JP6374872B2 - 生物材料特性の維持および保存方法 - Google Patents

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Description

本開示は、真核生物材料(例えば、材料および組織に関連する細胞)を、保存に伴う生物材料特性の損失を低減または防止しながら保存する方法に関する。本開示はさらに保存中の生物材料の(i)細胞外マトリックス透過性、含水量、およびグリコサミノグリカン含有量を含む、細胞外マトリックス完全性、ならびに(ii)細胞生存性の維持に関する。
過去数十年の間に、真核組織および細胞を保存するための保存方法および技術が開発された。これらの保存方法および技術は、人工細胞外マトリックス、人工組織、および天然組織中のさまざまな真核細胞をある時間、これらの保存された組織を後日、例えば患者への移植または薬剤もしくは化学物質スクリーニングバイオアッセイに使用することができるように、保存するためのものである。
これらの保存方法および技術は基礎研究および橋渡し研究の両方の環境において幅広く適用可能であるが、保存中に生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス完全性および細胞生存性)を維持することは課題のままである。例えば、現行の技術を用いて顕著に低下した細胞外マトリックス透過性および組織細胞生存性が観察されており、これらの低下により保存状態から取り出された後の生物材料機能は非効率的となり得る。
1つの例では、軟骨細胞および軟骨組織は各種保存技術を用いて保存され、その後保存状態から取り出され、骨軟骨同種移植片として用いられる。同種移植片は(1)外傷誘発性軟骨欠損および(2)変形性関節症により損傷した軟骨表面を修復することができる。米国では現在約2000万人の人々が変形性関節症の影響を受けていると推定されるため、変形性関節症を治療するための骨軟骨同種移植片としての軟骨細胞および軟骨組織の使用は重要である。よって、結果として、関節障害、骨粗鬆症性骨折、または内因性軟骨組織の欠損もしくは内因性軟骨組織の損傷により引き起こされる腰痛を患う人々を治療するための整形外科用インプラントを提供する大きな産業が成長した。
骨軟骨同種移植片は軟骨関連疾患治療の可能性を示すが、骨軟骨同種移植片移植の結果(すなわち、手術結果が成功か失敗か、等)は移植された関節軟骨組織の軟骨細胞生存性および細胞外マトリックス完全性に大きく左右される。現行の保存技術は軟骨組織の細胞外マトリックス完全性を満足に維持せず、特定の態様では、軟骨細胞生存性には向上の余地がある。例えば、軟骨細胞および軟骨組織の従来の凍結保存はこれらの細胞および組織をジメチルスルホキシド(DMSO)を含む溶液中で凍結するステップを含むが、これらの技術は氷生成による関節軟骨組織中の軟骨細胞の80〜100%の死および細胞外マトリックス損傷をもたらす。
上述したように凍結保存結果が悪いため、結局いわゆる「未処理」の関節セグメント(すなわち、軟骨細胞および/または軟骨組織同種移植片)を移植することが慣例となった。例えば、ドナーからの骨軟骨組織移植片は一般的にはドナーの死の24時間以内に摘出され、軟骨欠損症の修復のため4℃で最大42日間保存される。また、市販の未処理の骨関節同種移植片は少なくとも17日間保存され、移植前に血清および微生物検査が行われ、レシピエントにおける感染症の可能性を最小化する。
骨軟骨同種移植片移植は(1)外傷誘発性軟骨欠損および(2)変形性関節症により損傷した軟骨表面を修復するための効果的な治療であるが、保存中に軟骨組織の軟骨細胞生存性および細胞外マトリックス完全性を維持するには依然として多くの課題が存在する。最近の研究が示すように、同種移植片移植の成功を促進するには軟骨細胞生存性および細胞外マトリックス完全性の両方を維持することが重要となり得る。例えば、保存中または保存状態から取り出した後に細胞生存性および/またはマトリックス完全性が低下する場合、移植成功の可能性も低下し得る。これらの課題は人工または天然組織中のほとんどの真核細胞が抱えている。よって、新規真核組織および細胞保存技術は有用である。
本明細書には生物材料を保存するための組成物および方法が記載される。特定の態様では、これらの生物材料は真核細胞および真核組織、例えば軟骨細胞および軟骨組織を含む。本明細書に記載される方法は、これらの生物材料を、保存中または生物材料を保存状態から取り出した後に起こる、生物材料特性、例えば細胞外マトリックス透過性および軟骨細胞生存性の損失を低減または防止するように保存するステップを含む。特定の態様では、これらの生物材料は動物由来生成物を含み得る溶液中に入れられ、後ほど使用するために保存される。特定の態様では、本明細書に記載される溶液は生物材料特性の損失を防止または低減する作用剤を含有し、特定の態様では、この作用剤は少なくとも1つの酵素の阻害剤を含むことができる。例えば、この作用剤は、それぞれ、これらに限定されないが、内因性のメタロプロテイナーゼ組織阻害剤(TIMP)、TIMP合成を制御する化合物、またはドキシサイクリンを含むことができる、天然または合成マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を含むことができる。
本開示の利点は以下の説明において部分的に説明され、または後述する態様の実施により理解され得る。後述する利点は添付の特許請求の範囲においてとくに指摘される要素および組み合わせにより実現および入手される。前記の一般的な説明および下記の詳細な説明の両方は例示的および説明的なものにすぎず、限定的なものではないことが理解されるべきである。
軟骨細胞が4つの異なる溶液中で28日間保存された後の軟骨細胞生存性および増殖性を比較するグラフである。生存性および増殖性は各試料の相対蛍光単位(RFU)を測定することにより定量化された。 4つの異なる溶液中での低温保存中に起こる高い細胞生存性と軟骨組織マトリックス透過性および導電性の損失との間の相関係数(R)を示すグラフである。図2に示されるように、相関係数は保存後回復組織培養の4日間で0.78から0.90まで増加した。 低張生理食塩水中の軟骨試料の導電性に基づく軟骨組織透過性に対する低温保存の影響を示すグラフである。 軟骨組織の力学特性(例えば、クリープ圧縮)を定量化するのに用いられる圧縮チャンバーの概略図である。 さまざまな保存間隔後の軟骨細胞生存性に対するドキシサイクリン濃度の影響を示すグラフである。 さまざまな濃度のドキシサイクリン中での1ヶ月の冷蔵保存後のブタ軟骨プラグ導電性に対する影響を示すグラフである。
開示される方法および組成物は、下記の特定の実施形態の詳細な説明、本明細書に含まれる実施例、ならびに図面およびその説明を参照してより容易に理解され得る。後述する態様は、もちろん構成変更され得る、記載のような具体的な組成物および/または方法に限定されるものではない。
本出願を通してさまざまな刊行物が参照される。これらの刊行物、および以下の参考文献リストに含まれる刊行物の全開示はこれによって本出願に参照により組み入れられ、本開示の属する技術分野の状況をより完全に説明する。開示される参考文献も参照される具体的な部分について本明細書に参照により個別かつ具体的に組み入れられる。
濃度、量、および他の数値データは本明細書では範囲形式で表現または表示され得る。こうした範囲形式は単に便利さおよび簡潔さのために用いられ、よって範囲の限界として明示的に挙げられる数値だけでなく、範囲内に含まれる個別の数値または部分範囲も各数値および部分範囲が明示的に挙げられているかのように含むと柔軟に解釈されるべきであると理解されるものである。例として、「約1〜5」の数値範囲は約1から約5までの明示的に挙げられる値だけでなく、2、3および4のような個別の値、1〜3、2〜4、および3〜5、等のような部分範囲、ならびに個別に1、2、3、4および5も含むと解釈されるべきである。同じ原理が最小または最大として1つの数値のみが挙げられる範囲に適用される。さらに、こうした解釈は範囲の幅または説明される特徴に関係なく適用されるべきである。
本明細書および下記の特許請求の範囲では、いくつかの用語が用いられ、下記の意味を有すると定義される。
「動物生成物を含まない」溶液は、いずれの動物生成物またはさらに以下で記載する生物材料を除くいずれの動物由来生成物も含まない溶液を含む。「動物生成物」としては、成長因子を含み、従来の細胞培養によく用いられる動物由来生成物である、ウシ胎児血清(FBS)を挙げることができる。よって、1つの例では、「動物生成物を含まない」溶液としてはFBSを含まない溶液を挙げることができる。
