JP6375553B2 - 溶融バーナ、溶融バーナ装置、粉体溶融方法、及びガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
溶融バーナの種類としては、予混合型バーナと、拡散型バーナと、がある。予混合型バーナは、酸素と燃料ガスとを予め混合させて燃焼場に噴出させるバーナである。予混合型バーナとしては、例えば、原料粉体、酸素、及び燃料を十分に混合させた状態で、バーナ先端に形成される火炎中に該原料粉体が供給されるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
竪型炉内に配置される拡散型バーナとしては、例えば、火炎が形成される側の端部を下方側に配置し、同心円状に配置された二重管構造体を構成する内管と外管との間に多数の小管を設け、珪素質原料をバーナの内管から自然流下(或いは、加圧流下)させ、該小管から供給される可燃ガスと外管から供給される酸素ガスとで火炎を形成し、該火炎中に原料を投入し、溶融シリカ球状体を製造するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
また、特許文献2に開示された拡散型バーナは、原料粉体をバーナの中心から噴出させ、その周囲に火炎を形成するため、原料粉体全体を効率良く加熱することが困難であった。
このように、第1の火炎と原料粉体との間、第2の火炎と原料粉体との間に、それぞれガスを噴出することにより、原料粉体が原料粉体噴出口から噴出した直後に火炎に触れることを防ぐことができ、バーナノズルの先端部に原料粉体の溶融物が付着することを防ぐことができる。
図1は、本発明の実施の形態に係る溶融バーナ装置の概略構成を模式的に示す図である。図1において、C1はバーナ本体58の中心軸(以下、「中心軸C1」という)を示しており、C2はバーナ本体58の先端面の中心(以下、「中心C2」という)を示している。
また、図1において、X方向は、バーナ本体58の延在方向を示しており、Y方向は、X方向に対して直交する方向を示している。
また、図1では、所定の方向に延在する溶融バーナ11全体を図示することが困難なため、溶融バーナ11の先端部のみ図示する。また、図1では、説明の便宜上、溶融バーナ11の先端部を断面図として図示する。
ここで、溶融バーナ11に混合部65を設けない場合には、第1の環状部材51の先端面は、バーナ本体58の先端面を通過する仮想平面(図示せず)と一致するように配置する。
第3〜第7の環状部材53〜57は、その先端面がバーナ本体58の先端面を通過する仮想平面(図示せず)と一致するように配置する。
第1の酸化剤噴出口64は、第1の燃料噴出口63の外側に設けられ、第1の酸化剤及び/又は不活性ガスを噴出させる。
第1のガス噴出口68は、第3の酸化剤及び/又は不活性ガス(以下、「第1のガス」ということがある)をバーナ本体58の先端から噴出させる。
原料粉体噴出口72は、原料粉体供給路71を介して供給されたキャリアガス及び原料粉体をバーナ本体58の先端から噴出させる。
第2のガス噴出口75は、酸化剤供給源31から供給された第4の酸化剤及び/又は不活性ガスをバーナ本体58の先端から噴出させる。
第2の燃料噴出口78は、燃料供給源21から供給された第2の燃料をバーナ本体58の先端側に噴出させる。
冷却水供給ライン86は、水冷ジャケット85、及び冷却水を生成する冷却塔87と接続されており、冷却水用管路85Aに冷却水を供給する。循環ポンプ88は、冷却水供給ライン86に設けられている。
冷却水回収ライン89は、水冷ジャケット85及び冷却塔87と接続されており、冷却水用管路85Aから回収した冷却水を冷却塔87に輸送する。
上記水冷ジャケット85は、高温の炉内雰囲気或いは輻射熱からバーナ本体58を保護する観点から設けられている。
また、第2の燃料及び第2の酸化剤により、原料粉体噴出口72の外側(言い換えれば、キャリアガス及び原料粉体が噴出される領域の外側)に、原料粉体を溶融する第2の火炎(図示せず)が配置される。
一方、第1のガス及び/又は第2のガスに不活性ガスを用いた場合は、火炎に対するカーテン効果が強く発揮されるため、原料粉体噴出口72に原料粉体が付着することを抑制する効果を高めることができる。
