JPS5847547B2 - 高層建築物の外装版揚重方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高層建築物における外装版の揚重方法及び装
置に関する。

一般に、カーテンウオール工法の高層建築物においては
、外装用プレキャスト版の取付工事の際、ＰＣ版の揚重
は、構造鉄骨の上部に設置したクレーン等による直吊込
みによって行なわれている。

このため、揚重時の荷振れが生じ、強風条件下にあって
は、取付けの完了したＰＣ版と揚重中のＰＣ版とが衝突
する虞れがある。

従って、クレーン等の作業半径が大きくなり、安全面で
好ましくない。

殊に、外壁面と敷地に余裕がない場合、道路上空での揚
重となり、通行人等に不安感を与え、万一の場合には重
大な事故に直結する虞れがある。

本発明は、このような問題を解決できる揚重方法及び装
置を提供するものである。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。

先ず、本発明に係る揚重装置について説明すると、１は
カーテンウオール工法による高層建築物Ａの屋根上に設
置したレール２上を走行するクレーン、３は必要最少限
の跳出し寸法をもつ型鋼製の吊下げ杆である。

これら吊下げ杆３は、適当な相互間隔（後述の通りプレ
キャストコンクリート版等からなる外装版Ｂの横巾まり
も広い間隔とすることが望ましい。

）をもたせて配置されるものであり、レール２と平行な
外壁面においては２本の吊下げ杆３をクレーン１０走行
フレームに取り付けてクレーン１と一体に水平移動する
ように構或し、レール２長手方向の外壁面側においては
構造鉄骨上部に適当間隔おきに必要本数だけ固定的に取
り付ける。

４は前記各吊下げ杆３の先端から垂下したガイドワイヤ
ーであり、各ガイドワイヤー４の下端は地面に対して着
脱自在に固定される。

Ｃはその固定金具の一例である。この固定金具Ｃは、第
３図、第４図に示すように、上端に、前記ガイドワイヤ
ー４を連結するビンシャツクル挿入用の横孔５，５′を
、また下端には相対向す本灼部６，６′をそれぞれ形或
し、且つ、横孔５，５ 方尚の外側面Ｓｓ ，Ｓｔ
が傾斜した対称をなす一対のクサビ状金具７，７ と、
これら両金具７，７ の周囲に上方から嵌合する角形の
還状金具８とから構成されるもので、外壁桶と平行に地
面に敷設したレール（これは、外装版運搬台車のレール
でもよく、ガイドワイヤーを固定するために設けた専用
のレールでもよい。

）９の長手力向任意箇所に両金具７，１ の鈎部６，６
を係合し、この状態で前記環状金具８を下降し、傾斜
外側面Ｓ．，Ｓ．でのクサビ効果により両金具７，１
を締付け、レール９を挾持固定するようになっている。

Ｄは外装版Ｂの両側部下端寄りに設けたスライド金物で
あり、外装版Ｂの両側に位置するガイドワイヤー４にス
ライド自在に嵌合するようになっている。

第５図、第６図は前記スライド金物Ｄの一例を示す。

該金物Ｄは、ガイドワイヤー４の出入口１０を有し且つ
出入口１０から奥側に至る程相互の間隔が広くなるよう
に傾斜した内側面Ｓ２，Ｓ２を有する平面形状略Ｃ字形
の部材１１と、該部材１１に出入口１０を挾んで同芯状
に固着された筒部１２，１３と、一方の筒部１３に軸線
方向摺動自在に挿通保持され且つ該筒部１３に内装した
圧縮スプリング１４により出入口１０を閉塞する状態に
摺動付勢されたリング状操作部１５ａ付き軸体１５と、
前記部材１１の出入口１０とは反対側の位置に固着され
た筒部１６と、該筒部１６に回転のみ自在に挿通保持さ
れたボルＮ７とから構成されており、前記ボルト１７を
外装版Ｂに埋設した脱型用インサート金具（これは、ス
ライド金物を取り付けるために設けた専用のインサート
金物でもよい。

）にねじ込むことにより、外装版Ｂに取り付けられる。

尚、１８はクレーン１の走行フレームや巻取りウインチ
等に一端を連結し、他端を、リング１９を介してスライ
ド金物Ｄに連結した落下防止用のロープ、２０は該ロー
プ１８を振止めするリングであり、ガイドワイヤー４に
套嵌させてある。

次に、上記装置を用いた揚重方法について説明する。

■ 先ず、外装版Ｂの揚重を行なうべさ位置に、前記吊
下げ杆３、固定金具Ｃを介して少なくとも２本のガイド
ワイヤー４をターンバックルあるいはレバーブロック等
を用いて外壁面に沿わせて略鉛直に張設する。

両ガイドワイヤー４の相互間隔は、外装版Ｂ両側部に取
り付けたスライド金物Ｄの相互間隔よりもやや広めに設
定しておく。

２ 次に両ガイドフイヤ−４を外装版Ｂ側に引き寄せ、
各スライド金物Ｄを各ガイドワイヤー４にスライド自在
に嵌合させる。

この嵌合は、リング状操作部１５ａを介して軸体１５を
スプリングカに抗して引張り、出入口１０を開放し、ガ
イドワイヤー４を出入口１０より引き入れ、軸体１５を
元位置に復帰させることによって行なわれる。

