以下、図面を参照して、本発明の貼付装置に係る一実施形態について説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。水平面内におけるフィルムの搬送方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。本実施形態に係る貼付装置は、長尺状の保護材及び主フィルム材が貼り合わされてなるフィルムをロール状に巻回したロール体から巻き解いたフィルムを搬送しながらフィルムから保護材と主フィルム材とを分離し、主フィルム材を基板に貼り付ける装置に関するものである。
(第一実施形態)
図1は本実施形態に係る貼付装置の概略構成を示す側面図である。
図1に示すように、貼付装置100は、装置筐体101と、基板供給部102と、基板搬送部103と、フィルム搬送部104と、フィルム貼付部(貼付部)105と、塗布部106と、加熱部107と、基板当接部136と、吸着部55と、制御装置CONTとを備えている。
基板供給部102は、装置筐体101内に基板1を移動させることで供給するためのものである。基板供給部102は、フィルム貼付前の基板1を複数保持するカセット102aと、該カセット102aの内部から基板1を引き出し可能な駆動部102bと、を有している。なお、カセット102aは、内部に保持する基板1を駆動部102bに引き渡し可能な位置まで下降可能な構成となっている。これにより、基板供給部102は、駆動部102bによってカセット102a内から複数の基板1を順次装置筐体101側に供給可能となっている。なお、基板供給部102の構成は、カセット102aから基板1を順次供給する構成に限定されず、搬送ロボットにより基板1を1枚ずつ順次装置筐体101側に供給する構成を採用してもよい。
基板搬送部103は、基板1を所定位置(フィルム貼付位置)まで移動させるとともに、フィルムの貼り付け後に基板1を装置筐体101から搬出するための搬出位置まで移動させる。
フィルム搬送部104は、基板1に対する貼付位置までフィルムを搬送するためのものである。フィルム貼付部105は、フィルム搬送部104で搬送されたフィルム60を基板1に貼り付けるためのものである。
本実施形態において、フィルム60は、主フィルム材61と、保護材62と、これら主フィルム材61および保護材62を貼り合せる粘着層63とを有した長尺状から構成されている(図5参照)。フィルム貼付部105は、フィルム60のうち主フィルム材61のみを基板1の上面に貼り付ける。
塗布部106は、フィルム60を基板1に接着可能とするための塗布液として接着剤または粘着剤を該基板1に対して塗布するためのものである。
加熱部107は、塗布部106で接着剤または粘着剤が塗布されたフィルム60を加熱する(ベーク処理)ことで接着剤または粘着剤を硬化させるためのものである。
制御装置CONTは、貼付装置100を統括的に制御する部分である。具体的に、制御装置CONTは、基板供給部102、基板搬送部103、フィルム搬送部104、フィルム貼付部105、塗布部106および加熱部107と電気的に接続されており、各々の動作を制御ことが可能である。
上記基板搬送部103は、第1基板搬送ローラー部30、第2基板搬送ローラー部31、第3基板搬送ローラー部32、第4基板搬送ローラー部33、及び第5基板搬送ローラー部34を有している。
第1基板搬送ローラー部30は、複数(本実施形態では4つ)の従動ローラー30aを有している。これにより、第1基板搬送ローラー部30は、基板供給部102から供給された基板1を受け取って装置筐体101内へと導くようになっている。
第2基板搬送ローラー部31は、フィルム貼付部105を介して、第4基板搬送ローラー部33と対向するように配置されている。
第2基板搬送ローラー部31は、複数(本実施形態では3つ)のローラー対131を有している。各ローラー対131は、下側ローラー31a及び上側ローラー31bを有している。基板1は、これらローラー31a,31b間に挟持された状態で搬送されるようになっている。
第3基板搬送ローラー部32は、不図示の駆動モーターにより駆動される搬送ローラー(第1搬送ローラー)32aから構成されるものである。搬送ローラー32aはフィルム搬送部104におけるフィルムの貼付作業を行うためのフィルム貼付ローラー40との間で基板1を挟持する構成となっている。これにより、搬送ローラー32a上の基板1にフィルムを貼り付け可能となっている。すなわち、搬送ローラー32a及びフィルム貼付ローラー40は、本発明に係るフィルム貼付部105を構成している。すなわち、フィルム貼付部105は、搬送ローラー32a及びフィルム貼付ローラー40が当接する部分が基板1に対するフィルムの貼り付けを行うフィルム貼付位置としている。
第4基板搬送ローラー部33は、フィルム搬送部104でフィルムが貼り付けられた基板1を受け取るとともに下流側へと搬送する。第4基板搬送ローラー部33は、基板1のうちフィルムが貼り付けられていない基板端部をニップするニップ部を構成する。第4基板搬送ローラー部33は、複数(本実施形態では3つ)のローラー対133を有している。各ローラー対133は、下側ローラー33a及び上側ローラー33bを有している。下側ローラー33aは、基板1を搬送する搬送ローラーを構成するものである。また、上側ローラー33bは、下側ローラー33aとの間で基板1の端部をニップするニップローラーを構成するものである。基板1は、これらローラー33a,33b間に挟まれた状態(ニップされた状態)で搬送されるようになっている。
本実施形態において、基板当接部136と吸着部55は、上記第3基板搬送ローラー部32及び第4基板搬送ローラー部33との間に配置されている。
図2は基板当接部136の周辺における要部構成を示す側面図である。なお、図2においては、図を見易くするため、吸着部55を省略している。
図2に示されるように、基板当接部136は、当接ローラー136aと、バネ部材136bと、当接ローラー136aを保持する保持部材136cと、を含む。当接ローラー136aは、回転軸137を介して保持部材136cの一端側に回転可能に取り付けられている。当接ローラー136aは、従動ローラー又は主動ローラーのいずれで構成されていてもよい。当接ローラー136aは、例えば、ゴム等の弾性材料から構成されている。これにより、当接時に基板1の表面にダメージを与えることが防止されている。
保持部材136cは、他端側が回動軸138を介して不図示の筐体部に回動可能に保持されている。バネ部材136bは、保持部材136cの一端側を支持するように不図示の筐体部に取り付けられている。これにより、当接ローラー136aは、バネ部材136bを介して下方に付勢された状態とされ、保持部材136cが回動軸138を介して回転することで少なくとも上下方向(Z軸方向)に沿って変位可能とされている。
下側ローラー33a及び上側ローラー33bは、不図示の筐体部に取り付けられている。
具体的に、上側ローラー33bは、例えば、保持部材134を介して筐体部(不図示)に取り付けられている。上側ローラー33bは、回転軸132を介して保持部材134の一端側に回転可能に取り付けられている。上側ローラー33bは、従動ローラー又は主動ローラーのいずれで構成されていてもよい。上側ローラー33bは、例えば、樹脂・ゴム等の弾性材料から構成されている。これにより、当接時に基板1の表面にダメージを与えることが防止されている。
保持部材134は、バネ部材134aを介して一端側が不図示の筐体部に支持されている。また、保持部材134は、他端側が回動軸139を介して不図示の筐体部に回動可能に保持されている。これにより、上側ローラー33bは、バネ部材134aを介して下方に付勢された状態とされ、保持部材134が回動軸139を介して回転することで少なくとも上下方向(Z軸方向)に沿って変位可能とされている。
図1に示したように、第5基板搬送ローラー部34は、複数(本実施形態では4つ)の従動ローラー34aを有している。これにより、第5基板搬送ローラー部34は、第4基板搬送ローラー部33から搬送された基板1を受け取って不図示の基板搬出用カセット内に収容するように移動させる。
本実施形態において、吸着部55は、当接ローラー136aとは異なる位置において、基板1の下面1a(主フィルム材61が貼り付けられた面と反対側の面)を吸着可能である。吸着部55は、昇降動作することで基板1の下面1aに対して進退可能とされる。
図3は当接ローラー136aおよび吸着部55における位置関係を示す図であり、図3(a)は側面図であり、図3(b)は平面図である。
本実施形態において、当接ローラー136aおよび吸着部55は、図3(b)に示すように、基板1の幅方向(Y方向)に沿ってそれぞれ配置されている。具体的に、当接ローラー136aは、基板1の幅方向における両端部にそれぞれ配置されている。また、吸着部55は、基板1の幅方向における中央部に配置されている。
図3(a)に示すように、吸着部55は、吸着パッド部56と、パッド押圧部材57と、該パッド押圧部材57を基板1の下面1aに対して昇降させる駆動部58とを含む。吸着パッド部56は、その吸着面を基板1の下面1aに対向させるように設けられており、当該吸着面が基板1の下面1aに当接して吸着することで基板1を保持可能となる。吸着パッド部56の構成材料としては、例えば、樹脂、SUS、セラミックチャック、ゴム、ウルフ、パーフロなどの材料が挙げられる。本実施形態では、例えばパッド押圧部材57の先端部に吸着パッド部56が1つだけ取り付けられている。なお、吸着部55の構造は本形態に限られることは無く、例えば、複数の吸着パッド部56をパッド押圧部材57に配置するようにしても良い。この場合において、複数の吸着パッド部56は、パッド押圧部材57の先端部に、基板1の幅方向(Y方向)に沿って配置させるのが好ましい。これによれば、基板1の下面1aを複数個所で確実に吸着保持することが可能となる。
