JP6381436B2 - ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法 - Google Patents

ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法およびヨウ化リチウム・i−プロパノール錯体に関する。
ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属は、各種反応試剤または添加物などに用いられる非常に有用な化合物である。
ヨウ化リチウムは、吸収式冷凍機用の吸収液に用いられるほか、酢酸製造用の助触媒などに用いられている。また、リチウム二次電池、色素増感太陽電池、有機ELなどの電子材料分野への用途が盛んに開発されている。
固体のヨウ化リチウムの製造方法として、ヨウ化リチウム水溶液を留出予定水量まで濃縮し、蒸発皿に入れ、デシケーター中で冷却する方法、さらに、不活性ガス中で乾燥して無水物にする方法(非特許文献1)、ヨウ化リチウム水溶液のろ液を真空炉中85℃で加熱固化させる方法、さらに、120℃真空中で乾燥させ無水物にする方法(非特許文献2)、大気圧下136℃で濃縮して三水和物にする方法(特許文献1)、などが知られている。
また、市販品の製造方法として、ほぼ三水和物に相当するヨウ化リチウムをローラーでフレーク状にする方法(非特許文献1)が知られているが、粉末状のヨウ化リチウムを得るものではない。
また、ヨウ化ストロンチウムは、電子材料分野への用途が検討されている。
固体のヨウ化ストロンチウムの製造方法として、ヨウ化ストロンチウム水溶液を濃縮した後冷却し、析出した結晶を分離、デシケーター中で乾燥して六水和物を得る方法、さらに、ヨウ化ストロンチウムの六水和物をヨウ化アンモニウムとよく混ぜ、減圧下で加熱融解させて脱水し無水物にする方法(非特許文献3)などが知られている。
米国特許第3402995号明細書(1968年9月24日登録)
日本化学会編,「新実験化学講座」,8巻,p.462〜463,1997年,丸善株式会社 日本化学会編,「第4版実験化学講座」,16巻,p.206,1993年,丸善株式会社 日本化学会編,「新実験化学講座」,8巻,p.618〜619,1997年,丸善株式会社
ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属は、吸湿性が強く、また、水和物となるものが多い。ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属が有している強い吸湿性のため、例えば無水和物を得るためには多くの時間と熱量とが必要となる。
また、特許文献1および非特許文献1、2に記載の方法によってヨウ化リチウムを得た場合、または非特許文献3に記載の方法によってヨウ化ストロンチウムを得た場合、濃縮後冷却して得られる固体のヨウ化リチウムまたはヨウ化ストロンチウムは容器に固着してしまう。このため、粉末状にして取り出すことが困難である。そのため、上記文献に記載の方法は、工業的に実施可能な粉末状のヨウ化リチウムまたはヨウ化ストロンチウムの製法とは言えない。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、粉末状のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を工業的に製造することができるヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法は、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を調製する調製工程と、上記調製工程で調製したヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を乾燥させる乾燥工程と、を含む。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記調製工程は、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水する脱水工程を含むものであってもよい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記脱水工程は、乾燥剤または水分離膜を用いて、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液または上記ヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水することが好ましい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記脱水工程は、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液または上記ヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液から水と共沸して留去されたアルコールを、上記乾燥剤または水分離膜を用いて脱水し、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液または上記ヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液に再投入させることがより好ましい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法において、上記脱水工程では、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液中またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液中の水分量を2.0重量%以下になるまで脱水することが好ましい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記アルコールは、炭素数1以上、9以下のアルキルアルコールであることが好ましい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記調製工程は、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物と、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させる反応工程を含むものであってもよい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートであってもよい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記調製工程は、上記反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製するアルコラート調製工程を含み、上記アルコラート調製工程では、アルカリ金属源のアルコール溶液またはアルカリ土類金属源のアルコール溶液を脱水するものであってもよい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法では、上記ヨウ化物は、炭素数1以上、4以下のヨウ化アルキルであることが好ましい。
上記ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法は、上記乾燥工程前において、上記調製工程で生成した上記水以外の副生成物を留去する留去工程を含むものであってもよい。
本発明は、ヨウ化リチウム・i−プロパノール錯体を範疇に含む。
本発明は、粉末状のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を工業的に製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法>
本発明の一実施形態に係るヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法は、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を調製する調製工程と、上記調製工程で調製したヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を乾燥させる乾燥工程と、を含む。
上記構成によれば、調製工程において、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体が形成される。これにより、乾燥工程においてヨウ化アルカリ金属の水和物またはヨウ化アルカリ土類金属の水和物が結晶化して固着することを抑制し、ヨウ化アルカリ金属の無水和物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水和物の粉体を容易に製造することができる。また、上記構成によれば、ヨウ化アルカリ金属の無水和物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水和物を製造するための乾燥温度を低くすることができる。