「生物材料」の語は非植物、哺乳類真核細胞および組織を含む。
本明細書には生存可能な生物材料およびこうした生物材料の保存方法が記載される。特定の態様では、これらの生物材料は人工および天然両方の組織中の真核細胞を含み、本明細書に記載される方法は、これらの生物材料を、保存中または生物材料を保存状態から取り出した後に起こる生物材料特性の損失を低減または防止(例えば、細胞外マトリックス完全性、組織細胞生存性、またはこれらの組み合わせの損失を低減または防止)するように保存するステップを含む。特定の態様では、これらの生物材料は、生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含有する、動物生成物を含まない溶液を含むことができる、溶液中に入れられる。その後、少なくとも1つの作用剤を含有する溶液中に入れられた生物材料は次に特定の温度範囲でこれらの生物材料がさらに必要となるまで保存される。少なくとも1つの作用剤の濃度は、生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス完全性および細胞生存性)が最大化されるように最適化される。
特定の態様では、生物材料は一次細胞(例えば、非不死化細胞および/または組織)および不死化細胞を含むいずれかの非植物、哺乳類真核細胞および/または組織を含むことができる。特定の態様では、生物材料は天然および人工組織および細胞を含むことができる。天然および人工生物材料の例としては、これらに限定されないが、軟骨細胞、軟骨組織、骨芽細胞、破骨細胞、骨、組織プラグ、同種移植片組織プラグ、軟骨組織プラグ、角膜、心臓弁、血管、尿管、腸、皮膚、歯、腫瘍生検、椎間板または体、靭帯、腱、等を挙げることができる。少なくとも1つの態様では、生物材料は少なくとも軟骨細胞、軟骨組織、またはこれらの組み合わせを含む。他の態様では、生物材料は軟骨細胞、細胞組織、またはこれらの組み合わせのみを含む。特定の態様では、生物材料は自家移植片組織、同種移植片組織、および異種移植片組織を含む。例えば、適切なヒト移植片組織に関して、同種移植片組織および/または組織プラグはヒトドナーから誘導することができる。異種移植片組織は医療用にブタドナー、ウシドナー、ヒツジドナー、ウマドナー、またはその他の種から誘導することができる。本明細書に記載される組織は動物種から同種間の獣医用途に誘導してもよく、例としてはイヌ、ネコ、ヒツジ、ウシ、およびウマが挙げられる。
本明細書に記載される組織および細胞を本明細書に記載される組成物および方法で用いる場合、1つの目的は細胞外マトリックス完全性の損失を防止および/または細胞生存性の損失を低減もしくは防止することである。例えば、細胞外マトリックス完全性は細胞外膜透過性、細胞外膜含水量、細胞外膜グリコサミノグリカン含有量、またはこれらの組み合わせに基づいて測定することができる。特定の態様では、1つの目的は、生物材料を保存し、細胞外マトリックス完全性の損失を防止または低減しながら、細胞外膜透過性、細胞外膜含水量、細胞外膜グリコサミノグリカン含有量、またはこれらの組み合わせの少なくとも1つを維持することである。生物材料のマトリックス完全性を測定する場合、当技術分野において知られる多数の技術を用いることができる。これらの技術としては、透過性、含水量、およびグリコサミノグリカン含有量を測定するマトリックス導電性アッセイ、押込み試験、応力/歪み試験、弾性、ラマン分光法、各種顕微鏡法(例えば第2次高調波発生を伴うレーザー走査顕微鏡法)、等が挙げられる。上でさらに記載したとおり、別の目的は生物材料の細胞生存性の損失を低減または防止することである。特定の態様では、本明細書に記載される組成物および方法を用い、これらに限定されないが、壊死性細胞死、アポトーシス細胞死、オートファジー(II型)細胞死、アノイキス、およびネクロプトーシスを含む、さまざまなタイプの細胞死を低減または防止することができ、特定の態様では、これらのタイプの細胞死は以下でさらに記載するような作用剤の使用により限定することができる。また、代謝活性アッセイ(例えば、レサズリンアッセイ)、各種細胞染色技術(例えば、トリパンブルー色素排除アッセイおよび生/死染色)、免疫組織化学、生化学および各種遺伝子発現アッセイを用いることができる。
1つの態様において、マトリックスを含有する組織が生物材料として用いられる場合、細胞外マトリックス完全性の損失および細胞生存性の損失を防止または低減することは、組織の構造的完全性および正常な生物学的機能を維持するために重要である。例えば、軟骨組織は軟骨細胞(すなわち、細胞)および細胞外マトリックスを含有し、細胞外マトリックスは主にコラーゲン線維、プロテオグリカン、およびエラスチン線維からなる。軟骨細胞生存性および軟骨組織細胞外マトリックス完全性の両方は、インビボ、エクスビボおよびインビトロ用途において正常な生理学的、生物学的機能を維持するために重要である。例えば、軟骨組織の細胞外マトリックスは構造的完全性を提供し、インビボで特定のレベルの剛性を維持し、骨サポート、適切な関節可動性、等において機能する。特定の態様では、軟骨組織の細胞外マトリックスの透過性はとくに重要である。例えば、軟骨組織透過性は軟骨組織の細胞外マトリックスの構造的完全性の維持およびまた軟骨細胞生存性の維持の促進に関連し、重要な役割を果たし得る。特定の態様では、軟骨組織の細胞外マトリックスの透過性の低下は軟骨細胞生存性の増加および軟骨組織細胞外マトリックス構造的完全性の低下に関連し得る。酵素のような細胞生成物の生成によるこの生存性の増加および構造的完全性の低下は、保存された軟骨組織がその後同種移植片移植に用いられる場合、移植の成功の可能性の低下をもたらし得る。よって、特定の態様では、軟骨細胞生存性の損失を低減および/または防止しながら軟骨組織細胞外マトリックス完全性の損失を防止または低減するのに本明細書に記載される方法および組成物が用いられ、特定の態様では、軟骨細胞生存性を最適化しながら同種移植片における軟骨組織細胞外マトリックス完全性の損失を低減および/または防止するのに本明細書に記載される方法および組成物が用いられる。
本明細書に記載される生物材料は、生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス完全性、細胞生存性、またはこれらの組み合わせ)の損失を防止または低減する溶液中に入れることができ、特定の態様では、この溶液は動物生成物を含まない(例えば、FBSを含まない)溶液とすることができ、または動物生成物を含有する(例えば、FBSを含む)ことができる。なお、生物材料を含む動物生成物を含有する溶液は以下の説明および実施形態にも適用される。特定の態様では、生物材料は溶液中に少なくとも部分的に浸漬され、他の態様では、生物材料は溶液中に完全に浸漬される。
1つの態様では、溶液は生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス完全性、細胞生存性、またはこれらの組み合わせ)の損失を防止または低減する少なくとも1つの作用剤を含む細胞外タイプ溶液とすることができる。例えば、細胞外タイプ溶液は、細胞および組織の正常な細胞外環境を模倣するイオン補体を有する等張性の血漿様溶液を含むことができる。これらの等張性の血漿様溶液は、生物材料(例えば、細胞および/または組織)に栄養補給のため各種アミノ酸および代謝物質を提供する細胞培地を含むことができる。例えば、細胞外タイプ溶液に用いられる細胞培地としては、これらに限定されないが、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、αMEM、グラスゴーMEM、ハムF−10、ハムF−12、レイボビッツL−15、イスコフ改変DMEM、DMEM/ハムF−12、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。細胞外タイプ溶液は動物生成物を含まないものとし、生物材料を細胞溶液中に入れる前に、細胞溶液が動物生成物を含有しないようにすることができる。例えば、細胞培地を用いる場合、細胞培地はウシ胎児血清(FBS)またはその他の動物由来の生成物を含有しない。
