JP6375272B2 - 遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラス - Google Patents
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Description
また、自動車や建物などの窓への適用を考えた場合、遮熱材料は材料自体の透明性が高く、遮熱効率が高いことが求められる。
例えば、基材と、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層と、金属粒子含有層の少なくとも一方の表面に密接して配置されたオーバーコート層と、を有し、金属粒子が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有し、オーバーコート層が微粒子を含有する熱線遮蔽材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の熱線遮蔽材及び特許文献2に記載の電磁波透過性積層体は、施工液を用いて貼り付けることを想定しておらず、施工液に由来する材料ムの透明性の低下を抑制することは検討されていない。
<1> 支持体と、金属元素を含む金属含有層と、平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子を含む有機粒子含有層と、をこの順に有する遮熱材料。
<3> 平板状金属粒子が、平板状銀粒子である<2>に記載の遮熱材料。
<4> 有機粒子の平均粒子径が、0.35μm〜5.0μmである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<5> 有機粒子含有層の厚みが、0.2μm〜1.5μmである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<7> 有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して0.5質量%〜5.5質量%である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<8> 有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して1.5質量%〜3.5質量%である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<10> 有機粒子は、疎水性樹脂の粒子である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<11> 有機粒子が、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの粒子である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<12> 有機粒子が、ポリメタクリル酸メチルの粒子である<1>〜<11>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<13> 支持体の金属含有層を有する側と反対側に、無機粒子を含む保護層を有する<1>〜<12>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<14> 有機粒子含有層は、有機粒子含有層の全固形分に対する有機ワックスの含有量が1質量%以下である<1>〜<13>のいずれか1項に記載の遮熱材料。
<17> 遮熱材料又は断熱材料は、有機粒子含有層を有する側を粘着剤層に対向させて配置されている<16>に記載の窓ガラス。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
熱線の平均反射率は、V−670(日本分光(株)製)により測定し、JIS A−5759に記載の方法により求めることができる。
また、「断熱」とは、波長5μm〜50μmの遠赤外線を平均反射率で5%以上反射することを意味する。遠赤外線の平均反射率は7%以上であることがより好ましく、8%以上であることが特に好ましく、10%以上であることがより特に好ましい。
遠赤外線の平均反射率は、V−670(日本分光(株)製)により測定し、JIS−5759に記載の方法により求めることができる。
また、「窓ガラス」は、建物に設置される窓ガラス及び乗り物に設置される窓ガラスを包含する意味で用いる。
遮熱材料は、支持体と、金属元素を含む金属含有層と、平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子(以下、特定有機粒子ともいう)を含む有機粒子含有層と、をこの順に有する。
遮熱材料等の材料は、貼り付け位置の修正が容易に行えるなどの利点から、被着体(例えばガラス窓)に施工液を塗布した後、粘着剤層を介して貼り付けられる場合がある。施工液を用いて貼り付けた遮熱材料は、貼り付け後数日〜数週間経過した際に、遮熱材料が白濁を起こし透明性が低下する(ヘイズが増加する)ことがある。
従来、遮熱の効果を有する材料として、種々の検討がなされており、上述のように特許文献1に記載の熱線遮蔽材や特許文献2に記載の電磁波透過性積層体が提案されている。しかし、これらの遮熱材料は、施工液を用いて貼り付けることは想定されておらず、施工後、施工液に由来する透明性の低下を抑制することまでは考慮されていない。
上記の施工液に由来する透明性の低下は、金属成分を含む金属含有層等の内部に施工液が浸透したり、あるいは、遮熱材料と、遮熱材料及び被着体の間に配置される粘着剤層と、の間や、遮熱材料が積層構造を有する場合の遮熱材料の層と層との間に、施工液が留まることで発生すると考えられる。特に、金属成分を含有する金属含有層を含む積層構造を有する遮熱材料の場合、施工液が金属含有層に引き寄せられて、層内又は層間に施工液が浸透しやすいため、施工液に由来する透明性の低下が起こりやすいと考えられる。
本発明の遮熱材料は、有機粒子含有層が所定の平均粒子径を有する有機粒子を含有することで、材料内への施工液の浸透が抑制されるため施工液に由来する透明性の低下が抑制されると考えられる。
また、有機粒子含有層にガラス転移温度が100℃以上の有機粒子を含むことで、遮熱材料製造時における有機粒子の変形が抑制され、有機粒子含有層表面の滑り性を所望の範囲に調整することができる。そのため、ロール巻き付けの際のシワやロールの荷崩れが発生しにくくなるなど生産性の点で有利である。
遮熱材料は、支持体上の、後述の金属含有層の上に、更に有機粒子含有層を有する。有機粒子含有層は、平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子の少なくとも1種を含む。
本発明の遮熱材料は、有機粒子含有層が特定の有機粒子を含むことで、施工時の施工液に由来する透明性の低下が抑制される。
有機粒子の平均粒子径は、0.1μm〜15μmである。
平均粒子径が0.1μm以上であると施工液が層を透過しにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下が抑制される。一方、平均粒子径が15μm以下であると有機粒子含有層と隣接層(例えば、粘着剤層)との間に隙間ができにくくなり、施工液が有機粒子含有層と隣接層との間に入り込みにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下が抑制される。
平均粒子径は、0.35μm〜5.0μmがより好ましく、0.8μm〜1.8μmがさらに好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることで、上記の効果がより顕著に現れる。
有機粒子のガラス転移温度(Tg)は100℃以上である。
ガラス転移温度が100℃以上であることで、遮熱材料製造時における有機粒子の変形が抑制され、有機粒子含有層表面の滑り性を所望の範囲に調整することができるため、生産性の点で有利である。
ガラス転移温度は130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度が高いほど、上記の効果がより顕著に現れる。
<条件>
・測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
・昇温速度:5℃/min
・測定開始温度:−100℃
・測定終了温度:200℃
・試料パン:アルミニウム製パン
・測定試料の質量:5mg
・Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定した。
有機粒子含有層における有機粒子の含有量は、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点及び有機粒子含有層の表面摩擦係数の観点から、以下の範囲であることが好ましい。
有機粒子の含有量は、有機粒子含有層の全固形分に対して、0.3質量%〜6.0質量%が好ましく、0.5質量%〜5.5質量%がより好ましく、1.5質量%〜3.5質量%がさらに好ましい。
有機粒子の含有量が0.3質量%以上であると施工液が層を透過しにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下がより抑制される。一方、含有量が6.0質量%以下であると有機粒子含有層の表面摩擦係数(滑り性)を適正な範囲に調整することができるため、遮熱材料の生産性に優れる。
有機粒子含有層の厚みは、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点及び有機粒子含有層の表面摩擦係数の観点から、以下の範囲であることが好ましい。
有機粒子含有層の厚みは、0.1μm以上が好ましく、0.1μm〜1.8μmがより好ましく、0.2μm〜1.5μmがさらに好ましく、0.4μm〜1.3μmが特に好ましい。
厚みが0.1μm以上であると施工液が層を透過しにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下がより抑制される。一方、厚みが1.8μm以下であると有機粒子含有層の表面摩擦係数(滑り性)を適正な範囲に調整することができるため、遮熱材料の生産性に優れる。
なお、有機粒子含有層の厚みは、有機粒子が有機粒子含有層に埋没し層の表面が平滑な場合、層の断面の任意の10箇所の厚みを測定し、10箇所の算術平均値を採用する。一方、有機粒子含有層の表面に凹凸が存在する場合は、層の断面の任意の100箇所の厚みを測定し、測定した100箇所の中で薄い方から10点の算術平均値を有機粒子含有層に厚みとして採用する。
有機粒子含有層の厚みに対する有機粒子の平均粒子径の比は、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点及び有機粒子含有層の表面摩擦係数の観点から、以下の範囲であることが好ましい。
有機粒子含有層の厚みに対する有機粒子の平均粒子径の比は、1.00以上が好ましく、1.10以上8.50以下がより好ましく、1.15〜3.75がさらに好ましい。
上記の比が1.00以上であると有機粒子含有層の表面摩擦係数(滑り性)を適正な範囲に調整することができるため、遮熱材料の生産性に優れる。一方、上記の比が3.75以下であると、有機粒子含有層の表面の凹凸が大きくなり過ぎず、凹凸の間に施工液が留まりにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下がより抑制される。
有機粒子は、粒子の形状を有する有機化合物であれば特に限定されない。粒子の形状は球状であってもよく、扁平形状であってもよく、中空形状であってもよい。
有機粒子の種類は特に限定されないが、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点から疎水性樹脂の粒子であることが好ましい。
疎水性樹脂の粒子としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、(メタ)アクリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル−スチレン共重合体、及びスチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの粒子が挙げられる。
