JP6375272B2 - 遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラス - Google Patents

遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラス Download PDF

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Description

本発明は、遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラスに関する。
近年、二酸化炭素排出量削減のための省エネルギー施策の一つとして、自動車や建物などの窓に用いる遮熱材料が開発されている。遮熱材料には、吸収した熱線の再放射(吸収した熱線のエネルギーの約1/3の量が放射)がある熱線吸収型の材料と再放射がない熱線反射型の材料とがある。遮熱効率の観点から、遮熱材料は熱線反射型の材料であることが望ましい。
また、自動車や建物などの窓への適用を考えた場合、遮熱材料は材料自体の透明性が高く、遮熱効率が高いことが求められる。
上記のような遮熱材料は種々提案されている。
例えば、基材と、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層と、金属粒子含有層の少なくとも一方の表面に密接して配置されたオーバーコート層と、を有し、金属粒子が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有し、オーバーコート層が微粒子を含有する熱線遮蔽材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、基板と、基板上に配置された、少なくとも1種の金属粒子を含有する金属粒子含有層とを有する電磁波透過性積層体であって、金属粒子が、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を60個数%以上有する電磁波透過性積層体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2013−228694号公報 特開2015−51608号公報
ところで、自動車や建物などの窓に用いられる遮熱材料は粘着剤を介して窓に貼り付けて使用されることがある。遮熱材料を窓に貼り付ける方法としては、窓に施工液を塗布した後、遮熱材料を貼り付ける方法がある。この場合、施工液を用いて貼り付けた遮熱材料は、貼り付け後数日〜数週間経過した際に透明性が低下する(ヘイズが増加する)ことがあり、問題となる場合がある。
特許文献1に記載の熱線遮蔽材及び特許文献2に記載の電磁波透過性積層体は、施工液を用いて貼り付けることを想定しておらず、施工液に由来する材料ムの透明性の低下を抑制することは検討されていない。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、被着体への施工時に用いる施工液に由来する透明性の低下が抑制された遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラスを提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 支持体と、金属元素を含む金属含有層と、平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子を含む有機粒子含有層と、をこの順に有する遮熱材料。
<2> 金属含有層は、平板状金属粒子を含む<1>に記載の遮熱材料。
<3> 平板状金属粒子が、平板状銀粒子である<2>に記載の遮熱材料。
<4> 有機粒子の平均粒子径が、0.35μm〜5.0μmである<1>〜<3>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<5> 有機粒子含有層の厚みが、0.2μm〜1.5μmである<1>〜<4>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<6> 有機粒子含有層の厚みに対する有機粒子の平均粒子径の比が、1.15〜3.75である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<7> 有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して0.5質量%〜5.5質量%である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<8> 有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して1.5質量%〜3.5質量%である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<9> 有機粒子のガラス転移温度が、200℃以上である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<10> 有機粒子は、疎水性樹脂の粒子である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<11> 有機粒子が、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの粒子である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<12> 有機粒子が、ポリメタクリル酸メチルの粒子である<1>〜<11>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<13> 支持体の金属含有層を有する側と反対側に、無機粒子を含む保護層を有する<1>〜<12>のいずれか1つに記載の遮熱材料。
<14> 有機粒子含有層は、有機粒子含有層の全固形分に対する有機ワックスの含有量が1質量%以下である<1>〜<13>のいずれか1項に記載の遮熱材料。
<15> <1>〜<14>のいずれか1つに記載の遮熱材料と、遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された繊維状金属粒子を含む断熱層と、を有する断熱材料。
<16> <1>〜<14>のいずれか1つに記載の遮熱材料又は<15>に記載の断熱材料と、粘着剤層と、ガラス基材と、をこの順に有する窓ガラス。
<17> 遮熱材料又は断熱材料は、有機粒子含有層を有する側を粘着剤層に対向させて配置されている<16>に記載の窓ガラス。
本発明によれば、被着体への施工時に用いる施工液に由来する透明性の低下が抑制された遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラスが提供される。
本発明の遮熱材料の一例を示す概略図である。 本発明の遮熱材料の他の一例を示す概略図である。 本発明の断熱材料の一例を示す概略図である。 本発明の窓ガラスの一例を示す概略図である。 本発明の遮熱材料に好ましく用いられる平板状金属粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、円形状の平板状金属粒子を示す。 本発明の遮熱材料に好ましく用いられる平板状金属粒子の形状の一例を示した概略斜視図であって、六角形状の平板状金属粒子を示す。
以下、本発明の遮熱材料、断熱材料、及び窓ガラスについて詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。また、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味する。
本明細書において、「遮熱」とは、波長700nm〜1200nmの熱線を平均反射率で5%以上反射することを意味する。熱線の平均反射率は7%以上であることがより好ましく、8%以上であることが特に好ましく、10%以上であることがより特に好ましい。
熱線の平均反射率は、V−670(日本分光(株)製)により測定し、JIS A−5759に記載の方法により求めることができる。
また、「断熱」とは、波長5μm〜50μmの遠赤外線を平均反射率で5%以上反射することを意味する。遠赤外線の平均反射率は7%以上であることがより好ましく、8%以上であることが特に好ましく、10%以上であることがより特に好ましい。
遠赤外線の平均反射率は、V−670(日本分光(株)製)により測定し、JIS−5759に記載の方法により求めることができる。
また、「窓ガラス」は、建物に設置される窓ガラス及び乗り物に設置される窓ガラスを包含する意味で用いる。
<遮熱材料>
遮熱材料は、支持体と、金属元素を含む金属含有層と、平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子(以下、特定有機粒子ともいう)を含む有機粒子含有層と、をこの順に有する。
本発明の作用は明確ではないが、本発明者らは以下のように推定している。
遮熱材料等の材料は、貼り付け位置の修正が容易に行えるなどの利点から、被着体(例えばガラス窓)に施工液を塗布した後、粘着剤層を介して貼り付けられる場合がある。施工液を用いて貼り付けた遮熱材料は、貼り付け後数日〜数週間経過した際に、遮熱材料が白濁を起こし透明性が低下する(ヘイズが増加する)ことがある。
従来、遮熱の効果を有する材料として、種々の検討がなされており、上述のように特許文献1に記載の熱線遮蔽材や特許文献2に記載の電磁波透過性積層体が提案されている。しかし、これらの遮熱材料は、施工液を用いて貼り付けることは想定されておらず、施工後、施工液に由来する透明性の低下を抑制することまでは考慮されていない。
上記の施工液に由来する透明性の低下は、金属成分を含む金属含有層等の内部に施工液が浸透したり、あるいは、遮熱材料と、遮熱材料及び被着体の間に配置される粘着剤層と、の間や、遮熱材料が積層構造を有する場合の遮熱材料の層と層との間に、施工液が留まることで発生すると考えられる。特に、金属成分を含有する金属含有層を含む積層構造を有する遮熱材料の場合、施工液が金属含有層に引き寄せられて、層内又は層間に施工液が浸透しやすいため、施工液に由来する透明性の低下が起こりやすいと考えられる。
本発明の遮熱材料は、有機粒子含有層が所定の平均粒子径を有する有機粒子を含有することで、材料内への施工液の浸透が抑制されるため施工液に由来する透明性の低下が抑制されると考えられる。
また、有機粒子含有層にガラス転移温度が100℃以上の有機粒子を含むことで、遮熱材料製造時における有機粒子の変形が抑制され、有機粒子含有層表面の滑り性を所望の範囲に調整することができる。そのため、ロール巻き付けの際のシワやロールの荷崩れが発生しにくくなるなど生産性の点で有利である。
[有機粒子含有層]
遮熱材料は、支持体上の、後述の金属含有層の上に、更に有機粒子含有層を有する。有機粒子含有層は、平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子の少なくとも1種を含む。
本発明の遮熱材料は、有機粒子含有層が特定の有機粒子を含むことで、施工時の施工液に由来する透明性の低下が抑制される。
(有機粒子の平均粒子径)
有機粒子の平均粒子径は、0.1μm〜15μmである。
平均粒子径が0.1μm以上であると施工液が層を透過しにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下が抑制される。一方、平均粒子径が15μm以下であると有機粒子含有層と隣接層(例えば、粘着剤層)との間に隙間ができにくくなり、施工液が有機粒子含有層と隣接層との間に入り込みにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下が抑制される。
平均粒子径は、0.35μm〜5.0μmがより好ましく、0.8μm〜1.8μmがさらに好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることで、上記の効果がより顕著に現れる。
有機粒子の平均粒子径(μm)は、走査型電子顕微鏡(例えば、S−3700N、(株)日立ハイテクノロジーズ製)により有機粒子100個の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)撮影を行い、画像処理測定装置(ルーゼックス AP;株式会社ニレコ製)を用いて、その粒子径を測定し算術平均値を求めることによって得ることができる。すなわち、本発明でいう平均粒子径は、有機粒子の投影形状が円形である場合にはその直径で表し、球形以外の不定形であれば、その投影面積と同じ面積の円とした際の直径で表す。
(有機粒子のガラス転移温度)
有機粒子のガラス転移温度(Tg)は100℃以上である。
ガラス転移温度が100℃以上であることで、遮熱材料製造時における有機粒子の変形が抑制され、有機粒子含有層表面の滑り性を所望の範囲に調整することができるため、生産性の点で有利である。
ガラス転移温度は130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度が高いほど、上記の効果がより顕著に現れる。
有機粒子のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計「X−DSC7000」(SII・ナノテクノロジー(株)製)を用いて下記の条件にて測定される値である。測定は、同一の試料について2回実施し、2回目の測定結果を採用する。
<条件>
・測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
・昇温速度:5℃/min
・測定開始温度:−100℃
・測定終了温度:200℃
・試料パン:アルミニウム製パン
・測定試料の質量:5mg
・Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定した。
(有機粒子の含有量)
有機粒子含有層における有機粒子の含有量は、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点及び有機粒子含有層の表面摩擦係数の観点から、以下の範囲であることが好ましい。
有機粒子の含有量は、有機粒子含有層の全固形分に対して、0.3質量%〜6.0質量%が好ましく、0.5質量%〜5.5質量%がより好ましく、1.5質量%〜3.5質量%がさらに好ましい。
有機粒子の含有量が0.3質量%以上であると施工液が層を透過しにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下がより抑制される。一方、含有量が6.0質量%以下であると有機粒子含有層の表面摩擦係数(滑り性)を適正な範囲に調整することができるため、遮熱材料の生産性に優れる。
(有機粒子含有層の厚み)
有機粒子含有層の厚みは、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点及び有機粒子含有層の表面摩擦係数の観点から、以下の範囲であることが好ましい。
有機粒子含有層の厚みは、0.1μm以上が好ましく、0.1μm〜1.8μmがより好ましく、0.2μm〜1.5μmがさらに好ましく、0.4μm〜1.3μmが特に好ましい。
厚みが0.1μm以上であると施工液が層を透過しにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下がより抑制される。一方、厚みが1.8μm以下であると有機粒子含有層の表面摩擦係数(滑り性)を適正な範囲に調整することができるため、遮熱材料の生産性に優れる。
有機粒子含有層の厚みは、走査型電子顕微鏡(例えば、S−3700N、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて有機粒子含有層の断面を観察することによって測定できる。
なお、有機粒子含有層の厚みは、有機粒子が有機粒子含有層に埋没し層の表面が平滑な場合、層の断面の任意の10箇所の厚みを測定し、10箇所の算術平均値を採用する。一方、有機粒子含有層の表面に凹凸が存在する場合は、層の断面の任意の100箇所の厚みを測定し、測定した100箇所の中で薄い方から10点の算術平均値を有機粒子含有層に厚みとして採用する。
(有機粒子含有層の厚みに対する有機粒子の平均粒子径の比)
有機粒子含有層の厚みに対する有機粒子の平均粒子径の比は、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点及び有機粒子含有層の表面摩擦係数の観点から、以下の範囲であることが好ましい。
有機粒子含有層の厚みに対する有機粒子の平均粒子径の比は、1.00以上が好ましく、1.10以上8.50以下がより好ましく、1.15〜3.75がさらに好ましい。
上記の比が1.00以上であると有機粒子含有層の表面摩擦係数(滑り性)を適正な範囲に調整することができるため、遮熱材料の生産性に優れる。一方、上記の比が3.75以下であると、有機粒子含有層の表面の凹凸が大きくなり過ぎず、凹凸の間に施工液が留まりにくくなるため、施工液に由来の透明性の低下がより抑制される。
(有機粒子の形状と種類)
有機粒子は、粒子の形状を有する有機化合物であれば特に限定されない。粒子の形状は球状であってもよく、扁平形状であってもよく、中空形状であってもよい。
有機粒子の種類は特に限定されないが、施工液に由来の透明性の低下を抑制する観点から疎水性樹脂の粒子であることが好ましい。
疎水性樹脂の粒子としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、(メタ)アクリル−スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル−スチレン共重合体、及びスチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの粒子が挙げられる。
中でも、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリスチレン、及びポリオレフィンの粒子が好ましく、屈折率の観点からポリ(メタ)アクリル酸エステルの粒子がより好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸メチルの粒子がさらに好ましく、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)の粒子が特に好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸エステルを形成し得る単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−プロピル(メタ)アクリレート、クロロ−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリスチレンを形成し得る単量体としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、へキシルスチレン、ヘプチルスチレン及びオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨウドスチレン及びクロロメチルスチレンなどのハロゲン化スチレン;並びに、ニトロスチレン、アセチルスチレン及びメトキシスチレンなどが挙げられる。
