JP6373933B2 - 窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、窒化アルミニウム(AlN)焼結体及びその製造方法に関する。
一般に、AlN焼結体を製造する方法は、材料となるAlN粉末と焼結助剤とを混合して、これにバインダー、溶剤、可塑剤を加えてスラリー状にし、このスラリーを所定形状に成型した後脱脂(脱バインダー)し、さらに焼成する、という方法をとる。
焼結助剤相の熱伝導率は、AlNと比較すると著しく低い。また、均一な焼結体を得るためには、焼結助剤を細かく広く、均一に分散させる必要がある。細かく広く分散させる方法として、特許文献1(特開平5−124866)では、粒子径(粒径)が小さい焼結助剤を使用することによって、混合原料粉の段階で物理的に細かく均一に分散させるという手法をとっている。
このようにして混合された混合原料を用いて製造されたAlN焼結体は、特許文献1によると、その表面をSEMで観察すると、焼結助剤相が均一に分散し、表面にポア(孔)が発生しない。
特開平5−124866号公報
しかしながら、原料・焼結助剤を物理的に粉砕して粒径を小さくするという方法では限界がある。そのため、焼結助剤を細かく均一に分散させる方法として、従来の方法よりもさらに粒径を小さくする方法が必要である。
また、特許文献1のようにして混合された混合原料を用いて製造されたAlN焼結体は、それ自体にポアが無くても、その表面を鏡面研磨すると図に示すように焼結助剤相の粒子(図の白色部分)の一部が剥離・脱粒し、その痕跡であるボイド(図の黒色部分)が生じてしまうという問題があった。ボイドが生じてしまうと、AlN焼結体自体の強度が低下するほか、高精細パターンの形成を要求されるような用途に使用できなくなってしまう。
上記ボイドの発生現象は、焼結助剤相とAlNとの熱膨張係数の差異が原因である。焼成温度から常温まで冷却する過程でAlNと焼結助剤相が収縮する。このとき、熱膨張係数はAlNよりも焼結助剤相(Al−Y)の方が大きいため、焼結助剤相の方が収縮度合が大きい。
に示す焼成直後のAlN焼結体11の表面付近の断面は、焼結助剤相の粒子(助剤相粒子)12と周囲のAlN13とは接触部分14で広く接触・密着しており、隙間は生じていない。しかし、図に示す常温に冷却したAlN焼結体11の表面付近の断面は、助剤相粒子12と周囲のAlN13との間に隙間15ができる。この隙間15は、助剤相粒子12の大きさに比例するため、粒径が大きければ当然隙間が大きくなる。すると、助剤相粒子12と周囲のAlN13との接触部分14の面積が小さくなって密着できなくなり、表面を研磨した際の摩擦や衝撃等で焼結助剤相が脱落してしまう。
したがって、本発明は、表面の鏡面研磨を行っても焼結助剤相の粒子が脱粒し難く、ボイドの密度が著しく低いAlN焼結体を得ることを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の構造をとれば、鏡面研磨後にボイドが生じないAlN焼結体を得られることを見出した。
すなわち、本発明は、窒化アルミニウムと平均粒径が2μm以下の焼結助剤相とからなる窒化アルミニウム焼結体において、その鏡面研磨面における前記焼結助剤相の粒子が、400μmあたり10個以上析出している窒化アルミニウム焼結体である。
この構造とすることにより、粒径の小さな焼結助剤相が均一に広がったAlN焼結体を得られる。
さらに本発明は、前記鏡面研磨面において、ボイドの個数が、10000μmあたり3個以下である窒化アルミニウム焼結体とすることにより、鏡面研磨面におけるボイドの密度を著しく低くすることができる。
さらに本発明は、前記焼結助剤相がYAG及び/又はYALのみからなり、その含有量がY換算で2.5〜6重量%である窒化アルミニウム焼結体とすることにより、AlN焼結体の強度と熱伝導率を高くすることができる。なお、本発明において「A〜B」という数値表記は、「A以上、B以下」という意味で使用する。
