JP6371188B2 - セメント系固化材の製造方法 - Google Patents
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要件1:前記水溶液における前記(A)と前記(B)と前記(C)の質量比が、前記(A)と前記(B)と前記(C)の含有量の合計100に対して、前記(A)が5以上35以下、前記(B)が5以上35以下、前記(C)が40以上75以下である。
要件2:前記固化材中、水硬性粉体100質量部に対して、前記(A)が0.05質量部以上2.0質量部以下、前記(B)が0.05質量部以上2.0質量部以下、前記(C)が0.3質量部以上3.8質量部以下、水が0.3質量部以上2.8質量部以下、前記(A)と前記(B)と前記(C)の合計が1質量部以上7質量部以下である。
前記(A)と前記(B)と前記(C)の質量比が、前記(A)と前記(B)と前記(C)の含有量の合計100に対して、前記(A)が5以上35以下、前記(B)が5以上35以下、前記(C)が40以上75以下である、
セメント系固化材用粉塵防止剤に関する。
工程1:油脂と炭素数1以上5以下の1価アルコールを反応させる工程
工程2:工程1で得られた反応混合物を油水分離する工程
工程3:工程2で得られた水相を蒸留し、留出物として(A)成分を得る工程
上記工程1で用いる油脂としては、天然の植物性油脂及び動物性油脂が挙げられる。植物性油脂としては、椰子油、パーム油、パーム核油等が挙げられ、動物性油脂としては、牛脂、豚脂、魚油等が挙げられる。
工程2は、工程1より得られたものを油相と水相に分離する工程である。分離の方法は特に限定されず、静置分離又は凝集分離など既知の方法で分離することができる。分離温度は好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。分離された油相には、脂肪酸アルキルエステル、原料及び反応中間物質であるグリセリドが含まれ、その他、微量の水分、1価アルコール、グリセリンなどが含まれる。一方、水相は、(A)成分、グリセリン、水、1価アルコールが含まれる。
工程3は、工程2で得られた水相を蒸留して留出物として(A)成分を得る工程である。水相の蒸留を、最初に温度70〜140℃、圧力6.5〜27kPaの条件で行って(A)成分に該当しない成分(水、低級アルコール等)を留去させた後、更に、温度130〜180℃、圧力0.1〜0.8kPaとすることで、(A)成分を留去させて回収することができる。通常、留出物は(A)成分を含有する混合物として得られる。該留出物は、本発明の効果が得られるならば、1種以上の(A)成分を含有する混合物として、そのまま使用することができる。また、該留出物には、異なる(A)成分が複数含まれていてもよい。
要件1:前記水溶液における前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の質量比が、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の合計100に対して、前記(A)成分が5以上35以下、前記(B)成分が5以上35以下、前記(C)成分が40以上75以下である。
要件1では、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の合計100に対して、前記(A)成分は、好ましくは10以上、より好ましくは15以上、そして、好ましくは35以下、より好ましくは30以下である。
また、要件1では、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の合計100に対して、前記(B)成分は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、そして、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
また、要件1では、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の合計100に対して、前記(C)成分は、好ましくは50以上、より好ましくは55以上である。
要件1の質量比は、水和反応抑制及び凝固や粘度増加、さらに低添加量での粉塵抑制効果の観点から、前記範囲であることが好ましい。
また低添加量での粉塵抑制効果の観点から、好ましくは(A)/(B)で15/85以上であり、水和反応抑制の観点から、好ましくは85/15以下である。
要件2:固化材中、水硬性粉体100質量部に対して、前記(A)が0.05質量部以上2.0質量部以下、前記(B)が0.05質量部以上2.0質量部以下、前記(C)が0.3質量部以上3.8質量部以下、水が0.3質量部以上2.8質量部以下、前記(A)と前記(B)と前記(C)の合計が1質量部以上7質量部以下である。
また、要件2では、水硬性粉体100質量部に対して、(B)成分が、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.15質量部以上、更に好ましくは0.2質量部以上、そして、好ましくは1.0質量部以下、より好ましくは0.7質量部以下、更に好ましくは0.6質量部以下である。
また、要件2では、水硬性粉体100質量部に対して、(C)成分が、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、そして、好ましくは2.0質量部以下である。
また、要件2では、水硬性粉体100質量部に対して、水が、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上、更に好ましくは0.7質量部以上、そして、好ましくは2.3質量部以下、より好ましくは1.9質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。