ポリオレフィンを形成し得る単量体としては、エチレン、ブチレン、プロピレン等のアルケン;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸無水物等の不飽和カルボン酸等のアルケン以外の単量体;などが挙げられる。
有機粒子は、上記の単量体の1種又は2種以上を、公知の方法で重合することで得ることができる。
有機粒子は、いわゆるラテックスと称される水性分散物の形態で用いてもよい。
水性分散物を製造する方法については、乳化による方法と、乳化分散による方法とがあり、前者が好ましい。具体的な方法については例えば特許第3699935号公報に記載の方法を参考にすることができる。
有機粒子としては、既に分散体として市販されているものを用いてもよい。分散体として市販されている有機粒子を用いる場合は、凍結乾燥等の公知の方法で一度粉体化して用いることができる。
有機粒子の市販品の具体例としては、MP−300(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径0.1μm、Tg128℃)、MP−1451(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径0.15μm、Tg128℃)、MP−2200(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径0.35μm、Tg128℃)、MP−1000(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径0.4μm、Tg128℃)、MX−80H3wT(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径0.8μm、Tg200℃以上)、MX−150(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径1.5μm、Tg200℃以上)、MX−180TA(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径1.8μm、Tg200℃以上)、MX−300(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径3.0μm、Tg200℃以上)、MX−500(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径5.0μm、Tg200℃以上)、MX−1000(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径10μm、Tg200℃以上)、MX−1500H(綜研化学(株)製、PMMA粒子、平均粒子径15μm、Tg200℃以上)、SX−130H(綜研化学(株)製、ポリスチレン粒子、平均粒子径1.3μm、Tg200℃以上)、ケミパール(登録商標)W900(三井化学(株)製、ポリオレフィン粒子、平均粒子径0.8、Tg132℃)などが挙げられる。
(有機ワックスの含有量)
従来、遮熱材料表面の滑り性を向上させるための成分として有機ワックスが用いられることがあった。このような有機ワックスを含む層では、有機ワックスが層の表面に偏在しやすく、隣接する層(例えば、粘着剤層)との密着性において有機ワックスの物性に依存する傾向にある。そのため、有機ワックスの種類によっては所望の密着性が得られないことがあった。
上記の点から本発明の遮熱材料は、有機粒子含有層の全固形分に対する有機ワックスの含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%(含まれない)であることが特に好ましい。
有機ワックスの含有量が1質量%以下であることで、隣接する層との密着性がより優れたものとなる。
有機ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス;フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス;が挙げられる。
(バインダー)
有機粒子含有層は、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化型樹脂又は光硬化型樹脂などが挙げられる。
中でも(メタ)アクリル樹脂、及びウレタン樹脂が好ましい。
バインダーは、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
−(メタ)アクリル樹脂−
(メタ)アクリル樹脂としては、前述のポリ(メタ)アクリル酸エステルを形成し得る単量体などの(メタ)アクリル単量体を単独重合又は他の単量体と共重合させて得られる重合体であることが挙げられる。(メタ)アクリル単量体と共重合させる他の単量体には、例えば、炭素−炭素二重結合を有するポリマーが挙げられる。重合体には、例えば、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体等が含まれる。(メタ)アクリル樹脂は、隣接する層との密着性を向上させる観点から、他の単量体はヒドロキシ基及びアミノ基から選ばれた少なくとも1つの基を有してもよい。
−ウレタン樹脂−
ウレタン樹脂は、主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、例えば、ジイソシアネートとポリオールの反応によって得られる樹脂が挙げられる。ジイソシアネートとしては、TDI(トルエンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)等が挙げられる。
ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール等が挙げられる。また、イソシアネートとしては、ジイソシアネートとポリオールの反応によって得られたウレタン樹脂に鎖延長処理をして分子量を増大させた樹脂も使用することができる。以上に述べたジイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長処理については、例えば「ポリウレタンハンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社、昭和62年発行)において記載されている。
バインダーは市販品を用いてもよい。
例えば、ウレタン樹脂としては、スーパーフレックス(登録商標)150HS,110、420(第一工業製薬(株)製)、ハイドラン(登録商標)HW350(DIC(株)製)、タケラック(登録商標)WS400,WS5100(三井化学(株)製)が挙げられる。
(メタ)アクリル樹脂としては、アクアブリッド(登録商標)AS−563A(ダイセルファインケム(株)製)、ジュリマー(登録商標)ET−410(東亞合成(株)製)、ボンロン(登録商標)PS002(三井化学(株)製)が挙げられる。
(界面活性剤)
有機粒子含有層は、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、公知のアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤については、例えば、「界面活性剤便覧」(西一郎、今井怡知一郎、笠井正蔵編、産業図書(株)、1960年発行)に記載されている。界面活性剤としては、特に、アニオン系界面活性剤、又はノニオン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤は、上市されている市販品を用いてもよい。
市販のアニオン系界面活性剤としては、ラピゾール(登録商標)A−90、A−80、BW−30、B−90、C−70(以上、日油(株)製)、NIKKOL(登録商標)OTP−100(以上、日光ケミカル(株)製)、コハクール(登録商標)ON、L−40、フォスファノール(登録商標)702(以上、東邦化学工業(株)製)、ビューライト(登録商標)A−5000、SSS(以上、三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
市販のノニオン系界面活性剤としては、ナロアクティー(登録商標)CL−95、HN−100(商品名:三洋化成工業(株)製)、リソレックスBW400(商品名:高級アルコール工業(株)製)、EMALEX(登録商標)ET−2020(以上、日本エマルジョン(株)製)、ユニルーブ(登録商標)50MB−26、ノニオン(登録商標)IS−4(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
市販のカチオン系界面活性剤としては、例えば、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体、ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
市販のフッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック(登録商標)F171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロン(登録商標)S−382、SC−101、SC−103、SC−104、SC−105、SC1068、SC−381、SC−383、S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
市販のシリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、SH7PA、DC11PA、SH21PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、SH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4460、TSF−4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越化学工業(株)製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
(その他の成分)
有機粒子含有層は、必要に応じて、架橋剤、マット剤、紫外線吸収剤などのその他の成分を含有してもよい。
架橋剤としては特に制限はなく、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤等の架橋剤が挙げられる。中でも、カルボジイミド系架橋剤及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、例えば、カルボジライト(登録商標)V−02−L2(日清紡ケミカル(株)製)が挙げられる。
〜有機粒子含有層の形成〜
有機粒子含有層の形成方法は特に限定されない。コスト削減の観点から、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、有機粒子含有層を形成する組成物の塗布液を調製して、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
[金属含有層]
遮熱材料は、支持体上に金属元素を含む金属含有層を有する。
遮熱材料が金属含有層を有することで、材料が熱線を反射することができ、遮熱の効果が得られる。金属含有層は、少なくとも1種の金属元素を含有する層である。
金属元素としては、周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属元素がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属元素が更に好ましく、これらの金属元素を主成分として含むことが特に好ましい。
金属元素としては、具体的には銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金、錫、コバルト、パラジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、カドミウム、クロム、亜鉛、鉛などが挙げられる。これらの中でも、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金、錫、コバルト、パラジウム、イリジウムが好ましく、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金がより好ましく、銀が特に好ましい。
金属含有層における金属元素はどのような形態で含有されていてもよく、例えば、金属粒子として金属含有層に含有される態様、並びに、金属含有層自体が金属膜及び金属酸化物膜である態様が挙げられる。
中でも、遮熱性と透明性との両立の観点から金属粒子として含有されていることが好ましい。
(金属粒子)
金属粒子は、平板状金属粒子(平板状の金属粒子)であることが好ましく、金属含有層の一方の表面に平板状金属粒子を偏析させることがより好ましい。
金属粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱線(近赤外線)の反射率が高い点から、銀、金、アルミニウム、銅、ロジウム、ニッケル、白金などが好ましく、その中でも銀がより好ましい。
すなわち、金属含有層は、銀粒子を含むことが好ましく、平板状銀粒子を含むことがより好ましい。
−平板状金属粒子−
平板状金属粒子としては、2つの主平面を有する平板形状の粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三角形状、四角形状、六角形状、八角形状、円形状などが挙げられる。これらの中でも、可視光透過率が高い点で、六角形状以上の多角形状乃至円形状であることがより好ましい。
円形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
六角形状の平板状金属粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状金属粒子を主平面の上方から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍っているものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、角が鈍っているものであることが好ましい。角の鈍りの程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
金属含有層に存在し得る金属粒子のうち、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の含有比率は多いほど好ましく、更には、金属粒子の全個数に対して、60個数%以上であることが好ましく、65個数%以上がより好ましく、70個数%以上が特に好ましい。平板状金属粒子の割合が、60個数%以上であると、可視光線透過率が高くなる。
−平板状金属粒子の面配向及び存在状態−
六角形状乃至円形状の平板状金属粒子は、その主平面が金属含有層の一方の表面(遮熱材料の支持体表面)に対して、平均0°〜±30°の範囲で面配向していることが好ましく、平均0°〜±20°の範囲で面配向していることがより好ましく、平均0°〜±10°の範囲で面配向していることが特に好ましい。また、平均0°〜±30°の範囲で面配向している平板状金属粒子が、全平板状金属粒子の50個数%以上であることが好ましく、70個数%以上であることがより好ましく、90個数%以上であることがさらに好ましい。
平板状金属粒子の存在状態は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば特開2014−184688号公報の段落〔0050〕〜〔0059〕に記載の態様が好ましい。
−平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)及び変動係数−
平均粒子径は、平板状金属粒子の透過型電子顕微鏡写真上での投影面積を測定し、撮影倍率を補正する公知の方法により得ることができる。円相当径は、上記の方法により得られた粒子の透過型電子顕微鏡写真を画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施し、個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径を算出することで得ることができる。200個の平板状金属粒子の円相当径Dの統計で粒径分布(粒度分布)が得られ、算術平均を計算することで平均粒子径(平均円相当径)を求めることができる。平板状金属粒子の粒度分布における変動係数は、粒度分布の標準偏差を前述の平均粒子径(平均円相当径))で割った値(%)で求めることができる。
遮熱材料において、平板状金属粒子の粒度分布における変動係数としては、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。変動係数が、35%以下であることが遮熱材料における熱線の反射波長域がシャープになることから好ましい。
金属粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、平均粒子径は10nm〜500nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましく、50nm〜200nmがさらに好ましい。
−平板状金属粒子の厚み・アスペクト比−
平板状金属粒子の厚みは14nm以下であることが好ましく、5nm〜14nmであることがより好ましく、5nm〜12nmであることが特に好ましい。
平板状金属粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長800nm〜1,800nmの赤外光領域での反射率が高くなる点から、6〜40が好ましく、10〜35がより好ましい。アスペクト比が6以上であると反射波長が800nmより大きく、40以下であると、反射波長が1,800nmより小さくなり、熱線反射能がより向上する。
