以下、図面を参照して本発明による画像形成装置の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、図1を参照して本実施形態に係る画像形成装置100を説明する。図1は、画像形成装置100の模式図である。画像形成装置100はシートPに画像を形成する。本実施形態では、画像形成装置100はプリンターである。画像形成装置100は、給送部10、搬送部20、画像形成部30、及び、排出部80を備える。
給送部10は、複数のシートPを収容するカセット11を含む。シートPは、例えば、紙製又は合成樹脂製のシートである。給送部10は、搬送部20にシートPを給送する。搬送部20は、画像形成部30にシートPを搬送する。画像形成部30はシートPに画像を形成する。搬送部20は、画像の形成されたシートPを排出部80に搬送する。排出部80は画像形成装置100の外部にシートPを排出する。
画像形成部30は、露光ユニット32、第1トナー像生成ユニット34A、第2トナー像生成ユニット34B、第3トナー像生成ユニット34C、第4トナー像生成ユニット34D、第1トナー収容器36A、第2トナー収容器36B、第3トナー収容器36C、第4トナー収容器36D、中間転写ベルト62、転写ローラー64、及び定着ユニット70を含む。ここでは、画像形成装置100はタンデム方式であり、第1トナー像生成ユニット34A、第2トナー像生成ユニット34B、第3トナー像生成ユニット34Cおよび第4トナー像生成ユニット34Dが直線状に配列されている。
なお、本明細書の以下の説明において冗長を避けるために、第1〜4トナー像生成ユニット34A〜34Dを単に像生成ユニット34A〜34Dと記載することがある。同様に、第1〜4トナー収容器36A〜36Dを単に収容器36A〜36Dと記載することがある。
露光ユニット32は、画像データに基づく光を像生成ユニット34A〜像生成ユニット34Dの各々に照射し、像生成ユニット34A〜34Dの各々に静電潜像を形成する。
本実施形態の画像形成装置100において、第1トナー像生成ユニット34Aは、静電潜像に基づきイエロー色のトナー像を形成し、第2トナー像生成ユニット34Bは、静電潜像に基づきマゼンタ色のトナー像を形成する。また、第3トナー像生成ユニット34Cは、静電潜像に基づきシアン色のトナー像を形成し、第4トナー像生成ユニット34Dは、静電潜像に基づきブラック色のトナー像を形成する。
中間転写ベルト62は回転方向R1に回転する。中間転写ベルト62の外表面には、像生成ユニット34A〜34Dから4色のトナー像が重畳して転写され、画像が形成される。転写ローラー64は、中間転写ベルト62の外表面に形成された画像をシートPに転写する。定着ユニット70はシートPを加熱及び加圧して、画像をシートPに定着させる。
像生成ユニット34A〜34Dの各々は、感光体ドラム40(静電潜像担持体または像担持体)、帯電器42、現像器50、転写ローラー44、除電器46、及びクリーナー48を含む。像生成ユニット34A〜34Dの各々において、帯電器42、現像器50、転写ローラー44、除電器46、及びクリーナー48は、感光体ドラム40の周面に沿って順に配置される。
像生成ユニット34A〜34Dの各々の感光体ドラム40は、中間転写ベルト62の外表面に当接するように、中間転写ベルト62の回転方向R1に沿って配置される。複数の転写ローラー44は、複数の感光体ドラム40に対応して設けられ、中間転写ベルト62を介して、複数の感光体ドラム40に対向する。
感光体ドラム40は回転方向R2に回転する。帯電器42は感光体ドラム40の周面を帯電する。感光体ドラム40の周面には、露光ユニット32によって光が照射され、静電潜像が形成される。
現像器50は、トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤を有している。像生成ユニット34A〜34Dにおける現像器50は対応する収容器36A〜36Dと連結している。収容器36A〜36Dはトナーのみを収容しており、キャリアを収納する現像器50にトナーを供給してもよい。あるいは、収容器36A〜36Dはトナーだけでなくキャリアも収容しており、収容器36A〜36Dは対応する現像器50にトナーおよびキャリアを供給してもよい。
現像器50は現像ローラー52を含む。現像ローラー52は、トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤を担持する。このため、現像ローラー52は、現像剤担持体として機能する。現像ローラー52は担持した現像剤のうちのトナーを感光体ドラム40に供給する。現像器50は、感光体ドラム40の静電潜像にトナーを付着させて静電潜像を現像して感光体ドラム40の周面にトナー像を形成する。
転写ローラー44は、感光体ドラム40の担持するトナー像を中間転写ベルト62の外表面に転写する。除電器46は、トナー像の転写された感光体ドラム40の周面を除電する。クリーナー48は、感光体ドラム40の周面に残留している現像剤を除去する。
中間転写ベルト62の外表面に転写されたトナー像は、転写ローラー64を介してシートPに転写される。トナー像の転写されたシートPは搬送部20によって定着ユニット70にまで搬送される。定着ユニット70は、シートPを加熱及び加圧して画像をシートPに定着させる。画像の定着されたシートPは、排出部80から画像形成装置100の外部に排出される。以上のようにして画像形成装置100はシートPに画像を形成する。
本実施形態の画像形成装置100は、トナーおよびキャリアを含有する2成分現像剤によって現像を行う。キャリアは、キャリアコアと、コート層とを有する。コート層は、キャリアコアの表面に設けられている。コート層を設けることにより、キャリア汚染が抑制される。
キャリアは磁性キャリアであってもよい。磁性キャリアを作製するために、キャリアコアは磁性材料から形成されてもよいし、コート層は分散された磁性材料を有してもよい。
コート層は、シリコーン樹脂を含有している。このようなキャリアはシリコーン樹脂コートキャリアともよばれる。シリコーン樹脂コートキャリアは、トナーとともに撹拌する際にトナーに対するストレスを低減でき、トナー凝集を抑制できる。
キャリアの比抵抗は1×1012 Ω・cm以上1×1015 Ω・cm以下である。例えば、この比抵抗は、電圧1000V印加時の値である。キャリアの比抵抗が1×1012 Ω・cm以上であることにより、感光体ドラム40上の潜像領域へのキャリア現像を抑制でき、感光体ドラム上の傷の発生を抑制できる。また、キャリアの比抵抗が1015 Ω・cm以下であることにより、現像性の低下を抑制できる。
なお、キャリアの比抵抗はキャリアの材料および含有量に応じて調整可能である。例えば、シリコーン樹脂の濃度を高くするほど、キャリアの比抵抗を増加できる。あるいは、コート層がカーボンブラックを含有すると、キャリアの比抵抗を低下できる。
また、本実施形態の画像形成装置100におけるトナーは複数のトナー粒子を含む。トナー粒子はトナー母粒子と酸化チタンとを有する。酸化チタンは、トナー母粒子に外添され、トナー母粒子の表面に付着している。外添された酸化チタンは、感光体ドラム40の研磨剤として好適に機能する。
本実施形態の画像形成装置100におけるトナーに含まれる酸化チタンの比抵抗は1×105Ω・cm以上である。例えば、この比抵抗は、電圧500V印加時の値である。酸化チタンの比抵抗が1×105Ω・cm以上であることにより、トナーの帯電量の変動を抑制できる。なお、典型的には、酸化チタンの比抵抗は1×108Ω・cm以下である。
なお、上述したように、キャリアの比抵抗を高くすると、キャリア現像を抑制できる。しかしながら、単純にキャリアの比抵抗を増加させると、キャリアの比抵抗の増加に伴って外添剤がトナー母粒子から脱離しやすくなってトナーの帯電量が変動し、画像濃度および/または画像品質が低下することがある。本実施形態では、キャリアの比抵抗だけでなく外添剤である酸化チタンの比抵抗を比較的高くすることで、外添剤がトナー母粒子から脱離することを抑制している。
