JP6371460B1 - 配線基板用補強板 - Google Patents

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Abstract

【課題】リフロー後の接続抵抗の上昇を抑えた配線基板用補強板を実現できるようにする。
【解決手段】配線基板用補強板100は、補強板本体101と、補強板本体101の第1の面101Aに設けられた第1の導電性接着剤層102とを備えている。補強板本体101の第1の面101Aにおける表面性状のアスペクト比が0.5以上である。
【選択図】図1

Description

本開示は、配線基板用補強板に関する。
電子機器の小型化が進むに従い、可撓性のフレキシブルプリント配線基板(FPC)の利用が広がっている。FPCは、薄く屈曲性が高いため、実装に必要な強度を確保するためにステンレス等の薄板を有する配線基板用補強板を接着することが行われている。
一方、電子機器は電磁波の影響を受けやすくなっており、電磁波の遮蔽が重要な課題となっている。このため、配線基板用補強板の接着に導電性接着剤を用い、配線基板用補強板とFPCのグランド回路や筐体等の接地電位等とを導通させることにより、配線基板用補強板を電磁波のシールド等として用いることが試みられている。このような配線基板用補強板としては、ステンレスなどの金属板が使用されている。しかしながら、ステンレスなどの金属板の表面には不働態被膜が生じ、FPCと補強板との接続安定性を損なうことがある。このような問題を解決するため、表面にNiめっきやAuメッキを施した配線基板用補強板が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
国際公開第2014/132951号
しなしながら、配線基板用補強板の表面にめっきを施すと、コストを上昇させる原因となる。一方、コストを抑えるために、めっき処理を施さずに表面に不働態皮膜を有する配線基板用補強板をFPCのグランド回路と接続しようとすると、リフロー後に接続抵抗値が上昇してしまい、電磁波シールド効果や接地電位との接続安定性が低下してしまうという問題が生じる。
このような問題は、ステンレスに限らず、不動態皮膜が生じる金属板を配線基板用補強板に用いる場合において生じ得る。
本開示の課題は、めっき処理等を施さなくてもリフロー後の接続抵抗の上昇を抑えた配線基板用補強板を実現できるようにすることである。
本開示の配線基板用補強板の一態様は、補強板本体と、補強板本体の第1の面に設けられた第1の導電性接着剤層とを備え、補強板本体の第1の面における表面性状のアスペクト比は、0.5以上である。
配線基板用補強板の一態様において、補強板本体の第1の面における算術平均高さは、0.10μm以上とすることができる。
補強板本体は、オーステナイト系ステンレスとすることができる。
配線基板用補強板の一態様において、第1の導電性接着剤層は、補強板本体の第1の面に直接接していてもよい。
配線基板用補強板の一態様は、導電性接着剤層と、補強板本体との間に設けられためっき層をさらに備えていてもよい。
この場合において、めっき層は、ニッケル−リンめっき層とすることができる。
配線基板用補強板の一態様は、補強板本体の第2の面に設けられた第2の導電性接着剤層をさらに備え、補強板本体の第2の面における表面性状のアスペクト比は、0.5以上とすることができる。
本開示の補強配線基板の一態様は、グランド回路を有する配線基板と、グランド回路と金属板とが導通するように、配線基板に接着された本開示の配線基板用補強板とを備えている。
本開示の配線基板用補強板によれば、めっき処理等を施さなくてもリフロー後の接続抵抗の上昇を抑えることができる。
一実施形態に係る配線基板用補強板を用いた補強配線基板を示す断面図である。 配線基板用補強板の変形例を示す断面図である。 配線基板用補強板の変形例を示す断面図である。 配線基板用補強板の変形例を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態の配線基板用補強板100は、配線基板200に固定され、補強配線基板300を形成することができる。本実施形態において配線基板用補強板100は、ステンレス等からなる補強板本体101と補強板本体101の第1の面101Aに設けられた導電性接着剤層102とを有している。本実施形態において配線基板200は、フレキシブルプリント配線基板(FPC)であり、ベース部材201と、ベース部材201上に接着剤層202により接着された絶縁フィルム203とを有している。絶縁フィルム203にはグランド回路205を露出する開口部が設けられている。
導電性接着剤層102は、絶縁フィルム203の開口部に充填されグランド回路205と接続されるため、グランド回路205と補強板本体101とは、導電性接着剤層102を介して導通する。
補強板本体101は、導電性接着剤層102と接する第1の面101Aにおける表面性状のアスペクト比(Str)が0.5以上である。第1の面101AのStrを0.5以上とすることにより、めっき処理等が施されていない、表面に不働態皮膜が存在する金属板を補強板本体101として用いても、接続抵抗を低く維持することが可能となる。
Strは、表面性状の方向依存性を表すパラメータであり、0〜1の値を取る。値が1に近づくに従い、表面性状の方向依存性が小さくなる。ヘアライン加工のように一方向に線状の凹凸を設けた場合には、算術平均高さ(Sa)が大きい表面であっても、Strはほぼ0となる。Strの値が小さい場合には、リフロー前の接続抵抗が低くても、リフロー後に接続抵抗が大きく上昇する。一方、Strの値が0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上の場合には、リフロー前の接続抵抗を低くでき、リフロー後においても低い接続抵抗を維持できることを本願発明者は見いだした。Strの値は大きい方が好ましく、1.0に近い方が接続抵抗をより安定させることができ、Strの値は1.0以下とすればよいが、配線基板用補強板の生産性の観点から最大値は1.0未満であり、好ましくは0.99以下である。なお、Strは、実施例において説明するようにISO25178に準拠して測定することができる。
