以下、本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子及び塗料組成物について、さらに詳細に説明する。
本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子(以下、「本樹脂粒子」と略称する場合がある)は、アクリルウレタン樹脂(I)が、分散安定剤として、親水性基を有する重量平均分子量5000以上のアクリル樹脂(II)を使用して合成されたアクリルウレタン複合樹脂粒子である。
アクリルウレタン複合樹脂粒子
本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子は、主体部分であるアクリルウレタン樹脂(I)と分散安定剤であるアクリル樹脂(II)とを主たる構成成分とするものである。
アクリルウレタン複合樹脂粒子は水に分散されていればその形態は特に限定されないが、アクリルウレタン樹脂(I)のまわりに分散安定剤であるアクリル樹脂(II)が位置した構造を有する粒子として水に分散されていることが好ましい。言い換えると、アクリル樹脂(II)を外側に、アクリルウレタン樹脂(I)を内側にしたコアシェル構造を有するミセルとして水に分散していることが好ましい。ほぼそのような粒子形態を有していると考えられる。
なお、コアシェル構造とは、具体的には同一ミセル中に異なる樹脂組成の成分が存在し、中心部分(コア)と外殻部分(シェル)とで異なる樹脂組成からなっている構造をいう。
上記コア/シェル型複層構造は、通常、コア部がシェル部に完全に被覆された層構造が一般的であるが、コア部とシェル部の質量比率、その他の条件等により、シェル部が層構造を形成するのに不十分な場合もあり得る。そのような場合は、上記のような完全な層構造である必要はなく、コア部の一部をシェル部が被覆した構造であってもよい。
アクリルウレタン複合樹脂粒子のアクリルウレタン樹脂(I)とアクリル樹脂(II)との構成比率は、アクリルウレタン樹脂(I):アクリル樹脂(II)=20:80〜95:5(質量比)とすることが好ましく、さらに好ましくは40:60〜90:10、さらに特に好ましくは60:40〜80:20である。
複合樹脂粒子中のアクリルウレタン樹脂(I)比率が20質量%未満であるとウレタン樹脂比率が少なく、ウレタン樹脂の特性が低下する場合がある。また、該比率が95質量%を超えると分散安定剤が少ないため、複合樹脂粒子の分散性が低下する場合がある。
アクリルウレタン樹脂(I)
アクリルウレタン樹脂(I)は、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とを主たる構成成分とする。
アクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分は、常法により、重合性不飽和モノマーを共重合することにより合成することができる。
重合性不飽和モノマーとしては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;
アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;
ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香環含有重合性不飽和モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;
パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;
マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;
N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;
分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;
アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;
1−アミノエチル(メタ)アクリレート、1−アミノプロピル(メタ)アクリレート、アリルアミン、p−ビニルアニリン等のアミノ基含有重合性不飽和モノマー;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;等をあげることができる。
上記アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレートのうち、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
上記重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーのうち、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
得られるアクリルウレタン複合樹脂粒子の分散安定性、本発明の塗料組成物の貯蔵安定性及び得られる塗膜の耐水性等の塗膜性能の観点から、アクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分の構成モノマー成分として、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーを含有することが好ましい。
重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマーを使用する場合、その使用量はアクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分の構成モノマー成分中、0.1〜20質量%、好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%の範囲内にあることが適している。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
上記アミノ基含有重合性不飽和モノマーのうち、1−アミノエチル(メタ)アクリレート、1−アミノプロピル(メタ)アクリレートを好適に使用することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸又はメタクリル酸を、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを、(メタ)アクリロイルは、アクリロイルまたはメタクリロイルを、(メタ)アクリルアミドは、アクリルアミド又はメタクリルアミドをそれぞれ意味する。
これらのモノマーは、単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
なお、アクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とは、アクリルウレタン複合樹脂粒子の分散安定性及び得られる塗膜の塗膜性能等の観点から、化学的に結合したアクリルウレタン樹脂(I)(以下、これを、アクリルウレタングラフト樹脂(I−A)と呼ぶことがある)であることが好ましい。
アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とのグラフト(結合)は、例えば、アクリル樹脂成分中の構成モノマー成分として、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマー(1)を使用して合成することにより行うことができる。
イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマー(1)において、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する基は、アクリルウレタングラフト樹脂(I−A)のアクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とのグラフト反応基となるものである。また、反応にあずからなかった残基は、架橋反応性基とすることができる。
イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等を挙げることができる。
イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、前記重合性不飽和モノマー中の、水酸基含有重合性不飽和モノマー、アミノ基含有重合性不飽和モノマー、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。
イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーとしては、反応制御のしやすさの観点から、水酸基含有重合性不飽和モノマーが好ましい。
イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーを使用する場合、その使用割合は、アクリルウレタン複合樹脂粒子の水性媒体中における安定性及び架橋性官能基付与の観点から、アクリル樹脂成分の構成モノマー成分の総量を基準として、0.1〜30質量%であるのが好ましく、1〜25質量%であるのが更に好ましく、5〜20質量%であるのが更に特に好ましい。
アクリル樹脂成分(重合性不飽和基)の重合反応は、公知のラジカル重合反応により行うことができる。重合開始剤としては水溶性開始剤、油溶性開始剤のいずれも使用することができる。水系条件下で油溶性開始剤を使用する場合は、水分散液とする前に予め添加しておくことが好ましい。
重合開始剤は、その種類により適正量が異なるが、通常、重合性不飽和モノマーの総量に対して、0.05〜5質量%の範囲で使用することが好ましい。
重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド]等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等の無機過酸化物をあげることができる。これらの重合開始剤は、一種単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
有機又は無機過酸化物は、還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤として使用することもできる。還元剤としては、L−アスコルビン酸、L−ソルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、ロンガリット等が挙げることができる。
重合温度は20〜100℃程度で行うことができる。レドックス系で、レドックス系開始剤を使用する場合は、75℃程度以下の温度で行うことができる。
重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類及び量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物又は水性媒体に含有させてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。また、始めに全量を一括仕込みする方法、全量を時間をかけて滴下する方法、始めに一部を仕込んで残りを後から追加する方法等のいずれの方法でも行うことができる。
また、重合反応を十分に行い、残存モノマーを削減する観点から、重合反応の途中、或いは一旦重合を終えた後に重合開始剤を追加して、さらに重合反応を行うこともできる。この際、重合開始剤の組合せは任意に選択することができる。
上記の追加する重合開始剤の使用量は、一般に、使用される全モノマーの合計質量を基準にして、0.1〜5質量%程度が好ましく、0.2〜3質量%程度がより好ましい。
重合性不飽和モノマーの重合において、分子量を調節する目的で公知の連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、例えばメルカプト基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノール、チオグリセロール、メルカプト酢酸(チオグリコール酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等を使用することができる。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、一般に、使用される全重合性不飽和モノマーの合計量を基準にして、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲内が好適である。
アクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分は、塗料組成物の貯蔵安定性及び得られる塗膜の性能の観点から、水酸基価が1〜150mgKOH/gであるのが好ましく、2〜120mgKOH/gであるのがより好ましく、5〜100mgKOH/gであるのが更に好ましい。
また、アクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分は、重合安定性の観点から、酸価は実質的に0であることが好ましい。
さらに、アクリルウレタン樹脂(I)のアクリル樹脂成分は、塗料組成物に適用して得られる塗膜の性能の観点から、ガラス転移温度が、−60〜60℃、特に−60〜40℃、さらに特に−60〜20℃の範囲内であることが好適である。
本明細書において、アクリル樹脂についてのガラス転移温度Tg(絶対温度)は、下記式により算出される値である。
1/Tg=W1/T1+W2/T2+・・・Wn/Tn
[式中、W1、W2、・・・Wnは各モノマーの質量分率であり、T1、T2・・・Tnは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。]
なお、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、POLYMER HANDBOOK Fourth Edition,J.Brandrup,E.h.Immergut,E.A.Grulke編(1999年)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該モノマーのホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるようにして合成し、そのガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定したときの値を使用した。
アクリルウレタン樹脂(I)のウレタン樹脂成分は、例えば、有機ポリイソシアネート化合物、及びポリオール、必要に応じてさらに活性水素基とイオン形成基とを併有する化合物を使用して合成することができる。
上記有機ポリイソシアネート化合物としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)及びこれと2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)の混合物、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を使用することができる。また、必要に応じ上記TDI、HMDI、IPDI等の3量体、或いはトリメチロールプロパン等との反応物である3価のポリイソシアネートも使用することができる。
ポリオールとしては、以下の化合物をあげることができる。
ジオール化合物:エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等。
ポリエーテルジオール:前記のジオール化合物のアルキレンオキシド付加物、アルキレンオキシドや環状エーテル(テトラヒドロフランなど)の開環(共)重合体、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールの(ブロックまたはランダム)共重合体、グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリオクタメチレングリコール等。
ポリエステルジオール:アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸(無水物)と上記で挙げたエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール化合物とを水酸基過剰の条件で重縮合させて得られたものが挙げられる。具体的には、エチレングリコール−アジピン酸縮合物、ブタンジオール−アジピン縮合物、ヘキサメチレングリコール−アジピン酸縮合物、エチレングリコール−プロピレングリコール−アジピン酸縮合物、或いはグリコールを開始剤としてラクトンを開環重合させたポリラクトンジオール等を例示することができる。
ポリエーテルエステルジオール:エーテル基含有ジオール(前記ポリエーテルジオールやジエチレングリコール等)または、これと他のグリコールとの混合物を上記ポリエステルジオールで例示したような(無水)ジカルボン酸に加えてアルキレンオキシドを反応させてなるもの、例えば、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物等。
ポリカーボネートジオール:一般式HO−R−(O−C(O)−O−R)x−OH(式中Rは炭素原子数1〜12の飽和脂肪酸ジオール残基、xは分子の繰返し単位の数を示し、通常5〜50の整数である)で示される化合物等。これらは、飽和脂肪族ジオールと置換カーボネート(炭酸ジエチル、ジフェニルカーボネート等)とを水酸基が過剰となる条件で反応させるエステル交換法、前記飽和脂肪族ジオールとホスゲンを反応させるか、または必要に応じて、その後さらに飽和脂肪族ジオールを反応させる方法等により得ることができる。