一実施形態に係るヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法は、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を調製する調製工程を包含する。
一つの態様(態様1)において、調製工程では、アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物と、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させる反応工程を行い、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得た後に、当該ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水する脱水工程を行うことにより、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体が形成される。
他の態様(態様2)において、調製工程では、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートと、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させる反応工程を行うことにより、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体が形成される。
さらに他の態様(態様3)において、調製工程では、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートと、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させる反応工程を行い、さらに、脱水工程を行うことにより、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体が形成される。
さらに他の態様(態様4)において、調製工程では、水和物を含むヨウ化アルカリ金属、水和物を含むヨウ化アルカリ土類金属、水を含んだヨウ化アルカリ金属、または水を含んだヨウ化アルカリ土類金属と、アルコールとを混合し、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得た後に、当該ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水する脱水工程を行うことにより、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体が形成される。
また、一実施形態において、調製工程は、アルカリ金属源のアルコール溶液またはアルカリ土類金属源のアルコール溶液を脱水することにより、反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製するアルコラート調製工程を含んでいてもよい。
以下、各態様の調製工程について詳細に説明する。
〔調製工程:態様1〕
(反応工程)
態様1において、反応工程では、好ましくは、窒素およびアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下において以下の反応を行なう。
Figure 0006381436
(ここで、Mは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属である。また、Xは、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンと塩を形成するイオンである。また、nは1または2のいずれかの整数である。Xは、水酸化物イオン及び酢酸イオンであることが好ましい。また、Rは、炭素数1以上、9以下のアルキル基である。Rは、炭素数1以上、4以下のアルキル基である。)
式(1)の反応によって、アルコール中においてヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を好適に製造し、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得ることができる。このため、水溶媒系において、ヨウ化アルカリ金属又はヨウ化アルカリ土類金属を製造する場合と比較して、アルコール溶媒を除去した段階においてヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属が反応容器内において固着することを好適に抑制することができる。従って、生成されたヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を好適に採集することができる。また、アルコール中においてヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を製造することができるため、水溶媒中にてヨウ化アルカリ金属又はヨウ化アルカリ土類金属を製造する場合と比較して、除去すべき水の量を大幅に低減することができる。従って、ヨウ化アルカリ金属の無水物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水物を首尾よく製造することができる。以下に、式(1)の反応系における各化合物について説明する。
(アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物)
アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、好ましくは、式(1)においてMXとして示される化合物であり、これらに限定されるものではないが、例えば、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、水酸化リチウム、シュウ酸リチウム、酢酸リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、水酸化カリウム、シュウ酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸ルビジウム、重炭酸ルビジウム、水酸化ルビジウム、シュウ酸ルビジウム、酢酸ルビジウム、炭酸セシウム、重炭酸セシウム、水酸化セシウム、シュウ酸セシウム、酢酸セシウム、炭酸ベリリウム、重炭酸ベリリウム、水酸化ベリリウム、シュウ酸ベリリウム、酢酸ベリリウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、シュウ酸カルシウム、酢酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、重炭酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、炭酸バリウム、重炭酸バリウム、水酸化バリウム、シュウ酸バリウム、酢酸バリウム、などであり得る。これらのアルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物は、無水物を用いてもよく、水和物を用いてもよい。
また、一実施形態において、上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属であることが好ましい。アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物として水酸化アルカリ金属または水酸化アルカリ土類金属を用いることで、アルコール中において好適にアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを生成することができ、連続的に該アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートとヨウ化アルキルを反応させることができる。また、純度の高い粉末状のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を収率よく製造することができる。
なお、本明細書中において粉末とは、粒子の形状に限定のない粉末であり、見かけ上、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属のインゴット(凝集物)及び塊状物を含まないものを意味する。
(アルコール)
一実施形態において、アルコールは、反応工程における溶媒として用いられる。
アルコールは、好ましくは、式(1)においてROHとして示される化合物である。ここで、一実施形態において、上記アルコールは、炭素数1以上、9以下のアルキルアルコールであることが好ましく、炭素数1以上、4以下のアルキルアルコールであることがより好ましい。アルキルアルコールの炭素数が、1以上、9以下であれば、脱水工程において、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体をより好適に形成することができる。また、反応工程において沸点の低いエーテルを副生成物として生じさせることができる。
アルキルアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびエチレングリコール等を挙げることができる。
また、別の観点において、アルコールは、沸点が200℃以下のアルコールであってもよい。アルコールの沸点が、200℃以下であれば、乾燥工程におけるヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の乾燥をより容易に行なうことができる。また、反応工程において沸点の低いエーテルを副生成物として生じさせることができる。
(ヨウ化物)
ヨウ化物は、反応工程においてアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物と反応させることでヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を製造するために用いられる。ヨウ化物は、好ましくは、式(1)においてRIとして示される化合物である。ここで、一実施形態において、上記ヨウ化物は、炭素数1以上、4以下のヨウ化アルキルであることが好ましい。ヨウ化アルキルの炭素数が1以上、4以下であれば、反応工程において沸点の低いエーテルまたはエステルを副生成物として生じさせることができる。
ヨウ化アルキルとしては、より具体的には、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−プロピル、ヨウ化i−プロピル、ヨウ化n−ブチル、ヨウ化i−ブチルおよびヨウ化s−ブチルなどを挙げることができる。
(反応条件)
反応工程におけるアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物とヨウ化物との反応条件は、使用するアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物、アルコールおよびヨウ化物の種類に応じて適宜調整することができる。
反応温度は、例えば、20〜40℃程度であることが好ましい。また、反応時間としては、例えば、4〜40時間程度であることが好ましい。調製工程における反応温度および反応時間の条件が上述の範囲内であれば、収率よくヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を生成することかできる。特に、アルコールとしてメタノールを用いる場合、またはアルカリ金属化合物としてリチウムアルコラートを用いる場合において、反応時間は4〜6時間程度とすることができる。従って、より速やかにヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を生成させることができる。
(留去工程)
また、反応工程の後、反応工程で生成した水以外の副生成物を留去する留去工程を行ってもよい。
留去工程では、水以外の副生成物であるエーテルまたはエステルを除去する。また、未反応のヨウ化物を除去することができる。このため、純度の高いヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を製造することができる。
留去工程では、反応装置内を減圧することによって副生成物を留去すればよい。また、留去工程では、副生成物の沸点、ヨウ化物の沸点、アルコールの沸点を考慮し、適宜減圧条件および温度条件を調整すればよい。なお、留去工程は、脱水工程の前に行なうことが好ましい。脱水工程の前に、留去工程を行なうことによって、後の脱水工程、及び乾燥工程において留去または還流させるヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液中またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液中に、エーテルなどの副生成物や、未反応のヨウ化物などが混入することを防止できる。
(脱水工程)
さらに、反応工程において得られたヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水する脱水工程を行なうことで、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液を調製することができる。
脱水工程では、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液中またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液中に存在する水を除去する。これによって、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体を好適に形成することができる。
一実施形態に係るヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法は、上記脱水工程では、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液中またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液中の水分量を2.0重量%以下になるまで除去することが好ましく、当該水分量を1.0重量%以下にすることがより好ましく、当該水分量を0.5重量%以下にすることがさらに好ましい。これにより、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液を好適に調製し、最終的に、インゴット(凝集物)のない粉末状のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を好適に製造することができる。
脱水工程では、物理的に水分を吸着する乾燥剤、および水と反応させることで水分を除去する乾燥剤など種々の乾燥手段を用いることができる。物理的に水分を吸着する乾燥剤には、例えば、ゼオライト、酸化アルミニウムなどを挙げることができる。また、ゼオライトは、典型的にはモレキュラーシーブを挙げることができる。また、水と反応させることで水分を除去する乾燥剤には、例えば、オルソエステルなどを挙げることができる。オルソエステルには、例えば、オルソギ酸メチル、およびオルソ酢酸メチルなどを挙げることができる。
物理的に水分を吸着する乾燥剤を用いるときには、アルコールと水とを共沸させ、アルコールを還流させつつソックスレー抽出器によって水分除去を行なってもよい。また、脱水工程では、上記以外の例として、水分離膜を用いて水分を除去してもよい。
また、アルコールの留去による共沸脱水は、アルコールの投入と留去との一連の工程を複数回繰り返すことによって行なってもよい。ここで、脱水工程におけるアルコールの留去中に、蒸留分離装置によってアルコールから水を留去するとよい。これにより、アルコール中の水が留去されるため、当該アルコールをヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の脱水のために再投入することができる。
脱水工程において留去したアルコールを、乾燥剤または水分離膜を用いて脱水し、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液に再投入することによって、ヨウ化アルカリ金属の無水物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水物を製造するために使用するアルコールの量を低減することができる。
脱水工程において水分離膜を用いてアルコールから水を除去する場合、水分離膜としては、例えば、ゼオライトや酸化アルミニウムなどからなる多孔質セラミック型の水分離膜やカーボン膜、高分子膜などを挙げることができる。このような水分離膜を用いて、浸透気化法などにより、アルコールから水を除去するとよい。
また、脱水工程において、水とアルコールとの共沸により脱水する場合、脱水工程におけるアルコールの投入と留去との一連の工程は、例えば、1〜10回程度の回数で行なうことが好ましく、4〜8回程度の回数で行うことがより好ましい。また、1回に投入するアルコールの投入量は、例えば、80〜90重量%の濃度のヨウ化アルカリ金属の水溶液またはヨウ化アルカリ土類金族の水溶液を脱水するには、当該水溶液1重量部に対して、1重量部以上、5重量部以下の投入量であることが好ましく、2重量部以上、4重量部以下の投入量であることがより好ましい。また、例えば、1重量部のヨウ化アルカリ金属の水和物またはヨウ化アルカリ土類金属の水和物に対して、1回に投入するアルコールの投入量は、1重量部以上、5重量部以下であることが好ましい。アルコールの投入と留去との一連の工程を当該範囲内の回数において行ない、共沸蒸留を複数回行なうことによって、多量の水を除去することができ、極めて低い水分量のヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得ることができる。また、当該ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を乾燥することによって、水分量が極めて低いヨウ化アルカリ金属の無水物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水物の粉末を得ることができる。