なお、消費電力を低減させる観点から、定着温度が比較的低くてもシートに定着できるように、トナーの融点は低いことが好ましい。このように低融点のトナーを用いる場合、画像形成装置内で比較的強いストレスが付与されると、トナーが凝集してしまうことがある。このようなトナー凝集を抑制するために、画像形成装置内でトナーに付与されるストレスは比較的低いことが好ましい。
一方、外添剤をトナー母粒子に付与した後、トナー搬送時の画像形成装置内において比較的強いストレスが付与されると、外添剤はトナー母粒子に確実に付着する。反対に、画像形成装置内においてトナーに対するストレスが弱いと、外添剤がトナー母粒子に付着せずに、外添剤がトナー母粒子から脱離してしまうことがある。外添剤が脱離すると、トナーの帯電量が変動してしまい、画像濃度および/または画像品質が変動してしまう。
本実施形態では、トナーに付与されるストレスが低くても、外添剤としての酸化チタンの比抵抗を比較的高く維持すれば、トナー母粒子からの外添剤の脱離を抑制でき、画像濃度および/または画像品質の変動を抑制できる。
本実施形態の画像形成装置100において、感光体ドラム(像担持体)40は有機感光体を有している。比較的高い比抵抗を有する酸化チタンを外添剤として用いる場合、感光体ドラムとしてアモルファスシリコンを用いると、感光体ドラムに黒点が発生することがある。これに対して、本実施形態の画像形成装置100では、感光体ドラム(像担持体)40が有機感光体を有しているため、比較的高い抵抗率を有する酸化チタンを用いても、感光体ドラム40に黒点が発生することを抑制できる。
以下、トナー母粒子(結着樹脂及び内添剤)及び外添剤について、順に説明する。トナーの用途に応じて必要のない成分(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤、又は磁性粉)は割愛してもよい。なお、本明細書において、アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。
[トナー母粒子]
(結着樹脂)
トナー母粒子においては、全成分の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占めることが多い。このため、結着樹脂の性質がトナー母粒子全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。
優れたトナーの低温定着性を維持しながらトナーの保存安定性又は耐久性を向上させるためには、トナー母粒子に含まれる結着樹脂のガラス転移点(Tg)が、45℃以上65℃以下であることが好ましく、50℃以上60℃以下であることがより好ましい。
ガラス転移点(Tg)は、例えば示差走査熱量計を用いて測定できる。より具体的には、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて試料(例えば、結着樹脂)の吸熱曲線を測定することで、得られた吸熱曲線における比熱の変化点から結着樹脂のTgを求めることができる。
優れたトナーの低温定着性を維持しながらトナーの保存安定性又は耐久性を向上させるためには、トナー母粒子に含まれる結着樹脂の軟化点(Tm)が、80℃以上150℃以下であることが好ましく、90℃以上140℃以下であることがより好ましい。異なるTmを有する複数の樹脂を組み合わせることで、結着樹脂のTmを調整することができる。
軟化点(Tm)は、例えば高化式フローテスターを用いて測定できる。より具体的には、高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)に試料(例えば、結着樹脂)をセットし、所定の条件で試料を溶融流出させる。そして、試料のS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)を測定する。得られたS字カーブから試料のTmを読み取ることができる。得られたS字カーブにおいて、ストロークの最大値(mm)をS1とし、低温側のベースラインのストローク値(mm)をS2とすると、S字カーブ中のストロークの値が「(S1+S2)/2」となる温度(℃)が、試料のTmに相当する。
トナーの定着性を向上させるためには、トナー母粒子に含まれる結着樹脂として熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。トナー母粒子に含まれる結着樹脂が熱可塑性樹脂である場合、熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸系樹脂(より具体的には、アクリル酸エステル重合体又はメタクリル酸エステル重合体等)、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、又はN−ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、もしくはウレタン樹脂のような単独重合体、又はこれらの単独重合体と同一のモノマーを含む共重合体(例えば、スチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−ブタジエン系樹脂等)が好ましい。トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体に対するトナーの定着性を向上させるためには、スチレン−アクリル酸系樹脂又はポリエステル樹脂が特に好ましい。
以下、トナー母粒子の結着樹脂として用いることのできるスチレン−アクリル酸樹脂について説明する。スチレン−アクリル酸樹脂は、スチレン系モノマーとアクリル酸モノマーとの共重合体である。
スチレン−アクリル酸樹脂を調製するためのスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが好ましい。
スチレン−アクリル酸樹脂を調製するためのアクリル酸モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、又は(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
スチレン−アクリル酸樹脂を調製する際に、ヒドロキシル基を有するモノマー(例えば、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、又は(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル)を用いることで、スチレン−アクリル酸樹脂にヒドロキシル基を導入できる。また、ヒドロキシル基を有するモノマーの使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル酸樹脂の水酸基価を調整できる。
スチレン−アクリル酸樹脂を調製する際に、(メタ)アクリル酸(モノマー)を用いることで、スチレン−アクリル酸樹脂にカルボキシル基を導入できる。また、(メタ)アクリル酸の使用量を調整することで、得られるスチレン−アクリル酸樹脂の酸価を調整することができる。
結着樹脂がスチレン−アクリル酸樹脂である場合、トナー母粒子の強度及びトナーの定着性を向上させるためには、スチレン−アクリル酸樹脂の数平均分子量(Mn)が2000以上3000以下であることが好ましい。スチレン−アクリル酸樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は10以上20以下であることが好ましい。スチレン−アクリル酸樹脂のMn及びMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