特定の態様では、溶液は細胞内タイプ溶液を含む。細胞内タイプ溶液としては、これに限定されないが、保存中に生物材料および細胞内タイプ溶液中の細胞間の水およびイオンの受動的交換を制限するように製剤された等張溶液を挙げることができる。例えば、細胞内タイプ溶液は細胞外空間中の塩素イオンを部分的に置換するラクトビオネートおよびグルコネートのような非透過性アニオンを含むことができ、これは細胞内部に閉じ込められたサイトゾルの巨大分子およびそれらの関連対イオンにより生成された細胞内膠質浸透圧のバランスをとる浸透促進を提供する。細胞内タイプ溶液としては、これらに限定されないが、VIASPAN(登録商標)(すなわち、ベルザー溶液)およびUNISOL(登録商標)(例えば、SPS−1)を挙げることができる。上述した細胞外タイプ溶液と同様に、細胞内タイプ溶液は動物生成物を含まないものとすることができる。
細胞内タイプ溶液に追加成分を添加し、細胞内タイプ溶液をさらに補完し、生物材料生存性をさらに促進することができる。例えば、これらの追加成分は生物材料の追加の栄養補給を提供し、これは生物材料の生存性の損失を低減または防止する。これらの追加成分としては、これに限定されないが、非動物由来(すなわち、合成由来)必須アミノ酸、合成由来非必須アミノ酸、合成由来ビタミン、合成由来脂質、合成由来炭水化物、またはこれらのいずれか組み合わせを有する栄養素カクテルを挙げることができる。栄養素カクテルに含まれる炭水化物の例としては、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース)、二糖類(例えば、マルトース、ラクトース、等)、またはこれらの組み合わせをさらに挙げることができる。カクテル中に提供されるアミノ酸の例としては、これらに限定されないが、グリシン、L−アルギニン、L−シスチン、L−グルタミン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、またはこれらのいずれかの塩を挙げることができる。カクテル中に提供されるビタミンの例としては、これらに限定されないが、コリン、D−カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、またはこれらのいずれかの塩のいずれかの組み合わせを挙げることができる。
上で示したとおり、生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス完全性、細胞生存性、またはこれらの組み合わせ)の損失を防止または低減する作用剤を溶液中に含めることができる。特定の態様では、作用剤は細胞外マトリックス完全性の損失を防止または低減することができる。例えば、細胞外マトリックス完全性の損失を防止または低減する作用剤は、例えば、対照と比較した場合、溶液中の細胞外マトリックス完全性の損失を防止または低減する小有機化合物、無機化合物、生体分子(例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー)、またはこれらのいずれかの組み合わせを含むことができる。特定の態様では、作用剤は生物材料の特性(例えば、細胞外マトリックス完全性)の損失を、例えば、対照と比較した場合、例えば、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または99%以上低減することができる。言い換えると、作用剤は生物材料の特性の損失を実質的にまたは完全に、例えば、対照と比較した場合、例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%防止することができる。特定の態様では、溶液は作用剤を1pM〜1000μM、1pM〜500μM、1pM〜30μM、1pM〜1000nM、1pM〜500nM、1pM〜250nM、100pM〜750μM、100pM〜500μM、100pM〜20μM、100pM〜1000nM、1pM〜750nM、1pM〜500nM、1pM〜250nM、1pM〜1nM、500pM〜500μM、500pM〜250μM、500pM〜100μM、500pM〜10μM、500pM〜1000nM、500pM〜750nM、500pM〜500nM、500pM〜250nM、500pM〜100nM、500pM〜1nM、1nM〜1000μM、1nM〜750μM、1nM〜500μM、1nM〜250μM、1nM〜100μM、1pM〜1μM、100nM〜1000μM、100nM〜750μM、100nM〜500μM、100nM〜250μM、100nM〜100μM、100pM〜1μM、250nM〜1000μM、250nM〜750μM、250nM〜500μM、250nM〜250μM、250nM〜100μM、250nM〜1μM、500nM〜1000μM、500nM〜750μM、500nM〜500μM、500nM〜250μM、100nM〜100μM、500nM〜1μM、750nM〜1000μM、750nM〜750μM、750nM〜500μM、750nM〜250μM、750nM〜100μM、750nM〜1μM、0.5μM〜1000μM、10μM〜950μM、20μM〜900μM、30μM〜850μM、40μM〜800μM、50μM〜750μM、60μM〜700μM、70μM〜650μM、80μM〜600μM、90μM〜550μM、100μM〜500μM、110μM〜450μM、120μM〜400μM、130μM〜350μM、140μM〜300μM、150μM〜250μM、160μM〜200μM、0.5μM〜100μM、1μM〜90μM、5μM〜90μM、10μM〜85μM、10μM〜75μM、20μM〜85μM、20μM〜65μM、30μM〜70μM、30μM〜50μM、40μM〜80μM、または40μM〜50μMの範囲内の濃度で含み、上記範囲内のいずれの濃度も範囲の終点となることができる。
1つの態様では、作用剤は生物材料の特性(例えば、細胞外マトリックス完全性)に影響を及ぼす酵素の活性を阻害または低減すると考えられる。よって、作用剤は生物材料の損傷(例えば、細胞外マトリックス損傷)の促進に関連する特定の酵素の酵素阻害剤として作用することができる。この態様では、酵素阻害剤を上述した範囲で用い、酵素の活性を阻害または低減し、生物材料特性の維持(例えば、細胞外マトリックス完全性の維持)を向上させることができる。1つの態様では、この酵素阻害剤としては具体的には、これに限定されないが、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を挙げることができる。
例えば、特定の態様ではMMPは、生物材料の少なくとも一部分の酵素分解によって生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス完全性)に悪影響を及ぼし、潜在的に保存後の生物材料機能を不十分なものにし得る。よって、特定の態様では、MMP阻害剤を用いることによりMMP酵素活性を低減または阻害することが望ましい。例えば、MMP阻害剤はMMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28またはこれらのいずれかの組み合わせの酵素活性を阻害または低減することができる。特定の態様では、MMP阻害剤はMMP1、MMP8、MMP9、MMP13、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つの酵素活性を低減または阻害する。特定の態様では、MMP阻害剤はMMP1、MMP8、MMP9、MMP13、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも2つの酵素活性を低減または阻害する。特定の態様では、MMP阻害剤はMMP1、MMP8、MMP9、MMP13、これらのいずれかの組み合わせの少なくとも3つの酵素活性を低減または阻害する。さらに、MMP阻害剤としては、これらに限定されないが、天然または合成マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤を挙げることができる。合成MMP阻害剤は一般的には触媒亜鉛原子をMMPの活性部位に密接に結合するキレート化基を含有する。一般的なキレート化基としてはヒドロキサメート、カルボキシレート、チオール、およびホスフィニルが挙げられる。特定の態様では、ヒドロキサメートはそれらの亜鉛原子の二座キレート化によりMMPのとくに強力な阻害剤である。亜鉛キレート化剤としてはジエチルジチオカルバメート(DEDTC)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)カルシウムを挙げることができる。