JP6368305B2 - オリゴ糖ペプチドの精製方法 - Google Patents
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Description
(1) 以下の工程Aを含むことを特徴とする、シアリルグリコペプチド(SGP)の精製方法、
工程A:鳥類の卵黄成分を含む水性溶液と除タンパク剤を混合させ、溶解液部を得る工程。
(2) 除タンパク剤が、合成シリカ系除タンパク剤、タンパク質凝固作用を有する添加剤、又はタンパク質分解作用を有する添加剤である(1)の方法。
(3) 合成シリカ系除タンパク剤が、合成シリカゲル又は合成シリカコロイドである(2)の方法。
(4) 合成シリカ系除タンパク剤が、粒子径:約1〜50μm、比表面積:約100〜1500m2/g、細孔容積:約0.5〜3ml/g、平均細孔径:約1〜50nmを満たす合成シリカゲルである(3)の方法。
(5) 鳥類の卵黄成分を含む水性溶液が、ニワトリの卵黄又は脱脂卵黄の水溶液である、(1)の方法。
(6) 鳥類の卵黄成分を含む水性溶液が、事前に不溶成分が除去された溶液である、(1)の方法。
(7) 工程Aで得られた溶解液部を、SGPを分離可能な樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー操作により、SGPを含有する画分を回収する工程を、さらに含む(1)の方法。
(8) SGPを分離可能な樹脂が、逆相樹脂、順相樹脂、イオン交換樹脂、ゲルろ過樹脂又は合成吸着樹脂である(7)の方法。
(9) 合成吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン系修飾型合成吸着樹脂、メタクリル系合成吸着樹脂、フェノール系合成吸着樹脂である(8)の方法。
(10) 合成吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン系修飾型合成吸着樹脂である(9)の方法。
(11)(1)乃至(10)のいずれかの方法で精製されたSGPを適切な形態で包装する工程を含む、SGP製品の製造方法。
工程A:鳥類の卵黄成分を含む水性溶液と除タンパク剤を混合させ、溶解液部を得る工程。
<混合・分離>
本発明において、2つ以上の材料を「混合させる」とは全ての材料を接触させ、各材料の成分が均一に分布又は溶解した状態にせしめる操作を意味する。混合させる操作は、上記の混合状態を達成できる操作であれば、特に限定されず、例えば、振とう攪拌、攪拌子による攪拌、攪拌羽による攪拌等を挙げることができる。これらの操作に要する時間は特に限定されず、例えば、10秒以上、好ましくは5分間以上、より好ましくは15分間以上である。この操作を行う際の温度は、各材料に含まれる成分が変質、変性しない温度であれば、特に限定されるものではないが、4℃乃至40℃が好ましい。
本発明において、「溶解液部を得る」とは、溶液又は混合液中に含まれる不溶物を除去し、溶媒中に溶解した溶解液部のみを回収することを意味する。溶解液部と不溶物を分離する操作としては、公知の様々な方法を採用することができる。代表的な分離操作としては、ろ過、遠心分離等が挙げられる。ろ過に用いるフィルターは、ろ紙、ガラスフィルター、メンブレンフィルター、ろ布等を用いることができる。また、ろ過の様式としては、自然ろ過、吸引ろ過、加圧ろ過等を採用することができる。フィルターの種類、ろ過様式、遠心分離の条件[回転数、時間、温度]等は、分離に供される溶液等の状態に応じて、適宜選択することができる。また、溶液からの不溶物の除去効率を向上させるために、分離操作の前に、適宜セライト等のろ過助剤を溶液等に予め混合させた後で、分離操作を行っても良い。
本発明において、「シアリルグリコペプチド(Sialyl GlycoPeptide:以下、「SGP」という):とは、以下の構造式(I)及び配列式(II)で示される、11個の糖からなるシアリルグリカンの還元末端のGlcNAcの1位炭素と、Lys−Val−Ala−Asn−Lys−Thr−(配列番号1)の4位Asnの側鎖アミド基に由来する窒素原子が、β-Nグリコシド結合した、オリゴ糖ペプチドである。
(I)
SGPは、鳥類の卵黄に含まれる糖ペプチドであるが、精製されたSGPが市販されており、購入することもできる。例えば、東京化成工業(株)製のSGPのHPLCチャート、LC/MSスペクトル及び1H−NMRスペクトル(実施例1に記載の条件で測定)は、それぞれ図1、図2及び図3に示すようなピークを示すため、これを標準品として、得られた糖ペプチドがSGPであることを同定することができる。
本発明において、「SGP製品」とは、SGPを主要な構成の一つとして含む製品であり、例えば、研究試薬、工業用原料、医薬品添加剤、食品添加剤等である。SGP製品として製造される場合、本発明の方法で精製されたSGPは、製品形態に応じた状態(凍結乾燥粉末、溶液等)に処理され、適切な容器に封入さ手、包装され、製品として製造される。本発明の精製方法で得られるSGPは高純度であるため、このようなSGP製品の原料としても有用である。
HPLC:1260 Infinity LC(Agilent Technologies,Inc.)