さらに本発明は、熱伝導率が160W/m・K以上である窒化アルミニウム焼結体とすることにより、高い熱伝導性を有する。
さらに本発明は、曲げ強度が450MPa以上である窒化アルミニウム焼結体とすることにより、高い曲げ強度を有する。
さらに本発明は、窒化アルミニウム焼結体の、少なくとも一方の表面が鏡面研磨されていることにより、凹凸が非常に小さいことが要求される製品にも使用できる。
さらに、本発明は、表面に酸化物層を有する窒化アルミニウム粉末と2.5〜6重量%のY粉末と所定量のカーボン粉末とを混合して混合原料粉を得る原料工程と、
前記混合原料粉を非酸化雰囲気下において1580〜1650℃の温度域で9〜20時間焼成して中間原料粉を得る一次焼成工程と、
前記中間原料粉を酸化雰囲気において所定の温度域で熱処理して脱炭粉末を得る脱炭工程と、
前記原料粉末を所定の形状に成形して成形体を得る成形工程と、
前記成形体を酸化雰囲気下において400〜600℃の温度域で熱処理して脱脂成形体を得る脱脂工程と、
前記脱脂成形体を非酸化雰囲気下において1700〜1900℃の温度域で焼結して焼結体を得る二次焼成工程と、を含むことを特徴とする製造方法をとる。
この製造方法により、本発明に係るAlN焼結体は、焼結助剤相が均一に分散し、さらに焼結助剤相の粒径が小さくなる。
さらに、本発明は、前記二次焼成後に、前記焼結体の少なくとも一面を鏡面研磨する研磨工程を含むことにより、凹凸が非常に小さいことが要求される製品にも使用できる。
さらに、本発明は、前記一次焼成工程において、YNが生成することにより、焼結助剤相の成分が化学的に分散する。
本発明によると、粒径の小さな焼結助剤相が均一に分散し、さらに鏡面研磨面のボイド密度が著しく低いAlN焼結体が得られるという効果がある。
本発明に係るAlN焼結体の鏡面研磨面を示す図。 本発明に係るAlN焼結体のXRD分析結果を示すグラフ。 従来のAlN焼結体のXRD分析結果を示すグラフ。 本発明に係るAlN焼結体と従来のAlN焼結体のXRD分析結果を重ねたグラフ。 焼成直後のAlN焼結体の表面付近を示す断面模式図。 常温冷却後のAlN焼結体の表面付近を示す断面模式図。 従来のAlN焼結体の鏡面研磨面を示す図。
本発明に係るAlN焼結体の製造方法を、図面を示しながら説明する。本発明に係るAlN焼結体の製造方法は、AlN粉末とY粉末とカーボン粉末とを混合して混合原料粉を得る「原料工程」と、前記混合原料粉を焼成して中間原料粉を得る「一次焼成工程」と、前記中間原料粉を熱処理をして脱炭素粉末を得る「脱炭工程」と、所定の形状に成形して成形体を得る「成形工程」と、前記成形体を熱処理して脱脂成形体を得る「脱脂工程」と、前記脱脂成形体を焼結して焼結体を得る「二次焼成工程」と、前記焼結体の少なくとも一面を鏡面研磨する「研磨工程」とからなる。
「原料工程」
まず、原料となるAlN粉末と焼結助剤としてY粉末とカーボン粉末を用意する。AlN粉末は、粒径が0.5〜2.0μm程度のものを使用するのが好ましい。このようなAlN微粒子の表面には酸化物層が存在していることが知られている。原料の配合比率は、AlN100重量%に対しYを2.5〜6重量%、カーボン粉末を同5〜20重量%とすると、後述する二次焼成を行ったときに焼結助剤相がYAG(5Al−3Y)及び/又はYAL(Al−Y)のみとなって好ましい。これらの原料粉末を上記の配合比率にて振動ミル等を用いて混合することで、焼結助剤が物理的に分散した混合原料粉が得られる。
原料を配合する際のカーボン粉末の添加量が5重量%よりも少ないと、一次焼成工程において、AlN粒子同士が凝着してしまい、その後の成形工程においてボールミルで解砕できず、良質な成形体が得られない。特に0重量%すなわち全く添加しない場合、一次焼成工程においてAlN粒子が粒成長し、二次焼成工程で緻密化しなくなる。逆に20重量%よりも多いと、後述の脱炭工程における処理時間が長くなり、生産性が低下するため好ましくない。