上記ポリオール成分は得られる塗膜の性能等の観点から、ポリカーボネートジオールを有するポリオール成分を主として用いることが好ましい。
上記ポリオールの数平均分子量は、水分散性等の観点から、好ましくは300〜3000、さらに好ましくは500〜2500である。
ポリカーボネートジオールをポリオール成分として使用する場合、その割合は、ポリオール成分の総量に対して、10〜100質量%、特に30〜98質量%、さらに特に50〜95質量%の範囲内であることが好ましい。
上記活性水素基とイオン形成基とを併有する化合物としては、例えば、分子中に2個以上の水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物、分子中に2個以上の水酸基と1個以上のスルホン酸基を有する化合物等をあげることができる。これらの化合物は、ウレタン樹脂中でイオン形成基として作用する。アクリルウレタン複合樹脂粒子の分散安定性向上の観点から好適に使用することができる。
カルボキシル基を含有するものとしては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールノナン酸、1−カルボキシ−1,5−ペンチレンジアミン、ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸等のアルカノールカルボン酸類、ポリオキシプロピレントリオールと無水マレイン酸や無水フタル酸とのハーフエステル化合物等をあげることができる。
スルホン酸基を含有するものとしては、例えば、2−スルホン酸−1,4−ブタンジオール、5−スルホン酸−ジ−β−ヒドロキシエチルイソフタレート、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノエチルスルホン酸等をあげることができる。
活性水素基とイオン形成基とを併有する化合物を使用する場合、その使用量は、ウレタン樹脂成分を構成する化合物の総量に対して、0〜20質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。
活性水素基とイオン形成基とを併有する化合物としてカルボキシル基、もしくはスルホン酸基を含有する化合物を使用した場合、塩を形成し親水性化するために中和剤としてトリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルアミノエタノール等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物を用いることができる。
カルボキシル基もしくはスルホン酸基に対する中和率は通常50〜100モル%とすることができる。中和剤としては、分散性の観点からジメチルアミノエタノールが好ましい。
アクリルウレタングラフト樹脂(I−A)において、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とのグラフト反応は、例えば、アクリル樹脂成分の構成成分としてイソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーのイソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する基をグラフト反応基として反応させて行うことができ、この場合、ウレタン樹脂成分は、イソシアネート基が残存するようイソシネート基過剰の条件で合成される。
有機ポリイソシアネート化合物のNCO基と、ポリオールと、活性水素基とイオン形成基とを併有する化合物とを合わせた活性水素基との比率はモル比で、1.01:1〜3.0:1、特に1.05:1〜2.0:1.0の範囲内であることが好ましい。
ウレタン樹脂成分は、有機ポリイソシアネート化合物及びポリオール、さらに必要に応じて活性水素基とイオン形成基とを併有する化合物を反応させて、イソシアネート基末端のウレタンプレポリマーとし、さらに必要に応じて鎖伸長反応させることにより合成することができる。
上記プレポリマー化反応は50〜120℃で行うことが好ましく、アクリル樹脂成分の重合性不飽和モノマー存在下で行う場合は、重合性不飽和モノマーの熱による重合を防ぐため、空気の存在下で、p−メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、4−tert−ブチルカテコール等の重合禁止剤を重合性不飽和モノマーに対して20〜3000ppm程度の範囲で添加して行なうことが好ましい。
また、この際、ウレタン化反応の触媒としてジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の有機スズ化合物やトリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン化合物等を必要に応じて使用することができる。
アクリルウレタングラフト樹脂(I−A)において、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とのグラフト化反応は、限定されることなく公知の方法により行うことができるが、イソシネート基過剰の条件で合成されたウレタン樹脂成分のイソシアネート基に、イソシネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマー中のイソシネート基と反応性の活性水素原子を有する基を反応させて、ウレタン樹脂成分に重合性不飽和基を導入し、重合性不飽和基が導入されたウレタン樹脂成分と、重合性不飽和モノマーとを反応させて重合性不飽和基の重合反応を行って反応を完結させる手法により行うことが、重合反応の安定性の観点から好ましい。
アクリルウレタン樹脂(I)において、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、必要に応じて一部又は全部をブロック剤によりブロックしてブロックイソシアネート基とすることができる。
ブロック剤は、遊離のイソシアネート基を封鎖するものである。ブロック化ポリイソシアネート基は、例えば、100℃以上、好ましくは130℃以上に加熱することにより、イソシアネート基が再生し、水酸基等の官能基と容易に反応することができる。
かかるブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチルなどのフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタムなどのラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコールなどの脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノールなどのエーテル系;ベンジルアルコール;グリコール酸;グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチルなどのグリコール酸エステル;乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの乳酸エステル;メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどの活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミドなどの酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミドなどのイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミンなどのアミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系;3,5−ジメチルピラゾールなどのピラゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素などの尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニルなどのカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミンなどのイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリなどの亜硫酸塩系などのブロック剤を挙げることができる。
これらのうち、オキシム系、ラクタム系及びピラゾール系のブロック剤、特にピラゾール系ブロック剤を低温硬化性付与の観点から好適に使用することができる。
