遊技者は、遊技球の発射速度が所望の速度になるように発射ハンドルを回動させて発射強度を調整するときに、遊技球の発射強度を調整する間、ストップボタンを押下して遊技球の発射を停止させることがある。遊技球の発射を停止させることにより、発射ハンドルの発射強度を調整する間に発射される遊技球の数を抑制することができる。また、遊技者は、リーチ演出等の種々の演出の効果を高めるために、所望の時間、遊技球の発射を停止させることがある。遊技者が発射ハンドルを徐々に回動させつつ遊技球の発射及び停止を繰り返しながら遊技球の発射強度を調整する場合、ストップボタンが遊技者によって押下されたときに、遊技球の発射が迅速に停止されることが望ましい。ストップボタンが遊技者によって押下されたときに遅れ時間が生じた場合には、遊技者が遊技球の停止を意図しているにもかかわらず、意図しない遊技球の発射が継続して遊技者に不利益を与えることになるためである。一方、遊技者の誤操作によりストップボタンが押下されなくなったときに、遊技者が意図しない遊技球の発射を防止するために、ストップボタンが押下さなくなってから一定時間遅れてから遊技球の発射が許可されることが好ましい。
そこで、本発明に係る人体接触検知装置は、検知部、積分回路、ストップスイッチ及び平滑信号遷移部を以下のように配置することにより、遊技者が発射ハンドルを握持している間にストップボタンを押下したときに、遊技球の発射の迅速な停止を可能とする。すなわち、検知部及び検知電流制御部は、人体の接触部への接触に応じて出力する検知電流の大きさを変化させる。積分回路は、検知電流の大きさに応じて、平滑信号の電圧の大きさである出力電圧を、遊技球の発射を許可する許可電圧から遊技球の発射を停止する停止電圧へ遷移させる。ストップスイッチは、遊技球の発射を停止するストップボタンの操作に応じて動作する。平滑信号遷移部は、ストップスイッチの動作に応じて積分回路の出力端子と停止電圧供給部とを接続して第1遅延時間よりも短い第2遅延時間で積分回路の出力電圧を許可電圧から停止電圧に遷移させる。これにより、発射ハンドルを握持した遊技者がストップボタンを操作してから積分回路の出力電圧が停止電圧に遷移するまでの時間は、遊技者が発射ハンドルを握持しなくなったときから積分回路の出力電圧が停止電圧に遷移するまでの時間よりも短くなる。人体接触検知装置は、ストップボタンが押下されたときに迅速に積分回路の出力電圧を遷移できるので、ストップボタンの押下を検知してから迅速に遊技球の発射を停止することができる。以下、本発明の実施形態による人体接触検知装置を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る人体接触検知装置を備える遊技機の概略斜視図である。
遊技機1は、上部から中央部の大部分の領域に設けられた遊技盤2と、下部に配設された玉受け部3及び発射ハンドル4などで構成される。遊技機1では、遊技者が発射ハンドル4を回動させると、遊技機1に内蔵された発射制御装置(図示せず)が、一定の発射間隔で、その回転角に応じた発射速度で遊技球を発射する。発射された遊技球は、遊技盤2の側方に設けられたレール5に沿って上方へ移動し、遊技盤2上に設けられた多数の障害釘6の間を落下する。そして、その落下する遊技球が入賞口7に入ると、すなわち、入賞すると、所定個数の遊技球が、遊技盤2の背面に設置された賞球払出装置(図示せず)を通じて玉受け部3へ払い出される。さらに、遊技盤2の略中央部に配設された表示装置8は、入賞の有無などに応じて様々に変化する遊技情報を遊技者に表示する。
図2は発射ハンドル4の分解斜視図であり、図3は人体接触検知装置10の斜視図であり、図4は人体接触検知装置10の分解斜視図である。
発射ハンドル4は、操作つまみ41が周囲に形成されたハンドル本体40と、ハンドル本体40と螺合されたハンドル基部42と、ハンドル基部42の壁面部422に形成された貫通孔を貫通するように配置されるストップボタン423とを有する。ハンドル本体40及びハンドル基部42はそれぞれ、金属メッキされた樹脂成形部材である。ハンドル基部42の底面部421には、人体接触検知装置10が金属製ネジ43によって螺合される。後により詳細に説明するように、人体接触検知装置10は、人体接触検知装置10が有する発振回路に接続された金属プレート102を金属製ネジ43が貫通することにより、ハンドル基部42に固定される。ハンドル本体40及びハンドル基部42は金属めっきされ、発振回路は金属プレート102及び金属製ネジ43を介してハンドル基部42に電気的に接続される。これにより、遊技者と発振回路とは、遊技者がハンドル本体40を握持する間、電気的に接続されることになる。
