JP6376438B2 - Cu−Mn合金スパッタリングターゲット材およびその製造方法 - Google Patents

Cu−Mn合金スパッタリングターゲット材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低い反射率が要求される、例えば平面表示素子用の電極膜または配線膜に用いられるCu−Mn合金膜およびそれを成膜するためのCu−Mn合金スパッタリングターゲット材ならびにCu−Mn合金膜の成膜方法に関するものである。
透明なガラス基板等の上に薄膜デバイスを形成する液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という。)、電子ペーパー等に利用される電気泳動型ディスプレイ等の平面表示装置(フラットパネルディスプレイ、以下、「FPD」という。)は、大画面、高精細、高速応答化に伴いその配線膜には低抵抗化が要求されている。さらに近年、FPDに操作性を加えるタッチパネル、あるいは樹脂基板や極薄ガラス基板を用いたフレキシブルなFPD等、新たな製品が開発されている。
また、FPDの画面を見ながら直接的な操作性を付与するタッチパネル基板画面も大型化が進んでおり、スマートフォンやタブレットPC、さらにデスクトップPC等においてもタッチパネル操作を行なう製品が普及しつつある。タッチパネルの位置検出電極には、一般的に透明導電膜であるインジウム−スズ酸化物(以下、「ITO」という。)が用いられている。
また、近年、多点検出が可能な静電容量式のタッチパネルでは四角形のITO膜を配置した通称ダイヤモンド配置となっており、四角形のITO膜を接続する電極膜や配線膜の保護膜に金属膜が用いられており、この金属膜にはITO膜とのコンタクト性が得られやすいMoやMo合金が用いられている。
さらに、ガラス基板以外の樹脂フィルム基板や極薄ガラス基板等を用いたフレキシブルFPDやタッチパネルを用いた製品が盛んに開発されている。
しかし、これらの用途に上述したMoやMo合金の金属膜を成膜して基板を曲げると、Mo膜やMo合金膜にクラック等が生じやすくなり、基板との密着性が確保されなくなり、配線膜のCu膜を保護する効果を十分に維持できないという問題が生じる場合があることが明らかとなってきた。このため、MoやMo合金を用いない方法として、新たにCu合金が注目されており、これにより上述した基板との密着性を確保する提案がなされている。(特許文献1〜特許文献3参照。)
特開2012−211378号公報 特開2012−212811号公報 特開2013−67857号公報
特許文献1および特許文献2で提案されているCu合金膜は、低い電気抵抗値を有する配線膜を得るために、CuにAg、Au、C、W、Ca、Mg、Al、Sn、BおよびNiよりなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有するCu−Mn−X合金膜を基板や絶縁膜または半導体膜との密着性を確保するためにCu膜の下地膜に成膜することが提案されている。
また、特許文献3では、インジウム−ガリウム−亜鉛−酸素で構成される半導体膜(以下、「IGZO膜」という。)に対するバリヤ性を確保するために、濃度が8原子%以上30原子%以下のMnと、不可避的不純物とを含むCu−Mn合金からなるCu合金膜を成膜する方法が提案がされている。
一方、近年主流のフルハイビジョンよりもさらに高精細な4倍の画素を有する大型の4K−TVでは、主配線材料をAlからより低抵抗なCuを用いる方法が増加している。また、目元から数10cm程度の至近距離で表示画面を操作するスマートフォンでは、小さな画面でありながらフルハイビジョン表示を行なう高精細化が進んでいる。この高精細化に伴い、入射光による金属膜の反射が表示品質を低下させるという問題が顕著化されるようになってきた。このため、金属膜には低い反射率を有するという新たな特性(以下、「低反射」ということもある。)の要求が急速に高まりつつある。
また、平面表示素子やタッチパネルの製造工程においては、電極膜・配線膜を成膜した後に、パターニングする際のフォトレジストの加熱処理工程において、大気雰囲気で230℃前後の加熱処理がされるため、この温度以下、可能であれば200℃で加熱した際の低反射が得られる金属膜が望まれている。
現在、平面表示装置における平面表示素子の配線膜に用いられているAl膜は、可視光域において90%以上の高い反射率を持つ金属である。また、同じく平面表示素子の配線膜に用いられているCu膜は、可視光域で70%の反射率を有し、600nm以上の長波長域ではAg膜と同等の95%以上の高い反射率を有する。一方、これらの配線膜を保護するために積層するMo膜やMo合金膜は、60%程度の反射率を有している。これらの金属膜は、平面表示素子の製造プロセスを経ても反射率はほとんど変化しないため、金属膜の反射が特に高精細な表示装置においては表示品質を低下させる要因となっている。