アクリルウレタン樹脂(I)のウレタン樹脂成分の重量平均分子量は、分散性、製造性、塗料組成物に適用して得られる塗膜性能の観点から、3000〜100000、特に5000〜50000の範囲内であることが好ましい。
重量平均分子量が3000未満であると、塗料組成物に適用して得られる塗膜性能が低下する場合がある。また、100000を超えると、分散性が低下したり、製造中に粘度が大幅に上昇し、有機溶剤を多量に必要とする場合がある。
アクリル樹脂(II)
アクリル樹脂(II)は、アクリルウレタン複合樹脂粒子の分散安定剤であり、親水性基を有するアクリル樹脂である。
有機溶剤の存在下で、親水性基を有する重合性不飽和モノマー(イ)とその他の重合性不飽和モノマー(ロ)を構成モノマー成分として重合することにより合成することができる。
重合性不飽和モノマー(イ)としては、具体的には例えば、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー、リン酸基含有重合性不飽和モノマー、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー、酸無水物基含有重合性不飽和モノマー、ノニオン性親水基含有(メタ)アクリルモノマー及び水酸基含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等を挙げることができる。
リン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等を挙げることができる。
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等を挙げることができる。
酸無水物基含有重合性不飽和モノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等を挙げることができる。
ノニオン性親水基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリルモノマーを挙げることができ、末端にヒドロキシル基、又は炭素数1〜3のアルキレンオキシ基を有し、且つポリオキシエチレン基、又はポリオキシプロピレン基を有するアクリルモノマー等を挙げることができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;アリルアルコール等を挙げることができる。
上記重合性不飽和モノマー(イ)は、単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記重合性不飽和モノマー(イ)において、架橋性官能基付与の観点から、水酸基含有重合性不飽和モノマーを好適に使用することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーを使用する場合、その使用量としてはアクリル樹脂(II)を構成する全モノマー成分の総量中、5質量%以上、好ましくは10質量%以上さらに好ましくは15〜50質量%の範囲内にあることが適している。
重合性不飽和モノマー(ロ)は、上記重合性不飽和モノマー(イ)以外の重合性不飽和モノマーであり、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;
アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;
トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;
ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有する重合性不飽和モノマー;
パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;
フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;
N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー
アリル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー;等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アクリル樹脂(II)において、重合性不飽和モノマー(イ)の割合は、重合性不飽和モノマー(イ)の種類により異なるが、水分散性の観点から、構成モノマー成分の総量中、1〜50質量%、好ましくは3〜40質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。
アクリル樹脂(II)の合成方法は、特に制限されるものではない。通常のランダム共重合の他、分子構造を規制する重合方法も行うことができる。分子構造を規制する重合方法としては、例えば代表的なものとして、異なる性質の(モノマー組成が異なる)ポリマーを直鎖状に結合したポリマーが合成されるブロック共重合、幹ポリマーに異なる性質又は同質のポリマーが枝状に結合したポリマーが合成されるグラフト共重合等をあげることができる。
得られるアクリルウレタン複合樹脂粒子の分散安定性を向上させる観点等からは、上記のうち、分散安定剤であるアクリル樹脂(II)としては、分子構造が規制され、親水性基がポリマー中に偏在した構造のポリマーを得ることができる、ブロック共重合、グラフト共重合等により、分子構造を規制する重合方法により合成されたアクリル樹脂(II)を好適に使用することができる。
アクリル樹脂(II)の合成は、重合方法に応じて(多段階で行われる場合は都度、段階ごとに適切な条件を設定して)、適切な条件(温度、時間)を設定して反応させて行うことができる。反応温度は、通常約60〜約200℃、好ましくは約70〜約160℃程度の範囲内であり、反応時間は通常約10時間以下、好ましくは約0.5〜約6時間程度である。
また、アクリル樹脂(II)の合成は、有機溶剤中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等、有機溶剤系、水系いずれの溶媒系の方法によっても行うことができる。
上記の反応において、重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、ジ−tert−アミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を挙げることができる。
これら重合開始剤は単独で又は2種以上併用してもよい。重合開始剤の配合量としては(その段階で)使用される重合性不飽和モノマーの総量に基づいて、重合反応性等の観点から、通常、0.01〜20質量%、特に0.1〜15質量%、さらに特に0.3〜10質量%の範囲内とすることができる。
アクリル樹脂(II)の合成は、有機溶剤中での溶液重合法により行うことが製造の簡便性の観点から好ましい。有機溶剤は、重合温度、また、アクリルウレタン複合樹脂粒子の分散性及び貯蔵安定性等を考慮して適宜選択することができる。
上記有機溶剤としては、アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、カルビトール系溶剤などが好ましい。具体的には、例えば、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のカルビトール系溶剤などを挙げることができる。
また、有機溶剤としては、上記以外の水と混合しない不活性有機溶剤もアクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散安定性に支障を来たさない範囲で使用可能であり、このような有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤などを挙げることができる。
ブロック共重合により合成されたアクリル樹脂(II)は、公知の方法により製造することができる。その製造方法は、特に限定されないが、塗膜性能、製造の簡便性の点から、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを連鎖移動剤とする付加開裂型連鎖移動剤を用いて製造する方法、コバルト錯体を連鎖移動剤とする触媒的連鎖移動剤を用いて製造する方法等を挙げることができる。これらのうち、特に2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを連鎖移動剤とする、付加開裂型連鎖移動剤を用いて製造する方法により製造することができる。