人体接触検知装置10は、筐体101と、金属プレート102と、蓋103と、回路基板104とを有する。筐体101は、立方形状の本体部110と、その一面に形成された凸部111とを有する。凸部111は、中央部に位置する凹部112と、凹部112の両端に弧状のネジ受け部113とを有する。金属プレート102は、筐体101の凸部111の凹部112に沿うように形成された凹面部122と、凹面部122の端部から外側に延伸するネジ受け部123とを有する。筐体101のネジ受け部113及び金属プレート102のネジ受け部123の対応する位置には、金属製ネジ43が貫通する貫通孔114、124が形成される。蓋103は、筐体101の一面に形成される開口部を覆うように筐体101と嵌合される。筐体101に収納される回路基板104には、ストップスイッチ105と、コネクタ106と、後に詳細に説明される検知部、積分回路及び判定回路とが搭載される。搭載された回路に電源電圧を供給すると共に、搭載化された回路から出力される出力信号を発射制御装置120に出力する。
ストップスイッチ105は、立法形状のストップスイッチ本体部51と、金属製の可動接点52と、金属製の固定接点53とを有する有接点マイクロスイッチである。ストップスイッチ本体部51の表面に沿って延伸する平板状の可動接点52は、その一端で上下動可能に支持され、可動接点52の表面はストップボタン423の裏面と接するように配置される。固定接点53は、遊技者がストップボタン423を押下して、ストップボタン423によって可動接点52が押下され、可動接点52が固定接点53を押下すると、ストップスイッチ105は、遊技者がストップボタン423を押下したことを検出する。また、遊技者がストップボタン423の押下を終了して、可動接点52が上方に移動して、可動接点52による固定接点53の押下が終了すると、ストップスイッチ105は、遊技者がストップボタン423の押下を終了したことを検出する。ストップスイッチ105は、遊技者がストップボタン423の押下に応じて開動作及び閉動作する。ここではストップスイッチ105は、遊技者がストップボタン423の押下に応じて動作するが、ストップボタン及びストップスイッチは、ストップボタンのシフト及びストップボタンへのタッチ等のストップボタンの操作に応じて動作するように配置されてもよい。
図5は、人体接触検知装置10の回路ブロック図である。
人体接触検知装置10は、接触部11と、検知部である発振回路12と、検知電流制御部13と、積分回路14と、平滑信号遷移部15と、判定回路16と、ストップスイッチ105とを有する。接触部11は、発射ハンドル4のハンドル本体40及びハンドル基部42、金属製ネジ並びに金属プレート102等から形成される人体が接触する部分と同電位の導電体である。検知電流制御部13は、検波回路17と、第1抵抗素子20と、pnpトランジスタである第1トランジスタとを有する。積分回路14は、コンデンサ22及びコンデンサ22に並列接続された第2抵抗素子23と、コンデンサ22及び第2抵抗素子23の一端に接続された出力端子24とを有する。判定回路16は、比較回路18と、出力回路19とを有する。
発振回路12は、接触部11に人体容量が付与されることで発振信号V1を変化させる。遊技者が発射ハンドル4に接触していないときに所定の振幅を有する発振信号V1を出力し、遊技者が発射ハンドル4に接触しているときに発振信号V1の出力を停止する。遊技者が発射ハンドル4を握持したとき、発振回路12から出力される発振信号V1の振幅は徐々に減少していく。また、遊技者が発射ハンドル4の握持を終了したとき、発振回路12から出力される発振信号V1の振幅は所定の振幅まで徐々に増大していく。