以下、トナー母粒子の結着樹脂として用いることのできるポリエステル樹脂について説明する。ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコールと2価又は3価以上のカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、ジオール類又はビスフェノール類のような2価アルコールを使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールのようなジオール類を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、又はポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテルのようなビスフェノール類を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコールを好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸)、又はアルケニルコハク酸(より具体的には、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸)のような2価カルボン酸を好適に使用できる。
ポリエステル樹脂の調製には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸を好適に使用できる。
上記2価又は3価以上のカルボン酸は、エステル形成性の誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)に変形して用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂を調製する際に、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価を調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。
結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、トナー母粒子の強度及びトナーの定着性を向上させるためには、ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)が1000以上2000以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量(Mn)に対する質量平均分子量(Mw)の比率Mw/Mn)は9以上21以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂のMn及びMwの測定には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いることができる。
(着色剤)
トナー母粒子は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
トナー母粒子は、黒色着色剤を含んでいてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
トナー母粒子は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のようなカラー着色剤を含んでいてもよい。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローを好適に使用できる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)を好適に使用できる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される1種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーを好適に使用できる。
(離型剤)
トナー母粒子は、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えばトナーの定着性又は耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性又は耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスのような脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス又はそのブロック共重合体のような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスのような植物系ワックス;みつろう、ラノリン、又は鯨ろうのような動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムのような鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス又はカスターワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスのような、脂肪酸エステルの一部又は全部が脱酸化したワックスを好適に使用できる。一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
なお、結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤をトナー母粒子に添加してもよい。
(電荷制御剤)
トナー母粒子は、電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、例えばトナーの帯電安定性又は帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電可能か否かの指標になる。
正帯電性の電荷制御剤としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、又はキノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、又はアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、又はニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、又はニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド又はデシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が好ましい。また、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を有する樹脂も、正帯電性の電荷制御剤として使用できる。迅速な立ち上がり性を得るためには、ニグロシン化合物が特に好ましい。一種の電荷制御剤を単独で使用してもよいし、複数種の電荷制御剤を併用してもよい。
(磁性粉)
トナー母粒子は、磁性粉を含んでいてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、鉄(より具体的には、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(より具体的には、コバルト又はニッケル)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、強磁性化処理(例えば、熱処理)が施された強磁性合金、又は二酸化クロムを好適に使用できる。一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