駆動部58は、例えば、アクチュエータ等から構成されるものである。駆動部58は、制御装置CONTと電気的に接続されており、吸着部55における基板1に対する昇降動作の駆動タイミングなどが制御される。
図2に戻り、当接ローラー136aは、フィルム貼付部105におけるフィルム貼付位置105aの近傍、且つフィルム貼付位置105aにおける基板1の上面よりも低い位置に設けられている。ここで、基板1の上面とは、基板1の単体(貼り付けられた主フィルム材61を除いた状態)のみならず、基板1に貼り付けられた主フィルム材61の表面も含む。なお、フィルム貼付位置105aの近傍とは、フィルム貼付部105や、該フィルム貼付部105にて剥離された保護材62に接触しない位置であって、基板当接部136の形状(例えば、直径)に応じて適宜設定される。
また、フィルム貼付位置105aとは、搬送ローラー32a及びフィルム貼付ローラー40の中心を結ぶ線上に位置するものであり、具体的には搬送ローラー32a及びフィルム貼付ローラー40間の隙間である。図2は、基板1の搬送方向先端がフィルム貼付位置105aに到達した状態を示している。
本実施形態においては、図2に示したように、主フィルム材61の表面を基板1の上面における高さをH1とし、当接ローラー136aにおける最下端部の高さをH2とした場合、H1>H2の条件を満たしている。なお、当接ローラー136aは、保持部材136cによる回動動作により上下方向に移動可能とされているものの、保持部材136cによる回動範囲内においても上記H1>H2の条件は満たされるものとする。本実施形態において、H1及びH2の高さの差は、例えば0.2mmに設定した。また、当接ローラー136aは、バネ部材136bの付勢力によって基板1に対して所定の押圧力を付与するようになっている。
また、当接ローラー136aは、フィルム貼付後の基板1をニップするニップローラーを構成する上側ローラー33b(ローラー対133)よりも鉛直方向下側に配置されている。本実施形態においては、図2に示したように、上側ローラー33bにおける最下端部の高さをH3とした場合、H3>H2の条件を満たしている。なお、上側ローラー33bは、保持部材134による回動動作により上下方向に移動可能とされているものの、保持部材134による回動範囲内においても上記H3>H2の条件は満たされるものとする。また、上側ローラー33bは、複数(本実施形態では3つ)設けられているが、いずれも同じ高さに配置されているものとする。また、上記高さH1および高さH3における大小関係は、上記2つの条件(H1>H2、およびH3>H2)を満たしていれば限定されない。すなわち、本実施形態では、便宜上、H1及びH3を同じ高さとして説明するが、H1>H3あるいはH1<H3のいずれの条件を満たしていてもよい。
このような構成に基づき、基板当接部136の当接ローラー136aは、後述のようにフィルム貼付部105において主フィルム材61が貼り付けられた基板1の側端部に当接可能とされている。当接ローラー136aに当接した基板1は、下方に撓むことで当接ローラー136aの下方へと入り込み、その上面が当接ローラー136aに当接することで押圧された状態とされる。
上記フィルム搬送部104は、フィルム繰出部41と、フィルム巻取部51と、中継ローラー52,53と、搬送経路調整部42と、フィルム保持ローラー43と、第1吸着ローラー44と、カッター部48と、タイミング調整部47と、中継ローラー部45と、第2吸着ローラー49と、上記フィルム貼付ローラー40と、を有する。
フィルム繰出部41は、フィルム60をロール状に巻回したロール体Rを保持するとともに回転する回転駆動部41aを有する。フィルム60は、搬送方向と交差する方向におけるフィルム幅が基板1の幅に対応している。ここで、基板1の幅に対応するとは、フィルム60及び基板1の幅が実質的に同一である場合のみならず、フィルム60の幅が基板1の幅よりも若干広い或いは若干狭い場合も含む。これにより、フィルム搬送部104はロール体Rからフィルム60を巻き解くことで搬送するようになっている。
フィルム巻取部51は、フィルム貼付部105による貼付作業後にフィルム60から分離された保護材62を巻き取るための巻取軸51a及び該巻取軸51aを駆動する駆動部51bを有している。
中継ローラー52,53は、フィルム貼付ローラー40とフィルム巻取部51との間でフィルム60の搬送を中継するものである。中継ローラー52はフィルム貼付ローラー40によるフィルム貼付位置105a(図2参照)よりも上方(Z方向)に位置している。また、中継ローラー52は、基板1の搬送方向において基板当接部136よりもフィルム貼付部105よりも上方に配置される。これにより、フィルム貼付ローラー40を経由したフィルム60は上方に向かって急峻に折り曲げられることで後述するようにカットされた主フィルム材61のみが基板1に貼り付けられ、主フィルム材61から保護材62が剥離されて分離されるようになっている。
搬送経路調整部42は、回転駆動部41aに回動可能に取り付けられるレバー部141と、レバー部141の先端に回動可能に取り付けられてフィルム60に当接する当接ローラー142と、を有する。レバー部141は、回転駆動部41aにロール体Rと同軸上で回転するようになっている。
ロール体Rから巻き解かれたフィルム60は、ロール体Rの残量に応じて搬送経路(搬送距離)が変化する。このようにフィルム60の搬送経路(搬送距離)が変化すると、フィルム60の搬送速度を一定に保つために回転駆動部41aの駆動条件を変更する必要がある。
これに対し、本実施形態に係るフィルム搬送部104は、搬送経路調整部42がレバー部141を所定位置に回動させることでフィルム60の搬送距離(搬送経路)を変化させるようにしている。例えば、フィルム搬送部104は、ロール体Rの残量が少なくなると当接ローラー142を下降させるようにレバー部141を回動させることでロール体Rの外形が小さくなることで短くなった搬送距離を延ばすことができる。このように搬送経路調整部42によれば回転駆動部41aの駆動条件(回転速度)を変更することなく、フィルム60の搬送速度を一定に保つことができる。なお、自重で下がった当接ローラー142によってフィルム60の搬送経路(搬送距離)を変化させるようにしてもよい。この場合、当接ローラー142の近傍に設けた不図示のセンサにより該当接ローラー142の下がり量を測定し、該測定値に基づいて回転駆動部41aによるロール体Rの回転速度を変更すればよい。
フィルム保持ローラー43は、後述する第1吸着ローラー44との間でフィルム60が略鉛直方向(Z軸方向)に沿って搬送されるように保持するためのものである。これにより、フィルム60は鉛直方向に沿って搬送されるようになっている。
第1吸着ローラー44および第2吸着ローラー49はフィルム60を吸着した状態で回転することで該フィルム60を定速で搬送を可能とするものである。図4は第1吸着ローラー44および第2吸着ローラー49の概略構成を示す断面図である。なお、第1吸着ローラー44および第2吸着ローラー49は同一の構成を有していることから、以下の説明では第1吸着ローラー44の構成について説明する。
図4に示されるように、第1吸着ローラー44は、表面に複数の貫通孔144aが形成されたローラー本体144と、ローラー本体144の内部に設けられる吸引部145と、を有する。吸引部145は回転するローラー本体144の内面に摺接可能な箱状からなる箱体145aを有し、該箱体145aはブロワ(不図示)に接続されている。
箱体145aはローラー本体144の内面に当接することで貫通孔144aを介してローラー表面側の空気を吸引可能となっている。第1吸着ローラー44では、箱体145aの開口部に対向する領域Aの貫通孔144aのみから空気を吸引可能となる。箱体145aは固定されており、ローラー本体144のみが回転駆動する。
この構成により、第1吸着ローラー44では、ローラー本体144が所定の回転位置において貫通孔144aから空気が吸引される構成とされている。よって、第1吸着ローラー44は貫通孔144aを介して吸着したフィルム60をローラー本体144の回転方向に沿って良好に搬送することができる。なお、吸引部145はローラー本体144の内面に必ずしも当接している必要はなく、貫通孔144aを介して吸引可能な構成であれば隙間が空いていてもよい。
また、第1吸着ローラー44は吸着によりフィルム60を保持するため、ローラー本体144とフィルム60との間での摩擦が生じることが防止され、静電気の発生を抑制することができる。以上、第1吸着ローラー44の構成について説明したが、第2吸着ローラー49についても同様である。
図5はカッター部48の概略構成を及びフィルム60の積層構造を示す図である。
図5に示すように、本実施形態に係るカッター部48は、フィルム60を切断(カット)するための回転刃(カッター刃)161と、回転刃161に対向配置されるフィルム支持部162と、回転刃161を洗浄する刃洗浄部(カッター刃洗浄部)163と、を有する。