この嵌合により、両ガイドワイヤー４には張力が付与さ
れ、ガイドワイヤー４を緊張させることができる。

３ この状態で、前記外装版Ｂを、クレーン１の主ブー
ムより垂下した吊りワイヤーにより、前記ガイドワイヤ
ー４に沿わせて所望の階まで吊り上げるのである。

４ 吊上げが完了したら、スライド金物Ｄのガイドワイ
ヤー４に対する嵌合を解く。

この嵌合解除操作は、作業者が外部へ体を乗り出すこと
なく、安全に行なうことができる。

即ち、ガイドワイヤー４はスライド金物Ｄ側に引き寄せ
られ、張力が与えられており、他方、スライド金物Ｄが
上述の如き構造を有するため、リング状操作部１５ａを
持って軸体１５をスプリングカに抗して引張り、出入口
１０を開放すると、ガイドワイヤー４はその張力により
、傾斜内側面Ｓ２ ，Ｓ２に沿って摺動し、自動的に
出入口１０外部へと外れることになる。

従って、体を乗り出す必要がなく、嵌合解除を非常に容
易且つ安全に行なうことが可能である。

以上のように、本発明によれば、一対の略鉛直なガイド
ワイヤーを、外装版、つまり、揚重すべき物品の両側部
に設けたスライド金物の相互間隔よりも広い間隔を隔て
て張設しておき、両スライド金物を両ガイドワイヤーに
嵌合させることにより、両ガイドワイヤーに張力を与え
るので、ガイドワイヤーが高層建築物の全長にわたる長
尺のものであっても、ガイドワイヤーをたるみのない状
態に容易に張り渡たすことができる。

そして、この状態でガイドワイヤーによりガイドさせつ
つ外装版を高層建築物上部に配置したクレーンの吊りフ
イヤーによって吊り上げるため、揚重時の荷振れがなく
、風の強い日でも、取付け済み外装版と揚重中の外装版
とが衝突する虞れがない。

また、外装版の揚重が外壁面に近い位置で行なえるので
、敷地に余裕がない場合であっても、従来方法のように
通行人等に不安感を与えることはなく且つ安全に作業で
きる。

しかも、上記の通り、スライド金物をガイドフイヤーに
嵌合することによって、ガイドフイヤーに張力を与える
ので、揚重した外装版を建物側に取り込む際、ガイドフ
イヤーの張力を利用してスライド金物をガイドワイヤー
から外すことが可能である。

即ち、ガイドワイヤーは、スライド金物を嵌合した状態
においては、張力によってワイヤー間隔が拡がる方向に
絶えず付勢されているから、本発明装置のスライド金物
を用いれば、ワイヤー出入口を開放するだけで、ガイド
ワイヤーが奥拡がりに傾斜した内側面に案内されて、自
動的にスライド金物から抜け出すことになり、スライド
金物の嵌合解除を、ガイドワイヤーの張力を利用して容
易且つ安全に行なえるのである。

【図面の簡単な説明】

図面の本発明の実施例を示し、第１図は揚重装置の概様
と揚重方法を示す全体の概略斜視図、第２図は要部の正
面図、第３図、第４図は固定金具の側面図と正面図、第
５図、第６図はスライド金物の平面図と側面図である。 ３・・・吊下げ杆、４・・・ガイドワイヤー、Ｂ・・・
外装版、Ｃ・・・固定金物、Ｄ・・・スライド金物。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 高層建築物における外壁面に接近させて一対の略鉛
   直なガイドワイヤー４，４を、外装版Ｂの両側部に設け
   たスライド金物Ｄ，Ｄの相互間隔よりも大きな間隔を隔
   てて張設し、両スライド金物Ｄ，Ｄを両ガイドワイヤー
   ４，４に嵌合させることにより、両ガイドワイヤー４，
   ４に張力を与え、この状態で高層建築物の上部に配置し
   たクレーンの吊りソイヤーにより、前記外装版Ｂを両ガ
   イドワイヤー４，４に沿わせて吊り上げることを特徴と
   する高層建築物の外装版揚重方法。 ２ 高層建築物における外壁面よりも突出する一対の吊
   り下げ杆３，３と、これら各吊り下げ杆３，３の先端部
   から、外装版Ｂの両側部に着脱自在に取り付けたスライ
   ド金物Ｄ，Ｄの相互間隔よりも大きな間隔を隔てて垂下
   したガイドワイヤー４，４と、これら各ガイドワイヤー
   ４，４の下端を固定する固定金物Ｃ，Ｃと、高層建築物
   の上部に配置され且つ前記外装版Ｂを吊り上げるための
   吊りワイヤーを有するクレーンとを備え、前記各スライ
   ド金物Ｄが、前記ガイドワイヤー４の出入口１０を有し
   且つ出入口１０かも奥側に至る程相互の間隔が広くなる
   ように傾斜した内側面Ｓ２，Ｓ２を有する平面形状略Ｃ
   字形の部材１１と、該部材１１に軸線方向摺動自在に支
   持され且つスプリング１４により前記出入口１０を閉塞
   する状態に摺動付勢きれた軸体１５と、前記部材１１を
   外装版Ｂのインサート金具に取り付げるためのボルト１
   ７とによって構或され、両スライド金物Ｄ，Ｄを両ガイ
   ドワイヤー４，４に嵌合させることにより、両ガイドワ
   イヤー４．４Ｋ張力を与え、両スライド金物Ｄ，Ｄの出
   入口ｉｏ，ｉｏを開放することにより、ガイドワイヤー
   ４，４が前記内側面Ｓ２，Ｓ２Ｖｃ案内されて自動的に
   スライド金物Ｄ，Ｄから外れるように構或されているこ
   とを特徴とする高層建築物の外装版揚重装置。