アスペクト比は、平板状金属粒子の平均粒子径(平均円相当径)を平板状金属粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。
例えば、平板状金属粒子が円形状である場合、アスペクト比は、図5に示す直径Dを厚みaで除算した値である。
また、平板状金属粒子が六角形状である場合、アスペクト比は、図6に示す円相当径Dを厚みaで除算した値である。
粒子厚みは、平板状金属粒子の主平面間距離に相当し、原子間力顕微鏡(AFM)や透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
AFMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板ガラスに平板状金属粒子を含有する平板状金属粒子分散液を滴下し、乾燥させて、平板状金属粒子1個の厚みを測定する方法が挙げられる。
TEMによる平均粒子厚みの測定方法としては、特に制限は無く、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリコン基板上に平板状金属粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、集束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作成し、断面をTEMによる観察することにより、粒子の厚み測定を行う方法が挙げられる。
−平板状金属粒子の面積率−
遮熱材料を上から見た時の基材の面積A(金属含有層に対して垂直方向から見たときの金属含有層の全投影面積A)に対する平板状金属粒子の面積の合計値Bの割合である面積率〔(B/A)×100〕としては、15%以上が好ましく、20%以上がより好ましい。面積率が、15%以上であると、熱線の最大反射率が増加し、より高い遮熱効果が得られる。
ここで、上記の面積率は、例えば遮熱材料を上からSEM観察で得られた画像や、AFM(原子間力顕微鏡)観察で得られた画像を画像処理することにより測定することができる。
−平板状金属粒子の配列−
金属含有層における平板状金属粒子の配列は均一であることが好ましい。ここでいう配列の均一とは、各粒子に対する最近接粒子までの距離(最近接粒子間距離)を粒子の中心間距離で数値化した際、各々の粒子の最近接粒子間距離の変動係数(=標準偏差÷平均値)が小さいことを差す。最近接粒子間距離の変動係数は小さいほど好ましく、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、理想的には0%である。最近接粒子間距離の変動係数が大きい場合には、金属含有層内で平板状金属粒子の粗密や粒子間の凝集が生じ、ヘイズが悪化する傾向があるため好ましくない。最近接粒子間距離は金属含有層塗布面をSEMなどで観察することにより測定が可能である。
−平板状金属粒子の合成方法−
平板状金属粒子の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を合成し得るものとして挙げられる。中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が特に好ましい。六角形〜三角形状の平板状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウムの銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、六角形〜三角形状の平板状金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を得てもよい。
平板状金属粒子の合成方法としては、上記の他、予め材料、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
遮熱材料において、平板状金属粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2014−184688号公報の段落〔0068〕〜〔0070〕に記載の高屈折率シェル層の形成、特開2014−184688号公報の段落〔0072〕〜〔0073〕に記載の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
(バインダー)
金属含有層はバインダーを含んでもよい。
バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。遮熱材料は、金属含有層のバインダーとしてポリマーを含むことが好ましく、透明ポリマーを含むことがより好ましい。ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。
中でも、ポリマーの主成分がポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂の少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステル樹脂及びウレタン樹脂であることが六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上を金属含有層の表面からd/2の範囲に存在させやすい観点からより好ましく、ウレタン樹脂であることが遮熱材料のこすり耐性をより改善する観点から特に好ましい。
ポリエステル樹脂の中でも、飽和ポリエステル樹脂であることが二重結合を含まないために優れた耐候性を付与できる観点からより特に好ましい。また、分子末端に水酸基又はカルボキシ基を持つことが、水溶性又は水分散性の硬化剤等で硬化させることで高い硬度、耐久性及び耐熱性を得られる観点からより好ましい。
ポリマーとしては、商業的に入手できるものを好ましく用いることもでき、例えば、互応化学工業(株)製の水溶性ポリエステル樹脂であるプラスコートZ−867、DIC(株)製のハイドランHW350を挙げることができる。
また、本明細書中、ポリマーの主成分とは、バインダーに含まれるポリマーの50質量%以上を占めるポリマー成分のことをいう。
金属含有層に含まれ得る金属粒子に対するポリエステル樹脂及びウレタン樹脂の含有量が1質量%〜10000質量%であることが好ましく、10質量%〜1000質量%であることがより好ましく、20質量%〜500質量%であることが特に好ましい。金属含有層に含まれるバインダーを上記範囲以上とすることで、こすり耐性等の物理特性をより改善することができる。
バインダーの屈折率nは、1.4〜1.7であることが好ましい。
遮熱材料は、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の厚みをaとしたとき、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子の80個数%以上が、厚み方向のa/10以上をポリマーに覆われていることが好ましく、厚み方向のa/10〜10aをポリマーに覆われていることがより好ましく、a/8〜4aをポリマーに覆われていることが特に好ましい。このように六角形状乃至円形状の平板状金属粒子が金属含有層に一定割合以上埋没していることにより、よりこすり耐性を高めることができる。
(その他の添加剤)
金属含有層はその他の添加剤として、架橋剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤を含んでもよい。
架橋剤としては特に制限はなく、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などが挙げられる。中でカルボジイミド系架橋剤及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。カルボジイミド系架橋剤の具体例としては、例えば、カルボジライト(登録商標)V−02−L2(日清紡ケミカル(株)製)などが挙げられる。金属含有層中の全バインダーに対して1質量%〜20質量%の架橋剤由来の成分を含有することが好ましく、より好ましくは2質量%〜20質量%である。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤等の公知の界面活性剤を用いることができる界面活性剤の具体例としては、例えば、ラピゾール(登録商標)A−90(日油(株)製)、ナロアクティー(登録商標)CL−95(三洋化成工業(株)製)、リパール870P(ライオン(株)製)が挙げられる。金属含有層は、金属含有層中の全バインダーの含有量に対して0.05質量%〜10質量%の界面活性剤を含有することが好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましい。
金属含有層は、平板状金属粒子を構成する銀などの金属の酸化を防止するために、メルカプトテトラゾール、アスコルビン酸等の酸化防止剤を含んでもよい。また、酸化防止を目的として、Ni等の酸化犠牲層が平板状金属粒子の表面に形成されていてもよい。また、酸素を遮断することを目的として、SiOなどの金属酸化物膜で被覆されていてもよい。
分散剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、アミン類等の窒素元素、硫黄元素、及びリン元素の少なくともいずれかを含む低分子量分散剤、高分子量分散剤などの分散剤が挙げられる。
(金属膜、金属酸化物膜)
遮熱材料における金属含有層は、上記金属粒子以外の形態で金属元素を含んでもよい。例えば、金属含有層自体が金属膜、金属酸化物膜である態様でもよい。
金属膜としては、銀、金、アルミニウム、銅、パラジウム、白金、錫、インジウム、亜鉛、チタン、カドミウム、鉄、コバルト、クロム、ニッケルなどの金属又は合金等でなる膜が挙げられる。
金属酸化物膜としては、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウムの膜が挙げられる。
(金属含有層の厚み)
金属含有層の厚みは、5nm〜120nmであることが好ましく、7nm〜80nmであることがより好ましく、10nm〜40nmであることが特に好ましい。
〜金属含有層の形成〜
金属含有層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体の表面上に、金属含有層形成用分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法、LB膜(Langmuir−Blodgett膜)法、自己組織化法、スプレー塗布などの方法で面配向させる方法が挙げられる。
なお、面配向を促進するために、金属含有層形成用分散液を塗布後、カレンダーローラーやラミローラーなどの圧着ローラーを通すことにより促進させてもよい。
金属含有層が金属膜及び金属酸化物膜の場合は、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜することができる。
金属含有層形成用分散液は、消泡剤や防腐剤を含有してもよい。
金属粒子の調製や再分散においては、反応液や粗分散液を激しく撹拌することがある。対象となる液の性質に依存するが、表面張力を低下させる物質の存在により泡が安定化されるので、金属粒子分散液が界面活性剤や分散剤などの含有することにより発泡が促進される。そのため、消泡剤を含有することが好ましい。
消泡剤としては、界面活性剤、ポリエーテル系消泡剤、エステル系消泡剤、高級アルコール系消泡剤、ミネラルオイル系消泡剤、シリコーン系消泡剤など、一般的なものから選択して用いることができる。中でも界面活性剤は少量の添加で高い消泡効果を発揮でき、且つ経時安定性に優れているので好ましく用いられる。
水系に用いる場合、親油性が高く液体表面に広がりやすいもの、すなわちHLB(Hydrophile−Lipophile Balance)値の低いものが好ましく用いられる。水系に用いる場合、HLB値で7以下のものが好ましく、5以下のものが更に好ましく、3以下のものが最も好ましい。
消泡剤としては、市販のものを用いることもでき、例えば、Pluronic31R1(BASF社製)などを好ましく用いることができる。
防腐剤としては、例えば、特開2014−184688号公報の段落〔0073〕〜〔0090〕に記載の防腐剤を用いることができる。
[支持体]
遮熱材料は、支持体を有する。
支持体としては特に制限は無く公知の支持体を用いることができる。
支持体としては、光学的に透明な支持体であることが好ましく、例えば、可視光線透過率が70%以上のもの、好ましくは80%以上のもの、近赤外線域の透過率が高いものなどが挙げられる。
可視光線透過率は、紫外可視近赤外分光機(日本分光社製、V−670、積分球ユニットISN−723使用)を用いて測定することができる。
支持体としては、形状、構造、大きさ、材料などについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、遮熱材料の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロースアセテート等のセルロース樹脂などの材料又はこれらの積層材料が挙げられる。これらの中で、特にポリエチレンテレフタレート材料が好適である。
支持体の厚みとしては、特に制限はなく、遮熱材料の使用目的に応じて適宜選択することができ、通常は10μm〜500μm程度であるが薄膜化の観点からは、より薄い方が好ましい。支持体の厚みは10μm〜100μmであることが好ましく、20μm〜75μmであることがより好ましく、35μm〜75μmであることが特に好ましい。支持体の厚みが十分に厚いと、接着故障が起き難くなる傾向にある。また、支持体の厚みが十分に薄いと、遮熱材料として建材や自動車の窓ガラス等に貼り合わせる際、材料としての剛性が高過ぎず、施工し易くなる傾向にある。更に、支持体が十分に薄いことにより、可視光透過率が増加し、原材料費を抑制できる傾向にある。
[保護層]
遮熱材料は、前述の支持体の金属含有層を有する側と反対側に、無機粒子を含む保護層(以下、ハードコート層ともいう)を有していてもよい。
遮熱材料をロールで生産する場合、遮熱材料が保護層を有することで、有機粒子含有層との滑り性を適切な範囲に調節しやすく、ロール巻き付けの際のシワやロールの荷崩れが発生しにくくなる。
また、遮熱材料が保護層を有することで、材料の耐傷性が向上し、材料が傷つくことにより透明性が低下することを抑制することができる。
(無機粒子)
保護層は無機粒子の少なくとも1種を含む。
無機粒子としては、例えば、金属酸化物粒子が挙げられる。金属酸化物粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの粒子を用いることが好ましく、特に、後述のバインダーとの架橋の観点からシリカ粒子を用いることが好ましい。
シリカ粒子としては、四塩化ケイ素の燃焼によって製造される乾燥粉末状のシリカや、二酸化ケイ素又はその水和物が水に分散したコロイダルシリカを用いることができる。乾燥粉末状のシリカを用いる場合は、超音波分散機等を用いて水に分散させることで用いることができる。
シリカ粒子は特に限定されないが、具体的には、シーホスターKE−P10などのシーホスターシリーズ((株)日本触媒製)やスノーテックス(登録商標)OZL−35などのスノーテックス(登録商標)シリーズ(日産化学工業(株)製)などが挙げられる。
無機粒子の平均粒子径は、60nm〜350nmが好ましく、65nm〜300nmがより好ましく、70nm〜250nmがさらに好ましい。
無機粒子の平均粒子径が60nm以上であることで、保護層のアンチブロッキング性が得やすく、一方、無機粒子の平均粒子径が350nm以下であることで大きいと膜内や膜表面で光が散乱を抑制できるため、層の透明性がより高くなる。
無機粒子の平均粒子径は、上述の有機粒子の平均粒子径と同様の方法で測定することができる。
保護層における無機粒子の含有量は、保護層の全固形分に対して30体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることがより好ましい。また、無機粒子が含有量は、60体積%以下であることが好ましく、55体積%以下であることがより好ましく、50体積%以下であることがさらに好ましい。
なお、無機粒子は2種以上を併用してもよく、その場合は使用した全種類の合計量が上記範囲内となる。
(バインダー)
保護層は、バインダーを含むことが好ましい。
バインダーは、無機バインダーでもよく、有機バインダーでもよい。バインダーは保護層の耐傷性の観点から無機バインダーが好ましい。
無機バインダーとしては、例えば、エポキシ基含有アルコキシシランと、エポキシ基非含有アルコキシシランと、金属錯体と、を含んで硬化されたバインダーが挙げられる。
アルコキシシラン(以下、エポキシ基含有アルコキシシラン及びエポキシ基非含有アルコキシシランを、まとめて「アルコキシシラン」ともいう)としては、水溶性又は水分散性の素材を使用することが好ましい。水溶性又は水分散性の素材を使用することは、揮発性有機化合物(VOC:volatile organic compounds)による環境汚染を低減する観点から好ましい。
エポキシ基含有アルコキシシランとエポキシ基非含有アルコキシシランは、各々、加水分解性基を有することが好ましい。加水分解性基が酸性の水溶液中で加水分解されることによりシラノールが生成され、シラノール同士が縮合することによって、オリゴマーが生成される。
アルコキシシランの総量に対するエポキシ基含有アルコキシシランの含有比率は、20質量%〜100質量%が好ましい。エポキシ基含有アルコキシシランの含有比率の下限については、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。また、上限については、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。アルコキシシランの総量に対するエポキシ基含有アルコキシシランの含有比率が上記範囲内であると、保護層を形成するための水性組成物を調製した際の組成物安定性の向上に有利であり、アルカリ耐性の強い保護層を形成しやすくなる。
エポキシ基含有アルコキシシランは、エポキシ基を有するアルコキシシランである。エポキシ基含有アルコキシシランとしては、1分子中に1つ以上エポキシ基を有するものであればよく、エポキシ基の数は特に限定されない。エポキシ基含有アルコキシシランは、エポキシ基の他に、さらに、アルキル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エステル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など基を有していてもよい。
