスに対応付けられる等価回路の一例を示す回路図。
(第1の実施形態)
電池状態判定方法及び電池状態判定装置を具体化した第1の実施形態について、図1〜図6に従って説明する。この電池状態判定方法及び電池状態判定装置は、例えば、車両に搭載される二次電池などの電池10の充電状態としての残存容量(SOC:State Of Charge)の算出に用いられる。本実施形態では、電池10はニッケル水素二次電池である。電池10のSOC(以下、電池SOCと記す。)は、電池10に充電可能な電気量に占める実際に充電されている電気量の割合を示す。電池10に充電可能な電気量とは、電池10の正極及び負極が同時に充電可能なときの電気量である。また、電池10の正極SOC(以下、正極SOCと記す。)は、正極に充電可能な電気量に占める実際に充電された電気量の割合であり、電池10の負極SOC(以下、負極SOCと記す。)は、負極に充電可能な電気量に占める実際に充電された電気量の割合である。
図2に示すように、例えば、ニッケル水素二次電池からなる電池10は、正極の充電容量Cp[Ah]に対して負極の充電容量Cn[Ah]を大きくして、いわゆる正極規制になるように調整されている。そして、容量ずれを生じていなければ、通常、電池10の充電可能な電気量は、正極の充電容量Cp[Ah]に等しくなくなる。そのため、図2において、紙面左右方向から見たとき、充電可能な電気量とは正極の充電容量Cp[Ah]と負極の充電容量Cn[Ah]とが重なっている部分であり、正極SOCが電池SOCに等しくなる。
図1に示すように、この装置は、電池10の温度を測定する電池温度測定部11と、電池10に交流電流を供給する交流供給部20と、電池10の電極間の電圧を測定する電圧測定器21と、交流供給部20と電池10との間に流れる電流を測定する電流測定器22とを備えている。また、この装置は、電池SOCを算出する電池状態判定装置としての測定装置30を備えている。
電池温度測定部11は、電池10の温度を測定し、測定した電池10の温度に対応する温度信号を測定装置30へ出力する。
交流供給部20は、所定の周波数の交流電流を生成し、この生成した交流電流を電池10の電極間に出力する。また、交流供給部20は、交流電流の周波数を変化させることが可能である。交流供給部20は、電流と周波数範囲とが設定されており、この設定された電流の交流電流を、同設定された周波数の範囲で順次変化させた周波数で出力させることができる。設定される周波数の範囲としては、例えば、100kHz(高周波数)から1mHz(低周波数)までが挙げられるが、これに限られるものではなく、高周波数の値や低周波数の値はこれよりも高くなったり低くなったりしてもよい。
交流供給部20は、出力している交流電流の設定電流及び設定周波数に関する各信号を測定装置30に出力する。また、交流供給部20は、測定装置30から入力される出力の開始及び停止の信号に応じて交流電流を出力させる。
電圧測定器21は、測定した電池10の電極間の電圧に対応する電圧信号を測定装置30に出力する。
電流測定器22は、測定した交流供給部20と電池10との間に流れる電流に対応する電流信号を測定装置30に出力する。
測定装置30は、取得された各情報に基づいて、電池SOCを算出する。測定装置30は、算出した電池SOCを表示させたり、外部に出力させたりすることができてもよい。測定装置30は、電池温度測定部11から入力される温度信号から電池10の温度を取得し、電圧測定器21から入力される電圧信号から電圧を取得し、電流測定器22から入力される電流信号から電流を取得する。測定装置30は、交流供給部20から入力される信号から交流電流の設定電流及び設定周波数を取得してもよい。
また、測定装置30は、電池SOCを算出する処理を行う処理部40と、電池SOCの算出に用いられるデータを保持する記憶部50とを備える。処理部40は、コンピュータを含み構成されており、演算装置、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどを備える。また処理部40は、記憶部50との間でデータの授受が可能である。記憶部50は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、各種データを保持する。
記憶部50には、電池の反応抵抗に起因する交流インピーダンスから取得される特徴値(fmax)と電池SOCとの相関関係を示す残量情報としての相関データ51が予め設定されている。後に述べるように、特徴値は、電池の交流インピーダンスに対応するナイキスト線図において電池の反応抵抗に対応する領域(反応抵抗に起因する交流インピーダンス)に対応するものとして得られる電池の交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する値である。本実施形態では、相関データ51は、特徴値と電池10の負極SOCとの相関関係を示すものであることから、負極SOCを介して電池SOCの残存容量が特徴値に相関付けられている。また記憶部50には、算出用パラメータ52が記憶されている。
電池SOCを算出する処理の作用について説明する。