中でも、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、及びポリオレフィンの粒子が好ましく、屈折率の観点からポリ(メタ)アクリル酸エステルの粒子がより好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸メチルの粒子がさらに好ましく、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の粒子が特に好ましい。
有機粒子は、いわゆるラテックスと称される水性分散物の形態で用いてもよい。
水性分散物を製造する方法については、乳化による方法と、乳化分散による方法とがあり、前者が好ましい。具体的な方法については例えば特許第3699935号公報に記載の方法を参考にすることができる。
従来、遮熱材料表面の滑り性を向上させるための成分として有機ワックスが用いられることがあった。このような有機ワックスを含む層では、有機ワックスが層の表面に偏在しやすく、隣接する層(例えば、粘着剤層)との密着性において有機ワックスの物性に依存する傾向にある。そのため、有機ワックスの種類によっては所望の密着性が得られないことがあった。
上記の点から本発明の遮熱材料は、有機粒子含有層の全固形分に対する有機ワックスの含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%(含まれない)であることが特に好ましい。
有機ワックスの含有量が1質量%以下であることで、隣接する層との密着性がより優れたものとなる。
有機ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス;が挙げられる。
有機粒子含有層は、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂などが挙げられる。
中でも(メタ)アクリル樹脂、及びウレタン樹脂が好ましい。
バインダーは、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
(メタ)アクリル樹脂としては、前述のポリ(メタ)アクリル酸エステルを形成し得る単量体などの(メタ)アクリル単量体を単独重合又は他の単量体と共重合させて得られる重合体であることが挙げられる。(メタ)アクリル単量体と共重合させる他の単量体には、例えば、炭素−炭素二重結合を有するポリマーが挙げられる。重合体には、例えば、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体等が含まれる。(メタ)アクリル樹脂は、隣接する層との密着性を向上させる観点から、他の単量体はヒドロキシ基及びアミノ基から選ばれた少なくとも1つの基を有してもよい。
ウレタン樹脂は、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、例えば、ジイソシアネートとポリオールの反応によって得られる樹脂が挙げられる。ジイソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等が挙げられる。
ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等が挙げられる。また、イソシアネートとしては、ジイソシアネートとポリオールの反応によって得られたウレタン樹脂に鎖延長処理をして分子量を増大させた樹脂も使用することができる。以上に述べたジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長処理については、例えば「ポリウレタンハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)において記載されている。
例えば、ウレタン樹脂としては、スーパーフレックス(登録商標)150HS,110、420(第一工業製薬(株)製)、ハイドラン(登録商標)HW350(DIC(株)製)、タケラック(登録商標)WS400,WS5100(三井化学(株)製)が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、アクアブリッド(登録商標)AS−563A(ダイセルファインケム(株)製)、ジュリマー(登録商標)ET−410(東亞合成(株)製)、ボンロン(登録商標)PS002(三井化学(株)製)が挙げられる。
有機粒子含有層は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西一郎、今井怡知一郎、笠井正蔵編、産業図書(株)、1960年発行)に記載されている。界面活性剤としては、特に、アニオン系界面活性剤、又はノニオン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
市販のアニオン系界面活性剤としては、ラピゾール(登録商標)A−90、A−80、BW−30、B−90、C−70(以上、日油(株)製)、NIKKOL(登録商標)OTP−100(以上、日光ケミカル(株)製)、コハクール(登録商標)ON、L−40、フォスファノール(登録商標)702(以上、東邦化学工業(株)製)、ビューライト(登録商標)A−5000、SSS(以上、三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
有機粒子含有層は、必要に応じて、架橋剤、マット剤、紫外線吸収剤などのその他の成分を含有してもよい。
架橋剤としては特に制限はなく、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤等の架橋剤が挙げられる。中でも、カルボジイミド系架橋剤及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、例えば、カルボジライト(登録商標)V−02−L2(日清紡ケミカル(株)製)が挙げられる。
有機粒子含有層の形成方法は特に限定されない。コスト削減の観点から、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、有機粒子含有層を形成する組成物の塗布液を調製して、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
遮熱材料は、支持体上に金属元素を含む金属含有層を有する。
遮熱材料が金属含有層を有することで、材料が熱線を反射することができ、遮熱の効果が得られる。金属含有層は、少なくとも1種の金属元素を含有する層である。
金属元素としては、周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属元素がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属元素が更に好ましく、これらの金属元素を主成分として含むことが特に好ましい。
中でも、遮熱性と透明性との両立の観点から金属粒子として含有されていることが好ましい。
金属粒子は、平板状金属粒子(平板状の金属粒子)であることが好ましく、金属含有層の一方の表面に平板状金属粒子を偏析させることがより好ましい。
金属粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線(近赤外線)の反射率が高い点から、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金などが好ましく、その中でも銀がより好ましい。
すなわち、金属含有層は、銀粒子を含むことが好ましく、平板状銀粒子を含むことがより好ましい。
平板状金属粒子としては、2つの主平面を有する平板形状の粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三角形状、四角形状、六角形状、八角形状、円形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、六角形状以上の多角形状乃至円形状であることがより好ましい。
円形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
六角形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
六角形状乃至円形状の平板状金属粒子は、その主平面が金属含有層の一方の表面(遮熱材料の支持体表面)に対して、平均0°〜±30°の範囲で面配向していることが好ましく、平均0°〜±20°の範囲で面配向していることがより好ましく、平均0°〜±10°の範囲で面配向していることが特に好ましい。また、平均0°〜±30°の範囲で面配向している平板状金属粒子が、全平板状金属粒子の50個数%以上であることが好ましく、70個数%以上であることがより好ましく、90個数%以上であることがさらに好ましい。
平板状金属粒子の存在状態は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば特開2014−184688号公報の段落〔0050〕〜〔0059〕に記載の態様が好ましい。
平均粒子径は、平板状金属粒子の透過型電子顕微鏡写真上での投影面積を測定し、撮影倍率を補正する公知の方法により得ることができる。円相当径は、上記の方法により得られた粒子の透過型電子顕微鏡写真を画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施し、個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を算出することで得ることができる。200個の平板状金属粒子の円相当径Dの統計で粒径分布(粒度分布)が得られ、算術平均を計算することで平均粒子径(平均円相当径)を求めることができる。平板状金属粒子の粒度分布における変動係数は、粒度分布の標準偏差を前述の平均粒子径(平均円相当径))で割った値(%)で求めることができる。
遮熱材料において、平板状金属粒子の粒度分布における変動係数としては、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。変動係数が、35%以下であることが遮熱材料における熱線の反射波長域がシャープになることから好ましい。
金属粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、平均粒子径は10nm〜500nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましく、50nm〜200nmがさらに好ましい。
平板状金属粒子の厚みは14nm以下であることが好ましく、5nm〜14nmであることがより好ましく、5nm〜12nmであることが特に好ましい。
平板状金属粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長800nm〜1,800nmの赤外光領域での反射率が高くなる点から、6〜40が好ましく、10〜35がより好ましい。アスペクト比が6以上であると反射波長が800nmより大きく、40以下であると、反射波長が1,800nmより小さくなり、熱線反射能がより向上する。
アスペクト比は、平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)を平板状金属粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。
例えば、平板状金属粒子が円形状である場合、アスペクト比は、図5に示す直径Dを厚みaで除算した値である。
また、平板状金属粒子が六角形状である場合、アスペクト比は、図6に示す円相当径Dを厚みaで除算した値である。
粒子厚みは、平板状金属粒子の主平面間距離に相当し、原子間力顕微鏡(AFM)や透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板ガラスに平板状金属粒子を含有する平板状金属粒子分散液を滴下し、乾燥させて、平板状金属粒子1個の厚みを測定する方法が挙げられる。
TEMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン基板上に平板状金属粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、集束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作成し、断面をTEMによる観察することにより、粒子の厚み測定を行う方法が挙げられる。
遮熱材料を上から見た時の基材の面積A(金属含有層に対して垂直方向から見たときの金属含有層の全投影面積A)に対する平板状金属粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。面積率が、15%以上であると、熱線の最大反射率が増加し、より高い遮熱効果が得られる。
ここで、上記の面積率は、例えば遮熱材料を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
金属含有層における平板状金属粒子の配列は均一であることが好ましい。ここでいう配列の均一とは、各粒子に対する最近接粒子までの距離(最近接粒子間距離)を粒子の中心間距離で数値化した際、各々の粒子の最近接粒子間距離の変動係数(=標準偏差÷平均値)が小さいことを差す。最近接粒子間距離の変動係数は小さいほど好ましく、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、理想的には0%である。最近接粒子間距離の変動係数が大きい場合には、金属含有層内で平板状金属粒子の粗密や粒子間の凝集が生じ、ヘイズが悪化する傾向があるため好ましくない。最近接粒子間距離は金属含有層塗布面をSEMなどで観察することにより測定が可能である。
平板状金属粒子の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を合成し得るものとして挙げられる。中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形〜三角形状の平板状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウムの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形〜三角形状の平板状金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を得てもよい。
金属含有層はバインダーを含んでもよい。
バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。遮熱材料は、金属含有層のバインダーとしてポリマーを含むことが好ましく、透明ポリマーを含むことがより好ましい。ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。
中でも、ポリマーの主成分がポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂の少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂であることが六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上を金属含有層の表面からd/2の範囲に存在させやすい観点からより好ましく、ウレタン樹脂であることが遮熱材料のこすり耐性をより改善する観点から特に好ましい。
ポリエステル樹脂の中でも、飽和ポリエステル樹脂であることが二重結合を含まないために優れた耐候性を付与できる観点からより特に好ましい。また、分子末端に水酸基又はカルボキシ基を持つことが、水溶性又は水分散性の硬化剤等で硬化させることで高い硬度、耐久性及び耐熱性を得られる観点からより好ましい。
ポリマーとしては、商業的に入手できるものを好ましく用いることもでき、例えば、互応化学工業(株)製の水溶性ポリエステル樹脂であるプラスコートZ−867、DIC(株)製のハイドランHW350を挙げることができる。
また、本明細書中、ポリマーの主成分とは、バインダーに含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことをいう。
金属含有層に含まれ得る金属粒子に対するポリエステル樹脂及びウレタン樹脂の含有量が1質量%〜10000質量%であることが好ましく、10質量%〜1000質量%であることがより好ましく、20質量%〜500質量%であることが特に好ましい。金属含有層に含まれるバインダーを上記範囲以上とすることで、こすり耐性等の物理特性をより改善することができる。
バインダーの屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
遮熱材料は、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の厚みをaとしたとき、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、厚み方向のa/10以上をポリマーに覆われていることが好ましく、厚み方向のa/10〜10aをポリマーに覆われていることがより好ましく、a/8〜4aをポリマーに覆われていることが特に好ましい。このように六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が金属含有層に一定割合以上埋没していることにより、よりこすり耐性を高めることができる。
金属含有層はその他の添加剤として、架橋剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤を含んでもよい。
架橋剤としては特に制限はなく、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などが挙げられる。中でカルボジイミド系架橋剤及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、例えば、カルボジライト(登録商標)V−02−L2(日清紡ケミカル(株)製)などが挙げられる。金属含有層中の全バインダーに対して1質量%〜20質量%の架橋剤由来の成分を含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜20質量%である。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤等の公知の界面活性剤を用いることができる界面活性剤の具体例としては、例えば、ラピゾール(登録商標)A−90(日油(株)製)、ナロアクティー(登録商標)CL−95(三洋化成工業(株)製)、リパール870P(ライオン(株)製)が挙げられる。金属含有層は、金属含有層中の全バインダーの含有量に対して0.05質量%〜10質量%の界面活性剤を含有することが好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。
分散剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類等の窒素元素、硫黄元素、及びリン元素の少なくともいずれかを含む低分子量分散剤、高分子量分散剤などの分散剤が挙げられる。
遮熱材料における金属含有層は、上記金属粒子以外の形態で金属元素を含んでもよい。例えば、金属含有層自体が金属膜、金属酸化物膜である態様でもよい。
金属膜としては、銀、金、アルミニウム、銅、パラジウム、白金、錫、インジウム、亜鉛、チタン、カドミウム、鉄、コバルト、クロム、ニッケルなどの金属又は合金等でなる膜が挙げられる。
金属酸化物膜としては、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウムの膜が挙げられる。
金属含有層の厚みは、5nm〜120nmであることが好ましく、7nm〜80nmであることがより好ましく、10nm〜40nmであることが特に好ましい。
金属含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体の表面上に、金属含有層形成用分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜(Langmuir−Blodgett膜)法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
なお、面配向を促進するために、金属含有層形成用分散液を塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
金属含有層が金属膜及び金属酸化物膜の場合は、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜することができる。
金属粒子の調製や再分散においては、反応液や粗分散液を激しく撹拌することがある。対象となる液の性質に依存するが、表面張力を低下させる物質の存在により泡が安定化されるので、金属粒子分散液が界面活性剤や分散剤などの含有することにより発泡が促進される。そのため、消泡剤を含有することが好ましい。
水系に用いる場合、親油性が高く液体表面に広がりやすいもの、すなわちHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値の低いものが好ましく用いられる。水系に用いる場合、HLB値で7以下のものが好ましく、5以下のものが更に好ましく、3以下のものが最も好ましい。
消泡剤としては、市販のものを用いることもでき、例えば、Pluronic31R1(BASF社製)などを好ましく用いることができる。
防腐剤としては、例えば、特開2014−184688号公報の段落〔0073〕〜〔0090〕に記載の防腐剤を用いることができる。
遮熱材料は、支持体を有する。
支持体としては特に制限は無く公知の支持体を用いることができる。
支持体としては、光学的に透明な支持体であることが好ましく、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のもの、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
可視光線透過率は、紫外可視近赤外分光機(日本分光社製、V−670、積分球ユニットISN−723使用)を用いて測定することができる。
遮熱材料は、前述の支持体の金属含有層を有する側と反対側に、無機粒子を含む保護層(以下、ハードコート層ともいう)を有していてもよい。
遮熱材料をロールで生産する場合、遮熱材料が保護層を有することで、有機粒子含有層との滑り性を適切な範囲に調節しやすく、ロール巻き付けの際のシワやロールの荷崩れが発生しにくくなる。
また、遮熱材料が保護層を有することで、材料の耐傷性が向上し、材料が傷つくことにより透明性が低下することを抑制することができる。
保護層は無機粒子の少なくとも1種を含む。
無機粒子としては、例えば、金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの粒子を用いることが好ましく、特に、後述のバインダーとの架橋の観点からシリカ粒子を用いることが好ましい。
シリカ粒子は特に限定されないが、具体的には、シーホスターKE−P10などのシーホスターシリーズ((株)日本触媒製)やスノーテックス(登録商標)OZL−35などのスノーテックス(登録商標)シリーズ(日産化学工業(株)製)などが挙げられる。
無機粒子の平均粒子径が60nm以上であることで、保護層のアンチブロッキング性が得やすく、一方、無機粒子の平均粒子径が350nm以下であることで大きいと膜内や膜表面で光が散乱を抑制できるため、層の透明性がより高くなる。
無機粒子の平均粒子径は、上述の有機粒子の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
なお、無機粒子は2種以上を併用してもよく、その場合は使用した全種類の合計量が上記範囲内となる。
保護層は、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーは、無機バインダーでもよく、有機バインダーでもよい。バインダーは保護層の耐傷性の観点から無機バインダーが好ましい。
無機バインダーとしては、例えば、エポキシ基含有アルコキシシランと、エポキシ基非含有アルコキシシランと、金属錯体と、を含んで硬化されたバインダーが挙げられる。