原料粉体の粒径が大きい場合には、第1及び第2のガスに酸化剤を用いることが好ましく、粒径が小さくなるほど、不活性ガスの混合割合を増やすことが好ましい。
粒径が大きい場合には、火炎温度上昇による溶融効果を高め、粒径が小さい場合には、原料粉体噴出口72に原料粉体が付着するのを抑制する効果を高めることができる。
なお、各噴出口におけるリング形状とは、図2に示したような形状の他、図3〜5に示すような円形や楕円形の孔を同心円状に並べたものも含む。
キャリアガスとしては、例えば、酸素または酸素富化空気を用いることができる。
ここで、ガラス原料粉末としては、溶融ガラスの製造工程中でSiO2,Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、Na2O等の酸化物で表される酸化物となり得る化合物を用いることができる。
具体的には、前述の酸化物または熱分解等により該酸化物となりうる化合物(塩化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩等)が用いられる。例えば、SiO2源であればケイ砂、Al2O3源であれば酸化アルミニウム、水酸化アルミウム等、B2O3源であればオルトホウ酸(H3BO3)、メタホウ酸(HBO2)、四ホウ酸(H2B4O7)等のホウ酸、MgO源、アルカリ土類金属源、アルカリ金属源であればそれぞれの金属の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物、水酸化物、塩化物、フッ化物が好適に用いることができる。
また、ガラス原料粉末にガラスカレットを混合することもできる。このとき、ガラスカレットはガラス原料粉末と事前に混合して原料フィーダー18から供給してもよい。
流量制御部26は、例えば、燃料の流量を測定可能なマスフローメーターと、自動弁と、で構成することができる。
流量制御部27は、第2の燃料供給用分岐ライン22−2に設けられており、第2の燃料供給路77に供給する第2の燃料の流量を調節するためのものである。流量制御部27は、例えば、流量制御部26と同様な構成とすることができる。
第3の酸化剤供給用分岐ライン32−1には、不活性ガス供給源41からの不活性ガスを供給する不活性ガス供給ライン42から分岐した第1の不活性ガス供給用分岐ライン42−1が接続されており、第1のガス供給路67に、酸化剤及び/または不活性ガス(第1のガス)を供給することが可能である。
また、流量制御部45,46は、第1、第2の不活性ガス供給用分岐ライン42−1、42−2に設けられている。
各流量制御部35〜38は、例えば、酸化剤の流量を測定可能なマスフローメーターと、自動弁と、で構成することができる。
成形後のガラスは、成形後に固化したガラスの内部に残留応力が残らないように徐冷手段によって徐冷され(徐冷工程)、さらに必要に応じて切断され(切断工程)、その他後工程を経て、ガラス製品となる。
図1を参照して、実施例について説明する。
実施例では、側壁部にのぞき窓を有し、かつ円筒形状とされた加熱炉(図示せず)、図1に示す溶融バーナ装置10を構成する溶融バーナ11の先端部(第1及び第2の火炎が形成される側の端部)を該加熱炉内に配置させた状態で、第1及び第2の火炎を形成し、原料粉体の加熱及び溶融を行った。
このときの炉内温度は、1520℃であった。
また、第1の燃料であるメタンガスの供給量を15.8Nm3/h、第2の燃料であるメタンガスの供給量を19.7Nm3/h、第1の酸化剤である酸素ガスの供給量を9Nm3/h、第2の酸化剤である酸素ガスの供給量を30Nm3/h、第3の酸化剤である酸素ガスの供給量を3Nm3/h、第4の酸化剤である酸素ガスの供給量を15.8Nm3/hとした。
表1は、実施例、及び比較例1,2のバーナにガラス粉体が付着するまでの時間(min)、回収率(%)、及び溶解効率(%)を示す表である。
図6は、特許文献3に開示されたバーナの先端部の概略構成を示す断面図である。図7は、図6に示す特許文献3に開示されたバーナをB視した正面図(平面図)である。図7において、図6に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