回転刃161は、円盤状のカッター刃から構成されており、不図示のガイド部材によりフィルム60の幅方向(図5に示される右方向から左方向)に沿って移動しながら、前記フィルム60を切断する。回転刃161は、フィルム60の切断を行う場合、例えば、図5に示す−方向(時計回り方向)に回転している。フィルム支持部162は、回転刃161との間でフィルム60を保持するためのものである。カッター部48は、フィルム60(主フィルム材61)の厚さに応じて、回転刃161をフィルム60の厚さ方向(X方向)に移動させることでフィルム支持部162と回転刃161との間の間隔を調整する。これにより、カッター部48は、フィルム60のうち主フィルム材61のみを切断することが可能となる。なお、カッター部48は、フィルム60(主フィルム材61)の厚さや材質等の条件に応じて、回転刃161の回転速度や移動速度を任意に設定可能である。
刃洗浄部163は、フィルム支持部162とは対向しない位置であり、且つ、カッター部48の待機位置に配置されている。ここで、カッター部48の待機位置とは、フィルム60の切断を行う前の回転刃161が待機する位置であり、フィルム60の一端側(図5に示される右側の端部)から他端側(図5に示される左側の端部)へ移動した回転刃161が折り返して一端側に戻ってきた後に最終的に帰還する位置をいう。なお、回転刃161は、フィルム60を切断して他端側に戻る場合、例えば、図5に示す+方向(反時計回り方向)に回転している。なお、本説明では、回転刃161がフィルム60の切断時に−方向(時計回り方向)に回転し、他端側に戻る場合に+方向(反時計回り方向)に回転する場合を例に挙げたが、これに限定されず、反対に、回転刃161が切断時に+方向に回転し、他端側に戻る場合に−方向に回転するようにしてもよい。あるいは、回転刃161の回転方向が−方向或いは+方向のいずれか一方に固定されていてもよい。
このようにカッター部48は、待機位置に配置された刃洗浄部163を備えることで、フィルム60を切断することで回転刃161に付着した粘着層63を洗浄することが可能とされている。
刃洗浄部163は、回転刃161の先端に摺接するスポンジ部材163aと、前記スポンジ部材163aに対して洗浄液を供給する洗浄液供給部163bとを含む。スポンジ部材163aは、回転刃161の先端を収容可能なスリット163sが形成されている。洗浄液供給部163bは、スポンジ部材163aに対して洗浄液を含浸させるためのものであり、スポンジ部材163aにおける回転刃161の洗浄性を維持するためのものである。
このような構成に基づき、カッター部48は、図5に示すようにフィルム60のうち、主フィルム材61のみを切断可能である。そのため、カッター部48による切断後のフィルム60は、主フィルム材61が所定の長さにカットした状態で粘着層63により保護材62に貼り付けられた状態となる。なお、図5においてはフィルム60の主フィルム材61上に塗布された接着剤Nを図示している。
具体的にカッター部48は、主フィルム材61を切断する際、基板1に貼り付けられる貼付部分と、基板に貼り付けられない非貼付部分とを形成する。したがって、保護材62には、粘着層63により上記貼付部分を構成する主フィルム材61と、上記非貼付部分を構成する主フィルム材61とが貼り付けられた状態とされている。ここで、貼付部分の長さとは基板1の長さに対応するものである。また、非貼付部分の長さとは、ある基板1に対するフィルムの貼付終了後、次の基板1に対するフィルムの貼付を開始するまでに基板1が搬送される距離に対応する。すなわち、非貼付部分の長さは、基板1の搬送速度、フィルム貼付ローラー40の昇降速度等に応じて適宜設定される。このように貼付部分及び非貼付部分を含むフィルムを用いることでフィルム搬送部104によって搬送されるフィルム(貼付部分)の先端と、基板搬送部103によって搬送される基板1の搬送方向先端との位置合わせを容易にできるようにしている。
ここで、カッター部48はフィルム搬送部104によって搬送された状態のフィルム60をカットする。カッター部48がフィルム60を切断する際、フィルム60の搬送が一時的に停止される。このとき、フィルム60の搬送は切断部分以外において継続されているため、カッター部48による切断部分とそれ以外とでフィルム60の搬送速度に差が生じてしまう。すると搬送速度にバラツキが生じ、搬送されるフィルム60にダブつきが生じ、フィルム60の搬送不良が生じてしまう。
これに対し、本実施形態に係るフィルム搬送部104は、カッター部48により切断される際にフィルム60に生じる搬送速度のバラツキを調整するための手段として上記タイミング調整部47を備えている。
タイミング調整部47は、フィルム60の一面側(裏面側)に当接するとともに所定方向に搬送する搬送ローラー(ローラー部材)241と、他端側に搬送ローラー241を保持するレバー部材242と、一端側を基準としてレバー部材242を回動動作させる回動部240と、を有する。搬送ローラー241は、レバー部材242に対して回転可能に保持されている。
本実施形態において、タイミング調整部47は、フィルム60がカッター部48により切断される際、フィルム60が一度停止する部分と他の搬送途中の部分とで搬送速度を合わせるべく、回動部240によりレバー部材242を時計回りに回動させることでレバー部材242の他端側に設けられた搬送ローラー241を円弧状に移動させる。このとき、搬送ローラー241がフィルム60の一面側を押し込むことでフィルム60に所定の張力を付与することができる。また、搬送ローラー241は、レバー部材242に対して回動可能とされるので、搬送ローラー241フィルム60の搬送に伴って回転する。よって、搬送ローラー241は、フィルム60の搬送を妨げることが防止される。
このようにフィルム搬送部104は搬送不良を生じさせることなく、フィルム60を搬送した状態のままでカッター部48による切断を行うことができる。よって、カッター部48による切断作業ごとにフィルム60の搬送を一時停止する必要が無くなるので、フィルム60の貼付に要する作業時間を短縮することができる。
本実施形態において、フィルム貼付ローラー40は、上下方向(Z方向)に沿って移動可能とされている。具体的に、フィルム貼付ローラー40は、制御装置CONTに電気的に接続された駆動機構(不図示)により上下方向に昇降可能とされている。
フィルム貼付ローラー40及び搬送ローラー32aは、フィルム60及び基板1を挟持することでフィルム60の貼付を行う。このようにフィルム貼付ローラー40は、フィルム搬送部104の一部をなすとともにフィルム貼付部105を構成している。
本実施形態において、フィルム貼付ローラー40は、フィルム60の貼付部分に相当する主フィルム材61の搬送方向先端部と基板1の搬送方向先端とを一致させるタイミング(すなわち、主フィルム材61の搬送方向先端がフィルム貼付位置105aに到達するタイミング)に合わせて基板1にフィルム60を押し付け可能な位置まで下降する。
また、フィルム貼付ローラー40は、フィルム60の貼付部分に相当する主フィルム材61の搬送方向後端部(基板1の搬送方向後端)に到達したタイミング(すなわち、主フィルム材61の搬送方向後端がフィルム貼付位置105aに到達したタイミング)に合わせて上昇する。このようにして、制御装置CONTが駆動機構を駆動させることにより、フィルム貼付ローラー40は、基板1に対するフィルム60の貼付作業毎に昇降動作を繰り返すようになっている。
ところで、本実施形態において、フィルム貼付部105は、フィルム60から保護材62を分離して、主フィルム材61のみを基板1に貼り付けている。このとき、カッター部48により所定の長さに切断された主フィルム材61は、粘着層63により保護材62に良好に保持された状態となっているものの、フィルム貼付部105による押圧力と、フィルム巻取部51による保護材62の引張力とにより基板1に貼り付けられた状態とされ、保護材62のみを剥離することができる。
このようにして、基板1には、搬送方向先端側から後端側に向かって主フィルム材61のみが貼り付けられていく。しかしながら、基板1は、搬送方向後端部がフィルム貼付位置105aを通過すると、フィルム貼付部105(フィルム貼付ローラー40及び搬送ローラー32a)によるニップ力が働かなくなる。このとき、基板1の搬送方向後端部に貼り付けられた主フィルム材61は、カッター部48によって切断されているものの、上記ニップ力が働かないため、粘着層63による粘着力に打ち勝つことができず、基板1の搬送方向後端部が保護材62とともに上方に僅かに持ち上げられてしまうおそれがある。このとき、主フィルム材61が保護材62から分離された衝撃で基板1が跳ねるといった挙動を示すおそれがある。なお、主フィルム材61は、カッター部48によって切断されているものの、例えばハーフカットの深さが十分ではなく完全に切断されていない場合やハーフカットの深さが十分で完全に切断されていたとしても粘着層63の粘着力が必要以上に強い場合などは、基板1の上方への持ち上がり量が増大してしまい、基板1の跳ねも大きくなってしまう。このように基板1に跳ねが生じると、振動によって基板1や該基板1を搬送する第5基板搬送ローラー部34の構成部材が破損したり、振動によって基板1の搬送方向後端において主フィルム材61が剥がれることで貼付不良が生じるおそれもある。
これに対し、本実施形態に係る貼付装置100は、第3基板搬送ローラー部32及び第4基板搬送ローラー部33間に基板当接部136(当接ローラー136a)および吸着部55を配置した構造を採用している。図6は、基板当接部136による作用を説明するための図である。なお、図6においては、図を見易くするため、当接ローラー136a及び上側ローラー33bの周辺構成の図示を簡略化している。すなわち、バネ部材136b、134a、及び保持部材136c、134の図示を省略している。