原料を配合する際のYの添加量は、相対的に二次焼成後のAl/Y比に関係する。Yが少ない場合、前記比が大きくなってYAGの比率が高くなり、Yが多い場合、前記比が小さくなり、YAMを生じる。特に、Yの添加量を2重量%よりも少なくすると、二次焼成時に液相が十分に生成せず、AlN粒子内に固溶している酸素をトラップできず、高熱伝導率を有する焼結体を得ることができない。一方、Yの添加量を6重量%よりも多くすると、二次焼成した際に緻密化しない。また、焼結助剤相の熱伝導率はAlNよりも著しく低いので、過剰に添加すると熱の抵抗となって焼成後のAlN焼結体全体の熱伝導率も低下してしまう。
したがって、本発明では、焼成後のAlN焼結体にYAG及び/又はYALのみを生じさせ、YAMを生じないように、Yの添加量を2.5〜6重量%とすることが好ましい。
「一次焼成工程」
次に、得られた前記混合原料粉を耐熱容器に移し、非酸化雰囲気、例えば窒素雰囲気下において1580〜1650℃の温度域で9〜20時間焼成して中間原料粉を得る。この一次焼成により、原料AlN粉末の表面のAlと焼結助剤Yとが、一旦固相反応してYAM(Al−2Y)を生成し、次いでYNを生じる。YNは、その化学的親和性により、YよりもAlN粒子の表面に広く分布する。この反応により、焼結助剤相の成分が、化学的に分散することとなり、物理的に分散させて焼成する場合よりも、焼結助剤相の粒径が小さくなる。
「脱炭工程」
次に、得られた前記中間原料粉を、酸化雰囲気下において所定の温度域、好ましくは600〜800℃の温度域で熱処理して前記一次焼成工程にて反応に用いられなかった余剰の炭素の除去(脱炭素)を行い、脱炭粉末を得る。酸化雰囲気下で脱炭素を行うため、一次焼成工程で生じたYNは、周囲の酸素と反応し、再びYとなる。
「成形工程」
次に、得られた前記脱炭粉末に有機溶剤、バインダー及び可塑剤を加えてボールミルにて粉砕・混錬してスラリー状にし、そのスラリーをドクターブレード法を用いてシート状に成形する。これにより、脱炭粉末の成形体が得られる。
「脱脂工程」
次に、得られた前記成形体を、酸化雰囲気下において400〜600℃の温度域で熱処理して脱脂を行い、脱脂成形体を得る。
「二次焼成工程」
次に、前記脱脂成形体を非酸化雰囲気、例えば窒素雰囲気下において1700〜1900℃の温度域で焼結して焼結体を得る。二次焼成工程において、AlとYは液相を生成し、AlNの焼結を促進させることで、焼結助剤相の粒子径が2μm以下となる緻密な焼結体を得られる。このとき生成される焼結助剤相はYAG及び/又はYALとなる。
「研磨工程」
最後に、得られた前記焼結体の表面を鏡面研磨する。鏡面研磨は、おもて面と裏面の少なくとも一方の面に対して行う。鏡面研磨は、ベルト式、バフ式、遊星歯車式等の一般的な研磨機・研磨方法を用いることができる。このとき、前記焼結体は焼結助剤相の平均粒径が2μm以下であるため、例えばアルカリ性のコロイダルシリカのスラリーを用いた研磨加工によって表面粗さRaを20nm以下に鏡面研磨を行っても、焼結助剤相が剥離しない。以上により、本発明に係る鏡面研磨されたAlN焼結体が得られる。
このようにして製造されたAlN焼結体の鏡面研磨された面(鏡面研磨面)をSEMにて1000倍に拡大して観察すると、図1に示すように、緻密化したAlN粒子(図の濃灰色部分)全体に、焼結助剤相の粒子(図の白色部分)が均一に分散していることが分かる。また、1000倍の倍率で400μmの正方形の枠を20ヵ所、範囲が重ならないように選び、それぞれの内側にある焼結助剤相の粒子(助剤相粒子)の個数を数えると、助剤相粒子が平均で15.4個、均一に分散していた。さらに、2000倍の倍率にて撮影したSEM写真を画像解析ソフト(ImageJ)にて計測を行ったところ、助剤相粒子の平均粒径は1.31μmであった。
