JP6369368B2 - 搬送設備および搬送方法 - Google Patents
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Description
上述の空港手荷物搬送システムに関して、ハブ空港などの大規模な空港ともなると、その敷地が広大となっていることに伴って、チェックインカウンターにて乗客の手荷物を預かった地点から目的の飛行機が停泊している地点(の近くの積込エリア)までの距離が非常に長くなり、また預かる手荷物の数も多くなるため、出航までの限られた時間内で全ての手荷物を飛行機まで届けるためには、手荷物の搬送速度を高速にしなければならなくなる。
こうした段階的な加減速を行う従来の搬送設備は、特許文献1においても従来の技術として示されている。
また、例えばベルトコンベヤを用いた設備の場合、トレイ99がコンベヤ間を乗り継ぐ際に搬送速度が急激に変化すると、トレイ99とコンベヤのベルト間で滑り(スリップ)が発生することになるため、繰り返し使用することによりベルトおよびトレイが磨耗するおそれがある。
特許文献1に記載の発明においては、上記の問題点を解決するため、螺旋溝を有する搬送軸を用いて、この螺旋溝に通い函を係合させつつ搬送軸を回転することにより、無段階での加減速を行うようにしている。
しかしながら、このような構成を大規模な空港内などの広大な敷地内で実施するとなると、螺旋溝を有する搬送軸という、この構成専用の部材を長い経路にわたって配置しなければならず、また通い函もこの螺旋溝に係合できる専用のものを用意する必要があるので、導入コストが非常に高くなってしまう。また複雑な構成のため、信頼性が低くメンテナンスも困難である。また、この搬送軸を用いた加速を行っている間は次の通い函を搬送軸より上流側から搬送軸の区間へ送ることはできず、搬送軸による搬送が完了して加速が終了したのち減速して元の速度に戻るまで待たなければならないので、搬送効率を十分に向上することができない。
そこで、本発明は、搬送路全体にわたっての被搬送体の搬送速度を高速にしながらも被搬送体に衝撃や偏りを生じさせることのない搬送設備を、低コストかつ信頼性の高いものとして提供し、また搬送効率を十分に向上することを目的とする。
この構成によれば、被搬送体が特定の搬送区画から次の搬送区画へと移送される(乗り継ぐ)際に、搬送速度および搬送加速度が急激な変化をしないこととなるので、被搬送体が急激な速度変化に伴う慣性力を受けることがない。そして、このような制御が行われるようにさえなっていれば、搬送路を構成する搬送区画の一つ一つについては稼動実績のある信頼性の保証された一般的なコンベヤなどを用いることができる。
また、加減速部内の可変搬送区画の一つ一つにおいて被搬送体が搬送されている間にも搬送速度が連続的に加速または減速していくため、下流側定速搬送区画の搬送速度に達するまでの時間および搬送距離を短くすることができて、加減速部に含まれる可変速搬送区間の数および長さを抑えることができる。そのため、一定速度での搬送を行う単純な仕組みで敷設コストや運用コストの低い定速搬送区画が搬送路に対して占める割合を大きくできる。
また、加減速部が複数の可変速搬送区画で構成されており、上流側の可変速搬送区画は被搬送体を下流側へと送った後に元の搬送速度に戻ることになるので、加減速部で被搬送体が搬送されて加減速が行われている間にも、次の被搬送体を元の速度に戻った可変速搬送区画へ送ることができるので、加減速部による搬送の完了を最後まで待つ必要がなく、搬送効率を十分に向上することができる。
この構成によれば、搬送速度の制御を、所定の位置に被搬送体が到達したら所定の加速度で加減速を開始するという比較的単純な手順で行うことができるので、搬送設備システムの構築および導入が容易である。
この構成によれば、被搬送体が乗り継ぎを行う際の上流側の搬送区画と下流側の搬送区画の搬送速度を一致させる制御を、被搬送体が加減速基準位置に到達したらそれに対応する可変速搬送区画の搬送速度を一定の加速度で加減速させていくという比較的単純な手順で実現することができるので、搬送設備システムの構築および導入が容易である。
この構成によれば、可変速搬送区画が下流側の搬送区画へ被搬送体を移送してから基準速度へ戻るまでの時間が、その可変速搬送区画で被搬送体が搬送される時間よりも短くなる。そのため、その搬送区画へ次の被搬送体が届けられるタイミングを早くすることができ、より高い搬送効率が得られる。