エポキシ基含有アルコキシシランとエポキシ基非含有アルコキシシランは、各々、加水分解性基を有することが好ましい。加水分解性基が酸性の水溶液中で加水分解されることによりシラノールが生成され、シラノール同士が縮合することによって、オリゴマーが生成される。
RSi(OR1)3 ・・・(1)
ここで、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表し、R1はメチル基、エチル基等の炭素数4以下のアルキル基を表す。
保護層は、硬化剤として金属錯体を含むことが好ましい。金属錯体としては、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、チタン、銅、コバルト、亜鉛、ハフニウム及びジルコニウムから選択される金属元素を含む金属錯体が好ましく、これらを併用することもできる。
保護層は金属錯体を上記下限値以上含むことにより、シラノールの脱水縮合の反応速度を適切な速度とすることができ、厚みが均一でアルカリ耐性の高い保護層とすることができる。
保護層は、表面の滑り性を向上させて層表面の摩擦を軽減する目的で界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
pH調整剤としてはpHを変更させるものであれば特に制限がなく、具体的には、酸(有機酸、無機酸)としては、例えば硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸など、アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。pH調整剤は、直接添加しても、水溶液などの溶液として添加してもよい。pH調整剤は、pHが所望の範囲を満たす限り、使用する量は特に限定されない。
水性組成物のpHが2〜6となるように調整されることが好ましい。pH調整剤としては硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
保護層は、水性組成物を調製し、前述の支持体の表面に塗布することにより形成してもよい。保護層形成用の水性組成物の調製手順は特に限定されないが、エポキシ基含有アルコキシシラン、エポキシ非含有アルコキシシランの順に加水分解し、その加水分解液に無機粒子、アルミキレート錯体の順に添加する方法が溶解性及び保存安定性の観点から好ましい。
塗布後、塗布液を乾燥させる工程が設けられることが好ましい。乾燥工程では、加熱乾燥を行うことが好ましい。加熱乾燥では、塗布膜の温度が160℃以上となるように加熱することが好ましく、170℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがより好ましい。また、塗布膜の温度は、220℃以下であることが好ましく、210℃以下であることがより好ましい。加熱乾燥温度を上記範囲内とすることにより、塗布膜を十分に硬化することができ、かつ、保護層が変形することを防ぐことができる。なお、加熱時間は10秒〜5分であることが好ましい。
保護層表面における算術平均表面粗さRaはAFM(原子間力顕微鏡)等を用いて測定することができる。
本発明の遮熱材料は、前述の支持体と前述の金属含有層と前述の有機粒子含有層を有するものであれば、形態は特に制限されない。遮熱材料は、透明性及び生産性の観点から、フィルムである態様が好ましい。すなわち、本発明の遮熱材料は、遮熱フィルムであることが好ましい。
本発明の遮熱材料の層構成としては、図1に一例を示すように、支持体3と、金属含有層2と、有機粒子含有層1と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
また、他の一例としては、図2に示すように、保護層4と、支持体3と、金属含有層2と、有機粒子含有層1と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
遮熱材料は、前述の支持体上に、前述の金属含有層を形成し、金属含有層の上に前述の有機粒子含有層を形成することで製造することができる。各層の形成方法は既述の通りである。
また、遮熱材料は、支持体の金属含有層を有する側と反対側に、前述の保護層を形成することで製造してもよい。保護層の形成方法は既述の通りである。
本発明の断熱材料は、前述の遮熱材料と、遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された繊維状導電粒子を含む断熱層と、を有する。
断熱材料が、繊維状導電粒子を含む断熱層を有することで、前述の遮熱効果に加え、断熱の効果を発現することができる。
断熱層は、繊維状導電粒子の少なくとも1種を含有する。
断熱層は、例えば、遠赤外線を反射させるには空隙サイズが小さいことが好ましく、例えば断熱層の断面写真において、80%以上の空隙の、空隙サイズが25μm2以下の空隙面積であることがより好ましい。
繊維状導電粒子は、繊維状の導電性を有する粒子である。
ここで、「繊維状」には、ワイヤ状もしくは線状、又は棒状の形状の粒子が含まれる。また、「導電性を有する粒子」とは、繊維状粒子を錠剤成型機で成形することや繊維状粒子を液体に分散後乾固することにより厚さ0.01mm以上のペレットを作製した場合の、ペレットの一端面と他端面との間の抵抗値が10Ω以下になる粒子のことを指す。抵抗値は、2点式のテスター(MR−4060、MONOTARO製)にて測定される値である。
繊維状導電粒子としては、例えば、金属ナノワイヤ及び棒状金属粒子等の繊維状金属粒子、カーボンナノチューブ、繊維状導電性樹脂を挙げることができる。繊維状導電粒子としては、金属ナノワイヤが好ましい。以下、金属ナノワイヤを繊維状導電粒子の代表例として説明することがあるが、金属ナノワイヤに関する説明は繊維状導電粒子の一般的な説明として用いることができる。
「金属ナノワイヤ」とはとは、導電性を有し、かつ、長軸長が直径(短軸長)に比べて長く、短軸長(すなわち長手方向と直交する断面の長さ)がナノオーダーサイズの形状を持つ金属粒子をいう。中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
製造時の扱い易さから、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、特に25nm以下であることがヘイズに関して一段と優れるものが得られるので好ましい。平均短軸長を1nm以上とすることにより、耐酸化性が良好で、耐候性に優れる断熱層が容易に得られる。平均短軸長は5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長は、ヘイズ値、耐酸化性、及び耐候性の観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜60nmであることがより好ましく、10nm〜60nmであることが更に好ましく、15nm〜50nmであることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。
具体的には、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤについて、各々短軸長と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長と平均長軸長を求めることができる。
なお、金属ナノワイヤの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とする。また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とする。
短軸長(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の割合が、50質量%以上であることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制し得るため好ましい。繊維状導電粒子以外の導電性粒子が断熱層に実質的に含まれない構成では、プラズモン吸収が強い場合にも透明度の低下を避け得る。
変動係数が40%以下であると、波長5μm〜50μmの遠赤外線を反射しやすい金属ナノワイヤの比率が増えて、透明性と断熱性の観点で好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより、求めることができる。
アスペクト比が10以上であると、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い断熱性を有する断熱層が容易に得られる。また、アスペクト比が100,000以下であると、例えば支持体上に断熱層を塗布により設ける際の塗布液において、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士が絡まって凝集物を形成することが抑制され、安定な塗布液が得られるので、断熱層の製造が容易となる。
断熱層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対するアスペクト比が10以上の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量は特に制限されない。例えば、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の断面形状は、支持体上に金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
金属としては、周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、これらの金属を主成分として含むことが特に好ましい。
このとき、断熱層に対する繊維状導電粒子の量を少なくすることが、断熱層の抵抗率を制御する観点から好ましい。繊維状導電粒子の量を上述の範囲とする場合、断熱層の単位面積当たりの質量(層形成時の塗布液の全固形分の塗布量)は、好ましくは0.110g/m2〜1.000g/m2の範囲であり、より好ましくは0.150g/m2〜0.600g/m2の範囲であり、0.200g/m2〜0.500g/m2であることが特に好ましい。
断熱層に対する繊維状導電粒子の量は、1質量%〜35質量%であることが好ましく、3質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜25質量%であることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、特に制限はなく、いかなる方法で作製されたものであってもよい。以下のように、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、断熱層の経時安定性の観点から好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、金属粒子の表面プラズモン吸収による着色が抑えられ、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい繊維状導電粒子を得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として用いるポリマーはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤの形状を変化させることができる。
ハロゲン化合物は、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
分散剤の機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド(HTAB)、アミノ基と塩化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド(HTAC)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
金属ナノワイヤの製造方法においては、金属ナノワイヤ形成後に脱塩処理を行うことが好ましい。金属ナノワイヤ形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の水性分散物の25℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