さらに、1000倍の倍率で10000μmの範囲を任意に5箇所選び、その範囲内のボイドの数を数えてみると、その平均個数は1.3個で3個以下となり、ボイドの数が著しく低いAlN焼結体4が得られた。
さらに、このAlN焼結体4の熱伝導率を測定してみると、164W/m・Kであった。このAlN焼結体4を粉砕してX線回折装置(装置:Rigaku Ultima IV、サンプリング幅0.02°、スキャンスピード:4.0°/min、電圧:40kV、電流:20mA)にて組成分析を行うと、図2に示すように、検出された焼結助剤相はYAGとYALとなり、YAMは検出されなかった。
一般的に、AlN焼結体の熱伝導率は原料粉末中に含有している酸素量によって大きく影響を受ける。AlN焼結体の熱伝導率を高くしようとする場合、原料中に含有している酸素を低く抑える必要がある。原料粉末中に含有される酸素量が同じAlN粉末から、より熱伝導率の高いAlN焼結体を得る場合、図3に示すように焼結助剤相は、Al/Y比率の小さいYAMとYALになることが多い。しかしながら、本発明は、図4に比較して示すように、本来、低熱伝導率のAlN焼結体で検出されるYAG及び/又はYALを析出させるとともに、YAMを析出させなかったものである。本発明では、これらYAG相とYAL相とを細かく広く分散させて、焼結助剤相とAlN粒子との粒界を増やしたことにより、密着強度を高めてボイドの少ないAlN焼結体を得ることができた。このことにより、本発明の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率は、YAG及び/又はYALのみの焼結助剤相であるにもかかわらず160W/m・K以上を維持している。
原料工程にてカーボン粉末を添加することによる効果について説明する。原料工程にてカーボン粉末を添加せずにAlN粒子同士が接触した状態で一次焼成工程を行うと、一次焼成工程の段階でAlNの粒成長が進んでしまい、その後の二次焼成で緻密な焼結体が得られなくなり、完成したAlN焼結体の熱伝導率や曲げ強度が低下してしまう。しかし、本発明では、原料工程にてカーボン粉末を添加して一次焼成を行うことにより、AlN粒子同士の接触を防ぐことができ、一次焼成においてAlNの粒成長を抑えることができる。また、カーボン粉末は、AlNの焼結を阻害するため、一次焼成におけるAlNの粒成長をさらに抑制することができる。
一次焼成を行うタイミングを成形・脱脂工程の後ではなく原料工程後、すなわち粉末の段階とする理由について説明する。脱脂工程後の脱脂成形体を一次焼成した場合、原料AlN粉末の表面のAlと焼結助剤Yとの反応は局所的にしか起こらず、焼結助剤成分の十分な分散効果が得られなくなり、結果的に焼結助剤を物理的に分散させた場合と同様に、鏡面研磨を行う際に助剤相粒子が脱粒してしまう。しかし、本発明では、一次焼成を原料工程の直後としているため、原料AlN粉末の表面のAlと焼結助剤Yとの反応は原料AlN粉末の粒子全体で起こり、その結果、焼結助剤成分を十分に分散させることができる。
本発明に係るAlN焼結体を、実施例、比較例を挙げながら説明する。
実施例1は、AlN100重量%に対してYを2.5重量%、カーボン粉末を同10重量%添加し、一次焼成の条件を1600℃で10時間とした。また、脱脂工程は500℃、二次焼成は1800℃とした。
実施例2は、Yの添加量を4重量%としたこと以外は、実施例1と同じ条件とした。
実施例3は、Yの添加量を5重量%としたこと以外は、実施例1と同じ条件とした。
実施例4は、一次焼成の条件を1580℃で20時間としたこと以外は、実施例3と同じ条件とした。
実施例5は、一次焼成の条件を1650℃で9時間としたこと以外は、実施例3と同じ条件とした。