図3に示すように、処理部40では、電池10の交流インピーダンスZと温度とを測定する処理(図3のステップS10)と、交流インピーダンスZからナイキスト線図を作成する処理(図3のステップS20)と、ナイキスト線図から特徴値を取得する処理(図3のステップS30)とが行われる。続いて、処理部40では、取得した特徴値を、予め記憶部50に記憶しておいた相関データ51と照合して負極SOCを算出する処理(図3のステップS40)と、算出した負極SOCに基づいて電池SOCを算出する処理(図3のステップS50)とが行われる。
処理部40は、交流インピーダンスZを測定するインピーダンス測定部41と、電池の温度を取得する温度取得部42と、ナイキスト線図を作成するナイキスト線図作成部43と、特徴値を取得する特徴値取得部44とを備える。また処理部40は、負極SOCを算出する負極SOC算出部45と、電池SOCを算出する電池SOC算出部46とを備える。
インピーダンス測定部41では、電池SOCを算出する処理のうち交流インピーダンスZを測定する処理(図3のステップS10)が行われる。インピーダンス測定部41は、取得した電圧及び電流に基づいて電池10の交流インピーダンスZを測定する。交流インピーダンスZの単位は[Ω](オーム)であり、ベクトル成分である実数成分Zr[Ω]及び虚数成分Zi[Ω]によって下記式(1)のように表される。なお、「j」は虚数単位である。以下、単位[Ω]は省略する。
Figure 0006382663
温度取得部42では、電池SOCを算出する処理のうち温度を測定する処理(図3のステップS10)が行われる。
ナイキスト線図作成部43は、複数の周波数において測定された交流インピーダンスZに含まれるベクトル成分である実数成分Zrの値と虚数成分Ziの値とに基づいて、ナイキスト線図を作成する。よって、ナイキスト線図として複素平面にインピーダンス曲線N1が作成される。
図4に示すように、インピーダンス曲線N1は、交流インピーダンスZの実数成分Zr及び虚数成分Ziの大きさを複素平面にプロットしたものを模式化して示している。このインピーダンス曲線N1は、交流供給部20から電池10に供給される交流電流の周波数を変化させて測定されている。横軸は実数成分Zr、縦軸は虚数成分Ziである。インピーダンス曲線N1は、電池SOCの値、電池温度によって変化する。また、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池といった電池種別によって変化する。さらに同じ電池種別でもセル数や容量等が異なる場合には変化する。
電池10のインピーダンス曲線N1は、複数の領域に区分することができ、高周波数側から回路抵抗に対応する領域a、溶液抵抗に対応する領域b、反応抵抗に起因する交流インピーダンスに対応するものとしての反応抵抗に対応する領域c、及び略直線状の拡散抵抗に対応する領域dに分けられる。回路抵抗は、活物質や集電体内の接触抵抗などからなる配線等のインピーダンス等である。溶液抵抗は、セパレータ内の電解液内のイオンが移動する際の抵抗等の電子の移動抵抗である。反応抵抗は、電極反応における電荷移動の抵抗等である。拡散抵抗は、物質拡散が関与したインピーダンスである。
なお、各抵抗は相互に影響を及ぼし合うため、各領域a,b,c,dを各抵抗のみの影響を受ける部分のみに区分することは困難であるが、少なくともインピーダンス曲線N1の各領域a,b,c,dは、それぞれが最も大きな影響を受ける抵抗によってその曲線の挙動が対応付けられる。
特徴値取得部44は、インピーダンス曲線N1から特徴値を取得する。特徴値取得部44は、インピーダンス曲線N1において反応抵抗に対応する領域cを特定する。反応抵抗に対応する領域cは、インピーダンス曲線N1において上に凸の円弧が描かれる範囲に対応する。換言すると、インピーダンス曲線N1において上に凸の円弧が描かれる範囲は、反応抵抗に対応する領域cに対応する。インピーダンス曲線N1において特徴値は、反応抵抗に対応する領域cの交流インピーダンスZのうちの虚数成分Ziの絶対値|Zi|が極大値になるときの交流電流の周波数fmax1[Hz]として取得される。ここでは、インピーダンス曲線N1の反応抵抗に対応する領域cには円弧が1つであることから、虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値は、反応抵抗に対応する領域cにおける絶対値|Zi|の最大値に等しい。
特徴値である周波数fmax1[Hz]は、数百[Hz]よりも小さい値として得られるため、電池10に接続される電圧測定器21や電流測定器22などの配線等の影響が抑制される。なお以下、単位[Hz]は省略する。
負極SOC算出部45は、特徴値取得部44にて取得した特徴値の周波数fmax1を、記憶部50に予め記憶されている特徴値と負極SOCとの相関関係を示す相関データ51と照合して負極SOCを取得する。