特定の態様では、本明細書に記載される阻害剤としては、これらに限定されないが、ドキシサイクリン、PCK3145(前立腺分泌タンパク質94のアミノ酸31〜45に対応する合成ペプチド)、BB−2516(マリマスタット)、BB−94(すなわち、(2R,3S)−N−ヒドロキシ−N1−[(1S)−2−(メチルアミノ)−2−オキソ−1−(フェニルメチル)エチル]−2−(2−メチルプロピル)−3−[(2−チエニルチオ)メチル]ブタンジアミドであるバチマスタット)、内因性メタロプロテイナーゼ組織阻害剤(TIMP)を制御する化合物(例えば、TIMP合成を制御する化合物)、またはこれらのいずれかの組み合わせを挙げることができる。例えば、天然化合物であるゲニピンはTIMP−1の発現を上方制御することが示された。理論に縛られることを望むものではないが、ゲニピンが誘発するTIMP−1の上方制御はMMP−2活性を低減または阻害し、特定の態様では、本明細書に記載される方法および組成物においてMMP酵素活性を阻害または低減するのにゲニピンを用いることができる。さらに、成長因子−β(TGF−β)シグナル伝達の変換は、コラーゲン生成および他の細胞外マトリックスタンパク質を刺激することにより、ならびにTIMP−1遺伝子の上方制御によりマトリックス分解を阻害することにより、細胞外マトリックス堆積において中心的な役割を果たすことが示された。したがって、本明細書に記載される方法とともに、TGF−βシグナル伝達を制御し、最終的にTIMP発現(例えば、TIMP−1発現)およびMMP阻害を制御する化合物を阻害剤として用いてもよい。
1つの態様では、生物材料は、生物材料の細胞外マトリックス完全性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤および細胞生存性の維持を促進する少なくとも1つ以上の追加の作用剤を含む溶液中に入れられる。
生物材料を上述した溶液のいずれかに入れた後、生物材料を保存することができる。例えば、生物材料を少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れた後、この混合物をさまざまな温度で保存し、生物材料の細胞外マトリックスの保存をさらに促進し、生物材料の生存性の損失をさらに防止または低減することができる。例えば、これらの温度は、これらに限定されないが、低温および常温を含むことができる。生物材料を低温で保存する場合、氷核を低減または防止することが好ましい。特定の態様では、低温としては、−25℃〜+35℃の範囲、−15℃〜+30℃の範囲、−5℃〜+25℃の範囲、−5℃〜+20℃の範囲、−5℃〜+15℃の範囲、−5℃〜+10℃の範囲、−5℃〜+5℃の範囲、0℃〜+10℃の範囲、0℃〜+9℃の範囲、0℃〜+8℃の範囲、0℃〜+7℃の範囲、0℃〜+6℃の範囲、0℃〜+5℃の範囲、0℃〜+4℃の範囲、0℃〜+3℃の範囲、0℃〜+2℃の範囲、+1℃〜+8℃の範囲、+1℃〜+6℃の範囲、+1℃〜+4℃の範囲、+1℃〜+3℃の範囲、+2℃〜+9℃の範囲、+2℃〜+6℃の範囲、+2℃〜+4℃の範囲、+3℃〜+8℃の範囲、+3℃〜+6℃の範囲、+3℃〜+5℃の範囲、+4℃〜+8℃の範囲、+4℃〜+6℃の範囲、+5℃〜+9℃の範囲、+5℃〜+7℃の範囲、+6℃〜+10℃の範囲、+6℃〜+8℃の範囲、+7℃〜+9℃の範囲、および+8℃〜+10℃の範囲の温度を挙げることができる。特定の態様では、生物材料に応じて、低温が好ましい場合があり得る。例えば、軟骨細胞および/または軟骨組織が生物材料である場合、軟骨細胞および/または軟骨組織は上述した低温を用いて保存することができる。例えば、軟骨細胞および/または軟骨組織が生物材料である場合、低温は好適には−25℃〜+35℃の範囲、より好適には−5℃〜+25℃の範囲、もっとも好適には0℃〜+10℃の範囲である。特定の態様では、生物材料は数時間、数日、数ヶ月または数年間保存することができる。例えば、軟骨細胞および/または軟骨組織(例えば、軟骨組織プラグ)を数時間〜3ヶ月、数時間〜2ヶ月、数時間〜1ヶ月、等の間保存することが好ましい場合があり得る。
特定の態様では、保存された生物材料の動物生成物を含まない溶液はさまざまな望ましい時間間隔で取り替えることができる。例えば、動物生成物を含まない溶液は、生物材料保存の期間を通して、保存された生物材料をさらなる使用のため保存状態から取り出すまで、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、等の間隔で取り替えることができる。
上述した方法および組成物を用いる場合、特定の態様では、生物材料は軟骨細胞および/または軟骨組織を含む。本開示の1つの目的は、その後の使用のための保存中の細胞外マトリックス材料特性の損失の低減または防止および生物材料の細胞生存性の維持の最適化を含む。この態様では、軟骨細胞および/または軟骨組織は細胞外マトリックス完全性の損失を少なくとも低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れられる。軟骨細胞および/または軟骨組織はMMP阻害剤を上述したような濃度で含む細胞外タイプ溶液中に入れることができ、この混合物はその後−25℃〜+30℃の範囲の低温である時間保存することができる。別の態様では、軟骨細胞および/または軟骨組織はMMP阻害剤を上述したような濃度で含む細胞内タイプ溶液中に入れることができ、特定の態様では、この細胞内タイプ溶液は任意で上述した栄養素カクテルをさらに含み、細胞生存性の維持を促進する。細胞内タイプ溶液中に入れられた軟骨細胞および/または軟骨組織はその後−25℃〜+25℃の範囲の低温である期間保存される。
1つの態様では、どの溶液が保存中に生物材料特性(例えば、細胞外マトリックス透過性、含水量を含む細胞外マトリックス完全性、細胞生存性、等)の損失をもっとも低減または防止するかを決定することが望ましい。生物材料特性の損失をもっとも低減または防止する方法および組成物をさらに決定する際、同じ生物材料を上述したような2つの異なる溶液(すなわち、細胞内タイプおよび細胞外タイプ)中に入れることができる。2つの溶液はともに生物材料の細胞外マトリックス特性の損失を低減または防止する作用剤を含有し、細胞内タイプ溶液は任意で栄養素カクテルを含有することができる。同じ生物材料を2つの異なる溶液中に入れた後、2つの異なる溶液中の生物材料は同様に(すなわち、同じ温度、同じ時間、等で)保存される。ある時間後、2つの異なる溶液中に入れられた同じ生物材料を保存状態から取り出すことができ、生物材料特性(例えば、細胞生存性、細胞外マトリックス透過性、等)が試験および比較され、どの方法および組成物が生物材料の生存性の損失をもっとも低減または防止するかが決定される。特定の態様では、これらの方法および技術は軟骨細胞および/または軟骨組織に適用され、どの溶液が保存中に生物材料完全性の損失をもっとも低減または防止するかがさらに決定される。
いくつかの実施態様では、本開示は、生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れられた生物材料を含む組成物に関する。生物材料特性は細胞外マトリックス完全性、細胞生存性、またはこれらの組み合わせを含み得る。細胞外マトリックス完全性は、例えば、細胞外マトリックス透過性、細胞外マトリックス含水量、細胞外マトリックスグリコサミノグリカン含有量、またはこれらのいずれかの組み合わせを含み得る。生物材料は真核組織を含み得る。いくつかの実施形態では、生物材料は軟骨組織を含み得る。いくつかの実施形態では、生物材料は細胞外マトリックス中の軟骨細胞を含む。いくつかの実施形態では、生物材料は生細胞を有する同種移植片材料を含む。いくつかの実施形態では、生物材料は生細胞および細胞外マトリックスを有する同種移植片材料を含み得、作用剤が細胞外マトリックス完全性、細胞生存性、またはこれらの組み合わせの損失を低減または防止する。こうした実施形態では、同種移植片材料は軟骨組織であり得る。実施形態では、溶液は動物生成物を含まない溶液、例えばウシ胎児血清を含まない溶液であり得る。いくつかの実施形態では、溶液は細胞外タイプ溶液、例えば、等張性細胞外タイプ溶液であり得る。いくつかの実施形態では、溶液は細胞内タイプ溶液、例えば等張性細胞内タイプ溶液であり得る。