リフロー後の接続抵抗は、グランド回路と接続するための開口部の大きさ等により変化するが、開口部の直径が1.0mmの場合、好ましくは0.5Ω/1穴以下、より好ましくは0.3Ω/1穴以下、さらに好ましくは0.2Ω/1穴以下である。なお、接続抵抗は、実施例において説明する方法により測定することができる。
Strが所定の値よりも大きければSaの値は問わないが、Saの値を好ましくは0.10μm以上、より好ましくは0.15μm以上とすることにより、接続抵抗をより安定させることができる。なお、Saは、実施例において説明するようにISO25178に準拠して測定することができる。
補強板本体101は、図2に示すように、金属板101aの表面にめっき層105を設けたものとしてもよい。めっき層105を設けることにより、接続抵抗をより安定させることができる。この場合、メッキ層105を設けた後の補強板本体101の表面においてStrの値が所定の範囲となるようにすればよい。また、メッキ層105は、金属板101aをめっき浴に浸漬して形成することができる。この場合、図3に示すように、金属板101aの両面にメッキ層105が設けられていてもよい。但し、レジスト膜等を用いて金属板101aの片面だけにメッキ層105aを設けることもできる。
また、導電性補強板101として金属板の表面に、表面抵抗低減処理を行ったものを用いることもできる。表面抵抗低減処理を行うことにより、接続抵抗をさらに低減することができる。表面抵抗低減処理として例えば、リチウムイオン等のキャリアとなるイオンを不動態皮膜中に含有させる処理等を用いることができる。このような処理として、日本金属株式会社のルコア処理等がある。接続抵抗の観点からは、めっき層の形成や、表面抵抗低減処理を行うことが好ましいが、コストの観点からはこれらの処理が行われていないことが好ましい。なお、表面抵抗低減処理を行う場合は、表面抵抗低減処理を行ったりした後の補強板本体101の表面においてStrの値が所定の範囲となるようにすればよい。
また、表面抵抗低減処理は、金属板101aの両面に行われていても、片面だけに行われていてもよい。
補強板本体101に用いる金属板は、表面に不働態皮膜が形成される材料を使用することができる。Strの値を所定の値よりも大きくすることにより、表面に不動態皮膜が形成される材料を用いた場合にも、低い接続抵抗を維持することができる。表面に不働態皮膜が形成される材料としては、例えばステンレス、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、及び亜鉛等を含む導電性の材料を使用することができる。
補強板本体101に用いる金属板101として、非磁性のオーステナイト系ステンレス等を使用することができる。非磁性のオーステナイト系ステンレス等を用いた補強板本体101は、配線基板用補強板100によるモータへの影響を小さくすることができる。カメラのレンズ制御、スマートフォン等のバイブレーション機能、ディスクドライブのピックアップの制御など、電子機器には種々のモータが用いられている。電子機器の小型化によりモータと制御回路とは近接して配置されるため、磁性を帯びた補強板によりモータが誤動作するという問題が生じる。
金属板101を非磁性のオーステナイト系のステンレスとすることにより、金属板101自体は磁気を帯びにくくすることができる。しかし、接続抵抗を小さくするために、金属板101の表面にニッケル等の磁性体からなるめっき層105を設けると、めっき層105により配線基板用補強板100が磁気を帯びてしまう。
表面のStrの値が大きいオーステナイト系のステンレス板を金属板101として用いることにより、めっき層105を設けなくても、低い接続抵抗を維持することができるため、磁気が問題となる部分において用いることができる配線基板用補強板100を実現することができる。
但し、磁気が問題となる用途においては、非磁性体からなるめっき層105形成することができる。非磁性体からなるめっき層105としては、例えば、ニッケル−リン(Ni−P)系のめっき層及び貴金属系のめっき層を用いることができる。なお、表面抵抗低減処理を行うことも可能である。
オーステナイト系のステンレスとしては、透磁率が1.02以下のSUS304及びSUS316、SUS316L等を用いることができる。磁性の観点からは加工の際に透磁率が上昇しにくいSUS316が好ましく、炭素含有量が低いSUS316Lがより好ましい。
金属板101の厚さは特に限定されないが、補強の観点から、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.6mm以下である。
金属板101のStrは、少なくとも2方向の表面粗面化処理を行うことにより調整することができる。通常行われるロールトゥロールのヘアライン加工の場合には、一方向の粗面化でありSaを大きくすることができても、Strを大きくすることは困難である。一方、例えば第1の方向に延びる凹凸が設けられたロールと、第1の方向と交差する第2の方向に延びる凹凸が設けられたロールの両方を用いて加工することによりStrを大きくすることができる。
導電性接着剤層102は、バインダ樹脂及び導電性フィラーとを含んでいればよい。バインダ樹脂は、特に限定されず導電性接着剤に用いられる種々の樹脂を用いることができる。このような樹脂として、例えばポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリアミド系、ゴム系、アクリル系などの熱可塑性樹脂や、フェノール系、エポキシ系、ウレタン系、メラミン系、アルキッド系などの熱硬化性樹脂を用いることができる。