エポキシ基含有アルコキシシランとしては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。市販品としては、KBE−403(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
エポキシ基非含有アルコキシシランは、エポキシ基を有さないアルコキシシランである。エポキシ基非含有アルコキシシランは、エポキシ基を有さないアルコキシシランであればよく、アルキル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、エステル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基などの基を有していてもよい。
エポキシ基非含有アルコキシシランは、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、これらの混合物が挙げられ、テトラアルコキシシランであることが好ましい。テトラアルコキシシランを有することにより、保護層を形成した際に十分な硬度を得ることができる。
テトラアルコキシシランは、4官能のアルコキシシランであり、各アルコキシ基の炭素数が1〜4のものがより好ましい。中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが特に好ましく用いられる。炭素数を4以下とすることにより、酸性水と混ぜたときのテトラアルコキシシランの加水分解速度が遅くなりすぎることがなく、均一な水溶液にするまでの溶解に要する時間がより短くなる。これにより、保護層を形成する際の製造効率を高めることができる。市販品としては、KBE−04(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
トリアルコキシシランは、下記一般式(1)で表される3官能のアルコキシシランである。
RSi(OR ・・・(1)
ここで、Rはアミノ基を含まない炭素数が1〜15の有機基を表し、Rはメチル基、エチル基等の炭素数4以下のアルキル基を表す。
一般式(1)で表される3官能のアルコキシシランは、アミノ基を官能基として含まない。つまり、この3官能のアルコキシシランは、アミノ基を持たない有機基Rを有している。Rがアミノ基を有する場合は、4官能のアルコキシシランと混合して加水分解すると、生成するシラノール同士で脱水縮合が促進されてしまう。このため、保護層形成用の水性組成物を調整して保護層を形成する場合、水性組成物が不安定となり好ましくない。
一般式(1)のRは、炭素数が1〜15の範囲であるような分子鎖長をもつ有機基であればよく、例えば、ビニル基、メタクリロキシプロピル、メタクリロキシプロピルメチル基、アクリロキシプロピル基、メルカプトプロピル基、メルカプトプロピルメチル基などを挙げることができる。炭素数を15以下とすることにより、保護層を形成した際の柔軟性が過度に大きくならず、十分な硬度を得ることができる。Rの炭素数を上記範囲内とすることにより、脆性がより改善された保護層を得ることができる。また、保護層と隣接する層(例えば、支持体)との密着性を高めることができる。
さらに、Rで示す有機基は、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を有してもよい。有機基がヘテロ原子をもつことにより、隣接する層との密着性をより向上させることができる。
トリアルコキシシランとしては、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等を挙げることができる。中でも、メチルトリエトキシシラン、及びメチルトリメトキシシランは特に好ましく用いられる。市販品としては、KBE−13(信越化学工業(株)製)などが挙げられる。
(金属錯体)
保護層は、硬化剤として金属錯体を含むことが好ましい。金属錯体としては、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、チタン、銅、コバルト、亜鉛、ハフニウム及びジルコニウムから選択される金属元素を含む金属錯体が好ましく、これらを併用することもできる。
これらの金属錯体は、金属アルコキシドにキレート化剤を反応させることにより容易に得ることができる。キレート化剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン;アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどを用いることができ、アルミニウムキレートが好ましい。
金属錯体の好ましい具体的な例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物、エチルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)等のマグネシウムキレート化合物、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチルアセトナートビス(エチルアセトアセテート)、マンガンアセチルアセトナート、コバルトアセチルアセトナート、銅アセチルアセトナート、チタンアセチルアセトナート、チタンオキシアセチルアセトナートが挙げられる。これらのうち、好ましくは、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトナートであり、保存安定性、入手容易さを考慮すると、アルミニウムキレート錯体であるアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート等が特に好ましい。市販品としては、アルミキレートA(W)、アルミキレートD、アルミキレートM(川研ファインケミカル(株)製)などが挙げられる。
金属錯体は、前述のアルコキシシランの総量に対して20質量%〜70質量%の量で用いることが好ましく、30質量%〜60質量%の量で用いることがより好ましく、40質量%〜50質量%の量で用いることがさらに好ましい。
保護層は金属錯体を上記下限値以上含むことにより、シラノールの脱水縮合の反応速度を適切な速度とすることができ、厚みが均一でアルカリ耐性の高い保護層とすることができる。
(その他の添加剤)
保護層は、表面の滑り性を向上させて層表面の摩擦を軽減する目的で界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック(登録商標)F171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロン(登録商標)S−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(OMNOVA社製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、パイオニンD−6512、D−6414、D−6112、D−6115、D−6120、D−6131、D−6108−W、D−6112−W、D−6115−W、D−6115−X、D−6120−X(竹本油脂(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、ナロアクティー(登録商標)CL−95、HN−100(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)、サンデッド(登録商標)BL(三洋化成工業(株)製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越化学工業(株)製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、保護層の全質量に対して、0.001質量%〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜10.0質量%であり、さらに好ましくは1質量%〜8質量%である。
界面活性剤は、保護層を形成するために調整する水性組成物(保護層形成用の水性組成物)に、pH調整剤を添加し、pHを所望の範囲となるように調節してもよい。
pH調整剤としてはpHを変更させるものであれば特に制限がなく、具体的には、酸(有機酸、無機酸)としては、例えば硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸など、アルカリとしては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、エチレンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。pH調整剤は、直接添加しても、水溶液などの溶液として添加してもよい。pH調整剤は、pHが所望の範囲を満たす限り、使用する量は特に限定されない。
水性組成物のpHが2〜6となるように調整されることが好ましい。pH調整剤としては硝酸、シュウ酸、酢酸、蟻酸、塩酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
〜保護層の形成〜
保護層は、水性組成物を調製し、前述の支持体の表面に塗布することにより形成してもよい。保護層形成用の水性組成物の調製手順は特に限定されないが、エポキシ基含有アルコキシシラン、エポキシ非含有アルコキシシランの順に加水分解し、その加水分解液に無機粒子、アルミキレート錯体の順に添加する方法が溶解性及び保存安定性の観点から好ましい。
保護層形成用の水性組成物の塗布は公知の方法で行うことができる。例えば、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコータ等を用いる塗布方法が挙げられる。
塗布後、塗布液を乾燥させる工程が設けられることが好ましい。乾燥工程では、加熱乾燥を行うことが好ましい。加熱乾燥では、塗布膜の温度が160℃以上となるように加熱することが好ましく、170℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることがより好ましい。また、塗布膜の温度は、220℃以下であることが好ましく、210℃以下であることがより好ましい。加熱乾燥温度を上記範囲内とすることにより、塗布膜を十分に硬化することができ、かつ、保護層が変形することを防ぐことができる。なお、加熱時間は10秒〜5分であることが好ましい。
保護層の厚みは、保護層形成用の組成物の塗布量を調整することにより制御することができる。得られる保護層の硬度の観点からは、厚みは、0.6μm〜1.8μmの範囲で一定あることがより好ましい。厚みが0.6μm以上であると十分な硬度を発現しやすく保護層として十分な機能が得られる、一方、厚みが1.8μm以下であると保護層の内部応力が大きくなりすぎず、カール等の変形が抑制される。
保護層表面における算術平均表面粗さRaは、含有する無機粒子の粒子径及び固形分濃度で制御することができる。得られる保護層のアンチブロッキング性の観点から、Raは1.0nm〜4.0nmにすることが好ましい。Raが1.0nm以上であると、十分なアンチブロッキング性を発現しやすく、遮熱材料同士を重ねた際に貼りつかず、外観を良好に保つことができる。一方、Raが4.0nm以下であると、保護層の透明性を良好に保つことができる。
保護層表面における算術平均表面粗さRaはAFM(原子間力顕微鏡)等を用いて測定することができる。
[遮熱材料の層構成]
本発明の遮熱材料は、前述の支持体と前述の金属含有層と前述の有機粒子含有層を有するものであれば、形態は特に制限されない。遮熱材料は、透明性及び生産性の観点から、フィルムである態様が好ましい。すなわち、本発明の遮熱材料は、遮熱フィルムであることが好ましい。
本発明の遮熱材料の層構成としては、図1に一例を示すように、支持体3と、金属含有層2と、有機粒子含有層1と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
また、他の一例としては、図2に示すように、保護層4と、支持体3と、金属含有層2と、有機粒子含有層1と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
[遮熱材料の製造方法]
遮熱材料は、前述の支持体上に、前述の金属含有層を形成し、金属含有層の上に前述の有機粒子含有層を形成することで製造することができる。各層の形成方法は既述の通りである。
また、遮熱材料は、支持体の金属含有層を有する側と反対側に、前述の保護層を形成することで製造してもよい。保護層の形成方法は既述の通りである。
遮熱材料は、ロール状の支持体を用いて製造されてもよく、シート状の支持体を用いて製造されてもよい。各層を形成した後、ロール状に巻き取られてもよく、シート状にカットされてもよい。
<断熱材料>
本発明の断熱材料は、前述の遮熱材料と、遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された繊維状導電粒子を含む断熱層と、を有する。
断熱材料が、繊維状導電粒子を含む断熱層を有することで、前述の遮熱効果に加え、断熱の効果を発現することができる。
[断熱層]
断熱層は、繊維状導電粒子の少なくとも1種を含有する。
断熱層は、例えば、遠赤外線を反射させるには空隙サイズが小さいことが好ましく、例えば断熱層の断面写真において、80%以上の空隙の、空隙サイズが25μm以下の空隙面積であることがより好ましい。
(繊維状導電粒子)
繊維状導電粒子は、繊維状の導電性を有する粒子である。
ここで、「繊維状」には、ワイヤ状もしくは線状、又は棒状の形状の粒子が含まれる。また、「導電性を有する粒子」とは、繊維状粒子を錠剤成型機で成形することや繊維状粒子を液体に分散後乾固することにより厚さ0.01mm以上のペレットを作製した場合の、ペレットの一端面と他端面との間の抵抗値が10Ω以下になる粒子のことを指す。抵抗値は、2点式のテスター(MR−4060、MONOTARO製)にて測定される値である。
繊維状導電粒子としては、例えば、金属ナノワイヤ及び棒状金属粒子等の繊維状金属粒子、カーボンナノチューブ、繊維状導電性樹脂を挙げることができる。繊維状導電粒子としては、金属ナノワイヤが好ましい。以下、金属ナノワイヤを繊維状導電粒子の代表例として説明することがあるが、金属ナノワイヤに関する説明は繊維状導電粒子の一般的な説明として用いることができる。
「金属ナノワイヤ」とはとは、導電性を有し、かつ、長軸長が直径(短軸長)に比べて長く、短軸長(すなわち長手方向と直交する断面の長さ)がナノオーダーサイズの形状を持つ金属粒子をいう。中実繊維であっても、中空繊維であってもよい。
断熱層は、繊維状導電粒子として、平均短軸長150nm以下の金属ナノワイヤを含有することが好ましい。平均短軸長が150nm以下であると、断熱性が向上し、光散乱等による光学特性の悪化が生じにくくなるため好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、中実構造であることが好ましい。
より透明な断熱層を形成しやすいという観点からは、例えば、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、平均短軸長が1nm〜150nmのものが好ましい。
製造時の扱い易さから、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることが更に好ましく、特に25nm以下であることがヘイズに関して一段と優れるものが得られるので好ましい。平均短軸長を1nm以上とすることにより、耐酸化性が良好で、耐候性に優れる断熱層が容易に得られる。平均短軸長は5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、15nm以上であることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長は、ヘイズ値、耐酸化性、及び耐候性の観点から、1nm〜100nmであることが好ましく、5nm〜60nmであることがより好ましく、10nm〜60nmであることが更に好ましく、15nm〜50nmであることが特に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均長軸長は、反射したい遠赤外線の反射帯域と同じ程度であることが、その反射したい遠赤外線の反射帯域を反射しやすい観点から好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均長軸長は、5μm〜50μmであることが波長5μm〜50μmの遠赤外線を反射しやすい観点から好ましく、10μm〜40μmがより好ましく、15μm〜40μmが更に好ましい。金属ナノワイヤの平均長軸長が50μm以下であると、金属ナノワイヤを凝集物が生じることなく合成することが容易となり、平均長軸長が5μm以上であると、十分な断熱性を得ることが容易となる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)と光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。
具体的には、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長は、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、商品名:JEM−2000FX)を用い、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤについて、各々短軸長と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長と平均長軸長を求めることができる。
なお、金属ナノワイヤの短軸方向断面が円形でない場合の短軸長は、短軸方向の測定で最も長い箇所の長さを短軸長とする。また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径、及び曲率から算出される値を長軸長とする。
断熱層における全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量に対する、短軸長(直径)が150nm以下であり、かつ長軸長が5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量が、金属量で50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましい。
短軸長(直径)が150nm以下であり、長さが5μm以上500μm以下である金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の割合が、50質量%以上であることで、十分な伝導性が得られるとともに、電圧集中が生じにくくなり、電圧集中に起因する耐久性の低下を抑制し得るため好ましい。繊維状導電粒子以外の導電性粒子が断熱層に実質的に含まれない構成では、プラズモン吸収が強い場合にも透明度の低下を避け得る。