また、要件2では、水硬性粉体100質量部に対して、前記(A)と前記(B)と前記(C)の合計が、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上、そして、好ましくは6質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは4質量部以下である。
このような比率となるように、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する水溶液の濃度や使用量を調整することが好ましい。
また、本発明に係る固化材中、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計含有量は、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、そして、好ましくは7.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下である。
また、本発明に係る固化材中、水の含有量は、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、好ましくは2.7質量%以下、より好ましくは1.6質量%以下である。
・高炉B種セメント:住友大阪セメント株式会社製高炉B種セメント
粉塵防止剤A−1〜A−9、A−11及びR−1〜R−13は、表1の成分を用いて水溶液を調製し、固化材を製造する際に用いる粉塵防止剤を得た。粉塵防止剤A−10は後述する製造例により得た。
表1に示す粉塵防止剤の25℃における溶液粘度をB型粘度計で測定し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。数字が低いほど、噴霧による添加が容易である。
200mPa・s超:×
150mPa・s超200mPa・s以下:△
100mPa・s超150mPa・s以下:○
10mPa・s超100mPa・s以下:◎
危険物の指標として、粉塵防止剤の引火点の有無を測定し、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
引火点あり:×
引火点なし:○
水硬性粉体として普通セメント1000gをモルタルミキサー(ダルトン製万能混合撹拌機、5DM−03−r、低速62rpm)で撹拌しながら、表1に示す粉塵防止剤を所定量滴下し、滴下終了後6分間撹拌して、表2の固化材を調製した。なお、水硬性粉体及び粉塵防止剤は20℃に調整したものを用いて混合した。
(5)で得られた固化材(混合温度が20℃のもの)を密封式のナイロン袋に全量移し、3、7、14日静置して貯蔵後、ふるい試験(ふるい目開き500μm)を行い、ふるい残量(全固化材に対する質量%)を測定した。貯蔵温度は、0℃、20℃、40℃の3水準とした。ふるいに残った固化材は適度に湿潤しており、粗大な粒子群を形成しているが、弱い力で簡単に崩壊させることができる。この状態の固化材は、使用時の散布や計量などの際に、粉塵の発生が抑制されたものとなる。結果を表2に示す。
前記発塵抑制性におけるふるい試験の14日静置後のものについて、ふるい上に残っている固化材を指で軽く濾し、さらにふるい上に残る固化材量(全固化材に対する質量%)を測定し、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
10質量%以上:×
1質量%以上10質量%未満:△
1質量%未満:○
DEG:ジエチレングリコール
MEPEG(9):メタノールエチレンオキサイド平均9モル付加物
MEPEG(23):メタノールエチレンオキサイド平均23モル付加物
PEG400:重量平均分子量400のポリエチレングリコール
3−MPD:3−メトキシプロパン−1,2−ジオール
3−EPD:3−エトキシプロパン−1,2−ジオール
3−BPD:3−ブトキシプロパン−1,2−ジオール
*2 粉塵防止剤A−10は、下記製造例で得た。
〔粉塵防止剤A−10の製造例〕
(1)触媒の製造
エチルホスホン酸9.9gと、85%オルトリン酸27.7g、硝酸アルミニウム(9水和物)112.5gを水1000gに溶解させた。室温(25℃)にて、この混合溶液にアンモニア水溶液を滴下し、pHを5まで上昇させた。途中、ゲル状の白色沈殿が生成した。沈殿をろ過し、水洗後、110℃で15時間乾燥し、60メッシュ以下に粉砕した。粉砕した触媒に対して、アルミナゾルを10%添加し、1.5mmφの押出し成形を行った。これを250℃で3時間焼成して、固体酸触媒の成形触媒(以下、触媒1という)を得た。得られた触媒の弱酸点は1mmol/g、強酸点は検出限界以下であった。ここで、弱酸点とはアンモニア吸着脱離法において100〜250℃の範囲でNH3の脱離を起こす点、強酸点とはアンモニア吸着脱離法において250℃より高い温度でNH3の脱離を起こす点である。
工程1:エステル化
温度測定用に内径6mmの管を軸方向に有する、内径35.5mmφ、長さ800mmHの反応菅を2本直列につなぎ、触媒1をそれぞれ500cm3ずつ充填した。油脂としては酸価0.3mgKOH/gの椰子油を用い、これとメタノール(関東化学株式会社製、試薬1級)を反応器上部より供給し(フィード方法:並流操作)、反応温度170℃、液空間速度(LHSV)0.2/h、反応圧力3.0MPaで反応を行った。メタノールは油脂のモル数に対し10倍で供給し、反応混合物を得た。
容量1000mlの分液ロートに、工程1で得られた反応混合物500gと水50gを加えて振とうし、25℃で30分間静置後、グリセリン相(水相)と油相を分離した。
容量200mlのフラスコに、工程2で得られたグリセリン相を入れ、9kPa、120℃にて蒸留してメタノールと水を留去した。その後、更に0.1kPa、180℃にて蒸留し、留去物として酸価0.76mgKOH/gの混合物(1)を得た。グリセリン相に対する混合物(1)の収率(重量)は3.7%であった。
・3−メトキシプロパン−1,2−ジオール:67.9質量%