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを連鎖移動剤とする、付加開裂型連鎖移動剤を用いて製造する方法としては、具体的には例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン及びラジカル重合開始剤の存在下に、第1のモノマー成分をラジカル重合して、重合体ブロック(A)として末端にエチレン性不飽和基を有するマクロモノマーを製造した後、該マクロモノマーの存在下に、第2のモノマー成分をラジカル的付加開裂型連鎖移動重合して重合体ブロック(B)を含むABブロック共重合体を製造する方法を挙げることができる。上記において、アクリル樹脂(II)の必須モノマーである親水性基を有する重合性不飽和モノマー(イ)は、重合体ブロック(A)又は重合体ブロック(B)の少なくとも一方に含有させることができる。
ブロック共重合により合成されたアクリル樹脂(II)としては、同様にして、ABAブロック共重合体やBABブロック共重合体、さらには、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)のモノマー成分と異なる組成のモノマー成分(C)をラジカル的付加開裂型連鎖移動重合することにより、ACBブロック共重合体、ABCブロック共重合体等とすることもできる。
さらに同様にして多段階の重合反応を行うことによって、ABAC、BABC、ABCA、BACB等の様々なブロック構造を有するアクリル樹脂(II)を製造することができる。アクリル樹脂(II)の必須モノマーである親水性基を有する重合性不飽和モノマー(イ)は、少なくとも1つの重合体ブロック中の構成モノマー成分のうちの1つとして含有させることができる。
ブロック共重合において、段階(重合体ブロック)の数が多すぎると生産性が低下するので、段階の数は10以下、好ましくは4以下とすることが好ましい。
なお、上記ブロック共重合体の重合において、前段の重合反応での未反応残存モノマーは、極力少なくすることが好ましいが、未反応残存モノマーが次段の重合時に存在することとなっても、未反応残存モノマーを分離することなく、次段の重合反応を行うことができる。
また、上記方法においては、製造時における重合反応の連鎖移動性の低下を抑制する観点から、各重合体ブロックを構成する重合性不飽和モノマーの50モル%以上がメタクリロイル基を有する重合性不飽和モノマーであることが好ましい。
上記において、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの使用量は、特に限定されるものではないが、通常、最初の反応における重合体ブロックを構成するモノマー成分(前記の第1のモノマー成分)の総量に対して、1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%の範囲内であることが重合反応性の向上の観点から好ましい。
ブロック共重合により合成されたアクリル樹脂(II)において、該アクリル樹脂(II)が、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)からなるABブロック共重合体である場合、ブロック共重合により合成されたアクリル樹脂(II)を構成する全モノマーの総量を基準として、重合体ブロック(A)を構成する重合性不飽和モノマーの総量(M1)と、重合体ブロック(B)を構成する重合性不飽和モノマーの総量(M2)とは、(M1)が、5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%、(M2)が、5〜95質量%、好ましくは10〜90質量%であることが、本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子の分散安定性の観点から好ましい。また(M1)/(M2)=1/19〜19/1、好ましくは1/10〜10/1の範囲内であることが好ましい。
グラフト共重合により合成されたアクリル樹脂(II)は、公知の方法により製造することができる。その製造方法は、特に限定されないが、塗膜性能、製造の簡便性の点から、例えば、重合体成分(A)と重合体成分(B)とを公知の方法によりグラフト反応させることにより製造することができる。
重合体成分(A)と重合体成分(B)とのグラフト反応は、例えば、各成分中に重合性不飽和基以外の互いに反応性を有する官能基を有する重合性不飽和モノマーを、(A)成分中及び(B)成分中にそれぞれ含有させて、互いに反応性を有する官能基同士を反応させることにより行うことができる。
このような互いに反応性を有する官能基の組合せとしては、エポキシ基とカルボキシル基、水酸基とイソシアネート基、アルコキシシリル基同士の縮合等を挙げることができる。
これらのうち、合成の簡便性の点から、エポキシ基とカルボキシル基の組合せを好適に使用することができる。
互いに反応性を有する官能基同士の反応は、官能基の組合せ等の条件により、適宜、その組合せに応じた反応条件を設定することにより行うことができる。
上記において、アクリル樹脂(II)の必須モノマーである親水性基を有する重合性不飽和モノマー(イ)は、重合体成分(A)又は重合体成分(B)の少なくとも一方に含有させることができる。
アクリル樹脂(II)は、重量平均分子量が5000以上であり、特に5000〜50000、さらに特に10000〜30000の範囲内にあることが、アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散性や貯蔵安定性及び製造の観点から適している。
本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G4000HXL」を1本、「TSKgel G3000HXL」を2本、及び「TSKgel G2000HXL」を1本(商品名、いずれも東ソー社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1mL/minの条件下で測定することができる。
アクリル樹脂(II)の水酸基価は50〜250mgKOH/g、特に100〜200mgKOH/g、さらに特に150〜200mgKOH/gの範囲内、酸価は10〜150mgKOH/g、特に20〜120mgKOH/g、さらに特に25〜100mgKOH/gの範囲内にあることがアクリルウレタン複合樹脂粒子の分散性、貯蔵安定性及び水負荷の耐性等の観点から適している。
アクリルウレタン複合樹脂粒子の製造方法
アクリルウレタン複合樹脂粒子は、アクリル樹脂(II)を分散安定剤として、アクリルウレタン樹脂(I)が水系媒体中に分散された形態を有する複合樹脂粒子である。
アクリルウレタン複合樹脂粒子の代表的な製造方法を以下に示すが、従来既知のアクリルウレタン複合樹脂粒子の製造方法も使用可能であり、この方法に限定されるものではない。
以下にイソシアネート基過剰の条件でウレタン樹脂成分(ウレタンプレポリマー)を合成する方法による、アクリルウレタン複合樹脂粒子の代表的な製造方法の一例を示す。
1.まず最初にアクリルウレタン樹脂(I)のウレタン樹脂成分を、アクリル樹脂成分の重合性不飽和モノマーの全部又は一部中で、ウレタン樹脂成分の重合反応を行って、ウレタンプレポリマーを合成する。
この際、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とがグラフト(結合)したアクリルウレタングラフト樹脂(I−A)とする、或いは架橋性官能基を導入するために、アクリル樹脂成分の構成モノマー成分として、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーも使用する場合は、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する基とウレタン樹脂成分の構成成分中のイソシアネート基とが反応するので、このウレタンプレポリマー合成反応においては、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーは上記重合性不飽和モノマーとして使用しないことが好ましい。
重合性不飽和モノマー中で製造することにより、不要な有機溶媒を使用することなくウレタン樹脂成分を合成することができる。このウレタン樹脂成分の重合反応においては、重合性不飽和モノマーが存在するので、重合禁止剤を使用する等の手段を施して重合性不飽和モノマーの重合を防止することは、アクリルウレタン樹脂(I)のウレタン樹脂成分のところで説示したとおりである。
2.次に必要に応じて、ブロック剤を使用してイソシアネート基のブロック化反応を行う。
3.アクリル樹脂成分の構成モノマー成分として、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーを使用する場合は、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーを添加して、必要に応じて、ウレタン樹脂成分のイソシアネート基とウレタン化反応させて、ウレタン樹脂成分に重合性不飽和基を導入する。