断熱層に用いられる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長(直径)の変動係数は、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましい。
変動係数が40%以下であると、波長5μm〜50μmの遠赤外線を反射しやすい金属ナノワイヤの比率が増えて、透明性と断熱性の観点で好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長(直径)の変動係数は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの短軸長(直径)を計測し、その標準偏差と算術平均値を算出し、標準偏差を算術平均値で除することにより、求めることができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。ここで、アスペクト比とは、平均短軸長に対する平均長軸長の比(平均長軸長/平均短軸長)を意味する。前述の方法により算出した平均長軸長と平均短軸長から、アスペクト比を算出することができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子のアスペクト比は、10以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜100,000が好ましく、50〜100,000がさらに好ましく、100〜100,000がより好ましい。
アスペクト比が10以上であると、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士が接触したネットワークが容易に形成され、高い断熱性を有する断熱層が容易に得られる。また、アスペクト比が100,000以下であると、例えば支持体上に断熱層を塗布により設ける際の塗布液において、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士が絡まって凝集物を形成することが抑制され、安定な塗布液が得られるので、断熱層の製造が容易となる。
断熱層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対するアスペクト比が10以上の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量は特に制限されない。例えば、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の形状としては、例えば円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状であり得るが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面が5角形以上の多角形であって鋭角的な角が存在しない断面形状であるものが好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の断面形状は、支持体上に金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより検知することができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を形成する金属は特に制限がなく、いかなる金属であってもよい。1種の金属以外にも2種以上の金属を組み合わせて用いてもよく、合金を用いることも可能である。これらの中でも、金属単体又は金属化合物から形成されるものが好ましく、金属単体から形成されるものがより好ましい。
金属としては、周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、これらの金属を主成分として含むことが特に好ましい。
金属としては、具体的には銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、及び、これらのうちいずれかを含む合金などが挙げられる。これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫、又は、これらのうちいずれかを含む合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。ここで銀を含有する合金における銀の含有量は合金の全量に対して50モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることがさらに好ましい。
断熱層に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、高い断熱性を実現する観点から、銀ナノワイヤを含むことが好ましく、平均短軸長が1nm〜150nmであって、平均長軸長が1μm〜100μmの銀ナノワイヤを含むことがより好ましく、平均短軸長が5nm〜30nmであって、平均長軸長が5μm〜30μmの銀ナノワイヤを含むことが更に好ましい。断熱層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に制限されない。例えば、断熱層に含まれる全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の質量に対する銀ナノワイヤの含有量は50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、全金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が実質的に銀ナノワイヤであることが更に好ましい。ここで「実質的に」とは、不可避的に混入する銀以外の金属原子を許容することを意味する。
断熱層に含まれる金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の種類等に応じて、断熱層の抵抗率、全光透過率及びヘイズ値が所望の範囲となるような量とされることが好ましい。
このとき、断熱層に対する繊維状導電粒子の量を少なくすることが、断熱層の抵抗率を制御する観点から好ましい。繊維状導電粒子の量を上述の範囲とする場合、断熱層の単位面積当たりの質量(層形成時の塗布液の全固形分の塗布量)は、好ましくは0.110g/m〜1.000g/mの範囲であり、より好ましくは0.150g/m〜0.600g/mの範囲であり、0.200g/m〜0.500g/mであることが特に好ましい。
断熱層に対する繊維状導電粒子の量は、1質量%〜35質量%であることが好ましく、3質量%〜30質量%であることがより好ましく、5質量%〜25質量%であることが特に好ましい。
−繊維状導電粒子の製造方法−
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、特に制限はなく、いかなる方法で作製されたものであってもよい。以下のように、ハロゲン化合物と分散剤を溶解した溶媒中で金属イオンを還元することによって製造することが好ましい。また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を形成した後は、常法により脱塩処理を行うことが、分散性、断熱層の経時安定性の観点から好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造方法としては、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造に用いられる溶媒としては、親水性溶媒が好ましく、例えば、水、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトンなどが挙げられる。
加熱する場合、その加熱温度は、250℃以下が好ましく、20℃以上200℃以下がより好ましく、30℃以上180℃以下が更に好ましく、40℃以上170℃以下が特に好ましい。上記温度を20℃以上とすることで、形成される金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の長さが分散安定性を確保しうる好ましい範囲となり、且つ、250℃以下とすることで、金属ナノワイヤの断面外周が鋭角を有しない、なめらかな形状となるため、金属粒子の表面プラズモン吸収による着色が抑えられ、透明性の観点から好適である。
なお、必要に応じて、粒子形成過程で温度を変更してもよく、途中での温度変更は核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果があることがある。
加熱処理は、還元剤を添加して行うことが好ましい。
還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。これらの中でも、還元糖類、その誘導体としての糖アルコール類、エチレングリコールが特に好ましい。
還元剤によっては、機能として分散剤や溶媒としても機能する化合物があり、同様に好ましく用いることができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造は分散剤と、ハロゲン化合物又はハロゲン化金属微粒子を添加して行うことが好ましい。
分散剤とハロゲン化合物の添加のタイミングは、還元剤の添加前でも添加後でもよく、金属イオンあるいはハロゲン化金属微粒子の添加前でも添加後でもよいが、単分散性のよりよい繊維状導電粒子を得るためには、核形成と成長を制御できるためか、ハロゲン化合物の添加を2段階以上に分けることが好ましい。
分散剤を添加する段階は特に制限されない。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を調製する前に添加し、分散剤存在下で金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を添加してもよいし、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子調製後に分散状態の制御のために添加しても構わない。
分散剤としては、例えばアミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、多糖類由来の天然高分子、合成高分子、又はこれらに由来するゲル等の高分子化合物類、などが挙げられる。これらのうち分散剤として用いられる各種高分子化合物類は、後述するポリマーに包含される化合物である。
分散剤として好適に用いられるポリマーとしては、例えば保護コロイド性のあるポリマーであるゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプルピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン構造を含む共重合体、アミノ基やチオール基を有するポリアクリル酸、等の親水性基を有するポリマーが好ましく挙げられる。
分散剤として用いるポリマーはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)が、3000以上300000以下であることが好ましく、5000以上100000以下であることがより好ましい。
分散剤として使用可能な化合物の構造については、例えば「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
使用する分散剤の種類によって得られる金属ナノワイヤの形状を変化させることができる。
ハロゲン化合物は、臭素、塩素、ヨウ素を含有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等のアルカリハライドや下記の分散添加剤と併用できる化合物が好ましい。
ハロゲン化合物は、分散添加剤として機能するものがありうるが、同様に好ましく用いることができる。
ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化銀微粒子を使用してもよいし、ハロゲン化合物とハロゲン化銀微粒子を共に使用してもよい。
また、分散剤の機能とハロゲン化合物の機能との双方を有する単一の物質を用いてもよい。即ち、分散剤としての機能を有するハロゲン化合物を用いることで、1つの化合物で、分散剤とハロゲン化合物の双方の機能を発現する。
分散剤の機能を有するハロゲン化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド(HTAB)、アミノ基と塩化物イオンを含むヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド(HTAC)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含むドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
金属ナノワイヤの製造方法においては、金属ナノワイヤ形成後に脱塩処理を行うことが好ましい。金属ナノワイヤ形成後の脱塩処理は、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などの手法により行うことができる。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。金属ナノワイヤを水性溶媒に分散させてなる水性分散物の電気伝導度は1mS/cm以下が好ましく、0.1mS/cm以下がより好ましく、0.05mS/cm以下が更に好ましい。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の水性分散物の25℃における粘度は、0.5mPa・s〜100mPa・sが好ましく、1mPa・s〜50mPa・sがより好ましい。
電気伝導度及び粘度は、水性分散物における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の濃度を0.45質量%として測定される。水性分散物における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の濃度が上記濃度より高い場合には、水性分散物を蒸留水にて希釈して測定する。
断熱層の平均厚みは、通常、0.005μm〜2μmの範囲で選択される。例えば、平均厚みを0.001μm〜0.5μmとすることで、十分な耐久性、膜強度が得られる。特に、平均厚みを0.01μm〜0.1μmの範囲とすれば、製造上の許容範囲が確保され得るので好ましい。
本発明は、下記条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たす断熱層とすることで、断熱性と透明性とを高く維持しうるとともに、ゾルゲル硬化物に起因して、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が安定に固定化されるとともに、高い強度と耐久性とを実現し得ることが好ましい。例えば、断熱層の厚みを0.005μm〜0.5μmという薄層としても、実用上問題のない耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性を有する断熱層を得ることができる。このため、断熱材料は種々の用途に好適に使用される。薄層を必要とする態様では、厚みは、0.005μm〜0.5μmとしてもよく、0.007μm〜0.3μmがさらに好ましく、0.008μm〜0.2μmがより好まく、0.01μm〜0.1μmが最も好ましい。このように断熱層をより薄層とすることで、断熱層の透明性がさらに向上し得る。
断熱層の平均厚みは、電子顕微鏡による断熱層断面の直接観察により、断熱層の厚みを5点測定し、その算術平均値として算出される。なお、断熱層の厚みは例えば、触針式表面形状測定器(Dektak(登録商標)150、Bruker AXS製)を用いて、断熱層を形成した部分と断熱層を除去した部分の段差として測定することもできる。しかし、断熱層を除去する際に支持体の一部まで除去してしまう恐れがあることり、また形成される断熱層が薄膜なため誤差が生じやすい。そのため、後述の実施例においては電子顕微鏡を用いて測定される平均厚みを記載している。
(マトリックス)
断熱層は、マトリックスを含んでもよい。ここで「マトリックス」は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を分散させた状態で固定化し、かつ、層を形成する樹脂成分の総称である。マトリックスを含むことにより、断熱層における金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の分散が安定に維持される上、支持体表面に断熱層を、直接形成した場合においても支持体と断熱層との強固な接着が確保される傾向がある。
マトリックスとしては、例えば、ゾルゲル硬化物、非感光性樹脂が挙げられる。
−ゾルゲル硬化物−
断熱層は、マトリックスとしての機能も有するゾルゲル硬化物を含むことが好ましく、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を含むことがより好ましい。
断熱層は、金属元素(a)を含みかつ平均短軸長が150nm以下である金属ナノワイヤ、並びに、ケイ素、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)のアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物を少なくとも含むことがより好ましい。
断熱層は、下記条件(i)又は(ii)の少なくとも一つを満たすことが好ましく、下記条件(ii)を少なくとも満たすことがより好ましく、下記条件(i)及び(ii)を満たすことが特に好ましい。
(i)断熱層に含まれる元素(b)の物質量と、断熱層に含まれる金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある。
(ii)断熱層においてゾルゲル硬化物の形成に使用されるアルコキシド化合物の質量と、断熱層に含まれる金属ナノワイヤの質量の比〔(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量)〕が0.25/1〜30/1の範囲にある。