この構成によれば、コンベヤによって直接的に搬送されるのが統一された形状の被搬送容器となるので、搬送に用いる機器の性能や制御に関する各種の設定値を定めるにあたって、個々の被搬送体の形状を考慮に入れる必要がなくなり、被搬送容器の形状を基準として予め定めておくことができる。そのため、搬送設備システムの構築および導入が容易となる。
この構成によれば、被搬送容器下部の搬送方向沿いの寸法が、被搬送体容器の上部の寸法よりも小さくなるため、様々な形状の被搬送体に対応できるように被搬送体容器の上部の寸法を大きく設計したとしても、搬送区画のコンベヤに直接接触する被搬送容器下部の寸法はそれより小さくできるので、搬送区画間での移送の際に、被搬送体および被搬送容器の重量の全体が下流側の搬送区画に移るのが早くなり、搬送効率が向上する。
この構成によれば、搬送体が特定の搬送区画から次の搬送区画へと移送される際に、搬送速度および搬送加速度が急激な変化をしないこととなるので、被搬送体が急激な速度変化に伴う慣性力を受けることがない。
[搬送路]
図1に概略的な側面図を示す搬送設備10では、目的地(例えば出航準備中の飛行機など)へ向かう搬送方向Wに沿って搬送路12が敷設されており、この搬送路12は複数の搬送区画21,23,25,27,29で構成されている。
複数の搬送区画21,23,25,27,29のうち、図1中で最上流のものは一定の搬送速度で搬送を行う定速搬送区画としての上流側低速部21となっており、これの下流には搬送速度を変化させることが可能になっている複数の可変速搬送区画23a,23b,23cが配置されている。これら複数の可変速搬送区画23a,23b,23c(以下、上流から順に第一の加速区画23a、第二の加速区画23b、第三の加速区画23cとする)は直列に配置されて加速部23(加減速部の一つ)を形成しており、その加速部23の下流には上流側低速部21より高速の一定速度で搬送を行う定速搬送区画としての高速部25が敷設されている。
高速部25よりもさらに下流側には、搬送速度を変化させることが可能な複数の可変速搬送区画27a,27b,27c(以下、上流から順に第一の減速区画23a、第二の減速区画23b、第三の減速区画23cとする)が直列に配置されて減速部27(加減速部の一つ)が形成されている。そして、その減速部27よりもさらに下流側には、高速部25よりも低速の一定速度で搬送を行う定速搬送区画としての下流側低速部29が設けられている。
前述の上流側低速部21、高速部25、下流側低速部29はそれぞれベルトコンベヤで構成されており、これらはそれぞれモータ31,35,39を駆動源として、予め定められた一定速度で搬送を行う。
これら加速部23と減速部27における各ベルトコンベヤにはそれぞれ基準速度が設定されており、搬送対象物を搬送していないときには自身に設定された一定の基準速度で動作している。
モータ31,35,39およびモータ33a,33b,33c,37a,37b,37cはそれぞれ、有線または無線の通信手段(インタフェース回路を介したケーブル接続や電磁波通信など)によって、搬送設備10内の機器の動作を制御する後述の制御器70と通信を行うようになっている。
搬送設備10内での搬送対象物となる被搬送体50(手荷物など)は、各搬送区画において、ベルトコンベヤ上を搬送される被搬送容器としての搬送トレイ52の上面に載置された状態、つまりは被搬送容器に収容された状態で搬送される。この搬送トレイ52は、図2に示すように、その下部に搬送方向W沿いの寸法が底面より上方へ向けて広がる逆テーパ部52aが設けられていて、これにより搬送トレイ52の下部形状は側面視で逆台形状となっている。また、被搬送体50の載置面となる搬送トレイ52の上面寸法は、様々な形状の被搬送体50に対応できるように、平均的な寸法の被搬送体50よりも大きくなっており、図2においては搬送方向W沿いの寸法が平均的な寸法の被搬送体50の2倍程度となっている(なお、図面中の被搬送体50はいずれも平均的な寸法のものとしているが、搬送トレイ52の上面寸法とほぼ同程度の寸法の大きな被搬送体50が搬送される場合もある)。そして、搬送トレイ52上面の周縁部、特に搬送方向W沿いの端部には、被搬送体50が搬送トレイ52上面から滑落することを防ぐために、被搬送体50の載置面よりもやや上方へ突出した周縁突起52bが設けられている。
搬送路12内に複数設定された加減速基準位置などの所定位置には、その位置へと被搬送体50(を載置した搬送トレイ52)が到達したことを検出するためのセンサが設けられている。本実施形態においてはそうしたセンサが各搬送区画に設けられており、例えば加速部23の各加速区画23a,23b,23cにおいては、フォトリフレクタや光電管式荷物検出器(PHS)などの光電センサで構成された到達センサ63a,63b,63cが、各区画の下流端よりもやや上流側に設置されている。また、上流側低速搬送部21,高速部25,減速部27,下流側低速部29にもそれぞれ所定位置に到達センサ61,65,67a,67b,67c,69が設けられている。