これにより、後にアクリル樹脂成分の重合反応(重合性不飽和基の重合反応)を行うことにより、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーを介して、アクリル樹脂成分とウレタン樹脂成分とがグラフトして化学的に結合させることができる。
またこの際、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する重合性不飽和モノマーは、イソシアネート基と反応性の活性水素原子を有する基を最終的に残存させるために、ウレタン樹脂成分のイソシアネート基に対し、過剰に添加することもできる。
4.予め合成された分散安定剤であるアクリル樹脂(II)を添加する。
5.上記1及び3で所望配合量の重合性不飽和モノマーの一部のみを使用したのであれば、さらに残りの重合性不飽和モノマーを添加する。
6.次いで、酸基の中和剤及び脱イオン水を添加して、水分散液を得る。
該中和剤としては、酸基を中和できるものであれば特に制限はなく、中和のための塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、ジエチルアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、エチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチレントリアミンなどの有機アミン;或いはカセイソーダ、カセイカリなどのアルカリ金属水酸化物等を挙げることができる。
これらの中和剤は、最終的にアクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散液のpHが6.0〜9.0程度となるような量で用いることが望ましい。
通常、カルボキシル基等の酸基に対して、0.1〜1.5当量、好ましくは0.3〜1.2当量用いることが適当である。
水分散液を得る方法としては、通常の撹拌機による分散で可能であるが、より粒子径の細かい均一な水分散液を得るためにホモミキサー、ホモジナイザー、ディスパー、ラインミキサー等を使用することができる。
7.この水分散液にラジカル重合開始剤を添加して、重合性不飽和モノマーの重合反応を行う。必要に応じて、ウレタン樹脂成分(ウレタンプレポリマー)の鎖伸長反応もさらに行うことにより、すべての反応を完結させる。
ウレタンプレポリマーの鎖伸長を行う場合、必要に応じて水以外の鎖伸長剤を添加して、ウレタンプレポリマーと鎖伸長剤とを反応させることもできる。鎖伸長剤としては、活性水素を有する公知の鎖伸長剤を使用することができる。具体的には、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、シクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミン類、ヒドラジン等をあげることができる。
以上の工程を行うことによりアクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体を製造することができる。
アクリルウレタン複合樹脂粒子は、分散性及び貯蔵安定性の観点から、一般に10〜5000nm、好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは20〜500nm、さらに特に好ましくは50〜300nmの範囲内の平均粒子径を有することができる。
本明細書において、アクリルウレタン複合樹脂粒子の平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置を用いて、常法により脱イオン水で希釈してから20℃で測定した値である。サブミクロン粒度分布測定装置としては、例えば、「COULTER N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いることができる。
アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体中の固形分濃度は20〜50質量%が好ましく、より好ましくは30〜40質量%である。固形分濃度が50質量%を超えると乳化が困難となり、水分散体が得難くなる場合がある。20質量%未満であると、低濃度であるため溶媒(主として水)成分が多くなるため例えば、水性塗料組成物の構成成分として使用し難くなる場合がある。
塗料組成物
本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子は、分散性、貯蔵安定性及び相溶性に優れているため、例えば塗料用途として好適に使用することができる。
本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子と、皮膜形成性樹脂、さらに必要に応じて架橋剤と組合せることにより塗料組成物を得ることができる。
皮膜形成性樹脂としては、水溶性又は水分散性の皮膜形成性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。皮膜形成性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基などの架橋性官能基を有しているものを好適に使用することができる。
架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物等を挙げることができる。
本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子を含有する塗料組成物中の、本発明のアクリルウレタン複合樹脂粒子の量は、皮膜形成性樹脂及び架橋剤等の樹脂成分固形分総量に対し、得られる塗膜の塗膜性能、コスト等の観点から5〜90質量%、特に10〜70質量%、さらに特に15〜50質量%の範囲内であることが好ましい。
さらに塗料組成物には、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料などを含有させることもできる。
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリン顔料、スレン系顔料、ペリレン顔料などが挙げられ、なかでも、酸化チタン、カーボンブラックを好適に使用することができる。
また、前記体質顔料としては、例えば、クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイトなどを挙げることができる。
また、塗料組成物には必要に応じて、増粘剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤、造膜助剤等の添加剤を含有することができる。
本発明の塗料組成物を適用する被塗物は、特に限定されない。該被塗物としては、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類、各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;紙、布等の繊維材料等を挙げることができる。これらの内、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
また、被塗物としては、自動車車体外板部、家庭電気製品、これらを構成する鋼板等の金属基材等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。更に、被塗物は、該金属表面に、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が形成されたものであってもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
アクリル樹脂(II)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを30部仕込み、窒素ガス通気下で145℃に昇温した後、窒素ガスの通気を止め、n−ブチルアクリレート36部、n−ブチルメタクリレート15部、スチレン5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート35部、アクリル酸9部、及び開始剤ジ−t−ブチルパーオキサイド4.0部の混合物を4時間かけて滴下した。その後、同温度で2時間保持した。その後、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート51部を添加して、固形分55%のアクリル樹脂(II−1)の溶液を得た。得られたアクリル樹脂(II−1)の重量平均分子量は15000であった。
製造例2、3、8〜10、12及び13