・2−メトキシプロパン−1,3−ジオール:21.9質量%
・1,2,3−プロパントリオール : 2.1質量%
・その他 : 8.1質量%
混合物(1)に含まれる3−メトキシプロパン−1,2−ジオール及び2−メトキシプロパン−1,3−ジオールは(A)成分、1,2,3−プロパントリオールは(B)成分である。なお、表中では、2−メトキシプロパン−1,3−ジオールを2−MPDと表示した。
混合物(1)20質量部とグリセリン10質量部とメタノールエチレンオキサイド平均9モル付加物(MEPEG(9))45質量部と水25質量部とを混合し、水溶液(粉塵防止剤A−10)を調製した。
粉塵防止剤A−10は、(A)成分18.0質量%、(B)成分10.4質量%、(C)成分45.0質量%、その他成分1.6質量%、水25.0質量%を含有する。(B)成分は、混合物(1)に由来する分と別途混合した分との合計である。
(B)成分及び(C)成分のみを含有する粉塵防止剤を用いた比較例5、6及び15から、粉塵防止剤の添加量が4.0質量部では実施例1〜14と同等の発塵抑制性及び貯蔵安定性を有するが(比較例5)、実施例1、2、4〜7、9〜11及び14と同じ添加量では、貯蔵温度40℃14日の発塵抑制性が劣る(比較例6及び15)ことがわかる。
また、比較例5、6と実施例2、3との対比から、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する粉塵防止剤を所定条件で用いることで、粉塵防止剤の添加量を少なくしても、十分な粉塵抑制効果が発現することがわかる。
(A)成分が、(A)成分と(B)成分と(C)成分の含有量の合計100に対して、5未満である粉塵防止剤を用いた比較例7、また、前記比率が35を超える比較例10は、貯蔵温度0℃、20℃及び40℃での発塵抑制性が劣ることがわかる。
(B)成分が、(A)成分と(B)成分と(C)成分の含有量の合計100に対して、5未満である粉塵防止剤を用いた比較例8、また、前記比率が35を超える比較例9は、貯蔵温度0℃、20℃及び40℃での発塵抑制性が劣ることがわかる。
(C)成分が、(A)成分と(B)成分と(C)成分の含有量の合計100に対して、40未満である粉塵防止剤を用いた比較例9〜11は、貯蔵温度0℃、20℃及び40℃での発塵抑制性が劣ることがわかる。
(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計が72質量%未満である粉塵防止剤を用いた比較例12は、水和物生成が劣ることがわかる。
(C)成分のエチレンオキサイドの平均付加モル数が20を超える粉塵防止剤を用いた比較例13は、貯蔵温度0℃及び20℃での発塵抑制性が劣ることがわかる。
水硬性粉体100質量部に対して、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計が1質量部未満である比較例14は、貯蔵温度0℃、20℃及び40℃での発塵抑制性が劣ることがわかる。
Claims (6)
- 3価以上の多価アルコールと炭素数1以上5以下の1価アルコールとのエーテル化合物(A)と、グリセリン(B)と、エチレンオキサイド平均付加モル数が5以上20以下であるメタノールのエチレンオキサイド付加物及び重量平均分子量200以上1200以下のポリエチレングリコールから選ばれる1種以上のポリエーテル(C)とを、(A)、(B)及び(C)の合計で72質量%以上85質量%以下の濃度で含有する水溶液と、水硬性粉体とを混合する工程を有するセメント系固化材の製造方法であって、下記要件1〜2を満足する、セメント系固化材の製造方法。
要件1:前記水溶液における前記(A)と前記(B)と前記(C)の質量比が、前記(A)と前記(B)と前記(C)の含有量の合計100に対して、前記(A)が5以上35以下、前記(B)が5以上35以下、前記(C)が40以上75以下である。
要件2:前記固化材中、水硬性粉体100質量部に対して、前記(A)が0.05質量部以上2.0質量部以下、前記(B)が0.05質量部以上2.0質量部以下、前記(C)が0.3質量部以上3.8質量部以下、水が0.3質量部以上2.8質量部以下、前記(A)と前記(B)と前記(C)の合計が1質量部以上7質量部以下である。 - エーテル化合物(A)の多価アルコールが、炭素数3以上6以下の多価アルコールである、請求項1記載のセメント系固化材の製造方法。
- エーテル化合物(A)が、下記の工程1〜3を含む方法により得られたものである、請求項1又は2記載のセメント系固化材の製造方法。
工程1:油脂と炭素数1以上5以下の1価アルコールを反応させる工程
工程2:工程1で得られた反応混合物を油水分離する工程
工程3:工程2で得られた水相を蒸留し、留出物としてエーテル化合物(A)を得る工程 - エーテル化合物(A)におけるエーテル化率が、エーテル化される前の多価アルコールの水酸基1モルあたり0.1モル以上0.9モル以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のセメント系固化材の製造方法。
- 3価以上の多価アルコールと炭素数1以上5以下の1価アルコールとのエーテル化合物(A)と、グリセリン(B)と、エチレンオキサイド平均付加モル数が5以上20以下であるメタノールのエチレンオキサイド付加物及び重量平均分子量200以上1200以下のポリエチレングリコールから選ばれる1種以上のポリエーテル(C)とを含有し、
前記(A)と前記(B)と前記(C)の質量比が、前記(A)と前記(B)と前記(C)の含有量の合計100に対して、前記(A)が5以上35以下、前記(B)が5以上35以下、前記(C)が40以上75以下である、
セメント系固化材用粉塵防止剤。 - 前記(A)と前記(B)と前記(C)とを合計で72質量%以上85質量%以下含有する水溶液からなる、請求項5記載のセメント系固化材用粉塵防止剤。
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