断熱層は、前述の金属ナノワイヤの使用量に対するアルコキシド化合物の使用量の比率、即ち、〔(アルコキシド化合物の質量)/(金属ナノワイヤの質量)〕の比が0.25/1〜30/1の範囲で形成され得ることが好ましい。上記質量比が0.25/1以上である場合、断熱性(繊維状導電粒子の導電性が高いことに起因すると考えられる)と透明性が優れると同時に、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性及び耐屈曲性の全てが優れた断熱層となり得る。上記質量比が30/1以下である場合、導電性及び耐屈曲性が優れた断熱層となり得る。
上記質量比は、より好ましくは0.5/1〜25/1の範囲、更に好ましくは1/1〜20/1、最も好ましくは2/1〜15/1の範囲である。質量比を好ましい範囲とすることで、得られた断熱層は、高い断熱性と高い透明性(可視光透過率及びヘイズ)と、を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れることになり、好適な物性を有する断熱材料を安定的に得ることができる。
最適な態様として、断熱層において、元素(b)の物質量と、金属元素(a)の物質量との比〔(元素(b)のモル数)/(金属元素(a)のモル数)〕が0.10/1〜22/1の範囲にある態様が挙げられる。モル比は、より好ましくは0.20/1〜18/1、特に好ましくは0.45/1〜15/1、より特に好ましくは0.90/1〜11/1の範囲であり、さらにより特に好ましくは1.5/1〜10/1の範囲である。
モル比が上記範囲にあると、断熱層は、断熱性と透明性とが両立し、且つ、物性の観点からは、耐摩耗性、耐熱性、耐湿熱性に優れ、且つ、耐屈曲性にも優れたものとなり得る。
断熱層の形成時に用いられ得るアルコキシド化合物は、加水分解及び重縮合により消尽され、断熱層中にはアルコキシド化合物は実質的に存在しないが、得られた断熱層には、アルコキシド化合物由来のケイ素等である元素(b)が含まれる。含有するケイ素等の元素(b)と金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)との物質量比を上記範囲に調整することで、優れた特性を有する断熱層が形成される。
断熱層におけるアルコキシド化合物由来のケイ素、チタン、ジルコニア及びアルミニウムからなる群より選ばれる元素(b)成分、並びに、金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)成分は以下の方法で解析可能である。
即ち、断熱層をX線光電子分析(Electron Spectroscopy FOR Chemical Analysis(ESCA)に付することで、物質量比、すなわち、(元素(b)成分モル数)/(金属元素(a)成分モル数)の値を算出しうる。しかし、ESCAによる分析方法では元素によって測定感度が異なるために、得られた値は必ずしも直ちに元素成分のモル比を示すものではない。このため、予め元素成分のモル比が既知の断熱層を用いて検量線を作成し、その検量線から実際の断熱層の物質量比を計算することが可能となる。本明細書における、各元素のモル比は、上記方法に算出した値を用いている。
断熱材料は、高い断熱性と高い透明性を有すると共に、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ耐屈曲性に優れ得るという効果を奏することが好ましい。これらの効果は、断熱層が金属ナノワイヤを含み、かつアルコキシド化合物を加水分解及び重縮合して得られるゾルゲル硬化物であるマトリックスを含んでいることにより発現すると考えられる。すなわち、マトリックスとして一般的な有機高分子樹脂(例えば、(メタ)アクリル樹脂、ビニル重合系樹脂など)を含む断熱層の場合に比べて、断熱層に含まれるマトリックスの割合が少ない範囲であっても、空隙が少なく、且つ、架橋密度の高い緻密な断熱層が形成されるため、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れる断熱材料が得られる。そして、アルコキシド化合物由来の元素(b)/金属ナノワイヤ由来の金属元素(a)の含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲とされること、及び、0.10/1〜22/1の範囲とされていることと関連して、アルコキシド化合物/金属ナノワイヤの質量比が0.25/1〜30/1の範囲とされていることのいずれかを満たすことで、上記の作用がバランスよく高まり、断熱性と透明性が維持されつつ、耐摩耗性、耐熱性及び耐湿熱性に優れると同時に、耐屈曲性にも優れるという効果がもたらされるものと推定している。
−非感光性樹脂−
非感光性樹脂には、ポリマーが含まれる。ポリマーの具体例には、ポリメタクリル酸、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル))、ポリアクリレート、及びポリアクリロニトリルなどのポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、及びポリカーボネート)、フェノール又はクレゾール−ホルムアルデヒド(Novolacs(登録商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、及びポリフェニルエーテルなどの高芳香性を有する高分子、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、セルロース、シリコーン及びその他のシリコン含有高分子(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、及びフッ化炭素系重合体(例えば、ポリビニリデンフルオライド、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、又はポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロ−オレフィンの共重合体、及び炭化水素オレフィン(例えば、旭硝子株式会社製のLUMIFLON(登録商標))、及び非晶質フルオロカーボン重合体又は共重合体(例えば、旭硝子株式会社製のCYTOP(登録商標)又はデュポン社製のTeflon(登録商標)AF)が挙げられるがそれだけに限定されない。
(その他の添加剤)
断熱層は、必要に応じて架橋剤、分散剤、溶媒、金属酸化防止剤、他の導電性材料などの添加剤を含んでもよい。
−架橋剤−
架橋剤は、フリーラジカル又は酸及び熱により化学結合を形成させ得る化合物で、例えば、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたメラミン系化合物、グアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物、ウレア系化合物、フェノール系化合物若しくはフェノールのエーテル化合物、エポキシ系化合物、オキセタン系化合物、チオエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、又はアジド系化合物、メタクリロイル基又はアクリロイル基などを含むエチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、膜物性、耐熱性、溶剤耐性の点でエポキシ系化合物、オキセタン系化合物、エチレン性不飽和基を有する化合物が特に好ましい。
また、オキセタン樹脂は、1種単独で又はエポキシ樹脂と混合して使用することができる。特にエポキシ樹脂との併用で用いた場合には反応性が高く、膜物性を向上させる観点から好ましい。
断熱層中における架橋剤の含有量は、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の固形分の全質量を100質量部としたとき、1質量部〜250質量部が好ましく、3質量部〜200質量部がより好ましい。
−分散剤−
分散剤は、断熱層形成用組成物中における前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子が凝集することを防止しつつ分散させるために用いられる。分散剤としては、金属ナノワイヤを分散させることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、顔料分散剤として市販されている分散剤を利用でき、特に金属ナノワイヤに吸着する性質を持つ高分子分散剤が好ましい。このような高分子分散剤としては、例えばポリビニルピロリドン、BYK(登録商標)シリーズ(ビックケミー社製)、ソルスパース(登録商標)シリーズ(日本ルーブリゾール社製など)、アジスパー(登録商標)シリーズ(味の素株式会社製)などが挙げられる。
断熱層中における分散剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対し、0.1質量部〜50質量部が好ましく、0.5質量部〜40質量部がより好ましく、1質量部〜30質量部が特に好ましい。
バインダーに対する分散剤の含有量を0.1質量部以上とすることで、分散液中での金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の凝集が効果的に抑制され、50質量部以下とすることで、塗布工程において安定な液膜が形成され、塗布ムラの発生が抑制されるため好ましい。
−溶媒−
溶媒は、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子及びアルコキシド化合物を含む組成物を支持体の表面に膜状に形成するための塗布液とするために使用される成分であり、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブタノール、水、1−メトキシ−2−プロパノール、イソプロピルアセテート、乳酸メチル、N−メチルピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、プロピレンカーボネート、などが挙げられる。この溶媒は、前述の金属ナノワイヤの分散液の溶媒の少なくとも一部が兼ねていてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような溶媒を含む塗布液の固形分濃度は、0.1質量%〜20質量%の範囲であることが好ましい。
−金属腐食防止剤−
断熱層は金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の金属腐食防止剤を含有することが好ましい。このような金属腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばチオール類、アゾール類が好適である。
金属腐食防止剤を含有させることで、防錆効果を発揮させることができ、断熱層の経時による断熱性及び透明性の低下を抑制することができる。金属腐食防止剤は断熱層形成用組成物中に、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末で添加することで付与することができる。
金属腐食防止剤を添加する場合、断熱層中におけるその含有量は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有量に対して0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。
その他マトリックスとしては、前述の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の製造の際に使用された分散剤としての高分子化合物を、マトリックスを構成する成分の少なくとも一部として使用することが可能である。
−他の導電性材料−
断熱層には、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子に加え、他の導電性材料、例えば、導電性微粒子などを本発明の効果を損なわない限りにおいて併用しうる。効果の観点からは、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子(好ましくは、アスペクト比が10以上の金属ナノワイヤ)の含有比率は、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子を含む導電性材料の総量に対して体積基準で、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、75%以上が特に好ましい。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の含有比率を50%とすることにより、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子同士の密なネットワークが形成され、高い導電性を有する断熱層を容易に得ることができる。
また、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子以外の形状の導電性粒子は、断熱層における導電性に大きく寄与しない上に可視光領域に吸収を持つ場合がある。特に導電性粒子が金属であって、球形などのプラズモン吸収が強い形状ではないことが、断熱層の透明度が悪化しないようにする観点から好ましい。
ここで、金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の比率は、下記のように求めることができる。例えば、繊維状導電粒子が銀ナノワイヤであり、導電性粒子が銀粒子である場合には、銀ナノワイヤ水分散液をろ過して、銀ナノワイヤと、それ以外の導電性粒子とを分離し、誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置を用いてろ紙に残っている銀の量と、ろ紙を透過した銀の量とを各々測定し、金属ナノワイヤの比率を算出することができる。金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子のアスペクト比は、ろ紙に残っている金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子をTEMで観察し、300個の金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の短軸長及び長軸長をそれぞれ測定することにより算出される。
金属ナノワイヤなどの繊維状導電粒子の平均短軸長及び平均長軸長の測定方法は既述の通りである。
(断熱層の形成)
断熱層の形成方法は、特に制限はない。断熱層の形成時において、繊維状導電粒子の量を、全固形分量に比較して少なくして層を形成する方法が好ましい。その他の好ましい実施態様において、断熱層を支持体上に形成する方法としては、前述の平均短軸長が150nm以下の金属ナノワイヤと前述のアルコキシド化合物とを、その質量比(すなわち、(アルコキシド化合物の含有量)/(金属ナノワイヤの含有量))が0.25/1〜30/1の範囲となるように、或いはアルコキシド化合物に由来する元素(b)と金属ナノワイヤに由来する金属元素(a)との含有モル比が0.10/1〜22/1の範囲となるように、含む液状組成物(以下、「ゾルゲル塗布液」ともいう。)を、支持体上に塗布して塗膜を形成すること、及び、この液膜中でアルコキシド化合物の加水分解と重縮合の反応(以下、この加水分解と重縮合の反応を「ゾルゲル反応」ともいう。)を起こさせることにより断熱層を形成することが好ましい。この方法は、更に必要に応じて、断熱層形成用組成物中に溶媒として含まれ得る水を加熱により蒸発させること(乾燥)を含んでもよく含まなくてもよい。
ある実施態様では、ゾルゲル塗布液は、金属ナノワイヤの水分散液を調製し、これとアルコキシド化合物とを混合して調製されてもよい。ある実施態様では、アルコキシド化合物を含む水溶液を調製し、この水溶液を加熱してアルコキシド化合物の少なくとも一部を加水分解及び重縮合させてゾル状態とし、このゾル状態にある水溶液と金属ナノワイヤの水分散液とを混合してゾルゲル塗布液を調製してもよい。
ゾルゲル反応を促進させるために、酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが反応効率を高められるので、実用上好ましい。
断熱層を支持体上に形成する方法には特に制限はなく、一般的な塗布方法で行うことができ、目的に応じて適宜選択することができる。例えばロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法が挙げられる。
−有機溶剤−
上記の断熱層形成用組成物は、必要に応じて、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤を含有することにより支持体上に、より均一な液膜を形成することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
断熱層形成用組成物が有機溶剤を含む場合、組成物の全質量に対して50質量%以下の範囲が好ましく、更に30質量%以下の範囲がより好ましい。
支持体上に形成されたゾルゲル塗布液の塗布膜中においては、アルコキシド化合物の加水分解及び縮合の反応が起こるが、その反応を促進させるために、上記塗布膜を加熱、乾燥することが好ましい。ゾルゲル反応を促進させるための加熱温度は、30℃〜200℃の範囲が適しており、50℃〜180℃の範囲がより好ましい。加熱、乾燥時間は10秒間〜300分間が好ましく、1分間〜120分間がより好ましい。
[断熱材料の層構成]
本発明の断熱材料は、前述の遮熱材料と、遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された前述の断熱層と、を有するものであれば、形態は特に制限されない。断熱材料は、透明性及び生産性の観点から、フィルムである態様が好ましい。すなわち、本発明の断熱材料は、断熱フィルムであることが好ましい。
本発明の断熱材料の層構成としては、図3に一例を示すように、断熱層5と、支持体3と、金属含有層2と、有機粒子含有層1と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
[断熱材料の製造方法]
断熱材料は、前述の遮熱材料における支持体の金属含有層を有する側と反対側に、前述の断熱層を形成することで製造することができる。断熱層の形成方法は既述の通りである。
また、断熱材料における断熱層は、前述の遮熱材料の支持体の面上に形成されてもよく、遮熱材料が保護層を有する場合、保護層の面上に形成されてもよい。
断熱材料は、ロール状に製造されてもよく、シート状に製造されてもよい。断熱層を形成した後、ロール状に巻き取られてもよく、シート状にカットされてもよい。
<窓ガラス>
本発明の窓ガラスは、前述の遮熱材料又は前述の断熱材料と、粘着剤層と、ガラス基材と、をこの順に有する。