なお、各到達センサの具体的な設置方法としては、例えばベルトコンベヤの脇に支持台を取り付けて、搬送されてくる搬送トレイ52に向けて投光を行うようにフォトリフレクタを支持台上に配置するという方法をとることができるが、特定の位置に被搬送体50が到達したことを検出できるようになっていればどのように設置してもよい。
これら到達センサ61,63a,63b,63c,65,67a,67b,67c,69は、有線または無線の通信によって、検出結果を示す信号を後述の制御器70へと送信する。
また、搬送区画21,23a,23b,23c,25,27a,27b,27c,29にはそれぞれ、当該搬送区画で搬送されている物体の重量を検出するための重量センサ81,83a,83b,83c,85,87a,87b,87c,89が設けられている。これは例えば各搬送区画の搬送面より下方にひずみゲージ式センサを配置するなどの方法により設けることができる。
これら重量センサ81,83a,83b,83c,85,87a,87b,87c,89は、有線または無線の通信によって、検出結果を示す信号を後述の制御器70へと送信する。
制御器70は自身と通信を行う機器から受信した信号およびユーザによって入力されたデータに応じて搬送設備10内の状況を判断するとともに搬送設備10内の各種機器の動作を制御することが可能な装置であり、例えば入力されたデータに応じてどのようなデータを出力するか(どのように各種機器を動作させるか)を記述したプログラムを実行するプロセッサやコンピュータ、あるいはどのような条件下でどのような動作を行うかを予め設定されたPLCなどにより構成することができる。本実施形態においては、搬送路12から離れた位置に設置されたコンピュータを制御器70として用いるものとする。
本実施形態においては、図3に示すように、制御器70は到達センサ61,63a,63b,63c,65,67a,67b,67c,69と、重量センサ81,83a,83b,83c,85,87a,87b,87c,89と、モータ31,33a,33b,33c,35,37a,37b,37c,39とに、有線または無線によって通信可能に接続されている。
制御器70は、到達センサ61,63a,63b,63c,65,67a,67b,67c,69からの信号を基に、被搬送体50(を収容している搬送トレイ52)が搬送路12上の各加減速基準位置に到達したかどうかを判断することができる。
また、制御器70は、重量センサ81,83a,83b,83c,85,87a,87b,87c,89によって検出される重量の増加または減少の具合に基づき、移送完了有無の判断、すなわち各搬送区画へと被搬送体50が完全に移送されたこと(乗り継ぎの途中ではないこと)の判断をすることができる。具体的には、重量センサによって検出される重量が増加している間は当該重量センサに対応する搬送区画へ被搬送体50が乗り継ぎを行っている最中であり、重量が増加しなくなれば被搬送体50が当該搬送区画へ完全に移送されたということであり、重量が減少している間は被搬送体50が当該搬送区画から下流側の搬送区画へと乗り継ぎを行っている最中であると判断することができる。
また、制御器70は、モータ33a,33b,33c,37a,37b,37cの回転を制御することによって、可変速搬送区画23a,23b,23c,27a,27b,27cにおけるベルトコンベヤでの搬送速度を調節することができるほか、各モータの回転状態を基に、各可変速搬送区画における搬送速度が現在どれだけの速度になっているかを知ることができる。また、搬送設備10の故障などの緊急事態発生時にはモータ31,33a,33b,33c,35,37a,37b,37c,39を全て停止させて搬送を中断することもできる。
以下、搬送路12においてどのように被搬送体50が搬送されるかについて説明する。
まず、手荷物といった被搬送体50が空港のチェックインカウンターなどの被搬送体受入地点において受け入れられると、被搬送体50を取り扱う作業者は、被搬送体受入地点に繋がる上流側低速部21内で搬送されている搬送トレイ52の上面へと被搬送体50を載置することで、被搬送体50を搬送路12へ導入する。あるいは、自動移載装置によって、被搬送体50が搬送トレイ52へ自動的に載置されて搬送路12へと導入される。