[外添剤]
トナー母粒子に外添する外添剤として、少なくとも酸化チタンが用いられる。外添剤により、2成分現像剤の流動性、トナーの取扱性、又はトナーの帯電性を向上できる。2成分現像剤の流動性又は取扱性を向上させるためには、外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1.0質量部以上5質量部以下であることがより好ましい。
外添剤として、一種の粒子を単独で使用してもよいし、複数種の粒子を併用してもよい。例えば、外添剤として、別の無機粒子と組み合わせて使用することが好ましい。このような無機粒子としては、シリカ粒子、又は金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム等)の粒子を好適に使用できる。
また、2成分現像剤の流動性、及びトナーの帯電性を向上させるためには、外添剤として酸化チタン粒子に加えて樹脂粒子を使用することが好ましい。外添剤として酸化チタン粒子および樹脂粒子の両方を使用する場合、各粒子の粒子径は、互いに同一でもよいし異なっていてもよい。外添剤として樹脂粒子を含む場合、樹脂粒子の材料としては、アクリル酸樹脂(より具体的には、ポリメチルメタクリレート等)、又はスチレン−アクリル酸樹脂を好適に使用できる。
樹脂粒子は、スペーサーとして機能し、2成分現像剤の流動性を向上させると考えられる。また、樹脂粒子は、トナー母粒子に対する付着性が高いため、トナー粒子から遊離しにくいと考えられる。また、樹脂粒子は、キャリアを汚染しにくい。このため、樹脂粒子を使用することで、トナー粒子に安定した帯電量を付与できるようになると考えられる。
[キャリア]
キャリアは、キャリアコアと、コート層とを含む。コート層は、キャリアコアの表面に設けられている。
(キャリアコア)
キャリアコアは、磁性材料を含むことが好ましい。例えば、キャリアコアは、磁性材料(例えば、フェライト材料)から形成されてもよい。
磁性材料としては、例えば、マグネタイト、バリウムフェライト、γ酸化鉄、Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Ca−Mg系フェライト、Li系フェライト、又はCu−Zn系フェライトのような鉄系酸化物が好ましく、マグネタイトが特に好ましい。個々の磁性粒子の材料として、1種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、2種類以上の磁性材料を併用してもよい。また、キャリアにおいて、1種類の磁性粒子を単独で使用してもよいし、2種類以上の磁性粒子を併用してもよい。
あるいは、キャリアコアは、結着樹脂と、結着樹脂中に分散された磁性粉とを含んでもよい。キャリアコアに含まれる結着樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、又はエポキシ樹脂が好ましく、フェノール樹脂又はメラミン樹脂が特に好ましい。
なお、フェノール樹脂は、フェノールとアルデヒド類とを重合反応させることで合成できる。尿素樹脂は、尿素とアルデヒド類とを重合反応させることで合成できる。メラミン樹脂は、メラミンとアルデヒド類とを重合反応させることで合成できる。エポキシ樹脂の出発原料としては、ビスフェノール類及びエピクロロヒドリンを使用できる。
(コート層)
コート層は、キャリアコアを被覆するように、キャリアコアの表面に設けられている。コート層はシリコーン樹脂を含む。コート層は、例えば、溶媒にシリコーン樹脂を溶解させた噴霧液をキャリアコアに塗布することによって形成できる。
[2成分現像剤の製造方法]
次に、本実施形態に係る画像形成装置における2成分現像剤の製造方法について説明する。
トナー母粒子は、例えば粉砕法又は凝集法により作製できる。これらの方法は、トナー母粒子の結着樹脂中に内添剤を良好に分散させ易い。
粉砕法の一例では、まず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、及び離型剤を混合する。続けて、得られた混合物を、溶融混練装置(例えば、1軸又は2軸の押出機)を用いて溶融混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕及び分級する。これにより、トナー母粒子が得られる。粉砕法を用いた場合には、凝集法を用いた場合よりも容易にトナー母粒子を作製できることが多い。
凝集法の一例では、まず、結着樹脂、離型剤、及び着色剤の各々の微粒子を含む水系媒体中で、これらの微粒子を所望の粒子径になるまで凝集させる。これにより、結着樹脂、離型剤、及び着色剤を含む凝集粒子が形成される。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。これにより、所望の粒子径を有するトナー母粒子が得られる。
混合装置を用いてトナー母粒子と外添剤とを混合することで、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることができる。トナー母粒子の表面に外添剤を付着させることで、トナー粒子が得られる。
さらに、混合装置を用いてトナーとキャリアとを混合することで、2成分現像剤を製造することができる。2成分現像剤に含まれるトナーの量は、キャリア100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上15質量部以下であることがより好ましい。
(有機感光体)
有機感光体は、インダー樹脂、電荷発生剤、電荷輸送剤等の有機材料からなる感光層に用いられる。有機感光体は、単層であってもよく積層されていてもよい。
なお、画像形成装置100は、プリンターであったが、複写機又はファクシミリであってもよく、複合機であってもよい。複合機は、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ、及びスキャナーのうち少なくとも2つの機器を備える。また、画像形成装置100は、カラー対応であったが、モノクロ対応であってもよい。
なお、本実施形態の画像形成装置100において、現像器50内部で現像剤に付与されるストレスは低いことが好ましい。
以下、図2を参照して、本実施形態の画像形成装置100における現像器50の構成を説明する。図2は、画像形成装置100における現像器50を示す模式図である。
図2に示すように、現像器50は、現像ローラー52に加えて、現像剤撹拌搬送部材51と、現像剤規制部材53と、筐体58とをさらに含む。現像剤撹拌搬送部材51、および、現像ローラー52は筐体58内に設置されている。また、筐体58内には、トナーおよびキャリアを含有する現像剤が収容されている。
筐体58は、第1搬送路51Aと、第2搬送路51Bと、仕切壁51Cとを規定するように設けられている。第1搬送路51Aおよび第2搬送路51Bは互いに略平行に延びている。仕切壁51Cは、第1搬送路51Aと第2搬送路51Bとの間に位置する。
現像剤撹拌搬送部材51は、第1搬送スクリュー51aと、第2搬送スクリュー51bとを含む。第1搬送路51Aには第1搬送スクリュー51aが配置されており、第2搬送路51Bには第2搬送スクリュー51bが配置されている。第1搬送スクリュー51aと第2搬送スクリュー51bとは略平行に配置される。
第1搬送スクリュー51aは、回転し、第1搬送路51Aにおいて、現像剤を攪拌しながら搬送する。同様に、第2搬送スクリュー51bは、回転し、第2搬送路51Bにおいて、現像剤を攪拌しながら搬送する。その結果、現像剤は、第1搬送路51Aと第2搬送路51Bとの間を循環しながら搬送される。また、第2搬送スクリュー51bは、現像ローラー52に現像剤を供給する。