バーナ100は、キャリアガスに搬送された原料粉体を供給する原料粉体供給路101と、原料粉体供給路101の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる燃料ガス供給路102と、燃料ガス供給路102の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる旋回酸素供給路103と、旋回酸素供給路103の外側の円周上に配置された複数の供給路からなる直進酸素供給路104と、直進酸素供給路104の外側の円周上に配置された冷却水通路105a,105bと、先端側に拡径した燃焼室106と、を有する。
旋回酸素供給路103の各供給路の先端には、旋回酸素噴出口110が設けられている。また、直進酸素供給路104の各供給路の先端には、直進酸素噴出口111が設けられている。
このとき、キャリアガス(酸素ガス)を用いて、平均粒径が500μm程度とされたガラス粉体(原料粉体)を400kg/hの供給量でバーナ100に供給した。ガラス粉体は、連続して120min供給した。
燃料ガス噴出口109には、燃料ガスとしてメタンを35.5Nm3/h供給し、旋回酸素噴出口110には、酸素を24.5Nm3/h供給し、直進酸素噴出口111には、酸素を57.2Nm3/h供給した。
図8は、特許文献5に開示されたバーナの先端部の概略構成を示す断面図である。図9は、図8に示す特許文献5に開示されたバーナをC視した正面図(平面図)である。
図9において、図8に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
バーナ200は、中心に配置された第1支燃性気体供給口201aと、第1支燃性気体供給口201aの外側に配置された第1燃料噴出口202aと、第1燃料噴出口202aの外側に配置された対象物噴出口203aと、対象物噴出口203aの外側に配置された第2燃料噴出口204aと、第2燃料噴出口204aの外側に配置された第2支燃性気体噴出口205aと、を有する。
また、バーナ200は、第1支燃性気体供給口201aと接続された第1支燃性気体供給路201と、第1燃料噴出口202aと接続された第1燃料供給路202と、対象物噴出口203aと接続された対象物供給路203と、第2燃料噴出口204aと接続された第2燃料供給路204と、第2支燃性気体噴出口205aと接続された第2支燃性気体供給路205と、を有する。
このとき、キャリアガス(酸素ガス)を用いて、平均粒径が500μm程度とされたガラス粉体(原料粉体)を400kg/hの供給量でバーナ200(具体的には、対象物噴出口203a)に供給した。ガラス粉体は、連続して120min供給した。
表1に示すように、実施例では、ガラス粉体を連続供給していた120minの間、溶融バーナ10の原料粉体噴出口72へのガラス粉体の融着は見られなかった。
また、実施例では、回収率、溶解効率の両方において、比較例1,2よりも良好な結果が得られた。
その結果、火炎中にガラス粉末を留める機能が失われ、飛散し煙道に排出されるガラス粉末が増加し、回収率が低下した。また、溶解効率についても実施例よりも低い値となった。
比較例2の回収率及び溶解効率は、比較例1の回収率及び溶解効率よりも良好な結果となった。比較例2では、溶着したガラス粉末により隣接する対象物噴出口203aの一部が閉塞し、その結果、逆火が生じてバーナ200の先端の一部が損耗していることが確認された。
Claims (11)
- バーナ本体と、
前記バーナ本体の中心部に設けられ、第1の燃料を噴出させる第1の燃料噴出口と、
前記第1の燃料噴出口の外側に設けられ、第1の酸化剤及び/又は不活性ガスを噴出させる第1の酸化剤噴出口と、
前記第1の酸化剤噴出口の外側に設けられ、第3の酸化剤及び/又は不活性ガスを噴出させる第1のガス噴出口と、
原料粉体を噴出させる原料粉体噴出口と、
前記原料粉体噴出口の外側に設けられ、第2の燃料を噴出させる第2の燃料噴出口と、
前記第2の燃料噴出口の外側に設けられ、第2の酸化剤を噴出させる第2の酸化剤噴出口と、
前記第2の燃料噴出口と前記原料粉体噴出口との間に設けられ、第4の酸化剤及び/又は不活性ガスを噴出させる第2のガス噴出口と、
を有し、
前記第1の燃料及び前記第1の酸化剤により、前記原料粉体噴出口の内側に、第1の火炎が形成され、