フィルム貼付部105のフィルム貼付位置105aを経由した基板1は、図6(a)に示すように、搬送方向先端側の側面が基板当接部136の当接ローラー136aに当接する。本実施形態において、当接ローラー136aは、基板1の上面よりも低い位置に配置されている。基板1は、フィルム貼付部105の搬送ローラー32aによって下流側に搬送されると、図6(b)に示すように下方に撓んで当接ローラー136aの下に入り込む。本実施形態において、当接ローラー136aは、バネ部材136bにより上方向に変位することで基板1を下方へとスムーズに導く。
基板1は、上面が当接ローラー136aにより押さえられた状態で下流側へと搬送され、図6(c)に示すように、搬送方向先端側の側面がフィルム貼付後の基板1をニップするニップローラーを構成する下側ローラー33aに当接する。本実施形態において、上側ローラー33bの最下端部は、基板1の上面よりも低い位置に配置され、上側ローラー33bに対向配置される下側ローラー33aの最上端部は、基板1の上面よりも高い位置に配置されている。
この場合、基板1は、フィルム貼付部105の搬送ローラー32aによって下流側に搬送されると、上方に撓んで下側ローラー33aに乗り上げ、該下側ローラー33aと上側ローラー33bとの隙間に入り込む。これより、基板1は、図6(d)に示すように、搬送方向先端側の端部が下側ローラー33a及び上側ローラー33b(第4基板搬送ローラー部33)にニップ(挟持)される。
基板1は、第4基板搬送ローラー部33でニップされて搬送されることで、図6(e)に示すように、搬送方向後端側の端部がフィルム貼付位置105aへと到達する。
本実施形態において、制御装置CONTは、基板1の搬送方向後端側の端部がフィルム貼付位置105aに到達するタイミングに合わせて、駆動部58によりパッド押圧部材57を上方に移動し、基板1の搬送方向後端の下面1aを吸着パッド部56で吸着保持する。なお、制御装置CONTは、吸着パッド部56が下面1aに接触しない程度の高さで待機させ、上記タイミングに合わせて吸着パッド部56を下面1aに当接させるようにしてもよい。
また、制御装置CONTは、基板1の搬送方向後端側の端部がフィルム貼付位置105aに到達するタイミングに合わせて、駆動機構(不図示)によりフィルム貼付ローラー40を上方に移動させつつ、該フィルム貼付ローラー40を逆回転させる。ここで、フィルム貼付ローラー40を逆回転させるとは、主フィルム材61を基板1に貼り付ける際の回転方向と逆方向に回転した状態とすることをいう。なお、フィルム貼付ローラー40は、垂直方向(Z方向)に上昇してもよいし、基板1の搬送方向に向かうように手前方向に向かって上昇してもよい。フィルム貼付ローラー40の上方への移動量は、例えば、数ミリ程度に設定される。
本実施形態において、制御装置CONTは、吸着部55(吸着パッド部56)における基板1の下面1aに対する上昇動作と、フィルム貼付ローラー40の基板1の上面からの上昇動作とを同時に行うように制御するようにしている。具体的に、吸着部55は、フィルム貼付ローラー40が基板1から離間する直前のタイミングに同期して該基板1を吸着する。吸着パッド部56は、初期位置から上昇して基板1の下面1aを吸着した状態で該基板1とともに搬送方向に少し移動する。このように吸着パッド部56は、基板1の搬送に追従して移動するため、貼付動作中における基板1の搬送を妨げることが防止される。なお、吸着部55(吸着パッド部56)は基板1とともに搬送方向に移動しているため、基板1から離間する際に、下方に移動するとともに初期位置まで戻る。
本実施形態によれば、基板1の搬送方向後端部がフィルム貼付位置105aを通過した後にフィルム貼付部105によるニップ力が働かなくなった場合においても、基板1は、当接ローラー136aにより両端部の上面が押さえられるとともに、吸着部55により下面1aの中央部が吸着により保持されたものとなる。よって、基板1は、幅方向の全域に亘って良好に保持されたものとなるので、基板1の搬送方向後端部がフィルム巻取部51に巻き取られる保護材62とともに上方に持ち上げられてしまうことが防止される。
また、フィルム貼付ローラー40が上方に移動することで、基板1に貼り付けられた主フィルム材61を、フィルム貼付ローラー40に搬送される保護材62から良好に分離することができる。
さらに、上方に移動する際にフィルム貼付ローラー40が逆回転するので、フィルム60の弛みが解消されることで該フィルム60に張力を付与した状態とすることができる。よって、基板1に貼り付けられた主フィルム材61とフィルム貼付ローラー40側に残るフィルム60(保護材62)との間に瞬間的な引張力を生じさせることで主フィルム材61と保護材62とがスムーズに分離される。 したがって、主フィルム材61が保護材62から分離される際における基板1の跳ねが防止されるので、基板1の跳ねによる不具合(基板1の破損や貼付不良)の発生を防止できる。すなわち、基板1の搬送方向の全域に亘って主フィルム材61を綺麗に貼り付けることができる。
なお、主フィルム材61は、カッター部48によって切断されているものの、例えばハーフカットの深さが十分ではなく完全に切断されていない場合やハーフカットの深さが十分で完全に切断されていたとしても粘着層63の粘着力が必要以上に強い場合、基板1の搬送方向後端の上方への持ち上がり量が増大する可能性がある。本実施形態によれば、上記当接ローラー136aおよび吸着部55によって基板1の搬送方向後端の幅方向において確実に保持できるので、上述のように基板1の持ち上がり量が増大するケースにおいて特に顕著な効果を得ることができる。
図1に戻って、上記塗布部106は、フィルム保持ローラー43によって鉛直方向に搬送されるフィルム60に対して接着剤または粘着剤を塗布する。なお、塗布部106が塗布する塗布液としては、少なくとも加熱部107による乾燥後にフィルム60を基板1に接着可能な程度の粘着性を有する液体が用いられる。
塗布部106は、接着剤または粘着剤を基板1に対して塗布機構70と、ミスト回収機構71と、フィルム60に塗布される接着剤または粘着剤の厚みを調整する膜厚調整機構72と、を含む(図10参照)。
図7(a)は塗布機構70の要部構成を示す概略図であり、図7(b)はノズル73の先端73aの動きを概念的に示した図である。
図7(a)に示されるように塗布機構70は、接着剤または粘着剤を噴射するノズル73と、本体部74と、本体部74をX軸回りで回動させる回動部75とを含む。ノズル73としては、接着剤または粘着剤をスプレー噴射するスプレーノズルが用いられる。本体部74は、ノズル73をフィルム60の幅方向に沿って移動可能とする移動機構79を有している。移動機構79は、ノズル73の移動をガイドするガイド部79aと、該ガイド部79aに対してノズル73を移動させる駆動力を伝達する駆動部79bとを含む。ノズル73は、取付アーム78を介してガイド部79aに接続されている。
駆動部79bは、例えばラックアンドピニオン機構によりガイド部79a側に駆動力を伝達するようになっている。これにより、ノズル73は同図矢印Bで示されるようにフィルム60の幅方向に沿って移動可能となっている。よって、ノズル73はフィルム60の幅方向の全域に亘って接着剤または粘着剤を噴射可能となっている。
回動部75はモーター等から構成されている。本体部74は、その中央部において回動部75に取り付けられている。これにより、本体部74は、回動部75により中央部を基準に揺動可能とされている。ノズル73は本体部74の揺動動作とは独立して本体部74の移動機構79によって移動可能とされている。なお、以下では、説明の便宜上、ノズル73の先端73aの中心と回動部75の回転中心とが一致しているものとする。
このような構成に基づき、ノズル73の先端73aは、図7(b)に示すように回動部75の回転中心を基準として略8の字状に移動する。具体的に、ノズル73の先端は、回動部75の回転中心Cを基準としてYZ軸を設定すると、第4象限から第2象限へと至り、円弧を描いて第3象限を経て第1象限へと至り、円弧を描いて第4象限へと至った後、繰り返し同じ軌跡を描くように移動する。なお、本説明ではノズル73の先端73aが第2象限から第3象限に至る際および第1象限から第4象限に至る際、円弧を描いて戻る場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、Z軸方向に沿ってY軸を跨ぐように折り返すことで第2象限から第3象限および第1象限から第4象限へと移動する構成であっても構わない。この場合、塗布機構70は、回動部75の代わりに本体部74をYZ方向に移動させる移動部を有する。
図8は本実施形態に係る塗布部106が接着剤または粘着剤を塗布する際のフィルム60に対するノズル73の先端73aの動きを表した図である。また、図9は比較として回動部75を有しない塗布部106が接着剤または粘着剤を塗布する際のフィルム60に対するノズル73の先端73aの動きを表した図である。本実施形態に係る塗布部106は、上述のようにノズル73が回動部75の回転中心Cを基準として略8の字状に移動することから、フィルム60の搬送速度及びノズル73の移動速度を調整して図8に示すようにノズル73の先端を所定方向に搬送されるフィルム60の表面の幅方向に沿って移動させることができる。一方、回動部75を有しない場合、ノズル73がフィルム60の幅方向に移動する間に該フィルム60自体も搬送されてしまうため、図9に示すようにノズル73の先端73aはフィルム60の表面に対してジグザグに移動する。
以上述べたように、本実施形態に係る塗布部106は、回動部75を備えることでノズル73の先端73aをフィルム60の幅方向及び搬送方向の全域に亘って隙間なく移動させることができるので、接着剤または粘着剤をフィルム60の全面に亘って均一に塗布することができる。