このため、高精細な表示装置においてはMo等の半分程度の30%以下のより低反射な電極膜・配線膜が要求される。
以上のように、これまで種々のCu合金膜が開発されているが、これらの特許文献では配線膜やバリヤ膜に注目して検討されており、今後の高精細な表示装置に対応するために必要な低反射という新たな特性に関しては何ら検討されていなかった。
本発明の目的は、高精細な平面表示素子の表示品質を向上させるために必要とされる、電極膜または配線膜における、低反射という新たな要求に対応できるCu−Mn合金膜およびそれを成膜するためのCu−Mn合金スパッタリングターゲット材ならびにCu−Mn合金膜の成膜方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み、平面表示素子やタッチパネルの製造工程において低反射な特性を得るために、Cuを主成分とし、添加元素および添加量の最適化に取り組んだ。その結果、Cuに特定量のMnを加えたCu−Mn合金膜で低反射の特性が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、金属成分が、金属成分全体を100原子%としたとき、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、可視光反射率が30%以下のCu−Mn合金膜である。
本発明のCu−Mn合金膜は、金属成分と酸素を含有し、前記金属成分が、金属成分全体を100原子%としたとき、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、前記金属成分と前記酸素の合計に対する酸素の割合が原子比で0.3〜0.6である。
また、本発明のCu−Mn合金膜は、平面表示素子用の電極膜または配線膜に好適である。
また、本発明は、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなるCu−Mn合金スパッタリングターゲット材である。
本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材は、Cu−Mn合金粉の粒界中に再結晶組織を内包した組織を有することが好ましい。
本発明のCu−Mn合金膜は、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなるCu−Mn合金膜を、30〜60体積%の酸素を含有する雰囲気中でスパッタリングにより成膜することで得ることができる。
また、本発明のCu−Mn合金膜は、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなるCu−Mn合金膜を、不活性ガス雰囲気中でスパッタリングにより成膜し、次いで前記Cu−Mn合金膜を200〜225℃の大気雰囲気中で加熱することで得ることもできる。
本発明のCu−Mn合金膜は、従来の電極膜・配線膜では得られなかった、低反射という新たな特性を達成できるため、例えばFPD等の表示品質を向上させることが可能となる。このため、より高精細なFPDとして注目されている、例えば4K−TVやスマートフォン、あるいはタブレットPC等の次世代情報端末や樹脂基板を用いるフレキシブルなFPDに対して非常に有用な技術となる。これらの製品では特に金属膜の低反射化が非常に重要なためである。
本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材の断面を光学顕微鏡で観察した組織写真である。
本発明の重要な特徴は、例えば平面表示素子用の電極膜や配線膜に好適なCu合金膜として、Cuに特定量のMnを添加したCu−Mn合金を採用することで、低い反射率という新たな特性を見出した点にある。なお、以下の説明において、「反射率」とは、可視光域である波長360〜740nmの範囲の平均反射率をいう。以下、本発明について詳述する。
本発明のCu−Mn合金膜において、Cuに特定量のMnを添加する理由のひとつは、上述したパターニングする際のフォトレジストの加熱処理工程を経た後に、反射率を低減させるためである。上述したように、現在、平面表示素子の配線膜に用いられているAl膜は、可視光域において90%以上の高い反射率を持つ金属である。また、同じく平面表示素子の配線膜に用いられているCu膜は、可視光域で70%の反射率を有し、600nm以上の長波長域ではAg膜と同等の95%以上の高い反射率を有する。
一方、これらの配線膜を保護するために積層するMo膜やMo合金膜は、60%程度の反射率を有している。これらの金属膜は、上述した表示素子製造工程のプロセスを経ても反射率は、ほとんど変化しない。
これに対して、本発明のCu−Mn合金膜は、Cuに特定量のMnを添加したCu−Mn合金を採用することで、低い反射率を実現した。本発明者の検討によると、この反射率低減効果は、金属成分が、金属成分全体を100原子%としたとき、Mnの添加量が32〜45原子%で顕著に現れることを確認した。その理由は明確ではないところ、Cu−Mn合金は全率固溶系の合金であり、その融点はMn量が38原子%で最も低下する。そして、Cu−Mn合金膜の融点が低いと、上述した加熱処理を行なった際に、再結晶や原子の移動が起こりやすくなる。また、Cu−Mn合金膜中のMnは、酸素が存在する状況で加熱処理を行なうと、Mnが結晶粒界を通じて膜表面に移動しやすくなる。