上流側低速部21の下流側に配置されている加速部23の第一の加速区画23aにおける搬送速度の基準速度は、上流側低速部21の搬送速度と同じになっている。具体的には、被搬送体50が第一の加速区画23a内に存在しない間は搬送速度が上流側低速部21と同じ速さ(例えば72m/分)で一定(加速度ゼロ)になっており、上流側低速部21の下流端に到達した搬送トレイ52および被搬送体50は、急激な速度変化および加速度変化を起こすことなく第一の加速区画23aへと移送される(乗り継ぐ)ことができる。
第一の加速区画23aへと移送された被搬送体50は、しばらく上流側低速部21と同じ速さの一定の搬送速度で搬送されるが、被搬送体50が第一の加速区画23aの下流端近く(第一の加速区画23aおよび第二の加速区画23bに対応する加減速基準位置)に到達したことを到達センサ63aが検出すると、制御器70は、加速部23の第二の加速区画23b(下流側の可変速搬送区画)へと第一の加速区画23a(上流側の可変速搬送区画)からの被搬送体50を移送するための移送制御を開始する。
第二の加速区画23bは、基準速度が第一の加速区画23aと同じになっていて、被搬送体50が第二の加速区画23b内に存在しない間は上流側低速部21と同じ速さの搬送速度で動作している。ここで第二の加速区画23bのための移送制御が開始されると、制御器70は、第一の加速区画23aと第二の加速区画23bとに、同じ値かつ一定値の移送加速度(例えば1.96m/s2)で加速を開始させる(図4(b),図4(c)参照)。第一の加速区画23aと第二の加速区画23bとが同じ基準速度から同じ移送加速度で加速することにより、第一の加速区画23aの下流端に到達した搬送トレイ52および被搬送体50は、急激な速度変化および加速度変化を起こすことなく第二の加速区画23bへと移送される(乗り継ぐ)ことができる。具体的には、図4に示すような速度変遷であれば搬送加速度1.96m/s2(0.2G)を保ったまま、上下流ともに同一の搬送速度で移送が行われる。なお、第一の加速区画23aでの加速を始める際、急激に加速度を変化させることで被搬送体50に衝撃を与えることを避けるため、加速度を緩やかに増加させながら移送加速度まで上昇させていくことが好ましいが、図4においては図示の簡略化のため加速度の緩やかな変化過程の描写を省略している。
制御器70は、第一の加速区画23aの重量センサ83aまたは第二の加速区画23bの重量センサ83bが検出する重量に基づき、第一の加速区画23aにおいて搬送されていた被搬送体50が第二の加速区画23bへと完全に移送されたと判断すると、第一の加速区画23aの搬送速度を基準速度へ戻す速度戻し制御を開始する(図4においては、この速度戻し制御開始時点での搬送速度は上下流ともに190m/分)。
第一の加速区画23aのための速度戻し制御が開始されると、制御器70は、前述の移送加速度よりも大きな絶対値の戻し加速度(例えば0.6G=5.88m/s2)で第一の加速区画23aに減速を行わせる。これにより、第一の加速区画23aの搬送速度を、移送制御を実行していた期間よりも短い時間で基準速度まで戻すことができる(図4(b)参照)。第一の加速区画23aの搬送速度が基準速度まで戻ると、制御器70は、速度戻し制御を終了し、第一の加速区画23aを基準速度(上流側低速部21の搬送速度と同じ速度)で定速動作させる。
第二の加速区画23bへと移送された被搬送体50は、引き続き移送加速度で加速されながら第二の加速区画23b上を搬送されていく。そして、被搬送体50が第二の加速区画23bの下流端近く(第三の加速区画23cに対応する加減速基準位置)に到達したことを到達センサ63aが検出すると、制御器70は、加速部23の第三の加速区画23c(下流側の可変速搬送区画)が第二の加速区画23b(上流側の可変速搬送区画)からの被搬送体50を受け入れるための準備を行う移送制御を開始する。
第三の加速区画23cは、被搬送体50が第三の加速区画23c内に存在しない間は基準速度で動作している。この第三の加速区画23cの基準速度は、第二の加速区画23b内の到達センサ63aの位置、つまりは第三の加速区画23cに対応する加減速基準位置に被搬送体50が到達した時点での第二の加速区画23bの搬送速度と同じになるよう設定されている。この第三の加速区画23cの基準速度は、第二の加速区画23bの長さ・基準速度・移送加速度から予め割り出しておくことができる(例えば260m/分)。