図1に戻って、上記加熱部107は、第1加熱部76及び第2加熱部77を有している。第1加熱部76及び第2加熱部77の加熱温度は、それぞれ異なる値に設定されている。
第1加熱部76は、フィルム60に対して第1ベーク処理を行うことで接着剤または粘着剤を仮硬化させるためのものである。第2加熱部77は、フィルム60に対して第2ベーク処理を行うことで接着剤または粘着剤を本硬化させるためのものである。
このような構成に基づき、加熱部107はフィルム60を段階的(2段階)に加熱することで接着剤または粘着剤を良好に硬化させることができるようになっている。なお、接着剤または粘着剤が複数(例えば、2種類)の溶剤を含む場合、第1加熱部76による第1ベーク処理(第1段階目の加熱処理)で接着剤または粘着剤中の第1溶剤を蒸発させ、第2加熱部77による第2ベーク処理(第2段階目の加熱処理)で接着剤または粘着剤中の第2溶剤を蒸発させて接着剤または粘着剤を乾燥させ、良好に硬化させることができる。
また、加熱部107は、第1加熱部76及び第2加熱部77を用いて1枚のフィルム60の加熱処理を行うので、1つの加熱部のみでフィルム60の加熱処理を行う構成のように先のフィルム60の乾燥処理が終了するまで次のフィルム60の乾燥処理を開始することができないといった問題が生じることが無い。よって、順次加熱部107内にフィルム60を搬送することができるので、加熱処理に要するタクトを短縮することができる。
図10は塗布部106の周辺構成を示す概略図である。図11はミスト回収機構71の構成を示す概略図である。ミスト回収機構71は塗布機構70のノズル73から接着剤または粘着剤を塗布する際に生じるミストを回収するためのものである。
ミスト回収機構71は、図10に示すように本体部80と、ミスト洗浄部81と、洗浄液循環部82と、を有している。本体部80は、塗布部106による塗布処理が行われる処理チャンバーを構成している。本体部80は、フィルム搬送部104により搬送されるフィルム60を内部に搬入或いは内部から搬出させるための開口部80aが設けられている。
図11に示されるように、ミスト洗浄部81はフィルム60における接着剤または粘着剤が塗布される面と反対の裏面60a、及び側面60bを覆うように本体部80内に設置される。ミスト洗浄部81は、図10に示したように洗浄液Wを貯留する洗浄液貯留部83と、該洗浄液貯留部83から溢れ出した洗浄液Wが流れる洗浄部84と、洗浄液受け部85と、を有している。なお、図10においては、図を見やすくするため、フィルム60の裏面60a側に配置されたミスト洗浄部81のみを図示しているものの、フィルム60の側面60b側にも図11に示したようにミスト洗浄部81は配置されている。フィルム60の側面60b側に配置されるミスト洗浄部81についても、裏面60a側のミスト洗浄部81と同一の構成を有している。
洗浄部84はフィルム60の搬送方向(Z方向)に沿って延びるブラシ部材から構成され、該ブラシ部材の表面を伝って下方へと洗浄液が流れる構成となっている。洗浄液受け部85は、洗浄部84を伝って流れた下方へと流れた洗浄液を受ける容器として機能するものである。
洗浄液受け部85の下方には、洗浄液Wを本体部80内に連通させる連通部85aが設けられ、該連通部85aを介して洗浄液受け部85内の洗浄液が本体部80の底部89へと流れ込むようになっている。洗浄液循環部82は、本体部80の底部89に溜まった洗浄液を連通部89aを介し、ポンプPの駆動力によって洗浄部84の洗浄液貯留部83に循環させるものである。洗浄液循環部82はフィルターFを有しており、該フィルターFを介して洗浄液を循環させる。これにより、洗浄後に洗浄液に含まれる異物を除去することで洗浄液を再利用することができる。
本実施形態に係る塗布部106によれば、ノズル73からフィルム60に対して接着剤または粘着剤を塗布する際に生じたミストをミスト回収機構71により回収できるので、ミストが付着することで貼付装置100内が汚れるといった不具合の発生を防止できる。
膜厚調整機構72は、フィルム60の幅方向におけるフィルム端に塗布される接着剤または粘着剤の厚みが均一になるように調整するものである。図12は膜厚調整機構72の周辺構成を示す図であり、同図(a)は斜視図であり、同図(b)は断面図である。
図12(a),(b)に示すように膜厚調整機構72は、フィルム60のフィルム端の近傍に設置されるダミーローラー90と、駆動ローラー91と、従動ローラー92と、該ダミーローラー90、駆動ローラー91、及び従動ローラー92に架け渡されるベルト93と、を備えている。ベルト93は、フィルム60と同じ材質であるポリイミドから構成されている。
ダミーローラー90は、鉛直方向に向けてフィルム60を搬送するフィルム保持ローラー43と同軸で回転する。ダミーローラー90の外径は、該ダミーローラー90に掛け渡されたベルト93の表面がフィルム保持ローラー43に掛け渡されるフィルム60の表面と略同じ高さとなる大きさに設定されている。また、塗布部106は、ベルト93の表面とフィルム60の表面が略同じ高さとなる領域において、ノズル73の先端がフィルム60の表面に対して接着剤または粘着剤を塗布するように位置合わせされている。
ここで、フィルム60のフィルム端に膜厚調整機構72のベルト93が設けられていない場合、接着剤または粘着剤の飛散条件が変化するフィルム端において接着剤または粘着剤の膜厚が薄くなってしまう。これにより、フィルム60の幅方向において接着剤または粘着剤の膜厚にバラつきが生じてしまうおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、ノズル73が対向するフィルム60のフィルム端の表面と略同じ高さに膜厚調整機構72のベルト93の表面が位置するので、接着剤または粘着剤の飛散条件をフィルム端とフィルム中央部とで合わせることができる。よって、フィルム60の幅方向における接着剤または粘着剤の成膜条件を揃えることで接着剤または粘着剤を均一な膜厚で塗布することが可能となっている。
ところで、本実施形態に係るノズル73のようなスプレーノズルを用いた場合の塗布面にはムラが生じることがある。
これに対し、本実施形態においては、鉛直方向(Z方向)に沿って搬送されるフィルム60に対してノズル73から接着剤または粘着剤を塗布する構成を採用している。
なお、先端73aの開口端がフィルム60の表面に対向した状態となるようにノズル73とフィルム60とが配置されていれば、フィルム60が必ずしも鉛直方向に沿って搬送されていなくても上述したムラ抑制効果を得ることができる。すなわち、フィルム60は水平面と交差する方向に沿って搬送されていればよい。このようにフィルム60が水平面と交差する方向、すなわち水平面に対して傾いた状態に搬送されていれば、ノズル73の先端73aとフィルム60の表面とは水平方向に所定距離だけ常に離間した状態となるので、上述した接着剤または粘着剤の塗布面におけるムラの発生を抑制できる。
これによれば、ノズル73の先端とフィルム60の表面とは水平方向に所定距離だけ離間した状態とされるので、ノズル73から塗布された接着剤または粘着剤の粒子のうち、粒子が荒いもの(粒の大きいもの)はフィルム60の表面に到達する前に落下し、フィルム60に塗布されることがない。一方、ノズル73から塗布された接着剤または粘着剤の粒子のうち、粒子が細かいもの(粒の小さいもの)はノズル73の先端から所定距離離間した位置に配置されるフィルム60の表面に到達し、フィルム60に塗布されることとなる。よって、フィルム60に均一な粒子を含んだ接着剤または粘着剤を塗布することができるので、接着剤または粘着剤の塗布面に上述したようなムラが発生するのを抑制できる。
なお、ベルト93の表面に付着した接着剤または粘着剤を洗浄する洗浄装置を設けてもよい。洗浄装置の構成としては、ベルト93に洗浄液を噴射する構成、或いはベルト93を洗浄液貯留部にディップさせる構成のいずれであってもよい。これによれば、ベルト93の表面を常に綺麗な状態に保持することができるので、フィルム60のフィルム端における接着剤または粘着剤の成膜条件の調整を長期に亘って精度良く行うことができる。
続いて、本実施形態に係る貼付装置100の動作として、フィルム60を基板1に貼り付ける動作について説明する。
図13は貼付装置100によるフィルム60の貼付工程を説明するフロー図である。
初めに貼付装置100ではフィルム繰出部41にロール体Rが取り付けられる(ステップS1)。
ロール体Rが取り付けられた後、貼付装置100はフィルム搬送部104が駆動し、フィルム60の巻出しを行う(ステップS2)。具体的にフィルム搬送部104は、フィルム繰出部41及びフィルム巻取部51を回転駆動させ、フィルム60を所定方向に沿って搬送する。
貼付装置100は、フィルム搬送部104によるフィルム60の搬送に合わせて、塗布部106を駆動し、接着剤または粘着剤の塗布を行う(ステップS3)。具体的に塗布部106は、上述のようにノズル73が回動部75の回転中心を基準として略8の字状に移動しながらフィルム搬送部104によって搬送されるフィルム60に対して接着剤または粘着剤を塗布する。塗布部106は、ノズル73を移動機構79によって移動させつつ、回動部75によってノズル73を保持する本体部74をX軸回りに回動させることでノズル73の先端をフィルム60の幅方向及び搬送方向の全域に亘って隙間なく移動させることができる(図8参照)。よって、接着剤または粘着剤をフィルム60の幅方向に亘る全面に均一に塗布することができる。