現像ローラー52は、トナーおよびキャリアを含有する現像剤を担持するとともに、現像剤のうちのトナーを感光体ドラム40に供給する。現像ローラー52は、第2搬送スクリュー51bに対向し、筐体58に回転可能に支持される。
現像ローラー52は、スリーブ52sと、マグネット52mとを含む。スリーブ52sは、回転可能であり、円筒形状を有する。スリーブ52sは、その表面に現像剤を担持する。マグネット52mは、スリーブ52sの内部に、回転不能に固定される。したがって、スリーブ52sは、マグネット52mを静止させたまま回転する。
マグネット52mは、円柱形状であり、スリーブ52sの内部に、軸方向に沿って固定して配置される。マグネット52mは、スリーブ52sの周方向に配置された複数の磁極m1〜m5を有している。
磁極m1は、第2搬送スクリュー51bと対向して配置されている。磁極m1は、現像ローラー52にトナーを汲み上げる機能を有している。また、磁極m1は、現像剤規制部材53と対向する位置に設けられており、現像剤層の厚さを規制するために利用される。磁極m2は、マグネット52mのうち、磁極m1よりもスリーブ52sの回転方向下流側に配置される。現像ローラー52の周面上の現像剤は磁極m2の上方を通過する。
磁極m3は、感光体ドラム40に対向する位置に配置されている。磁極m3は、現像極として、現像剤のうちのトナーを感光体ドラム40に供給する機能を有している。
磁極m4は、マグネット52mのうち、磁極m3よりもスリーブ52sの回転方向下流側に配置される。磁極m5は、磁極m3において、感光体ドラム40に移動しなかったトナーを、第2搬送路51Bに戻す機能を有している。
現像剤規制部材53は、現像ローラー52の軸方向に沿って、現像ローラー52(スリーブ52s)の周面に対向して配置される。現像剤規制部材53は、現像ローラー52のうち、マグネット52mの磁極m1と対向する位置に配置される。現像剤規制部材53は、磁性材料から構成される板状部材である。現像剤規制部材53の先端部は、現像ローラー52のスリーブ52sと間隔が空くように配置される。この結果、現像剤規制部材53の先端部とスリーブ52sとの間で、層規制ギャップが形成される。現像剤規制部材53は、第2搬送スクリュー51bからスリーブ52s上に汲み上げられたトナーの層厚を規制する。
現像ローラー52は、図2の矢印F1に示すように、磁極m1の磁力によって第2搬送路51Bから現像剤をその周面上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。汲み上げられた現像剤は、現像ローラー52の周面上に現像剤層(磁気ブラシ層)として磁気的に保持され、現像ローラー52の回転に伴って現像剤規制部材53側に向かって搬送される。現像剤規制部材53は、現像ローラー52の回転方向から見て感光体ドラム40よりも上流側に配置され、現像ローラー52の周面に磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。
磁性材料から形成された現像剤規制部材53は、現像ローラー52の磁極m1によって磁化される。これにより、現像剤規制部材53の先端部と磁極m1との間(層規制ギャップ)に磁路が形成される。スリーブ52sの回転に伴って層規制ギャップ内に現像剤が搬送されると、現像剤層の層厚は層規制ギャップにおいて規制される。これにより、スリーブ52sの周面上には均一な厚さの現像剤層が形成される。
感光体ドラム40は、現像器50の長手方向に沿って、且つ、現像ローラー52に対して平行に延びるように配設されている。感光体ドラム40は、図2において反時計方向に回転可能である。
感光体ドラム40は、現像ローラー52の周面上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、スリーブ52s上の現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を形成する。トナーは、磁極m3と感光体ドラム40との間で磁界が形成されるとともに、現像ローラー52の周面と感光体ドラム40の周面との間に所定の電圧が設定されることによって、現像ローラー52の周面上の現像剤層から感光体ドラム40の周面に移動する。
その後、感光体ドラム40との対向部を通過したスリーブ52s上の現像剤は、磁極m3と磁極m5との間に配置された磁極m4の上方を通過する。その後、現像剤は、磁極m5によって、現像ローラー52の周面から剥離され、下方の第2搬送路51Bまで落下し、再び攪拌される。このように、トナーは、キャリアとともに攪拌されながら搬送され、現像ローラー52から感光体ドラム40に逐次供給される。
本実施形態の画像形成装置100における現像器50では、図2に示したように、1つの磁極m1が、第2搬送路51Bから現像ローラー52に現像剤を汲み上げる機能と、現像剤規制部材53に対向して層規制ギャップを形成する機能の両方を有している。このため、現像器50はトナーに強いストレスを付与することなくトナーを搬送できる。
以下、実施例を説明する。ただし、下記の実施例は本発明を限定するものではない。
現像剤および画像形成装置の作製、評価方法及び評価結果について順に説明する。なお、粉体に関する評価結果(形状又は物性などを示す値)は、何ら規定していなければ、相当数の粒子について測定した値の平均である。
[現像剤の作製]
トナーおよびキャリアを含む2成分現像剤を作製した。トナーは、トナー母粒子に、外添剤として粒子状の酸化チタンを付着させて作製した。
(トナー母粒子の作製)
まず、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、結着樹脂100質量部と、離型剤5質量部と、着色剤5質量部と、電荷制御剤1質量部とを混合した。結着樹脂としては、ポリエステル樹脂(花王株式会社製「タフトン(登録商標)NE−410」)を用いた。離型剤としては、ポリプロピレンワックス(三洋化成工業株式会社製「ビスコール(登録商標)660P」)を用いた。着色剤としては、カーボンブラック(キャボット社製「REGAL(登録商標)330R」)を用いた。電荷制御剤としては、4級アンモニウム塩(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P−51」)を用いた。
得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を冷却した。
得られた混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル T250」)を用いて粉砕した。その後、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ−LABO型」)を用いて分級してトナー母粒子を作製した。なお、トナー母粒子の体積中位径(D50)は7μmであった。粒子径の測定には、ベックマン・コールター株式会社製の「コールターカウンターマルチサイザー3」を用いた。
(外添剤の作製)
外添剤として酸化チタンを作製した。以下のように、異なる導電性コート処理を行った粒子状の酸化チタンを作製した。
(酸化チタンA−1の作製)
一次粒子径が0.25nmであるルチル型酸化チタン粒子をFMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)で漕温300℃に設定して5分間撹拌し、酸化チタンA−1を作製した。
(酸化チタンA−2の作製)
スズ−アンチモン酸化物(SnO2:Sb2O3=1:1、重量比)を添加することを除いて、酸化チタンA−1と同様に酸化チタンA−2を作製した。スズ−アンチモン酸化物は、ルチル型酸化チタン粒子に対して10質量%となるように添加した。
(酸化チタンB−1の作製)
酸化チタン粒子に対するスズ−アンチモン酸化物の添加量を10質量%から20質量%に変更した点を除いて、酸化チタンA−2と同様に酸化チタンB−1を作製した。