このように、本発明のCu−Mn合金膜は、金属成分が、金属成分全体を100原子%としたときに、Mnの添加量を32〜45原子%にすることで、融点が低い領域の組成範囲となり、大気雰囲気中で200〜225℃の加熱処理をすると、Cu−Mn合金膜中のMnが膜表面に拡散して酸化物が形成されて、反射率は低下すると考えられる。
また、反射率がより低いCu−Mn合金膜とするためには、金属成分が、金属成分全体を100原子%としたとき、Mnの添加量を32〜40原子%にすることが好ましく、より好ましくは32〜39原子%である。
本発明のCu−Mn合金膜は、金属成分と酸素を含有し、前記金属成分が、金属成分全体を100原子%としたとき、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、前記金属成分と前記酸素の合計に対する酸素の割合を原子比で0.3〜0.6とすることで、より低い反射率を得ることが可能となる。Cu−Mn合金膜は、大気雰囲気中の加熱処理や、酸素を含有する雰囲気で成膜すると膜中に酸素を含有することになる。特に、MnはCuより酸素と結合しやすいために、本発明のMnを特定量含有するCu−Mn合金膜は、容易に多くの酸素を取り込むことで、低い反射率を得ることが可能となる。
純Cu膜においては、酸素がCuOやCuOの平衡状態図上のラインコンパウンドで存在する。一方、Cu−Mn合金膜は、Mnを含有することにより、安定領域の広いMnOやMnとCuを含む非平衡な相となり、広い組成範囲で酸素を取り込むため、より低い反射率を得やすくなると考えられる。
本発明のCu−Mn合金膜は、その膜中の金属成分と酸素の合計に対する酸素の割合を、原子比で0.3以上にすることで、金属光沢のある反射を抑制でき、低い反射率を実現することができる。また、本発明のCu−Mn合金膜は、その膜中の金属成分と酸素の合計に対する酸素の割合を、原子比で0.6以下にすることで、光の透過が抑制され、低い反射率を実現できることに加え、基板等との密着性を向上させることができる。このため、本発明のCu−Mn合金膜に含まれる前記金属成分と前記酸素の合計に対する酸素の割合は、原子比で0.3〜0.6である。好ましくは、0.33〜0.57である。
本発明のCu−Mn合金膜の膜厚は、20〜200nmが好ましい。本発明では、Cu−Mn合金膜の膜厚を20nm以上にすることで、光の透過が抑制され、低い反射率のCu−Mn合金膜を得ることができる。また、本発明では、Cu−Mn合金膜の膜厚を200nm以下にすることで、成膜するための時間を短縮できる上、成膜後または加熱処理後の膜応力による基板の反りを抑制することができる。本発明で、反射率が低いCu−Mn合金膜をより高い生産性で、安定して得るためには、Cu−Mn合金膜の膜厚を50〜100nmにすることがより好ましい。
本発明のCu−Mn合金膜を成膜するには、スパッタリングターゲット材を用いたスパッタリング法が最適である。スパッタリング法としては、Cu−Mn合金膜の組成と同一のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材を使用して成膜する方法や、例えばCuスパッタリングターゲット材と、MnまたはMn−Cu合金のスパッタリングターゲット材を使用して、コスパッタリングによって成膜する方法が適用できる。
中でも、Cu−Mn合金膜の組成と同一のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材を使用して成膜する方法が好ましい。そして、本発明では、Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなるCu−Mn合金スパッタリングターゲット材を用いることで、簡便かつ安定してCu−Mn合金膜を成膜できる。また、上述したように、より低い反射率を有するCu−Mn合金膜を安定的に得るためには、Mnを32〜40原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなるCu−Mn合金スパッタリングターゲット材を用いることが好ましい。本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材におけるMnの含有量のより好ましい範囲は、32〜39原子%である。
本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材は、所定の組成に調合した原料を溶解・鋳造してインゴットを作製し、機械加工により製造する方法や、所定の組成に調合した原料をアトマイズしたり、インゴットを粉砕したりしてCu−Mn合金粉末を作製し、これを熱間静水圧プレス(以下、「HIP」という。)等で加圧焼結する方法で製造することができる。