電気伝導度及び粘度は、水性分散物における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の濃度を0.45質量%として測定される。水性分散物における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の濃度が上記濃度より高い場合には、水性分散物を蒸留水にて希釈して測定する。
本発明は、下記条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たす断熱層とすることで、断熱性と透明性とを高く維持しうるとともに、ゾルゲル硬化物に起因して、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が安定に固定化されるとともに、高い強度と耐久性とを実現し得ることが好ましい。例えば、断熱層の厚みを0.005μm〜0.5μmという薄層としても、実用上問題のない耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性を有する断熱層を得ることができる。このため、断熱材料は種々の用途に好適に使用される。薄層を必要とする態様では、厚みは、0.005μm〜0.5μmとしてもよく、0.007μm〜0.3μmがさらに好ましく、0.008μm〜0.2μmがより好まく、0.01μm〜0.1μmが最も好ましい。このように断熱層をより薄層とすることで、断熱層の透明性がさらに向上し得る。
断熱層は、マトリックスを含んでもよい。ここで「マトリックス」は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を分散させた状態で固定化し、かつ、層を形成する樹脂成分の総称である。マトリックスを含むことにより、断熱層における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の分散が安定に維持される上、支持体表面に断熱層を、直接形成した場合においても支持体と断熱層との強固な接着が確保される傾向がある。
マトリックスとしては、例えば、ゾルゲル硬化物、非感光性樹脂が挙げられる。
断熱層は、マトリックスとしての機能も有するゾルゲル硬化物を含むことが好ましく、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含むことがより好ましい。
断熱層は、金属元素(a)を含みかつ平均短軸長が150nm以下である金属ナノワイヤ、並びに、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を少なくとも含むことがより好ましい。
(i)断熱層に含まれる元素(b)の物質量と、断熱層に含まれる金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある。
(ii)断熱層においてゾルゲル硬化物の形成に使用されるアルコキシド化合物の質量と、断熱層に含まれる金属ナノワイヤの質量の比〔(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量)〕が0.25/1〜30/1の範囲にある。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜25/1の範囲、更に好ましくは1/1〜20/1、最も好ましくは2/1〜15/1の範囲である。質量比を好ましい範囲とすることで、得られた断熱層は、高い断熱性と高い透明性(可視光透過率及びヘイズ)と、を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れることになり、好適な物性を有する断熱材料を安定的に得ることができる。
モル比が上記範囲にあると、断熱層は、断熱性と透明性とが両立し、且つ、物性の観点からは、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性に優れ、且つ、耐屈曲性にも優れたものとなり得る。
断熱層の形成時に用いられ得るアルコキシド化合物は、加水分解及び重縮合により消尽され、断熱層中にはアルコキシド化合物は実質的に存在しないが、得られた断熱層には、アルコキシド化合物由来のケイ素等である元素(b)が含まれる。含有するケイ素等の元素(b)と金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)との物質量比を上記範囲に調整することで、優れた特性を有する断熱層が形成される。
即ち、断熱層をX線光電子分析(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis(ESCA)に付することで、物質量比、すなわち、(元素(b)成分モル数)/(金属元素(a)成分モル数)の値を算出しうる。しかし、ESCAによる分析方法では元素によって測定感度が異なるために、得られた値は必ずしも直ちに元素成分のモル比を示すものではない。このため、予め元素成分のモル比が既知の断熱層を用いて検量線を作成し、その検量線から実際の断熱層の物質量比を計算することが可能となる。本明細書における、各元素のモル比は、上記方法に算出した値を用いている。
非感光性樹脂には、ポリマーが含まれる。ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、及びポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、及びポリカーボネート)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、及びポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーン及びその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、及びフッ化炭素系重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、又はポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製のLUMIFLON(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子株式会社製のCYTOP(登録商標)又はデュポン社製のTeflon(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
断熱層は、必要に応じて架橋剤、分散剤、溶媒、金属酸化防止剤、他の導電性材料などの添加剤を含んでもよい。
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成させ得る化合物で、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物若しくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
断熱層中における架橋剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の固形分の全質量を100質量部としたとき、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
分散剤は、断熱層形成用組成物中における前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、金属ナノワイヤを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に金属ナノワイヤに吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYK(登録商標)シリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパース(登録商標)シリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパー(登録商標)シリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
断熱層中における分散剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
バインダーに対する分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
溶媒は、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子及びアルコキシド化合物を含む組成物を支持体の表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の金属ナノワイヤの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
断熱層は金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の金属腐食防止剤を含有することが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類が好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、断熱層の経時による断熱性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は断熱層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加することで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合、断熱層中におけるその含有量は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
断熱層には、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子に加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうる。効果の観点からは、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子(好ましくは、アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤ)の含有比率は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を含む導電性材料の総量に対して体積基準で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有比率を50%とすることにより、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する断熱層を容易に得ることができる。
また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子以外の形状の導電性粒子は、断熱層における導電性に大きく寄与しない上に可視光領域に吸収を持つ場合がある。特に導電性粒子が金属であって、球形などのプラズモン吸収が強い形状ではないことが、断熱層の透明度が悪化しないようにする観点から好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
断熱層の形成方法は、特に制限はない。断熱層の形成時において、繊維状導電粒子の量を、全固形分量に比較して少なくして層を形成する方法が好ましい。その他の好ましい実施態様において、断熱層を支持体上に形成する方法としては、前述の平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤと前述のアルコキシド化合物とを、その質量比(すなわち、(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量))が0.25/1〜30/1の範囲となるように、或いはアルコキシド化合物に由来する元素(b)と金属ナノワイヤに由来する金属元素(a)との含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲となるように、含む液状組成物(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)を、支持体上に塗布して塗膜を形成すること、及び、この液膜中でアルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせることにより断熱層を形成することが好ましい。この方法は、更に必要に応じて、断熱層形成用組成物中に溶媒として含まれ得る水を加熱により蒸発させること(乾燥)を含んでもよく含まなくてもよい。