前記第2の燃料及び前記第2の酸化剤により、前記原料粉体噴出口の外側に、第2の火炎が形成されることを特徴とする溶融バーナ。 - 前記第1の酸化剤噴出口、前記原料粉体噴出口、前記第2の燃料噴出口、前記第2の酸化剤噴出口、前記第1のガス噴出口、及び前記第2のガス噴出口の形状は、リング形状であることを特徴とする請求項1記載の溶融バーナ。
- 前記第1の燃料噴出口の形状は、円形であり、前記バーナ本体の中心に対して、前記第1の燃料噴出口、前記第1の酸化剤噴出口、前記第1のガス噴出口、前記原料粉体噴出口、前記第2のガス噴出口、前記第2の燃料噴出口、及び前記第2の酸化剤噴出口は、同心円状に配置することを特徴とする請求項2記載の溶融バーナ。
- 前記第1の燃料噴出口に前記第1の燃料を供給する第1の燃料供給路と、
前記第1の酸化剤噴出口に前記第1の酸化剤及び/又は不活性ガスを供給する第1の酸化剤供給路と、
前記第1のガス噴出口に前記第3の酸化剤及び/又は不活性ガスを供給する第1のガス供給路と、
前記原料粉体噴出口に前記原料粉体を供給する原料粉体供給路と、
前記第2のガス噴出口に前記第4の酸化剤及び/又は不活性ガスを供給する第2のガス供給路と、
前記第2の燃料噴出口に前記第2の燃料を供給する第2の燃料供給路と、前記第2の酸化剤噴出口に前記第2の酸化剤を供給する第2の酸化剤供給路と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のうち、いずれか1項記載の溶融バーナ。 - 前記第1の燃料供給路の先端、及び前記第1の酸化剤供給路の先端と前記第1の燃料噴出口との間に配置され、前記第1の燃料と前記第1の酸化剤とを混合する混合部を有することを特徴とする請求項4項記載の溶融バーナ。
- 請求項4又は5記載の前記溶融バーナと、
第1の燃料供給用分岐ラインを介して前記第1の燃料供給路に供給する前記第1の燃料の流量を調整する第1の流量調整部と、
第2の燃料供給用分岐ラインを介して第2の燃料供給路に供給する前記第2の燃料の流量を調整する第2の流量調整部と、
第1の酸化剤供給用分岐ラインを介して第1の酸化剤供給路に供給する前記第1の酸化剤の流量を調整する第3の流量調整部と、
第2の酸化剤供給用分岐ラインを介して第2の酸化剤供給路に供給する前記第2の酸化剤の流量を調整する第4の流量調整部と、
第3の酸化剤供給用分岐ラインを介して第1のガス供給路に供給する前記第3の酸化剤の流量を調整する第5の流量調整部と、
第4の酸化剤供給用分岐ラインを介して第2のガス供給路に供給する前記第4の酸化剤の流量を調整する第6の流量調整部と、
を有することを特徴とする溶融バーナ装置。 - 前記原料粉体供給路に、キャリアガスとして酸素又は酸素富化空気を供給するキャリアガス供給源を有することを特徴とする請求項6記載の溶融バーナ装置。
- 前記第3の酸化剤供給用分岐ラインに不活性ガス供給源からの不活性ガスを供給するための第1の不活性ガス供給用分岐ラインにおいて、前記不活性ガスの流量を調整するための第7の流量調整部と、前記第4の酸化剤供給用分岐ラインに前記不活性ガス供給源からの不活性ガスを供給するための第2の不活性ガス供給用分岐ラインに供給する前記不活性ガスの流量を調整する第8の流量調整部と、を有することを特徴とする請求項6又は7記載の溶融バーナ装置。
- 請求項1乃至5のうち、いずれか1項記載の溶融バーナを用いて、
前記バーナ本体の中心部から第1の燃料を、前記第1の燃料噴出口の外側から第1の酸化剤を、前記第1の酸化剤噴出口の外側から第3の酸化剤及び/又は不活性ガスを、前記第1のガス噴出口の外側から原料粉体を、前記原料粉体噴出口の外側から第2の燃料を、前記第2の燃料噴出口の外側から第2の酸化剤を、前記第2の燃料噴出口と前記原料粉体噴出口との間から第4の酸化剤及び/又は不活性ガスを、それぞれ噴出させ、前記第1の燃料及び前記第1の酸化剤により第1の火炎を形成し、前記第2の燃料及び前記第2の酸化剤により第2の火炎を形成し、前記第1の火炎と前記第2の火炎の間に前記原料粉体噴出口から前記原料粉体を噴出させて前記原料粉体を溶融することを特徴とする粉体溶融方法。 - 前記原料粉体が無機質粉体原料であることを特徴とする請求項9記載の粉体溶融方法。
- 前記無機質粉体原料がガラス原料粉末であり、請求項10に記載の粉体溶融方法を用いたことを特徴とするガラスの製造方法。
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