また、脱水工程における共沸脱水では、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液中またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液中に上記アルコールとは異なる共沸溶媒を配合することによって水を除去し易くしてもよい。共沸溶媒には、例えば、トルエン、キシレンおよびシクロヘキサンなどを用いることができる。
〔調製工程:態様2〕
態様2では、反応工程において、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートと、ヨウ化物とを、アルコール存在下において反応させることによって、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液を調製することができる。
アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートは、例えば、態様1で説明したアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物とアルコールとを反応させて得られるものであればよい。アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートは予め製造しておいたものであってもよいし、調製工程において、反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製するアルコラート調製工程を実施してもよい。
また、反応工程において用いるヨウ化物およびアルコールならびに反応条件等については、態様1で説明したものと同様のものを用いることができる。
(アルコラート調製工程)
一実施形態において、調製工程は、反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製するアルコラート調製工程を含む。
アルコラート調製工程では、アルカリ金属源のアルコール溶液またはアルカリ土類金属源のアルコール溶液を脱水することにより、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製する。
アルカリ金属源またはアルカリ土類金属源としては、アルカリ金属単体またはアルカリ土類金属単体または態様1で説明したアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を用いることができる。また、アルコールとしては、態様1で説明したアルコールを用いることができる。また、脱水は、態様1で説明した脱水工程と同様に行うことができる。
一実施形態において、アルコラート調製工程では、アルカリ金属源のアルコール溶液中またはアルカリ土類金属源のアルコール溶液中の水分量を、例えば、0.5重量%程度になるまで除去することが好ましい。これにより、反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを好適に調製することができる。
〔調製工程:態様3〕
また、態様2のように、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートと、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させる反応工程を行った後に、態様1のように、脱水工程を行ってもよい。これにより、好適にヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液を得ることができる。
〔調製工程:態様4〕
態様4では、水和物を含むヨウ化アルカリ金属、水和物を含むヨウ化アルカリ土類金属、水を含んだヨウ化アルカリ金属、または水を含んだヨウ化アルカリ土類金属と、アルコールとを混合することによってヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得てもよい。これにより、好適にヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液を得ることができる。
なお、水を含んだヨウ化アルカリ金属には、例えば、ヨウ化アルカリ金属の水溶液、ヨウ化アルカリ金属水懸濁液、および水分を吸収することにより固結したヨウ化アルカリ金属を挙げることができる。同様に、水を含んだヨウ化アルカリ土類金属には、ヨウ化アルカリ土類金属の水溶液、ヨウ化アルカリ土類金属水懸濁液、および水分を吸収することにより固結したヨウ化アルカリ金属土類を挙げることができる。
〔ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体〕
上記調製工程では、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体が形成される。ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体は、減圧条件下においてアルコールを比較的容易に脱離する。このため、ヨウ化アルカリ金属水和物またはヨウ化アルカリ土類金属水和物を減圧下において乾燥する場合よりも、低い温度においてヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を乾燥することができる。従って、ヨウ化アルカリ金属の無水和物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水和物を容易に得ることができる。
また、本願発明者らは、ヨウ化リチウム・アルコール錯体において、さらに新規な物性を示すものを見出した。例えば、ヨウ化リチウムのi−プロパノール(IPA)錯体である。ヨウ化リチウム・IPA錯体(ヨウ化リチウム・i−プロパノール錯体)は、まずヨウ化リチウム・4IPA錯体として固体状に形成される。さらに減圧することによってIPAを脱離させると、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体を形成する。特に、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体は、20℃という低い温度条件において液状になる。これは、1級アルコールを用いて形成されるヨウ化リチウム・アルコール錯体には見られない物性である。このような、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体は、取り扱いが容易な液状であるという性質を利用することによって、より生産性の高いヨウ化リチウムの乾燥方法のための原料や、ヨウ化リチウムの乾燥工程の連続化のための原料などとして用いることができる。
〔乾燥工程〕
一実施形態に係るヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法は、上記調製工程で調製したヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属錯体懸濁液を乾燥させる乾燥工程を含む。
乾燥工程では、アルコールを留去することによって生成物であるヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属を濃縮乾固する。ここで、乾燥工程では、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属はヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体の形成を経てヨウ化アルカリ金属の無水物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水物を形成する。このため、乾燥工程において、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の固着を防止し、粉末状のヨウ化アルカリ金属の無水物またはヨウ化アルカリ土類金属の無水物を容易に製造することができる。また、ヨウ化アルカリ金属の水溶液またはヨウ化アルカリ土類金属の水溶液を濃縮乾固する場合と比較して、より低い温度でヨウ化アルカリ金属溶液またはヨウ化アルカリ土類金属溶液を濃縮乾固することができる。
なお、乾燥工程は、撹拌条件下において行われることが好ましい。また、乾燥工程における減圧条件および温度条件などは、使用するアルコールなどによって適宜調整すればよい。また、乾燥工程を行なった後、得られたヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属は、窒素ガスおよびアルゴンなどの不活性ガスの存在下において貯留することが好ましい。