ある実施態様では、ゾルゲル塗布液は、金属ナノワイヤの水分散液を調製し、これとアルコキシド化合物とを混合して調製されてもよい。ある実施態様では、アルコキシド化合物を含む水溶液を調製し、この水溶液を加熱してアルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解及び重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある水溶液と金属ナノワイヤの水分散液とを混合してゾルゲル塗布液を調製してもよい。
ゾルゲル反応を促進させるために、酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが反応効率を高められるので、実用上好ましい。
上記の断熱層形成用組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより支持体上に、より均一な液膜を形成することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
断熱層形成用組成物が有機溶剤を含む場合、組成物の全質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
本発明の断熱材料は、前述の遮熱材料と、遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された前述の断熱層と、を有するものであれば、形態は特に制限されない。断熱材料は、透明性及び生産性の観点から、フィルムである態様が好ましい。すなわち、本発明の断熱材料は、断熱フィルムであることが好ましい。
本発明の断熱材料の層構成としては、図3に一例を示すように、断熱層5と、支持体3と、金属含有層2と、有機粒子含有層1と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
断熱材料は、前述の遮熱材料における支持体の金属含有層を有する側と反対側に、前述の断熱層を形成することで製造することができる。断熱層の形成方法は既述の通りである。
また、断熱材料における断熱層は、前述の遮熱材料の支持体の面上に形成されてもよく、遮熱材料が保護層を有する場合、保護層の面上に形成されてもよい。
本発明の窓ガラスは、前述の遮熱材料又は前述の断熱材料と、粘着剤層と、ガラス基材と、をこの順に有する。
窓ガラスにおける遮熱材料又は断熱材料は、有機粒子含有層を有する側を粘着剤層に対向させて配置されていることが好ましい。
窓ガラスのガラス基材は、厚み0.5mm以上であることが好ましく、厚み1mm以上であることがより好ましく、ガラス基材の厚みに起因する熱伝導を抑制して温暖性を高める観点からは厚み2mm以上のガラス基材であることが特に好ましい。
ガラス基材は一般的には、板状のものが使用される。
ガラス基材としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスが挙げられる。
なお、ガラス基材は、表面が平滑であることが好ましく、フロートガラスであることが特に好ましい。
窓ガラスは、粘着剤層を有する。窓ガラスにおける粘着剤層は、前述の遮熱材料又は前述の断熱材料の有機粒子含有層と接して配置されることが好ましい。
粘着剤層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。中でも屈折率の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、粘着剤層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
粘着剤層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
窓ガラスが断熱層を有する場合、断熱層は、その層の厚みにも依るが断熱層と室内側の最外面の距離が5μm以下にあることが断熱性を高める観点から好ましく、0.1μm以上5μm以下にあることがより好ましく、2μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。
また、室内側の最外層又は最外層の次の層にあることが断熱性を高める観点から好ましく、室内側の最外層にあることがより好ましい。
水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は低く、ガラス基材表面では本発明の遮熱材料又は断熱材料の位置の調整が可能である。ガラス基材に対する遮熱材料又は断熱材料の貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いてガラス基材と遮熱材料又は断熱材料の間に残る水分をガラス中央から端部に向けて掃き出すことにより、ガラス基材表面に遮熱材料又は断熱材料を固定できる。このようにして、窓ガラスに遮熱材料又は断熱材料を設置することが可能である。
本発明の窓ガラスの構成としては、図4に一例を示すように、ガラス基材7と、粘着剤層6と、有機粒子含有層1と、金属含有層2と、支持体3と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
−銀平板粒子分散液Aの調製−
高Cr−Ni−Moステンレス鋼(NTKR−4、日本金属工業(株)製)製の反応容器にイオン交換水13L(リットル)を計量し、ステンレス鋼(SUS316L)製のシャフトにNTKR−4製のプロペラ4枚及びNTKR−4製のパドル4枚を取り付けたアジターを備えるチャンバーを用いてイオン交換水を100rpmで撹拌しながら、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lを添加して35℃に保温した。この溶液に8.0g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液0.68Lを添加し、更に0.04Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて23g/Lに調製した水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.041Lを添加した。更に0.10g/Lの硝酸銀水溶液13Lを5.0L/minで添加した。
その後、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lとイオン交換水11Lを添加して、更に80g/Lのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液0.68Lを添加した。撹拌の速度を800rpmに上げて、0.10g/Lの硝酸銀水溶液8.1Lを0.95L/minで添加した後、30℃に降温した。
44g/Lのメチルヒドロキノン水溶液8.0Lを添加し、次いで、後述する40℃のゼラチン水溶液を全量添加した。撹拌の速度を1200rpmに上げて、後述する亜硫酸銀白色沈殿物混合液を全量添加して調製液を得た。
調製液のpH変化が止まった段階で、1N(1mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液5.0Lを0.33L/minで添加した。その後、2.0g/Lの1−(m−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム水溶液(NaOHとクエン酸(無水物)とを用いてpH=7.0±1.0に調節して溶解した)0.18Lを添加し、更に70g/Lの1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(NaOHで水溶液をアルカリ性に調節して溶解した)0.078Lを添加した。このようにして銀平板粒子分散液Aを調製した。
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水16.7Lを計量した。SUS316L製のアジターで低速撹拌を行いながら、脱イオン処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量20万)1.4kgを添加した。更に、脱イオン処理、蛋白質分解酵素処理、及び過酸化水素による酸化処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量2.1万)0.91kgを添加した。その後40℃に昇温し、ゼラチンの膨潤と溶解を同時に行って完全に溶解させた。
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水8.2Lを計量し、100g/Lの硝酸銀水溶液8.2Lを添加した。SUS316L製のアジターで高速撹拌を行いながら、140g/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液2.7Lを短時間で添加して、亜硫酸銀の白色沈澱物を含む混合液を調製した。この混合液は、使用する直前に調製した。
銀平板粒子分散液Aの物理特性は、25℃においてpH=9.4(アズワン(株)製KR5Eで測定)、電気伝導度8.1mS/cm(東亜ディーケーケー(株)製CM−25Rで測定)、粘度2.1mPa・s((株)エー・アンド・デイ製SV−10で測定)であった。得られた銀平板粒子分散液は、ユニオンコンテナーII型(低密度ポリエチレン製、販売元:アズワン(株))の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。
前述の銀平板粒子分散液Aを遠沈管に800g採取して、1N(1mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)及び/又は1N(1mol/L)の硫酸を用いて25℃でpH=9.2±0.2に調整した。遠心分離機(日立工機(株)製himacCR22GIII、アングルローターR9A)を用いて、35℃に設定して9000rpm60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を784g捨てた。沈殿した銀平板粒子に0.2mM(0.2mg/mol)のNaOH水溶液を加えて合計400gとし、撹拌棒を用いて手撹拌して粗分散液にした。これと同様の操作で24本分の粗分散液を調製して合計9600gとし、SUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、Pluronic31R1(BASF社製)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)を10mL添加した。プライミクス(株)製オートミクサー20型(撹拌部はホモミクサーMARKII)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の液温は50℃に保った。分散後、25℃に降温してから、プロファイルIIフィルター(日本ポール(株)製、製品型式MCY1001Y030H13)を用いてシングルパスの濾過を行った。
銀平板粒子分散液Bの分光透過率を、銀平板粒子分散液Aと同様の方法で測定したところ、吸収ピーク波長及び半値幅は銀平板粒子分散液Aとほぼ同じ結果であった。
分散液Bの物理特性は、25℃においてpH=7.6、電気伝導度0.37mS/cm、粘度1.1mPa・sであった。得られた銀平板粒子分散液Aは、ユニオンコンテナーII型の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。なお、pH、電気伝導度、及び粘度は、上記の銀平板状粒子分散液Aと同様の方法で測定した。
銀平板粒子分散液Aの中には、六角形状乃至円形状及び三角形状の平板粒子が生成していることを確認した。