バインダ樹脂は、任意成分として消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、希釈剤、沈降防止剤、レベリング剤、カップリング剤、着色剤、及び難燃剤等を含んでいてもよい。
本実施形態の導電性接着剤は、剥離フィルム等の基層の上に塗布して導電性接着剤層とすることができる。また、溶剤を含む導電性接着剤を調製し、これを塗布した後、加熱乾燥して溶剤を除去することもできる。溶剤は、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール及びジメチルホルムアミド等とすることができる。導電性接着剤中における溶剤の比率は、導電性接着剤層の厚さ等に応じて適宜設定すればよい。
導電性フィラーは、特に限定されないが、例えば、金属フィラー、金属被覆樹脂フィラー、カーボンフィラー及びそれらの混合物を使用することができる。金属フィラーとしては、銅粉、銀粉、ニッケル粉、銀コ−ト銅粉、金コート銅粉、銀コートニッケル粉、及び金コートニッケル粉等を挙げることができる。これら金属粉は、電解法、アトマイズ法、又は還元法等により作製することができる。中でも銀粉、銀コート銅粉及び銅粉のいずれかが好ましい。
導電性フィラーは、フィラー同士の接触の観点から、平均粒子径が好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。導電性フィラーの形状は特に限定されず、球状、フレーク状、樹枝(デンドライト)状、又は繊維状等とすることができる。補強板本体101との接続抵抗を低減する観点から、デンドライト状のものが好ましい。
導電性フィラーの含有量は、用途に応じて適宜選択することができるが、全固形分中で好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。埋め込み性の観点からは、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。また、異方導電性を実現する場合には、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。
配線基板用補強板100は、例えば以下のようにして製造することができる。まず剥離基材(セパレートフィルム)の上に導電性接着剤をコーティングして、導電性接着剤層102を形成する。次に、導電性接着剤層102と金属板101とをプレスして密着させる。剥離基材は、使用前に剥離すればよい。
剥離基材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のベースフィルム上に、シリコン系又は非シリコン系の離型剤を、導電性接着剤層102が形成される側の表面に塗布されたものを使用することができる。なお、剥離基材の厚さは特に限定されるものではなく、適宜、使い易さを考慮して決定することができる。
導電性接着剤層102の厚さは、15μm〜100μmとすることが好ましい。15μm以上とすることにより、十分な埋め込み性を実現し、グランド回路との充分な接続が得られる。また、100μm以下とすることにより、薄膜化の要求に応えることができ、コスト的にも有利となる。
配線基板200のベース部材201は、例えば樹脂フィルム等とすることができ、具体的には、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンゾイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、又はポリフェニレンサルファイド等の樹脂からなるフィルムとすることができる。
絶縁フィルム203は、特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂により形成することができる。絶縁フィルム203の厚さは、特に限定されないが、10μm〜30μm程度とすることができる。
グランド回路205を含むプリント回路は、例えばベース部材201の上に形成された銅配線パターン等とすることができる。グランド回路205の表面には、必要に応じて表面層を設けることができる。表面層は、例えば、金、銅、ニッケル、銀、及びスズ等からなるめっき層とすることができる。磁気が問題となる用途においては、表面層を非磁性の材料とすることが好ましい。
配線基板200への配線基板用補強板100の貼り合わせは、例えば以下のようにして行うことができる。まず、導電性接着剤層102が開口部の上に位置するように、配線基板用補強板100を配線基板200上に配置する。そして、所定の温度(例えば120℃)に加熱した2枚の加熱板により、配線基板用補強板100と配線基板200とを、上下方向から挟んで所定の圧力(例えば0.5MPa)で短時間(例えば5秒間)押圧する。これによって、配線基板用補強板100は配線基板200に仮止めされる。
続いて、2枚の加熱板の温度を、上記仮止め時よりも高温の所定の温度(例えば、170℃)とし、所定の圧力(例えば3MPa)で所定時間(例えば30分)加圧する。これによって、開口部内に導電性接着剤層102を充填させた状態で、配線基板用補強板100が配線基板200に固定され補強配線基板300が形成される。
この後、部品実装のためのはんだリフロー工程が行われる。リフロー工程において、配線基板用補強板100を固定した配線基板200は260℃程度の高温に曝される。リフロー工程は、部品の実装形態にもよるが通常は2〜3回行われる。本実施形態の配線基板用補強板100は、リフロー工程前後における接続抵抗の変化が小さく、安定して低い接続抵抗を維持できる。実装される部品は、特に限定されず、コネクタや集積回路の他、抵抗器、コンデンサー等のチップ部品等を挙げることができる。