いくつかの実施形態では、生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤は溶液中に100pM〜1mMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの作用剤は酵素阻害剤、例えば酵素活性を最小化し、細胞外マトリックス完全性を含む生物材料特性の損失を低減または防止する酵素阻害剤である。例えば、酵素阻害剤は少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ、例えばMMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28またはこれらのいずれかの組み合わせの1つ以上を阻害し得る。いくつかの実施形態では、酵素阻害剤は溶液中に1.0nM〜1000μMの範囲の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、酵素阻害剤はドキシサイクリン、TIMP、内因性TIMPを上方制御する化合物、PCK3145、BB−2516、およびBB−94からなる群から選択され得る。
いくつかの実施態様では、本開示は、生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れられた生物材料を含む組成物であって、溶液が等張性である細胞外タイプ溶液を含む動物生成物を含まない溶液であり、生物材料が細胞外マトリックスまたは軟骨組織中の軟骨細胞を含み、少なくとも1つの作用剤が1.0nM〜1mMの範囲の濃度を有するマトリックスメタロプロテイナーゼの酵素阻害剤を含む、組成物に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れられた生物材料を含む組成物であって、溶液が等張性である細胞内タイプ溶液を含む動物生成物を含まない溶液であり、生物材料が細胞外マトリックスまたは軟骨組織中の軟骨細胞を含み、少なくとも1つの作用剤が1.0nM〜1mMの範囲の濃度を有するマトリックスメタロプロテイナーゼの酵素阻害剤を含む、組成物に関する。
いくつかの実施態様では、本開示は、生物材料を生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れるステップを含む生物材料の保存方法に関する。いくつかの実施形態では、生物材料は天然または人工真核組織を含み得る。いくつかの実施形態では、生物材料は軟骨組織を含み得る。いくつかの実施形態では、生物材料は細胞外マトリックス中の軟骨細胞を含み得る。いくつかの実施形態では、生物材料は生細胞を有する同種移植片材料を含み得る。いくつかの実施形態では、生物材料は生細胞および完全な細胞外マトリックスを有する同種移植片材料を含み得る。いくつかの実施形態では、同種移植片材料は軟骨組織であり得る。いくつかの実施形態では、溶液は動物生成物を含まない溶液であり得る。いくつかの実施形態では、溶液は細胞外タイプ溶液、例えば等張性である細胞外タイプ溶液であり得る。いくつかの実施形態では、溶液は細胞内タイプ溶液、例えば等張性である細胞内タイプ溶液であり得る。いくつかの実施形態では、溶液はウシ胎児血清を含まない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの作用剤は溶液中に1.0nM〜1mMの範囲の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの作用剤は酵素阻害剤、例えば酵素活性を最小化して細胞外マトリックス完全性を含む生物材料特性の損失を低減または防止する酵素阻害剤であり得る。いくつかの実施形態では、酵素阻害剤は少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ、例えばMMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼを阻害し得る。いくつかの実施形態では、酵素阻害剤はドキシサイクリン、TIMP、内因性TIMPを上方制御する化合物、PCK3145、BB−2516、およびBB−94からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、本方法は溶液中に入れられた生物材料を−25℃〜+35℃の範囲の温度で保存するステップをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、溶液は細胞外タイプ溶液を含む動物生成物を含まない溶液であり、細胞外タイプ溶液は等張性であり、生物材料は細胞外マトリックスまたは軟骨組織中の軟骨細胞であり、少なくとも1つの作用剤は1.0nM〜1mMの範囲の濃度を有するマトリックスメタロプロテイナーゼの酵素阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、溶液は細胞内タイプ溶液を含む動物生成物を含まない溶液であり、細胞内タイプ溶液は等張性であり、生物材料は細胞外マトリックスまたは軟骨組織中の軟骨細胞であり、少なくとも1つの作用剤は1.0nM〜1mMの範囲の濃度を有するマトリックスメタロプロテイナーゼの酵素阻害剤を含む。
いくつかの実施態様では、本開示は、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む、動物生成物を含まない溶液を含む組成物に関する。いくつかの実施形態では、動物生成物を含まない溶液は細胞培地を含む。いくつかの実施形態では、動物生成物を含まない溶液は細胞培地を含まない細胞内タイプ溶液である。いくつかの実施形態では、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤はMMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つの酵素活性を低減または阻害する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤はMMP1、MMP8、MMP9、MMP13、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つの酵素活性を低減または阻害する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤はMMP1、MMP8、MMP9、MMP13、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも2つの酵素活性を低減または阻害する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤はMMP1、MMP8、MMP9、MMP13、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも3つの酵素活性を低減または阻害する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は動物生成物を含まない溶液中に1.0nM〜1000μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は動物生成物を含まない溶液中に100nM〜100μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は動物生成物を含まない溶液中に1pM〜30μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は動物生成物を含まない溶液中に100pM〜20μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は動物生成物を含まない溶液中に500pM〜10μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は動物生成物を含まない溶液中に1μM〜5μMの範囲の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤はドキシサイクリン、TIMP、内因性TIMPを上方制御する化合物、PCK3145、BB−2516、およびBB−94からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、1つのマトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤は1.0nM〜1000μMの範囲のドキシサイクリンである。いくつかの実施形態では、細胞内タイプ溶液は下記の成分:D−グルコース、グリシン、L−アルギニン塩酸塩、L−シスチン塩酸塩、L−グルタミン、L−ヒスチジン塩酸塩、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、これらのいずれかの塩、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つを含む栄養素カクテルをさらに含む。