カラム:L−Column2 ODS 3μm φ3.0×50mm(科学物質評価研究機構)
カラム温度:40℃
移動相A:0.1%HCOOHを含むH2O溶液(v/v)
移動相B:0.1%HCOOHを含むMeCN溶液(v/v)
グラジエント(移動相B%):0%(0分)、10%(5分)、30%(7分)、30%(8分)
流速:0.6ml/分
検出波長:210nm
HPLC:1260 Infinity LC(Agilent Technologies,Inc.)
カラム:Inertsil Amide 3μm φ3.0×75mm(ジーエルサイエンス(株))
カラム温度:40℃
移動相A:0.1%HCOOHを含むH2O溶液(v/v)
移動相B:0.1%HCOOHを含むMeCN溶液(v/v)
グラジエント(移動相B%):70%(0分)、30%(6分)、10%(6.01分)、10%(7.5分)
流速:0.6ml/分
検出波長:210nm。
SGPは、鳥類の卵の卵黄に含まれていることが知られており、含まれる糖鎖構造がヒト型であるため、ヒトが摂取又は服用しても、アレルギー反応を起こしにくい。
本発明において、「除タンパク剤」とは、タンパク質を含む溶液に添加することで、当該溶液中のタンパク質量を低減させる効果(本明細書において「除タンパク効果」という)を有する材料を意味する。本発明に用いられる除タンパク剤の除タンパク効果の様式としては、当該溶液中のSGP含有量が低減しないものであれば特に限定されず、例えば合成シリカのようにタンパク質を吸着するもの、タンニン酸のようにタンパク質凝固作用を有するもの、パパインのようにタンパク質分解作用を有するもの等、様々な除タンパク剤を採用することができるが、好ましくは、タンパク質を吸着させる除タンパク剤であり、より好ましくは、合成シリカ系除タンパク剤である。
本発明において、卵黄成分含有溶液と除タンパク剤を混合させる際の混合比率は、用いる除タンパク剤の種類により異なるが、例えば、溶液量に対して除タンパク剤を0.1〜50%(v/v又はw/v)で混合させても良い。
また、必要に応じて、除タンパク剤と混合させる前の、卵黄成分含有溶液のpHを適宜調製しても良い。除タンパク剤の種類によっては、pH依存的に除タンパク効果や上清へのSGPの回収率が変動するものがあるため、用いる除タンパク剤に合わせて適切なpHを選択することで、SGPの精製効率を向上させることができる。例えば、各種SYLOPUTE、各種ミズカソーブ、各種カープレックス、マイクロドKM−386P等は、pH3〜6程度の弱酸性において、除タンパク効果が高く、上清へのSGPの回収率も高い傾向があるため、SGPの精製効率を向上させるためには、卵黄成分含有水性溶液を弱酸性に調整することが好ましい。
卵黄成分溶液と除タンパク剤を混合させた後は、不溶物を分離させ、溶解液部を得る。
上記の除タンパク工程を経て得られた除タンパク溶液から、様々なカラム充填剤を用いて、SGPを精製することができる。このような精製に用いられるカラム充填剤としては、合成吸着樹脂、逆相樹脂、順相樹脂、イオン交換樹脂、ゲルろ過樹脂等を挙げることができる。逆相樹脂としては、ブチル基(C4)、オクチル基(C8),オクタデシル基(C18)、トリアコンチル基(C30)、フェニル基等の疎水性官能基を、シリカゲルの基材へ付加させた樹脂であり、特にオクタデシル基を付加したODS系逆相樹脂(Wakogel 100C18(和光純薬工業(株))を用いたSGPの精製については、特許文献1に記載されている。また、イオン交換樹脂であるToyopearl DEAE−650M(東ソー(株))、CM−Sephadex C−25(GE Healthcare UK Ltd.)、Dowex 50Wx2(The Dow Chemical Company)を用いたSGPの精製、ゲルろ過樹脂であるSephadex G−50(GE Healthcare UK Ltd.)、Sephadex G−25(GE Healthcare UK Ltd.)を用いたSGPの精製については、非特許文献1に、それぞれ記載されており、これらの文献に記載の条件を参考に、適宜精製することができる。