そして、第三の加速区画23cのための移送制御が開始されると、制御器70は、第三の加速区画23cに移送加速度(例えば1.96m/s2)での加速を開始させる一方で、第二の加速区画23bには移送加速度での加速を継続させる(図4(c),図4(d)参照)。第三の加速区画23cの基準速度が前述のように設定されていることにより、第三の加速区画23cのための移送制御が開始された時点では上流側の第二の加速区画23bと下流側の第三の加速区画23cは同じ搬送速度になっており、上流側と下流側の双方において同じ搬送速度から同じ移送加速度での加速が行われることにより、第二の加速区画23bの下流端に到達した搬送トレイ52および被搬送体50は、急激な速度変化および加速度変化を起こすことなく第三の加速区画23cへと移送される(乗り継ぐ)ことができる。具体的には、図4に示すような速度変遷であれば搬送加速度1.96m/s2(0.2G)を保ったまま上下流ともに同一の搬送速度で移送が行われる。
制御器70は、第二の加速区画23bの重量センサ83bまたは第三の加速区画23cの重量センサ83cが検出する重量に基づき、第二の加速区画23bにおいて搬送されていた被搬送体50が第三の加速区画23cへと完全に移送されたと判断すると、第二の加速区画23bの搬送速度を基準速度へ戻す速度戻し制御を開始する(図4においては、この速度戻し制御開始時点での搬送速度は上下流ともに350m/分)。
第二の加速区画23bのための速度戻し制御においては、第一の加速区画23aのための速度戻し制御と同様に、制御器70は、戻し加速度(例えば5.88m/s2)で第二の加速区画23bに減速を行わせて速やかに基準速度まで戻してから、第二の加速区画23bを基準速度(上流側低速部21の搬送速度と同じ速度)で定速動作させる(図4(c)参照)。
第三の加速区画23c(すなわち下流側定速搬送区画である高速部25に最も近い可変速搬送区画)には、最終的な搬送速度として目標速度が設定されており、具体的には高速部25の搬送速度と同じ速さ(例えば600m/分)が目標速度として設定されている。第三の加速区画23cの搬送速度が目標速度に達すると、制御器70は、第三の加速区画23cの加速をやめ、目標速度(つまり高速部と同じ搬送速度)で第三の加速区画23cを定速動作させる(図4(d)参照)。なお、加速をやめる際には、急激な加速度の変化が被搬送体50に衝撃を与えることを避けるため、加速度を緩やかに減少させながらゼロまで低下させることが好ましい。また、被搬送体50が第三の加速区画23cの下流端に至るまでに搬送速度が目標速度へ達することが可能なように、基準速度・目標速度・移送加速度・第三の加速区画23cの長さを適切に設定しておくことが望ましい。
目標速度に達した第三の加速区画23c(上流側の搬送区画)が高速部25(下流側の搬送区画)と同じ搬送速度で定速動作することにより、第三の加速区画23cの下流端(すなわち加速部23の下流端)に到達した搬送トレイ52および被搬送体50は、急激な速度変化および加速度変化を起こすことなく高速部25へと移送される(乗り継ぐ)ことができる。
以上のように加速部23を構成する第一、第二、第三の加速区画23a,23b,23cにおいて移送制御が行われることにより、被搬送体50が加速部23を通過する間に、被搬送体50の搬送速度は、上流側低速部21(上流側定速搬送区画)の搬送速度から高速部25(下流側定速搬送区画)での搬送速度まで連続的に加速し続けることになる。
制御器70は、第三の加速区画23cの重量センサ83cまたは高速部25の重量センサ85が検出する重量に基づき、第三の加速区画23cにおいて搬送されていた被搬送体50が高速部25へと完全に移送されたと判断すると、第三の加速区画23cの搬送速度を基準速度へ戻す速度戻し制御を開始する。
第三の加速区画23cのための速度戻し制御においては、第二の加速区画23bのための速度戻し制御と同様に、制御器70は、戻し加速度で第三の加速区画23cに減速を行わせて速やかに基準速度まで戻してから、第三の加速区画23cを基準速度で定速動作させる(図4(d)参照)。ただし、第三の加速区画23cは基準速度が第一、第二の加速区画23a,23bとは異なり上流側低速部21の搬送速度と同じではないため、第三の加速区画23cの搬送速度は、速度戻し制御において上流側低速部21の搬送速度に近づきはするが同じ値にまでは減速しない。
減速部27に含まれる第一、第二、第三の減速区画27a,27b,27cにおいても、各搬送区画間での被搬送体50の移送の前後に、加速部23で行われたような移送制御および速度戻し制御が行われる。ただし、減速部27においては、移送制御で減速が行われ、速度戻し制御で加速が行われる(図4(e),図4(f),図4(g)参照)。移送加速度および戻し加速度は、加速部23で用いられたものと同じ絶対値としてよいが、加速度の正負符号を反転させたものを使用して、移送加速度は減速用、戻し加速度は加速用とする。また、第一、第二の減速区画27a,27bの基準速度は高速部25の搬送速度と同じ速さに設定し、第三の減速区画27cの目標速度は下流側低速部29の搬送速度と同じ速さに設定する。