検波回路17は、発振回路12から発振信号V1の振幅の大きさに応じて電圧の大きさが変化する検波信号V2を出力する。発振回路12から所定の振幅を有する発振信号V1が入力されるとき、検波信号V2の電圧の大きさはLレベルであり、発振信号V1の振幅の減少に応じて徐々に増大する。そして、発振回路12から発振信号V1が入力されなくなると、検波信号V2の電圧の大きさはHレベルになる。遊技者が発射ハンドル4を握持したとき、検波回路17から出力される検波信号V2の電圧の大きさは、発振信号V1の振幅の減少に応じて徐々に増大する。また、遊技者が発射ハンドル4の握持を終了したとき、検波回路17から出力される検波信号V2の電圧の大きさは、発振信号V1の振幅の増大に応じて徐々に減少する。したがって、検波信号V2の電圧の大きさが増大し始めたときは、遊技者が発射ハンドル4を握持したとき、すなわち遊技者が接触部111に接触したときに対応する。また、検波信号V2の電圧の大きさが減少し始めたときは、遊技者が発射ハンドル4の握持を終了したとき、すなわち遊技者が接触部111に接触しなくなったときに対応する。発振信号V1の振幅は遊技者が発射ハンドル4を握持したときから徐々に減少するため発振信号V1の振幅に応じて出力される検波信号V2は、遊技者が発射ハンドル4を握持したときから所定の時間が経過した後に出力される。同様に、検波信号V2は、遊技者が発射ハンドル4の握持を終了したときから所定の時間が経過した後に出力されなくなる。
第1抵抗素子20は、一端が検波回路17の出力端子に接続され、他端が第1トランジスタ21のベースに接続される。第1トランジスタ21は、エミッタが電圧供給部25に接続され、コレクタが出力端子24を介してコンデンサ22及び第2抵抗素子23の一端に接続される。第1トランジスタ21は、ベースに入力される検波信号V2の電圧の大きさに応じてオンオフされる。コンデンサ22及び第2抵抗素子23の他端は接地される。第1トランジスタ21は、検波信号V2の電圧の大きさが電源電圧Vccとベース―エミッタ間電圧Vbeとの差よりも小さくなりベース電流が流れるとオンして、電圧の大きさがVccである電圧供給部25からコンデンサ22に定電流Ioを流す。また、第1トランジスタ21は、検波信号V2の電圧の大きさが電源電圧Vccとベース―エミッタ間電圧Vbeとの差よりも大きくなりベース電流が流れなくなるとオフして、電圧供給部25と出力端子24との間の接続を開放する。第1トランジスタ21は、積分回路14に定電流Ioを供給する電流供給素子である。
検波信号V2の電圧の大きさがLレベルのときに、第1トランジスタ21から出力端子24を介して積分回路14に定電流Ioが供給されることにより、コンデンサ22に電荷が充電されて、平滑信号V3の電圧の大きさはHレベルに遷移する。このときの平滑信号V3の立上り波形は、コンデンサ22の容量C1、第2抵抗素子23の抵抗値R2、及び第1トランジスタ21を介して流れる定電流Ioから、
V3=R2*Io{1−exp(−t/C1・R2)} (1)
で示される。ここで、C1・R2は、積分回路14の時定数である。
検波信号V2の電圧の大きさがHレベルのときに、第1トランジスタ21から積分回路14に定電流Ioが供給されなくなることにより、コンデンサ22に充電されていた電荷が第2抵抗素子23を介して放電されて、平滑信号V3の電圧の大きさはLレベルに遷移する。このときの平滑信号V3の立下り波形は、コンデンサ22の容量C1、第2抵抗素子23の抵抗値R2、及び電源電圧Vccから、
V3=Vcc*exp(−t/C1・R2) (2)
で示される。
出力端子24から出力される平滑信号V3の電圧の大きさが比較回路18の比較信号V4の電圧の大きさVSLより小さいLレベルであるとき、遊技球の発射を許可する許可状態を示す。また、平滑信号V3の電圧の大きさが比較回路18の比較信号V4の電圧の大きさVSHより大きいHレベルであるとき、遊技球の発射を停止する停止状態を示す。すなわち、平滑信号V3の電圧の大きさは、比較回路18の比較信号V4の電圧の大きさVSLより小さいLレベルが遊技球の発射を許可する許可状態を示す許可電圧であり、比較回路18の比較信号V4の電圧の大きさVSHより大きいHレベルが遊技球の発射を停止する停止状態を示す停止電圧である。平滑信号V3の電圧の大きさが停止電圧から許可電圧に遷移するときの遅延時間は、式(2)に示す立上り波形に応じて決定される。また、平滑信号V3の電圧の大きさが許可電圧から停止電圧に遷移するときの遅延時間は、式(1)に示す立下り波形に応じて決定される。