いくつかの実施形態では、本開示は、細胞外マトリックス完全性および細胞生存性の維持を促進する溶液中の生物材料を含む組成物であって、溶液が酵素阻害剤を含む、組成物に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、生物材料を低温で細胞外マトリックス完全性および細胞生存性の維持を促進する少なくとも1つの添加剤を有する細胞内タイプ溶液中に保存するステップを含む方法に関する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの添加剤は1つの酵素阻害剤、1つのアミノ酸、複数のアミノ酸、1つの糖、複数の糖、1つの脂質、複数の脂質、1つのビタミン、複数のビタミン、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。
前記について下記の実施例を参照してさらに例示されるが、これは例示の目的で示されるものであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
下記の実施例は、当業者に本明細書において記載および特許請求される組成物および方法がどのように作成および評価されるかの完全な開示および説明を提供するために記載され、純粋に説明的であることを意図するものであって、本発明者らが彼らの発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。数値(例えば、量、温度、等)について正確さを確保する努力がなされたが、通常の誤差および偏差は考慮されるべきである。他に指示がない限り、部は重量部であり、温度は℃で表されるか周囲温度であり、圧力は大気圧またはその近傍である。反応条件、例えば成分濃度、所望の溶媒、溶媒混合物、温度、圧力ならびに記載されるプロセスから得られる生成物純度および収率を最適化するのに用いることができる他の反応範囲および条件のバリエーションおよび組み合わせは多数ある。
(予備研究)
試料をさまざまな溶液(例えば、DMEM、SPS、PBS、およびUHK)中で28日間低温保存した。これらの試料をその後保存状態から取り出し、軟骨組織の軟骨細胞生存性および透過性(すなわち、軟骨組織の細胞外マトリックス完全性)を評価した。図1に示されるように、軟骨細胞生存性および増殖性を4つの異なる溶液中に28日間保存された試料において評価した。DMEM中に保存された細胞は、生存性をレサズリン還元代謝アッセイで評価することにより示されるようにSPS、PBS、およびUHK中に保存された試料よりかなり高い軟骨細胞生存性を示した。具体的には、図1のデータは平均RFU/6mmプラグ±1se(標準誤差)として表され、*はp<0.05での有意差を示す。細胞生存性における統計的有意差をDMEMおよび他の溶液中に保存された細胞間で2日目から観測した。DMEMは培養の4日後に対照レベルに達した。未処理の対照値は図の上部に平均(破線)±1se(陰影)として示される。これらの結果と軟骨組織マトリックス透過性の損失(図3に示される)との間の相関係数(R)は保存後回復組織培養の4日間で増加した(図1)。これらのデータは複合細胞外タイプ培地(例えば、DMEM)が軟骨細胞機能の維持に最適であることを示し(図1)、これは細胞生存(すなわち、細胞生存性)と相関する。さらに、これらの試料の細胞内タイプ溶液(すなわち、SPSおよびUHK)中での約1ヶ月間の保存は生理的組織培養条件下での回復後増殖中の代謝を低下させた(図1)。同様に、これらの試料のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、栄養素を含まない細胞外製剤中での保存も回復後組織培養中に低い増殖性を示した。これらの観測はDMEM中に保存された軟骨プラグの有意により良好な性能(すなわち、軟骨細胞生存性)の要因は栄養素であることを示す(図1)。
興味深いことに、DMEM中に保存された軟骨組織は保存後回復の4日後もっとも高い細胞生存性(すなわち、RFU生存性値)およびもっとも低い導電性(mS/cm)を示した。この結果はDMEMがもっとも高い細胞生存性を促進したことを示したが、この結果は軟骨組織がDMEM中に保存されている間に起こった軟骨組織マトリックス透過性の損失がもっとも大きかったことも示した。この観測により、細胞生存性の維持が細胞由来材料の放出をもたらし、細胞外マトリックス透過性に影響を及ぼしたという仮説が導かれた。具体的には、これらの研究は細胞生存性の維持と軟骨組織マトリックス透過性の損失との間に強い相関(R=0.90)を示した(図2)。図2は具体的には、4つの異なる溶液中での低温保存による、高い細胞生存性と軟骨組織マトリックス透過性および導電性の損失との間の相関係数(R)は、保存後回復組織培養の4日間で0.78から0.90まで増加したことを示す。
図1および2のデータに基づき、軟骨組織透過性を異なる溶液中で保存された試料においてさらに評価した。DMEM中に28日間保存された試料(すなわち、DMEM28)は他の溶液(すなわち、PBS、UHK、およびSPS)中に保存された試料より有意に低い導電性を示した。図3は、低張生理食塩水中での導電性を測定することにより評価された、低温保存の軟骨組織透過性に対する影響を示す。データは平均±1seとして表され、*は1日目のDMEM対照と28日後の保存群との間の比較でp<0.05での有意差を示し、n=5はブタドナー当たりの試料数である。28日目のDMEM群は4つの独立した実験において有意に低かった。よって、これらのデータは、軟骨組織がDMEM中に保存された場合の高い細胞生存性と低い透過性との間の相関をさらに示す。
(実施例)
実施例1:細胞外タイプ溶液中での保存中のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害の軟骨組織特性に対する影響を評価する
動物生成物を含まない培地を異なる濃度のMMP阻害剤(例えば、ドキシサイクリン)で製剤する。軟骨細胞生存性、軟骨組織化学的性質、透過性および他の生物材料特性を含む生物材料特性を少なくとも1ヶ月の低温保存期間にわたり比較する。生物材料試験は構築された方法[Yao,2002;Gu,2004;Brockbank,2011(以下の参考文献リスト参照)]を用いて行う。
ドキシサイクリンは歯周病の治療に臨床で用いられており、臨床使用に幅広く利用可能な唯一のMMP阻害剤である。ドキシサイクリンは、動物モデルおよびヒトにおいてMMP8、9、および10活性を低減するというような軟骨組織に対する有益なインビボ効果を有することが示されている。さらに、インビトロ研究はドキシサイクリンがMMP活性に加えてMMP合成も阻害し得ることを示す。
例えば、TIMP、PCK3145、前立腺分泌タンパク質94のアミノ酸31〜45に対応する合成ペプチド、およびマリマスタット(BB−2516)を含む追加のMMP阻害剤も効果的であり得る。PCK3145およびマリスタットはともに初期臨床研究において十分に忍容された。週に1回の間隔での溶液交換は必要ない可能性もあるが、軟骨組織質量の溶液体積に対する比は探求される必要があり得る。溶液交換なしでの長期保存には高いドキシサイクリン濃度が必要であり得る。
(実験設計)
ブタ軟骨プラグを入手し、これらのプラグを4℃(低温条件)で0〜300μMのドキシサイクリンを補充した動物生成物を含まないDMEM中に保存する。特定の試料では、予備研究(図1〜3)と同様に培地を毎週交換し、他の試料については保存中に培地を交換しない。これらの2つの試料セット(すなわち、(1)毎週培地交換と(2)培地交換なし)を比較する。特定の態様では、同種移植片を一度保存した後再度処理する必要性は最小化することが望ましい。
(方法)
ブタの膝を成体家畜ヨークシャー雑種農場ブタ(25Kg)から屠殺後に調達する。膝を調達した後、膝をヨウ素溶液を含むジップロックバッグに入れ、無菌解剖のため実験室まで氷の上に置いて輸送する。大腿骨頭軟骨円板形状プラグを無菌パンチを用いて用意する。5つのプラグの群を無菌容器中の保存溶液中に毎週の培地交換ありおよびなしで1〜2ヶ月間入れる。
(代謝活性)
レサズリン還元アッセイを用い、対照および処理後の軟骨プラグの代謝活性を評価する[O’Brien,2000;Brockbank,2011]。組織プラグ(n=5/実験/ドナー)を2mLのDMEM+10%FBS培地中で1時間インキュベートし、平衡化した後、20%レサズリン還元アッセイ溶液を標準的な細胞培養条件下で3時間添加する。レサズリン還元アッセイ試薬は代謝活性の検出に基づく蛍光指示薬である。蛍光の量はマルチモードマイクロプレートリーダーにより544nmの励起波長および590nmの発光波長で2回測定する。この評価は毎日数日間行い、組織中の再加熱された細胞の特徴分析を可能にする(図2)。レサズリンは用いられる濃度では細胞毒性でないため、同じ組織試料を数回試験することができる。再加熱直後(0日目)の結果は細胞生存性を示し、1〜2日後の低下はアポトーシスによる細胞死を示し、増加は細胞増殖性を示す。組織プラグを次に乾燥させ、乾燥重量を求める。各実験群および未処理の対照について、細胞代謝活性は乾燥重量mg当たりまたは組織プラグ当たりの相対蛍光単位(RFU)として表す。