本発明は、精製工程におけるカラム充填剤として、合成吸着樹脂を採用するSGPの精製方法を提供する。合成吸着樹脂とは、多孔質架橋構造ポリマーからなる充填剤であり、ポリマーの種類により、スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着剤、スチレン-ジビニルベンゼン系修飾型合成吸着樹脂、メタクリル系合成吸着樹脂、フェノール系合成吸着樹脂等が挙げられる。SGPの精製に利用できることが知られていたODS系逆相樹脂等の充填剤は、シリカゲルを基材とするため、アルカリ性溶液を用いた洗浄ができない。そのため有機溶媒を用いた洗浄だけでは不純物の除去が不十分であるため、再利用することができなかった。しかし、カラム充填剤として、合成吸着樹脂を採用することによって、有機溶媒を用いた洗浄に加え、アルカリ性溶液を用いた洗浄により樹脂回生が可能であることから、不純物の除去が十分に行なうことができ、合成吸着樹脂を再利用することが可能である。このような合成吸着樹脂としては、SGPを吸着できるものであれば様々な合成吸着樹脂を採用することができるが、好ましくは、スチレン-ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂であり、より好ましくはスチレン-ジビニルベンゼン系修飾型合成吸着樹脂である。具体的な製品としてはSEPABEADS SP207SS(三菱化学(株))等を挙げることができる。
<実施例1.合成シリカゲルを用いたSGPの精製―1>
脱脂卵黄粉(キユーピー(株))500gに水5Lを添加し、15分間よく撹拌した後、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
得られたろ液は1M−NaOHでpH9に調整し、よく攪拌した。30分間放置した後、セライト545(Imerys Minerals California,Inc.) 100gを添加し、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
溶出画分18乃至26を合わせて、凍結乾燥することで、764.4mgの糖ペプチドを得た。
HPLC:1260 Infinity LC(Agilent Technologies,Inc.)
カラム:L−Column2 ODS 3μm φ3.0×50mm(科学物質評価研究機構)
カラム温度:40℃
移動相A:0.1%HCOOHを含むH2O溶液(v/v)
移動相B:0.1%HCOOHを含むMeCN溶液(v/v)
グラジエント(移動相B%):0%(0分)、10%(5分)、30%(7分)、30%(8分)
流速:0.6ml/分
検出波長:210nm。
MS:6130 Quadrupole LC/MS(Agilent Technologies,Inc.)
イオン化:ESI
モード:Positive
HPLC:1260 Infinity LC(Agilent Technologies,Inc.)
カラム:L−Column2 ODS 3μm φ3.0×50mm(科学物質評価研究機構)
カラム温度:40℃
移動相A:0.1%HCOOHを含むH2O溶液(v/v)
移動相B:0.1%HCOOHを含むMeCN溶液(v/v)
グラジエント(移動相B%):0%(0分)、10%(5分)、30%(7分)、30%(8分)
流速:0.6ml/分
検出波長:210nm。
NMR:AVANCE500(500MHz、ブルカー・バイオスピン(株))
溶媒:DEUTERIUM OXIDE+0.1%TMSP(euriso−top)。
実施例1と同様の操作により、脱脂卵黄粉から糖ペプチドの精製を行ない、カラム溶出画分20乃至30を合わせて凍結乾燥することで、694.1mgの糖ペプチドを得た。
得られた糖ペプチドは1H−NMR測定及びLC/MS測定による標品との比較により、SGPであることが確認された。
次に、様々な除タンパク剤、様々な一般的なろ過助剤、様々な添加剤のSGP精製への適用可能性について検討した。
本発明の精製方法においては、カラムクロマトグラフィーに供する溶液において、不純物、特に不要なタンパク質が除去され、且つ、SGPが残存していることが重要であるため、除タンパク剤等で処理した後の溶液中のタンパク質含量及びSGP回収率を指標とした検討を行った。
合成シリカゲル、合成シリカコロイド、一般的なろ過助剤、タンパク質凝固作用を持つ添加剤、及び、タンパク分解作用を持つ添加剤について、脱脂卵黄粉中のタンパク質に対するタンパク質除去性能を評価し、また、脱脂卵黄粉中のSGPに対する回収率を評価した。
合成シリカゲルとして、SYLOPUTE202(富士シリシア化学(株))、SYLOPUTE303(富士シリシア化学(株))、SYLOPUTE403(富士シリシア化学(株))、ミズカソーブA751C(水澤化学工業(株))、ミズカソーブC1(水澤化学工業(株))、ミズカソーブC6(水澤化学工業(株))、カープレックスBS−303(DSL.ジャパン(株))、カープレックスBS−306(DSL.ジャパン(株))、マイクロドKM−386P(KD Corporation)を使用した。