実施例6は、Yの添加量を6重量%としたこと以外は、実施例3と同じ条件とした。
比較例1は、Yの添加量は5重量%とし、カーボン粉末は添加せず、一次焼成も行わずに、原料工程の直後に成形工程、脱脂工程、焼成工程、研磨工程の順で製造した以外は、実施例3と同じ条件とした。なお、焼成工程における温度の条件は、実施例における二次焼成と同じ条件とした。
比較例2は、原料工程の直後に、成形工程、脱脂工程を行い、その後一次焼成工程、二次焼成工程、研磨工程の順番で製造した以外は、比較例1と同じ条件とした。
比較例3は、Yの添加量を2重量%としたこと以外は、実施例3と同じ条件とした。
比較例4は、一次焼成工程の条件を、1700℃で10時間としたこと以外は、実施例3と同じ条件とした。
比較例5は、原料工程にてカーボン粉末を添加せずに一次焼成工程を行い、カーボンを添加しなかったので脱炭工程を行わず、成形工程を行った以外は、実施例3と同じ条件とした。
これらの条件を表1に示し、各条件にて得られたAlN焼結体の鏡面研磨面の観察結果、焼結助剤相のX線回析結果、熱伝導率・曲げ強度の測定結果を表2に示す。なお、助剤相粒径の平均値は、2000倍のSEM写真をImageJを用いて画像解析して算出し、助剤相の個数は、1000倍のSEM写真にて20μm×20μmの領域20面分での平均値とし、ボイドの数は、1000倍のSEM写真にて10000μmの領域5面分での平均値とした。

これによると、実施例1〜6は、実施例3の鏡面研磨面を図1に示すように、助剤相粒子が均一に広く分散しており、助剤相粒子の平均粒径が1.15〜1.46μmと小さく、任意の400μmあたりの助剤相粒子の個数は12.8〜16.1個、ボイドの数は、0.8〜2.6個であった。また、熱伝導率は161〜169W/m・K、曲げ強度は461〜553MPaだった。
比較例1は、図7に示すように、助剤相粒子(図の白色部分)は均一に広く分散しているが、助剤相粒子の平均粒径は2.34μmであり、任意の400μmあたりの助剤相粒子の個数は5.1個、ボイド(図の黒色部分)の数は、7.6個であった。また、熱伝導率は180W/m・K、曲げ強度は480MPaだった。これは、一次焼成を行わなかったことで助剤相粒子の粒径が大きくなり、冷却した際の収縮量が相対的に大きくなって助剤相粒子と周囲のAlN(図の濃灰色部分)との密着力が低下し、研磨工程にて脱粒したためである。
比較例2は、助剤相粒子の平均粒径は2.22μmであり、任意の400μmあたりの助剤相粒子の個数は6.1個、ボイドの数は、6.3個であった。また、熱伝導率は172W/m・K、曲げ強度は434MPaだった。これは、成形体を一次焼成した際に気泡・クラック等が生じ、鏡面研磨した際にそれらが起点となって助剤相粒子が脱粒したためである。
比較例3は、助剤相粒子の平均粒径は1.52μmであり、任意の400μmあたりの助剤相粒子の個数11.9個、ボイドの数は、2.5個であった。また、熱伝導率は91W/m・K、曲げ強度は504MPaだった。これは、Yの添加量が十分でなく、二次焼成時に液相が十分に生成せず、AlN粒子内に固溶している酸素をトラップできなかったためである。
比較例4は、助剤相粒子の平均粒径は1.36μmであり、任意の400μmあたりの助剤相粒子の個数は13.9個、ボイドの数は、11.2個であった。また、熱伝導率は116W/m・K、曲げ強度は420MPaだった。これは、一次焼成の温度が高すぎて、AlN粒子の粒成長が開始してしまい、二次焼成で十分に緻密化しなかったためである。
比較例5は、助剤相粒子の平均粒径は1.58μmであり、任意の400μmあたりの助剤相粒子の個数は11.2個、ボイドの数は、9.7個であった。また、熱伝導率は146W/m・K、曲げ強度は411MPaだった。これは、カーボン粉末を添加していない混合原料粉を一次焼成したことにより、一次焼成時にAlN粒子が粒成長してしまい、二次焼成で十分に緻密化しなかったためである。