ところで、フィルム60に対して接着剤または粘着剤を塗布する際、フィルム60の幅方向のフィルム端では接着剤または粘着剤の飛散条件が変化するため、フィルム端における接着剤または粘着剤の厚みが中央部に比べて薄くなってしまう。これに対して、本実施形態に係る塗布部106はノズル73からフィルム60に対して接着剤または粘着剤を塗布する際、膜厚調整機構72を機能させてフィルム60の幅方向におけるフィルム端に塗布される接着剤または粘着剤の厚みが均一になるように調整する。
具体的に膜厚調整機構72は、フィルム60を搬送するフィルム保持ローラー43の回転と同期させてダミーローラー90を回転させる。このとき、ダミーローラー90の表面に掛け渡されたベルト93の表面とフィルム保持ローラー43に掛け渡されたフィルム60の表面とが同じ高さとなっている。
これによれば、フィルム端近傍においてフィルム60の表面と同じ高さにベルト93の表面が位置するので、実質的にフィルム端における接着剤または粘着剤の飛散条件を中央部に合わせることができる。
よって、ノズル73から塗布された接着剤または粘着剤はフィルム60のフィルム端においても接着剤または粘着剤の飛散条件が変化することがなく、接着剤または粘着剤の成膜条件がフィルム60の幅方向で安定することで接着剤または粘着剤を均一な条件で塗布することができる。
ノズル73からフィルム60に接着剤または粘着剤を塗布する際、ノズル73からミストが周囲に飛散してしまう。これに対して本実施形態に係る塗布部106では、ミスト回収機構71によりミストを回収することができる。具体的にノズル73から飛散したミストは、フィルム60の裏面60a及び側面60bを覆うように設けられたミスト洗浄部81(ミスト回収機構71)の洗浄部84によって捕捉される。
洗浄部84は上述したようにブラシ部材の表面を伝って下方へと洗浄液が流れる構成となっているため、捕捉されたミストは洗浄液とともに下方に排出される。これによれば、捕捉したミストが洗浄部84に蓄積してしまうといったことがなく、安定的にミストを回収することができる。
ミストを回収した洗浄液は洗浄液受け部85から本体部80の底部へと流れ込み、洗浄液循環部82のフィルターFで異物が除去された後、洗浄部84に再度循環される。
また、本実施形態においては、鉛直方向(Z方向)に沿って搬送されるフィルム60に対してノズル73から接着剤または粘着剤を塗布するので、ノズル73から塗布された接着剤または粘着剤の粒子のうち、粒子が荒いもの(粒の大きいもの)がフィルム60に塗布されるのを防止し、粒子が細かいもの(粒の小さいもの)のみをフィルム60に塗布することができる。このようにして塗布された接着剤または粘着剤は均一な粒子を含むので、ムラの発生が抑制された状態で塗布されたものとなる。この接着剤または粘着剤は表面のムラが少ないため、後工程で行われる基板1に貼り付けられた場合であっても主フィルム材61の平面度を低下させるといった不具合の発生を防止できる。
フィルム搬送部104は、塗布部106によって接着剤または粘着剤が塗布されたフィルム60を加熱部107へと搬送し、フィルム60を加熱する(ベーク処理)ことで接着剤または粘着剤を硬化させる。具体的に加熱部107は、まず第1加熱部76によってフィルム60に対して第1(1st)ベーク処理を行う(ステップS4)。続いて、加熱部107は、第2加熱部77によってフィルム60に対して第2(2nd)ベーク処理を行う(ステップS5)。第1加熱部76及び第2加熱部77における加熱温度は、接着剤または粘着剤の種類、膜厚等の条件により適宜変更される。
このように本実施形態では、加熱部107が第1加熱部76及び第2加熱部77を用いて1枚のフィルム60の加熱処理を行うので、順次加熱部107内にフィルム60を搬送することができ、加熱処理に要するタクトを短縮することができる。
フィルム搬送部104は、加熱部107による加熱処理後のフィルム60をカッター部48へと搬送し、フィルム60をカットする(ステップS6)。カッター部48は、図5に示したようにフィルム支持部162上のフィルム60に対して回転刃161を押し付け、フィルム60のうち、主フィルム材61のみを切断する。カッター部48によるカット後のフィルム60は、主フィルム材61が所定の長さに切断された状態で粘着層63により保護材62に貼り付けられた状態となる。
具体的にカッター部48は、上述のように貼付部分及び非貼付部分を含むように主フィルム材61のみを切断する。カッター部48は、回転刃161がフィルム60の一端側から他端側に向かって移動することでフィルム60を簡便且つ確実に切断することができる。また、回転刃161を採用することで簡便且つ確実にフィルム60を切断することができる。また、刃洗浄部163を備えるので、回転刃161が洗浄されることで回転刃161による切断性能を維持することができ、結果的に回転刃161の寿命を延ばすことができる。
また、本実施形態に係るカッター部48は、スポンジ部材163aに接触した状態で回転刃161を回転駆動させるので、前記回転刃161の先端に付着した粘着層63を確実に洗浄して除去することができる。
なお、本実施形態では、カッター部48が回転刃161を備える場合を例に挙げたが、カッター刃は必ずしも回転方式を採用する必要は無く、回転しない刃をフィルム60の幅方向に移動させることでフィルム60(主フィルム材61)を切断する構成を採用してもよい。
ところで、フィルム60の切断時、フィルム60の搬送が一時的に停止される。一方、フィルム60は、切断部分以外においてフィルム搬送部104による搬送が継続されている。そのため、カッター部48を介してフィルム60の搬送速度に差が生じ、搬送速度のバラツキに起因してフィルム60がダブつくことで結果的に搬送不良が生じてしまう。
これに対し、本実施形態では、タイミング調整部47がフィルム60の切断時に生じる搬送速度のバラツキを調整する。タイミング調整部47は、搬送ローラー241によりフィルム60に付与する張力を自在に調整するとともに該フィルム60の搬送経路を変更し、フィルム60におけるカッター部48とタイミング調整部47(搬送ローラー241)との距離を延ばすことができる。よって、フィルム60におけるカッター部48までの見掛け上の搬送速度を低くすることができ、フィルム60の搬送速度を全体で調整することで搬送速度のバラツキに起因してフィルム60にダブつきが生じるのを防止することができる。また、本実施形態では、タイミング調整部47がレバー部材242を回動させるという簡便な方式を採用するので、装置全体の小型化及び低コスト化を図ることも可能となる。
よって、フィルム搬送部104はフィルム60の搬送不良を生じさせることなく、搬送状態のままでフィルム60をカッター部48によって良好に切断することができる。また、フィルム搬送部104は、カッター部48による切断作業ごとにフィルム60の搬送を一時停止する必要が無くなるので、フィルム60の貼付に要する作業時間を短縮できる。
続いて、カットしたフィルム60の貼付工程を行う。貼付装置100は、フィルム60の貼付を行うに先立ち、基板供給部102のカセット102a内から引き出し、基板搬送部103によって基板1の搬送を開始する(ステップS7,S8)。
基板搬送部103は、基板1をフィルム貼付部105まで移動させる。フィルム貼付部105は、基板搬送部103によって搬送される基板1に対してフィルム60の貼付を行う(ステップS9)。なお、基板搬送部103は、基板1の搬送方向先端がフィルム貼付部105に到達するタイミングを、フィルム搬送部104に搬送されるフィルム60の貼付部分がフィルム貼付部105に到達する同期させるように基板1の搬送速度を制御する。
具体的に基板1は、第1基板搬送ローラー部30及び第2基板搬送ローラー部31を経て、第3基板搬送ローラー部32(搬送ローラー32a)へと搬送される。フィルム搬送部104は、第3基板搬送ローラー部32に基板1が到達するタイミングに合わせてフィルム貼付ローラー40を下降させる。これにより、フィルム貼付ローラー40は、基板搬送部103の搬送ローラー32a(第3基板搬送ローラー部32)上に位置する基板1に対してフィルム60(貼付部分)の押し付けを開始する。
フィルム貼付ローラー40は、フィルム60における貼付部分の主フィルム材61を基板1に貼り付ける。フィルム60はカッター部48による切断工程によって、主フィルム材61が所定の長さ(貼付部分又は非貼付部分)に切断された状態で粘着層63により保護材62に貼り付けられた状態となっている。
具体的にフィルム貼付ローラー40は、上述のようにフィルム60の貼付部分に相当する主フィルム材61の搬送方向先端部と基板1の搬送方向先端とを一致させるタイミングで下降する。貼付部分の主フィルム材61は、フィルム貼付ローラー40と搬送ローラー32aとの間で基板1とともに挟持され、主フィルム材61が接着剤Nを介して基板1に接着される。
フィルム貼付ローラー40を経由したフィルム60は中継ローラー52、53を経由してフィルム巻取部51によって巻き取られる。ここで、中継ローラー52はフィルム貼付ローラー40によるフィルム貼付位置よりも上方(Z方向)に位置しているため、フィルム60はフィルム貼付ローラー40を経て上方に向かって急峻に折り曲げられる。
よって、中継ローラー52により上方に折り曲げられたフィルム60は、主フィルム材61のみが接着剤Nを介して基板1に残り、保護材62のみが中継ローラー52側に搬送されることで主フィルム材61と保護材62とが分離される(ステップS10)。フィルム60から分離された保護材62は、中継ローラー52,53を介してフィルム巻取部51に巻き取られる(ステップS11)。