図5及び図6に示すように、相関データ51は、負極SOCが特定されている電池について、その特徴値を上述のようにして取得されたデータであり、特徴値と負極SOCとの相関関係を示す。また、相関データ51は、電池の温度毎に取得されている。本実施形態では、相関データ51には、負極SOCが40%〜80%の間であって、電池の温度が−30℃(摂氏零下30度)から45℃(摂氏45度)の間にあるデータが含まれている。なお、相関データ51は、実験で得られるが、経験や理論などに基づいてそのデータの全部や一部が補正、補完及び補充されてもよい。
図5に示すように、相関データ51は、電池温度が−30℃のとき、特徴値と負極SOCとの相関関係を示すデータとしてグラフL1が得られる。同様に、電池温度が−10℃のとき、同相関関係を示すデータに基づきグラフL2が得られ、電池温度が0℃のとき、同相関関係を示すデータに基づきグラフL3が得られ、電池温度が15℃のとき、同相関関係を示すデータに基づきグラフL4が得られる。
また、図6に示すように、電池温度が25℃のとき、特徴値と負極SOCとの相関関係を示すデータに基づきグラフL5が得られる。同様に、電池温度が35℃のとき、同相関関係を示すデータに基づきグラフL6が得られ、電池温度が45℃のとき、同相関関係を示すデータに基づきグラフL7が得られる。
つまり、発明者らは、電池の交流インピーダンスと電池SOCとに相関を見出した。詳述すると、図5及び図6に示すように、相関データ51における各グラフL1〜L7は、一次関数で近似できることを見出すとともに、この一次関数によれば、所定の温度の下、特徴値として得られる任意の周波数fmax1に基づき負極SOCを算出できることを見出した。この例では電池10の交流インピーダンスZから得られる特徴値の周波数fmax1が負極SOCに相関関係を有しており、一次関数のような低次の関数で近似できることを見出した。
よって、負極SOC算出部45は、相関データ51から電池10の温度に対応するグラフを選択し、選択したグラフと取得した特徴値の周波数fmax1とを照合することにより負極SOCを算出する。各グラフは一次関数で近似される場合を示しているが、その他の関数で近似されてもよく、その場合、関数を介して、取得された特徴値の周波数fmax1から負極SOCが算出されるようにすることができる。
電池SOC算出部46は、負極SOCから電池SOCを算出する。
図2に示したように、この電池10において負極の充電容量Cn[Ah]は、その充電容量の一部が正極の充電容量Cp[Ah]を超える。よって負極は、正極の充電容量Cp[Ah]の範囲を放電側に超える部分に、放電可能な放電リザーブCrdis[Ah]を有し、同充電側に超える部分に、充電可能な充電リザーブを有する。なお、放電リザーブCrdis[Ah]や充電リザーブは、負極の充電容量Cn[Ah]と正極の充電容量Cp[Ah]との間で相対応する各充電量の関係により変化する。
このとき、負極SOCから正極SOCが下記式(2)により得られる。また、算出用パラメータ52には、負極の充電容量Cn[Ah]、正極の充電容量Cp[Ah]、及び放電リザーブCrdis[Ah]が含まれ、記憶部50に保持されている。
Figure 0006382663
そして、この電池10は、正極SOCと電池SOCとが等しくなることから、こうして正極SOCが算出されることで、すなわち電池SOCが算出される。
本実施形態では、反応抵抗に起因する交流インピーダンスに対応するとした反応抵抗に対応する領域cにおける絶対値|Zi|の最大値を特徴値とした。但し、反応抵抗に対応する領域cの曲線の挙動は、その他の領域の影響を受けているため、その他の領域の影響が除かれた反応抵抗に起因する交流インピーダンスから得られる絶対値|Zi|の最大値とは異なることがある。しかし、それら最大値は、互いに近似する値であるとともに、負極SOCに同様に相関関係を有する。よって、本実施形態における特徴値であれ、請求項における「反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の最大値」に相当する。
以上説明したように、本実施形態の電池状態判定方法及び電池状態判定装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)電池SOCが、交流インピーダンスの周波数変化(ナイキスト線図のインピーダンス曲線N1)に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスから得られる特徴値としての周波数fmax1を相関データ51と照合することにより得られる負極SOCを介して算出される。これにより、電池10の交流インピーダンスZに基づいて、電池SOCをより好適に算出することができるようになる。また、電池10の交流インピーダンスZに基づくものであることから非破壊で電池SOCを算出することができる。
(2)電池10の温度を考慮することで電池SOCをより高い精度で算出することができるようになる。
(3)負極に放電リザーブを有する電池10において電池SOCを適切に算出することができるようになる。
(第2の実施形態)