合成シリカコロイドとして、コポロック200(大塚食品(株))、コポロック300(大塚食品(株))、コポロック306(大塚食品(株))を使用した。
タンパク質凝固作用を持つ添加剤として、タンニン酸(東京化成工業(株))を使用した。タンパク分解作用を持つ添加剤としてパパイン(和光純薬工業(株))を使用した。
脱脂卵黄粉(キユーピー(株))に対して10倍量の水を添加し(濃度100mg/mL)、15分間よく撹拌した後、FILTER PAPER No.2(東洋濾紙(株))でろ過を行なった。得られた脱脂卵黄水溶液はpH3、pH4、pH5、pH6、pH7、pH8に調整した後、それぞれ10mLを分注した。
合成シリカゲル及び一般的なろ過助剤については、分注液に5%(w/v)添加し、室温で15分及び60分攪拌接触させた。
シリカコロイドについては、分注液に5%(v/v)添加し、室温で15分及び60分攪拌接触させた。
パパインについては、分注液に1%(w/v)添加し、室温で15分及び60分攪拌接触、50度で20時間攪拌接触させた。
実験における攪拌は、全てレシプロ(往復)式シェーカーで行なった。
各処理試料は10,000rpm回転で5分遠心分離し、得られた上澄み液を回収し、以下の方法でタンパク質含有量の測定及びSGP回収率の測定を行った。結果を図8〜図13に示す。
スタンダードと上澄み液をそれぞれ15μL分注し、発色液1.5mLをそれぞれに添加して、攪拌後、室温で10分以上保持して、測定した。なお、発色液にはCoomassie Protein Assay Reagent(Thermo Fisher Scientific,Inc.)を使用し、スタンダードには、BSA(牛血清アルブミン、Thermo Fisher Scientific,Inc.)を使用して、測定波長は吸光度595nmとした。結果は、脱脂卵黄水溶液のタンパク質濃度を100%としたときの相対タンパク質濃度(%)を図内に表示した。
実施例1のHPLC条件により分析を行い、SGPのピーク面積値を測定した。同様に、脱脂卵黄水溶液及び各上澄み液各5μLをHPLCへ注入し、実施例1のHPLC条件により分析を行い、SGPのピーク面積値を測定した。SGPの回収率は、同様に、脱脂卵黄水溶液のSGPのピーク面積値を100%としたときの相対ピーク面積値(%)を図内に表示した。
図8〜10に示されるように、各種合成シリカゲルで処理した溶液においては、タンパク質濃度が低く、合成シリカが高い除タンパク効果を有することが示された。一方で、当該処理後溶液中のSGPの回収率は高く、SGPは合成シリカには吸着せず、溶液中に溶解していることが示された。また、これらの効果は、処理時の溶液のpHにより若干の影響を受け、酸性よりの条件において、除タンパク効果及びSGP回収率共に高い傾向がある。しかし、いずれの条件においても、処理後の溶液から高純度のSGPが精製できるものと考えられる。
脱脂卵黄粉(キユーピー(株))500gに水5Lを添加し、15分間よく撹拌した後、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
得られた水抽出液にミズカソーブA751C(水澤化学工業(株))250gを添加し、15分間よく攪拌した後、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
得られたろ液は1M−NaOHでpH9に調整し、よく攪拌した。30分間放置した後、セライト545(Imerys Minerals California,Inc.) 100gを添加し、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
上記で得られたろ液を平衡化した該樹脂に、流速50mL/分で付した。ろ液を付した該樹脂を、水2L流速50mL/分で洗浄後、2%アセトン水(v/v)流速25mL/分で展開し、溶出液を25mL毎に分画した。(溶出画分1乃至40)
溶出画分17乃至22を合わせて、凍結乾燥することで、733.8mgの糖ペプチドを得た。
実施例4と同様の操作により、脱脂卵黄粉から糖ペプチドの精製を行ない、カラム溶出画分17乃至22を合せて凍結乾燥することで、784.1mgの糖ペプチドを得た。
得られた糖ペプチドは1H−NMR測定及びLC/MS測定による標品との比較により、SGPであることが確認された。得られたSGPについて、実施例1と同じ条件でHPLC分析を行い、純度を算出した(図15、純度:99%)。