本実施形態では、上述のように基板1の搬送方向後端部がフィルム貼付位置105aを通過することで該フィルム貼付部105によるニップ力が働かなくなった場合であっても、フィルム貼付位置105aの近傍且つフィルム貼付位置105aにおける基板1の上面よりも低い位置に設けられた基板当接部136により基板1を下方に撓ませるように上面を押さえつつ、吸着部55により基板1の下面1aを吸着保持することができる。
これにより、幅方向の全域に亘って基板1を良好に保持できるので、基板1の搬送方向後端部がフィルム巻取部51に巻き取られる保護材62とともに上方に持ち上がることを防止できる。また、上述のように、基板1の搬送方向後端部がフィルム貼付位置105aを通過するタイミングに合わせて、フィルム貼付ローラー40が上方に移動しつつ逆回転することで基板1の跳ねによる不具合(基板1の破損や貼付不良)の発生を防止できる。
フィルム貼付部105によって主フィルム材61の貼付部分が貼り付けられた基板1は、第4基板搬送ローラー部33、第5基板搬送ローラー部34へと順に搬送された後、不図示の基板搬出用カセット内へと収容される(ステップS12)。
貼付装置100は基板供給部102内の所定枚数の基板1に対して主フィルム材61(フィルム60)の貼付が終了するまで、上述したステップS1乃至ステップS12に係るフィルム貼付処理工程SS1を繰り返す(ステップS13)。以上により、貼付装置100は所定枚数の基板1に対してフィルム60を良好に貼り付けることができる。
以上述べたように本実施形態によれば、フィルム60に接着剤または粘着剤を塗布する塗布工程、フィルム60を切断する工程、及びフィルム60を基板1に貼り付ける工程を一貫したラインで行うことができるので、効率良くフィルム60を基板1に貼り付けることができる。また、位置補正機構111が基板1に対するフィルム60の幅方向における相対位置、すなわち位置ずれを補正するため、基板1とフィルム60とを精度良く貼り付けることができる。また、本実施形態では、基板当接部136および吸着部55を備えることで基板1の跳ねによる破損および貼付不良が防止された信頼性の高い貼付装置100を提供できる。
また、貼付装置100において、上記基板当接部136が当接ローラー136aを主体に構成されるので、当接時に基板1の表面にダメージを与えることが防止される。また、当接ローラー136aが回転することで基板1の搬送を妨げることが防止される。
また、貼付装置100において、基板当接部136は、バネ部材136bにより少なくとも上下方向に変位可能とされているので、基板1と基板当接部136とが接触した際、基板当接部136がバネ部材136bにより上方向に変位して退避することで基板当接部136の下方に基板1をスムーズに導くことができる。よって、基板当接部136により基板1の搬送が妨げられるといった不具合の発生を防止できる。
また、貼付装置100において、基板当接部136は、ニップローラーを構成する上側ローラー33bよりも鉛直方向下側に配置されるので、基板1の搬送方向前端側がニップされた状態において、搬送方向後端側が基板当接部136に当接した際に下方に撓んだ状態とすることができる。よって、基板当接部136が基板1の搬送方向後端部を確実に抑えることで基板1が跳ねるのをより確実に防止できる。
また、貼付装置100は、接着剤または粘着剤を塗布したフィルム60を所定の長さに切断するので、フィルム60として長尺状のロール体Rから巻き出したものを使用できる。よって、フィルム60を貼り付ける対象となる基板1として種々の大きさのものを使用する事ができ、汎用性の高い貼付装置となる。また、ロール体Rから巻き出されたフィルム60を複数の基板1に対して順次貼り付けることができ、貼り付け工程を効率的に行うことができる。
また、貼付装置100においては、フィルム巻取部51が保護材62を巻き取る動作により、フィルム60の搬送動作を簡便且つ確実に行うことができる。
また、貼付装置100は、水平面と交差する方向、例えば鉛直方向に沿って搬送されるフィルム60に対して接着剤または粘着剤が塗布されるので、塗布時に飛散して下方に落下したミストが付着することが防止され、フィルム60に安定した膜厚の接着剤または粘着剤を塗布することができる。よって、接着剤または粘着剤の塗布面にムラが発生するのを抑制できる。よって、基板1とフィルムとの接着性を向上させることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、基板1の搬送方向後端がフィルム貼付位置105aに到達したタイミングで、フィルム貼付ローラー40を上昇させるとともに逆回転させる場合を例に挙げたが、上昇動作および逆回転動作のいずれか一方のみを行う構成としても良い。
また、上記実施形態においては、フィルム繰出部41及びフィルム巻取部51のいずれにも駆動部を設ける場合を例に挙げたが、フィルム巻取部51のみに駆動部を設け、フィルム巻取部51を主動して回転させることで従動回転するフィルム繰出部41から巻き解いたフィルム60を巻き取る構成としてもよい。
また、上記実施形態では、加熱部107がフィルム60を2段階で加熱する場合を例に挙げたが、フィルム60を1段階或いは3段階以上で加熱するようにしてもよい。
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図14は第二実施形態に係る貼付装置の構成を示す図である。貼付装置100Aにおいては、図14に示すように装置筐体101内に複数のイオナイザー110を配置するようにしてもよい。これによれば、フィルム60の搬送によって生じる静電気を除電することで静電気によるフィルム60の貼り付き等といった不具合の発生が防止され、フィルム60が良好に搬送されて基板1への貼付を行うことができる。
また、図14に示すように加熱部107のフィルム60の搬送方向下流側に冷却部108を設けるようにしても構わない。これによれば、加熱部107で加熱されたフィルム60を冷却して短時間で所定温度まで下げることができる。よって、フィルム60の搬送経路を短くすることができ、フィルム搬送部104が小型化されて貼付装置100自体の小型化を実現できる。
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上記実施形態においては、膜厚調整機構72として、ベルト93の表面をフィルム60の表面と略同じ高さに設定したものを例示したが、本実施形態では、ベルト93を用いずにダミーローラー90の表面とフィルム60の表面との高さを一致させる構成を採用している。この場合、ダミーローラー90の材質としては、表面粗さの低い、例えばSUS、樹脂、アルミニウム等を用いるのが好ましく、これによれば接着剤または粘着剤をフィルム60のフィルム端における接着剤または粘着剤の成膜条件を良好に調整して整えることができる。
図15は第三実施形態に係る膜厚調整部の構成を示す図であり、同図(a)は斜視図であり、同図(b)は断面図である。本実施形態においては、図15(a)、(b)に示すようにダミーローラー95の回転軸をフィルム保持ローラー43に一体形成し、ダミーローラー95とフィルム保持ローラー43とが一体に回転する構成を採用する。
本実施形態においては、図15(a)、(b)に示すようにフィルム保持ローラー43と一体に形成されたダミーローラー95が膜厚調整部を構成する。ダミーローラー95は、フィルム保持ローラー43と同軸で回転する。ダミーローラー95は、表面95aがフィルム60の表面と同じ高さに設定されている。すなわち、ダミーローラー95は、フィルム60を保持するフィルム保持ローラー43よりもフィルム60の厚み分だけ外径が大きく構成されている。
ところで、ノズル73からフィルム60に対して接着剤または粘着剤を塗布する際、ノズル73から飛散したミストがダミーローラー95に付着してしまう。本変形例では、ダミーローラー95の表面に当接するスキージ部材96を配置している。スキージ部材96は、ダミーローラー95におけるフィルム60との当接部分よりも回転方向における下流側の表面に当接する。スキージ部材96の材料としては、ゴム、樹脂等を用いるのが好ましく、これによればダミーローラー95に傷をつけることなく、前記ダミーローラー95に付着したミストを良好に掻き取ることができる。これにより、スキージ部材96は、ノズル73から飛散してダミーローラー95の表面に付着したミストを掻き取ることができる。スキージ部材96が掻き取ったミストは図10に示したミスト回収機構71における本体部80の底部89に貯留されている洗浄液Wに回収させてもよいし、別途回収機構を設けるようにしてもよい。
これによれば、ダミーローラー95のみで本発明の膜厚調整部が構成されて部品点数を少なくすることができ、コスト低減を図ることができる。また、ダミーローラー95とフィルム保持ローラー43とが一体に回転するため、これらダミーローラー90およびフィルム保持ローラー43における駆動部を共通化することができ、コスト低減を図ることができる。
(第四実施形態)
次に、第四実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上記第一実施形態では、タイミング調整部47として、搬送ローラー241によりフィルム60に付与する張力を自在に調整するとともに該フィルム60の搬送経路を変更する構成を例示したが、本発明はこれに限定されることはない。
図16は、本実施形態に係る貼付装置100Bの概略構成を示す図である。
図16に示すように、本実施形態に係る貼付装置100Bは、搬送経路調整部42と同様の構成を採用したタイミング調整部247を備えている。