減速部27内の各減速区画において移送制御が行われることにより、被搬送体50が減速部27を通過する間に、被搬送体50の搬送速度は、高速部25(上流側定速搬送区画)の搬送速度から、下流側低速部29(下流側定速搬送区画)での搬送速度まで連続的に減速し続けることになる。
そして、下流側低速部29は出航準備中の飛行機近くの積込エリアなどの目的地へと繋がっており、下流側低速部29に移送された被搬送体50は目的地へと送られる。
以上において説明してきた加速部23の可変速搬送区画23a,23b,23cおよび減速部27の可変速搬送区画27a,27b,27cの動作は、一つ一つの可変速搬送区画の動作について着目すると、図5に示すフローチャートのように表すことができる。
例えば第三の減速区画27cの動作について着目すると、図5中のステップS1において第三の減速区画27c(可変速搬送区画)は基準速度(例えば300m/分)で定速動作している。制御器70は、定期的(例えば20ms毎)に第三の減速区画27cと対応する加減速基準位置(ここでは第二の減速区画27bの下流端近く)へと被搬送体50が到達していないかどうかを、加減速基準位置に設けられた到達センサ67bの信号に基づいて確認し(ステップS2)、被搬送体50が加減速基準位置に到達していなければ定速動作を継続する。
被搬送体50が加減速基準位置に到達していたならば、第三の減速区画27cの移送制御を開始する(ステップS3)。移送制御においては、第三の減速区画27cの搬送速度は移送加速度(例えば1.96m/s2)で減速させられていく。
移送制御を行っている際、その可変速搬送区画が下流側の定速搬送区画(ここでは下流側低速部29)に最も近い可変速搬送区画(加減速部終端区画)であるかどうかが確認される(ステップS4)。もしも移送制御中の可変速搬送区画が加減速部終端区画でなければ、後述の速度戻し制御が始まるまで加減速を継続する(ステップS7へ移行)。第三の減速区画27cは加減速部終端区画であるので、ステップS5に移行し、搬送速度が目標速度(例えば72m/分)に達しているかどうかがモータ89の回転数に基づき確認される。
第三の減速区画27cの搬送速度が目標速度に達していたら、制御器70は減速を中止させて、第三の減速区画27cを目標速度で定速動作させる(ステップS6)。なお、加速度をすぐにゼロにするのではなく緩やかにゼロへと変化させていく場合は、ステップS5で確認する目標速度を所望の最終速度近傍の値に設定しておき、加速度が緩やかに変化させられてゼロになった時点で搬送速度が所望の最終速度になるように制御するとよい。
移送制御が行われている間、および搬送速度が目標速度に達して定速動作に移行した後には、第三の減速区画27c(着目している可変速搬送区画)から下流側低速部29(下流側の搬送区画)へと被搬送体50の移送が完了したかどうかが、重量センサ87cまたは重量センサ89の信号に基づき判定される(ステップS7)。
被搬送体50が下流側低速部29へと移送されたのであれば、第三の減速区画27cの速度戻し制御を開始する(ステップS8)。速度戻し制御においては、第三の減速区画27cの搬送速度は戻し加速度(例えば5.88m/s2)で加速させられていく。
続くステップS9においては、第三の減速区画27cの搬送速度が基準速度に戻ったかどうかが確認され、基準速度に戻ったのであれば、第三の減速区画27cを基準速度で定速動作させる(ステップS1に戻る)。
また、本実施形態に係る搬送設備において用いるベルトコンベヤの一つ一つは市販のものを用いることができるので、動作実績が保証されており信頼性の高いベルトコンベヤを用いて搬送設備を構築することができる。
また、加速部23および減速部27(加減速部)においては、被搬送体50(を収容した搬送トレイ52)の搬送速度が連続的に加速または減速させられ続けるので、被搬送体50の搬送速度は、短い時間・短い距離で、加減速による目標速度(加速部23においては高速部25の搬送速度、減速部27においては下流側低速部29の搬送速度)に達することができる。そのため、加速部23および減速部27の長さは短く設計することが可能であり、その分、定速搬送区画である下流側低速部21、高速部25、下流側低速部29が搬送路12に対して占める割合を大きくすることができる。一定速度での搬送を行うという単純な仕組みの定速搬送区画の占める割合が大きいことにより、搬送路12全体の敷設コストや運用コストを低く抑えることができる。