また、乾燥工程の工業化にあたっては、撹拌式濃縮乾燥機、コニカルドライヤー、流動層乾燥機、噴霧乾燥機、粉砕式濃縮乾燥機および薄膜式蒸発乾燥機などの使用が想定される。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
<ヨウ化リチウムの製造>
以下の実施例1〜9に記載する通り、ヨウ化リチウムを製造し、反応液の水分量、並びにヨウ化リチウムの純度および結晶中の水分含量を以下の方法により測定した。
〔ヨウ化リチウム純度の測定方法〕
ヨウ化リチウムの試料を200mlのビーカーに秤量し、超純水を加え100mlとした後、0.1M硝酸銀水溶液を用いて電位差滴定装置にて滴定した。滴定結果から得られたヨウ素イオン濃度をヨウ化リチウム濃度に換算し、ヨウ化リチウム純度とした。
〔結晶および溶液中の水分含量の測定方法〕
容量法カールフィッシャー水分計を用いて測定した。
〔実施例1〕
攪拌装置、コック付き分留頭を備えた還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量200mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール70.0gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム一水和物4.25g(0.101モル)を投入した。該滴下ロートよりヨウ化メチル21.5g(0.151モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を30℃に保ちながら21時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。
反応容器内を室温まで冷却し、真空ポンプにて1kPaに減圧することで、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。反応容器内の減圧状態を窒素により解除した後、滴下ロートよりエタノール19.8gを投入した。反応液中の水分は4.33%であった。
該反応容器において、還流冷却器、分留頭、滴下ロートおよび固体投入口を外し、モレキュラーシーブ3A−1/8を43.1g充填したソックスレー抽出器を装着した。その後、エタノールの還流が始まるまで反応容器を加熱し、9時間還流しながら脱水を続けた(脱水工程(調製工程))。還流液中の水分は還流開始から6.5時間で1.43%から0.22%まで減少した。冷却後、反応液中の水分は0.29%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固し(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶13.2gを得た(収率97.4%)。ヨウ化リチウムの純度は99.1%であり、結晶中の水分量は0.32重量%であった。
〔実施例2〕
攪拌装置、モレキュラーシーブ3A−1/8を133g充填したソックスレー抽出器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量300mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール228.6gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム一水和物12.6g(0.300モル)を投入した。エタノールの還流が始まるまで反応器を加熱し、26時間還流しながら脱水を続けた(アルコラート調製工程(調製工程))。還流液中の水分は還流26時間で1.86%から0.40%まで減少した。
該反応容器内を室温まで冷却後、ソックスレー抽出器および固体投入口を外し、コック付き分留頭を備えた還流冷却器を装着した。滴下ロートよりヨウ化メチル66.5g(0.469モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を40℃に保ちながら11時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。反応容器内を室温まで冷却し、真空ポンプにて1kPaに減圧することによって、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。その後、反応容器内の減圧状態を窒素により解除した。反応液中の水分は1.31%であった。
該反応容器において、還流冷却器、分留頭および滴下ロートを外し、モレキュラーシーブ3A−1/8を120g充填したソックスレー抽出器を装着した。その後、エタノールの還流が始まるまで反応容器を加熱し、2時間還流しながら脱水を続けた(脱水工程(調製工程))。冷却後、反応液中の水分量は0.36重量%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaで1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaで3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶39.7gを得た(収率98.9%)。ヨウ化リチウムの純度は98.7%であり、結晶中の水分は0.53%であった。
〔実施例3〕
攪拌装置、コック付き分留頭を備えた還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量300mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール223.0gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム7.3g(0.305モル)を投入した。該滴下ロートよりヨウ化メチル68.6g(0.483モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を30℃に保ちながら21.5時間攪拌し、さらに40℃に保ちながら3時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。
反応容器内を室温まで冷却後、真空ポンプにて1kPaに減圧することにより、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。減圧を窒素により解除した。反応液中の水分量は2.16重量%であった。その後、滴下ロートよりエタノール50.0gを投入した。
該反応容器において、還流冷却器、分留頭、滴下ロートおよび固体投入口を外し、モレキュラーシーブ3A−1/8を136g充填したソックスレー抽出器を装着した。その後、エタノールの還流が始まるまで反応器を加熱し、4.5時間還流しながら脱水を続けた(脱水工程(調製工程))。還流液中の水分は還流開始から3時間で0.11%まで減少した。冷却後、反応液中の水分は0.09%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶40.0gを得た(収率98.0%)。純度は99.6%であり、結晶中の水分は0.33%であった。
〔実施例4〕
攪拌装置、モレキュラーシーブ3A−1/8を116g充填したソックスレー抽出器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量300mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール231.7gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム7.3g(0.305モル)を投入した。エタノールの還流が始まるまで反応器を加熱し、33時間還流しながら脱水を続けた(アルコラート調製工程(調製工程))。
該反応容器を室温まで冷却後、ソックスレー抽出器および固体投入口を外し、コック付き分留頭を備えた還流冷却器を装着した。滴下ロートよりヨウ化メチル74.8g(0.527モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を40℃に保ちながら10時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。反応容器内を室温まで冷却し、真空ポンプにて1kPaに減圧することにより、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。その後、反応容器内の減圧状態を窒素により解除した。反応液中の水分量は0.37重量%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶40.6gを得た(収率99.5%)。ヨウ化リチウムの純度は98.9%であり、結晶中の水分量は0.54重量%であった。
〔実施例5〕