本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材の製造方法に関しては、スパッタリングターゲット材の大きさや形状により、安価かつ安定的に製造できる方法を適宜選定することができる。本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材は、Cu−Mn合金からなるアトマイズ粉末を用いて、焼結温度を最適化して製造することにより、Cu−Mn合金粉の粒界中に再結晶組織を内包した組織とすることが好ましい。これにより、本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材は、再結晶した歪みのない組織を有することで、スプラッシュ等の異常粒子の発生を抑制し、均一かつ高品位なCu−Mn合金膜を安定的に得ることが可能となる。
本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材において、低い反射率を確保するために、必須元素であるMn以外の残部を占めるCu以外の不可避的不純物の含有量は少ないことが好ましく、本発明の作用を損なわない範囲で、窒素、炭素、Fe、Si等といった不可避的不純物を含んでもよい。例えば、窒素は1000質量ppm以下、炭素は200質量ppm以下、Feは500質量ppm以下、Siは100質量ppm以下等であり、ガス成分を除いた純度として、99.9質量%以上であることが好ましい。
本発明のCu−Mn合金膜は、スパッタリングターゲット材を用いてスパッタリングする際に、一般的なスパッタガスである不活性ガスのAr等に、反応性ガスである酸素を含有させたスパッタガスを用いる、所謂反応性スパッタ法を適用することで得ることができる。その際、スパッタガス中の酸素ガスの含有比率は、30〜60体積%とすることが好ましい。
また、本発明のCu−Mn合金膜は、スパッタリングターゲット材を用いてスパッタリングする際に、Ar等の不活性ガス雰囲気中でスパッタリングによりCu−Mn合金膜を成膜し、次いで、このCu−Mn合金膜を200〜225℃の大気雰囲気中で加熱することでも得ることもできる。
先ず、Cu−Mn合金膜を成膜するためのスパッタリングターゲット材を作製した。原子比で80原子%Mn−Cuとなるように秤量し、真空溶解炉にて溶解し鋳造してインゴットを作製した。その後、このインゴットを機械加工により、直径100mm、厚さ5mmのスパッタリングターゲット材を作製した。
尚、比較例となるAl膜を成膜するためのAlスパッタリングターゲット材は、住友化学株式会社製のAlスパッタリングターゲット材を購入して準備した。また、比較例となるCu膜を成膜するためのCuスパッタリングターゲット材は、日立電線株式会社製の無酸素銅(OFC)の素材を加工して、Cuスパッタリングターゲット材を作製した。また、比較例となるMo膜を成膜するためのMoスパッタリングターゲット材は、純度4NのMo粉末を加圧焼結して、Moスパッタリングターゲット材を作製した。
上記で作製した各スパッタリングターゲット材を銅製のバッキングプレ−トにろう付けして、株式会社アルバック製のスパッタリング装置(型式番号:CS−200)に取付けた。そして、25mm×50mmのガラス基板上に、表1に示す膜厚の金属膜を成膜して評価用の試料を作製した。尚、Cu−Mn合金膜の成膜は、上記で用意したCuスパッタリングターゲット材と80原子%Mn−Cuスパッタリングターゲット材とを同時スパッタするコスパッタ法を用いて、各々のスパッタリングターゲット材に印加する電力を変化させて、異なる組成のCu−Mn合金膜を成膜した。
成膜したCu−Mn合金膜の組成を、株式会社島津製作所製の誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP 型式番号:ICPV−1017)を用いて確認した。
次に、各試料を大気雰囲気において150℃、200℃の温度で30分間の加熱処理を行い、反射率測定用の試料を得た。得られた各試料の反射率の測定結果を表1に示す。尚、反射率は、コニカミノルタ株式会社製の分光測色計(型式番号:CM2500d)を用いた。尚、表1中の*印は、本発明の範囲外を示す。
表1に示すように、低い電気抵抗値を有するAlやCu、あるいは積層膜に用いられるMoは、大気雰囲気中で200℃の加熱を行っても、反射率はほとんど低下しないことがわかる。
これに対して、本発明のCu−Mn合金膜の反射率は、150℃で加熱するとわずかに低下し、200℃で加熱するとさらに大きく低下することがわかる。特に、Cu−Mn合金膜へのMnの添加量が32〜43原子%の範囲で、反射率が30%以下という低い反射率が得られ、平面表示素子用の電極膜や配線膜に好適なCu−Mn合金膜となることが確認できた。