また、上述の実施形態においては、加減速部として加速部23と減速部27の両方を設けているが、搬送設備10に求められる動作仕様に応じて、どちらか一方のみを設けるようにしてもよい。例えば、高速部25の速い搬送速度のまま目的地まで被搬送体50を届けてよいのであれば、搬送路12を上流側低速部21から高速部25までの区間で構成し、減速部27を設けず加速部23のみ設けるようにしてもよい。また、目的地付近では低速で搬送する必要がある一方で被搬送体50の受入れ地点では高速で搬送してよいのであれば、搬送路12を高速部25から下流側低速部29までの区間で構成し、加速部23を設けず減速部27のみ設けるようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、加減速基準位置はいずれも加速部23または減速部27内の位置になっているが、加減速基準位置を上流側低速部21や高速部25などの定速搬送区画内に設けてもよい。例えば、第一の加速区画23aの基準速度を上流側低速部21の定速搬送速度よりも遅い速度あるいはゼロとしておき、第一の加速区画23aが加速を始めるための加減速基準位置を上流側低速部21内に設けられた到達センサ61の位置とし、到達センサ61が被搬送体50の到達を検出した時点で第一の加速区画23aの加速を開始するように制御してもよい。この場合には、第一の加速区画23aの搬送速度が上流側低速部21の搬送速度に達したら、第一の加速区画23aを定速搬送に移行させるとよい。
また、上述の実施形態においては、被搬送体50が加減速基準位置に到達した際にその加減速基準位置に対応する可変速搬送区間の加減速を開始しているが、被搬送体50の位置ではなく搬送速度を基準にして加減速を開始するようにしてもよい。例えば、上流側の可変速搬送区間において加速が行われている際に、その可変速搬送区間の搬送速度が、下流側の可変速搬送区間の基準速度に達した時点で、下流側の可変速搬送区間の加速を開始するようにしてもよい。また、加減速基準位置に到達して直ぐに加減速を開始するのではなく、到達センサが被搬送体50の到達を検出してからの経過時間を測定するタイマを用意し、到達が検出されてから所定時間が経過したときに加減速を開始するようにしてもよい。このようにする場合は加減速基準位置を対応する加減速区画から離れた位置とすることもでき、例えば、高速部25の下流端近くに設けた到達センサ65(図1)が被搬送体50の到達を検出してから、被搬送体50が第1の減速区画27aを通過するのに要すると見込まれる時間が経過したところで第1、第2の減速区画27a,27bの減速を開始するようにしてもよい。また、速度戻し制御の開始タイミングについても、移送が行われたことを重量センサで直接検出するのではなく、タイマを用いてタイミングを決定するようにしてもよい。例えば、被搬送体50が第3の加速区画23cや第3の減速区画27cの下流端近くに位置していることを到達センサ63c,67cが検出した後、被搬送体50がさらに下流(高速部25や下流側低速部29)へ移動して検出がされなくなった(OFFになった)ときからの経過時間をタイマで測定し、OFFになってから所定時間が経過したときに速度戻し制御を開始するようにしてもよい。
また、上述の実施形態においては、説明の簡略化のため、定速搬送区画としての上流側低速部21、高速部25、下流側低速部29をそれぞれ一つのベルトコンベヤで構成した形態を図示しているが、定速搬送区画を複数のコンベヤで構成してもよい。例えば高速部25を、一定の高速度での搬送を行うコンベヤを何本か直列に並べたものとしてもよい。この場合、一定の高速度での搬送を行う一連のコンベヤ全体が高速部25で、その最下流側に配置された、減速が行われ始めるコンベヤが第一の減速区画27aとなる。
また、上述の実施形態においては、各搬送区画をベルトコンベヤで構成しているが、被搬送体50を搬送することが可能であれば、ローラコンベヤなど別の搬送用機構を用いてもよい。また、寸法や形状が様々になっている複数種類の搬送トレイ52を用意しておき、被搬送体50の寸法や形状に応じて適切な搬送トレイ52を選択して用いるようにしてもよい。あるいは、搬送トレイ52を用いずに被搬送体50を直接搬送してもよく、こういった構成とする場合、小さい寸法の被搬送体50に対しては搬送区画同士間での乗り継ぎが行われたと判定されるタイミングが早くなり、速度戻し制御の開始タイミングが早い段階で行われることとなる。そのため、搬送対象の被搬送体50の内で小さいものの割合が大きい環境においては、全体として搬送効率が向上する。