平滑信号遷移部15は、npnトランジスタである第2トランジスタ30と、第8抵抗素子31と、第9抵抗素子32とを有する。第2トランジスタ30のベースは第9抵抗素子32を介してストップスイッチ105の一端及び第8抵抗素子31の一端に接続され、コレクタは電圧供給部25に接続され、エミッタは積分回路14の出力端子24に接続される。ストップスイッチ105の他端は接地され、第8抵抗素子31の他端は電圧供給部25に接続される。ストップスイッチ105は、遊技者がストップボタン423を押下している間、第8抵抗素子31の一端と接地GNDとの間の接続を開放する。このとき、第2トランジスタ30のベース電圧は電源電圧Vccと等しくなりベース電流が流れて、第2トランジスタ30はオンして定電流である第2電流Isを流す。また、遊技者がストップボタン423を押下していないときは、ストップスイッチ105は、第8抵抗素子31の一端と接地GNDとの間を短絡する。このとき、第2トランジスタ30のベース電圧は接地電圧と略等しくなりベース電流は流れなくなり、第2トランジスタ30はオフする。第8抵抗素子31及び第9抵抗素子32の抵抗値は、第2電流Isが定電流Ioよりも大きくなるように設定される。例えば、第9抵抗素子32の抵抗値を小さくして、第2トランジスタ30のベース電流を大きくすることにより、第2電流Isを大きくすることができる。第2トランジスタ30は、ストップスイッチ105の開閉動作に応じて積分回路14に第2電流Isを供給する第2電流供給部である。第2トランジスタ30はストップスイッチ105が開状態のときに積分回路14に第2電流Isを供給し、ストップスイッチ105が閉状態のときに積分回路14に第2電流Isを供給しない。第2トランジスタ30は、積分回路14に第2電流Isを供給する電流供給素子である。
積分回路14の第1トランジスタ21に並列に第2トランジスタ30が配置されることによって、積分回路14のコンデンサ22は、ストップボタン423が押下されたときに、第2トランジスタ30を介して流れる第2電流Isによって充電されることになる。第2トランジスタ30を介して流れる第2電流Isによってコンデンサ22が充電されるとき、平滑信号V3の立上り波形は、コンデンサ22の容量C1、第2抵抗素子の抵抗値R2、及び第2トランジスタ30を介して流れる第2電流Isから、
V3=R2*Is{1−exp(−t/C1・R2)} (3)
で示される。
第2トランジスタ30を流れる第2電流Isを、第1トランジスタ21を流れる定電流Ioよりも大きくすることで、式(3)で示される立上り波形は、式(1)で示される立上り波形よりも急峻に立ち上がることになる。
比較回路18は、コンパレータ60と、電源61と、第3抵抗素子62と、第4抵抗素子63と、第5抵抗素子64とを有し、シュミットトリガ回路を形成する。比較回路18は、平滑信号V3が立上り遷移するとき、電圧の大きさが第1しきい値VSHになる比較信号V4と平滑信号V3とを比較する。また、比較回路18は、平滑信号V3が立下り遷移するとき、電圧の大きさが第2しきい値VSLになる比較信号V4と平滑信号V3とを比較する。出力回路19は、npnトランジスタである出力トランジスタ65と、第6抵抗素子66と、第7抵抗素子67とを有する。出力回路19の出力信号Voutは、比較回路18から出力トランジスタ65のベースに入力される比較結果を示す信号の電圧の大きさに応じて、電圧の大きさが変化する。出力回路19は、平滑信号V3が立上り遷移するときに平滑信号V3が比較信号V4よりも大きくなり停止電圧になると、遊技球の発射を停止する停止状態を示すHレベルの出力信号Voutを発射制御装置120に出力する。また、出力回路19は、平滑信号V3が立下り遷移するときに平滑信号V3が比較信号V4よりも小さくなり許可電圧になると、遊技球の発射を許可する許可状態を示すLレベルの出力信号Voutを発射制御装置120に出力する。
図6は人体接触検知装置10のタイミングチャートの一例を示す図であり、図7は人体接触検知装置10のタイミングチャートの他の例を示す図である。図6及び7において、横軸は時間を示し、符号601及び701が示す波形は接触部11への人体の接触の有無を示し、符号602及び702が示す波形はストップボタン423の押下に応じて開閉するストップスイッチ105が開状態であるか又は閉状態であるかを示す。また、符号603及び703が示す波形は発振回路12から出力される発振信号V1を示し、符号604及び704が示す波形は検波回路17から出力される検波信号V2を示し、符号605及び705が示す波形は積分回路14の出力端子24の電圧である平滑信号V3を示す。また、符号606及び706は比較回路18において平滑信号V3と比較される比較信号V4を示し、符号607及び707は出力回路19から出力される出力信号Voutを示す。図6において、期間(a)は、遊技者が発射ハンドル4に接触している期間を示す。また、図7において、期間(b)は、遊技者が発射ハンドル4に接触し且つストップボタン423を押下していない期間を示す。期間(c)は、遊技者が発射ハンドル4に接触し且つストップボタン423を押下している期間において、ストップスイッチ105の接点がチャタリングする場合を示す。