銀平板粒子分散液Aの透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られた像を、画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施した。数視野のTEM像から任意に抽出した200個の粒子に関して画像解析を行い、同面積円相当直径を算出した。これらの母集団に基づき統計処理した結果、平均直径は120nmであった。
レーザー回折・散乱式の粒子径・粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300II(日機装(株)製、粒子透過性は反射に設定)を用いて銀平板粒子分散液Aを測定して、メジアン径D50=48nm、D10=33nm、D90=70nm、及び平均粒径(体積加重)51nmの結果を得た。また、平板状の金属粒子を測定したところ97個数%であった。
銀平板粒子分散液Bを同様に測定したところ、粒度分布の形状も含め銀平板粒子分散液Aとほぼ同じ結果を得た。
下記に示す組成となるように金属含有層用塗布液を調製した。
−銀平板粒子含有遮熱層塗布液−
水性ウレタン樹脂・・・0.27部
(ハイドランHW350、DIC(株)製、固形分30質量%)
銀平板粒子分散液B・・・16.24部
1−(メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール・・・0.61部
(和光純薬工業(株)製、固形分2質量%のアルカリ性水溶液を調製)
界面活性剤・・・0.96部
(リパール870P、ライオン(株)製、固形分1質量%、アニオン系界面活性剤)
界面活性剤・・・1.19部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1.0質量%、ノニオン系界面活性剤)
メタノール・・・30.00部
蒸留水・・・50.73部
下記に示す組成となるように有機粒子含有層用塗布液1を調製した。
−有機粒子含有層用塗布液1の組成−
水・・・52.7部
架橋剤・・・6.0部
(カルボジライト(登録商標)V−02−L2、日清紡ケミカル(株)製、固形分20質量%)
アクリルバインダー・・・1.7部
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分27.5質量%)
界面活性剤・・・8.2部
(ラピゾール(登録商標)A−90、日油(株)製、固形分1.0質量%、アニオン系界面活性剤)
界面活性剤・・・11.4部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1.0質量%、ノニオン系界面活性剤)
ウレタンバインダー・・・18.6部
(タケラック(登録商標)WS5100、三井化学(株)製、固形分30質量%)
有機粒子・・・1.3部
(MP−300、平均粒子径0.1μm、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子)
有機粒子の平均粒子径は、有機粒子100個の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)撮影を行い、その粒子径を測定し算術平均値を求めることによって得た。粒子径は、円形である場合にはその直径で表し、円形以外の不定形であれば、その投影面積を円相当に換算し、そのときの直径を、画像処理測定装置(ルーゼックス AP;株式会社ニレコ製)を用いて測定した。
有機粒子のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計「X−DSC7000」(SII・ナノテクノロジー社製)を用いて下記の条件にて測定した。測定は、同一の試料について2回実施し、2回目の測定結果を採用した。
条件
・測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
・昇温速度:5℃/min
・測定開始温度:−100℃
・測定終了温度:200℃
・試料パン:アルミニウム製パン
・測定試料の質量:5mg
・Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定した。
下記に示す組成となるように保護層(ハードコート層)用塗布液を調製した。
−ハードコート層用塗布液の組成−
エポキシ基含有アルコキシシラン・・・8.8部
(KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製)
エポキシ基非含有アルコキシシラン・・・2.7部
(KBE−04(テトラエトキシシラン)、信越化学工業(株)製)
酢酸水溶液・・・18.3部
((株)ダイセル製、工業用酢酸の1質量%水溶液)
金属錯体・・・2.6部
(アルミキレートD、川研ファインケミカル製、76質量%イソプロピルアルコール(IPA)溶液)
無機粒子・・・23.4部
(スノーテックス(登録商標)OYL、平均粒子径100nm、日産化学工業(株)製、固形分35質量%)
界面活性剤・・・3.3部
(ラピゾール(登録商標)A−90、日油(株)製、固形分1質量%、アニオン系界面活性剤)
界面活性剤・・・2.3部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1質量%、ノニオン系界面活性剤)
水・・・38.6部
酢酸水溶液(1質量%酢酸)にエポキシ基含有アルコキシシラン(KBE−403)を添加して十分に加水分解した後、エポキシ基非含有アルコキシシラン(KBE−04)を添加して混合液を得た。このとき添加したアルコキシシラン全量(KBE−403とKBE−04の合計量)に対するKBE−403の割合は76.5質量%とした。次いで、上記の混合液に金属錯体(アルミキレートD)を、エポキシ基含有アルコキシシランに対して必要な質量部添加し、さらに無機粒子(スノーテックス(登録商標)OYL)、界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A−90)、及び界面活性剤(ナロアクティー(登録商標)CL−95)、及び水を添加してハードコート層用塗布液とした。
<遮熱フィルムの作製>
支持体となるロール形態のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製コスモシャイン(登録商標)A4300、幅:1320mm、厚み:75μm、両面易接着層処理、屈折率1.66)を15m/分の速度で搬送し、金属含有層用塗布液をワイヤーバーにより10.6ml/m2となるように塗布し、140℃で乾燥処理を施して、銀平板粒子を含む金属含有層を設けた。塗布乾燥後の厚みは10nmであった。
金属含有層の塗布乾燥に続けて、金属含有層上に有機粒子含有層用塗布液1をワイヤーバーの6番を用いて10.35ml/m2となるように塗布し、135℃で2分間、乾燥処理を施して有機粒子含有層を設けた。塗布乾燥後の厚みは0.6μmであった。
支持体の金属含有層を有する側とは反対側の面に、コロナ処理を施し、上記で調製したハードコートフィルム用水溶液を乾燥後の層の厚みが1.0μmになるようにワイヤーバーの7番を用いて塗布し150℃にて2分間乾燥させ、ハードコート層を形成した。
保護層の塗布後、23±2℃、相対湿度55±5%の温湿度条件下で塗布済支持体を巻き取り、ロール形態の遮熱フィルムを得た。巻取長は2200mであった。
なお、各層の厚みは、遮熱フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより算出する方法、FIB−TEM法で断面切削加工及び観察を行って算出する方法を適宜使用した。10点測定の平均値を対象層の厚みとした。
実施例1において用いた有機粒子含有層用塗布液1を下記表1又は表2に示す組成になるように調製した塗布液に変更した以外は実施例1と同様にして各実施例及び各比較例の遮熱フィルムを作製した。
MP−300:平均粒子径0.1μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MP−1451:平均粒子径0.15μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MP−2200:平均粒子径0.35μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MP−1000:平均粒子径0.4μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−80H3wT:平均粒子径0.8μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−150:平均粒子径1.5μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−180TA:平均粒子径1.8μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−300:平均粒子径3.0μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−500:平均粒子径5.0μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−1000:平均粒子径10μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−1500H:平均粒子径15μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
ケミパール(登録商標)W900:平均粒子径0.8μm、ガラス転移温度132℃、三井化学(株)製、ポリオレフィンラテックス粒子
SX−130H:平均粒子径1.3μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、スチレン粒子
MX−2000:平均粒子径20μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
シーホスターKE−W30:平均粒子径0.3μm、ガラス転移温度200℃以上、(株)日本触媒製、シリカ粒子
シーホスターKE−P100:平均粒子径1.0μm、ガラス転移温度200℃以上、(株)日本触媒製、シリカ粒子
シーホスターKE−P250:平均粒子径2.5μm、ガラス転移温度200℃以上、(株)日本触媒製、シリカ粒子
セロゾール524:中京油脂(株)製、ガラス転移温度82℃、有機ワックス
実施例1において用いた有機粒子含有層の塗布液を下記表3又は表4に示す組成になるように調製した塗布液に変更し、有機粒子含有層の厚み又は有機粒子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にして各実施例の遮熱フィルムを作製した。
実施例6の遮熱フィルムにおいて、ハードコート層上に断熱層を設けて、断熱フィルムを作製した。
予め、下記の添加液A、G及びHを調製した。
(添加液A)
硝酸銀粉末5.1gを純水500mLに溶解した。その後、1N(1mol/L)のアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
(添加液G)
グルコース粉末1gを280mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
(添加液H)
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末4gを220mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL、及び添加液G 206mLをロートにて添加した。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/分、攪拌回転数800rpmで添加した。その10分後、添加液Hを82.5mL添加した。その後、3℃/分で内温73℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、4時間加熱した。得られた水分散液を冷却した。
限外濾過モジュールSIP1013(商品名、旭化成株式会社製、分画分子量:6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続し、限外濾過装置とした。