21 上流側低速部
23 加速部
25 高速部
27 減速部
29 下流側低速部
50 被搬送体
70 制御器
Claims (7)
- 搬送方向に沿って設けられた複数の搬送区画からなる搬送路によって被搬送体を搬送する搬送設備において、
複数の前記搬送区画のうち少なくとも2つが、それぞれに対応して予め定められた一定の搬送速度で被搬送体の搬送を行う定速搬送区画となっており、互いの搬送速度が異なる上流側定速搬送区画と下流側定速搬送区画との間には、搬送速度を変更することが可能な複数の可変速搬送区画からなる加減速部が設けられており、
前記加減速部に含まれる各可変速搬送区画においては、
被搬送体が前記加減速部を通過する間に被搬送体の搬送速度が前記上流側定速搬送区画の搬送速度から前記下流側定速搬送区画の搬送速度まで加速または減速するように、被搬送体を搬送中の可変速搬送区画による搬送速度が連続的に加速または減速させられ、
上流側の搬送区画から下流側の搬送区画へと被搬送体が移送される際の、搬送速度と、搬送加速度とが、上流側と下流側の両搬送区画において一致するように制御され、
下流側の搬送区画へと被搬送体が搬送された後、上流側の可変速搬送区画の搬送速度が、前記上流側定速搬送区画の搬送速度へと近づくように加速または減速させられること
を特徴とする搬送設備。 - 搬送路内に、可変速搬送区画のそれぞれに対応する加減速基準位置が設定されており、
被搬送体が前記加減速基準位置へと到達した後に、その加減速基準位置に対応する可変速搬送区画の搬送速度を予め定められた移送加速度で加速または減速させてゆく移送制御が実行されること
を特徴とする請求項1に記載の搬送設備。 - 可変速搬送区画のそれぞれに対応して基準速度が設定されており、被搬送体が加減速基準位置に到達してから、その加減速基準位置に対応する可変速搬送区画の搬送速度が前記基準速度から一定の移送加速度で加速または減速し続けるよう移送制御が行われることにより、被搬送体が当該可変速搬送区画に到達する時点での当該可変速搬送区画の上流側の搬送区画の搬送速度と、当該可変速搬送区画の搬送速度とが一致するように、前記基準速度、前記加減速基準位置、前記移送加速度が設定されていること
を特徴とする請求項2に記載の搬送設備。 - 可変速搬送区画で搬送されている被搬送体が当該可変速搬送区画よりも下流側の搬送区画へと移送された後、当該可変速搬送区画における搬送速度を、移送加速度よりも大きな絶対値の戻し加速度で基準速度に向けて加速または減速させる速度戻し制御が実行されること
を特徴とする請求項3に記載の搬送設備。 - 搬送路内において、統一された形状の複数の被搬送容器がコンベヤによって搬送され、各搬送区画において前記被搬送容器が被搬送体を収容した状態で搬送されることにより、被搬送体の搬送が行われること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の搬送設備。 - 被搬送容器の下部に、搬送方向沿いの寸法が底面より上方へ向けて広がる逆テーパ部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の搬送設備。
- 搬送方向に沿って設けられた複数の搬送区画からなる搬送路によって被搬送体を搬送する搬送方法において、
複数の前記搬送区画のうち少なくとも2つを、それぞれに対応して予め定められた一定の搬送速度で被搬送体の搬送を行う定速搬送区画とし、互いの搬送速度が異なる上流側定速搬送区画と下流側定速搬送区画との間に、搬送速度を変更することが可能な複数の可変速搬送区画からなる加減速部を設け、
前記加減速部に含まれる各可変速搬送区画においては、
被搬送体が前記加減速部を通過する間に被搬送体の搬送速度が前記上流側定速搬送区画の搬送速度から前記下流側定速搬送区画の搬送速度まで加速または減速するように、被搬送体を搬送中の可変速搬送区画による搬送速度を連続的に加速または減速させ、
上流側の搬送区画から下流側の搬送区画へと被搬送体が移送される際の、搬送速度と、搬送加速度とが、上流側と下流側の両搬送区画において一致するように制御し、
下流側の搬送区画へと被搬送体が搬送された後、上流側の可変速搬送区画の搬送速度を、前記上流側定速搬送区画の搬送速度へと近づけるように加速または減速させること
を特徴とする搬送方法。
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