図7〜図9に従って、電池状態判定方法及び電池状態判定装置を具体化した第2の実施形態について説明する。本実施形態では、電池の交流インピーダンスの周波数変化を等価回路にフィッティングさせて特徴値の周波数を取得する構成であることが第1の実施形態の構成と相違するものの、それ以外の点については同様である。そこで、以下では、第1の実施形態と相違する構成について詳細に説明することとし、同様の構成については同じ符号を付し詳細な説明を割愛する。
なお、第1の実施形態では、特徴値は、反応抵抗に対応する領域cにおいて円弧の虚数成分Ziの絶対値|Zi|が極大値になるときの周波数である場合について説明している。また、本実施形態でも、説明の便宜上、特徴値の周波数が反応抵抗に対応する領域cにおいて円弧の虚数成分Ziの絶対値|Zi|が極大値になると説明しているが、フィッティングにより得られる特徴値の周波数は、インピーダンス曲線N1の円弧の極大値からずれる場合もある。これは、インピーダンス曲線N1における反応抵抗に対応する領域cは、その他の抵抗に対応する領域の影響を受けているためである。しかし、フィッティングにより得られた特徴値は、上記その他の抵抗に対応する領域の影響が除かれた反応抵抗に起因する交流インピーダンスにおける円弧の極大値となることから、請求項における「反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値」に相当する。そして、フィッティングにより得られた特徴値は、電池10の温度と負極SOCとに相関関係を有する。
図7に示すように、処理部40は、ナイキスト線図から特徴値を取得する処理(図3のステップS30)において、電池の交流インピーダンスの周波数変化を示すインピーダンス曲線N1(図4参照)を等価回路にフィッティングさせた結果に基づいて特徴値を取得する。詳述すると、処理部40は、特徴値の取得処理が開始されると、等価回路を設定する処理(図7のステップS31)、等価回路に初期値を設定する処理(図7のステップS32)、及び等価回路の交流インピーダンスZmの理論値を算出する処理(図7のステップS33)を行う。続いて、処理部40は、測定された交流インピーダンスZと理論値の交流インピーダンスZmとの誤差を算出する処理(図7のステップS34)、等価回路のパラメータの最適化分析を行い等価回路をフィッティングさせる処理(図7のステップS35)、及び特徴値を算出する処理(図7のステップS36)を行う。
図8に示すように、等価回路は、インピーダンス曲線N1の回路抵抗に対応する領域a、溶液抵抗に対応する領域b、反応抵抗に対応する領域c、及び拡散抵抗に対応する領域dのそれぞれ対応する回路を有する。すなわち、等価回路は、回路抵抗に対応する領域aに対応する回路としての抵抗R0とインダクタンスL0の並列回路と、溶液抵抗に対応する領域bに対応する回路としての抵抗Rsの回路と、反応抵抗に対応する領域cに対応する回路としての抵抗R1と容量CPE1との並列回路とを有するとともに、各回路を直列接続させてなる。また、等価回路は、拡散抵抗に対応する領域dに対応する回路としての拡散抵抗Wo1を前記抵抗R1に直列接続させるとともに、前記容量CPE1に並列接続させてなる。なお、容量CPE1は、T成分とp成分とを含み、拡散抵抗Wo1は、T成分とp成分とR成分とを含む。
つまり、処理部40は、等価回路を設定する処理(図7のステップS31)では、図8に示す等価回路を設定する。
また、処理部40は、等価回路に初期値を設定する処理(図7のステップS32)では、設定された等価回路に初期値を設定する。初期値は、記憶部50の算出用パラメータ52及び測定されたインピーダンス曲線N1から取得されたものが設定される。なお、こうして設定される初期値は、この後の等価回路のフィッティングにて最適な値に変更される可能性を有する値である。
記憶部50は、算出用パラメータ52に等価回路に設定される初期値を含んでいる。この初期値は、実験や経験、理論などにより取得された値が設定されている。算出用パラメータ52には、抵抗R0の初期値、インダクタンスL0の初期値、容量CPE1のp成分の初期値、拡散抵抗Wo1のT成分とp成分とR成分のそれぞれの初期値が含まれている。一方、抵抗Rs、抵抗R1及び容量CPE1のT成分の初期値はインピーダンス曲線N1から求められる。
ここで、図9の参考用のグラフを参照して、一般に、インピーダンス曲線N2から抵抗Rs,R1,R2の初期値を得る方法について説明する。図9に示すインピーダンス曲線N2は、虚数成分Ziの値が「0」の位置が実軸の位置ではなく、実軸に平行かつ「Rs」と示される点の位置を通る直線(図9において直線状の破線)上にあるものとする。
図9において、抵抗Rsは、インピーダンス曲線N2の虚数成分Ziが「0」のときの実数成分Zrの値として求められる。抵抗R1は、反応抵抗に対応する領域においてインピーダンス曲線N2が形成する第1の円弧の直径の値として求められる。抵抗R2は、反応抵抗に対応する領域においてインピーダンス曲線N2が形成する第2の円弧の直径の値として求められる。そして第1の円弧の虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値に対応する周波数fmax21と、第2の円弧の虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値に対応する周波数fmax22とが求められる。