上述の冷却後の水分散液を限外濾過装置のステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。限外濾過モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。前述の洗浄を電気伝導度(東亜ディーケーケー(株)製CM−25Rで測定)が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮を行い、0.84質量%銀ナノワイヤ水分散液を得た。得られた銀ナノワイヤ水分散液に含まれる銀ナノワイヤについて、以下に示す方法で、平均短軸長、平均長軸長、及び銀ナノワイヤの短軸長の変動係数を測定した。その結果、平均短軸長17.1nm、平均長軸長25.1μm、変動係数が17.9%の銀ナノワイヤを得たことがわかった。
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、商品名:JEM−2000FX)を用いて拡大観察される金属ナノワイヤから、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長を求めた。
上記透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの短軸長(直径)を測定し、その300個についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。標準偏差の値を平均値で割ることにより変動係数を求めた。
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認した。調製した溶液をゾルゲル溶液とした。
(アルコキシド化合物の溶液)
・テトラエトキシシラン・・・5.0部
(商品名:KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1質量%酢酸水溶液・・・10.0部
・蒸留水・・・4.0部
既述の方法で断熱層の平均厚みを測定したところ、0.20μmであった。
上記で得られた実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムに対して以下の評価を行った。評価結果については表5に示す。
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムに対して、粘着剤を貼り合わせて、遮熱フィルム、断熱フィルム又は比較フィルムに粘着剤層を形成した。粘着剤はパナック(株)製パナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μm、粘着剤層の一方に軽剥離セパレータを有し他方に重剥離セパレータを有する構成)を使用し、軽剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がして有機粒子含有層表面に貼り合わせた。
粘着剤貼り合わせ後の積層体を5cm×5cmのサイズにカットしヘイズ測定用サンプルとした。
ヘイズ測定用サンプルを、リアルパーフェクト(リンテック(株)製、施工液)の2.0質量%水希釈液に3時間浸漬した。
3時間経過後のヘイズ測定用サンプルのヘイズを日本電色工業(株)社製のNDH5000で測定した。測定の際、サンプルの粘着剤層を測定面とした。
5 : ヘイズ値が5%以下である。
4 : ヘイズ値が5%より大きく、7.5%以下である。
3 : ヘイズ値が7.5%より大きく、10%以下である。
2 : ヘイズ値が10%より大きく、12.5%以下である。
1 : ヘイズ値が12.5%より大きい。
75mm×25mmサイズにカットしたパナック(株)製のパナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μmの粘着フィルム)の軽剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がし、100mm×25mmサイズのガラスに貼り付けた。この際、粘着剤層の長辺の片端とガラスの長辺の片端とが揃うように貼り付けた。
その後、パナクリーンPD−S1の重剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がした。
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムをそれぞれ150mm×25mmサイズにカットした。
上記の各実施例及び比較例のフィルムの長辺の片端と、パナクリーンPD−S1及びガラスの長辺の端が揃っている側の端とが揃うように、フィルムの有機粒子含有層とパナクリーンPD−S1(粘着剤層)とを貼り合わせて密着性評価用サンプルとした。得られた密着性評価用サンプルは、フィルムと粘着剤層とガラスの長辺の片端が揃っており、75mm×25mmサイズの粘着剤層を介して、フィルムとガラスとが積層されている構成を有している。
得られた密着性評価用サンプルにおけるガラスの粘着剤層が積層されていない部分を引張試験機(テンシロン:A&D Company社製)のチャック(つかみ)で固定し、フィルムの粘着剤層が積層されていない部分を折り返すようにして、引張試験機のもう一方のチャックに固定した。
その後、上記の密着性評価用サンプルについて、100mm/minの速度で引張試験を行うことで剥離力を測定し、下記の評価基準に従いフィルムの有機粒子含有層と粘着剤層と密着性を評価した。
OK : 剥離力が4N/25mm以上である。
NG : 剥離力が4N/25mm未満である。
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムを、それぞれ130mm×100mmサイズ、並びに75mm×35mmサイズにカットした。
日東電工(株)製の両面粘着テープNo.532(厚み0.06mm、両面剥離ライナータイプ)を75mm×35mmにカットし、一方の剥離ライナーを剥がした。
上記75mm×35mmサイズにカットしたフィルムのハードコート層(実施例30の場合は断熱層)の表面に両面粘着テープを貼り合せた。
その後、両面粘着テープの他方の剥離ライナーを剥がし、新東科学(株)社製の静摩擦係数測定機TYPE:10の平面圧子に貼り付けた。
上記130mm×100mmサイズにカットしたフィルムの有機粒子含有層側の表面の短辺方向の両端に両面粘着テープをそれぞれ貼付け、静摩擦係数測定機の上昇板に貼り付けた。
静摩擦係数測定機の上昇板を上昇させ、各実施例のフィルムの有機粒子含有層の静摩擦係数を測定し、下記の基準に従い評価した。なお下記の評価基準において5は最も良好な結果である。
5:静摩擦係数が0.4以上、0.7以下である。
4:静摩擦係数が0.3以上0.4未満、又は0.7を超えて0.8以下である。
3:静摩擦係数が0.2以上0.3未満、又は0.8を超えて0.9以下である。
2:静摩擦係数が0.1以上0.2未満、又は0.9を超えて1.0以下である。
1:静摩擦係数が0.1未満、又は1.0を超える。
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、及び実施例30の断熱フィルムを用いて、以下の要領で、パナック(株)製のパナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μm、粘着剤層の一方に軽剥離セパレータを有し他方に重剥離セパレータを有する構成)を介して建築物の窓ガラス表面に貼合し、遮熱フィルム又は断熱フィルムが配置された窓ガラスを作製した。
窓ガラスに遮熱フィルム又は断熱フィルムを貼合する際、あらかじめ窓ガラス表面と遮熱フィルム又は断熱フィルムに貼り合わせられた粘着剤層表面に界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)0.1質量%の水溶液を噴霧してから、粘着剤層を介して窓ガラスに遮熱フィルム又は断熱フィルムを設置した。
水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は落ちるため、ガラス表面では遮熱フィルム又は断熱フィルムの位置の調整を行った。窓ガラスに対する遮熱フィルム又は断熱フィルムの貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて窓ガラスと遮熱フィルム又は断熱フィルムの間に残る水分をガラス中央から、端部に向けて掃き出し、窓ガラス表面に遮熱フィルム又は断熱フィルムを固定した。
このようにして、遮熱フィルム又は断熱フィルムを設置した窓ガラスを得た。
2・・・金属含有層
3・・・支持体
4・・・保護層
5・・・断熱層
6・・・粘着剤層
7・・・ガラス基材
10・・・遮熱材料
20・・・断熱材料
30・・・窓ガラス
a・・・金属粒子の(平均)厚み
D・・・金属粒子の(平均)粒子径又は(平均)円相当径
Claims (16)
- 支持体と、
金属元素を含む金属含有層と、
平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子を含む有機粒子含有層と、
をこの順に有し、
前記金属含有層は、平板状金属粒子を含む遮熱材料。 - 前記平板状金属粒子が、平板状銀粒子である請求項1に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子の平均粒子径が、0.35μm〜5.0μmである請求項1又は請求項2に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子含有層の厚みが、0.2μm〜1.5μmである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子含有層の厚みに対する前記有機粒子の平均粒子径の比が、1.15〜3.75である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して0.5質量%〜5.5質量%である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して1.5質量%〜3.5質量%である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子のガラス転移温度が、200℃以上である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子は、疎水性樹脂の粒子である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子が、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの粒子である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子が、ポリメタクリル酸メチルの粒子である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記支持体の金属含有層を有する側と反対側に、無機粒子を含む保護層を有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 前記有機粒子含有層は、有機粒子含有層の全固形分に対する有機ワックスの含有量が1質量%以下である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の遮熱材料。
- 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の遮熱材料と、前記遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された繊維状導電粒子を含む断熱層と、を有する断熱材料。
- 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の遮熱材料又は請求項14に記載の断熱材料と、粘着剤層と、ガラス基材と、をこの順に有する窓ガラス。
- 前記遮熱材料又は前記断熱材料は、前記有機粒子含有層を有する側を前記粘着剤層に対向させて配置されている請求項15に記載の窓ガラス。
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