攪拌装置、モレキュラーシーブ4A−1/8を89g充填したソックスレー抽出器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量300mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりメタノール231.8gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム7.3g(0.305モル)を投入した。メタノールの還流が始まるまで反応器を加熱し、29時間還流しながら脱水を続けた。ソックスレー抽出器を新たにモレキュラーシーブ4A−1/8を102g充填したソックスレー抽出器に交換し、さらに23時間還流しながら脱水を続けた(アルコラート調製工程(調製工程))。
該反応容器内を室温まで冷却後、ソックスレー抽出器および固体投入口を外し、コック付き分留頭を備えた還流冷却器を装着した。その後、滴下ロートよりヨウ化メチル76.4g(0.538モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を40℃に保ちながら4時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。反応容器内を室温まで冷却後、真空ポンプにて1kPaに減圧することにより、過剰のヨウ化メチルおよび生成したジメチルエーテルを留去した。その後、反応容器内の減圧状態を窒素により解除した。反応液中の水分は0.91%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶41.1gを得た(収率100%)。ヨウ化リチウムの純度は96.5%であり、結晶中の水分量は0.91重量%であった。
〔実施例6〕
攪拌装置、モレキュラーシーブ3A−1/8を126g充填したソックスレー抽出器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量300mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール155.2g、およびシクロヘキサン51.8gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム7.3g(0.305モル)を投入した。還流が始まるまで反応器を加熱し、27時間還流しながら脱水を続けた(アルコラート調製工程(調製工程))。
反応容器内を室温まで冷却後、ソックスレー抽出器および固体投入口を外し、コック付き分留頭を備えた還流冷却器を装着した。その後、滴下ロートよりヨウ化メチル85.1g(0.600モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を40℃に保ちながら14.5時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。反応容器内を室温まで冷却後、真空ポンプにて1kPaに減圧することにより、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。その後、反応容器内の減圧を窒素により解除した。反応液中の水分は1.14%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールおよびシクロヘキサンを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶40.1gを得た(収率98.2%)。ヨウ化リチウムの純度は98.4%であり、結晶中の水分は0.88%であった。
〔実施例7〕
攪拌装置、コック付き分留頭を備えた還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量200mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりメタノール32.5gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口よりリチウムエチラート(EtOLi)2.79g(0.054モル)を投入した。該滴下ロートよりヨウ化メチル13.2g(0.093モル)を反応容器内に投入した。撹拌下、反応容器内の温度を20〜25℃に保ちながら1時間熟成し、さらに40℃に保ちながら5時間熟成を続けた(反応工程(調製工程))。反応容器内を室温まで冷却後、真空ポンプにて1kPaに減圧することにより、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。その後、反応容器内の減圧状態を窒素により解除した。反応液中の水分は0.36%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶6.46gを得た(収率89.4%)。ヨウ化リチウムの純度は97.8%であった。
〔実施例8〕
攪拌装置、コック付き分留頭を備えた還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量200mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりメタノール25.6gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口よりリチウムメチラート(MeOLi)3.84g(0.101モル)を投入した。該滴下ロートよりヨウ化メチル25.3g(0.178モル)を反応容器内に投入した。撹拌下、反応容器内の温度を20〜25℃に保ちながら1時間熟成し、さらに40℃に保ちながら5時間熟成を続けた(反応工程(調製工程))。反応容器内を室温まで冷却後、真空ポンプにて1kPaに減圧することにより、過剰のヨウ化メチルおよび生成したジメチルエーテルを留去した。その後、反応容器内の減圧状態を窒素により解除した。反応液中の水分は0.23%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固して(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶13.58gを得た(収率100%)。ヨウ化リチウムの純度は98.6%であった。
〔実施例9〕
攪拌装置、温度計を備えた容量100mlのオートクレーブを窒素で十分に置換した。エタノール5.4g、酢酸リチウム(AcOLi)3.43g(0.052モル)およびヨウ化メチル38.3g(0.270モル)をオートクレーブ内に投入した。オートクレーブ内の温度を93〜95℃に保ちながら24時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調製工程))。室温まで冷却後、反応液のNMRを測定した。酢酸リチウムと酢酸メチルの組成比より、転化率は75%であった。
上記実施例1〜9において製造されたヨウ化リチウムの製造条件を以下の表1に示す。表1中、MSとはモレキュラーシーブのことである。また、MeOLiとはリチウムメチラートのことであり、EtOLiとはリチウムエチラートのことであり、AcOLiとは酢酸リチウムのことである。なお、アルコール留去後の乾燥工程は、いずれの実施例においても130℃/1kPaの条件において3時間かけて行なった。
Figure 0006381436
1:ヨウ化物の配合量は、リチウム化合物に対するモル比で表している。
2:共沸溶媒としてシクロヘキサンを使用した。
3:モレキュラーシーブ4A−1/8を使用した。
上記実施例1〜9において製造されたヨウ化リチウムの製造結果を以下の表2に示す。
Figure 0006381436
実施例1〜9では、本発明に係るヨウ化リチウムの製造方法によって、水分量が低く、純度の高い粉末状のヨウ化リチウム無水物を収率よく製造することができた。
〔実施例10〕
実施例10において、ヨウ化バリウムを溶媒に溶解し、以下に記載する条件において脱水工程を行なった。
攪拌装置、モレキュラーシーブ4A−1/8を164g充填したソックスレー抽出器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量500mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール231.1gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口よりヨウ化バリウム二水和物100.7g(0.236モル)を投入した。エタノールの還流が始まるまで反応器を加熱し、7.5時間還流しながら脱水を続けた。ソックスレー抽出器を新たにモレキュラーシーブ4A−1/8を160g充填したソックスレー抽出器に交換し、エタノール63gを追加して、さらに15時間還流しながら脱水を続けた(脱水工程)。還流液中の水分は還流22.5時間で3.08%から0.06%まで減少した。
該反応器内を室温まで冷却後、反応液を容量500mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、130℃/2kPaの条件で3時間かけて濃縮乾固した(乾燥工程)、白色粉末状のヨウ化バリウムの結晶91.1gを得た(収率98.7%)。ヨウ化バリウムの純度は98.7%であり、結晶中の水分は1.44重量%であった。