窓ガラスにおける遮熱材料又は断熱材料は、有機粒子含有層を有する側を粘着剤層に対向させて配置されていることが好ましい。
(ガラス基材)
窓ガラスのガラス基材は、厚み0.5mm以上であることが好ましく、厚み1mm以上であることがより好ましく、ガラス基材の厚みに起因する熱伝導を抑制して温暖性を高める観点からは厚み2mm以上のガラス基材であることが特に好ましい。
ガラス基材は一般的には、板状のものが使用される。
ガラス基材としては、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラスが挙げられる。
なお、ガラス基材は、表面が平滑であることが好ましく、フロートガラスであることが特に好ましい。
窓ガラスの可視光透過率を求める際に、本発明の断熱材料を3mmの青板ガラスに貼り合わせて測定することが好ましい。3mmの青板ガラスについてはJIS A5759:2008に記載されているガラスを使用することが好ましい。
<粘着剤層>
窓ガラスは、粘着剤層を有する。窓ガラスにおける粘着剤層は、前述の遮熱材料又は前述の断熱材料の有機粒子含有層と接して配置されることが好ましい。
粘着剤層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。中でも屈折率の観点から、(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの材料からなる粘着剤層は、塗布により形成することができる。
さらに、粘着剤層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
粘着剤層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
また、粘着剤層としては、市販の両面テープを用いてもよい。両面テープとしては、例えば、パナクリーンPD−S1(パナック(株)製)が挙げられる。
窓ガラスにおける遮熱材料又は断熱材料は、遮熱又は断熱の効率の観点から、窓の内側、すなわち窓ガラスの室内側に貼り付けることが好ましい。
窓ガラスが断熱層を有する場合、断熱層は、その層の厚みにも依るが断熱層と室内側の最外面の距離が5μm以下にあることが断熱性を高める観点から好ましく、0.1μm以上5μm以下にあることがより好ましく、2μm以上4μm以下であることがさらに好ましい。
また、室内側の最外層又は最外層の次の層にあることが断熱性を高める観点から好ましく、室内側の最外層にあることがより好ましい。
窓ガラスは、有機粒子含有層をなるべく太陽光側に設置している方が、室内へ入射しようとする赤外線をあらかじめ反射できるため好ましい。具体的には、有機粒子含有層の上に粘着剤層を設け、その粘着剤層を介してガラス基材へ貼合される。
窓ガラスに遮熱材料又は断熱材料を貼り付ける際、遮熱材料又は断熱材料の有機粒子含有層の上に粘着剤層を塗工、若しくは、粘着剤層をラミネートにより設け、あらかじめガラス基材表面と粘着剤層表面に界面活性剤(主にアニオン系)を含んだ水溶液を噴霧してから、粘着剤層を介してガラス基材に遮熱材料又は断熱材料を設置する。
水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は低く、ガラス基材表面では本発明の遮熱材料又は断熱材料の位置の調整が可能である。ガラス基材に対する遮熱材料又は断熱材料の貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いてガラス基材と遮熱材料又は断熱材料の間に残る水分をガラス中央から端部に向けて掃き出すことにより、ガラス基材表面に遮熱材料又は断熱材料を固定できる。このようにして、窓ガラスに遮熱材料又は断熱材料を設置することが可能である。
[窓ガラスの構成]
本発明の窓ガラスの構成としては、図4に一例を示すように、ガラス基材7と、粘着剤層6と、有機粒子含有層1と、金属含有層2と、支持体3と、がこの順で積層されている態様が挙げられる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<平板状金属粒子の調製>
−銀平板粒子分散液Aの調製−
高Cr−Ni−Moステンレス鋼(NTKR−4、日本金属工業(株)製)製の反応容器にイオン交換水13L(リットル)を計量し、ステンレス鋼(SUS316L)製のシャフトにNTKR−4製のプロペラ4枚及びNTKR−4製のパドル4枚を取り付けたアジターを備えるチャンバーを用いてイオン交換水を100rpmで撹拌しながら、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lを添加して35℃に保温した。この溶液に8.0g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液0.68Lを添加し、更に0.04Nの水酸化ナトリウム水溶液を用いて23g/Lに調製した水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.041Lを添加した。更に0.10g/Lの硝酸銀水溶液13Lを5.0L/minで添加した。
その後、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lとイオン交換水11Lを添加して、更に80g/Lのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液0.68Lを添加した。撹拌の速度を800rpmに上げて、0.10g/Lの硝酸銀水溶液8.1Lを0.95L/minで添加した後、30℃に降温した。
44g/Lのメチルヒドロキノン水溶液8.0Lを添加し、次いで、後述する40℃のゼラチン水溶液を全量添加した。撹拌の速度を1200rpmに上げて、後述する亜硫酸銀白色沈殿物混合液を全量添加して調製液を得た。
調製液のpH変化が止まった段階で、1N(1mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液5.0Lを0.33L/minで添加した。その後、2.0g/Lの1−(m−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム水溶液(NaOHとクエン酸(無水物)とを用いてpH=7.0±1.0に調節して溶解した)0.18Lを添加し、更に70g/Lの1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(NaOHで水溶液をアルカリ性に調節して溶解した)0.078Lを添加した。このようにして銀平板粒子分散液Aを調製した。
−ゼラチン水溶液の調製−
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水16.7Lを計量した。SUS316L製のアジターで低速撹拌を行いながら、脱イオン処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量20万)1.4kgを添加した。更に、脱イオン処理、蛋白質分解酵素処理、及び過酸化水素による酸化処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量2.1万)0.91kgを添加した。その後40℃に昇温し、ゼラチンの膨潤と溶解を同時に行って完全に溶解させた。
−亜硫酸銀白色沈殿物混合液の調製−
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水8.2Lを計量し、100g/Lの硝酸銀水溶液8.2Lを添加した。SUS316L製のアジターで高速撹拌を行いながら、140g/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液2.7Lを短時間で添加して、亜硫酸銀の白色沈澱物を含む混合液を調製した。この混合液は、使用する直前に調製した。
銀平板粒子分散液Aをイオン交換水で希釈し、分光光度計((株)日立製作所製U−3500)を用いて分光吸収を測定したところ、吸収ピーク波長は900nmであり、半値全幅は270nmであった。
銀平板粒子分散液Aの物理特性は、25℃においてpH=9.4(アズワン(株)製KR5Eで測定)、電気伝導度8.1mS/cm(東亜ディーケーケー(株)製CM−25Rで測定)、粘度2.1mPa・s((株)エー・アンド・デイ製SV−10で測定)であった。得られた銀平板粒子分散液は、ユニオンコンテナーII型(低密度ポリエチレン製、販売元:アズワン(株))の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。
−平板状金属粒子分散液の脱塩及び再分散−
前述の銀平板粒子分散液Aを遠沈管に800g採取して、1N(1mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)及び/又は1N(1mol/L)の硫酸を用いて25℃でpH=9.2±0.2に調整した。遠心分離機(日立工機(株)製himacCR22GIII、アングルローターR9A)を用いて、35℃に設定して9000rpm60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を784g捨てた。沈殿した銀平板粒子に0.2mM(0.2mg/mol)のNaOH水溶液を加えて合計400gとし、撹拌棒を用いて手撹拌して粗分散液にした。これと同様の操作で24本分の粗分散液を調製して合計9600gとし、SUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、Pluronic31R1(BASF社製)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)を10mL添加した。プライミクス(株)製オートミクサー20型(撹拌部はホモミクサーMARKII)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の液温は50℃に保った。分散後、25℃に降温してから、プロファイルIIフィルター(日本ポール(株)製、製品型式MCY1001Y030H13)を用いてシングルパスの濾過を行った。
このようにして、分散液に脱塩処理及び再分散処理を施して、銀平板粒子分散液Bを調製した。
銀平板粒子分散液Bの分光透過率を、銀平板粒子分散液Aと同様の方法で測定したところ、吸収ピーク波長及び半値幅は銀平板粒子分散液Aとほぼ同じ結果であった。
分散液Bの物理特性は、25℃においてpH=7.6、電気伝導度0.37mS/cm、粘度1.1mPa・sであった。得られた銀平板粒子分散液Aは、ユニオンコンテナーII型の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。なお、pH、電気伝導度、及び粘度は、上記の銀平板状粒子分散液Aと同様の方法で測定した。
−平板状金属粒子の評価−
銀平板粒子分散液Aの中には、六角形状乃至円形状及び三角形状の平板粒子が生成していることを確認した。
銀平板粒子分散液Aの透過型電子顕微鏡(TEM)観察により得られた像を、画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施した。数視野のTEM像から任意に抽出した200個の粒子に関して画像解析を行い、同面積円相当直径を算出した。これらの母集団に基づき統計処理した結果、平均直径は120nmであった。
レーザー回折・散乱式の粒子径・粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300II(日機装(株)製、粒子透過性は反射に設定)を用いて銀平板粒子分散液Aを測定して、メジアン径D50=48nm、D10=33nm、D90=70nm、及び平均粒径(体積加重)51nmの結果を得た。また、平板状の金属粒子を測定したところ97個数%であった。
銀平板粒子分散液Bを同様に測定したところ、粒度分布の形状も含め銀平板粒子分散液Aとほぼ同じ結果を得た。
銀平板粒子分散液Bをシリコン基板上に滴下して乾燥し、銀平板粒子の個々の厚みをFIB−TEM(Focused Ion Beam−Transmission Electron Microscope)法により測定した。銀平板粒子分散液B中の銀平板粒子10個を測定して平均厚みは8nmであった。
<金属含有層用塗布液の調製>
下記に示す組成となるように金属含有層用塗布液を調製した。
−銀平板粒子含有遮熱層塗布液−
水性ウレタン樹脂・・・0.27部
(ハイドランHW350、DIC(株)製、固形分30質量%)
銀平板粒子分散液B・・・16.24部
1−(メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール・・・0.61部
(和光純薬工業(株)製、固形分2質量%のアルカリ性水溶液を調製)
界面活性剤・・・0.96部
(リパール870P、ライオン(株)製、固形分1質量%、アニオン系界面活性剤)
界面活性剤・・・1.19部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1.0質量%、ノニオン系界面活性剤)
メタノール・・・30.00部
蒸留水・・・50.73部
<有機粒子含有層用塗布液の調製>
下記に示す組成となるように有機粒子含有層用塗布液1を調製した。
−有機粒子含有層用塗布液1の組成−
水・・・52.7部
架橋剤・・・6.0部
(カルボジライト(登録商標)V−02−L2、日清紡ケミカル(株)製、固形分20質量%)
アクリルバインダー・・・1.7部
(AS−563A、ダイセルファインケム(株)製、固形分27.5質量%)
界面活性剤・・・8.2部
(ラピゾール(登録商標)A−90、日油(株)製、固形分1.0質量%、アニオン系界面活性剤)
界面活性剤・・・11.4部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1.0質量%、ノニオン系界面活性剤)
ウレタンバインダー・・・18.6部
(タケラック(登録商標)WS5100、三井化学(株)製、固形分30質量%)
有機粒子・・・1.3部
(MP−300、平均粒子径0.1μm、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子)
−有機粒子の平均粒子径の測定−
有機粒子の平均粒子径は、有機粒子100個の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)撮影を行い、その粒子径を測定し算術平均値を求めることによって得た。粒子径は、円形である場合にはその直径で表し、円形以外の不定形であれば、その投影面積を円相当に換算し、そのときの直径を、画像処理測定装置(ルーゼックス AP;株式会社ニレコ製)を用いて測定した。
−有機粒子のガラス転移温度の測定−
有機粒子のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計「X−DSC7000」(SII・ナノテクノロジー社製)を用いて下記の条件にて測定した。測定は、同一の試料について2回実施し、2回目の測定結果を採用した。
条件
・測定室内の雰囲気:窒素(50mL/min)
・昇温速度:5℃/min
・測定開始温度:−100℃
・測定終了温度:200℃
・試料パン:アルミニウム製パン
・測定試料の質量:5mg
・Tgの算定:DSCチャートの下降開始点と下降終了点の中間温度の小数点以下を四捨五入することでTgを算定した。
<保護層用塗布液の調製>
下記に示す組成となるように保護層(ハードコート層)用塗布液を調製した。
−ハードコート層用塗布液の組成−
エポキシ基含有アルコキシシラン・・・8.8部
(KBE−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業(株)製)
エポキシ基非含有アルコキシシラン・・・2.7部
(KBE−04(テトラエトキシシラン)、信越化学工業(株)製)
酢酸水溶液・・・18.3部
((株)ダイセル製、工業用酢酸の1質量%水溶液)
金属錯体・・・2.6部
(アルミキレートD、川研ファインケミカル製、76質量%イソプロピルアルコール(IPA)溶液)
無機粒子・・・23.4部
(スノーテックス(登録商標)OYL、平均粒子径100nm、日産化学工業(株)製、固形分35質量%)
界面活性剤・・・3.3部
(ラピゾール(登録商標)A−90、日油(株)製、固形分1質量%、アニオン系界面活性剤)
界面活性剤・・・2.3部
(ナロアクティー(登録商標)CL−95、三洋化成工業(株)製、固形分1質量%、ノニオン系界面活性剤)
水・・・38.6部
ハードコート層用塗布液の調製は以下の手順で行った。
酢酸水溶液(1質量%酢酸)にエポキシ基含有アルコキシシラン(KBE−403)を添加して十分に加水分解した後、エポキシ基非含有アルコキシシラン(KBE−04)を添加して混合液を得た。このとき添加したアルコキシシラン全量(KBE−403とKBE−04の合計量)に対するKBE−403の割合は76.5質量%とした。次いで、上記の混合液に金属錯体(アルミキレートD)を、エポキシ基含有アルコキシシランに対して必要な質量部添加し、さらに無機粒子(スノーテックス(登録商標)OYL)、界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A−90)、及び界面活性剤(ナロアクティー(登録商標)CL−95)、及び水を添加してハードコート層用塗布液とした。
(実施例1)
<遮熱フィルムの作製>
支持体となるロール形態のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製コスモシャイン(登録商標)A4300、幅:1320mm、厚み:75μm、両面易接着層処理、屈折率1.66)を15m/分の速度で搬送し、金属含有層用塗布液をワイヤーバーにより10.6ml/mとなるように塗布し、140℃で乾燥処理を施して、銀平板粒子を含む金属含有層を設けた。塗布乾燥後の厚みは10nmであった。
金属含有層の塗布乾燥に続けて、金属含有層上に有機粒子含有層用塗布液1をワイヤーバーの6番を用いて10.35ml/mとなるように塗布し、135℃で2分間、乾燥処理を施して有機粒子含有層を設けた。塗布乾燥後の厚みは0.6μmであった。
支持体の金属含有層を有する側とは反対側の面に、コロナ処理を施し、上記で調製したハードコートフィルム用水溶液を乾燥後の層の厚みが1.0μmになるようにワイヤーバーの7番を用いて塗布し150℃にて2分間乾燥させ、ハードコート層を形成した。
保護層の塗布後、23±2℃、相対湿度55±5%の温湿度条件下で塗布済支持体を巻き取り、ロール形態の遮熱フィルムを得た。巻取長は2200mであった。
このようにして、遮熱フィルムである実施例1の試料を作製した。