組成を下記表1に示すように変更する以外は、製造例1と同様にして各アクリル樹脂(II−2)、(II−3)、(II−8)〜(II−10)、(II−12)及び(II−13)の溶液を得た。その際、各重量平均分子量に合わせて開始剤の濃度を調整した。得られた各アクリル樹脂の重量平均分子量を併せて下記表1に示す。
なお、製造例12及び13のアクリル樹脂(II−12)及び(II―13)は比較例用である。
製造例4
<1段目>マクロモノマーの製造
温度計、サーモスタット、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器に、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート40部及び2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(以下、「MSD」と略称することがある)10部を仕込み、170℃で窒素を吹き込みながら撹拌し、この中にn−ブチルメタクリレート40部、2−エチルヘキシルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部及びVR110(注1)1部の混合物を3時間かけて滴下した。そのまま、30分間撹拌した後、30分間かけて温度を115℃にして保持し、この中にV59(注2)0.50部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート14部の混合物を1時間かけて滴下し、同温度で30分間保持し、ついで室温まで冷却して固形分60質量%のマクロモノマーの溶液を得た。
得られたマクロモノマーは、数平均分子量3900、重量平均分子量6600であり、プロトンNMRでの解析(注3)によるとMSD由来のエチレン性不飽和基のうちの93%がポリマー鎖末端に存在し、5%が未反応のまま残存し、4%は消失していた。
(注1)VR110:和光純薬(株)製、アゾ系ラジカル重合開始剤
(注2)V59:和光純薬(株)製、アゾ系ラジカル重合開始剤
(注3)プロトンNMRでの解析:MSDの不飽和基のプロトンに基づくピーク(4.8ppm、5.1ppm)は、付加開裂型の連鎖移動重合によりポリマー鎖末端のエチレン性不飽和基のプロトンに基づくピーク(5.0ppm、5.2ppm)に変化する。MSDに由来する芳香族プロトン(7.2ppm)は、重合工程で変化しないと仮定してこれを基準に各不飽和基(未反応、ポリマー鎖末端、消失)を定量化することにより解析した。溶媒として重クロロホルムを使用した。
<2段目>ABブロック共重合体の製造
上記のようにして得た固形分60%のマクロモノマーの溶液117部にジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート29部を加え、撹拌下に115℃に加熱して同温度を保持した。この中に、エチルメタクリレート13.5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート7.5部、メタクリル酸9部及びV59(上記注2)3部の混合物を2時間かけて滴下し、続いてV59(上記注2)0.7部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート3部の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度に保持して1時間撹拌した後、室温まで冷却することにより、固形分55%のABブロック共重合体である、アクリル樹脂(II−4)の溶液を得た。得られたアクリル樹脂(II−4)は、数平均分子量5300、重量平均分子量9000であり、重合率は99.0%であった。
上記ABブロック共重合の進行は、以下の方法によって確認した。NMRでの解析によるとマクロモノマー中のMSD由来のエチレン性不飽和基は、95%が<2段目>で生成したポリマー鎖末端に存在し、5%は消失していた。すなわち上記<1段目>で得たマクロモノマー末端のエチレン性不飽和基は、<2段目>で生成したポリマー鎖末端として、ほとんど保持されたことになる。もし、<1段目>で得たマクロモノマーがグラフト共重合すれば、グラフト共重合体が生成し、ポリマー鎖末端のエチレン性不飽和基は消失するからである。
また、<2段目>で生成したポリマーのゲル透過クロマトグラフ測定(以下、「GPC」と略称することがある)の分子量分布によると、<1段目>で得たマクロモノマーの痕跡はほとんど認められず、殆どそのまま高分子量側にシフトしていた。以上のことからABブロック共重合体が生成しているものと考えられる。
製造例5〜7及び11
組成を下記表1に示すように変更する以外は、製造例4と同様にして各アクリル樹脂(II−5)〜(II−7)及び(II−11)の溶液を得た。その際、各重量平均分子量に合わせて開始剤の濃度を調整した。得られた各アクリル樹脂の重量平均分子量を併せて下記表1に示す。
なお、表1には、1段目及び2段目の各構成モノマー成分につき、それぞれ合計量を100とした組成比を記載している。
また、表1には各アクリル樹脂(II)の酸価と水酸基価(2段重合の樹脂については、1段目及び2段目のそれぞれについても)も併せて示した。
アクリルウレタン複合樹脂粒子の製造
実施例1
温度計、サーモスタット、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器に、ウレタン樹脂成分の原材料である、「ETERNACOLL UH−100」(商品名、宇部興産製、1,6−ヘキサンジオールベースポリカーボネートジオール、分子量約1000)17.2部、及びジメチロールブタン酸2.5部を、アクリル樹脂成分の重合性不飽和モノマーである、n−ブチルアクリレート24部及びエチレングリコールジメタクリレート1.5部を、ならびに不飽和基の重合禁止剤として、ブチルヒドロキシトルエン0.008部を仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温させた後、さらにウレタン樹脂成分の原材料である、水添MDI(4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)10.3部を30分かけて滴下した。その後100℃を保持してNCO価が14mg/g以下となるまで反応させた。得られた溶液のウレタン樹脂成分の重量平均分子量は20000であった。
この反応生成物に、アクリル樹脂成分の重合性不飽和モノマーである、2−ヒドロキシエチルアクリレート4.5部をさらに添加してNCO価が1mg/g以下となるまで反応させて室温まで冷却することにより、酸基及び末端不飽和基を有するポリウレタン樹脂のアクリルモノマー希釈溶液を得た。
その後攪拌を続け、前記製造例1で得たアクリル樹脂(II−1)溶液72.7部及びジメチルエタノールアミン2.0部を添加して中和を行い、脱イオン水112.9部を適時添加しながら水分散(転相乳化)を行った。
水分散(乳化)完了後、攪拌しながら70℃まで昇温させ、「VA−057」(商品名、和光純薬工業社製、重合開始剤、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミド])0.06部を脱イオン水2.4部に溶解させた重合開始剤溶液を30分間かけて滴下し、2時間撹拌した。これによりアクリル樹脂成分(重合性不飽和基)の重合反応の重合反応を行う。この間、重合熱により多少発熱するので必要に応じて適宜温度をコントロールする。
その後、さらに「VA−057」0.03部を脱イオン水1.2部に溶解させた重合開始剤溶液を追加触媒として添加して、該温度を保持しながら2時間撹拌してさらに反応を行う。その後室温まで冷却することにより、アクリルウレタン複合樹脂粒子No.1の水分散体を得た。
得られたアクリルウレタン複合樹脂粒子No.1の水分散体の質量固形分濃度は40%、平均粒子径は250nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定)であった。
実施例2〜21、23及び比較例2〜3
組成を下記表2に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして各アクリルウレタン複合樹脂粒子No.2〜21、23、25及び26の水分散体を得た。得られた各アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体の固形分濃度及び平均粒子径を併せて下記表2に示す。
なお、表2には、アクリル樹脂成分及びウレタン樹脂成分の各樹脂成分につき、それぞれ合計量を100質量部とした組成比を記載している。
また、工程中の反応終点NCO価や重合開始剤の配合量は、配合に合わせて適宜調整をした。
なお、アクリルウレタン樹脂複合粒子No.25及び26の各水分散体は比較例である。
実施例22