上述と同様の方法により、インピーダンス曲線N1から抵抗Rs,抵抗R1の各初期値、及び特徴値の周波数fmax1が得られる。詳述すると、抵抗Rsは、インピーダンス曲線N1の虚数成分Ziが「0」のときの実数成分Zrの値として求められる。抵抗R1は、反応抵抗に対応する領域cにおいてインピーダンス曲線N1が形成する円弧の直径として求められる。また、特徴値は、インピーダンス曲線N1において反応抵抗に対応する領域cに形成される円弧の虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値に対応する周波数fmax1として求められる。なお、インピーダンス曲線N1の反応抵抗に対応する領域cには円弧は1つであることから、円弧の虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値は領域cにおける絶対値|Zi|の最大値に等しい。
容量CPE1のT成分CPE1_Tは、電気二重層に起因する容量成分である。そして、容量CPE1のT成分CPE1_Tは、インピーダンス曲線N1より求められた抵抗R1と特徴値の周波数fmax1とから下記式(3)に基づいて求められる。
Figure 0006382663
処理部40は、等価回路の交流インピーダンスZmの理論値を算出する処理(図7のステップS33)では、等価回路に交流電流を印可したときの交流インピーダンスZmを理論値として算出する。理論値の交流インピーダンスZmは、交流電流の周波数が変化されて取得される。例えば、交流インピーダンスZmは、等価回路の周波数応答のシミュレーションにより算出される。算出される交流インピーダンスZmは、ベクトル成分として実数成分Zmrと虚数成分Zmiとを含んでいる。
処理部40は、測定された交流インピーダンスZと理論値の交流インピーダンスZmとの誤差を算出する処理(図7のステップS34)では、誤差Δ|Z|を各異なる周波数f毎に求める。各周波数fにおける誤差Δ|Z|(f)は、下記式(4)により算出される。なお、「(f)」は各周波数を示す。
Figure 0006382663
処理部40は、等価回路のパラメータを最適化分析する処理(図7のステップS35)では、各周波数の誤差Δ|Z|(f)の和ΣΔ|Z|(f)が最小になるように等価回路の各素子の値を変化させる。例えば、最小二乗法などの公知の最適化分析の手法を用いて、誤差の和が小さくなるような値を得る。こうして求められた値の設定される等価回路は、測定されたインピーダンス曲線N1を近似する等価回路として得られる。こうしてフィッティングされた等価回路において、反応抵抗に対応する領域cに対応する回路の交流インピーダンスが、電池10の交流インピーダンスZの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスに相当する。
処理部40は、特徴値を算出する処理(図7のステップS36)では、近似された等価回路のうちの反応抵抗に対応する領域cに対応する回路としての抵抗R1と容量CPE1との値から特徴値の周波数を算出する。等価回路に設定された、抵抗R1と容量CPE1のT成分とp成分とに基づいて下記式(5)により特徴値の周波数fmax1が算出される。
Figure 0006382663
そして、処理部40により取得された特徴値に基づいて、負極SOCが算出されるとともに、電池SOCが算出される。
以上説明したように、本実施形態に係る電池状態判定方法及び電池状態判定装置は、上記第1の実施形態にて記載した(1)〜(3)の効果に加えて、以下に記す効果を有する。
(4)電池の交流インピーダンスの周波数変化(インピーダンス曲線N1)の反応抵抗に対応する等価回路の部分の値に基づいて特徴値が得られるようになる。よって、反応抵抗に対応する領域cの交流インピーダンスZに対する他の抵抗(例えば、拡散抵抗)の交流インピーダンスZが及ぼす影響が排除される。これにより、反応抵抗に起因する交流インピーダンスが好適に得られるようになるため特徴値をより正確に得ることができ、より正確に電池SOCが算出されるようになる。また、等価回路へのフィッティングにより、少ない実測値からであれ、特徴値を正確に得ることができる。
(第3の実施形態)
図10及び図11に従って、電池状態判定方法及び電池状態判定装置を具体化した第3の実施形態について説明する。本実施形態では、電池の交流インピーダンスの周波数変化の反応抵抗に対応する領域に2つの円弧が生じる点が第2の実施形態の構成と相違するものの、それ以外の点については同様である。そこで、以下では、第2の実施形態と相違する構成について詳細に説明することとし、同様の構成については同じ符号を付し詳細な説明を割愛する。なお、2つの円弧を有する電池の交流インピーダンスの周波数変化を示すインピーダンス曲線N3が測定される特性を有する電池としては、リチウムイオン二次電池が挙げられる。そして、2つの円弧を有するインピーダンス曲線N3について等価回路へのフィッティングが行われる。