まず、図6を参照して、遊技者が発射ハンドル4に接触している期間を示す期間(a)の動作について説明する。
遊技者が発射ハンドル4を握持していないとき、図6において矢印Aで示されるように発振信号V1は出力される。遊技者が発射ハンドル4を握持すると、発振信号V1の振幅は徐々に減少していき、矢印Bで示されるように発振信号V1の出力は停止される。発振信号V1の振幅の減少に応じて検波信号V2の電圧の大きさが増大していき、電源電圧Vccとベース―エミッタ間電圧Vbeとの差よりも大きくなり、第1トランジスタ21がオフするまでの検出時間は、図6においてΔts1で示される。第1トランジスタ21がオフすることにより、平滑信号V3の電圧の大きさは、式(2)に示す立下り波形に従ってHレベルからLレベルに遷移する。第1トランジスタ21がオフしてから平滑信号V3の電圧の大きさが比較信号V4の電圧の大きさである第2しきい値VSLまで下降して、発射許可を示す出力信号Voutが出力されるまでの立下り時間は、図6においてΔtd1で示される。遊技者が発射ハンドル4を握持してから発射許可を示す出力信号Voutが出力されるまでの遅延時間Δt1は、検出時間Δts1と立下り時間Δtd1との合計の時間となる。
遊技者が発射ハンドル4の握持を終了すると、発振信号V1の振幅は徐々に増大する。発振信号V1の振幅の増大に応じて検波信号V2の電圧の大きさが減少していき、電源電圧Vccとベース―エミッタ間電圧Vbeとの差よりも小さくなり、第1トランジスタ21がオンするまでの検出時間は、図6においてΔts2で示される。第1トランジスタ21がオンすることにより、平滑信号V3の電圧の大きさは、式(1)に示す立上り波形に従ってLレベルからHレベルに遷移する。第1トランジスタ21がオンしてから平滑信号V3の電圧の大きさが比較信号V4の電圧の大きさである第1しきい値VSHまで上昇して、発射停止を示す出力信号Voutが出力されるまでの立上り時間は、図6においてΔtd2で示される。遊技者が発射ハンドル4の握持を終了してから発射停止を示す出力信号Voutが出力されるまでの遅延時間Δt2は、検出時間Δts2と立上り時間Δtd2との合計の時間となる。
次に、図7を参照して、期間(b)及び(c)の動作について説明する。
遊技者が発射ハンドル4に接触しているときにストップボタン423の押下を終了して期間(b)が開始されるとき、積分回路14に第2トランジスタ30を介して流れていた第2電流Isが、ストップスイッチ105が閉動作することにより流れなくなる。これにより、コンデンサ22に充電されていた電荷が第2抵抗素子23を介して放電されて、平滑信号V3の電圧の大きさは、式(2)に示す立下り波形に従ってHレベルから許可電圧であるLレベルに遷移する。ストップスイッチ105が閉動作してから平滑信号V3の電圧の大きさが比較信号V4の電圧の大きさである第2しきい値VSLまで下降して、発射許可を示す出力信号Voutが出力されるまでの遅延時間は、図7においてΔt3で示される。ストップスイッチ105が閉動作してから発射許可を示す出力信号Voutが出力されるまでの遅延時間Δt3は、第1トランジスタ21がオフしてから発射許可を示す出力信号Voutが出力されるまでの立下り時間Δtd1と等しい。
次いで、遊技者がストップボタン423の押下を開始して期間(b)が終了するとき、ストップスイッチ105が開動作して、積分回路14のコンデンサ22に第2トランジスタ30を介して第2電流Isが流れることにより、コンデンサ22が充電される。コンデンサ22が充電されることにより、平滑信号V3の電圧の大きさは、式(3)に示す立上り波形に従って停止電圧であるHレベルに遷移する。ストップスイッチ105が開動作してから平滑信号V3の電圧の大きさが比較信号V4の電圧の大きさである第1しきい値VSHまで上昇して、発射停止を示す出力信号Voutが出力されるまでの遅延時間は、図7においてΔt4で示される。ストップスイッチ105が開動作してから発射停止を示す出力信号Voutが出力されるまでの遅延時間Δt4は、第1トランジスタ21がオンしてから発射停止を示す出力信号Voutが出力されるまでの立上り時間Δtd2よりも短い。