(他の生存性評価方法)
上述した代謝アッセイは主要な生存性評価方法であるが、追加の生存性評価アッセイを行ってもよい。例えば、細胞生存性は細胞の蛍光生/死染色によりさらに測定することができる。細胞は酵素消化による組織プラグからの放出後評価、および膜完全性に基づくトリパンブルー色素排除アッセイを用いて評価することもできる[Brockbank,2011]。細胞はまた、細胞、軟骨細胞が実際にインビトロで接着および増殖することができるかを確認するため、DMEM中で少なくとも1週間培養してもよい。培養について細胞数およびデジタル画像分析を行ってもよい。
水、プロテオグリカン、およびコラーゲン含有量:材料特性測定後、試料を凍結乾燥し、水(多孔性)、プロテオグリカン(S−GAG)、およびコラーゲン(ヒドロキシプロリン)含有量を測定してもよい。試料を多孔性についてアルキメデスの原理に基づき[Gu,2004]、S−GAGについてFarndale(1982)により記載された方法を用い、ヒドロキシプロリン含有量についてBergman and Loxley(1970)の方法を用いて分析する。
(導電性)
組織導電性をゼロ流体流動条件で、各試料を含有するプレキシグラスチャンバーの周りに配置された電流および電圧電極からなる標準的な装置[Gu2002a;2002b]を用いて測定する。4線法およびKeithleyソースメーターの組み合わせを用い、試料にかかる抵抗(R)を0.015mA/cmの非常に低い電流密度で測定する。電流 感知マイクロメーターを用いて試料寸法を測定し、対応する導電性を下記の式:
であって、式中、Aが断面積であり、hが組織試料の厚さである、式を用いて求める。導電性測定は等張または低張リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)中で室温(22℃)で行う。
(溶質拡散性)
ゼロ流体流動条件下、NaCl溶液中の組織の導電性(χ)は、Maroudas(1968):
であって、式中、Fがファラデー定数であり、φが水の体積分率(多孔性)であり、cがカチオン(Na)濃度であり、cがアニオン(Cl)濃度であり、Rが気体定数であり、Tが温度である、式によりNaおよびCl拡散性(Dα、α=+、−)に関連づけられる。cおよびcはドナン式[Maroudas,1975]:
用いて計算することができる。ここではcは組織固定電荷密度(FCD)であり、cは浸漬溶液のNaCl濃度である。組織FCDは測定されたプロテオグリカン含有量から割り出す。導電性、FCD、多孔性、および浸漬溶液の濃度のデータを用い、イオン拡散性は式3から計算することができる。この方法はブタおよびウシ軟骨組織の研究に用いることができる[Gu,2004;Jackson,2006]。
(圧縮集合弾性および流体力学的透過性)
軟骨試料の力学特性は閉じ込め圧縮クリープ試験を用いて測定する。この試験は動的粘弾性測定装置(Q800、TA Instruments、デラウェア州ニューキャッスル)上で荷重負荷軸方向で行う。試料を閉じ込めチャンバーにおいて1分の圧縮自重負荷下で測定されたその初期高さでPBS中で平衡化させる(図4)。平衡化後、膨張応力を初期高さで記録し、試料に一定の圧縮応力を3時間加える。クリープデータは二相理論に曲線あてはめを行い、集合弾性Hおよび流体力学的透過性を求める[Yao,2002]。
(実験データ)
実施例1においてすぐ上に記載した方法を用いる低温保存実験では、1頭のブタから45片のブタ軟骨プラグを採取した。20片の軟骨プラグを生存性試験(図5)に用いた。この生存性試験では、ドキシサイクリン濃度当たり4つのプラグを用いた。残りの25片は力学試験(図6)に用いた。
図5に示すデータについて、各プラグ直径は6mmとした。注射可能形態のドキシサイクリン(DOXY100(商標))をAPP Pharmaceuticals,LLC(イリノイ州シャンバーグ)から1,025.89ダルトンの分子量で入手した。保存溶液はアスコルビン酸ml当たり1.44mgのDMEM、0.9mgのマニトール、および異なる濃度のドキシサイクリン(0μM、10μM、30μM、100μM、300μM)を含有した。保存温度は4℃とした。図5に示すように、生存性試験は0週目から4週目まで記録した。図6に示すように、力学試験は4週目のみに行った。
(生存性評価)
レサズリン還元法を用いて軟骨細胞代謝活性を評価した。一般的にはアラマーブルーアッセイとして知られるレサズリン還元アッセイは、成長培地の化学還元に応じた蛍光および色の変化の両方により代謝活性を検出する水溶性蛍光生存性酸化−還元(REDOX)指示薬を組み入れる。代謝活性細胞はレサズリンを蛍光性レゾルフィンに還元する。未処理の対照および低温保存された組織試料を37℃の培養条件に1時間入れ、10%FBSを含むDMEM中での組織培養条件まで調節した。組織を次に3時間レサズリン希釈標準溶液でインキュベートした後、培地のアリコートをマイクロ滴定プレートウェルに入れ、590nmの波長でマイクロ滴定プレート分光蛍光光度計で測定した。データは平均±1se相対蛍光単位として表す。
(生物材料試験)
軟骨プラグは透過性についてもそれらの導電性を測定することにより評価し、軟骨組織マトリックス特性が保存中に変化したかを割り出した。試料は保存された直径6mmの軟骨円板から角膜トレフィンを用いて5mm円筒状プラグを切断することにより用意した。試料を保存の0および1ヶ月後に試験し、軟骨表面を鋭刃を用いて手作業で整えた。導電性は低張生理食塩水中で試験した。各試料の高さは電流感知マイクロメーターで測定した。すべての導電性測定は低張生理食塩水中で室温(22℃)で行った。導電性は生体組織の材料特性である。その値は、組織組成および構造によって決まる、組織内部の小イオンの拡散性に関連づけられる。
(統計的手法)
一元配置ANOVA(p<0.05を有意とみなす)を行い、細胞蛍光単位および導電性の平均値の差を割り出した。
生存性は用量依存的にドキシサイクリンの存在の影響を受けた。図5に示すように、ゼロ群(すなわち、ドキシサイクリンを添加していない群)はすべての時間点ですべての処理群より有意に高かった(p<0.05)。図5にさらに示すように、10μM群は2〜4週目ですべての他の群より有意に高かった(図5;p<0.05)。このデータは一元配置分散分析(ANOVA)を用いて平均±1標準誤差として表し、n=4である。
図6に示すように、導電性は0μM群において1ヶ月でより低く、すべてのドキシサイクリン群(すなわち、10μM、30μM、100μM、および300μM)は時間ゼロ群と同様だった(図6;p<0.05)。このデータは一元配置分散分析(ANOVA)を用いて平均±1標準誤差として表し、n=5である。
ドキシサイクリンを用いるこの実験の結果は、MMPの阻害が生細胞の存在下で導電性および透過性の維持を促進することを示す。例えば、これは10μM群の生存性(図5)および導電性結果(図6)により示される。
実施例2:主要な培地成分の細胞内タイプ低張溶液中に保存された軟骨組織に対する影響を測定する
ステップI:動物生成物を含まない低温保存溶液をダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中で主要栄養素ありおよびなしで製剤する。ステップII:さまざまな濃度のドキシサイクリンを実施例2の新規細胞内タイプ保存製剤に添加してMMP活性を最小化する。
(実験設計)
ステップI:DMEM製剤ベースの栄養素カクテルをベルザー溶液、SPS−1(Organ Recovery Systems、イリノイ州アイタスカ)として市販される先導的な臨床臓器保存製剤に添加する。栄養素カクテルはDMEM(Mediatech、バージニア州マナサス、Cat♯10−014−CM)に用いられる濃度のD−グルコースおよびアミノ酸(グリシン、L−アルギニン塩酸塩、L−シスチン2HCl、L−グルタミン、L−ヒスチジン塩酸塩−H20、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン二ナトリウム塩脱水物およびL−バリン)からなる。改変製剤を元の製剤と比較する。ステップII:0〜300μMのドキシサイクリンを改変ベルザー溶液に添加する。細胞生存性、生物材料特性、および軟骨組織生物化学性質を軟骨プラグについて少なくとも1ヶ月の低温保存期間にかけて測定する。実施例1からの最適化された細胞外溶液との比較に最適なドキシサイクリン用量を選択する。溶液交換スケジュールについても実施例1に記載したとおり評価する。