図10に示すように、本実施形態では、処理部40は、上記電池について周波数を変化させた交流電流を印可して交流インピーダンスZを測定し、この測定結果からインピーダンス曲線N3を作成する。横軸は実数成分Zr、縦軸は虚数成分Ziである。
電池のインピーダンス曲線N3は、高周波数側から回路抵抗に対応する領域a、溶液抵抗に対応する領域b、反応抵抗に対応する2つの領域c,d及び略直線状の拡散抵抗に対応する領域eに分けられる。電池のインピーダンス曲線N3は、反応抵抗に対応する領域c、dにそれぞれ円弧を有し、各円弧はそれぞれ直径と特徴値とを有する。高周波数側の領域cにある第1の円弧の特徴値は周波数fmax31として求められ、低周波数側の領域dにある第2の円弧の特徴値は周波数fmax32として求められる。よって、第1の円弧の特徴値である周波数fmax31よりも第2の円弧の特徴値である周波数fmax32の方が低い周波数として得られる。
処理部40は、ナイキスト線図から特徴値を取得する処理(図3のステップS30)に際し、この電池の交流インピーダンスの周波数変化を示すインピーダンス曲線N3を等価回路にフィッティングさせて適切なパラメータの設定された等価回路を取得する。そして等価回路のうち反応抵抗に対応する領域の各領域c、dに対応する回路から2つの円弧についてそれぞれ特徴値を取得する。
図11に示すように、等価回路は、インピーダンス曲線N3の回路抵抗に対応する領域aに対応する回路としての抵抗R0と誘導性のインダクタンスL0の並列回路と、同溶液抵抗に対応する領域bに対応する回路としての抵抗Rsとが直列接続された回路を備える。また、等価回路は、前記回路にインピーダンス曲線N3の反応抵抗に対応する領域cに対応する回路としての抵抗R1と容量CPE1との並列回路と、インピーダンス曲線N3の反応抵抗に対応する領域dに対応する回路としての抵抗R2と容量CPE2との並列回路とが直列接続されてなる。また、等価回路は、インピーダンス曲線N3の拡散抵抗に対応する領域eに対応する回路としての拡散抵抗Wo1が前記抵抗R2に直列かつ前記容量CPE2に並行に接続される。なお、容量CPE2は、容量CPE1と同様に、T成分とp成分とを含む。
つまり、処理部40は、図11に示す等価回路を設定し、この等価回路に初期値を設定する。初期値は、記憶部50の算出用パラメータ52及び測定されたインピーダンス曲線N3から取得されて設定される。なお、こうして設定される初期値は、この後の等価回路のフィッティングにて最適な値に変更される可能性を有する値である。算出用パラメータ52には、抵抗R0の初期値、インダクタンスL0の初期値、容量CPE1,CPE2の各p成分の初期値、拡散抵抗Wo1のT成分、p成分及びR成分のそれぞれの初期値が含まれている。
一方、抵抗Rs,R1,R2、及び、特徴値の各周波数fmax31,fmax32はインピーダンス曲線N3から求められる。インピーダンス曲線N3は、図9のインピーダンス曲線N2と同様に2つの円弧を有している。つまり、インピーダンス曲線N3からは、図9のインピーダンス曲線N2から初期値を得ることと同様にして、抵抗Rs、抵抗R1,R2、及び、特徴値の各周波数fmax31,fmax32が得られる。詳述すると、インピーダンス曲線N3の溶液抵抗に対応する領域bから抵抗Rsの初期値が得られる。また、インピーダンス曲線N3の領域cに対応する円弧の直径から抵抗R1が得られ、領域dに対応する円弧の直径から抵抗R2が得られる。ここでは、領域cに対応する円弧よりも領域dに対応する円弧の方が大きいことから、抵抗R1よりも抵抗R2の方が大きい値として得られる。そして領域cの円弧から虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値に対応する周波数fmax31が求められ、領域dの円弧から虚数成分Ziの絶対値|Zi|の極大値に対応する周波数fmax32が求められる。
そして、電気二重層に起因する容量成分である容量CPE1のT成分、及び、容量CPE2のT成分は、第2の実施形態に記載の式(3)を適用して算出される。
以上により、この等価回路の初期値が設定される。
そして、第2の実施形態に示すように、処理部40は、等価回路の交流インピーダンスの理論値を算出する処理(図7のステップS33)と、測定された交流インピーダンスZと理論値の交流インピーダンスZmとの誤差を算出する処理(図7のステップS34)とを行う。また、処理部40は、等価回路のパラメータの最適化分析を行い等価回路をフィッティングさせる処理(図7のステップS35)と、2つの特徴値を算出する処理(図7のステップS36)とを行う。
そして、本実施形態では、処理部40は、2つの特徴値の周波数fmax31,fmax32のうち、低周波数側の領域dに対応する特徴値である周波数fmax32に基づいて、負極SOCを算出する。低周波数側の特徴値は、高周波数側の特徴値よりも配線インピーダンスの影響が低減されている。そして算出した負極SOCに基づいて電池SOCが算出される。また、リチウムイオン二次電池は、正極と負極の容量が同じであるとともに、容量ずれもない場合がある。その場合、負極SOCを電池SOCとして得ることができる。