本実施形態において、補強板本体101の一方の面に導電性接着剤層102が設けられている例を示したが、図4に示すように、補強板本体101の両方の面に導電性接着剤層102を設けることもできる。この場合、補強板本体101の両方の面において、Strを0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上とすればよい。両面に導電性接着剤層102を設けることにより、例えば一方の導電性接着剤層102を配線基板と接着し、他方の導電性接着剤層102を筐体と接着することができる。
以下に、本開示の配線基板用補強板について実施例を用いてさらに詳細に説明する。以下の実施例は例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。
<配線基板用補強板の形成>
遊星式攪拌・脱泡装置を用いて混合撹拌し、ペースト状の導電性接着剤組成物を作製した。この後、作製した導電性接着剤組成物を、離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレートフィルム)上に、板状のヘラ(ドクターブレイド)を用いてハンドコートし、100℃×3分の乾燥を行うことにより、導電性接着剤層を作製した。
バインダ樹脂には、酸価2mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂35質量部と酸価26mgKOH/gのポリウレタンポリウレア樹脂45質量部、フェノキシタイプのエポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:jER4275)20質量部、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学(株)製、商品名:jER152)20質量部、ゴム変性エポキシ樹脂(旭電化(株)製、商品名:ERP−4030)5質量部を使用した。また、ブロックイソシアネート硬化剤として、デュラネート17B−60PX(旭化成ケミカルズ(株)製)を使用し、イミダゾール系硬化促進剤として、2MA−OK(四国化成(株)製)を使用した。導電性フィラーには樹枝状の銀コート銅粉(平均粒子径15μm)用いた、導電性フィラーの含有量は、バインダ樹脂100質量部に対して、150質量部とした。
次に、得られた導電性接着剤層を所定の金属板の表面に配置し、プレス機を用いて温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で加熱加圧し、配線基板用補強板を作製した。
<補強配線基板の形成>
導電性接着フィルム上のセパレートフィルムを剥離した後、配線基板用補強板を、温度:120℃、時間:5秒、圧力:0.5MPaの条件で配線基板に熱圧着した。この後、さらにプレス機で温度:170℃、時間:3分、圧力:2〜3MPaの条件で接着して、補強配線基板を作製した。
配線基板としては、図1に示すように、ポリイミドフィルムからなるベース部材201の上に、グランド回路を疑似した銅箔パターン205が形成され、その上に絶縁性の接着剤層202及びポリイミドフィルムからなるカバーレイ(絶縁フィルム)203が形成されたフレキシブルプリント配線基板を使用した。銅箔パターン205の表面には表面層として金めっき層を設けた。なお、カバーレイ203には、直径0.5mmのグランド接続部を模擬した開口部を形成した。
<表面性状の測定>
金属板表面のStr及びSaは、コンフォーカル顕微鏡(Lasertec社製、OPTELICS HYBRID)を用いて測定した後、データ解析ソフト(LMeye7)を用いて表面の傾き補正を行い、ISO 25178−6:2010に準拠してStr及びSaを求めた。なお、測定値は、電磁波シールドフィルムの絶縁層の表面の任意の3か所について行い、その平均を求めた。
<接続抵抗の測定>
作成した補強配線基板について、銅箔パターン205と金属板101との間の電気抵抗値を抵抗計により測定し、初期接続抵抗(リフロー前の接続抵抗)とした。
次に、作製した補強配線基板を熱風リフロー装置に3回通過させた後、上述の方法により、リフロー後の接続抵抗を測定した。リフローの条件は、鉛フリーハンダを想定し、補強配線基板におけるカバーレイが265℃に5秒間曝されるような温度プロファイルを設定した。
(実施例1)
金属板として、厚さが0.2mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.79、Saは1.83μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.08Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.21Ω/1穴であった。
(実施例2)
金属板として、厚さが0.3mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.83、Saは0.88μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.07Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.18Ω/1穴であった。
(実施例3)
金属板として、厚さが0.3mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.78、Saは0.41μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.05Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.08Ω/1穴であった。
(実施例4)