温度計、サーモスタット、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器に、ウレタン樹脂成分の原材料である、「ETERNACOLL UH−100」17.2部、及びジメチロールブタン酸2.5部を、アクリル樹脂成分の重合性不飽和モノマーである、n−ブチルアクリレート24部、エチレングリコールジメタクリレート1.5部を、ならびに不飽和基の重合禁止剤として、ブチルヒドロキシトルエン0.008部を仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温させた後、水添MDI 10.3部を30分かけて滴下した。その後、100℃を保持してNCO価が14mg/g以下となるまで反応させた。
この反応生成物に、3,5−ジメチルピラゾール0.5部を添加し、NCO価が7mg/g以下となるまで反応させた。更に2−ヒドロキシエチルアクリレート4.5部を添加してNCO価が1mg/g以下となるまで反応させて室温まで冷却することにより、酸基及び末端不飽和基を有し、かつブロックイソシアネート基を有するポリウレタン樹脂のアクリルモノマー希釈溶液を得た。得られた溶液のウレタン樹脂成分の重量平均分子量は20000であった。
その後攪拌を続け、アクリル樹脂(II−1)溶液72.7部を添加し、ジメチルエタノールアミン2.0部を添加して中和を行い、脱イオン水112.9部を適時添加しながら水分散(転相乳化)を行った。
水分散(乳化)完了後、攪拌しながら70℃まで昇温させ、「VA−057」0.06部を脱イオン水2.4部に溶解させた重合開始剤溶液を30分間かけて滴下し、2時間撹拌した。この間、重合熱により多少発熱するので必要応じて適宜温度をコントロールする。その後、さらに「VA−057」0.03部を脱イオン水1.2部に溶解させた重合開始剤溶液を添加して、該温度を保持しながら2時間撹拌してさらに反応を行った。その後室温まで冷却することにより、アクリルウレタン複合樹脂粒子No.22の水分散体を得た。
得られたアクリルウレタン複合樹脂粒子No.22の水分散体の質量固形分濃度は40%、平均粒子径は250nmであった。
比較例1
温度計、サーモスタット、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器に、ウレタン樹脂成分の原材料である、「ETERNACOLL UH−100」27.6部、及びジメチロールブタン酸4.1部を、アクリル樹脂成分の重合性不飽和モノマーである、n−ブチルアクリレート40部、エチレングリコールジメタクリレート2.5部を、ならびに不飽和基の重合禁止剤として、ブチルヒドロキシトルエン0.010部を仕込み、攪拌しながら100℃まで昇温させた後、水添MDI 16.5部を30分かけて滴下した。その後100℃を保持しNCO価が14mg/g以下となるまで反応させた。得られた溶液のウレタン樹脂成分の重量平均分子量は20000であった。
この反応生成物に、2−ヒドロキシエチルアクリレート7.5部を添加してNCO価が1mg/g以下となるまで反応させて室温まで冷却することにより、酸基及び末端不飽和基を有するポリウレタン樹脂のアクリルモノマー希釈溶液を得た。
その後攪拌を続け、ジメチルエタノールアミン2.0部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート32.8部を添加して中和を行い、脱イオン水112.9部を適時添加しながら水分散(転相乳化)を行った。
水分散(乳化)完了後、攪拌しながら70℃まで昇温させ、「VA−057」0.10部を脱イオン水2.4部に溶解させた重合開始剤溶液を30分間かけて滴下し、2時間撹拌した。この間、重合熱により多少発熱するので必要応じて適宜温度をコントロールする。その後、さらに「VA−057」0.05部を脱イオン水1.2部に溶解させた重合開始剤溶液を添加して、該温度を保持しながら2時間撹拌してさらに反応を行った。その後、室温まで冷却することにより、アクリルウレタン複合樹脂粒子No.24の水分散体を得た。
得られたアクリルウレタン複合樹脂粒子No.24の水分散体の質量固形分濃度は40%、平均粒子径は100nmであった。
評価試験
上記実施例1〜23及び比較例1〜3で得られた各アクリルウレタン複合樹脂粒子No.1〜26について、以下の評価試験を行った。評価結果も併せて下記表2に示す。
なお、比較例2及び3で得られたアクリルウレタン複合樹脂粒子No.25及び26は
重合安定性が不良であり、重合安定性のみ評価を行った。
(試験方法)
重合安定性:アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体について重合時の凝集物について、100メッシュのナイロンスクリーンで濾過捕集し、100℃の乾燥炉で3時間乾燥させその重量を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:ドライ状態の凝集物量が100ppm未満である。
○:ドライ状態の凝集物量が100ppm以上1000ppm未満である。
○△:ドライ状態の凝集物量が1000ppm以上2000ppm未満である。
△:ドライ状態の凝集物量は2000ppm以上であるが、重合可能である。
×:不安定な為、重合不可能である。
機械安定性:アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体について、各100gをマロン試験機にて一定のシェアをかけて15分間試験を行い、100メッシュのナイロンスクリーンによってろ過し、その残渣量を測定し、以下の基準に従って評価した。
◎:15Kg荷重における試験にて、残渣の量が0.01g未満であるかほとんど見られない。
○:10Kg荷重における試験にて、残渣の量が0.01g未満であるかほとんど見られない。
△:10Kg荷重における試験にて、残渣の量が0.01以上0.1g未満である。
×:残渣の量が0.1g以上である、又は試験中にゲル化する。
貯蔵安定性:アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体について、各200gを密栓可能なガラスビンに入れ40℃の恒温水槽に入れる。
その後1ヶ月ごとに取り出し、凝固物の有無と粘度を確認し、凝固物があるかもしくは粘度の変化率が±30%以上となったときを記録した。
表2中の評価データは、試験開始から上記劣化状態となるまでの期間が1ヶ月単位で表されており、例えば、2Mとあるのは、試験開始から2ヵ月後、3M<とあるのは、試験開始から3ヶ月経過後も上記劣化状態にはいたらず、貯蔵安定性が良好であることを示す。
相溶性:アクリルウレタン複合樹脂粒子の水分散体について、アクリルエマルション、ポリエステルディスパージョン、ウレタンディスパージョン及びメラミン樹脂と、それぞれ固形分比1:1で混合し、必要に応じて造膜助剤を添加し、ガラス板にアプリケータを使用して乾燥膜厚が30μmとなるよう引き塗りして、室温で1週間乾燥させた後、以下の基準に従って評価した。
◎:濁りのない透明な塗膜が得られる。位相差顕微鏡観察でもドメインが見られない。
○:濁りのない透明な塗膜が得られる。位相差顕微鏡観察では多少のドメインが認められる。
△:やや濁った塗膜が得られる。
×:完全に分離し、まったく相溶しない。
なお、アクリルエマルション、ポリエステルディスパージョン、ウレタンディスパージョン及びメラミン樹脂は以下のものを使用した。
(アクリルエマルション)
DIC社製 バーノック 固形分45% WE−301
(ポリエステルディスパージョン)
DIC社製 ウォーターゾール 固形分42% BCD−3090
(ウレタンディスパージョン)
ユーコートUX−300(三洋化成社製、ポリカーボネート系ウレタンエマルション)。
(メラミン樹脂)
メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、固形分80%、重量平均分子量800。
洗浄性:上記相溶性試験で使用したアクリルエマルション、メラミン樹脂及び各アクリルウレタン複合樹脂エマルションの固形分比率が1:1:1の樹脂成分と、アルミニウム顔料とを主成分とする水性メタリック塗料を塗装粘度に調整した塗料組成物を調整し、該水性メタリック塗料のベル洗浄性を評価した。
水性メタリック塗料を、自動塗装機ABB社製のG−1コーペスベル(回転数3万回転/分、シェーピングエア圧力4.0kg/cm2、塗出量200cc/分)にて、10秒間塗出、50秒間放置の工程を10回繰り返した後、洗浄水(水/エチレングリコールブチルエーテル/イソプロパノール/ジメチルエタノールアミン=90/5/4/1(質量比))を2秒間塗出させた後のベル溝に残った塗料の状態を評価した。
○:ベル溝に塗料の残存が認められない
△:ベル溝に塗料の残存がわずかに認められる
×:ベル溝に塗料の残存がかなり認められる