以上説明したように、本実施形態に係る電池状態判定方法及び電池状態判定装置は、上記第1及び第2の実施形態にて記載した(1),(2),(4)の効果に加えて、以下に記す効果を有する。
(5)電池の交流インピーダンスの周波数変化(インピーダンス曲線N3)の反応抵抗に対応する領域に複数の特徴値が含まれる場合であれ、低周波数側の特徴値の周波数fmax32に基づいて電池SOCを算出することができる。
(その他の実施形態)
なお上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記各構成において、電池10は組電池であっても、単電池であってもよい。
・上記各構成において、測定する電池SOCは、組電池のSOCでも、単電池のSOCでもよい。電圧測定器21及び電流測定器22の接続を変更することで測定対象を1又は複数の単電池に変更することができる。
・上記第3の実施形態では、低周波数側の円弧に対応する周波数fmax32に基づいて、電池SOCを算出する場合について例示した。しかしこれに限らず、高周波数側の円弧に対応する周波数fmax31に基づいて、電池SOCを算出してもよい。また、特徴値が3つ以上取得されるとき、もっとも低周波数側の円弧の特徴値に基づいて電池SOCを算出することが好ましいが、それ以外の円弧の特徴値に基づいて電池SOCを算出してもよい。
・上記各実施形態では、インピーダンス曲線から反応抵抗に対応する領域を定める例などを例示した。しかしこれらの例に限らず、反応抵抗に対応する領域となる範囲を、ナイキスト線図における交流インピーダンスZの実数成分Zrの範囲で定めてもよい。例えば、実数成分Zrの範囲を事前実験などにより反応抵抗に対応する交流インピーダンスを含むように定めればよい。これにより、予め定められた実数成分Zrの範囲から反応抵抗に対応する領域が定められ、この反応抵抗に対応する領域として実数成分により予め定められたナイキスト線図の領域から適切に特徴値が得られるようになる。このように、実数成分Zrの範囲から反応抵抗に対応する領域を定めるとしても、その範囲に円弧の極大値が含まれることで特徴値の周波数を取得することができる。
・上記各実施形態では、交流供給部20は所定の交流電流を所定の周波数範囲で変化させる場合について例示した。しかしこれに限らず、交流供給部は、測定装置から入力される電流値や周波数範囲に応じた交流電流を出力してもよい。
・上記各実施形態では、交流供給部20が交流電流を出力する場合について例示した。しかしこれに限らず、交流供給部は交流電圧を出力してもよい。この場合、交流供給部は測定装置との間で電圧に関する信号を授受すればよい。
・上記各実施形態では、電池10は電池状態判定装置に接続されている場合について例示した。しかしこれに限らず、電池は、電池状態判定装置に加えて、モータなどの負荷、又は、電源や回生装置などの充電器に接続されていてもよい。例えば、車載された電池に電池状態判定装置を設けるような構成とすることもできる。負荷は電池SOCを減少させるときに用いることができ、充電器は電池SOCを増加させるときに用いることができる。また、電池からの回路の途中に開閉器を設けることで、必要に応じて電池と電池状態判定装置、負荷や充電器等との接続を開閉することもできる。これにより、電池SOCの測定を適切に行えるようにすることができるようにもなる。
・上記各実施形態では、特徴値と負極SOCとの相関関係が各異なる温度毎に相関データ51に設定されている場合について例示した。しかしこれに限らず、電池の温度変化が少ない環境、例えば特定の温度に維持される環境であれば、特定の温度に対応する特徴値と負極SOCとの相関関係が相関データとして設定されていれば、同特定の温度の下で取得された特徴値から負極SOCを介して電池SOCを算出することができる。
・上記各実施形態では、正極SOCが電池SOCに等しい場合について例示したが、これに限らず、負極SOCが電池SOCに等しくてもよい。例えば、正極SOCと負極SOCとが等しく、かつ、容量ずれがないような電池の場合、負極SOCが算出されることで電池SOCも算出される。
・上記各実施形態では、放電リザーブが負極にある場合について例示したが、これに限らず、放電リザーブが正極にあったとしてもよい。この場合、正極SOCと特徴値との間に相関関係があることから、特徴値に基づいて正極SOCを取得し、取得した正極SOCに基づいて電池SOCを算出するようにしてもよい。
・上記各実施形態では、電池SOCを算出する場合について例示した。しかしこれに限らず、負極SOCを算出してもよい。これにより、電池の分析等の際、負極SOCを非破壊で調べることができる。
・上記各実施形態では、電池の充電状態をSOCとする場合について例示した。しかしこれに限らず、電池の充電状態を、電池の充電量としてもよい。特徴値と充電量(負極充電量、正極充電量、又は電池充電量)との間にも、特徴値とSOCとの間と同様に、相関関係があるからである。
・上記各実施形態では、電池10はニッケル水素二次電池又はリチウムイオン二次電池である場合について例示した。しかしこれに限らず、電池は、ニッケルカドミウム二次電池などの二次電池(蓄電池)であってもよいし、マンガン電池などの一次電池であってもよい。