金属板として、厚さが0.2mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.70、Saは0.96μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.04Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.07Ω/1穴であった。
(実施例5)
金属板として、厚さが0.5mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.82、Saは0.12μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.11Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.20Ω/1穴であった。
(実施例6)
金属板として、厚さが0.4mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた、Strは0.86、Saは0.14μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.10Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.14Ω/1穴であった。
(実施例7)
金属板として、厚さが0.2mmの表面粗面化処理されたSUS304板にリチウムイオンによる表面抵抗低減処理をしたものを用いた。Strは0.82、Saは2.02μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.06Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.06Ω/1穴であった。
(実施例8)
金属板として、厚さが0.1mmの表面粗面化処理されたSUS304板に大気焼鈍及び酸洗処理を行った後、リチウムイオンによる表面抵抗低減処理をしたものを用いた。Strは0.72、Saは1.33μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.05Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.08Ω/1穴であった。
(実施例9)
金属板として、厚さが0.1mmの表面粗面化処理されたSUS304板にリチウムイオンによる表面抵抗低減処理をしたものを用いた。Strは0.89、Saは0.65μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.06Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.13Ω/1穴であった。
(比較例1)
金属板として、厚さが0.3mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.42、Saは0.03μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.23Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は0.77Ω/1穴であった。
(比較例2)
金属板として、厚さが0.3mmの表面粗面化処理されたSUS304板を用いた。Strは0.48、Saは0.14μmであった。
リフロー前の初期接続抵抗は0.32Ω/1穴であり、3回リフロー後の接続抵抗は1.0Ω/1穴であった。
各実施例及び比較例について、特性及び測定値を表1にまとめて示す。
Figure 0006371460
本開示の配線基板用補強板は、リフロー後の接続抵抗の上昇を抑えることがで、フレキシブルプリント配線基板等の補強及びシールドとして有用である。
100 配線基板用補強板
101 金属板
101A 第1の面
102 導電性接着剤層
105 めっき層
200 配線基板
201 ベース部材
202 接着剤層
203 絶縁フィルム
205 グランド回路
210 抵抗計
300 補強配線基板

Claims (8)

  1. 補強板本体と、
    前記補強板本体の第1の面に設けられた第1の導電性接着剤層とを備え、
    前記補強板本体の前記第1の面における、ISO 25178−6:2010に準拠して求めた表面性状のアスペクト比は、0.5以上である、配線基板用補強板。
  2. 前記補強板本体は、前記第1の面における算術平均高さが0.10μm以上である、請求項1に記載の配線基板用補強板。
  3. 前記補強板本体は、オーステナイト系ステンレスからなる、請求項1又は2に記載の配線基板用補強板。
  4. 前記第1の導電性接着剤層は、前記補強板本体の前記第1の面に直接接している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線基板用補強板。
  5. 前記第1の導電性接着剤層と前記補強板本体との間に設けられためっき層をさらに備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線基板用補強板。
  6. 前記めっき層は、ニッケル−リンめっき層である請求項5に記載の配線基板用補強板。
  7. 前記補強板本体の第2の面に設けられた第2の導電性接着剤層をさらに備え、
    前記補強板本体の前記第2の面における、ISO 25178−6:2010に準拠して求めた表面性状のアスペクト比は、0.5以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の配線基板用補強板。
  8. グランド回路を有する配線基板と、
    前記グランド回路と前記補強板本体とが導通するように、前記配線基板に接着された請求項1〜7のいずれか1項に記載の配線基板用補強板とを備えている、補強配線基板。
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