実施例1の試料の内、試料No.1、No.5、No.6、No.7の試料を、大気雰囲気中で225℃、250℃、300℃の加熱処理を行なった際の、Cu−Mn合金膜の反射率を測定した結果を表2に示す。尚、表2中の*印は、本発明の範囲外を示す。
表2に示すように、Cu−Mn合金膜の反射率は、大気雰囲気中における加熱温度が225℃では、表1に示す200℃よりさらに低下することを確認した。一方、大気雰囲気中における加熱温度が250℃では、Cu−Mn合金膜の反射率は、30%を超え、大きく増加することを確認した。このため、本発明のCu−Mn合金膜を得るためには、大気雰囲気中におけるCu−Mn合金膜の加熱温度は、200〜225℃が好ましいことが確認できた。
原子比でCu−34原子%Mnのスパッタリングターゲット材を作製するために、同組成のアトマイズ粉末を作製し、100メッシュのふるいを用いて分級して平均粒径70μmのCu−Mn合金粉末を得た。このCu−Mn合金粉末を化学分析した結果、純度は99.9%であることを確認した。
次に、内径133mm×高さ30mmの円筒体で厚さが3mmの軟鋼製の容器に充填し、450℃で5時間加熱して脱ガス処理を行なった。その後、軟鋼製容器を封止し、HIP装置により焼結温度800℃、加圧圧力118MPa、焼結時間5時間の条件で焼結した。
冷却後にHIP装置から取り出し、機械加工により軟鋼製容器を外し、直径100mm、厚さ5mmからなる本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材を得て、残部より試験片を切り出した。
得られた試験片の金属元素の定量分析を株式会社島津製作所製の誘電プラズマ発光分析装置(ICP)(型式番号:ICPV−1017)で行ない、酸素の定量を非分散型赤外線吸収法により測定したところ、Cu、Mnの分析値の合計の純度は99.9%、酸素濃度は560質量ppmであり、高純度のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材が得られることが確認できた。
上記で得た試験片を、鏡面研磨した後、硝酸水溶液で腐食して、光学顕微鏡で組織観察した結果を図1に示す。図1に示すように、本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材は、アトマイズ粉末の球状に近い粒界内で細かな再結晶した組織を有しており、偏析や空孔等の大きな欠陥は確認されず、スパッタ成膜に好適なCu−Mn合金スパッタリングターゲット材であることが確認できた。
また、上記で得た本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材を銅製のバッキングプレートにろう付けした後、キヤノンアネルバ株式会社製のスパッタ装置(型式番号:SPF−440HL)に取り付け、Ar雰囲気、圧力0.5Pa、電力500Wの条件でスパッタを実施した。
本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲットを用いてスパッタすると、異常放電もなく、安定したスパッタを行なうことができることを確認した。
実施例3で作製した本発明のCu−Mn合金スパッタリングターゲット材をアルバック株式会社製のスパッタ装置(型式番号:SBH−2204)に取り付けて、Arと酸素を含有したスパッタガスを用いて、圧力0.8Pa、電力300Wの条件でスパッタを実施した。
実施例1と同様に、基板には25mm×50mmのガラス基板を用いて、表3に示すスパッタ雰囲気中の酸素量を調整して、Cu−Mn合金膜を100nmの膜厚で成膜した。各試料の反射率を測定した結果を表3に示す。尚、Cu−Mn合金膜中の酸素量は、光電子分光分析装置ESCA(Electoron spectroscopy for chemical analysis)(KRATOS社製、型式番号:AXIS−HS)を用いて分析し、金属成分と酸素の合計に対する酸素の割合を原子比で示す。また、表3中の*印は、本発明の範囲外を示す。
表3に示すように、スパッタガス中の酸素濃度が30体積%以上であると、反射率は低下するとともに、Cu−Mn合金膜中の酸素量も増加することがわかる。一方、Cu−Mn合金膜中金属成分と酸素の合計に対する酸素の割合が原子比で0.6を越えると、透過光が増加するとともに、膜剥がれが発生することを確認した。

Claims (2)

  1. Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、Cu−Mn合金粉の粒界中に再結晶組織を内包した組織を有することを特徴とする焼結Cu−Mn合金スパッタリングターゲット材。
  2. Mnを32〜45原子%含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなるCu−Mn合金粉末を加圧焼結することを特徴とする焼結Cu−Mn合金スパッタリングターゲット材の製造方法。
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