・上記各実施形態では、電池10が車両に搭載される場合について例示した。この車両としては、電気自動車やハイブリッド自動車の他、バッテリーを搭載するガソリン自動車やディーゼル自動車なども含まれる。また、電池は、電源として必要とされるのであれば、自動車以外の移動体や、固定設置される電源として用いられてもよいし、モータ以外の電源として用いられてもよい。例えば、自動車以外の電源としては、鉄道、船舶、航空機やロボットなどの移動体や、情報処理装置などの電気製品の電源などが挙げられる。
L0…インダクタンス、L1〜L7…グラフ、N1,N2,N3…インピーダンス曲線、R0,R1,R2,Rs…抵抗、Wo1…拡散抵抗、CPE1,CPE2…容量、10…電池、11…電池温度測定部、20…交流供給部、21…電圧測定器、22…電流測定器、30…測定装置、40…処理部、41…インピーダンス測定部、42…温度取得部、44…特徴値取得部、45…負極SOC算出部、46…電池SOC算出部、50…記憶部、51…相関データ、52…算出用パラメータ。

Claims (8)

  1. 負極の容量に正極の容量を放電側に超える容量である放電リザーブを有するニッケル水素二次電池で構成される電池の充電状態を算出する電池状態判定方法であって、
    電池の交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する特徴値を求め、該特徴値を、予め定められている特徴値と電池の充電状態との相関関係を示す残量情報と照合することに基づいて電池の充電状態を算出し、
    前記照合する残量情報は、予め定められている特徴値と電池の負極の充電状態との相関関係を示すものであり、前記電池の充電状態を、照合により得られる電池の負極の充電状態と前記放電リザーブとに基づいて算出する
    ことを特徴とする電池状態判定方法。
  2. 前記反応抵抗に起因する交流インピーダンスは、ナイキスト線図において前記反応抵抗に起因する領域に1つの円弧として示される
    請求項1に記載の電池状態判定方法。
  3. 前記照合する残量情報を電池の各異なる温度毎の情報として定めておき、前記特徴値をその都度の電池の温度に対応する残量情報と照合することに基づいて電池の充電状態を算出する
    請求項1又は2に記載の電池状態判定方法。
  4. 前記特徴値を交流インピーダンスの実数成分のうち反応抵抗に起因する交流インピーダンスを含むように予め定められた範囲から取得する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池状態判定方法。
  5. 前記電池の交流インピーダンスの周波数変化に、回路抵抗と溶液抵抗と反応抵抗と拡散抵抗とにそれぞれ対応する構成を有する等価回路を対応させ、該対応させた等価回路のうち、反応抵抗に対応する等価回路の値から前記特徴値を取得する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池状態判定方法。
  6. 負極の容量に正極の容量を放電側に超える容量である放電リザーブを有するニッケル水素二次電池で構成される電池の負極の充電状態を算出する電池状態判定方法であって、
    電池の負極の交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する特徴値を求め、該特徴値を、予め定められている特徴値と電池の負極の充電状態との相関関係を示す残量情報と照合することに基づいて電池の負極の充電状態であって、前記放電リザーブを含んだ充電状態を算出する
    ことを特徴とする電池状態判定方法。
  7. 負極の容量に正極の容量を放電側に超える容量である放電リザーブを有するニッケル水素二次電池で構成される電池の充電状態を算出する電池状態判定装置であって、
    前記電池の交流インピーダンスを測定するインピーダンス測定部と、
    前記インピーダンス測定部により測定された交流インピーダンスの周波数変化に含まれる反応抵抗に起因する交流インピーダンスの虚数成分の絶対値の極大値に対応する特徴値を取得する特徴値取得部と、
    前記取得した特徴値を、予め設定されている特徴値と電池の充電状態との相関関係を示す残量情報と照合することによって電池の充電状態を算出する算出部と、を備え、
    前記照合する残量情報は、予め定められている特徴値と電池の負極の充電状態との相関関係を示すものであり、
    前記算出部は、前記電池の充電状態を、照合により得られる電池の負極の充電状態と前記放電リザーブとに基づいて算出する
    ことを特徴とする電池状態判定装置。
  8. 電池の温度を測定する温度測定部を更に備え、
    前記算出部は、前記残量情報として電池の各異なる温度毎の情報を用い、前記特徴値と前記温度測定部により測定された温度に対応する残量情報とを照合することによって電池の充電状態を算出する
    請求項7に記載の電池状態判定装置。
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