以上より、本発明によると、焼結助剤相が2μm以下のYAG及び/又はYALのみからなり、鏡面研磨を行ってもボイドの数が著しく少ないAlN焼結体が得られる。
以上、本発明の詳細について、実施例を示しながら説明してきたが、ここで示したのは本発明の具体的な実施形態であり、その技術思想を踏まえた上で、発明の効果を著しく損なわない程度において、前記実施形態の一部を変更して実施することが可能であることが理解されるべきである。
本発明は、高い熱伝導率とボイドが無いことの両方を要求されるような、高精細パターン基板などの分野に幅広く利用することができる。
11:AlN焼結体
12:助剤相粒子
13:AlN
14:接触部分
15:隙間

Claims (9)

  1. 窒化アルミニウムと平均粒子径が2μm以下の焼結助剤相とからなり、前記焼結助剤相の粒子が、鏡面研磨面において400μmあたり10個以上析出し、前記焼結助剤相がYAG及び/又はYALのみからなり、その含有量がY 換算で2.5〜5重量%であり、熱伝導率が160W/m・K以上であり、且つ、曲げ強度が500MPa以上である窒化アルミニウム焼結体。
  2. 窒化アルミニウムと平均粒子径が2μm以下の焼結助剤相とからなり、前記焼結助剤相の粒子が、鏡面研磨面において400μm あたり10個以上析出し、前記鏡面研磨面において、ボイドの個数が、10000μm あたり3個以下であり、前記焼結助剤相がYAG及び/又はYALのみからなり、その含有量がY 換算で2.5〜6重量%である窒化アルミニウム焼結体。
  3. 熱伝導率が160W/m・K以上である請求項に記載の窒化アルミニウム焼結体。
  4. 曲げ強度が450MPa以上である請求項2又は3に記載の窒化アルミニウム焼結体。
  5. 窒化アルミニウムと平均粒子径が2μm以下の焼結助剤相とからなり、前記焼結助剤相の粒子が、鏡面研磨面において400μm あたり10個以上析出し、前記鏡面研磨面において、ボイドの個数が、10000μm あたり3個以下であり、曲げ強度が450MPa以上であり、熱伝導率が160W/m・K以上である窒化アルミニウム焼結体。
  6. 少なくとも一方の表面が鏡面研磨されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載の窒化アルミニウム焼結体。
  7. 表面に酸化物層を有する窒化アルミニウム粉末と2.5〜6重量%のY粉末と所定量のカーボン粉末とを混合して混合原料粉を得る原料工程と、
    前記混合原料粉を非酸化雰囲気下において1580〜1650℃の温度域で9〜20時間焼成して中間原料粉を得る一次焼成工程と、
    前記中間原料粉を酸化雰囲気において所定の温度域で熱処理して脱炭粉末を得る脱炭工程と、
    前記脱炭粉末を所定の形状に成形して成形体を得る成形工程と、
    前記成形体を酸化雰囲気下において400〜600℃の温度域で熱処理して脱脂成形体を得る脱脂工程と、
    前記脱脂成形体を非酸化雰囲気下において1700〜1900℃の温度域で焼結して焼結体を得る二次焼成工程と、
    を含むことを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  8. 前記二次焼成後に、前記焼結体の少なくとも一面を鏡面研磨する研磨工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  9. 前記一次焼成工程において、YNが生成することを特徴とする請求項7又は8に記載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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