脱脂卵黄粉(キユーピー(株))500gに水5Lを添加し、15分間よく撹拌した後、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
得られた水抽出液にミズカソーブA751C(水澤化学工業(株))250gを添加し、15分間よく攪拌した後、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
得られたろ液は1M−NaOHでpH6.5に調整し、よく攪拌した。30分間放置した後、セライト545(Imerys Minerals California,Inc.) 100gを添加し、フィルタープレス(薮田機械(株))でろ過を行なった。
ODS系逆相樹脂としてWakogel 100C18(和光純薬工業(株))192mL(35Φx200mm)をカラムに充填し、該樹脂をアセトニトリル、続いて水で洗浄後、20mM−HCOONH4で平衡化した。
溶出画分8乃至24を合わせて、凍結乾燥することで、565.6mgの糖ペプチドを得た。
乾燥卵黄粉No.1(キユーピー(株))500gに水5Lを添加し、15分間よく撹拌した後、セライト545(Imerys Minerals California,Inc.) 1kgを添加し、吸引ろ過缶((株)スギヤマゲン)でろ過を行なった。
得られた水抽出液にミズカソーブA751C(水澤化学工業(株))250gを添加し、15分間よく攪拌した後、吸引ろ過缶((株)スギヤマゲン)でろ過を行なった。
得られたろ液は1M−NaOHでpH9に調整し、よく攪拌した。30分間放置した後、セライト545(Imerys Minerals California,Inc.) 100gを添加し、吸引ろ過缶((株)スギヤマゲン)でろ過を行なった。
上記で得られたろ液を平衡化した該樹脂に、流速50mL/分で付した。ろ液を付した該樹脂を、水2L流速50mL/分で洗浄後、2%アセトン水(v/v)流速25mL/分で展開し、溶出液を25mL毎に分画した。(溶出画分1乃至40)
溶出画分18乃至21を合わせて、凍結乾燥することで、212.2mgの糖ペプチドを得た。
実施例4と同様の方法において、合成シリカゲル(ミズカソーブA751C)の代わりに、一般的なろ過助剤であるセライト545(Imerys Minerals California,Inc.)250gを用いて、カラム溶出画分14乃至24を合わせて、凍結乾燥することで、955.0mgの糖ペプチドを得た。
得られた糖ペプチドは1H−NMR測定及びLC/MS測定による標品との比較により、SGPであることが確認された。得られたSGPについて、実施例1と同じ条件でHPLC分析を行い、純度を算出した(図18、純度:83%)。
Claims (10)
- 以下の工程Aを含むことを特徴とする、下記式で表される構造からなるシアリルグリコペプチドの精製方法、
工程A:鳥類の卵黄成分を含む水性溶液と合成シリカ系除タンパク剤を混合させた後、溶解液部を得る工程。 - 合成シリカ系除タンパク剤が、合成シリカゲル又は合成シリカコロイドである請求項1の方法。
- 合成シリカ系除タンパク剤が、粒子径:1〜50 μm、比表面積:100〜1500 m2/g、細孔容積:0.5〜3 ml/g、平均細孔径:1〜50 nmを満たす合成シリカゲルである、請求項2の方法。
- 鳥類の卵黄成分を含む水性溶液が、ニワトリの卵黄または脱脂卵黄の水溶液である、請求項1の方法。
- 鳥類の卵黄成分を含む水性溶液が、事前に不溶成分が除去された溶液である、請求項1の方法。
- 工程Aで得られた溶解液部を、シアリルグリコペプチドを分離可能な樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーにより、シアリルグリコペプチドを含有する画分を回収する工程を、さらに含む請求項1の方法。
- シアリルグリコペプチドを分離可能な樹脂が、逆相樹脂、順相樹脂、イオン交換樹脂、ゲルろ過樹脂または合成吸着樹脂である請求項6の方法。
- 合成吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着樹脂、スチレン−ジビニルベンゼン系修飾型合成吸着樹脂、メタクリル系合成吸着樹脂またはフェノール系合成吸着剤である請求項7の方法。
- 合成吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン系修飾型合成吸着樹脂である請求項8の方法。
- 請求項1乃至9のいずれかの方法で精製されたSGPを適切な形態で包装する工程を含む、SGP製品の製造方法。
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