タイミング調整部247は、フィルム60の裏面側に当接する当接ローラー部147と、該当接ローラー部147を保持する保持部148と、該保持部148をフィルム60の搬送方向(X方向)に沿って移動可能な駆動部149と、を有している。
タイミング調整部247は、フィルム60がカッター部48により切断される際、フィルム60が一度停止する部分と他の搬送途中の部分とで搬送速度を合わせるべく、当接ローラー部147を搬送方向上流側(+X方向)に移動させる。これにより、カッター部48とタイミング調整部47(当接ローラー部147)との距離が長くなるので、見掛け上のフィルム60のカッター部48までの搬送速度を低くすることができ、フィルム60の搬送速度を合わせることで搬送速度のバラツキに起因するフィルム60のダブつきを防止することができる。
本実施形態においても、タイミング調整部247がフィルム60の切断時に生じる搬送速度のバラツキを調整するので、フィルム60の搬送速度を合わせることでフィルム60にダブつきが生じるのを防止できる。
よって、フィルム搬送部104はフィルム60の搬送不良を生じさせることなく、搬送状態のままでフィルム60をカッター部48によって良好に切断することができる。また、フィルム搬送部104は、カッター部48による切断作業ごとにフィルム60の搬送を一時停止する必要が無くなるので、フィルム60の貼付に要する作業時間を短縮できる。
(第五実施形態)
次に、第五実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上記第一実施形態においては膜厚調整機構72を備えることで、フィルム60の幅方向におけるフィルム端に塗布される接着剤または粘着剤の厚みを均一にする場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、膜厚調整機構72を有していなくてもよい。
図17は、本実施形態に係る貼付装置の要部構成としてフィルム保持ローラー43の周辺構成の拡大図である。
図17に示すように、本実施形態においては、フィルム保持ローラー43に付着した接着剤または粘着剤を洗浄するローラー洗浄部150を備えている。
本実施形態において、フィルム保持ローラー43は、フィルム60の搬送方向に交差する方向における幅がフィルム60の幅よりも大きくなっている。そのため、フィルム保持ローラー43は、接着剤または粘着剤がノズル73から塗布される際、フィルム60の全面を保持することで接着剤または粘着剤の塗布面にしわや弛みが生じることを防止する。よって、フィルム60には、接着剤または粘着剤がムラなく塗布されるようになる。
一方、フィルム保持ローラー43は、フィルム60よりも幅が大きいため、フィルム60を保持した際に両端部が露出した状態となる。そのため、ノズル73から塗布された接着剤または粘着剤の一部がフィルム保持ローラー43にも付着してしまう。これに対し、本実施形態においては、フィルム保持ローラー43に付着した接着剤または粘着剤を洗浄する上記ローラー洗浄部150を備えた構造を採用している。
ローラー洗浄部150は、フィルム保持ローラー43における接着剤または粘着剤が付着した部分に少なくとも洗浄液を塗布する洗浄液塗布部150aと、洗浄液が塗布されたフィルム保持ローラー43の表面43aに摺接するスキージ部材150bとを含む。
洗浄液塗布部150aは、例えば、スプレーノズル等から構成され、フィルム60における接着剤または粘着剤の塗布面に対向しない方向から洗浄液を塗布するように配置される。本実施形態において、洗浄液塗布部150aは、フィルム60の搬送方向と平行に配置され、フィルム保持ローラー43に対して上方から洗浄液を塗布する。これにより、フィルム60における接着剤または粘着剤の塗布領域に洗浄液が付着するといった不具合の発生を防止している。
スキージ部材150bは、フィルム保持ローラー43の表面43aのうち、少なくとも洗浄液が付着した部分を摺接する。本実施形態において、スキージ部材150bは、フィルム保持ローラー43と同じ幅を有しており、フィルム保持ローラー43の表面43aの全面を一括的に払拭することが可能とされている。なお、スキージ部材150bは、フィルム保持ローラー43の表面43aのうち洗浄液が付着する端部のみを払拭する構成を採用してもよく、この場合、2つのスキージ部材150bを用意し、フィルム保持ローラー43の両端部の表面43aに摺接させるようにすればよい。
スキージ部材150bは、フィルム保持ローラー43におけるフィルム60との当接部分よりも回転方向における下流側の表面43aに当接する。スキージ部材150bの材料としては、ゴム、樹脂等を用いるのが好ましく、これによればフィルム保持ローラー43に傷をつけることなく、前記フィルム保持ローラー43に付着した接着剤または粘着剤および洗浄液を良好に掻き取ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、膜厚調整機構72を有さない構成を採用した貼付装置であっても、ローラー洗浄部150を備えるので、フィルム保持ローラー43に付着した接着剤または粘着剤を良好に除去することができる。よって、フィルム保持ローラー43に付着した接着剤または粘着剤により、装置内部が汚染されるといった不具合の発生を防止することができる。
(第六実施形態)
次に、第六実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
上記第一実施形態においては、カッター部48が回転刃161によって主フィルム材61を幅方向に沿って切断する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、カッター部として別の構成を採用してもよい。
図18は、本実施形態に係る貼付装置の要部構成であるカッター部およびその周辺の概略構成を示す図である。
カッター部160は、図18に示すようにフィルム60を切断(カット)するための刃48aと、刃48aに対向配置される台座部48bとを有する。カッター部160は、台座部48b上のフィルム60に対して刃48aを押し付けることでフィルム60を切断可能となっている。具体的にカッター部48は、図18に示すようにフィルム60のうち、主フィルム材61のみを切断可能な位置まで刃48aを押し付ける。これにより、フィルム60は主フィルム材61が所定の長さにカットした状態で粘着層63により保護材62に貼り付けられた状態とすることができる。
以上述べたように、本実施形態によれば、カッター部160が刃48aをフィルム60の幅方向の全体に亘って刃48aを押し付けることで該フィルム60を一括的に簡便且つ確実に切断することができる。
(第七実施形態)
次に、第七実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図19は、本実施形態に係る貼付装置100Cの概略構成を示す図である。
図19に示すように、本実施形態に係る貼付装置100Cは、基板1に貼り付けられたフィルムを検査する検査部170を備えている。検査部170は、第4基板搬送ローラー部33と、第5基板搬送ローラー部34との間に配置される。
検査部170は、基板搬送ローラー部171と、基板1に貼り付けられたフィルム(主フィルム材61)を撮像する撮像部172と、撮像部172による撮像結果に基づいて検査結果を判定する判定部173と、を含む。
基板搬送ローラー部171は、複数(本実施形態では4つ)の従動ローラー171aを有している。これにより、基板搬送ローラー部171は、第4基板搬送ローラー部33から搬送された基板1を受け取って、第5基板搬送ローラー部34に受け渡すように移動させる。
撮像部172は、例えば、CCDセンサ等によって構成される。このCCDセンサは、マトリクス状に配列された複数の画素を含んでいる。CCDセンサの各画素は、例えばフォトダイオード等の受光素子と、薄膜トランジスター等のスイッチング素子とを含む。
判定部173は、撮像部172が撮像した画像に基づいて、基板1に貼り付けられたフィルムの状態を判定するためのものである。判定部173は、演算回路等のハードウエアーにより構成されていてもよいし、プログラム等のソフトウエアーによって実現されていてもよい。
図20は、検査部170によるフィルム(主フィルム材61)の検査方法の一例を説明するための図である。
図20に示すように、検査部170は、主フィルム材61が貼り付けられた基板1の四隅を撮像部172により撮像し、撮像した画像Gを判定部173に送信する。判定部173は、撮像部172から送信された画像Gについて、基板1および主フィルム材61の角部を構成するそれぞれの縁辺部間の距離D1、D2を算出する。
判定部173は、算出した距離D1、D2とあらかじめ記憶しておいた閾値とを比較し、閾値と距離D1、D2との差がそれぞれ所定値以上となる場合に主フィルム材61が基板1に対して曲がった状態に貼り付けられたものと判断し、基板1を不良品として判定する。一方、判定部173は、算出した距離D1、D2と上記閾値とを比較し、閾値と距離D1、D2との差がそれぞれ所定値未満となる場合に主フィルム材61が基板1に対して良好に貼り付けられたものと判断し、基板1を良品として判定する。
このように本実施形態によれば、検査部170を備えるので、基板1に対するフィルム(主フィルム材61)の貼付状態を判定することができるので、基板1の良品或いは不良品の判定を容易に行う事ができる。よって、フィルムの貼付状態が良好でない不良品の基板1を選別して、予め排除することが可能な貼付装置100Bを提供することができる。なお、本説明では、基板1の四隅を撮像部172により撮像する場合を例に挙げたが、これに限定されず、基板1の四隅のいずれか2個のみを撮像するようにしてもよい。