(酸化チタンB−2の作製)
酸化チタン粒子に対するスズ−アンチモン酸化物の添加量を10質量%から30質量%に変更した点を除いて、酸化チタンA−2と同様に酸化チタンB−2を作製した。
(酸化チタンの比抵抗の測定)
酸化チタンA−1を25℃、60%の環境に暴露させ、断面積5.0cm2、高さ0.5cmの電極を設置した絶縁性円筒容器に充填した。その後、1kgの荷重をかけ、抵抗計(株式会社アドバンテスト製「ULTRA HIGH RESISTANCE METER」)を用いて、電圧500Vを印加した際の抵抗値を測定した。酸化チタンA−2〜B−2についても同様に抵抗値を測定した。表1に酸化チタンA−1〜B−2の測定結果を示す。
(外添処理)
(トナーA−1の作製)
トナー母粒子に外添処理を行った。具体的には、96質量部の作製したトナー母粒子と、1.5質量部の疎水性シリカ微粒子(株式会社トクヤマ製「HG−09」)と、1.5質量部の酸化チタンA−1と、1.0質量部のスチレン−アクリル酸樹脂微粒子(日本ペイント株式会社「FS−102」)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて回転速度3500rpmで常温において5分間混合することにより、トナー母粒子の表面に外添剤(シリカ粒子及び酸化チタン)を付着させてトナーA−1を作製した。
(トナーA−2の作製)
酸化チタンA−1を酸化チタンA−2に変更した点を除いて、トナーA−1と同様にトナーA−2を作製した。
(トナーB−1の作製)
酸化チタンA−1を酸化チタンB−1に変更した点を除いて、トナーA−1と同様にトナーB−1を作製した。
(トナーB−2の作製)
酸化チタンA−1を酸化チタンB−2に変更した点を除いて、トナーA−1と同様にトナーB−2を作製した。
[キャリアの作製]
キャリアコアを作製した後、キャリアコアを被覆するコート層を形成することによってキャリアを作製した。
(キャリアコアの作製)
キャリアコアとして、フェライトキャリアコアおよび樹脂キャリアコアを作製した。
(フェライトキャリアコアの作製)
Mn、Mg、Fe、Srの酸化物をMnO、MgO、Fe2O3、SrO換算でそれぞれ39.7mol%、9.9mol%、49.6mol%、0.8mol%となるように配合し、水を加えた。得られた混合物を湿式ボールミルで10時間粉砕・混合した後、950℃に4時間維持して乾燥させた。その後、湿式ボールミルで24時間粉砕を行ってスラリーを形成した。その後、スラリーを造粒乾燥し、酸素濃度2%雰囲気の中で1270℃を6時間維持した後、粉砕して粒度を調整し、フェライトキャリアコアを作製した。フェライトキャリアコアの平均粒径は35μmであった。
(樹脂キャリアコアの作製)
フラスコに、100質量部の親油化処理された球状マグネタイト粒子粉末、11質量部のフェノール樹脂、17質量部のホルマリン溶液(濃度37%)、3質量部のアンモニア水(濃度25%)および10質量部の水を入れ、攪拌速度250rpmで攪拌しながら60分間で85℃に昇温した後、85℃を120分間維持し、反応および硬化を行った。これにより、強磁性酸化鉄微粒子と硬化したフェノール樹脂からなる複合体粒子を生成した。
次に、フラスコ内の内容物を30℃まで冷却後、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を水洗した後、風乾した。その後、フラスコ内の内容物を減圧下(5mmHg以下)において150℃で乾燥させて平均粒子径35μmの樹脂キャリアコアを作製した。
[キャリアコート]
シリコーン樹脂またはフッ素樹脂を含有する噴霧液を調製し、作製したキャリアコアに噴霧液を塗布した。これにより、キャリアコアの表面にコート層を形成した。
(キャリアA−1の作製)
シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KR251」)とトルエン200gを混合させて噴霧液を調製した。シリコーン樹脂は噴霧液全体に対して10質量%となるように調製した。
その後、調製した噴霧液を1000質量部の作製したフェライトキャリアコアに塗布し、200℃で60分間の熱処理を行ってキャリアA−1を作製した。
(キャリアA−2の作製)
シリコーン樹脂の添加量を10質量%から20質量%に変更した点を除いてキャリアA−1と同様にキャリアA−2を作製した。
(キャリアA−3の作製)
シリコーン樹脂の添加量を10質量%から30質量%に変更した点を除いてキャリアA−1と同様にキャリアA−3を作製した。
(キャリアA−4の作製)
キャリアコアを樹脂キャリアコアから作製したフェライトキャリアコアに変更した点を除いてキャリアA−1と同様にキャリアA−4を作製した。
(キャリアA−5の作製)
シリコーン樹脂の添加量を10質量%から20質量%に変更した点を除いてキャリアA−4と同様にキャリアA−5を作製した。
(キャリアA−6の作製)
シリコーン樹脂の添加量を10質量%から30質量%に変更した点を除いてキャリアA−4と同様にキャリアA−6を作製した。
(キャリアB−1の作製)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製「MA600」)を噴霧液全体に対して5質量%となるように添加した点を除いてキャリアA−1と同様にキャリアB−1を作製した。
(キャリアB−2の作製)
シリコーン樹脂の添加量を10質量%から40質量%に変更した点を除いてキャリアA−1と同様にキャリアB−2を作製した。
(キャリアB−3の作製)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製「MA600」)を噴霧液全体に対して5質量%となるように添加した点を除いてキャリアA−4と同様にキャリアB−3を作製した。
(キャリアB−4の作製)
シリコーン樹脂の添加量を10質量%から40質量%に変更した点を除いてキャリアA−4と同様にキャリアB−4を作製した。
(キャリアB−5の作製)
フッ素樹脂(4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FEP))と、ポリアミドイミド樹脂(無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノフェニルメタン)と、カーボンブラック(三菱化学株式会社製「MA600」)と、トルエン200gとを混合させた噴霧液を調製した。フッ素樹脂は噴霧液全体に対して8質量%とし、ポリアミドイミド樹脂は噴霧液全体に対して2質量%とし、カーボンブラックは噴霧液全体に対して5質量%となるように調製した。
その後、調製した噴霧液を1000質量部の作製した樹脂キャリアコアに塗布し、150℃で60分間の熱処理を行ってキャリアB−5を作製した。
(キャリアB−6の作製)
フッ素樹脂は噴霧液全体に対して8質量%から12質量%とし、ポリアミドイミド樹脂は噴霧液全体に対して2質量%から4質量%とし、カーボンブラックを添加しなかった点を除いてキャリアB−5と同様にキャリアB−6を作製した。
(キャリアB−7の作製)
フッ素樹脂は噴霧液全体に対して8質量%から24質量%とし、ポリアミドイミド樹脂は噴霧液全体に対して2質量%から6質量%とし、カーボンブラックを添加しなかった点を除いてキャリアB−5と同様にキャリアB−7を作製した。
(キャリア比抵抗の測定方法)
抵抗の測定に先立ち、キャリアA−1を25℃、60%の環境に暴露させた。その後、断面積5.0cm2、高さ0.5cmの電極を設置した絶縁性円筒容器にキャリアA−1を充填し、1kgの荷重をかけ、抵抗計(株式会社アドバンテスト製「ULTRA HIGH RESISTANCE METER」)を用いて、電圧1000Vを印加した時のキャリアA−1の抵抗値を測定した。同様に、キャリアA−2〜A−6、B−1〜B−7についても抵抗値を測定した。