なお、各層の厚みは、遮熱フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより算出する方法、FIB−TEM法で断面切削加工及び観察を行って算出する方法を適宜使用した。10点測定の平均値を対象層の厚みとした。
(実施例2〜実施例13、比較例1〜比較例6)
実施例1において用いた有機粒子含有層用塗布液1を下記表1又は表2に示す組成になるように調製した塗布液に変更した以外は実施例1と同様にして各実施例及び各比較例の遮熱フィルムを作製した。
表1中の成分の詳細は以下の通りである。
MP−300:平均粒子径0.1μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MP−1451:平均粒子径0.15μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MP−2200:平均粒子径0.35μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MP−1000:平均粒子径0.4μm、ガラス転移温度128℃、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−80H3wT:平均粒子径0.8μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−150:平均粒子径1.5μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−180TA:平均粒子径1.8μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−300:平均粒子径3.0μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−500:平均粒子径5.0μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−1000:平均粒子径10μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
MX−1500H:平均粒子径15μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
ケミパール(登録商標)W900:平均粒子径0.8μm、ガラス転移温度132℃、三井化学(株)製、ポリオレフィンラテックス粒子
SX−130H:平均粒子径1.3μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、スチレン粒子
表2中の成分の詳細は以下の通りである。
MX−2000:平均粒子径20μm、ガラス転移温度200℃以上、綜研化学(株)製、ポリメチルメタクリレート粒子
シーホスターKE−W30:平均粒子径0.3μm、ガラス転移温度200℃以上、(株)日本触媒製、シリカ粒子
シーホスターKE−P100:平均粒子径1.0μm、ガラス転移温度200℃以上、(株)日本触媒製、シリカ粒子
シーホスターKE−P250:平均粒子径2.5μm、ガラス転移温度200℃以上、(株)日本触媒製、シリカ粒子
セロゾール524:中京油脂(株)製、ガラス転移温度82℃、有機ワックス
(実施例14〜実施例29)
実施例1において用いた有機粒子含有層の塗布液を下記表3又は表4に示す組成になるように調製した塗布液に変更し、有機粒子含有層の厚み又は有機粒子の含有量を変更した以外は実施例1と同様にして各実施例の遮熱フィルムを作製した。
(実施例30)
実施例6の遮熱フィルムにおいて、ハードコート層上に断熱層を設けて、断熱フィルムを作製した。
<銀ナノワイヤ水分散液の調製>
予め、下記の添加液A、G及びHを調製した。
(添加液A)
硝酸銀粉末5.1gを純水500mLに溶解した。その後、1N(1mol/L)のアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が100mLになるように純水を添加した。
(添加液G)
グルコース粉末1gを280mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
(添加液H)
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末4gを220mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
次に、以下のようにして、銀ナノワイヤ水分散液を調製した。
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL、及び添加液G 206mLをロートにて添加した。この液に、添加液A 206mLを流量2.0mL/分、攪拌回転数800rpmで添加した。その10分後、添加液Hを82.5mL添加した。その後、3℃/分で内温73℃まで昇温した。その後、攪拌回転数を200rpmに落とし、4時間加熱した。得られた水分散液を冷却した。
限外濾過モジュールSIP1013(商品名、旭化成株式会社製、分画分子量:6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコーン製チューブで接続し、限外濾過装置とした。
上述の冷却後の水分散液を限外濾過装置のステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。限外濾過モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。前述の洗浄を電気伝導度(東亜ディーケーケー(株)製CM−25Rで測定)が50μS/cm以下になるまで繰り返した後、濃縮を行い、0.84質量%銀ナノワイヤ水分散液を得た。得られた銀ナノワイヤ水分散液に含まれる銀ナノワイヤについて、以下に示す方法で、平均短軸長、平均長軸長、及び銀ナノワイヤの短軸長の変動係数を測定した。その結果、平均短軸長17.1nm、平均長軸長25.1μm、変動係数が17.9%の銀ナノワイヤを得たことがわかった。
<金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長の測定方法>
透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、商品名:JEM−2000FX)を用いて拡大観察される金属ナノワイヤから、ランダムに選択した300個の金属ナノワイヤの短軸長(直径)と長軸長を測定し、その平均値から金属ナノワイヤの平均短軸長(平均直径)及び平均長軸長を求めた。
<金属ナノワイヤの短軸長(直径)の変動係数の測定方法>
上記透過型電子顕微鏡(TEM)像からランダムに選択した300個のナノワイヤの短軸長(直径)を測定し、その300個についての標準偏差と平均値を計算することにより、求めた。標準偏差の値を平均値で割ることにより変動係数を求めた。
<断熱層の形成>
下記組成のアルコキシド化合物の溶液を60℃で1時間撹拌して均一になったことを確認した。調製した溶液をゾルゲル溶液とした。
(アルコキシド化合物の溶液)
・テトラエトキシシラン・・・5.0部
(商品名:KBE−04、信越化学工業(株)製)
・1質量%酢酸水溶液・・・10.0部
・蒸留水・・・4.0部
得られたゾルゲル溶液8.1部と、銀ナノワイヤ水分散液32.70部を混合し、さらに蒸留水で希釈してゾルゲル塗布液を得た。
上述の実施例6の遮熱フィルムの保護層上に、バーコート法で銀量が0.040g/m、全固形分塗布量が0.280g/mとなるように上記ゾルゲル塗布液を塗布した。その後、175℃で1分間乾燥してゾルゲル反応を起こさせて、断熱層を形成した。このようにして断熱フィルムを得た。
既述の方法で断熱層の平均厚みを測定したところ、0.20μmであった。
<遮熱フィルム又は断熱フィルムの評価>
上記で得られた実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムに対して以下の評価を行った。評価結果については表5に示す。
<ヘイズの測定>
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムに対して、粘着剤を貼り合わせて、遮熱フィルム、断熱フィルム又は比較フィルムに粘着剤層を形成した。粘着剤はパナック(株)製パナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μm、粘着剤層の一方に軽剥離セパレータを有し他方に重剥離セパレータを有する構成)を使用し、軽剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がして有機粒子含有層表面に貼り合わせた。
粘着剤貼り合わせ後の積層体を5cm×5cmのサイズにカットしヘイズ測定用サンプルとした。
ヘイズ測定用サンプルを、リアルパーフェクト(リンテック(株)製、施工液)の2.0質量%水希釈液に3時間浸漬した。
3時間経過後のヘイズ測定用サンプルのヘイズを日本電色工業(株)社製のNDH5000で測定した。測定の際、サンプルの粘着剤層を測定面とした。
−評価基準−
5 : ヘイズ値が5%以下である。
4 : ヘイズ値が5%より大きく、7.5%以下である。
3 : ヘイズ値が7.5%より大きく、10%以下である。
2 : ヘイズ値が10%より大きく、12.5%以下である。
1 : ヘイズ値が12.5%より大きい。
<密着性の評価>
75mm×25mmサイズにカットしたパナック(株)製のパナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μmの粘着フィルム)の軽剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がし、100mm×25mmサイズのガラスに貼り付けた。この際、粘着剤層の長辺の片端とガラスの長辺の片端とが揃うように貼り付けた。
その後、パナクリーンPD−S1の重剥離セパレータ(シリコーンコートPET)を剥がした。
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムをそれぞれ150mm×25mmサイズにカットした。
上記の各実施例及び比較例のフィルムの長辺の片端と、パナクリーンPD−S1及びガラスの長辺の端が揃っている側の端とが揃うように、フィルムの有機粒子含有層とパナクリーンPD−S1(粘着剤層)とを貼り合わせて密着性評価用サンプルとした。得られた密着性評価用サンプルは、フィルムと粘着剤層とガラスの長辺の片端が揃っており、75mm×25mmサイズの粘着剤層を介して、フィルムとガラスとが積層されている構成を有している。
得られた密着性評価用サンプルにおけるガラスの粘着剤層が積層されていない部分を引張試験機(テンシロン:A&D Company社製)のチャック(つかみ)で固定し、フィルムの粘着剤層が積層されていない部分を折り返すようにして、引張試験機のもう一方のチャックに固定した。
その後、上記の密着性評価用サンプルについて、100mm/minの速度で引張試験を行うことで剥離力を測定し、下記の評価基準に従いフィルムの有機粒子含有層と粘着剤層と密着性を評価した。
−評価基準−
OK : 剥離力が4N/25mm以上である。
NG : 剥離力が4N/25mm未満である。
<摩擦係数>
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、実施例30の断熱フィルム、及び比較例1〜比較例6の比較フィルムを、それぞれ130mm×100mmサイズ、並びに75mm×35mmサイズにカットした。
日東電工(株)製の両面粘着テープNo.532(厚み0.06mm、両面剥離ライナータイプ)を75mm×35mmにカットし、一方の剥離ライナーを剥がした。
上記75mm×35mmサイズにカットしたフィルムのハードコート層(実施例30の場合は断熱層)の表面に両面粘着テープを貼り合せた。
その後、両面粘着テープの他方の剥離ライナーを剥がし、新東科学(株)社製の静摩擦係数測定機TYPE:10の平面圧子に貼り付けた。
上記130mm×100mmサイズにカットしたフィルムの有機粒子含有層側の表面の短辺方向の両端に両面粘着テープをそれぞれ貼付け、静摩擦係数測定機の上昇板に貼り付けた。
静摩擦係数測定機の上昇板を上昇させ、各実施例のフィルムの有機粒子含有層の静摩擦係数を測定し、下記の基準に従い評価した。なお下記の評価基準において5は最も良好な結果である。
−評価基準−
5:静摩擦係数が0.4以上、0.7以下である。
4:静摩擦係数が0.3以上0.4未満、又は0.7を超えて0.8以下である。
3:静摩擦係数が0.2以上0.3未満、又は0.8を超えて0.9以下である。
2:静摩擦係数が0.1以上0.2未満、又は0.9を超えて1.0以下である。
1:静摩擦係数が0.1未満、又は1.0を超える。
表5中、「PMMA粒子」はポリメチルメタクリレート粒子を表し、「200以上」はガラス転移温度が200℃以上であることを表す。
表5より、いずれの実施例においてもヘイズ及び密着性の評価結果が良好であることがわかる。つまり、本発明の実施例の遮熱フィルム又は断熱フィルムは、粘着剤層との密着性に優れ、施工時の施工液に由来する透明性の低下が抑制された遮熱材料又は断熱材料であることがわかる。
<窓ガラスの作製>
実施例1〜実施例29の遮熱フィルム、及び実施例30の断熱フィルムを用いて、以下の要領で、パナック(株)製のパナクリーンPD−S1(粘着剤層の厚み25μm、粘着剤層の一方に軽剥離セパレータを有し他方に重剥離セパレータを有する構成)を介して建築物の窓ガラス表面に貼合し、遮熱フィルム又は断熱フィルムが配置された窓ガラスを作製した。
窓ガラスに遮熱フィルム又は断熱フィルムを貼合する際、あらかじめ窓ガラス表面と遮熱フィルム又は断熱フィルムに貼り合わせられた粘着剤層表面に界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)0.1質量%の水溶液を噴霧してから、粘着剤層を介して窓ガラスに遮熱フィルム又は断熱フィルムを設置した。
水分が蒸発するまでの間、粘着剤層の粘着力は落ちるため、ガラス表面では遮熱フィルム又は断熱フィルムの位置の調整を行った。窓ガラスに対する遮熱フィルム又は断熱フィルムの貼り付け位置が定まった後、スキージー等を用いて窓ガラスと遮熱フィルム又は断熱フィルムの間に残る水分をガラス中央から、端部に向けて掃き出し、窓ガラス表面に遮熱フィルム又は断熱フィルムを固定した。
このようにして、遮熱フィルム又は断熱フィルムを設置した窓ガラスを得た。
これらの窓ガラスは、実施例1〜実施例29の遮熱フィルム及び実施例30の断熱フィルムを用いているため、粘着剤層との密着性に優れ、施工時の施工液に由来する透明性の低下が抑制された。
1・・・有機粒子含有層
2・・・金属含有層
3・・・支持体
4・・・保護層
5・・・断熱層
6・・・粘着剤層
7・・・ガラス基材
10・・・遮熱材料
20・・・断熱材料
30・・・窓ガラス
a・・・金属粒子の(平均)厚み
D・・・金属粒子の(平均)粒子径又は(平均)円相当径

Claims (16)

  1. 支持体と、
    金属元素を含む金属含有層と、
    平均粒子径が0.1μm〜15μmであり、かつ、ガラス転移温度が100℃以上である有機粒子を含む有機粒子含有層と、
    をこの順に有し、
    前記金属含有層は、平板状金属粒子を含む遮熱材料。
  2. 前記平板状金属粒子が、平板状銀粒子である請求項に記載の遮熱材料。
  3. 前記有機粒子の平均粒子径が、0.35μm〜5.0μmである請求項1又は請求項2に記載の遮熱材料。
  4. 前記有機粒子含有層の厚みが、0.2μm〜1.5μmである請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  5. 前記有機粒子含有層の厚みに対する前記有機粒子の平均粒子径の比が、1.15〜3.75である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  6. 前記有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して0.5質量%〜5.5質量%である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  7. 前記有機粒子の含有量が、有機粒子含有層の全固形分に対して1.5質量%〜3.5質量%である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  8. 前記有機粒子のガラス転移温度が、200℃以上である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  9. 前記有機粒子は、疎水性樹脂の粒子である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  10. 前記有機粒子が、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの粒子である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  11. 前記有機粒子が、ポリメタクリル酸メチルの粒子である請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  12. 前記支持体の金属含有層を有する側と反対側に、無機粒子を含む保護層を有する請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  13. 前記有機粒子含有層は、有機粒子含有層の全固形分に対する有機ワックスの含有量が1質量%以下である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の遮熱材料。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の遮熱材料と、前記遮熱材料の支持体の金属含有層を有する側と反対側に配置された繊維状導電粒子を含む断熱層と、を有する断熱材料。
  15. 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の遮熱材料又は請求項14に記載の断熱材料と、粘着剤層と、ガラス基材と、をこの順に有する窓ガラス。
  16. 前記遮熱材料又は前記断熱材料は、前記有機粒子含有層を有する側を前記粘着剤層に対向させて配置されている請求項15に記載の窓ガラス。
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