遊技者が発射ハンドルに接触しているときに、ストップボタン423を押下して期間(c)が開始されるとき、ストップスイッチ105が開動作して第2トランジスタ30を介して第2電流Isが流れることにより、遅延時間Δt5後にコンデンサ22が充電される。その後、ストップスイッチ105がチャタリングにより比較的短い周期で開閉動作を繰り返す間、コンデンサ22は充放電を繰り返す。このとき、充電時には式(3)に示される立上り波形に応じて第2電流Isが流れるのに対し、放電時には式(2)に示される立下り波形に応じて定電流Ioが流れる。第2電流Isを定電流Ioよりも十分に大きくすることにより、平滑信号V3の電圧の大きさはチャタリングの間、停止電圧に維持することが可能になる。
以上に説明してきたように、この人体接触検知装置は、遊技者が発射ハンドルを握持している間にストップボタンを押下したときに、遊技球の発射を迅速に停止できる。すなわち、この人体接触検知装置では、ストップボタンが押下されると、スイッチ接点が開動作して積分回路に接続された第2トランジスタを介した電流を積分回路に流すことにより、積分回路のコンデンサを迅速に充電することができる。積分回路のコンデンサが充電されることにより、積分回路から出力される平滑信号の電圧の大きさは遊技球の発射を許可する許可電圧から遊技球の発射を停止する停止電圧に遷移する。一方、遊技者が発射ハンドルに接触しなくなることによって人体接触検知装置が遊技球の発射を許可しなくなるまでの時間は、検波回路が発振信号を検波し始めるまでの時間、及び第1トランジスタが積分回路を充電する時間に応じて決定される。したがって、この人体接触検知装置では、ストップスイッチが動作してから平滑信号の電圧の大きさが停止電圧に遷移するまでの時間は、遊技者が接触部の接触を終了してから平滑信号の許可電圧が停止電圧に遷移するまでの時間よりも短くなる。
この人体接触検知装置では、遊技者が発射ハンドルを握持している間にストップボタンを押下したときに、遊技球の発射を迅速に停止できるので、遊技者が意図しない遊技球の発射が継続して遊技者に不利益を与えるおそれがない。
また、この人体接触検知装置は、従来の人体接触検知装置と略同様の構成素子を使用して形成することができる。さらに、遊技者が発射ハンドルに接触しているか否かを検出する人体接触検知機能に関しては、ストップスイッチの影響を受けないので、人体接触検知機能は、従来の人体接触検知装置の人体接触検知機能と同様な遅延特性を維持できる。
また、この人体接触検知装置は、ストップスイッチがチャタリングした場合でも、チャタリングにより生じる信号の振動を積分回路が平滑化するので、遊技球の発射の許可及び停止を示す信号を安定的に出力することができる。すなわち、この人体接触検知装置の積分回路は、検波信号を平滑化する機能と、ストップスイッチがチャタリングしたことによる生じる信号の振動を平滑化する機能とを有する。
説明された実施形態では、積分回路はコンデンサ及び抵抗素子で形成されたCR回路であるが、人体接触検知装置は、CR回路の代わりにLCR回路等の他の積分回路を有してもよい。また、説明された実施形態では、ストップスイッチ105の動作に応じて動作する第2トランジスタ30を第1トランジスタ21と並列接続することにより、ストップボタン423が押下されたときに、第2トランジスタ30を介して第2電流Isを流している。しかしながら、第2トランジスタ30を第1トランジスタ21と並列接続せずに他の回路構成を採用することによって、ストップボタン423が押下されたときに、定電流Ioと異なる電流経路を介して電流を流すようにしてもよい。このとき、遊技球の発射を許可する許可状態を示す許可電圧は、平滑信号のHレベルとしてもよく、平滑信号のLレベルとしてもよい。
また、説明された実施形態では、ストップスイッチ105は、ストップボタン423が押下されているときに開状態になり、ストップボタン423が押下されていないときに閉状態になるが、ストップスイッチ105と反対の動作をする接点を使用してもよい。ストップスイッチ105とは反対に、ストップボタン423が押下されているときに閉状態になり、ストップボタン423が押下されていないときに開状態になる接点を使用する場合、第2トランジスタ30の代わりにpnpトランジスタが使用される。本発明に係る人体接触検知装置では、第2電流供給部として使用されるトランジスタの形式を適宜選択することにより、ストップボタンの押下に応じて開動作するスイッチ接点又は閉動作するスイッチ接点のいずれの形式のスイッチ接点も採用することができる。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。