表2は、キャリアA−1〜A−6、B−1〜B−4のキャリアコア、コート層の材料および質量濃度、添加したカーボンブラックの質量濃度、ならびに、比抵抗を示す。なお、キャリアコアにおけるMn−Mgは作製したマンガン系フェライトコアを示す。
表3は、キャリアB−5〜B−7のキャリアコア、コート層の材料および質量濃度、添加したポリアミド樹脂およびカーボンブラックの質量濃度、ならびに、比抵抗を示す。
[画像形成装置A−1の作製]
(現像剤の調製)
上記のように作製したトナーA−1とキャリアA−1とを、2成分現像剤におけるトナーの濃度が10質量%となるように混合し、得られた混合物を、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて1時間攪拌して現像剤を調製した。
(画像形成装置A−1の作製)
次に、調製した現像剤をプリンターに充填して画像形成装置A−1を作製した。なお、プリンターは、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製FS−C5250DNの現像器を変更した。詳細には、現像部をタッチダウン方式の現像器から2成分現像方式の現像部に変更し、また、現像ローラーは、FS−C5250DN用ローラーから、規制極/汲上極を共通化したローラーに変更した。
[画像形成装置A−2の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーA−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−2を作製した。
[画像形成装置A−3の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアA−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−3を作製した。
[画像形成装置A−4の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーA−2に変更し、キャリアをキャリアA−1からキャリアA−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−4を作製した。
[画像形成装置A−5の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアA−3に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−5を作製した。
[画像形成装置A−6の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーA−2に変更し、キャリアをキャリアA−1からキャリアA−3に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−6を作製した。
[画像形成装置A−7の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアA−4に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−7を作製した。
[画像形成装置A−8の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアA−5に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−8を作製した。
[画像形成装置A−9の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアA−6に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−9を作製した。
[画像形成装置A−10の作製]
プリンターの現像ローラーを、FS−C5250DN用の規制極/汲上極が非共通のローラーに変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置A−10を作製した。
[画像形成装置B−1の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーB−1に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−1を作製した。
[画像形成装置B−2の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーB−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−2を作製した。
[画像形成装置B−3の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーB−1に変更し、キャリアをキャリアA−1からキャリアA−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−3を作製した。
[画像形成装置B−4の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーB−2に変更し、キャリアをキャリアA−1からキャリアA−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−4を作製した。
[画像形成装置B−5の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーB−1に変更し、キャリアをキャリアA−1からキャリアA−3に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−5を作製した。
[画像形成装置B−6の作製]
現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーB−2に変更し、キャリアをキャリアA−1からキャリアA−3に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−6を作製した。
[画像形成装置B−7の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−1に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−7を作製した。
[画像形成装置B−8の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−8を作製した。
[画像形成装置B−9の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−3に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−9を作製した。
[画像形成装置B−10の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−4に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−10を作製した。
[画像形成装置B−11の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−5に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−11を作製した。
[画像形成装置B−12の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−6に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−12を作製した。