実施例10の結果から、アルコール存在下において、ヨウ化バリウムを製造した場合においても、脱水工程を行なうことによって、白色粉末状のヨウ化バリウムを得ることができると判断される。
〔実施例11〕
攪拌装置、コック付き分留頭を備えた還流冷却器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量200mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール69.6gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より水酸化リチウム一水和物4.25g(0.101モル)を投入した。該滴下ロートよりヨウ化メチル21.56g(0.152モル)を反応容器内に投入した。反応容器内の温度を25℃に保ちながら25時間攪拌し熟成を続けた(反応工程(調整工程))。
反応容器内を室温まで冷却し、真空ポンプにて1kPaに減圧することで、過剰のヨウ化メチルおよび生成したエチルメチルエーテルを留去した。反応容器内の減圧状態を窒素により解除した。反応液中の水分は3.37%であった。
反応液を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、75℃/3kPaの条件で1時間かけてエタノールを留去した。その後、130℃/1kPaの条件で3時間かけてさらに反応液を濃縮乾固し(乾燥工程)、白色塊状のヨウ化リチウム15.36gを得た。粉末状のヨウ化リチウムは得られなかったものの、フラスコ壁へのヨウ化リチウムの固着は認められなかった。
<脱水工程の評価>
参考例1〜5において、ヨウ化リチウムを溶媒に溶解し、以下に記載する条件において脱水工程を行なった。また、その後、各参考例において反応液中の水分量の評価を行ない、脱水工程の評価を行なった。
〔参考例1〕
ヨウ化リチウム24.4重量%、i−プロパノール70.3重量%、水5.3重量%からなるヨウ化リチウム溶液を用意した。攪拌装置、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた容量100mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートより用意したヨウ化リチウム溶液20.1g(水:0.059モル)を反応容器内に投入した。攪拌下、該滴下ロートよりオルソギ酸メチル7.65g(0.072モル)を投入した。反応容器内の温度を50℃に保ちながら5.5時間攪拌し熟成を続けた。室温まで冷却後、反応液中の水分量を測定したところ0.52重量%であった。
〔参考例2〕
ヨウ化リチウム24.4重量%、i−プロパノール70.3重量%、水5.3重量%からなるヨウ化リチウム溶液を用意した。攪拌装置、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた容量100mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートより用意したヨウ化リチウム溶液21.3g(水:0.063モル)を反応容器内に投入した。攪拌下、該滴下ロートよりオルソギ酸メチル7.43g(0.070モル)およびギ酸0.12g(0.003モル)を投入した。反応容器内の温度を50℃に保ちながら3時間攪拌し熟成を続けた。室温まで冷却後、反応液中の水分量を測定したところ0.00重量%であった。
〔参考例3〕
ヨウ化リチウム24.4重量%、i−プロパノール70.3重量%、水5.3重量%からなるヨウ化リチウム溶液を用意した。攪拌装置、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた容量100mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートより用意したヨウ化リチウム溶液20.7g(水:0.061モル)を反応容器内に投入した。攪拌下、該滴下ロートよりオルソ酢酸メチル8.75g(0.073モル)を投入した。反応容器内の温度を80℃に保ちながら7時間攪拌し熟成を続けた。室温まで冷却後、反応液中の水分量を測定したところ0.37重量%であった。
〔参考例4〕
ヨウ化リチウム24.4重量%、i−プロパノール70.3重量%、水5.3重量%からなるヨウ化リチウム溶液を用意した。攪拌装置、還流冷却器、温度計および滴下ロートを備えた容量100mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートより用意したヨウ化リチウム溶液21.0g(水:0.062モル)を反応容器内に投入した。攪拌下、該滴下ロートよりオルソ酢酸メチル8.82g(0.073モル)およびギ酸0.05g(0.001モル)を投入した。反応容器内の温度を50℃に保ちながら3.5時間攪拌し熟成を続けた。室温まで冷却後、反応液中の水分を測定したところ0.04%であった。
〔製造例1〕
攪拌装置、温度計、pHメーター、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量2L反応容器の滴下ロートよりイオン交換水650.0gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より炭酸リチウム250.0g(3.38モル)を投入した。該滴下ロートに57重量%のヨウ化水素酸水溶液1516.9g (6.76モル)を仕込んだ。反応容器内の温度を25℃にした後、反応容器内の温度を25〜40℃の範囲を保ちながら、滴下ロート内のヨウ化水素酸水溶液を滴下した。滴下終了後、25〜30℃を保ちながら30分間攪拌し熟成を続けた。ついで固体投入口より水酸化リチウムを投入し、反応容器内のpH5〜6に調整しpH調整液を得た。次に固体投入口より活性炭(白鷺A 武田薬品製)7.3gを上記pH調整液に投入し、25〜30℃を保ちながら30分間攪拌した。その後、吸引ビンにADVANTEC製定性濾紙(No.5C)を装着したヌッチェ上に、減圧下、反応容器の内容物を給液し、活性炭を濾過することにより、無色透明のヨウ化リチウム水溶液を得た。水溶液中のヨウ化リチウム濃度は40%であった。
得られたヨウ化リチウム水溶液の一部を容量200mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、140℃/2kPaの条件で水を留去した。反応容器を冷却後、フラスコ壁に固着したヨウ化リチウムの結晶を得た。固着した結晶をグローブボックス内で掻き落とし、さらに粉砕してヨウ化リチウムの白色粉末を得た。結晶中の水分量は34.4重量%であり、ヨウ化リチウムの3.89水和物相当品であった。
〔参考例5〕
攪拌装置、モレキュラーシーブ3A−1/8を45g充填したソックスレー抽出器、温度計、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量100mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりエタノール56.4gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より〔製造例1〕にて得られたヨウ化リチウム3.89水和物相当品5.6gを投入した。仕込み液中の水分は2.91%であった。還流が始まるまで反応器を加熱し、5時間還流しながら脱水を続けた。室温まで冷却後、反応液中の水分量を測定したところ0.21%であった。
参考例1〜5によって得られた反応液中の水分量を以下の表3に示す。表3の通り、反応液中の水分量は、0.5重量%程度の低い値であった。このため、参考例1〜5における脱水工程も、実施例1〜9のヨウ化リチウムの製造方法において好適に利用することができると判断される。
Figure 0006381436
<ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体の評価>
実施例12において、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体を製造し、その性状を確認した。
容量200mlのナス型フラスコにi−プロパノール60.4gと無水ヨウ化リチウム20.07gを投入した。ヨウ化リチウムの結晶は発熱を伴ってi−プロパノールに溶解した。エバポレーターを用いて、50℃/1kPaの条件で3時間、さらに75℃/1kPaの条件で1時間かけてi−プロパノールを留去した。フラスコ内は溶液状から粉末状に変化し、白色粉末状のヨウ化リチウム・i−プロパノール(IPA)錯体の結晶55.38gを得た(ヨウ化リチウム・3.9IPA錯体)。
エバポレーターを用いて、90℃/1kPaの条件で1時間かけてさらにヨウ化リチウム・3.9IPA錯体を乾燥した。フラスコ内は粉末状から液状に変化し、淡褐色液状のヨウ化リチウム・IPA錯体33.40gを得た(ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体)。当該ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体は20℃に冷却しても液状のままであった。
