JP6373290B2 - 野積みバラ物へのシート掛け方法 - Google Patents
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しかし、このような作業は非効率的であり、また、積山の頂上は足場が不安定であることから転倒や転落等のおそれがあった。そこで、以下の技術が提案されていた。
また、既設設備を利用する技術も提案されている。例えば、特許文献2には、既設の積付機を用いることにより、安全かつ低コストで積山にシート掛けを行う装置が開示されている。
例えば、特許文献1に開示の装置は、小規模の積山には適用できるが、鉄鋼業やセメント業等における大規模な積山への適用に際しては、非常に大掛かりな設備にする必要があるため、コストの上昇を招き現実的ではない。
また、特許文献2に開示の装置は、既設の積付機を用いて積山にシートを掛けるため、シート掛け作業を行う期間は、バラ物の積付け作業を停止しなければならず、操業に支障をきたすおそれがある。また、既設設備が設置されていない積山では、シート掛けができないというデメリットもある。
前記シートを、該シートの長手方向の両側から中央部へ向けて、それぞれ引張りロープの一方側を巻込みながらロール状に巻き、形成された対となるロール状シート部からそれぞれ前記引張りロープの他方側を突出させた状態にするシート巻回工程と、
対向する前記ロール状シート部の間の前記シート上に吊上げ治具を載せ、前記ロール状シート部をそれぞれ更に巻いて前記吊上げ治具上に配置し、固定部材によって前記ロール状シート部を前記吊上げ治具に固定するシート載置工程と、
前記固定部材によって前記ロール状シート部が固定された前記吊上げ治具を、搬送手段によって前記積山の頂上まで搬送し、前記シートの幅方向を前記積山の尾根方向に合わせて、前記ロール状シート部が固定された前記吊上げ治具を前記積山の尾根部上に載置するシート搬送工程と、
前記固定部材による固定状態を解除した後、前記積山の山裾から前記引張りロープの他方側を引張り、前記ロール状シート部をそれぞれ広げて、前記積山の斜面を前記シートで覆うシート掛け工程とを有する。
前記シート載置工程では、前記ロック手段により前記落下防止ロープの両端部を連結し、前記シート掛け工程では、前記ロック手段により前記落下防止ロープの両端部を分離することが好ましい。
ここで、前記ロック手段はコラムロックであり、前記シート掛け工程では、前記コラムロックのロックピンに取付けられたロック解除ワイヤーを、前記積山の山裾から引張ることで、前記落下防止ロープの両端部を分離することができる。
図1〜図5に示すように、本発明の一実施の形態に係る野積みバラ物へのシート掛け方法は、野積みされたバラ物の積山10上にシート11を掛ける方法であり、シート巻回工程、シート載置工程、シート搬送工程、及び、シート掛け工程を有している。ここで、バラ物とは、例えば、鉄鉱石、石炭、コークス等の鉄鋼業で使用される原料である。また、積山10は、断面略台形状(山形状)となっている。
以下、詳しく説明する。
ここでは、図2(A)〜(C)に示すように、長尺のシート11をロール状に巻く。
シート11は、例えば、樹脂製であるが、積山10の表面を覆うことができ、発塵飛散の防止や品質低下の防止が図れれば、特に限定されるものではない。
また、シート11の大きさ(長手方向の長さ、以下単に長さともいう)は、図1(D)〜(F)に示すように、積山10の一方側の山裾から、一方側の斜面12、尾根部(頂上部)13、及び、他方側の斜面14を通って、他方側の山裾までを、連続して覆うことが可能な大きさであればよい。例えば、積山10の高さが7m、尾根方向と直交する方向の積山10の幅が23mの場合、シート11の長手方向の長さ(尾根方向と直交する方向の長さ)が35m、長手方向と直交する方向の幅(尾根方向に対応する幅)Wが10mのシートを使用できる。
上記したシート11の巻取りは、例えば、複数の作業者を、シート11の長手方向の端部に、シート11の幅方向に間隔をあけて配置して行うことができるが、装置等を用いて行ってもよい。また、シート11の巻取りは、まず、シート11の長手方向の一方側を行った後、他方側を行うが(片方ずつ行うが)、長手方向の両側から同時に行ってもよい。
なお、シート11の巻取りは、広げられたシート11上に引張りロープ15を配置した後、行うことができるが、予めシート11の長手方向端部を僅かに巻いた後、このシート11に引張りロープ15の一端部を挟込んだ後、行うこともできる。
また、シート11の巻取りに際しては、引張りロープ15をシート11の幅方向に予め設定した範囲R(例えば、0.5〜1.5mの範囲)で揺動させながら行う(図2(A)参照)ことが好ましいが、シート11の長さによっては揺動させなくてもよい。
これにより、図2(C)に示すように、引張りロープ15の他方側を、ロール状に巻いて形成された対となるロール状シート部16、17から、それぞれ突出させた状態にできる。