[画像形成装置B−13の作製]
現像剤におけるキャリアをキャリアA−1からキャリアB−7に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−13を作製した。
[画像形成装置B−14の作製]
プリンター内の感光体ドラムの材料を有機感光体からアモルファスシリコンに変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−14を作製した。
[画像形成装置B−15の作製]
プリンター内の感光体ドラムの材料を有機感光体からアモルファスシリコンに変更し、現像剤におけるトナーをトナーA−1からトナーA−2に変更した点を除いて、画像形成装置A−1と同様に画像形成装置B−15を作製した。
表4に、画像形成装置A−1〜A−10、画像形成装置B−1〜B−15におけるトナー、キャリア、感光体および現像器を示す。なお、表4において、感光体は感光体ドラムの材料を示しており、OPCは有機感光体(Organic Photoconductor)から形成された感光体層を有する感光体ドラムを示しており、a−Siはアモルファスシリコンから形成された感光体層を有する感光体ドラムを示している。また、表4の現像器において、「共通」は、汲上極および規制極を共通とする現像ローラーを用いたことを示しており、「非共通」は、汲上極および規制極を共通としない現像ローラーを用いたことを示している。
(トナー粒子の摩擦帯電量の測定および評価)
画像形成装置A−1〜A−10、B−1〜B−15の初期、1000枚印刷、および、10万枚印刷後の現像剤中のトナー粒子の摩擦帯電量をQ/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて測定した。1000枚印刷時の帯電量が初期の帯電量と比べて10μC/g以上変化していないか評価した。また、10万枚印刷時の帯電量が15μC/g以下にまで低下していないか評価した。
(画像濃度の測定および評価)
画像形成装置A−1〜A−10、B−1〜B−15によって初期、1000枚目、および、10万枚目に画像を印刷した普通紙を一昼夜、常温常湿(25℃、60%RH)環境下で静置した後、反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング株式会社製「RD−19」)を用いて画像濃度を測定した。続いて、同一画像内の10箇所の画像濃度を測定した。その後、測定した10箇所の画像濃度の平均値をID値とした。得られたID値がいずれも1.20以上であるか否か評価した。
(キャリア現像の評価)
印刷した画像に、キャリア現像由来の不具合が生じているか否か目視にて評価した。
○(良い) : キャリア現像なし
×(良くない) : キャリア現像あり
(画像品質の測定および評価)
印刷した画像に、濃度ムラ、カブリ、色点等の不具合が生じているか否か目視にて評価した。
○(良い) : 画像異常なし
×(良くない) : 画像異常あり
(現像ストレス)
画像形成装置A−1〜A−10、B−1〜B−15によって10万枚印刷した後、画像形成装置A−1〜A−10、B−1〜B−15内の現像剤2gを容量20mLのポリ容器に秤量して評価用の試料を得た。その後、評価用の試料を、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り5、時間30秒の条件で、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。篩別後に、篩上に残留した試料の質量を測定した。篩別前の試料の質量と、篩別後に篩上に残留した試料の質量とから、下記式にしたがって凝集度(質量%)を算出した。算出された凝集度から、凝集度が1.0質量%以下であるか否か評価した。
凝集度(質量%)=(篩上に残留した試料の質量/篩別前の試料の質量)×100
表5に、画像形成装置A−1〜A−10、画像形成装置B−1〜B−15の帯電量変化、画像濃度変化、キャリア現像の有無、画像品質、および、現像ストレスを示す。表5において、Q/Mはトナー帯電量を示しており、Q/Mにおける初期、1Kおよび100Kは、初期のトナー帯電量、1000枚印刷後のトナー帯電量および10万枚印刷後のトナー帯電量をそれぞれ示す。同様に、画像濃度における初期、1Kおよび100Kは、初期の画像濃度、1000枚印刷後の画像濃度および10万枚印刷後の画像濃度をそれぞれ示す。
画像形成装置A−1〜A−6では、印刷枚数の増加にもかかわらず、帯電量は、ほとんど変化しなかった。また、印刷枚数の増加にもかかわらず、画像濃度は、いずれも1.2以上を維持した。また、キャリア現像は発生せず、画像品質も良好であった。
さらに、画像形成装置A−1〜A−6では、10万枚印刷後でも、現像剤における凝集もほとんど発生しなかった。これは、現像剤規制部材付近で現像剤が滞留しにくいため、現像剤にストレスがほとんど付与されかったためと考えられる。
画像形成装置A−7〜A−9では、印刷枚数の増加にもかかわらず、帯電量は、ほとんど変化しなかった。また、印刷枚数の増加にもかかわらず、画像濃度は、いずれも1.2以上を維持した。また、キャリア現像は発生せず、画像品質も良好であった。
画像形成装置A−10では、現像剤が同一である画像形成装置A−1と同様に、印刷枚数の増加にもかかわらず、帯電量は、ほとんど変化しなかった。また、キャリア現像は発生せず、画像品質も良好であった。
ただし、画像形成装置A−1〜A−6と比べると、画像形成装置A−10の画像濃度は、印刷枚数の増加に応じて若干減少した。しかしながら、画像濃度はいずれも、1.2以上を維持しており、実用上大きな問題にはならないと考えられる。
画像形成装置B−1〜B−6では、1000枚印刷すると、トナー帯電量は、初期のトナー帯電量と比べて大きく増加した。これは、酸化チタンの比抵抗が低かったため、現像バイアス印加時に脱離した酸化チタンが単独で現像する量が増え、結果としてトナー帯電量が増加したと考えられる。また、画像形成装置B−1〜B−6では、印刷枚数の増加に伴い、画像濃度が大きく低下した。これは、トナー帯電量の増加に起因すると考えられる。
画像形成装置B−7では、帯電量、画像濃度、および、現像ストレスはおおむね良好であったものの、キャリア現像が発生した。これは、キャリアの比抵抗が低かったためと考えられる。
画像形成装置B−8では、帯電量、画像濃度、および、現像ストレスはおおむね良好であったものの、画像に濃度ムラが発生しており、画像品質が低下していた。これは、キャリアの比抵抗が高かったためと考えられる。
画像形成装置B−9では、帯電量、画像濃度、および、現像ストレスはおおむね良好であったものの、キャリア現像が発生した。これは、キャリアの比抵抗が低かったためと考えられる。
画像形成装置B−10では、帯電量、画像濃度、および、現像ストレスはおおむね良好であったものの、画像に濃度ムラが発生した。これは、キャリアの比抵抗が高かったためと考えられる。また、比較例B−10の画像形成装置では、10万枚印刷すると、現像剤中で凝集が生じ、画像に縦筋が発生した。
画像形成装置B−11〜B−13では、印刷枚数が増加すると、帯電量が大きく低下してカブリ等の不具合が生じた。これは、キャリアコアをフッ素樹脂でコートしたため、キャリア表面にスペントが発生したことが原因であると考えられる。さらに、比較例B−11の画像形成装置では、キャリアの比抵抗が低かったためと考えられる。
画像形成装置B−14、B−15では、現像剤が同一であった画像形成装置A−1、A−2と比べて、帯電量、画像濃度、および、現像ストレスは同程度であったものの、感光体材料をアモルファスシリコンに変更したため、画像中にドラム周期の色点が生じた。これは、酸化チタンの比抵抗が高いことから過電流が解消されたため、リーク黒点が生じと考えられる。