エバポレーターを用いて、130℃/1kPaの条件で1時間かけてさらにヨウ化リチウム・1.5IPA錯体を乾燥した。フラスコ内は液状から粉末状に変化し、白色粉末状のヨウ化リチウムの結晶20.10gを得た。
以上のように、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体は、室温において液状であるため、採集を始めとして、その取り扱いが容易であった。また、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体を乾燥させることによって、白色粉末状のヨウ化リチウム無水物を得ることができた。これらの結果から、ヨウ化リチウム・1.5IPA錯体を用いれば、ヨウ化リチウムの乾燥工程における生産性を高めることができ、ヨウ化リチウムの乾燥工程を連続化することができると判断される。
〔比較例1〕
製造例1により得られたヨウ化リチウム水溶液5mlを容量100mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、50℃/3kPaの条件で1時間かけて水を留去した。その後、該ヨウ化リチウムを、3kPaの減圧条件下、表4に示す温度ごとに2時間かけてさらに濃縮乾固した。
各温度による乾燥結果を以下の表4に示す。表4に示すように、乾燥温度が180℃でほぼ無水物となったが、結晶がフラスコの壁に固着して取り出しが困難であった。また、比較例1における乾燥温度は180℃であり、実施例1〜9の乾燥温度である130℃と比較しても温度が高い。しかしながら、比較例1では、ヨウ化リチウムの固体中の水分量が実施例1〜6におけるヨウ化リチウムの固体中の水分量より高い結果となった。これらのことから、本発明に係るヨウ化リチウムの製造方法では、ヨウ化リチウムの乾燥を容易に行なうことができ、かつ粉末状のヨウ化リチウムを容易に製造できることが確認された。
Figure 0006381436
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、例えば、粉末状のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造に好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物と、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させることで、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得る反応工程と、
    上記反応工程で得た、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水する脱水工程と、を行なうことによって、
    ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を調製する調製工程と、
    上記調製工程で調製したヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
    上記脱水工程では、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液中またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液中の水分量を2.0重量%以下になるまで脱水する、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法(ただし、上記アルカリ金属化合物または上記アルカリ土類金属化合物と反応させる上記ヨウ化物は、ヨウ素アルカリ塩およびフルオロアルキルヨウ化物ではない)
  2. 上記脱水工程では、乾燥剤または水分離膜を用いて、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液または上記ヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を脱水する、請求項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  3. 上記脱水工程では、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液または上記ヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液から水と共沸して留去されたアルコールを、上記乾燥剤または水分離膜を用いて脱水し、上記ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液または上記ヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液に再投入させる、請求項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  4. 上記アルコールは、炭素数1以上、9以下のアルキルアルコールである、請求項1〜のいずれか1項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  5. 上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  6. 上記調製工程は、上記反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製するアルコラート調製工程を含み、
    上記アルコラート調製工程では、アルカリ金属源のアルコール溶液またはアルカリ土類金属源のアルコール溶液を脱水する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  7. 上記ヨウ化物は、炭素数1以上、4以下のヨウ化アルキルである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  8. 上記乾燥工程前において、上記調製工程で生成した水以外の副生成物を留去する留去工
    程を含む、請求項のいずれか1項に記載のヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  9. アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物と、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させることで、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得る反応工程を行ない、
    ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を調製する調製工程と、
    上記調製工程で調製したヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
    上記アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物は、アルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートであり、
    上記調製工程は、上記反応工程に供するアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラートを調製するアルコラート調製工程を含み、
    上記アルコラート調製工程では、アルカリ金属源のアルコール溶液またはアルカリ土類金属源のアルコール溶液を脱水する、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
  10. アルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物と、ヨウ化物とを、アルコール存在下で反応させることで、ヨウ化アルカリ金属のアルコール溶液またはヨウ化アルカリ土類金属のアルコール溶液を得る反応工程を行ない、
    ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を調製する調製工程と、
    上記調製工程で調製したヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体溶液、ヨウ化アルカリ金属・アルコール錯体懸濁液、またはヨウ化アルカリ土類金属・アルコール錯体懸濁液を乾燥させる乾燥工程と、を含み、
    上記ヨウ化物は、炭素数1以上、4以下のヨウ化アルキルである、ヨウ化アルカリ金属またはヨウ化アルカリ土類金属の製造方法。
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