ここでは、図1(A)〜(C)に示すように、ロール状シート部16、17が形成されたシート11に吊上げ治具18を固定する。なお、吊上げ治具18は、図1(B)、(C)、図3に示すように、載置台19と、この載置台19の中央部で、載置台19の長手方向に沿って立設された仕切り部20とを備える、断面逆T字状のものである。
まず、図1(A)に示すように、対となるロール状シート部16、17を少し解いて、吊上げ治具18を載置できる間隔をあけ、図1(B)に示すように、対向するロール状シート部16、17の間のシート11上に、吊上げ治具18の載置台19を載せる。次に、図1(C)に示すように、対となるロール状シート部16、17をそれぞれ更に巻いて載置台19上に配置する。
これにより、吊上げ治具18の仕切り部20を中心としてその両側に、ロール状シート部16、17がそれぞれ配置されるため、図1(C)、図4(A)に示すように、シート11が載置台19を囲んだ状態となる。
固定部材21は、図1(C)、図3、図4(A)〜(C)に示すように、落下防止ロープ22と、ロック手段の一例であるコラムロック(遠隔玉外し機)23とを備えている。
落下防止ロープ22は、対となるロール状シート部16、17が載置台19上に配置された状態で、ロール状シート部16、17と吊上げ治具18を一緒に巻くものであり、その両端部にはそれぞれリング部24が設けられている。
コラムロック23は、仕切り部20に設けられ、落下防止ロープ22の両端部の連結と分離を可能にするものである。なお、コラムロック23は、ここでは2個使用しているが、シート11の幅Wに応じて、1個又は3個以上でもよい。
使用にあっては、コラムロック本体25の開口部26をロックピン27で閉じるに際し、このロックピン27を、落下防止ロープ22の両端部のリング部24に挿通することで、落下防止ロープ22の両端部を連結できる。
これにより、固定部材21によって、対となるロール状シート部16、17を吊上げ治具18に固定できる。
ここでは、図1(C)、(D)に示すように、固定部材21によってロール状シート部16、17が固定された吊上げ治具18を、積山10の頂上に載置する。なお、吊上げ治具18の搬送には、積山10の山裾に設置した搬送手段の一例であるレッカー(クレーン車)29を用いる。
まず、図1(C)、図3に示すように、吊上げ治具18の仕切り部20に設けられた2箇所の係止部(孔)30に、シャックル31を用いて吊ワイヤー32の両端部を取付ける。そして、レッカー29のワイヤロープ33に設けられたフック34に吊ワイヤー32を引掛け、レッカー29で吊上げ治具18を持上げる。
なお、このとき、前記した各引張りロープ15の他方側と、ロックピン27に取付けられたロック解除ワイヤー28の他方側を、積山10の山裾に配置する。つまり、ロック解除ワイヤー28の長さは、少なくともシート11の長手方向の長さの半分以上あればよい。
ここでは、図1(E)、(F)に示すように、積山10上に載置した各ロール状シート部16、17を広げて(解いて)、積山10の斜面12、14をシート11で覆う。
まず、図4(A)に示す固定部材21による固定状態を解除する。
具体的には、図4(B)に示すように、積山10の山裾に配置されたロック解除ワイヤー28の他方側を、例えば、作業者が引張り、コラムロック本体25からロックピン27を引抜く。これにより、ロックピン27が落下防止ロープ22のリング部24から引抜かれ、図4(C)に示すように、落下防止ロープ22の両端部が分離される。
なお、ロール状シート部16、17を広げるに際しては、まず、一方のロール状シート部17を広げた後、他方のロール状シート部16を広げるが(片方ずつ広げるが)、両方のロール状シート部16、17を同時に広げてもよい。
このように、積山10へのシート11掛けが終了した後は、吊上げ治具18をレッカー29で持上げ、積山10の山裾まで搬送する。なお、落下防止ロープ22は、予め回収ロープ36を取付けておくことで、この回収ロープ36を山裾から引張ることにより回収できる。
以上の方法を、積山10の尾根方向(尾根部13の方向)に渡って順次繰返し実施し、複数のシート11を積山10の尾根方向に渡って順次配置することで、積山10の表面全体をシート11で覆うことができる。ここで、積山10の表面を複数のシート11で覆うに際しては、隣り合うシート11の幅方向端部が重なるように行う。
積山10の尾根方向の両端部は、高さ方向の途中位置に平坦部38が設けられ、山裾と平坦部38との間に斜面39が、平坦部38と尾根部13との間に斜面40が、それぞれ形成されている。このように、積山10の尾根方向の両端部は、二段となっているが、例えば、積山の規模に応じて、平坦部がなくてもよく、また、三段以上にしてもよい。
次に、図5(B)に示すように、積山10の平坦部38上に載置した各ロール状シート部16、17を広げて、積山10の平坦部38と、その両側(尾根方向と直交する方向の両側)に位置する斜面41、42をシート11で覆う。