FDA認可製品であるためベルザー溶液(SPS−1)およびドキシサイクリンを選択する。ステップI:予備データ(図2)においてDMEMを用いてより高い生存性値が得られるのはおそらく栄養成分のためであり、低温保存中の4℃での予想される低レベルの代謝(<10%)を支持する。ステップII:MMP合成の増加は軟骨細胞生存性がステップIにおける栄養補給により向上される場合起こり得るため、このステップは有用であり得る。
実施例3:細胞外タイプおよび細胞内タイプ溶液を比較する
(実験設計)
軟骨プラグ特性は実施例1および実施例2において記載した細胞外タイプおよび細胞内タイプ保存製剤中での保存後に評価する。プラグは2ヶ月の期間(例えば、時間0ならびに保存の1、4および8週間後)にかけて評価し、前記実施例に用いたアッセイに加えて遺伝子発現を評価する。2つの試料を各時間点で各群について評価し、実験を4回繰り返す(7群×2組×4実験=56個の試料)。
この実施例の目的は実施例1の細胞外タイプ溶液を実施例2の細胞内タイプ溶液と比較することである。上述した細胞生存性およびECMアッセイに加えて、遺伝子発現の分析を行い、軟骨細胞が未処理の軟骨組織中の軟骨細胞に対して適切な前軟骨遺伝子を発現しているかを確認する。
(方法)
遺伝子発現:試料を液体窒素中で急速凍結し、−80℃で保存する。細胞RNA全体を単離し(RNeasyキット、Qiagen、カリフォルニア州)、cDNAに逆転写し(OmniscriptRTキット、Qiagen、カリフォルニア州)、その質について評価し、保存による遺伝子発現の変化をリアルタイムPCRを用いて定量化する。表現型の維持(および/または表現型の損失)はSox9、アグリカン、コラーゲンII型(脱分化マーカーであるコラーゲンI型に対して)、軟骨オリゴマーマトリックス、ECM再吸収マーカー(MMP−9)ならびにタンパク質および肥大性マーカー遺伝子(コラーゲン10型およびアルカリホスファターゼ)の発現を評価することにより評価する。
他に定義されない限り、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は開示される発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
当業者であれば、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの同等物を認識し、または日常的にすぎない実験を用いてこれらを確認することができる。こうした同等物は特許請求の範囲に含まれることを意図するものである。
(参考文献)
下記の参考文献のリストにおける引用は、少なくとも本文中に引用される理由で本明細書において参照により関連部分に組み入れられる。
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Claims (12)

  1. 生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入られた生物材料を含む組成物であって、
    前記溶液が血清を含まない溶液であり、
    前記生物材料が細胞外マトリックスまたは軟骨組織中の軟骨細胞を含み、
    前記少なくとも1つの作用剤が1.0nM〜10μMの範囲の濃度を有するドキシサイクリンを含み、
    前記生物材料特性は、細胞外マトリックス透過性を含む細胞外マトリックス完全性及び細胞生存性を含む、組成物。
  2. 前記細胞外マトリックス完全性が、細胞外マトリックス含水量、細胞外マトリックスグリコサミノグリカン含有量、またはこれらのいずれかの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記血清がウシ胎児血清である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 記溶液が等張性である細胞外タイプ溶液である、または前記溶液が等張性である細胞内タイプ溶液である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記細胞内タイプ溶液が、下記の成分:D−グルコース、グリシン、L−アルギニン塩酸塩、L−シスチン塩酸塩、L−グルタミン、L−ヒスチジン塩酸塩、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、これらのいずれかの塩、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つを含む栄養素カクテルをさらに含む、請求項4に記載の組成物。
  6. ドキシサイクリンが酵素活性を最小化して生物材料特性の損失を低減または防止し、前記生物材料特性が細胞外マトリックス完全性を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. ドキシサイクリンがマトリックスメタロプロテイナーゼの酵素阻害剤であり、前記マトリックスメタロプロテイナーゼがMMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、およびMMP28からなる群から選択される1つ以上のメンバーを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物を調製するステップを含む、−25℃〜+35℃の範囲の低温で生物材料保存する方法であって、組成物の調製が前記生物材料を生物材料特性の損失を低減または防止する少なくとも1つの作用剤を含む溶液中に入れるステップを含む、方法。
  9. 血清を含まない溶液を含む組成物であって、
    前記血清を含まない溶液がドキシサイクリンを1.0nM〜10μMの範囲の濃度で含み、
    前記血清を含まない溶液が細胞培地を含まない細胞内タイプ溶液であり、
    ドキシサイクリンがMMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、MMP15、MMP16、MMP17、MMP19、MMP20、MMP21、MMP23A、MMP23B、MMP24、MMP25、MMP26、MMP27、MMP28またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つの酵素活性を低減または阻害する、組成物。
  10. ドキシサイクリンがMMP1、MMP8、MMP9、およびMMP13の少なくとも2つの酵素活性を低減もしくは阻害する、またはドキシサイクリンがMMP1、MMP8、MMP9、およびMMP13の少なくとも3つの酵素活性を低減もしくは阻害する、請求項に記載の組成物。
  11. 前記細胞内タイプ溶液が下記の成分:D−グルコース、グリシン、L−アルギニン塩酸塩、L−シスチン塩酸塩、L−グルタミン、L−ヒスチジン塩酸塩、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン塩酸塩、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、コリン、D−パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、これらのいずれかの塩、またはこれらのいずれかの組み合わせの少なくとも1つを含む栄養素カクテルをさらに含む、請求項9又は10に記載の組成物。
  12. 生物材料を−25℃〜+35℃の範囲の低温で請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物中に保存するステップを含む方法であって、
    前記組成物が細胞外マトリックス完全性および細胞生存性の維持を促進する少なくとも1つの添加剤を含み、
    前記少なくとも1つの添加剤が1つの酵素阻害剤、1つのアミノ酸、複数のアミノ酸、1つの糖、複数の糖、1つの脂質、複数の脂質、1つのビタミン、複数のビタミン、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、方法。
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