なお、このシート11の移動は、シート11の幅方向の一端部が、山裾の地面を覆うように、また、シート11の幅方向の他端部が、斜面39側の平坦部38の一部を覆うように行う。従って、シート11の幅は、少なくとも、斜面39の長さよりも長くする必要がある(なお、シート11の幅に応じて、積山11の斜面39の長さ(形成する平坦部38の数)を調整することもできる)。
このように、シート11の幅方向の一部が、平坦部38の一部を覆うことで、斜面39に掛けたシート11が、斜面39上から滑り落ちることを防止できる。
なお、図5(D)に示すように、上記したシート11の幅方向の一部は、尾根部13側の斜面40の一部を覆っている。このため、シート11の幅は、少なくとも、平坦部38の尾根方向の長さよりも長くする必要がある(なお、シート11の幅に応じて、積山11の平坦部38の長さを調整することもできる)。
このように、シート11の幅方向の一部が、尾根部13の一部を覆うことで、斜面40に掛けたシート11が、斜面40上から滑り落ちることを防止できる。
そして、図5(F)、(G)に示すように、シート11の幅方向端部を尾根部13の端部に合わせて、図1(A)〜(F)に示す操作を行うことにより、積山10にシート11を掛けることができる。
以上のことから、本発明の野積みバラ物へのシート掛け方法を用いることで、作業者が積山へ登頂することなく安全にシート掛け作業が行え、しかも、シート掛け作業の時期や場所の自由度も広げることができる。
前記実施の形態においては、積山を構成するバラ物に、鉄鋼業で使用される原料を用いた場合について説明したが、シート掛けが行われる原料であれば(屋外屋内を問わず)、これに限定されるものではなく、例えば、セメント業で使用される原料等を用いることもできる。
Claims (6)
- 野積みされたバラ物の積山上にシートを掛ける方法において、
前記シートを、該シートの長手方向の両側から中央部へ向けて、それぞれ引張りロープの一方側を巻込みながらロール状に巻き、形成された対となるロール状シート部からそれぞれ前記引張りロープの他方側を突出させた状態にするシート巻回工程と、
対向する前記ロール状シート部の間の前記シート上に吊上げ治具を載せ、前記ロール状シート部をそれぞれ更に巻いて前記吊上げ治具上に配置し、固定部材によって前記ロール状シート部を前記吊上げ治具に固定するシート載置工程と、
前記固定部材によって前記ロール状シート部が固定された前記吊上げ治具を、搬送手段によって前記積山の頂上まで搬送し、前記シートの幅方向を前記積山の尾根方向に合わせて、前記ロール状シート部が固定された前記吊上げ治具を前記積山の尾根部上に載置するシート搬送工程と、
前記固定部材による固定状態を解除した後、前記積山の山裾から前記引張りロープの他方側を引張り、前記ロール状シート部をそれぞれ広げて、前記積山の斜面を前記シートで覆うシート掛け工程とを有することを特徴とする野積みバラ物へのシート掛け方法。 - 請求項1記載の野積みバラ物へのシート掛け方法において、前記吊上げ治具は、載置台と、該載置台の中央部に立設された仕切り部とを備え、前記シート載置工程では、前記吊上げ治具の前記仕切り部の両側に前記ロール状シート部をそれぞれ配置することを特徴とする野積みバラ物へのシート掛け方法。
- 請求項1又は2記載の野積みバラ物へのシート掛け方法において、前記固定部材は、前記ロール状シート部が前記吊上げ治具上に配置された状態で、前記ロール状シート部と前記吊上げ治具を一緒に巻く落下防止ロープと、前記吊上げ治具に設けられ、前記落下防止ロープの両端部の連結と分離を可能にするロック手段とを備え、
前記シート載置工程では、前記ロック手段により前記落下防止ロープの両端部を連結し、前記シート掛け工程では、前記ロック手段により前記落下防止ロープの両端部を分離することを特徴とする野積みバラ物へのシート掛け方法。 - 請求項3記載の野積みバラ物へのシート掛け方法において、前記ロック手段はコラムロックであり、前記シート掛け工程では、前記コラムロックのロックピンに取付けられたロック解除ワイヤーを、前記積山の山裾から引張ることで、前記落下防止ロープの両端部を分離することを特徴とする野積みバラ物へのシート掛け方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の野積みバラ物へのシート掛け方法において、前記シート巻回工程では、前記引張りロープを前記シートの幅方向に予め設定した範囲で揺動させながら、前記シートをロール状に巻くことを特徴とする野積みバラ物へのシート掛け方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の野積みバラ物へのシート掛け方法において、前記引張りロープは、前記シートの幅方向に間隔をあけて複数配置することを特徴とする野積みバラ物へのシート掛け方法。
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